説明

超音波診断装置

【課題】無線通信型の超音波プローブの内部温度の上昇を抑制しながらも高画質の超音波画像を得ることができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】バッテリユニット4内のバッテリ42から給電ケーブル3を介して超音波プローブ1内の各部に電力が供給され、超音波診断が行われる。超音波プローブ1の内部温度がプローブ温度センサ14によって検出され、検出された内部温度が予め設定されたしきい値を越えると、プローブ制御部13によりプローブ冷却部15が作動され、超音波プローブ1内の冷却が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置に係り、特に、超音波プローブの振動子アレイから超音波を送受信することにより生成された超音波画像に基づいて診断を行う超音波診断装置の超音波プローブの発熱対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、この種の超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵した超音波プローブと、この超音波プローブに接続された装置本体とを有しており、超音波プローブから被検体に向けて超音波を送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブで受信して、その受信信号を装置本体で電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
【0003】
このような超音波診断装置では、振動子アレイから超音波を送信することで、振動子アレイから熱が生じる。
ところが、通常、操作者が片手で超音波プローブを把持して振動子アレイの超音波送受信面を被検体の表面に当接しつつ診断を行うので、超音波プローブは操作者が片手で容易に把持し得る程度の小さな筺体内に収容されることが多い。このため、振動子アレイからの発熱により超音波プローブの筺体内が温度上昇することがある。
【0004】
また、近年、超音波プローブに信号処理のための回路基板とバッテリを内蔵し、振動子アレイから出力された受信信号をデジタル処理した上で無線通信により装置本体に伝送することにより、ノイズの影響を低減して高画質の超音波画像を得るようにした超音波診断装置が提案されている。
この種のデジタル処理を行う超音波プローブでは、受信信号の処理時においても回路基板からの発熱およびバッテリからの発熱があり、回路基板の各回路の安定した動作を保証するために筺体内の温度上昇を抑制する必要がある。
【0005】
超音波プローブの温度上昇対策については、例えば特許文献1に、超音波プローブの表面温度に応じて振動子アレイを駆動する条件を自動的に変化させる超音波診断装置が開示されている。表面温度が高くなるほど、超音波の送信時における振動子アレイの各トランスデューサの駆動電圧、送信開口数、送信パルスの繰り返し周波数、フレームレート等を低減することにより、超音波プローブの表面温度が適切な温度に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−253776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、送信時の振動子アレイの駆動条件を変化させる特許文献1の装置では、上述したようなデジタル処理を行う超音波プローブにおける受信時の発熱およびバッテリからの発熱に対処することができない。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、無線通信型の超音波プローブの内部温度の上昇を抑制しながらも高画質の超音波画像を得ることができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る超音波診断装置は、超音波プローブと診断装置本体とが無線通信により接続され、超音波プローブの振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームが送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した振動子アレイから出力された受信信号を超音波プローブ内で処理することにより得られる受信データに基づいて診断装置本体で超音波画像が生成される超音波診断装置であって、給電ケーブルを介して超音波プローブに接続されると共に超音波プローブ内の各部に給電を行うためのバッテリユニットと、超音波プローブの内部温度を検出するプローブ温度センサと、超音波プローブに内蔵されると共にプローブ温度センサにより検出された超音波プローブの内部温度に応じて超音波プローブ内を冷却するプローブ冷却部とを備えたものである。
【0009】
バッテリユニットは、バッテリユニットの内部温度を検出するユニット温度センサと、バッテリユニットに内蔵されると共にユニット温度センサにより検出されたバッテリユニットの内部温度に応じてバッテリユニット内を冷却するユニット冷却部とを有することが好ましい。
超音波プローブに配置されると共にバッテリユニットのバッテリ残量を表示するバッテリ残量表示部をさらに備えることができる。
また、好ましくは、バッテリユニットは、交換可能なバッテリを有している。
さらに、バッテリユニットは、コネクタを介して超音波プローブに脱着可能に接続することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、給電ケーブルを介してバッテリユニットを超音波プローブに接続し、プローブ温度センサにより検出された超音波プローブの内部温度に応じてプローブ冷却部で超音波プローブ内を冷却するので、無線通信型の超音波プローブの内部温度の上昇を抑制しながらも高画質の超音波画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態2に係る超音波診断装置で用いられたバッテリユニットを示すブロック図である。
【図3】実施の形態3に係る超音波診断装置で用いられたバッテリユニットを示すブロック図である。
【図4】実施の形態4に係る超音波診断装置で用いられたバッテリユニットを示すブロック図である。
【図5】実施の形態5に係る超音波診断装置で用いられた超音波プローブを示すブロック図である。
【図6】実施の形態6に係る超音波診断装置で用いられた超音波プローブを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、超音波プローブ1と、この超音波プローブ1と無線通信により接続された診断装置本体2と、超音波プローブ1に給電ケーブル3を介して接続されたバッテリユニット4とを備えている。
【0013】
超音波プローブ1は、1次元又は2次元の振動子アレイの複数チャンネルを構成する複数の超音波トランスデューサ5を有し、これらトランスデューサ5にそれぞれ対応して受信信号処理部6が接続され、受信信号処理部6にパラレル/シリアル変換部7を介して無線通信部8が接続されている。また、複数のトランスデューサ6に送信駆動部9を介して送信制御部10が接続され、複数の受信信号処理部6に受信制御部11が接続され、無線通信部8に通信制御部12が接続されている。そして、パラレル/シリアル変換部7、送信制御部10、受信制御部11および通信制御部12にプローブ制御部13が接続されている。
さらに、超音波プローブ1には、超音波プローブ1の内部温度を検知するプローブ温度センサ14と、超音波プローブ1内を冷却するプローブ冷却部15が内蔵され、これらプローブ温度センサ14およびプローブ冷却部15がプローブ制御部13に接続されている。
【0014】
複数のトランスデューサ5は、それぞれ送信駆動部9から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に被検体からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する。各トランスデューサ5は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子、PMN−PT(マグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した振動子によって構成される。
そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生して、それらの超音波の合成により超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生し、それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
【0015】
送信駆動部9は、例えば、複数のパルサを含んでおり、送信制御部10によって選択された送信遅延パターンに基づいて、複数のトランスデューサ5から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号の遅延量を調節して複数のトランスデューサ5に供給する。
【0016】
各チャンネルの受信信号処理部6は、受信制御部11の制御の下で、対応するトランスデューサ5から出力される受信信号に対して直交検波処理又は直交サンプリング処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、複素ベースバンド信号をサンプリングすることにより、組織のエリアの情報を含むサンプルデータを生成して、サンプルデータをパラレル/シリアル変換部7に供給する。受信信号処理部6は、複素ベースバンド信号をサンプリングして得られるデータに高能率符号化のためのデータ圧縮処理を施すことによりサンプルデータを生成してもよい。
パラレル/シリアル変換部7は、複数チャンネルの受信信号処理部6によって生成されたパラレルのサンプルデータを、シリアルのサンプルデータに変換する。
【0017】
無線通信部8は、シリアルのサンプルデータに基づいてキャリアを変調して伝送信号を生成し、伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、シリアルのサンプルデータを送信する。変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)等が用いられる。
無線通信部8は、診断装置本体2との間で無線通信を行うことにより、サンプルデータを診断装置本体2に送信すると共に、診断装置本体2から各種の制御信号を受信して、受信された制御信号を通信制御部12に出力する。通信制御部12は、プローブ制御部13によって設定された送信電波強度でサンプルデータの送信が行われるように無線通信部8を制御すると共に、無線通信部8が受信した各種の制御信号をプローブ制御部13に出力する。
【0018】
プローブ温度センサ14は、超音波プローブ1の内部温度Tを検出してプローブ制御部13に出力する。このプローブ温度センサ14は、超音波診断装置の運転時に特に発熱が予想される受信信号処理部6の近傍に配置されることが好ましい。
プローブ冷却部15は、超音波プローブ1の内部を冷却するためのもので、冷却ファンの駆動、冷媒の循環、ペルチェ素子等の各種の冷却手段を用いることができる。
プローブ制御部13は、診断装置本体2から送信される各種の制御信号に基づいて、超音波プローブ1の各部の制御を行う。また、プローブ制御部13は、プローブ温度センサ14で検出された超音波プローブ1の内部温度Tに応じてプローブ冷却部15を駆動制御する。
【0019】
なお、超音波プローブ1は、リニアスキャン方式、コンベックススキャン方式、セクタスキャン方式等の体外式プローブでもよいし、ラジアルスキャン方式等の超音波内視鏡用プローブでもよい。また、複数のトランスデューサ5に1つのマルチプレクサを接続し、送受信時の開口チャンネルを切り替え可能としてもよい。
【0020】
給電ケーブル3を介して超音波プローブ1に接続されたバッテリユニット4は、超音波プローブ1内の各回路に電力を供給するためのもので、給電ケーブル3に接続された保護回路41と、保護回路41に接続されたバッテリ42を有している。このバッテリユニット4は、例えば操作者が身にまとっているジャケットのポケット内に収容される等、操作者が身につけることが好ましい。
【0021】
一方、診断装置本体2は、無線通信部21を有し、この無線通信部21にシリアル/パラレル変換部22を介してデータ格納部23が接続され、データ格納部23に画像生成部24が接続されている。さらに、画像生成部24に表示制御部25を介して表示部26が接続されている。また、無線通信部21に通信制御部27が接続され、シリアル/パラレル変換部22、画像生成部24、表示制御部25および通信制御部27に本体制御部28が接続されている。さらに、本体制御部28には、操作者が入力操作を行うための操作部29と、動作プログラムを格納する格納部31がそれぞれ接続されている。
【0022】
無線通信部21は、超音波プローブ1との間で無線通信を行うことにより、各種の制御信号を超音波プローブ1に送信する。また、無線通信部21は、アンテナによって受信される信号を復調することにより、シリアルのサンプルデータを出力する。
通信制御部27は、本体制御部28によって設定された送信電波強度で各種の制御信号の送信が行われるように無線通信部21を制御する。
シリアル/パラレル変換部22は、無線通信部21から出力されるシリアルのサンプルデータを、パラレルのサンプルデータに変換する。データ格納部23は、メモリまたはハードディスク等によって構成され、シリアル/パラレル変換部22によって変換された少なくとも1フレーム分のサンプルデータを格納する。
【0023】
画像生成部24は、データ格納部23から読み出される1フレーム毎のサンプルデータに受信フォーカス処理を施して、超音波診断画像を表す画像信号を生成する。画像生成部24は、整相加算部31と画像処理部32とを含んでいる。
整相加算部31は、本体制御部28において設定された受信方向に応じて、予め記憶されている複数の受信遅延パターンの中から1つの受信遅延パターンを選択し、選択された受信遅延パターンに基づいて、サンプルデータによって表される複数の複素ベースバンド信号にそれぞれの遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれたベースバンド信号(音線信号)が生成される。
【0024】
画像処理部32は、整相加算部31によって生成される音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。画像処理部32は、STC(sensitivity time control)部と、DSC(digital scan converter:デジタル・スキャン・コンバータ)とを含んでいる。STC部は、音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じて、距離による減衰の補正を施す。DSCは、STC部によって補正された音線信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、Bモード画像信号を生成する。
【0025】
表示制御部25は、画像生成部24によって生成される画像信号に基づいて、表示部26に超音波診断画像を表示させる。表示部26は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部25の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
【0026】
このような診断装置本体2において、シリアル/パラレル変換部22、画像生成部24、表示制御部25、通信制御部27および本体制御部28は、CPUと、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成されるが、それらをデジタル回路で構成してもよい。上記の動作プログラムは、格納部30に格納される。格納部30における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROMまたはDVD−ROM等を用いることができる。
【0027】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
まず、操作者は身にまとっているジャケットのポケット等にバッテリユニット4を収容し、バッテリユニット4に給電ケーブル3を介して接続されている超音波プローブ1を手に把持する。バッテリユニット4に収容されたバッテリ42から保護回路41および給電ケーブル3を介して超音波プローブ1内の各部に電力が供給される。
【0028】
この状態で診断が開始される。すなわち、超音波プローブ1の送信駆動部9から供給される駆動信号に従って振動子アレイを構成する複数のトランスデューサ5から超音波が送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各トランスデューサ5から出力された受信信号がそれぞれ対応する受信信号処理部6に供給されて生成されたサンプルデータがパラレル/シリアル変換部7でシリアル化された後に無線通信部8から診断装置本体2へ無線伝送される。診断装置本体2の無線通信部21で受信されたサンプルデータは、シリアル/パラレル変換部22でパラレルのデータに変換され、データ格納部23に格納される。さらに、データ格納部23から1フレーム毎のサンプルデータが読み出され、画像生成部24で画像信号が生成され、この画像信号に基づいて表示制御部25により超音波診断画像が表示部26に表示される。
【0029】
このようにして超音波診断が実行されると、超音波プローブ1内の各部に電力を供給しているバッテリ42から熱が発せられるが、バッテリ42は、超音波プローブ1から離れたバッテリユニット4内に収容されているため、バッテリ42からの熱が直接超音波プローブ1内の温度に影響を与えることはない。
【0030】
ただし、超音波プローブ1内には、受信信号処理部6等からの発熱があり、超音波診断の実行に伴って超音波プローブ1の内部温度Tが次第に上昇するおそれがある。そこで、超音波プローブ1の内部温度Tがプローブ温度センサ14によって検出され、プローブ制御部13は、プローブ温度センサ14で検出された内部温度Tが予め設定されたしきい値を越えると、超音波プローブ1内の冷却が必要であると判断し、プローブ冷却部15を作動させる。すなわち、冷却ファンを駆動して超音波プローブ1の内部に冷却用空気を流通させる、冷媒を超音波プローブ1の内部に循環させる、ペルチェ素子を駆動する等により、超音波プローブ1内の冷却が行われる。これにより、超音波プローブ1の内部温度Tの上昇が抑制され、超音波プローブ1内の各部が安定した動作を行うことで、高画質の超音波画像を得ることが可能となる。
【0031】
給電ケーブル3を介して超音波プローブ1にバッテリユニット4を接続することにより、診断装置本体2と無線通信により接続された超音波プローブ1でありながら、バッテリを超音波プローブ1の筺体内に収容する必要がなく、このため、超音波プローブ1の軽量化が図られ、操作性が向上すると共に、バッテリの分だけ筺体内のスペースに空きができるので、筺体のサイズを大きくしなくても、プローブ冷却部15を内蔵することができる。
また、バッテリ42をバッテリユニット4内に収容するので、超音波プローブ1内の限られた収容スペースに影響されることなく、バッテリ42として大容量のものを用いることができ、超音波診断装置の連続使用時間を延長することが可能となる。
【0032】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、給電ケーブル3の先端部にバッテリユニット4の保護回路41が直接接続されていたが、図2に示されるように、給電ケーブル3の先端部にコネクタ43を介してバッテリユニット4を脱着可能に接続することもできる。このような構成とすれば、バッテリユニット4内のバッテリ42の残量が少なくなった場合に、コネクタ43により給電ケーブル3の先端部からバッテリユニット4を取り外し、新たなバッテリユニット4に交換して超音波診断を続行することができる。
また、コネクタ43により超音波プローブ1とバッテリユニット4とを互いに切り離して保管することができる。
【0033】
実施の形態3
上記の実施の形態1または2において、バッテリユニット4の代わりに、図3に示されるように、バッテリ42を交換可能なバッテリユニット51を用いることもできる。バッテリユニット51は、バッテリ収容部52を有しており、このバッテリ収容部52にバッテリ42を収容することで保護回路41とバッテリ42とが接続され、バッテリ42から給電ケーブル3を介して超音波プローブ1内へ電力の供給が行われる。
超音波診断の実行に伴ってバッテリ42の残量が少なくなった場合には、バッテリユニット51のバッテリ収容部52からバッテリ42を抜き出し、新たなバッテリ42をバッテリ収容部52に収容して超音波診断を続行することができる。
なお、バッテリ収容部52の開口部に開閉可能な蓋体を設置することもでき、このようにすれば、バッテリ収容部52内への異物、塵埃等の侵入が防止される。
【0034】
実施の形態4
図4に実施の形態4に係る超音波診断装置で用いられたバッテリユニット61を示す。バッテリユニット61は、実施の形態1におけるバッテリユニット4と同様に、給電ケーブル3に接続された保護回路41とバッテリ42とを有するだけでなく、ユニット温度センサ62と、ユニット温度センサ62に接続された温度制御部63と、温度制御部63に接続されたユニット冷却部64を内蔵している。
ユニット温度センサ62は、バッテリユニット61の内部温度を検出するためのものである。
ユニット冷却部64は、バッテリユニット61の内部を冷却するためのもので、冷却ファンの駆動、冷媒の循環、ペルチェ素子等の各種の冷却手段を用いることができる。
温度制御部63は、ユニット温度センサ62で検出されたバッテリユニット61の内部温度に応じてユニット冷却部64を駆動制御する。
【0035】
超音波診断の実行に伴ってバッテリ42から熱が発生してバッテリユニット61の内部温度が次第に上昇するおそれがある。そこで、バッテリユニット61の内部温度がユニット温度センサ62によって検出され、検出された内部温度が予め設定されたバッテリユニット61用の温度しきい値を越えると、温度制御部63によりユニット冷却部64が作動されてバッテリユニット61内の冷却が行われる。これにより、バッテリユニット61の内部温度の上昇が抑制され、バッテリ42から超音波プローブ1内の各部へ安定して電力供給を行うことが可能となる。
【0036】
実施の形態5
上記の実施の形態1〜4において、超音波プローブ1の代わりに図5に示されるような構成の超音波プローブ71を用いることもできる。この超音波プローブ71は、図1に示した超音波プローブ1において、非常用バッテリ72をさらに備えたものである。非常用バッテリ72は、超音波プローブ71内の各部と給電ケーブル3とを接続するための接続線73に接続されている。
通常時は、バッテリユニット4内のバッテリ42から超音波プローブ71内の各部へ電力供給がなされると同時に非常用バッテリ72への充電がなされる。そして、バッテリ42の残量が減少して超音波プローブ71へ電力を供給することができなくなった場合、バッテリユニット4あるいはバッテリ42を新たなものに交換する場合等には、一時的に非常用バッテリ72から超音波プローブ71内の各部へ電力が供給される。
このように、非常用バッテリ72を備えることによって、バッテリユニット4からの電力供給が一時的にできなくなった場合でも、超音波診断を中断することなく、超音波プローブ71内の各部を駆動することができる。
【0037】
実施の形態6
上記の実施の形態1〜5において、超音波プローブ1または71の代わりに図6に示される超音波プローブ81を用いることもできる。この超音波プローブ81は、筐体82に配設されたバッテリ残量表示部83を有している。バッテリ残量表示部83は、超音波プローブ81に給電ケーブル3を介して接続されているバッテリユニット4、51あるいは61内のバッテリ42の残量を表示するものであり、例えば、バッテリ42の残量に応じて段階的に点灯数が変化する複数のランプから構成されている。
このようなバッテリ残量表示部83を有していれば、操作者が超音波診断を行いながら、バッテリ42の残量を確認することができる。
【0038】
なお、ランプの点灯数ではなく、数値でバッテリ42の残量を表示するバッテリ残量表示部を用いてもよい。
さらに、バッテリ42の残量が所定値以下になって超音波診断を続行可能な時間が残りわずかになった時点でバッテリ残量表示部83の複数のランプのすべてを点滅させる等、操作者に警告を発するように構成することもできる。この場合、バッテリ残量表示部83とは別に警告ランプを配置してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1,71,81 超音波プローブ、2 診断装置本体、3 給電ケーブル、4,51,61 バッテリユニット、5 トランスデューサ、6 受信信号処理部、7 パラレル/シリアル変換部、8 無線通信部、9 送信駆動部、10 送信制御部、11 受信制御部、12 通信制御部、13 プローブ制御部、14 温度センサ、15 プローブ冷却部、21 無線通信部、22 シリアル/パラレル変換部、23 データ格納部、24 画像生成部、25 表示制御部、26 表示部、27 通信制御部、28 本体制御部、29 操作部、30 格納部、31 整相加算部、32 画像処理部、41 保護回路、42 バッテリ、43 コネクタ、52 バッテリ収容部、62 ユニット温度センサ、63 温度制御部、64 ユニット冷却部、72 非常用バッテリ、73 接続線、82 筺体、83 バッテリ残量表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと診断装置本体とが無線通信により接続され、前記超音波プローブの振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームが送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記振動子アレイから出力された受信信号を前記超音波プローブ内で処理することにより得られる受信データに基づいて前記診断装置本体で超音波画像が生成される超音波診断装置であって、
給電ケーブルを介して前記超音波プローブに接続されると共に前記超音波プローブ内の各部に給電を行うためのバッテリユニットと、
前記超音波プローブの内部温度を検出するプローブ温度センサと、
前記超音波プローブに内蔵されると共に前記プローブ温度センサにより検出された前記超音波プローブの内部温度に応じて前記超音波プローブ内を冷却するプローブ冷却部と
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記バッテリユニットは、
前記バッテリユニットの内部温度を検出するユニット温度センサと、
前記バッテリユニットに内蔵されると共に前記ユニット温度センサにより検出された前記バッテリユニットの内部温度に応じて前記バッテリユニット内を冷却するユニット冷却部と
を有する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記超音波プローブに配置されると共に前記バッテリユニットのバッテリ残量を表示するバッテリ残量表示部をさらに備えた請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記バッテリユニットは、交換可能なバッテリを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記バッテリユニットは、コネクタを介して前記超音波プローブに脱着可能に接続されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−179324(P2012−179324A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46014(P2011−46014)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】