説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断時に対象体に影響を及ぼす超音波影響因子を検出し、これをユーザーに警告することによって、対象体に無害でかつ安全な超音波診断が行われるようにする超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波信号を対象体に送信し、その対象体から反射される反射超音波信号を受信して超音波映像を生成するプローブと、前記対象体の組織に対する前記超音波信号の影響を示す超音波影響指数を検出する検出部と、前記検出部から前記超音波影響指数を受け、前記超音波影響指数が既に設定されているしきい値を超えるか否を判断する制御部と、該制御部による活性化により、前記超音波影響指数が前記しきい値を超えたことをユーザに警告する警告手段を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関するもので、より具体的には、超音波診断時に対象体に影響を及ぼす超音波影響因子を検出し、これをユーザーに警告することによって、対象体に安全な超音波診断を行えるようにする超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、無侵襲及び非破壊特性を有しているため、人体などの対象体内部の情報を得るための医療技術分野で広く用いられている。超音波診断装置は、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体内部組織の映像を高解像度かつリアルタイムで医者に提供することができるため、医療分野で非常に重要な映像手段になっている。
【0003】
超音波診断装置は、変換素子を電気的に刺激し、超音波信号を生成して対象体に送信する。対象体に送信された超音波信号は、対象体組織の不連続な境界で反射し、超音波信号を送信した変換素子に戻ってきた反射超音波信号は再び電気的信号に変換される。その変換された電気的信号を信号処理して、対象体に対する超音波映像データを生成する。
【0004】
この超音波診断装置は、対象体、特に、胎児などの位置、大きさ、動き、心拍動などを診断するために使用するとき、医学的な観点から一般に胎児などに安全でかつ無害なものと知られている。しかし、超音波信号の送信条件によっては、対象体組織が物理的な影響を受けたり、対象体組織の温度上昇が発生する場合も考えられるので、胎児などに対する超音波撮影が完全に無害であると断言することはできない。
【0005】
そのため、ユーザーは、超音波診断時に超音波によって胎児などの対象体に害が発生しないように注意を傾ける必要がある。しかしながら、従来の超音波診断装置では、ユーザーが超音波診断作業をしながら随時に超音波診断装置の画面に表れる各種数値や映像などを常時観察しなければならないので、超音波診断作業が不便であるのみならず、ユーザーの過ちによって胎児などに悪い影響を及ぼす状況が長い間維持されてしまうなどの可能性も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−305084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明が達成しようとする技術的課題は、超音波診断時に対象体に影響を及ぼす超音波影響因子を検出し、その因子の指数値があるしきい値を超えた場合、これをユーザーに警告することによって、対象体に無害でかつ安全な超音波診断が行われるようにする超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の技術的課題を達成するために、本発明は、超音波信号を対象体に送信し、その対象体から反射される反射超音波信号を受信して超音波映像を生成するプローブと、前記対象体の組織に対する前記超音波信号の影響を示す超音波影響指数を検出する検出部と、前記検出部から前記超音波影響指数を受け、前記超音波影響指数が既に設定されているしきい値を超えるか否かを判断する制御部と、該制御部による活性化により、前記超音波影響指数が前記しきい値を超えたことをユーザに警告する警告手段とを含んで構成される超音波診断装置を提供する。
【0009】
本発明において、前記超音波影響指数は、発熱指数(TI)、機械指数(MI)及び空間ピーク時間平均強度(SPTA)のうち少なくとも一つであることが望ましい。
【0010】
本発明において、前記警告手段は、警告音を発生させる警告音発生器又は振動を発生させる振動器であることが望ましい。
【0011】
本発明において、前記警告手段は、前記超音波診断装置の前記プローブに装着されることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る超音波診断装置は、超音波診断時に対象体に影響を及ぼす各種の超音波影響指数が適正範囲内にあるか否かを検出し、前記指数が適正範囲を逸脱する場合は、これをユーザーに警告することによって、対象体に無害でかつ安全な超音波診断が行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る超音波診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本実施例に採用されたプローブと警告手段の望ましい設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の権利保護範囲がこれらの実施例によって制限されることはない。
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図であり、図2は、本実施例に係る超音波診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下、これらの図面を参照して本発明を説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施例に係る超音波診断装置100は、超音波信号を対象体に送信し、その対象体から反射される反射超音波信号を受信して超音波映像を生成するプローブ120と、対象体組織に対する超音波(超音波信号)の影響を示す超音波影響指数を検出する検出部130と、ユーザーに警告する警告手段140と、前記検出部130から前記超音波影響指数を受け、前記超音波影響指数が既に設定されているしきい値を超えた場合、前記警告手段140を活性化させる制御部110とを含んで構成される。また、本実施例に係る超音波診断装置100は、前記超音波映像を表示する表示部150をさらに含んで構成される。
【0017】
このような本実施例の動作を図1〜図3を参照して具体的に説明する。
【0018】
まず、ユーザーは、超音波診断装置100を用いて人体などの対象体に対して超音波診断作業を行う(S101)。具体的には、超音波診断装置100は、プローブ120により、超音波信号を対象体に送信し、その対象体から反射される反射超音波信号を受信し、これに基づいて超音波映像を生成して、その超音波映像を表示部150の画面上に出力する。
【0019】
検出部130は、対象体組織に対する超音波の影響を示す超音波影響指数を検出して制御部110に提供する。これによって、超音波診断装置100の表示部150の画面上には、超音波映像の他に、対象体組織に対する超音波の影響度を示す各種超音波影響指数が共に表示される。
【0020】
前記超音波影響指数とは、超音波診断時に対象体の軟部組織や骨などを含む、対象体の各部位で発生する超音波による影響度を指数化(数値化)して表現できる各種指標や指数を意味する。前記超音波影響指数が望ましい一定範囲を逸脱する場合、これは、超音波診断時に発生する超音波によって対象体に悪い影響や危害を与える可能性のある対象体環境が造成されたことを意味する。
【0021】
前記超音波影響指数の例としては、超音波が対象体の軟部組織や骨に吸収されて熱に変換される程度を示す発熱指数(thermal index、TI)や物理的な影響を示す機械指数(mechanical index)などがある。また、前記超音波影響指数の他の例として、超音波から生成される最大時間平均強度を示す空間ピーク時間平均強度(spatial peak temporal average intensity、SPTA)を挙げることができる。これは、超音波干渉によって空間ピーク時間平均強度(SPTA)が高くなる場合、組織損傷をもたらすおそれがあるためで、これも重要な超音波影響指数である。もちろん、前記超音波映像指数は、発熱指数(TI)、機械指数(MI)、空間ピーク時間平均強度(SPTA)に限定されるものでなく、対象体に対する超音波の影響を数値化して表現できるものであれば、他のいずれの指数も使用可能である。
【0022】
次に、制御部110は、前記検出部130から提供される超音波影響指数がシステム上に予め記憶され設定されているしきい値を超えるか否かを判断する(S102)。このとき、前記超音波影響指数が既に設定されているしきい値を超えない場合は、超音波診断作業に何ら支障をきたさないことを意味するので、超音波診断装置100は診断作業を継続して行うように制御される。
【0023】
しかし、前記超音波影響指数が既に設定されているしきい値を超えた場合は、制御部110は、警告手段140が超音波診断装置100のユーザーにそれを警告するように制御する(S103)。ここで、警告手段140としては、警告音を発生させてユーザーに警告する警告音発生器を使用したり、又は、振動を発生させてユーザーに警告する振動器を使用する。ユーザーは、警告手段140から警告音又は警告振動の発生を確認することによって超音波診断作業をしばらく中止し、これによって、超音波診断時に超音波によって対象体に悪い影響や危害が及ぶのを未然に防止することができる。
【0024】
また、図3に示すように、警告手段140がプローブ120に装着されることによって、超音波診断装置100のユーザーは警告発生の有無を容易に認知することができる。
【0025】
具体的に、図3に示されるプローブ120は、超音波信号を送信する上端部1201と、上端部の下方に位置する本体部1202と、本体部1202と制御部110とを接続する接続部1203とを備える。図3に示すように、警告手段140は、プローブ120の本体部1202に装着される。この場合、警告手段140は、超音波影響指数がしきい値を超えていることを警告できれば、本体部1202の表面に装着されても、本体部1202の内部に装着されていてもよい。
【0026】
なお、警告手段140としては、プローブ120の本体部1202の表面に装着され、色を変化させてユーザーに視覚的に警告する色彩変化器を使用してもよい。
【0027】
以上説明したように、本実施例に係る超音波診断装置は、超音波診断時に対象体に影響を及ぼす各種の超音波影響因子の指数が適正範囲内にあるか否かを検出し、前記因子が適正範囲を逸脱する場合は、これをユーザーに警告することによって、対象体に無害でかつ安全な超音波診断が行われるようにする。
【符号の説明】
【0028】
100:超音波診断装置、110:制御部、120:プローブ、130:検出部、140:警告手段、150:表示部、1201:上端部、1202:本体部、1203:接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を対象体に送信し、その対象体から反射される反射超音波信号を受信して超音波映像を生成するプローブと、
前記対象体の組織に対する前記超音波信号の影響を示す超音波影響指数を検出する検出部と、
前記検出部から前記超音波影響指数を受け、前記超音波影響指数が既に設定されているしきい値を超えるか否かを判断する制御部と、
該制御部による活性化により、前記超音波影響指数が前記しきい値を超えたことをユーザーに警告する警告手段と、
を含んで構成される超音波診断装置。
【請求項2】
前記超音波影響指数は、発熱指数(TI)、機械指数(MI)及び空間ピーク時間平均強度(SPTA)のうち少なくとも一つである、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記警告手段は、警告音を発生させる警告音発生器又は振動を発生させる振動器である、請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記警告手段は、前記超音波診断装置の前記プローブに装着される、請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−96029(P2012−96029A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232111(P2011−232111)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(597096909)三星メディソン株式会社 (269)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】