超音波金属接合方法、超音波金属接合装置
【課題】ポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線や錫メッキした金属板に超音波振動を与えて金属接合する場合は、工具ホーンの先端面の凹凸に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着して目詰まりが発生する頻度が多くなる。工具ホーンの先端面の凹凸の目詰まりを防止する。
【解決手段】本発明の超音波金属接合方法では、アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方に凹凸を設けておき、アンビルの上に載置した上記凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて接合する。
【解決手段】本発明の超音波金属接合方法では、アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方に凹凸を設けておき、アンビルの上に載置した上記凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波金属接合方法および超音波金属接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アンビルの上に複数の金属板、あるいは金属板に金属線を重ねた状態で載置し、上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて金属接合する超音波金属接合方法(超音波接合方法)および超音波金属接合装置(超音波接合装置)が実用化されている。そして、錫メッキしたターミナル(接続端子)に表面を皮膜絶縁したアルミ線や銅線などのマグネットワイヤを超音波接合することも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20に、従来の超音波金属接合装置の一部を断面とした正面図を示す。図20では、アンビル3の上に錫メッキをした銅板9を載置し、その上にマグネットワイヤ8であるポリイミドなど絶縁皮膜付き銅線を載置している。そして上方から工具ホーン50を押し当て、マグネットワイヤ8の軸線に沿った水平方向、つまり図20の紙面手前から奥の方向に超音波振動する。このことにより、マグネットワイヤ8と錫メッキをした銅板9を金属接合する。図21に、図20で示した従来の超音波金属接合装置の紙面左から見た状態を図示した。工具ホーン50の先端面(押圧面)には機械加工によりローレット状の凹凸50aを設けて、工具ホーン50の先端面と金属線や金属板等の表面を滑りにくくし、超音波振動を伝わりやすくしている。この構成で、工具ホーン50に、例えば周波数が15KHzから90KHzで、振幅が10μmから90μm程度の超音波振動を加えると、工具ホーン50とアンビル3に挟まれたマグネットワイヤ8と錫メッキをした銅板9に超音波振動が伝わり、マグネットワイヤ8の絶縁皮膜8bとそれに接する錫メッキ層9bが溶融して除去され、線材8aである銅線と銅板9aを金属接合(固相接合)することができる。図22に従来の超音波金属接合装置で金属接合したときの部分正面図を示す。また、図23に従来の超音波金属接合装置の、図22の紙面左から見た部分側面図を示す。これらの図に示すように、線材8aが銅板9aに金属接合する。
【0004】
しかし、接合作業を始めた当初は問題ないのであるが、接合作業を繰り返すと工具ホーンの先端面の凹凸50aに金属材料が付着して目詰まりが生じる。目詰まりが生じると工具ホーンの先端面と金属板等の表面が滑り易くなり、超音波振動が伝わり難くなる。そして、接合するのに時間が掛かるという問題を生じる。従来は、目詰まりした工具ホーンの先端面の凹凸50aを定期的にブラシ等で清掃していた。なお、目詰まり対策として工具ホーンの先端部を着脱可能な構造として定期的に交換することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、超音波金属接合では、低融点、低強度のPb、Sn、Zn等によって表面処理を行った金属板の接合については、表面処理をしていない場合と比較して50〜80%程度接合強度が低下するといわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−34879号公報
【特許文献2】特開2010−274296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような工具ホーンの先端部の目詰まり防止策はある程度有効であるが、例えばポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線や錫メッキした金属板に超音波振動を与えて金属接合する場合は、工具ホーンの先端面の凹凸に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着して目詰まりが発生する頻度が多くなる。目詰まりすると、工具ホーンと金属線あるいは金属板が滑る。工具ホーンと金属線あるいは金属板との位置決めが難しくなる。接合時間が長くなる。十分な強度が得られないなどの問題がより深刻になる。そこで、頻繁に工具ホーンの先端面の目詰まりを除去したり、工具ホーンの凹凸を再加工したり、凹凸のある先端部を着脱しなくてすむ方法が求められている。
【0008】
また、超音波金属接合であっても、低融点、低強度の錫(スズ)等によって表面処理を行った金属板の接合について表面処理をしていない場合に近い接合強度が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置では、アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方または両方にエンボス加工やローレット加工で凹凸を設けておき、凹凸のある表面で互いに接する複数の金属板あるいは金属板と金属線をアンビル上に載置した状態で、上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて接合している。
【0010】
また、本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置では、上記工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとしている。より具体的には、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて捩り振動させ、アンビル上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えている。
【0011】
また、本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置では、上記工具ホーンの先端面である押圧面をフラットな平面か、断面が円弧状または放物線状をした曲面にしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置によれば、複数の金属板同士あるいは金属板と金属線同士がそれぞれ互いに接する面に凹凸を設けて互いに滑りにくくしている。そして、金属板と金属線同士を超音波振動させ、金属線や金属板を覆っていた絶縁皮膜や錫メッキ層を溶融させ、溶融した絶縁皮膜や錫メッキ層を凹凸の凹部を通じて金属接合する領域外に出やすくしている。その一方で、凹凸の凸部で金属線と金属板同士をこすり合わせ金属接合(固相結合)を開始し、凸部が溶融した後は、凹部を含めた広い面で金属接合を行わせている。
【0013】
本発明によれば、アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方または両方に凹凸を設けているため、複数の金属板同士、あるいは金属板と金属線同士の位置がずれにくく、互いの位置決めが容易である。また、複数の金属板同士、あるいは金属板と金属線同士の金属接合する接合時間が短時間ですむ。接合効率が高く、接合時間が短くなると、定在波が発生しても金属板や金属線が切断するという致命的なダメージを逃れることができる。
【0014】
本発明によれば、工具ホーンの先端面を凹凸のない平面とした場合でも金属線や金属板を強固に金属接合することができる。工具ホーンの先端面が平面(フラット)になると凝着は起きにくくなる。そのため、工具ホーンの先端面に凹凸の目詰まり防止のために凹凸を形成する再加工をしなくてすむ。あるいは、工具ホーンの凹凸のある先端部を着脱可能な別部品にしなくてすむ。金属接合作業を繰り返し、工具ホーンの凹凸のない平面である先端面に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着した場合でも、工具ホーンの先端面に付着した絶縁皮膜や錫メッキ層を切削して削除するのが容易にできるという効果がある。
【0015】
また、本発明で工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとして、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて、アンビルの上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えることにより、工具ホーンに水平方向で一方向に振動する超音波振動を与えたときよりも、強固な金属接合を実現している。そして、低融点、低強度のPb、Sn、Zn等によって表面処理を行った金属板の接合について表面処理をしていない場合に近い接合強度を得ることを可能にしている。
【0016】
また、本発明において工具ホーンの先端面である押圧面を、断面が円弧状または放物線状をなした曲面にしたときには、工具ホーンの押圧面の中央部が金属線あるいは金属板にくい込むように押圧し、より強い接合強度を得ることを可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の一部を断面とした部分正面図。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた錫メッキ銅板の平面図。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた他の錫メッキ銅板の平面図。
【図4】(a)本発明の実施の形態1にかかる工具ホーンの突起上押圧部を下から見た斜面図(b)本発明の実施の形態1にかかる他の工具ホーンの突起上押圧部を下から見た斜面図。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で金属接合を開始するときの部分正面図。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図5の紙面左から見た部分側面図。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で金属接合を開始し、マグネットワイヤの絶縁皮膜を錫メッキ層の表面に押し付けて密着したときの部分正面図。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図7の紙面左から見た部分側面図。
【図9】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で錫メッキ層の凸部を溶融し、マグネットワイヤの線材を銅板の凸部に押し付けたときの部分正面図。
【図10】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図9の紙面左から見た部分側面図。
【図11】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で銅板の凸部を潰した面にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの部分正面図。
【図12】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図11の紙面左から見た部分側面図。
【図13】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で錫メッキ銅板にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの平面図に相当する写真。
【図14】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で錫メッキ銅板にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの側面図に相当する写真。
【図15】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた更に他の錫メッキ銅板の平面図。
【図16】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた更に他の錫メッキ銅板の平面図。
【図17】(a)本発明の実施の形態2にかかる表面に凹凸を設けたマクネットワイヤの平面図(b)本発明の実施の形態2にかかる表面に凹凸を設けた他のマクネットワイヤの平面図(c)本発明の実施の形態2にかかる表面に凹凸を設けた更に他のマクネットワイヤの平面図。
【図18】本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置で金属接合を開始するときの部分側面図。
【図19】本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置の図18の紙面左から見た部分側面図。
【図20】従来の超音波金属接合装置の部分正面図。
【図21】従来の超音波金属接合装置の図20の紙面左から見た部分側面図。
【図22】従来の超音波金属接合装置で銅板にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの部分正面図。
【図23】従来の超音波金属接合装置の図22の紙面左から見た部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
本発明は、アンビルの上に載置する接合対象(ワーク)である複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方に凹凸を設けておき、アンビルの上に載置した上記凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて金属接合するようにしている。なお、予め複数の金属板あるいは金属板と金属線同士がそれぞれ互いに接する面に凹凸を設ける方法としては、例えば金属板あるいは金属線を、凹部と凸部を設けたプレス金型で挟むことにより凹凸をつける。また、凹凸をつけるのは、金属板をプレスした後にメッキや皮膜をしてもよいし、メッキや皮膜した後にプレスするようにしてもよい。
【0019】
本発明は、特に、接合対象である複数の金属板あるいは金属線の表面にメッキが施されていたり、絶縁皮膜で覆われていたりしたときであっても、これら表面を覆っているメッキ層や絶縁皮膜を金属板あるいは金属線の表面から迅速に除去して、金属板や金属線を短時間で強固に金属接合している。また、超音波振動する工具ホーンの押圧面に溶融したメッキ層や絶縁皮膜が付着しにくくしている。
【0020】
以下、図面とともに本発明の実施の形態1を説明する。図1に本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の一部を断面とした部分正面図を示す。図1では、アンビル3の上に錫メッキ銅板9を置き、その上に絶縁皮膜で表面を覆ったマグネットワイヤ8を重ねて載置している。そしてマグネットワイヤ8を、工具ホーン200の下面の軸心(I軸)から所定量(偏心量e)だけ偏心した位置(II軸)に設けた突起状押圧部30で押圧している。この状態で、工具ホーン200を例えば周波数が15KHzから90KHzで、振幅が10μmから90μm程度の捩り振動をさせることにより、錫メッキ銅板9上にマグネットワイヤ8を金属接合する。
【0021】
図2に、本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた錫メッキ銅板9の平面図を示す。錫メッキ銅板9の表面には、ローレット状の凸部9cと凹部9bを設けている。一点鎖線Lで四角に囲った領域が、金属線を金属接合する接合領域である。
図3に、本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた他の錫メッキ銅板の平面図を示す。図3では、ローレット状の凸部9cの先端の平面の面積を図2よりも広くしている。この他、凸部9cの形状や平面上の分布状況については、よりよい金属接合を実現するために必要に応じて種々選択してもよい。
【0022】
図4(a)に、本発明の実施の形態1にかかる工具ホーン200の突起上押圧部30を下から見た斜面図を、図4(b)に、本発明の実施の形態1にかかる他の工具ホーン201の突起上押圧部31を下から見た斜面図を示す。図4(a)では、工具ホーン200の下面の軸心から偏心した位置に突起上押圧部30を設けている。なお、突起上押圧部30は図に示したとおり、押圧面30aが下に凸になる曲面にしている。この曲面は、断面が円弧状あるいは放物線状の一部となるようにしている。
【0023】
図4(b)では、工具ホーン201の下面の軸心から偏心した位置に突起上押圧部31を設けている。突起上押圧部31は図に示したとおり、押圧面31aを平面(フラット)にして、押圧面31aの角部(コーナー)を小さい曲面で面取りしている。押圧面31aの角部(コーナー)を小さい曲面で面取りをしておくと、押圧している金属線あるいは金属板を角部(コーナー)のエッジで傷つけたり切断したりしないですむ。本発明では、図4(a)図4(b)のどちらの工具ホーンを用いても金属線と金属板、あるいは複数の金属板の強固な金属接合をすることができる。以下の説明では、図4(a)の押圧面の断面が円弧状あるいは放物線状の一部となる曲面とした工具ホーン200を用いた場合を図示することにした。
【0024】
以下、図5と図6を用いて、本発明の超音波金属接合装置で金属接合を開始するときの状態を説明し、図7と図8で、本発明の超音波金属接合装置で工具ホーン200の超音波捩り振動を開始し、マグネットワイヤの絶縁皮膜を錫メッキ層の表面に押し付けて密着したときの状態を説明し、図9と図10で、本発明の超音波金属接合装置でマグネットワイヤ8下の絶縁皮膜を除去した後、錫メッキ層の凸部を溶融し、マグネットワイヤの線材を銅板の凸部に押し付けたときの状態を説明し、図11と図12で、本発明の超音波金属接合装置で銅板の凸部を潰した面にマグネットワイヤの線材を押し付けて、銅板とマグネットワイヤの線材を金属接合したときの状態を説明する。
【0025】
そして、図13に本発明の超音波金属接合装置で、実際に錫メッキ銅板にポリイミドの絶縁皮膜付きマグネットワイヤを金属接合したときの平面図に相当する写真を示し、図14に、そのときの側面図に相当する写真を示している。
以下、詳細に説明する。図5、6では、錫メッキ銅板9上にマグネットワイヤ8を軽く載置しただけで、工具ホーン200の突起状押圧部30はこれらを強く押し付けていないため、錫メッキ銅板9とマグネットワイヤ8の間に空隙11がある。しかし図7、8のように、工具ホーン200の突起状押圧部30に超音波の捩り振動を加え、アンビル3上の錫メッキ銅板9とマグネットワイヤ8を押下すると空隙11は無くなり、下方の絶縁皮膜8bと錫メッキ層9bが密着する。そして、工具ホーン200の突起状押圧部30は線材8aの上面の絶縁皮膜を超音波振動エネルギにより溶融・除去して、突起状押圧部30で線材8aの上面を直接押さえる。線材8aの下面は絶縁皮膜が付いたまま錫メッキ銅板9の錫メッキ層9bの凸部9cで支えられる。
【0026】
更に図9、10のように、工具ホーン200の突起状押圧部30を押下すると線材8aを介して超音波振動エネルギが伝達され、線材8aの下面を覆っていた絶縁皮膜8bが溶融し、金属接合する領域(接合領域)から外に出る。そして、錫メッキ層9bの凸部9cが溶融して、線材8aの下面は凸部の無い錫メッキ層および銅板9aの凸部9c’で支えられる。
【0027】
更に図11、12のように、工具ホーン200の突起状押圧部30を押下すると、線材8aの下面を支えていた錫メッキ層9bおよび銅板9aの凸部9c’は溶融あるいは一部が金属接合して、線材8aの下面が凸部の無い銅板9aのみで支えられる形になる。そして、線材8aの下面と銅板9aの間に超音波の捩れ振動が加わることにより、金属間が固相結合、つまり金属接合する。
【0028】
従来、マグネットワイヤの線材と銅板の間には、絶縁皮膜と錫メッキ層が二重に重なっていて、これらが除去されるまでは、線材と銅板そのものの金属接合が始まらず、金属接合完了までに時間がかかっていた。
それが、本発明では、マグネットワイヤ8と錫メッキ銅板9aの間に凹凸を設けたことにより、凹凸の凸部の振動で絶縁皮膜と錫メッキ層を溶融しやすくしており、更に溶融した絶縁皮膜と錫メッキ層が凹凸の凹部を通して接合領域外に出やすくしている。そして、迅速に工具ホーン200の突起状押圧部30と線材8aの上面、そして線材8aの下面と銅板9aを直接接触させて、工具ホーン200の突起状押圧部30の超音波振動で線材8aの下面と銅板9aが金属接合するようにしている。このことにより、金属接合のトータル時間を短縮している。実際に、同じ接合強度を得るまでの金属接合の所要時間を測定したところ、マグネットワイヤ8と錫メッキ銅板9の間に凹凸を設けた場合は、凹凸を設けていない場合の約半分であった。接合時間をかければより強固な接合力が得られることも確認した。
【0029】
なお、図1、図5から図12では、銅板9aおよび錫メッキ層9bの凸部9cの先端が尖っている形を示したが、図2、図3のように凸部9cの先端が小さい平面になっている角錐台状にしてもよい。必要により、凸部9cの先端の小さい平面の広さを大きくしたり小さくしたりして最適な接合条件を作り出すことができる。
図13に、凸部9cの形を図3のような形として実際に金属接合したときの平面図に相当する写真を、図14にその側面図に相当する写真を示した。図13の写真と図14の写真では、線材8aを覆っていた絶縁皮膜8bが溶融し長方形に押しつぶされた線材8aの周囲に押し出されて固まっている状態がはっきりと確認できる。
【0030】
上記説明では、銅板9aの表面の全面に多数の凸部9cを均一に分散して設けた場合を説明したが、金属板間あるいは金属板と金属線の対向する面が凹凸になっていれば良く、連なった細長い凸部を格子状に設けてもよいし、溝のような凹部が格子状に連なった形に設けてもよい。また、金属線の軸方向に直角に並んだ凸部としてもよいし、金属線の軸方向に所定角度斜いた凸部が並んでいるようにしてもよい。あるいは、金属線の軸方向に並行な凸部としてもよい。また、溶融した絶縁皮膜や錫メッキ層が流出しやすいように溝を放射状に配置した形にしてもよい。
【0031】
また、金属接合する領域(接合領域L)から外に設けた凹凸は、接合には直接寄与しないため、図15、図16で示したように、接合領域Lだけに凹凸、特に凸部9cを設けて、接合領域Lから外の部分は凹凸を設けない形にしてもよい。
本発明では、工具ホーン200の先端面を凹凸のない平面とした場合でも金属線や金属板を強固に金属接合することができる。そのため、工具ホーンの先端面に凹凸の目詰まり防止のために凹凸を再加工しなくてすむ。あるいは、工具ホーンの凹凸のある先端部を着脱可能な別部品にしなくてすむ。金属接合作業を繰り返し、工具ホーンの凹凸のない平面である先端面に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着した場合でも、工具ホーンの先端面に付着した絶縁皮膜や錫メッキ層を容易に除去できるという効果がある。
【0032】
なお、工具ホーンの先端面は、凹凸のない平面のほか、下に凸で振動方向に対して円弧あるいは放物線を描く曲面としてもよい。下に凸で振動方向に対して円弧あるいは放物線を描く曲面とした場合、ワークである金属線や金属板に押圧力がいきわたり超音波振動が効率的に伝わって金属接合の状態が良好になる場合があるからである。また、上記ではワークである金属線や金属板に与える超音波振動の方向を金属線の軸方向と同じにした例を説明したが、ワークである金属線や金属板に与える超音波振動の方向を金属線の軸方向に対して直交する方向にしてもよい。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、本発明のポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線であるマグネットワイヤの表面に凹凸を設けた場合を説明する。図17(a)に、表面に凹凸を設けたマグネットワイヤ81の平面図を示す。マグネットワイヤ81の表面に凹凸を設ける方法としては、マグネットワイヤ81の所定長さの先端部分を一方に多数の凹部を設けたプレス型に挟むことにより凸部81cを形成する。
【0034】
図17(a)で示したマグネットワイヤ81の表面の凹凸模様は、既に説明した図2と同じにしている。実施の形態2では、マグネットワイヤ81の表面に凹凸を設け、錫メッキ銅板91の表面は平面にしている。
実施の形態2と実施の形態1との主たる違いは、凹凸を設ける側をマグネットワイヤ81の表面にしたことであり、マグネットワイヤ81と錫メッキ銅板91の間が凹凸面で対向していることは同じである。そのため、図18、19のように、超音波捩り振動している工具ホーン200の突起状押圧部30で押圧すると、超音波振動エネルギによりマグネットワイヤ81の凸部81cの絶縁皮膜が溶融しマグネットワイヤ81の凹部81dを通して接合対象領域(接合領域)の外に出る。そして、線材81aの凸部が錫メッキ銅板91の錫メッキ層91bと当接し、錫メッキ層91bが溶融して、線材81aの凸部と銅板91aが金属接合する。そして、最終的には、線材81aの下側の凸部がなくなった下面と銅板91aが金属接合する。
【0035】
従来のように、マグネットワイヤ81と錫メッキ銅板91の間に凹凸がないと、絶縁皮膜と錫メッキ層が全体的に溶融して接合対象領域の外に出た後に、線材81aと銅板91aの表面が接して金属接合が始まるのであるが、本発明では、マグネットワイヤ81と錫メッキ銅板91の間に凹凸面を設けたことにより、絶縁皮膜と錫メッキ層が迅速に溶融して接合対象領域の外に出て、金属接合も迅速に開始する。その結果、接合時間が短時間でできる。接合時間が短いので定在波により折損するというトラブルも防ぐことができる。強固に金属接合することができる。工具ホーンの先端が凹凸のないフラットでよいため溶融した金属や絶縁皮膜が凝着しにくい。そのため、工具ホーンの先端を頻繁に清掃しなくてすむ。工具ホーンの先端を着脱して交換可能な構造にしなくてすむという効果がある。これら本発明の作用と効果は、実施の形態1と同じである。
【0036】
図17(b)に、本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置で接合する表面に凹凸を設けた他のマクネットワイヤの平面図を示す。マグネットワイヤ82の凸部82cの形状は、既に図3で説明した凸部9cと同じである。図17(c)に、本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置で接合する表面に凹凸を設けた更に他のマクネットワイヤの平面図を示す。図17(c)のマグネットワイヤ83では、凸部83cを山状に形成し、凹部83dを連なった溝に形成している。なお、図17(c)の例では、凸部83cの先端面に小さい溝83eを形成した例を示している。このように本発明は、マグネットワイヤと錫メッキ銅板の間に凹凸面を設けることにより、強固な金属接合を短時間に行い、工具ホーンに溶融した金属や絶縁皮膜が凝着しないという効果のある超音波金属接合方法を実現している。
【0037】
上記では、ポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線であるマグネットワイヤの表面に凹凸を設けた場合を説明したが、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせて実施しても良い。つまり、マグネットワイヤの表面と錫メッキ銅板の両方に凹凸を設けても同様の効果が得られる。
また本発明は、40KHz以下の周波数のひねり振動を利用した太線ワイヤボンディング工法で、500μmを超える線径を接合でき、ホーン(ウェッジ)をフラットにできるという効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、複数の金属板、あるいは金属板と金属線を接合する超音波金属接合方法および超音波金属接合装置に適用できる。特に、耐熱絶縁体で被覆した金属線や錫メッキした金属板を金属接合する超音波金属接合方法および超音波金属接合装置に適用できる。
また本発明は、40KHz以下の周波数のひねり振動を利用した太線ワイヤボンディング工法にも適用できる。更に、耐熱絶縁体で被覆した金属線をプラスチック材に布線する布線装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
3 アンビル
8 マグネットワイヤ
8a 線材
8b 絶縁皮膜
9 錫メッキ銅板
9a 銅板
9b 錫メッキ層
9c、9c’ 凸部
30 突起状押圧部
200 工具ホーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波金属接合方法および超音波金属接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アンビルの上に複数の金属板、あるいは金属板に金属線を重ねた状態で載置し、上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて金属接合する超音波金属接合方法(超音波接合方法)および超音波金属接合装置(超音波接合装置)が実用化されている。そして、錫メッキしたターミナル(接続端子)に表面を皮膜絶縁したアルミ線や銅線などのマグネットワイヤを超音波接合することも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20に、従来の超音波金属接合装置の一部を断面とした正面図を示す。図20では、アンビル3の上に錫メッキをした銅板9を載置し、その上にマグネットワイヤ8であるポリイミドなど絶縁皮膜付き銅線を載置している。そして上方から工具ホーン50を押し当て、マグネットワイヤ8の軸線に沿った水平方向、つまり図20の紙面手前から奥の方向に超音波振動する。このことにより、マグネットワイヤ8と錫メッキをした銅板9を金属接合する。図21に、図20で示した従来の超音波金属接合装置の紙面左から見た状態を図示した。工具ホーン50の先端面(押圧面)には機械加工によりローレット状の凹凸50aを設けて、工具ホーン50の先端面と金属線や金属板等の表面を滑りにくくし、超音波振動を伝わりやすくしている。この構成で、工具ホーン50に、例えば周波数が15KHzから90KHzで、振幅が10μmから90μm程度の超音波振動を加えると、工具ホーン50とアンビル3に挟まれたマグネットワイヤ8と錫メッキをした銅板9に超音波振動が伝わり、マグネットワイヤ8の絶縁皮膜8bとそれに接する錫メッキ層9bが溶融して除去され、線材8aである銅線と銅板9aを金属接合(固相接合)することができる。図22に従来の超音波金属接合装置で金属接合したときの部分正面図を示す。また、図23に従来の超音波金属接合装置の、図22の紙面左から見た部分側面図を示す。これらの図に示すように、線材8aが銅板9aに金属接合する。
【0004】
しかし、接合作業を始めた当初は問題ないのであるが、接合作業を繰り返すと工具ホーンの先端面の凹凸50aに金属材料が付着して目詰まりが生じる。目詰まりが生じると工具ホーンの先端面と金属板等の表面が滑り易くなり、超音波振動が伝わり難くなる。そして、接合するのに時間が掛かるという問題を生じる。従来は、目詰まりした工具ホーンの先端面の凹凸50aを定期的にブラシ等で清掃していた。なお、目詰まり対策として工具ホーンの先端部を着脱可能な構造として定期的に交換することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、超音波金属接合では、低融点、低強度のPb、Sn、Zn等によって表面処理を行った金属板の接合については、表面処理をしていない場合と比較して50〜80%程度接合強度が低下するといわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−34879号公報
【特許文献2】特開2010−274296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような工具ホーンの先端部の目詰まり防止策はある程度有効であるが、例えばポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線や錫メッキした金属板に超音波振動を与えて金属接合する場合は、工具ホーンの先端面の凹凸に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着して目詰まりが発生する頻度が多くなる。目詰まりすると、工具ホーンと金属線あるいは金属板が滑る。工具ホーンと金属線あるいは金属板との位置決めが難しくなる。接合時間が長くなる。十分な強度が得られないなどの問題がより深刻になる。そこで、頻繁に工具ホーンの先端面の目詰まりを除去したり、工具ホーンの凹凸を再加工したり、凹凸のある先端部を着脱しなくてすむ方法が求められている。
【0008】
また、超音波金属接合であっても、低融点、低強度の錫(スズ)等によって表面処理を行った金属板の接合について表面処理をしていない場合に近い接合強度が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置では、アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方または両方にエンボス加工やローレット加工で凹凸を設けておき、凹凸のある表面で互いに接する複数の金属板あるいは金属板と金属線をアンビル上に載置した状態で、上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて接合している。
【0010】
また、本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置では、上記工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとしている。より具体的には、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて捩り振動させ、アンビル上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えている。
【0011】
また、本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置では、上記工具ホーンの先端面である押圧面をフラットな平面か、断面が円弧状または放物線状をした曲面にしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の超音波金属接合方法および超音波金属接合装置によれば、複数の金属板同士あるいは金属板と金属線同士がそれぞれ互いに接する面に凹凸を設けて互いに滑りにくくしている。そして、金属板と金属線同士を超音波振動させ、金属線や金属板を覆っていた絶縁皮膜や錫メッキ層を溶融させ、溶融した絶縁皮膜や錫メッキ層を凹凸の凹部を通じて金属接合する領域外に出やすくしている。その一方で、凹凸の凸部で金属線と金属板同士をこすり合わせ金属接合(固相結合)を開始し、凸部が溶融した後は、凹部を含めた広い面で金属接合を行わせている。
【0013】
本発明によれば、アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方または両方に凹凸を設けているため、複数の金属板同士、あるいは金属板と金属線同士の位置がずれにくく、互いの位置決めが容易である。また、複数の金属板同士、あるいは金属板と金属線同士の金属接合する接合時間が短時間ですむ。接合効率が高く、接合時間が短くなると、定在波が発生しても金属板や金属線が切断するという致命的なダメージを逃れることができる。
【0014】
本発明によれば、工具ホーンの先端面を凹凸のない平面とした場合でも金属線や金属板を強固に金属接合することができる。工具ホーンの先端面が平面(フラット)になると凝着は起きにくくなる。そのため、工具ホーンの先端面に凹凸の目詰まり防止のために凹凸を形成する再加工をしなくてすむ。あるいは、工具ホーンの凹凸のある先端部を着脱可能な別部品にしなくてすむ。金属接合作業を繰り返し、工具ホーンの凹凸のない平面である先端面に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着した場合でも、工具ホーンの先端面に付着した絶縁皮膜や錫メッキ層を切削して削除するのが容易にできるという効果がある。
【0015】
また、本発明で工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとして、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて、アンビルの上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えることにより、工具ホーンに水平方向で一方向に振動する超音波振動を与えたときよりも、強固な金属接合を実現している。そして、低融点、低強度のPb、Sn、Zn等によって表面処理を行った金属板の接合について表面処理をしていない場合に近い接合強度を得ることを可能にしている。
【0016】
また、本発明において工具ホーンの先端面である押圧面を、断面が円弧状または放物線状をなした曲面にしたときには、工具ホーンの押圧面の中央部が金属線あるいは金属板にくい込むように押圧し、より強い接合強度を得ることを可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の一部を断面とした部分正面図。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた錫メッキ銅板の平面図。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた他の錫メッキ銅板の平面図。
【図4】(a)本発明の実施の形態1にかかる工具ホーンの突起上押圧部を下から見た斜面図(b)本発明の実施の形態1にかかる他の工具ホーンの突起上押圧部を下から見た斜面図。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で金属接合を開始するときの部分正面図。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図5の紙面左から見た部分側面図。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で金属接合を開始し、マグネットワイヤの絶縁皮膜を錫メッキ層の表面に押し付けて密着したときの部分正面図。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図7の紙面左から見た部分側面図。
【図9】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で錫メッキ層の凸部を溶融し、マグネットワイヤの線材を銅板の凸部に押し付けたときの部分正面図。
【図10】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図9の紙面左から見た部分側面図。
【図11】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で銅板の凸部を潰した面にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの部分正面図。
【図12】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の図11の紙面左から見た部分側面図。
【図13】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で錫メッキ銅板にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの平面図に相当する写真。
【図14】本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置で錫メッキ銅板にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの側面図に相当する写真。
【図15】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた更に他の錫メッキ銅板の平面図。
【図16】本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた更に他の錫メッキ銅板の平面図。
【図17】(a)本発明の実施の形態2にかかる表面に凹凸を設けたマクネットワイヤの平面図(b)本発明の実施の形態2にかかる表面に凹凸を設けた他のマクネットワイヤの平面図(c)本発明の実施の形態2にかかる表面に凹凸を設けた更に他のマクネットワイヤの平面図。
【図18】本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置で金属接合を開始するときの部分側面図。
【図19】本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置の図18の紙面左から見た部分側面図。
【図20】従来の超音波金属接合装置の部分正面図。
【図21】従来の超音波金属接合装置の図20の紙面左から見た部分側面図。
【図22】従来の超音波金属接合装置で銅板にマグネットワイヤの線材を押し付けて金属接合したときの部分正面図。
【図23】従来の超音波金属接合装置の図22の紙面左から見た部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
本発明は、アンビルの上に載置する接合対象(ワーク)である複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方に凹凸を設けておき、アンビルの上に載置した上記凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて金属接合するようにしている。なお、予め複数の金属板あるいは金属板と金属線同士がそれぞれ互いに接する面に凹凸を設ける方法としては、例えば金属板あるいは金属線を、凹部と凸部を設けたプレス金型で挟むことにより凹凸をつける。また、凹凸をつけるのは、金属板をプレスした後にメッキや皮膜をしてもよいし、メッキや皮膜した後にプレスするようにしてもよい。
【0019】
本発明は、特に、接合対象である複数の金属板あるいは金属線の表面にメッキが施されていたり、絶縁皮膜で覆われていたりしたときであっても、これら表面を覆っているメッキ層や絶縁皮膜を金属板あるいは金属線の表面から迅速に除去して、金属板や金属線を短時間で強固に金属接合している。また、超音波振動する工具ホーンの押圧面に溶融したメッキ層や絶縁皮膜が付着しにくくしている。
【0020】
以下、図面とともに本発明の実施の形態1を説明する。図1に本発明の実施の形態1にかかる超音波金属接合装置の一部を断面とした部分正面図を示す。図1では、アンビル3の上に錫メッキ銅板9を置き、その上に絶縁皮膜で表面を覆ったマグネットワイヤ8を重ねて載置している。そしてマグネットワイヤ8を、工具ホーン200の下面の軸心(I軸)から所定量(偏心量e)だけ偏心した位置(II軸)に設けた突起状押圧部30で押圧している。この状態で、工具ホーン200を例えば周波数が15KHzから90KHzで、振幅が10μmから90μm程度の捩り振動をさせることにより、錫メッキ銅板9上にマグネットワイヤ8を金属接合する。
【0021】
図2に、本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた錫メッキ銅板9の平面図を示す。錫メッキ銅板9の表面には、ローレット状の凸部9cと凹部9bを設けている。一点鎖線Lで四角に囲った領域が、金属線を金属接合する接合領域である。
図3に、本発明の実施の形態1にかかる表面に凹凸を設けた他の錫メッキ銅板の平面図を示す。図3では、ローレット状の凸部9cの先端の平面の面積を図2よりも広くしている。この他、凸部9cの形状や平面上の分布状況については、よりよい金属接合を実現するために必要に応じて種々選択してもよい。
【0022】
図4(a)に、本発明の実施の形態1にかかる工具ホーン200の突起上押圧部30を下から見た斜面図を、図4(b)に、本発明の実施の形態1にかかる他の工具ホーン201の突起上押圧部31を下から見た斜面図を示す。図4(a)では、工具ホーン200の下面の軸心から偏心した位置に突起上押圧部30を設けている。なお、突起上押圧部30は図に示したとおり、押圧面30aが下に凸になる曲面にしている。この曲面は、断面が円弧状あるいは放物線状の一部となるようにしている。
【0023】
図4(b)では、工具ホーン201の下面の軸心から偏心した位置に突起上押圧部31を設けている。突起上押圧部31は図に示したとおり、押圧面31aを平面(フラット)にして、押圧面31aの角部(コーナー)を小さい曲面で面取りしている。押圧面31aの角部(コーナー)を小さい曲面で面取りをしておくと、押圧している金属線あるいは金属板を角部(コーナー)のエッジで傷つけたり切断したりしないですむ。本発明では、図4(a)図4(b)のどちらの工具ホーンを用いても金属線と金属板、あるいは複数の金属板の強固な金属接合をすることができる。以下の説明では、図4(a)の押圧面の断面が円弧状あるいは放物線状の一部となる曲面とした工具ホーン200を用いた場合を図示することにした。
【0024】
以下、図5と図6を用いて、本発明の超音波金属接合装置で金属接合を開始するときの状態を説明し、図7と図8で、本発明の超音波金属接合装置で工具ホーン200の超音波捩り振動を開始し、マグネットワイヤの絶縁皮膜を錫メッキ層の表面に押し付けて密着したときの状態を説明し、図9と図10で、本発明の超音波金属接合装置でマグネットワイヤ8下の絶縁皮膜を除去した後、錫メッキ層の凸部を溶融し、マグネットワイヤの線材を銅板の凸部に押し付けたときの状態を説明し、図11と図12で、本発明の超音波金属接合装置で銅板の凸部を潰した面にマグネットワイヤの線材を押し付けて、銅板とマグネットワイヤの線材を金属接合したときの状態を説明する。
【0025】
そして、図13に本発明の超音波金属接合装置で、実際に錫メッキ銅板にポリイミドの絶縁皮膜付きマグネットワイヤを金属接合したときの平面図に相当する写真を示し、図14に、そのときの側面図に相当する写真を示している。
以下、詳細に説明する。図5、6では、錫メッキ銅板9上にマグネットワイヤ8を軽く載置しただけで、工具ホーン200の突起状押圧部30はこれらを強く押し付けていないため、錫メッキ銅板9とマグネットワイヤ8の間に空隙11がある。しかし図7、8のように、工具ホーン200の突起状押圧部30に超音波の捩り振動を加え、アンビル3上の錫メッキ銅板9とマグネットワイヤ8を押下すると空隙11は無くなり、下方の絶縁皮膜8bと錫メッキ層9bが密着する。そして、工具ホーン200の突起状押圧部30は線材8aの上面の絶縁皮膜を超音波振動エネルギにより溶融・除去して、突起状押圧部30で線材8aの上面を直接押さえる。線材8aの下面は絶縁皮膜が付いたまま錫メッキ銅板9の錫メッキ層9bの凸部9cで支えられる。
【0026】
更に図9、10のように、工具ホーン200の突起状押圧部30を押下すると線材8aを介して超音波振動エネルギが伝達され、線材8aの下面を覆っていた絶縁皮膜8bが溶融し、金属接合する領域(接合領域)から外に出る。そして、錫メッキ層9bの凸部9cが溶融して、線材8aの下面は凸部の無い錫メッキ層および銅板9aの凸部9c’で支えられる。
【0027】
更に図11、12のように、工具ホーン200の突起状押圧部30を押下すると、線材8aの下面を支えていた錫メッキ層9bおよび銅板9aの凸部9c’は溶融あるいは一部が金属接合して、線材8aの下面が凸部の無い銅板9aのみで支えられる形になる。そして、線材8aの下面と銅板9aの間に超音波の捩れ振動が加わることにより、金属間が固相結合、つまり金属接合する。
【0028】
従来、マグネットワイヤの線材と銅板の間には、絶縁皮膜と錫メッキ層が二重に重なっていて、これらが除去されるまでは、線材と銅板そのものの金属接合が始まらず、金属接合完了までに時間がかかっていた。
それが、本発明では、マグネットワイヤ8と錫メッキ銅板9aの間に凹凸を設けたことにより、凹凸の凸部の振動で絶縁皮膜と錫メッキ層を溶融しやすくしており、更に溶融した絶縁皮膜と錫メッキ層が凹凸の凹部を通して接合領域外に出やすくしている。そして、迅速に工具ホーン200の突起状押圧部30と線材8aの上面、そして線材8aの下面と銅板9aを直接接触させて、工具ホーン200の突起状押圧部30の超音波振動で線材8aの下面と銅板9aが金属接合するようにしている。このことにより、金属接合のトータル時間を短縮している。実際に、同じ接合強度を得るまでの金属接合の所要時間を測定したところ、マグネットワイヤ8と錫メッキ銅板9の間に凹凸を設けた場合は、凹凸を設けていない場合の約半分であった。接合時間をかければより強固な接合力が得られることも確認した。
【0029】
なお、図1、図5から図12では、銅板9aおよび錫メッキ層9bの凸部9cの先端が尖っている形を示したが、図2、図3のように凸部9cの先端が小さい平面になっている角錐台状にしてもよい。必要により、凸部9cの先端の小さい平面の広さを大きくしたり小さくしたりして最適な接合条件を作り出すことができる。
図13に、凸部9cの形を図3のような形として実際に金属接合したときの平面図に相当する写真を、図14にその側面図に相当する写真を示した。図13の写真と図14の写真では、線材8aを覆っていた絶縁皮膜8bが溶融し長方形に押しつぶされた線材8aの周囲に押し出されて固まっている状態がはっきりと確認できる。
【0030】
上記説明では、銅板9aの表面の全面に多数の凸部9cを均一に分散して設けた場合を説明したが、金属板間あるいは金属板と金属線の対向する面が凹凸になっていれば良く、連なった細長い凸部を格子状に設けてもよいし、溝のような凹部が格子状に連なった形に設けてもよい。また、金属線の軸方向に直角に並んだ凸部としてもよいし、金属線の軸方向に所定角度斜いた凸部が並んでいるようにしてもよい。あるいは、金属線の軸方向に並行な凸部としてもよい。また、溶融した絶縁皮膜や錫メッキ層が流出しやすいように溝を放射状に配置した形にしてもよい。
【0031】
また、金属接合する領域(接合領域L)から外に設けた凹凸は、接合には直接寄与しないため、図15、図16で示したように、接合領域Lだけに凹凸、特に凸部9cを設けて、接合領域Lから外の部分は凹凸を設けない形にしてもよい。
本発明では、工具ホーン200の先端面を凹凸のない平面とした場合でも金属線や金属板を強固に金属接合することができる。そのため、工具ホーンの先端面に凹凸の目詰まり防止のために凹凸を再加工しなくてすむ。あるいは、工具ホーンの凹凸のある先端部を着脱可能な別部品にしなくてすむ。金属接合作業を繰り返し、工具ホーンの凹凸のない平面である先端面に絶縁皮膜や錫メッキ層が付着した場合でも、工具ホーンの先端面に付着した絶縁皮膜や錫メッキ層を容易に除去できるという効果がある。
【0032】
なお、工具ホーンの先端面は、凹凸のない平面のほか、下に凸で振動方向に対して円弧あるいは放物線を描く曲面としてもよい。下に凸で振動方向に対して円弧あるいは放物線を描く曲面とした場合、ワークである金属線や金属板に押圧力がいきわたり超音波振動が効率的に伝わって金属接合の状態が良好になる場合があるからである。また、上記ではワークである金属線や金属板に与える超音波振動の方向を金属線の軸方向と同じにした例を説明したが、ワークである金属線や金属板に与える超音波振動の方向を金属線の軸方向に対して直交する方向にしてもよい。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、本発明のポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線であるマグネットワイヤの表面に凹凸を設けた場合を説明する。図17(a)に、表面に凹凸を設けたマグネットワイヤ81の平面図を示す。マグネットワイヤ81の表面に凹凸を設ける方法としては、マグネットワイヤ81の所定長さの先端部分を一方に多数の凹部を設けたプレス型に挟むことにより凸部81cを形成する。
【0034】
図17(a)で示したマグネットワイヤ81の表面の凹凸模様は、既に説明した図2と同じにしている。実施の形態2では、マグネットワイヤ81の表面に凹凸を設け、錫メッキ銅板91の表面は平面にしている。
実施の形態2と実施の形態1との主たる違いは、凹凸を設ける側をマグネットワイヤ81の表面にしたことであり、マグネットワイヤ81と錫メッキ銅板91の間が凹凸面で対向していることは同じである。そのため、図18、19のように、超音波捩り振動している工具ホーン200の突起状押圧部30で押圧すると、超音波振動エネルギによりマグネットワイヤ81の凸部81cの絶縁皮膜が溶融しマグネットワイヤ81の凹部81dを通して接合対象領域(接合領域)の外に出る。そして、線材81aの凸部が錫メッキ銅板91の錫メッキ層91bと当接し、錫メッキ層91bが溶融して、線材81aの凸部と銅板91aが金属接合する。そして、最終的には、線材81aの下側の凸部がなくなった下面と銅板91aが金属接合する。
【0035】
従来のように、マグネットワイヤ81と錫メッキ銅板91の間に凹凸がないと、絶縁皮膜と錫メッキ層が全体的に溶融して接合対象領域の外に出た後に、線材81aと銅板91aの表面が接して金属接合が始まるのであるが、本発明では、マグネットワイヤ81と錫メッキ銅板91の間に凹凸面を設けたことにより、絶縁皮膜と錫メッキ層が迅速に溶融して接合対象領域の外に出て、金属接合も迅速に開始する。その結果、接合時間が短時間でできる。接合時間が短いので定在波により折損するというトラブルも防ぐことができる。強固に金属接合することができる。工具ホーンの先端が凹凸のないフラットでよいため溶融した金属や絶縁皮膜が凝着しにくい。そのため、工具ホーンの先端を頻繁に清掃しなくてすむ。工具ホーンの先端を着脱して交換可能な構造にしなくてすむという効果がある。これら本発明の作用と効果は、実施の形態1と同じである。
【0036】
図17(b)に、本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置で接合する表面に凹凸を設けた他のマクネットワイヤの平面図を示す。マグネットワイヤ82の凸部82cの形状は、既に図3で説明した凸部9cと同じである。図17(c)に、本発明の実施の形態2にかかる超音波金属接合装置で接合する表面に凹凸を設けた更に他のマクネットワイヤの平面図を示す。図17(c)のマグネットワイヤ83では、凸部83cを山状に形成し、凹部83dを連なった溝に形成している。なお、図17(c)の例では、凸部83cの先端面に小さい溝83eを形成した例を示している。このように本発明は、マグネットワイヤと錫メッキ銅板の間に凹凸面を設けることにより、強固な金属接合を短時間に行い、工具ホーンに溶融した金属や絶縁皮膜が凝着しないという効果のある超音波金属接合方法を実現している。
【0037】
上記では、ポリイミドなどの絶縁皮膜付き金属線であるマグネットワイヤの表面に凹凸を設けた場合を説明したが、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせて実施しても良い。つまり、マグネットワイヤの表面と錫メッキ銅板の両方に凹凸を設けても同様の効果が得られる。
また本発明は、40KHz以下の周波数のひねり振動を利用した太線ワイヤボンディング工法で、500μmを超える線径を接合でき、ホーン(ウェッジ)をフラットにできるという効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、複数の金属板、あるいは金属板と金属線を接合する超音波金属接合方法および超音波金属接合装置に適用できる。特に、耐熱絶縁体で被覆した金属線や錫メッキした金属板を金属接合する超音波金属接合方法および超音波金属接合装置に適用できる。
また本発明は、40KHz以下の周波数のひねり振動を利用した太線ワイヤボンディング工法にも適用できる。更に、耐熱絶縁体で被覆した金属線をプラスチック材に布線する布線装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
3 アンビル
8 マグネットワイヤ
8a 線材
8b 絶縁皮膜
9 錫メッキ銅板
9a 銅板
9b 錫メッキ層
9c、9c’ 凸部
30 突起状押圧部
200 工具ホーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方に凹凸を設けておき、
前記アンビルの上に載置した前記凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて接合するようにしたことを特徴とする超音波金属接合方法。
【請求項2】
前記工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとして、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて、アンビルの上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波金属接合方法。
【請求項3】
前記工具ホーンの押圧面を、平面または断面が円弧状または放物線状をした曲面として、前記複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波金属接合方法。
【請求項4】
アンビルと、
前記アンビルの上に載置され、少なくともいずれか一方に凹凸が設けられた複数の金属板あるいは金属板および金属線と、
前記アンビルの上に載置された凹凸のある表面で互いに接している前記複数の金属板あるいは前記金属板および金属線の上方から、超音波振動しつつ前記複数の金属板あるいは前記金属板および金属線を押圧して接合する工具ホーンと、
を備えることを特徴とする超音波金属接合装置。
【請求項5】
前記工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとして、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて、前記アンビルの上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板および金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の超音波金属接合装置。
【請求項6】
前記工具ホーンの押圧面を、平面または断面が円弧状または放物線状をした曲面として、前記複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の超音波金属接合装置。
【請求項7】
前記金属線を、表面を絶縁被覆したマグネットワイヤとしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載した超音波金属接合方法。
【請求項8】
前記金属線を、表面を絶縁被覆したマグネットワイヤとしたことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載した超音波金属接合装置。
【請求項9】
前記金属板を、表面を予めメッキ処理した金属板としたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項7のいずれかに記載した超音波金属接合方法。
【請求項10】
前記金属板を、表面を予めメッキ処理した金属板としたことを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6、請求項8のいずれかに記載した超音波金属接合装置。
【請求項1】
アンビルの上に載置する複数の金属板、あるいは金属板と金属線がそれぞれ接する表面の少なくとも一方に凹凸を設けておき、
前記アンビルの上に載置した前記凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動している工具ホーンを押し付けて接合するようにしたことを特徴とする超音波金属接合方法。
【請求項2】
前記工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとして、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて、アンビルの上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波金属接合方法。
【請求項3】
前記工具ホーンの押圧面を、平面または断面が円弧状または放物線状をした曲面として、前記複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波金属接合方法。
【請求項4】
アンビルと、
前記アンビルの上に載置され、少なくともいずれか一方に凹凸が設けられた複数の金属板あるいは金属板および金属線と、
前記アンビルの上に載置された凹凸のある表面で互いに接している前記複数の金属板あるいは前記金属板および金属線の上方から、超音波振動しつつ前記複数の金属板あるいは前記金属板および金属線を押圧して接合する工具ホーンと、
を備えることを特徴とする超音波金属接合装置。
【請求項5】
前記工具ホーンを捩れ振動する工具ホーンとして、工具ホーンの押圧部を工具ホーンの軸心から偏心した位置に設けて、前記アンビルの上に載置した凹凸のある表面で互いに接している複数の金属板あるいは金属板および金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の超音波金属接合装置。
【請求項6】
前記工具ホーンの押圧面を、平面または断面が円弧状または放物線状をした曲面として、前記複数の金属板あるいは金属板と金属線の上方から超音波振動を与えるようにしたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の超音波金属接合装置。
【請求項7】
前記金属線を、表面を絶縁被覆したマグネットワイヤとしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載した超音波金属接合方法。
【請求項8】
前記金属線を、表面を絶縁被覆したマグネットワイヤとしたことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載した超音波金属接合装置。
【請求項9】
前記金属板を、表面を予めメッキ処理した金属板としたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項7のいずれかに記載した超音波金属接合方法。
【請求項10】
前記金属板を、表面を予めメッキ処理した金属板としたことを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6、請求項8のいずれかに記載した超音波金属接合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−792(P2013−792A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137761(P2011−137761)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000195649)精電舎電子工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000195649)精電舎電子工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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