足関節内側支持部材及び足関節内側サポーター
【課題】足関節内反捻挫を確実に防止することができ、且つ装着しても通常の靴を履くことができる足関節内側支持部材及び足関節内側サポーターを提供すること。
【解決手段】足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部11と、押圧固定部11から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部12と、内果部収容部12から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部13と、圧迫部13から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部14と、を備える足関節内側支持部材。
【解決手段】足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部11と、押圧固定部11から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部12と、内果部収容部12から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部13と、圧迫部13から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部14と、を備える足関節内側支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足関節を保護するための支持部材及びサポーターに関し、詳しくは足関節内反捻挫の発生や再発を防止するための支持部材及びサポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
足関節部位の傷害には種々のものがあるが、最も多いのは捻挫である。捻挫には、足首を内側に捻り、その結果外側の靱帯が伸びて損傷する内反捻挫と、足首を外側に捻る外反捻挫とがある。そして、内反捻挫と外反捻挫とでは、足関節の構造上、内反捻挫が圧倒的に多い。
【0003】
これまで、足関節サポーター(装具)が種々開発されている。その一つとして、例えば、足関節周囲を覆う筒状体、筒状体の左右側方に固定された硬性支持板、一方の支持板から足底部を通り他方の支持板まで延びる足底ベルトを備えた装具がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−102553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足関節は、図11(右足前面図)、図12(右足後面図)及び図13(右足背図)に示すように、脛骨51の内果50及び腓骨53の外果52の下方に連なる距骨54、舟状骨55及び踵骨56を含み、各骨が靱帯で結びついている。
【0005】
足関節は、上記のような構造をしているため、背屈時(つま先を上げた状態で)は骨で支持され、充分な安定性が得られる。しかし、底屈時(つま先を下げた状態で)は、支持性が弱くなり、関節は緩みを生じ、内旋・内転位に傾き易くなる。そのため、この底屈状態のまま、着地してしまうと、足関節は必然的に内反を強制されることになり、足関節の内返し(距骨54から舟状骨55、楔状骨57と前方に繋がる軸線L1が関節中心Oの回りに矢印A方向に旋回すること(図13参照。)が起こる。足関節が内反すると、距骨54から舟状骨55、踵骨56と下方に繋がる軸線L2は関節中心Oの回りに矢印B方向に旋回して(図12参照。)外側側副靱帯(距骨54と腓骨53を繋ぐ靱帯、踵骨56と腓骨53を繋ぐ靱帯、不図示)や二分靱帯(踵骨56と舟状骨55を繋ぐ靱帯、不図示)を損傷して内反捻挫を起こすことになる。
【0006】
上記従来の足関節サポーターは、内側に支持部材を有しているが、これらの支持部材は、その下端が足関節内果下端を越えないか、越えても形状が平坦で下方に真っ直ぐ延びるだけである。従来の支持部材を有するサポーターでは、ベルトを締める力で内反を制限しているが、ベルトを締める力には限界があり、足関節内反捻挫を確実に防止することかできない。
【0007】
また、上記従来のサポーターは足関節周囲を覆う筒状体と、筒状体の左右側方に固定された硬性支持板を有するので、サポーターを装着して通常の靴を履くことができない。
【0008】
本発明は、上記従来のサポーターの問題に鑑みてなされたもので、足関節内反捻挫を確実に防止することができ、且つ装着しても通常の靴を履くことができる足関節内側支持部材及び足関節内側サポーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の足関節内側支持部材は、硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、を備えている。
【0010】
上記足関節内側支持部材において、前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つとよい。
【0011】
本発明の足関節内側サポーターは、硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、を備える足関節内側支持部材と、前記押圧固定部及び又は前記内果部収容部の外側面に固定された面ファスナーと、前記屈曲端部の外側面に一端部が取り付けられ前記足底部を通り前記脛骨部まで延びる足底ベルトと、前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ足首の前側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる前側ベルトと、前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ前記足首の後側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる後側ベルトと、を有している。
【0012】
上記足関節内側サポーターにおいて、前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の足関節内側支持部材を足関節にベルト等で固定すると、内果部が内果収容部に収容されるので、内果収容部の下方に延在する圧迫部が外側に開くことなく距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫して距骨部と踵骨部の内反を阻止し、舟状骨部の内側移動を内側から阻止する。さらに、足底部に回り込む屈曲端部で踵骨部の下方への移動を阻止するので、内反捻挫を確実に防止することができる。また、本発明の足関節内側支持部材は、板状であるため、通常の靴を履いてもかさばらない。
【0014】
押圧固定部が脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つと、足関節内側支持部材をベルト等で固定しても位置ずれすることがなく且つ装着による痛みがない。
【0015】
本発明の足関節内側サポーターは、押圧固定部及び或いは内果部収容部の外側面に固定された面ファスナーと、屈曲端部の外側面に一端が取り付けられ足底部を通り脛骨部まで延びる足底ベルトと、圧迫部の外側面に一端が取り付けられ足首の前側から足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる前側ベルトと、圧迫部の外側面に一端が取り付けられ足首の後側から足底ベルトの他端部を脛骨部とで狭持するように脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる後側ベルトと、を有しているので、圧迫部に上向きと内向きの力が作用する。その結果、圧迫部は距骨部、舟状骨部及び踵骨部を確実に圧迫して内反を阻止し、屈曲端部は踵骨部の下方への移動を確実に阻止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例の足関節内側支持部材の斜視図、図2は、図1におけるI−I線断面図である。図3及び図4は、足関節内側支持部材を右足関節に装着した様子を模式的に示す図である。図5は足関節内側支持部材の写真、図6は足関節内側支持部材を左足関節に装着した様子を示す写真である。
【0018】
実施例1の足関節内側支持部材10は、図1〜図4に示すように、足関節内果部50の上方脛骨部51の周方向に湾曲し、脛骨部51に押圧固定される押圧固定部11と、押圧固定部11から下方に延在し、足関節内果部50を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部12と、内果部収容部12から下方に延在し、足関節内果部50の下方に連なる距骨部54、舟状骨部55及び踵骨部56を圧迫する圧迫部13と、圧迫部13から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部14と、を備えている。また、押圧固定部11は、脛骨部51側の内面に軟質のパット11aを備えている。
【0019】
足関節内側支持部材10は、硬くて弾性を有する板状をしており、例えば、繊維に熱可塑性樹脂を含浸させて成形して作られる。
【0020】
パット11aは、例えば、ウレタン発泡体である。
【0021】
次に足関節内側支持部材10の作用を説明する。図6に示すように、内果部収容部12に内果部50が収容されるように、足関節内側に足関節内側支持部材10を配置し、粘着性テープで足首に固定する。すると、図3及び図4に示すように、押圧固定部11が脛骨部51を内側から押圧し、圧迫部13が距骨部54、舟状骨部55及び踵骨部56を内側から圧迫し、屈曲端部14が踵骨部56を下側から圧迫する。したがって、圧迫部13が距骨部54と踵骨部56の内反を阻止し、舟状骨部55の内側移動を阻止する。また、足関節内側支持部材10は、板状であるため、通常の靴を履いてもかさばらない。
【実施例2】
【0022】
図7は、本実施例の足関節内側サポーターの斜視図、図8は、図7におけるI−I線断面図である。図9及び図10は、足関節内側サポーターを左足関節に装着した様子を示す写真である。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0023】
実施例2の足関節内側サポーター20は、図7及び図8に示すように、実施例1の足関節内側支持部材10と、押圧固定部11及び内果部収容部12の外側面に固定された面ファスナー15と、屈曲端部14の外側面に一端部が取り付けられ足底部を通り脛骨部51まで延びる足底ベルト16と、圧迫部13の外側面に一端部が取り付けられ足首の前側から足底ベルト16の他端部を脛骨部51とで狭持するように脛骨部51に巻き付いて他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる前側ベルト17aと、圧迫部13の外側面に一端部が取り付けられ足首の後側から足底ベルト16の他端部を脛骨部51とで狭持するように脛骨部51に巻き付いて他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる後側ベルト17bと、を有している。
【0024】
押圧固定部11とパット11aの間には面ファスナー11bが介装されており、使用する人の体型により異なるパットを選定して装着したり、装着位置を調整したりすることができる。
【0025】
足底ベルト16は、一端部がカシメピン18aで屈曲端部14の幅方向中央に固定されている。
【0026】
前側ベルト17a及び後側ベルト17bは、一端部がカシメピン18bで圧迫部13の幅方向中央に略V字状部を形成するように固定されている。
【0027】
次に、足関節内側サポーター20の使用方法を説明する。図9に示すように、先ず、内果部収容部12に内果部50が収容されるように、足関節内側に足関節内側サポーター20が配置される。次いで、足底ベルト16が足底を通るように足底を経由させられ、その自由端部が脛骨部51の外側面に押しつけられる。次いで、前側ベルト17aが足首の前側を通るように足首の前側を経由させられ、足底ベルト16の他端部が脛骨部51とで狭持されるように脛骨部51に巻き付けられ(図10参照。)、その他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる。最後に、後側ベルト17bが足首の後側を通るように足首の後側を経由させられ、足底ベルト16の他端部が脛骨部51とで狭持されるように脛骨部51に巻き付けられ(図10参照。)、その他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる。
【0028】
上記のように、圧迫部13が略V字状部を形成する前側ベルト17aと後側ベルト17bとで足関節に固定されるので、圧迫部13には略V字状部を形成する前側ベルト17aと後側ベルト17bとで上向きと内向きの力(足関節の内側から外側への力)が作用する。また、屈曲端部14は、足底ベルト16で上方に引っ張られるので、屈曲端部14には上向きの力が作用する。したがって、圧迫部13が距骨部54、舟状骨部55及び踵骨部56を内側から効果的に圧迫し、屈曲端部14が踵骨部56を下側から効果的に圧迫する。その結果、圧迫部13が距骨部54と踵骨部56の内反を確実に阻止し、舟状骨部55の内側移動を確実に阻止する。また、足関節内側支持部材10は、板状であるため、通常の靴を履いてもかさばらない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の足関節内側支持部材の斜視図である。
【図2】図1におけるI−I線断面図である。
【図3】足関節内側支持部材を右足関節に装着した様子を模式的に示す前面図である。
【図4】足関節内側支持部材を右足関節に装着した様子を模式的に示す後面図である。
【図5】実施例1の足関節内側支持部材の写真である。
【図6】実施例1の足関節内側支持部材を左足関節に装着した様子を示す写真である。
【図7】実施例2の足関節内側サポーターの斜視図である。
【図8】図7におけるI−I線断面図である。
【図9】足関節内側サポーターを左足関節に装着した様子を示す写真である。
【図10】足関節内側サポーターを左足関節に装着した様子を示す写真である。
【図11】足関節の骨格図(右足前面図)である。
【図12】足関節の骨格図(右足後面図)である。
【図13】足部の骨格図(足背図)である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・・・足関節内側支持部材
11・・・・・押圧固定部
11a・・・・・パット
12・・・・・内果部収容部
13・・・・・圧迫部
14・・・・・屈曲端部
15・・・・・面ファスナー
16・・・・・足底ベルト
17a・・・・・前側ベルト
17b・・・・・後側ベルト
20・・・・・足関節内側サポーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、足関節を保護するための支持部材及びサポーターに関し、詳しくは足関節内反捻挫の発生や再発を防止するための支持部材及びサポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
足関節部位の傷害には種々のものがあるが、最も多いのは捻挫である。捻挫には、足首を内側に捻り、その結果外側の靱帯が伸びて損傷する内反捻挫と、足首を外側に捻る外反捻挫とがある。そして、内反捻挫と外反捻挫とでは、足関節の構造上、内反捻挫が圧倒的に多い。
【0003】
これまで、足関節サポーター(装具)が種々開発されている。その一つとして、例えば、足関節周囲を覆う筒状体、筒状体の左右側方に固定された硬性支持板、一方の支持板から足底部を通り他方の支持板まで延びる足底ベルトを備えた装具がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−102553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足関節は、図11(右足前面図)、図12(右足後面図)及び図13(右足背図)に示すように、脛骨51の内果50及び腓骨53の外果52の下方に連なる距骨54、舟状骨55及び踵骨56を含み、各骨が靱帯で結びついている。
【0005】
足関節は、上記のような構造をしているため、背屈時(つま先を上げた状態で)は骨で支持され、充分な安定性が得られる。しかし、底屈時(つま先を下げた状態で)は、支持性が弱くなり、関節は緩みを生じ、内旋・内転位に傾き易くなる。そのため、この底屈状態のまま、着地してしまうと、足関節は必然的に内反を強制されることになり、足関節の内返し(距骨54から舟状骨55、楔状骨57と前方に繋がる軸線L1が関節中心Oの回りに矢印A方向に旋回すること(図13参照。)が起こる。足関節が内反すると、距骨54から舟状骨55、踵骨56と下方に繋がる軸線L2は関節中心Oの回りに矢印B方向に旋回して(図12参照。)外側側副靱帯(距骨54と腓骨53を繋ぐ靱帯、踵骨56と腓骨53を繋ぐ靱帯、不図示)や二分靱帯(踵骨56と舟状骨55を繋ぐ靱帯、不図示)を損傷して内反捻挫を起こすことになる。
【0006】
上記従来の足関節サポーターは、内側に支持部材を有しているが、これらの支持部材は、その下端が足関節内果下端を越えないか、越えても形状が平坦で下方に真っ直ぐ延びるだけである。従来の支持部材を有するサポーターでは、ベルトを締める力で内反を制限しているが、ベルトを締める力には限界があり、足関節内反捻挫を確実に防止することかできない。
【0007】
また、上記従来のサポーターは足関節周囲を覆う筒状体と、筒状体の左右側方に固定された硬性支持板を有するので、サポーターを装着して通常の靴を履くことができない。
【0008】
本発明は、上記従来のサポーターの問題に鑑みてなされたもので、足関節内反捻挫を確実に防止することができ、且つ装着しても通常の靴を履くことができる足関節内側支持部材及び足関節内側サポーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の足関節内側支持部材は、硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、を備えている。
【0010】
上記足関節内側支持部材において、前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つとよい。
【0011】
本発明の足関節内側サポーターは、硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、を備える足関節内側支持部材と、前記押圧固定部及び又は前記内果部収容部の外側面に固定された面ファスナーと、前記屈曲端部の外側面に一端部が取り付けられ前記足底部を通り前記脛骨部まで延びる足底ベルトと、前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ足首の前側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる前側ベルトと、前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ前記足首の後側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる後側ベルトと、を有している。
【0012】
上記足関節内側サポーターにおいて、前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の足関節内側支持部材を足関節にベルト等で固定すると、内果部が内果収容部に収容されるので、内果収容部の下方に延在する圧迫部が外側に開くことなく距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫して距骨部と踵骨部の内反を阻止し、舟状骨部の内側移動を内側から阻止する。さらに、足底部に回り込む屈曲端部で踵骨部の下方への移動を阻止するので、内反捻挫を確実に防止することができる。また、本発明の足関節内側支持部材は、板状であるため、通常の靴を履いてもかさばらない。
【0014】
押圧固定部が脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つと、足関節内側支持部材をベルト等で固定しても位置ずれすることがなく且つ装着による痛みがない。
【0015】
本発明の足関節内側サポーターは、押圧固定部及び或いは内果部収容部の外側面に固定された面ファスナーと、屈曲端部の外側面に一端が取り付けられ足底部を通り脛骨部まで延びる足底ベルトと、圧迫部の外側面に一端が取り付けられ足首の前側から足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる前側ベルトと、圧迫部の外側面に一端が取り付けられ足首の後側から足底ベルトの他端部を脛骨部とで狭持するように脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる後側ベルトと、を有しているので、圧迫部に上向きと内向きの力が作用する。その結果、圧迫部は距骨部、舟状骨部及び踵骨部を確実に圧迫して内反を阻止し、屈曲端部は踵骨部の下方への移動を確実に阻止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例の足関節内側支持部材の斜視図、図2は、図1におけるI−I線断面図である。図3及び図4は、足関節内側支持部材を右足関節に装着した様子を模式的に示す図である。図5は足関節内側支持部材の写真、図6は足関節内側支持部材を左足関節に装着した様子を示す写真である。
【0018】
実施例1の足関節内側支持部材10は、図1〜図4に示すように、足関節内果部50の上方脛骨部51の周方向に湾曲し、脛骨部51に押圧固定される押圧固定部11と、押圧固定部11から下方に延在し、足関節内果部50を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部12と、内果部収容部12から下方に延在し、足関節内果部50の下方に連なる距骨部54、舟状骨部55及び踵骨部56を圧迫する圧迫部13と、圧迫部13から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部14と、を備えている。また、押圧固定部11は、脛骨部51側の内面に軟質のパット11aを備えている。
【0019】
足関節内側支持部材10は、硬くて弾性を有する板状をしており、例えば、繊維に熱可塑性樹脂を含浸させて成形して作られる。
【0020】
パット11aは、例えば、ウレタン発泡体である。
【0021】
次に足関節内側支持部材10の作用を説明する。図6に示すように、内果部収容部12に内果部50が収容されるように、足関節内側に足関節内側支持部材10を配置し、粘着性テープで足首に固定する。すると、図3及び図4に示すように、押圧固定部11が脛骨部51を内側から押圧し、圧迫部13が距骨部54、舟状骨部55及び踵骨部56を内側から圧迫し、屈曲端部14が踵骨部56を下側から圧迫する。したがって、圧迫部13が距骨部54と踵骨部56の内反を阻止し、舟状骨部55の内側移動を阻止する。また、足関節内側支持部材10は、板状であるため、通常の靴を履いてもかさばらない。
【実施例2】
【0022】
図7は、本実施例の足関節内側サポーターの斜視図、図8は、図7におけるI−I線断面図である。図9及び図10は、足関節内側サポーターを左足関節に装着した様子を示す写真である。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0023】
実施例2の足関節内側サポーター20は、図7及び図8に示すように、実施例1の足関節内側支持部材10と、押圧固定部11及び内果部収容部12の外側面に固定された面ファスナー15と、屈曲端部14の外側面に一端部が取り付けられ足底部を通り脛骨部51まで延びる足底ベルト16と、圧迫部13の外側面に一端部が取り付けられ足首の前側から足底ベルト16の他端部を脛骨部51とで狭持するように脛骨部51に巻き付いて他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる前側ベルト17aと、圧迫部13の外側面に一端部が取り付けられ足首の後側から足底ベルト16の他端部を脛骨部51とで狭持するように脛骨部51に巻き付いて他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる後側ベルト17bと、を有している。
【0024】
押圧固定部11とパット11aの間には面ファスナー11bが介装されており、使用する人の体型により異なるパットを選定して装着したり、装着位置を調整したりすることができる。
【0025】
足底ベルト16は、一端部がカシメピン18aで屈曲端部14の幅方向中央に固定されている。
【0026】
前側ベルト17a及び後側ベルト17bは、一端部がカシメピン18bで圧迫部13の幅方向中央に略V字状部を形成するように固定されている。
【0027】
次に、足関節内側サポーター20の使用方法を説明する。図9に示すように、先ず、内果部収容部12に内果部50が収容されるように、足関節内側に足関節内側サポーター20が配置される。次いで、足底ベルト16が足底を通るように足底を経由させられ、その自由端部が脛骨部51の外側面に押しつけられる。次いで、前側ベルト17aが足首の前側を通るように足首の前側を経由させられ、足底ベルト16の他端部が脛骨部51とで狭持されるように脛骨部51に巻き付けられ(図10参照。)、その他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる。最後に、後側ベルト17bが足首の後側を通るように足首の後側を経由させられ、足底ベルト16の他端部が脛骨部51とで狭持されるように脛骨部51に巻き付けられ(図10参照。)、その他端部が面ファスナー15に着脱可能に取り付けられる。
【0028】
上記のように、圧迫部13が略V字状部を形成する前側ベルト17aと後側ベルト17bとで足関節に固定されるので、圧迫部13には略V字状部を形成する前側ベルト17aと後側ベルト17bとで上向きと内向きの力(足関節の内側から外側への力)が作用する。また、屈曲端部14は、足底ベルト16で上方に引っ張られるので、屈曲端部14には上向きの力が作用する。したがって、圧迫部13が距骨部54、舟状骨部55及び踵骨部56を内側から効果的に圧迫し、屈曲端部14が踵骨部56を下側から効果的に圧迫する。その結果、圧迫部13が距骨部54と踵骨部56の内反を確実に阻止し、舟状骨部55の内側移動を確実に阻止する。また、足関節内側支持部材10は、板状であるため、通常の靴を履いてもかさばらない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の足関節内側支持部材の斜視図である。
【図2】図1におけるI−I線断面図である。
【図3】足関節内側支持部材を右足関節に装着した様子を模式的に示す前面図である。
【図4】足関節内側支持部材を右足関節に装着した様子を模式的に示す後面図である。
【図5】実施例1の足関節内側支持部材の写真である。
【図6】実施例1の足関節内側支持部材を左足関節に装着した様子を示す写真である。
【図7】実施例2の足関節内側サポーターの斜視図である。
【図8】図7におけるI−I線断面図である。
【図9】足関節内側サポーターを左足関節に装着した様子を示す写真である。
【図10】足関節内側サポーターを左足関節に装着した様子を示す写真である。
【図11】足関節の骨格図(右足前面図)である。
【図12】足関節の骨格図(右足後面図)である。
【図13】足部の骨格図(足背図)である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・・・足関節内側支持部材
11・・・・・押圧固定部
11a・・・・・パット
12・・・・・内果部収容部
13・・・・・圧迫部
14・・・・・屈曲端部
15・・・・・面ファスナー
16・・・・・足底ベルト
17a・・・・・前側ベルト
17b・・・・・後側ベルト
20・・・・・足関節内側サポーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、
足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、
前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、
前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、
前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、
を備える足関節内側支持部材。
【請求項2】
前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つ請求項1に記載の足関節内側支持部材。
【請求項3】
硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、を備える足関節内側支持部材と、
前記押圧固定部及び或いは前記内果部収容部の外側面に固定された面ファスナーと、
前記屈曲端部の外側面に一端部が取り付けられ前記足底部を通り前記脛骨部まで延びる足底ベルトと、
前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ足首の前側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる前側ベルトと、
前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ前記足首の後側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる後側ベルトと、
を有することを特徴とする足関節内側サポーター。
【請求項4】
前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つ請求項3に記載の足関節内側サポーター。
【請求項1】
硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、
足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、
前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、
前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、
前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、
を備える足関節内側支持部材。
【請求項2】
前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つ請求項1に記載の足関節内側支持部材。
【請求項3】
硬くて弾性を有する板状の足関節内側支持部材であって、足関節内果部の上方脛骨部の周方向に湾曲し、該脛骨部に押圧固定される押圧固定部と、前記押圧固定部から下方に延在し、前記足関節内果部を圧迫しないように外側に膨らんだ内果部収容部と、前記内果部収容部から下方に延在し、前記足関節内果部の下方に連なる距骨部、舟状骨部及び踵骨部を圧迫する圧迫部と、前記圧迫部から下方に延在し、足底部に回り込む屈曲端部と、を備える足関節内側支持部材と、
前記押圧固定部及び或いは前記内果部収容部の外側面に固定された面ファスナーと、
前記屈曲端部の外側面に一端部が取り付けられ前記足底部を通り前記脛骨部まで延びる足底ベルトと、
前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ足首の前側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる前側ベルトと、
前記圧迫部の外側面に一端部が取り付けられ前記足首の後側から前記足底ベルトの他端部を前記脛骨部とで狭持するように該脛骨部に巻き付いて他端部が前記面ファスナーに着脱可能に取り付けられる後側ベルトと、
を有することを特徴とする足関節内側サポーター。
【請求項4】
前記押圧固定部は前記脛骨部側の内面に装着される軟質のパットを持つ請求項3に記載の足関節内側サポーター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−247384(P2009−247384A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95039(P2008−95039)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(595032428)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(595032428)
【Fターム(参考)】
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