説明

路面センサ

【課題】 長期間の使用が可能な路面センサを提供する。
【解決手段】 路面の状態を検出する衝撃検出回路10と、衝撃検出回路10からの出力信号を送信する送信回路20と、車の速度を検出する速度検出回路30と、速度検出回路30からの出力信号に基づいて、車の速度が小さいときには送信回路20の動作時間が長くなり、車の速度が大きいときには送信回路20の動作時間が短くなるように、送信回路20が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御する制御回路40とを備える路面センサとする。送信回路の動作時間および停止時間を速度の変化に応じて適正化することができるので、長期間の使用が可能な路面センサを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間の使用が可能な路面センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車のタイヤやホイールに取り付けられて路面の状態を検知する路面センサが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、路面センサは車のタイヤやホイールに取り付けられるものであるため、電源として電池を使用する。このため、従来の路面センサには、電池の消耗により長期間の使用が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、長期間の使用が可能な路面センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の路面センサは、車に取り付けられる路面センサであって、路面の状態を検出する衝撃検出回路と、該衝撃検出回路からの出力信号を送信する送信回路と、前記車の速度を検出する速度検出回路と、該速度検出回路からの出力信号に基づいて、前記車の速度が小さいときには前記送信回路の動作時間が長くなり、前記車の速度が大きいときには前記送信回路の動作時間が短くなるように、前記送信回路が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御する制御回路とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の第2の路面センサは、本発明の第1の路面センサにおいて、前記制御回路が、前記速度検出回路からの出力信号に基づいて、前記車の速度が小さいときには前記送信回路の停止時間が長くなり、前記車の速度が大きいときには前記送信回路の停止時間が短くなるように、前記送信回路が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御することを特徴とするものである。
【0008】
さらに、本発明の第3の路面センサは、本発明の第1または第2の路面センサにおいて、前記速度検出回路が、加速度センサと、該加速度センサの出力信号の直流成分を抽出して出力する第1抽出回路とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
またさらに、本発明の第4の路面センサは、本発明の第2の路面センサにおいて、前記衝撃検出回路が、前記加速度センサと、該加速度センサの出力信号の交流成分を抽出して出力する第2抽出回路とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の路面センサによれば、長期間の使用が可能な路面センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態の例の路面センサの構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1の第1抽出回路60の構成例を模式的に示す回路図である。
【図3】図1の第2抽出回路70の構成例を模式的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の路面センサを添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態の例)
図1は本発明の実施の形態の例の路面センサの構成を模式的に示すブロック図である。図2は図1の第1抽出回路60の構成例を模式的に示す回路図である。図3は図1の第2抽出回路70の構成例を模式的に示す回路図である。
【0014】
本例の路面センサは、車のタイヤまたはホイールに取り付けられるものであり、図1に示すように、衝撃検出回路10と、送信回路20と、速度検出回路30と、制御回路40と、アンテナ80とを備えている。
【0015】
衝撃検出回路10は、加速度センサ50およびそれに接続された第2抽出回路70を備えており、路面の状態を検出してその信号を出力する。
【0016】
第2抽出回路70は、加速度センサ50の出力信号における交流成分を抽出してその大きさを出力するための回路であり、例えばハイパスフィルタおよび整流回路を用いて構成することができる。よって、例えば、図3に示すように、信号ラインに直列に接続されたキャパシタ71(ハイパスフィルタとして機能)およびダイオード72と、信号ラインと接地電位との間に直列に接続されるキャパシタ73によって構成することができる。
【0017】
加速度センサ50からは、車の速度に応じたタイヤの回転数に対応する直流成分(低周波成分)に路面の凹凸による交流成分(高周波成分)が加算された出力信号が出力される。第2抽出回路70を用いることによって、路面の凹凸による交流成分(高周波成分)のみを加速度センサ50の出力信号から抽出することができるので、それによって路面の状態を検出することができる。
【0018】
送信回路20は、衝撃検出回路10およびアンテナ80に接続されており、衝撃検出回路10からの出力信号を増幅してアンテナ80から電波で車体側へ送信する。
【0019】
速度検出回路30は、加速度センサ50およびそれに接続された第1抽出回路60を備えており、車の速度を検出してその信号を出力する。
【0020】
第1抽出回路60は、加速度センサ50の出力信号における直流成分を抽出するための回路であり、例えばローパスフィルタを用いて構成することができる。よって、例えば、図2に示すように、信号ラインに直列に接続されたインダクタ61および信号ラインと接地電位との間に直列に接続されるキャパシタ62によって構成することができる。
【0021】
加速度センサ50からは、車の速度に応じたタイヤの回転数に対応する直流成分(低周波成分)に路面の凹凸による交流成分(高周波成分)が加算された出力信号が出力される。第1抽出回路60を用いることによって、車の速度に対応する直流成分のみを加速度センサ50の出力信号から抽出することができるので、それによって車の速度を検出することができる。
【0022】
制御回路40は、演算装置やメモリ等を備えた周知のマイクロコンピュータで構成されており、速度検出回路30および送信回路20に接続されている。制御回路40は、送信
回路20と図示せぬ電源とを接続するスイッチを、所定の時間間隔毎に所定時間だけONさせて、これにより、送信回路20が動作と停止とを繰り返すように制御する。このとき、制御回路40は、速度検出回路30からの出力信号に基づいて、車の速度が小さいときには送信回路20の(1回の)動作時間および(1回の)停止時間がともに長くなり、車の速度が大きいときには送信回路20の(1回の)動作時間および(1回の)停止時間がともに短くなるように、送信回路20が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御する。具体的には、送信回路20の動作時間および停止時間が車の速度に反比例するように制御する。
【0023】
車のタイヤやホイールに取り付けられる路面センサは、電源として使用する電池の消耗により長期間の使用が困難であるという問題があり、センシングを間欠的に行うことによって常時センシングする場合と比較して長期間の使用を可能にすることができる。しかしながら、路面状態を検出するためには所定の距離をセンシングする必要があり、この距離に達しなければ正確な路面状態の検出ができなくなり、所定の距離以上にセンシングすれば電池の消耗が大きくなって使用できる期間が短くなる。そして、この所定の距離を走行するのに要する時間は車の速度によって変化する。
【0024】
また、路面状態の検出をしない間に車が走行する距離が大きくなると、路面状態の変化に対応できず危険な状況になる可能性が高くなる。また、路面状態の検出をしない間に車が走行する距離を小さく設定しすぎると、使用期間増大の効果も小さくなる。このため、路面状態の検出をしない間に車が走行する距離には最適値が存在するが、この最適な距離を車が走行するのに要する時間も車の速度に応じて変化してしまう。
【0025】
上述した構成を備える本例の路面センサは、車の速度が小さいときには送信回路20の動作時間および停止時間がともに長くなり、車の速度が大きいときには送信回路20の動作時間および停止時間がともに短くなるように、送信回路20が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御する。これにより、安全上許容される最大限の時間間隔をあけて必要最小限の時間だけ路面状態の検出を行うことが、車の速度が変化しても常に可能になるので、長期間の使用が可能な高性能の路面センサを得ることができる。
【0026】
また、本例の路面センサは、速度検出回路30が、加速度センサ50と、加速度センサ50の出力信号の直流成分を抽出して出力する第1抽出回路60とによって構成されている。これにより、速度検出回路30の構成を単純なものにすることができるので、単純な構成を備える路面センサを得ることができる。
【0027】
さらに、本例の路面センサは、衝撃検出回路10が、加速度センサ50と、加速度センサ50の出力信号の交流成分を抽出して出力する第2抽出回路70とで構成されている。すなわち、本例の路面センサは、1つの加速度センサ50が衝撃検出回路10および速度検出回路30で共用されており、1つの加速度センサ50の出力信号を用いて路面状態および車の速度の両方を検出することができるので、部品点数が少なく、構成が単純で、小型の路面センサを得ることができる。
【0028】
(変形例)
本発明は前述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良が可能である。
【0029】
例えば、前述した実施形態の例においては、衝撃検出回路10が加速度センサ50および第2抽出回路70によって構成された例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、通常のショックセンサを用いた衝撃検出回路10としても構わない。
【0030】
また、前述した実施の形態の例においては、送信回路20の動作時間および停止時間が車の速度に反比例するように、制御回路40が送信回路20のON−OFFを制御する場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、車の速度が大きくなるにつれて送信回路20の動作時間および停止時間が段階的に短くなるように、制御回路40が送信回路20のON−OFFを制御するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0031】
10:衝撃検出回路
20:送信回路
30:速度検出回路
40:制御回路
50:加速度センサ
60:第1抽出回路
70:第2抽出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車に取り付けられる路面センサであって、路面の状態を検出する衝撃検出回路と、該衝撃検出回路からの出力信号を送信する送信回路と、前記車の速度を検出する速度検出回路と、該速度検出回路からの出力信号に基づいて、前記車の速度が小さいときには前記送信回路の動作時間が長くなり、前記車の速度が大きいときには前記送信回路の動作時間が短くなるように、前記送信回路が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御する制御回路とを備えることを特徴とする路面センサ。
【請求項2】
前記制御回路は、前記速度検出回路からの出力信号に基づいて、前記車の速度が小さいときには前記送信回路の停止時間が長くなり、前記車の速度が大きいときには前記送信回路の停止時間が短くなるように、前記送信回路が動作と停止とを繰り返すタイミングを制御することを特徴とする路面センサ。
【請求項3】
前記速度検出回路は、加速度センサと、該加速度センサの出力信号の直流成分を抽出して出力する第1抽出回路とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の路面センサ。
【請求項4】
前記衝撃検出回路は、前記加速度センサと、該加速度センサの出力信号の交流成分を抽出して出力する第2抽出回路とを備えることを特徴とする請求項3に記載の路面センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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