説明

跳ね上げ式門扉

【課題】扉を円滑に移動させることができると共に、完全開扉位置における扉の激突を防止し得る跳ね上げ式門扉を提供すること。
【解決手段】跳ね上げ式門扉1は、アーム手段4及び5の回動による扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を扉6に付与する抵抗力付与手段10を具備しており、抵抗力付与手段10は、扉6の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる抵抗力発生機構21と、抵抗力発生機構21に扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全開扉直前位置から跳ね上げ方向に移動する扉6と抵抗力発生機構21とを連結状態にする一方、完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置する扉6と抵抗力発生機構21とを非連結状態にする連結機構22とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車庫等の出入口に用いて好適な跳ね上げ式門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1においては、閉扉動作時におけるアーム手段の回動に抗する粘性抵抗力を生じさせる一方、開扉動作時におけるアーム手段の回動に抗する粘性抵抗力を生じさせない跳ね上げ式門扉が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−349127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かる跳ね上げ式門扉では、扉を円滑に移動させることが望ましいが、開扉において扉が跳ね上げ方向に加速された場合には当該扉が完全開扉位置においてストッパ等に激突する虞がある。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、扉を円滑に移動させることができると共に、完全開扉位置における扉の激突を防止し得る跳ね上げ式門扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の跳ね上げ式門扉は、支柱と、この支柱に一端部で鉛直面内で回動自在に支持されたアーム手段と、このアーム手段の他端部に取り付けられており、アーム手段の一方の方向の回動により完全開扉位置に向かって跳ね上げ方向に移動する一方、アーム手段の他方の方向の回動により完全閉扉位置に向かって下げ方向に移動する扉と、この扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を扉に付与する抵抗力付与手段とを具備しており、抵抗力付与手段は、扉の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる抵抗力発生機構と、この抵抗力発生機構に扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全開扉直前位置から跳ね上げ方向に移動する扉と抵抗力発生機構とを連結状態にする一方、完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置する扉と抵抗力発生機構とを非連結状態にする連結機構とを具備している。
【0007】
本発明の跳ね上げ式門扉によれば、特に、抵抗力付与手段は、扉の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる抵抗力発生機構と、この抵抗力発生機構に扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全開扉直前位置から跳ね上げ方向に移動する扉と抵抗力発生機構とを連結状態にする一方、完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置する扉と抵抗力発生機構とを非連結状態にする連結機構とを具備しているために、完全開扉直前位置及び完全閉鎖位置間に位置する扉と抵抗力発生機構とを非連結状態にすることができて、扉を円滑に移動させることができると共に、完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かって跳ね上げ方向に移動する扉に対して抵抗力発生機構による抵抗力を付与することができて、完全開扉位置における扉の激突を防止し得る。
【0008】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、扉及びアーム手段の自重に抗する跳ね上げ方向の弾性力をアーム手段に付与する弾性力付与手段を具備している。このような好ましい例によれば、扉をより円滑に移動させることができると共に、弾性力付与手段により跳ね上げ方向の移動が容易となった扉のストッパ等に対する激突を抵抗力付与手段によって防止することができる。
【0009】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、抵抗力発生機構は、一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在であると共に当該一方の隙間形成体と協同して隙間を形成している他方の隙間形成体と、一方の隙間形成体と他方の隙間形成体とによって形成された隙間に収容されていると共に当該他方の隙間形成体の当該一方の隙間形成体に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体とを具備しており、連結機構は、回転により他方の隙間形成体を回転させるように当該他方の隙間形成体に取り付けられている歯車と、扉が完全開扉直前位置に位置した際に歯車に歯合する一方、扉が完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段に取り付けられている歯列部材とを具備しており、歯列部材は、扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を抵抗力発生機構に生じさせるべく、歯車との歯合状態においてアーム手段の一方の方向の回動を回転力として当該歯車に伝達するように配されている。このような好ましい例によれば、扉の跳ね上げ方向の移動速度に依存した抵抗力を生じさせることができ、而して、完全開扉直前位置から完全開扉位置までにおいても扉を跳ね上げ方向に円滑に移動させることができると共に、当該扉の跳ね上げ方向の過度な移動速度に応じた大きな抵抗力を生じさせることができる。
【0010】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、抵抗力発生機構は、アーム手段の一方の方向の回動に基づく歯車の一方の方向の回転を他方の隙間形成体に伝達するように歯車と他方の隙間形成体を連結する一方、アーム手段の他方の方向の回動に基づく歯車の他方の方向の回転により前記連結を解除するように歯車と他方の隙間形成体との間に介在されている一方向クラッチを具備している。このような好ましい例によれば、完全開扉直前位置及び完全開扉位置間における扉の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせる一方、当該扉の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせることをなくすことができ、而して、完全開扉直前位置及び完全開扉位置間における扉を下げ方向に円滑に移動させ得る。
【0011】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、歯車は、他方の隙間形成体に固着されていると共に周縁に複数の歯を有している歯車部材と、この歯車部材の歯よりも歯車の回転方向において変位して配された複数の歯を周縁に有していると共に当該歯車の回転方向において歯車部材に対して可動となるように当該歯車部材に隣接している可動歯車部材と、アーム手段の一方の方向の回動に基づく歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって可動歯車部材を弾性的に付勢する付勢手段とを具備している。このような好ましい例によれば、扉の跳ね上げ方向の移動において、可動歯車部材を歯車部材に先んじて歯列部材に接触させ、当該可動歯車部材が歯列部材に押圧移動された後に、歯車部材を歯列部材に接触させることで、歯車と歯列部材との衝突音を減少させることができ、また、歯車と歯列部材との接触時におけるこれら各々に対する負担をも軽減させ得る。
【0012】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、付勢手段は、歯車部材及び可動歯車部材のうちの一方に設けられていると共に歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に向かって突出しているピンと、アーム手段の一方の方向の回動に基づく歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かってピンを弾性的に付勢するように歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に設けられている付勢部材とを具備している。
【0013】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、抵抗力付与手段は、扉の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる他の抵抗力発生機構と、この他の抵抗力発生機構に扉の完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かう下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全閉扉直前位置から下げ方向に移動する扉と他の抵抗力発生機構とを連結状態にする一方、完全閉扉直前位置よりも完全開扉位置側に位置する扉と他の抵抗力発生機構とを非連結状態にする他の連結機構とを更に具備しており、他の抵抗力発生機構は、一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在であると共に当該一方の隙間形成体と協同して隙間を形成している他方の隙間形成体と、他の抵抗力発生機構の一方の隙間形成体と他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体とによって形成された隙間に収容されていると共に当該他方の隙間形成体の当該一方の隙間形成体に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体とを具備しており、他の連結機構は、回転により他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体を回転させるように当該他方の隙間形成体に取り付けられている歯車と、扉が完全閉扉直前位置に位置した際に他の連結機構の歯車に歯合する一方、扉が完全閉扉直前位置よりも完全開扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段に取り付けられている歯列部材とを具備しており、他の連結機構の歯列部材は、扉の完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かう下げ方向の移動に抗する抵抗力を他の抵抗力発生機構に生じさせるべく、他の連結機構の歯車との歯合状態においてアーム手段の他方の方向の回動を回転力として当該歯車に伝達するように配されている。このような好ましい例によれば、完全閉扉直前位置及び完全開扉位置間に位置する扉と他の抵抗力発生機構とを非連結状態にすることができて、扉を円滑に移動させることができると共に、完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かって下げ方向に移動する扉に対して他の抵抗力発生機構による抵抗力を付与することができて、完全閉扉位置における扉の激突を防止し得、しかも、扉の下げ方向の移動速度に依存した抵抗力を生じさせることができ、完全閉扉直前位置から完全閉扉位置までにおいても扉を下げ方向に円滑に移動させることができると共に、当該扉の下げ方向の過度な移動速度に応じた大きな抵抗力を生じさせることができる。
【0014】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、他の抵抗力発生機構は、アーム手段の他方の方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の一方の方向の回転を他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体に伝達するように当該歯車と当該他方の隙間形成体を連結する一方、アーム手段の一方の方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の他方の方向の回転により前記連結を解除するように当該歯車と当該他方の隙間形成体との間に介在されている一方向クラッチを具備している。このような好ましい例によれば、完全閉扉直前位置及び完全閉扉位置間における扉の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせる一方、当該扉の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせることをなくすことができ、而して、完全閉扉直前位置及び完全閉扉位置間における扉を跳ね上げ方向に円滑に移動させ得る。
【0015】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、他の連結機構の歯車は、他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体に固着されていると共に周縁に複数の歯を有している歯車部材と、この歯車部材の歯よりも他の連結機構の歯車の回転方向において変位して配された複数の歯を周縁に有していると共に当該歯車の回転方向において当該歯車部材に対して可動となるように当該歯車部材に隣接している可動歯車部材と、アーム手段の他方の方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって当該可動歯車部材を弾性的に付勢する付勢手段とを具備している。このような好ましい例によれば、扉の下げ方向の移動において、可動歯車部材を歯車部材に先んじて歯列部材に接触させ、当該可動歯車部材が歯列部材に押圧移動された後に、歯車部材を歯列部材に接触させることで、歯車と歯列部材との衝突音を減少させることができ、また、歯車と歯列部材との接触時におけるこれら各々に対する負担をも軽減させ得る。
【0016】
本発明の跳ね上げ式門扉の好ましい例では、他の連結機構の歯車の付勢手段は、他の連結機構の歯車の歯車部材及び可動歯車部材のうちの一方に設けられていると共に当該歯車の歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に向かって突出しているピンと、アーム手段の他方の方向の回動に基づく当該歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって当該ピンを弾性的に付勢するように当該歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に設けられている付勢部材とを具備している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、扉を円滑に移動させることができると共に、完全開扉位置における扉の激突を防止し得る跳ね上げ式門扉を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の例の斜視説明図である。
【図2】図2は、図1に示す例の側面視説明図である。
【図3】図3は、図1に示す例の主に支柱の側面視断面説明図である。
【図4】図4は、図1に示す例の主に支柱の平面視断面説明図である。
【図5】図5は、図1に示す例の主に抵抗力付与手段の断面説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例の主に抵抗力付与手段の説明図である。
【図7】図7は、図1に示す例の主に抵抗力付与手段の説明図である。
【図8】図8は、図1に示す例の主に抵抗力付与手段の動作説明図である。
【図9】図9は、図1に示す例の主に抵抗力付与手段の動作説明図である。
【図10】図10は、図1に示す例の主に到来検出手段の説明図である。
【図11】図11は、図1に示す例の主に抵抗力付与手段の動作説明図である。
【図12】図12は、図1に示す例の動作説明図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態の他の例の側面視断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0020】
図1から図12において、本例の跳ね上げ式門扉1は、立設された一対の中空の角形の支柱2及び3と、支柱2及び3に一端部31で鉛直面内でA及びB方向に回動自在に支持されたアーム手段4及び5と、アーム手段4及び5の他端部32に取り付けられており、アーム手段4及び5のA方向の回動により図2において二点鎖線で示す完全開扉位置に向かって跳ね上げ方向に移動する一方、アーム手段4及び5のB方向の回動により図2において実線で示す完全閉扉位置に向かって下げ方向に移動する扉6と、電動モータ7の出力回転軸の回転に基づいてアーム手段4及び5を回動させるアーム回動手段8と、扉6及びアーム手段4及び5の自重に抗する跳ね上げ方向の弾性力としてのA方向の弾性力をアーム手段4及び5に付与する弾性力付与手段9と、扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を扉6に付与する抵抗力付与手段10と、扉6の跳ね上げ方向の移動を完全開扉位置において禁止する一方、扉6の下げ方向の移動を完全閉扉位置において禁止する禁止手段11とを具備している。
【0021】
支柱2には、本例では、弾性力付与手段9、アーム回動手段8及び抵抗力付与手段10が収容されており、支柱3には、弾性力付与手段9と同様に構成された弾性力付与手段が収容されているが、この逆であってもよく、また支柱3側にも、アーム回動手段8と同様に構成されたアーム回動手段、抵抗力付与手段10と同様に構成された抵抗力付与手段を具備していてもよい。尚、支柱3側に設けられている弾性力付与手段(図示せず)は、弾性力付与手段9と同様に構成されているのでその詳細な説明を省略する。
【0022】
横方向において支柱2側に配設されたアーム手段4は、一端部31で回動軸33を介して支柱2に鉛直面内でA及びB方向に回動自在に装着されていると共に、他端部32で扉6に固着されている断面矩形状のアーム部材34を具備している。アーム部材34は回動軸33に固着されており、回動軸33は支柱2に軸受等を介して回動自在に支持されている。横方向において支柱3側に配設されたアーム手段5は、アーム手段4と同様に構成されているのでその詳細な説明を省略する。
【0023】
扉6は、正面視矩形状の枠体41と、枠体41に装着された目隠し用の多数の横格子42とを具備しているが、例えば横格子42に代えて、枠体41に装着された多数の縦格子を具備していてもよい。
【0024】
アーム回動手段8は、例えば図3に示すように、前記電動モータ7と、電動モータ7の出力回転軸の回転をアーム手段4に伝達する伝達手段71とを具備している。電動モータ7は、支柱2に装着されている。伝達手段71は、本例では、電動モータ7の出力回転軸の回転力をA方向の回動力としてアーム手段4に伝達し、電動モータ7の出力回転軸の逆方向の回転力をB方向の回動力としてアーム手段4に伝達するように電動モータ7とアーム手段4との間に配設されている。
【0025】
伝達手段71は、電動モータ7の出力回転軸に連結された回転軸72と、回転軸72に設けられたスパイラルギヤ73及び回動軸33に固着されていると共にスパイラルギヤ73に歯合する歯列74が周縁に形成されている歯車75を有してなる減速機構76とを具備している。斯かる伝達手段71は、電動モータ7の出力回転軸の回転を減速機構76を介して減速し、回動軸33にA及びB方向の回動力として伝達するようになっている。尚、減速機構76は、歯車75に代えて、カム板51のスパイラルギヤ73側に位置する周縁部に形成された歯列74を具備していてもよい。
【0026】
アーム回動手段8は、上述の構成に加えて、アーム手段4及び5のA方向の回動により完全開扉位置に向かって移動する扉6の完全開扉直前位置への到来及びアーム手段4及び5のB方向の回動により完全閉扉位置に向かって移動する扉6の完全閉扉直前位置への到来を夫々検出する到来検出手段14を更に具備しており、到来検出手段14による到来検出に基づいて電動モータ7の作動を制御するようになっている。到来検出手段14は、例えば図10に示すように、回動軸33に固着されていると共に円弧突部81が一体的に形成された円板82と、支柱2に取り付けられていると共に、アーム手段4及び5のA方向の回動により完全開扉位置に向かって移動する扉6が完全開扉直前位置に到来した際に円弧突部81に当接して作動することにより当該扉6の完全開扉直前位置への到来を検出するリミットスイッチ83と、支柱2に取り付けられていると共に、アーム手段4及び5のB方向の回動により完全閉扉位置に向かって移動する扉6が完全閉扉位置に到来した際に円弧突部81に当接して作動することにより当該扉6の完全閉扉直前位置への到来を検出するリミットスイッチ84とを具備している。リミットスイッチ83は、本例では、扉6がA方向に移動されて完全開扉位置から例えば10°手前の位置(完全開扉直前位置)に配された際に円弧突部81に当接して作動すると共に当該作動を扉6が完全開扉位置に至るまで維持するように配設されている。リミットスイッチ84は、本例では、扉6がB方向に移動されて完全閉扉位置から例えば10°手前の位置(完全閉扉直前位置)に配された際に円弧突部81に当接して作動すると共に当該作動を扉6が完全閉扉位置に至るまで維持するように配設されている。円弧突部81との当接によるリミットスイッチ83及び84の夫々の作動は扉6の完全開扉直前位置及び完全閉扉直前位置の夫々への到来検出信号として電動モータ7の上述及び後述の作動を制御する制御部(図示せず)に送られる。尚、跳ね上げ式門扉1には、扉6の開扉、閉扉及びこれらの停止を行わせるための操作スイッチ部(図示せず)が設けられている。
【0027】
弾性力付与手段9は、例えば図3、図4及び図12に示すように、回動軸33に固着されたカム板51と、カム板51にピンを介して一端部52が連結され、中間部53がカム板51のカム縁54に当接して曲げ案内され、他端部55がピンを介して連結具56に回動自在に連結されたチェーン部材57と、一端部61が連結具56の孔62に引っ掛けられ、他端部63が支柱2に取り付けられた連結具65の孔66に引っ掛けられたコイルばね67とを具備している。コイルばね67は、その縮み弾性力によってA方向にカム板51を回転させるように付勢している。
【0028】
抵抗力付与手段10は、例えば図4から図7に示すように、扉6の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる抵抗力発生機構21と、抵抗力発生機構21に扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全開扉直前位置から跳ね上げ方向に移動する扉6と抵抗力発生機構21とを連結状態にする一方、完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置する扉6と抵抗力発生機構21とを非連結状態にする連結機構22とを具備している。
【0029】
抵抗力発生機構21は、例えば図5に示すように、支柱2に固着されたハウジングからなる隙間形成体25と、隙間形成体25に対して相対的に回転自在であると共に当該隙間形成体25と協同して隙間26を形成している複数の円板49及び軸体50からなる隙間形成体27と、隙間形成体25と隙間形成体27とによって形成された隙間26に収容されていると共に当該隙間形成体27の当該隙間形成体25に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体28と、アーム手段4のA方向の回動に基づく後述の歯車29のR1方向の回転を隙間形成体27に伝達するように歯車29と隙間形成体27を連結する一方、アーム手段4のB方向の回動に基づく歯車29のR2方向の回転により前記連結を解除するように歯車29と隙間形成体27との間に介在されている一方向クラッチ24とを具備している。
【0030】
連結機構22は、例えば図4から図7に示すように、回転により隙間形成体27を回転させるように当該隙間形成体27に取り付けられている歯車29と、扉6が完全開扉直前位置に位置した際に歯車29に歯合する一方、扉6が完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段4に取り付けられている歯列部材30とを具備している。歯列部材30は、扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を抵抗力発生機構21に生じさせるべく、歯車29との歯合状態においてアーム手段4のA方向の回動を回転力として当該歯車29に伝達するように配されている。
【0031】
歯車29は、隙間形成体27に固着されていると共に周縁に複数の歯35を有している歯車部材36と、歯車部材36の歯35よりも歯車29の回転方向において変位して配された複数の歯37を周縁に有していると共に当該歯車29の回転方向において歯車部材36に対して可動となるように当該歯車部材36に隣接している可動歯車部材38と、アーム手段4のA方向の回動に基づく歯車29の回転方向(R1方向)とは逆の回転方向(R2方向)に向かって可動歯車部材38を弾性的に付勢する付勢手段39とを具備している。
【0032】
付勢手段39は、歯車部材36及び可動歯車部材38のうちの一方、本例では可動歯車部材38に設けられていると共に歯車部材36及び可動歯車部材38のうちの他方、本例では歯車部材36に向かって突出しているピン45と、アーム手段4のA方向の回動に基づく歯車29の回転方向(R1方向)とは逆の回転方向(R2方向)に向かってピン45を弾性的に付勢するように歯車部材36に設けられている付勢部材としてのコイルばね46とを具備している。コイルばね46は、歯車部材36に回転方向に伸びて形成された溝部47に収容されている。
【0033】
隙間形成体25の内部から突出した軸体50の部位には、一方向クラッチ24が装着されている。一方向クラッチ24は、回転方向に関して歯車部材36に固着されたケース体91と、一端92がケース体91に嵌合されていると共に他端が自由端となっており、ケース体91の内部において軸体50の前記部位に巻き回されている弾性拡縮変形可能なコイル部材93とを具備している。一方向クラッチ24は、歯車部材36のR1方向の回転に基づいてケース体91と共にR1方向に回転されるコイル部材93の縮径により当該R1方向の回転を隙間形成体27に伝達する一方、歯車部材36のR2方向の回転に基づいてケース体91と共にR2方向に回転されるコイル部材93の拡径により当該R2方向の回転を隙間形成体27に伝達しないようになっている。尚、一方向クラッチ24は、本例ではコイル部材93を具備してなるが、例えば、いわゆるワンウェイベアリングからなっていてもよい。
【0034】
禁止手段11は、支柱2に形成されていると共に、扉6が完全開扉位置に配された際に当該扉6の跳ね上げ方向の移動を禁止するようにカム板51に当接する禁止部材としてのストッパ16と、扉6の下縁に形成されていると共に、扉6が完全閉鎖位置に配された際に当該扉6の下げ方向の移動を禁止するように地面に当接する禁止部材としてのストッパ17とを具備している。
【0035】
以下、本例の跳ね上げ式門扉1による動作について説明する。まず、図示しない操作部の操作に基づく電動モータ7の出力回転軸の回転によりアーム手段4をA方向に回動させて、完全閉鎖位置にある扉6を跳ね上げ方向に移動させる。斯かる扉6の移動は、弾性力付与手段9による跳ね上げ方向の弾性力によって補助される。アーム手段4のA方向の回動によりカム板51及びチェーン部材57を介してアーム手段4及び5並びに扉6に付勢されるコイルばね67の跳ね上げ方向の弾性力は、当該コイルばね67の縮みにより漸減する。尚、アーム手段5は、本例ではアーム手段4のA方向の回動が扉6を介して伝達されることによってA方向に回動される。
【0036】
跳ね上げ方向に移動される扉6が完全開扉直前位置に配されると、円板82は図10において実線で示す位置に配されて、円弧突部81がリミットスイッチ83に当接し、この当接によりリミットスイッチ83は作動して扉6の完全開扉直前位置への到来を検出し、アーム回動手段8は当該検出に基づいて電動モータ7の出力回転軸の回転(rpm)を低下させる。アーム回動手段8は、跳ね上げ方向に移動させる扉6が完全開扉位置に配されて図12に示すようにカム板51がストッパ16に当接した際に生じる電動モータ7に対する過電流を検知して当該電動モータ7の作動を停止させ、而して、扉6は完全開扉位置で静止される。
【0037】
跳ね上げ方向に移動される扉6が完全開扉直前位置に配される際には、アーム手段4のA方向の回動とともにA方向に回動される歯列部材30の歯40が図8に示すように可動歯車部材38の歯37に接触する。斯かる歯列部材30のさらなるA方向の回動により可動歯車部材38がコイルばね46の弾性力に抗してR1方向に回転されると、図9に示すように歯列部材30の歯40が歯車部材36の歯35に接触する。斯かる歯列部材30の図11に示すようなさらなるA方向の回動により歯車部材36がR1方向に回転されると、この回転が一方向クラッチ24を介して隙間形成体27に伝達され、この伝達により隙間形成体27は隙間形成体25に対して相対的に回転して、粘性体28に粘性剪断抵抗力を生じさせ、而して、扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動は前記粘性剪断抵抗力によって減衰される。
【0038】
また、図示しない操作部の操作に基づく電動モータ7の出力回転軸の逆回転によりアーム手段4をB方向に回動させて、完全開扉位置にある扉6を弾性力付与手段9による跳ね上げ方向の弾性力に抗して下げ方向に移動させる。アーム手段4のB方向の回動によりカム板51及びチェーン部材57を介してアーム手段4及び5並びに扉6に付勢されるコイルばね67の跳ね上げ方向の弾性力は、当該コイルばね67の伸びにより漸増する。尚、アーム手段5は、本例ではアーム手段4のB方向の回動が扉6を介して伝達されることによってB方向に回動される。
【0039】
完全開扉位置及び完全開扉直前位置間において扉6が下げ方向に移動される際には、アーム手段4のB方向の回動により歯列部材30がB方向に回動され、この回動により歯車29がR2方向に回転されるが、斯かる回転は一方向クラッチ24を介して隙間形成体27に伝達されないので、扉6の下げ方向の移動に対する粘性剪断抵抗力は生じない。
【0040】
下げ方向に移動される扉6が完全閉扉直前位置に配されると、円板82は図10において二点鎖線で示す位置に配され、円弧突部81がリミットスイッチ84に当接し、この当接によりリミットスイッチ84は作動して扉6の完全閉扉直前位置への到来を検出し、アーム回動手段8は当該検出に基づいて電動モータ7の出力回転軸の逆回転(rpm)を低下させる。アーム回動手段8は、下げ方向に移動させる扉6が完全閉扉位置に配されて図2に実線で示すようにストッパ17が地面に当接した際に生じる電動モータ7に対する過電流を検知して当該電動モータ7の作動を停止させ、而して、扉6は完全閉扉位置で静止される。
【0041】
本例の跳ね上げ式門扉1によれば、支柱2及び3と、支柱2及び3に一端部31で鉛直面内でA及びB方向に回動自在に支持されたアーム手段4及び5と、アーム手段4及び5の他端部32に取り付けられており、アーム手段4及び5のA方向の回動により完全開扉位置に向かって跳ね上げ方向に移動する一方、アーム手段4及び5のB方向の回動により完全閉扉位置に向かって下げ方向に移動する扉6と、扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を扉6に付与する抵抗力付与手段10とを具備しており、抵抗力付与手段10は、扉6の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる抵抗力発生機構21と、抵抗力発生機構21に扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全開扉直前位置から跳ね上げ方向に移動する扉6と抵抗力発生機構21とを連結状態にする一方、完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置する扉6と抵抗力発生機構21とを非連結状態にする連結機構22とを具備しているために、完全開扉直前位置及び完全閉鎖位置間に位置する扉6と抵抗力発生機構21とを非連結状態にすることができて、扉6を円滑に移動させることができると共に、完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かって跳ね上げ方向に移動する扉6に対して抵抗力発生機構21による抵抗力を付与することができて、完全開扉位置における扉6のストッパ16等に対する激突を防止し得る。
【0042】
跳ね上げ式門扉1によれば、扉6及びアーム手段4及び5の自重に抗する跳ね上げ方向の弾性力をアーム手段4及び5に付与する弾性力付与手段9を具備しているために、扉6をより円滑に移動させることができると共に、弾性力付与手段9により跳ね上げ方向の移動が容易となった扉6のストッパ16等に対する激突を抵抗力付与手段10によって防止することができる。
【0043】
跳ね上げ式門扉1によれば、抵抗力発生機構21は、一方の隙間形成体25と、隙間形成体25に対して相対的に回転自在であると共に当該隙間形成体25と協同して隙間26を形成している他方の隙間形成体27と、隙間形成体25と隙間形成体27とによって形成された隙間26に収容されていると共に当該隙間形成体27の当該隙間形成体25に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体28とを具備しており、連結機構22は、回転により隙間形成体27を回転させるように当該隙間形成体27に取り付けられている歯車29と、扉6が完全開扉直前位置に位置した際に歯車29に歯合する一方、扉6が完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段4及び5、本例ではアーム手段4に取り付けられている歯列部材30とを具備しており、歯列部材30は、扉6の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を抵抗力発生機構21に生じさせるべく、歯車29との歯合状態においてアーム手段4のA方向の回動を回転力として当該歯車29に伝達するように配されているために、扉6の跳ね上げ方向の移動速度に依存した抵抗力を生じさせることができ、而して、完全開扉直前位置から完全開扉位置までにおいても扉6を跳ね上げ方向に円滑に移動させることができると共に、当該扉6の跳ね上げ方向の過度な移動速度に応じた大きな抵抗力を生じさせることができる。
【0044】
跳ね上げ式門扉1によれば、抵抗力発生機構21は、アーム手段4のA方向の回動に基づく歯車29のR1方向の回転を隙間形成体27に伝達するように歯車29と隙間形成体27を連結する一方、アーム手段4のB方向の回動に基づく歯車29のR2方向の回転により前記連結を解除するように歯車29と隙間形成体27との間に介在されている一方向クラッチ24を具備しているために、完全開扉直前位置及び完全開扉位置間における扉6の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせる一方、当該扉6の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせることをなくすことができ、而して、完全開扉直前位置及び完全開扉位置間における扉6を下げ方向に円滑に移動させ得る。
【0045】
跳ね上げ式門扉1によれば、歯車29は、隙間形成体27に固着されていると共に周縁に複数の歯35を有している歯車部材36と、歯車部材36の歯35よりも歯車29の回転方向において変位して配された複数の歯37を周縁に有していると共に当該歯車29の回転方向において歯車部材36に対して可動となるように当該歯車部材36に隣接している可動歯車部材38と、アーム手段4のA方向の回動に基づく歯車29の回転方向(R1方向)とは逆の回転方向(R2方向)に向かって可動歯車部材38を弾性的に付勢する付勢手段39とを具備しているために、扉6の跳ね上げ方向の移動において、可動歯車部材38を歯車部材36に先んじて歯列部材30に接触させ、当該可動歯車部材38が歯列部材30に押圧移動された後に、歯車部材36を歯列部材30に接触させることで、歯車29と歯列部材30との衝突音を減少させることができ、また、歯車29と歯列部材30との接触時におけるこれら各々に対する負担をも軽減させ得る。
【0046】
尚、跳ね上げ式門扉1の抵抗力付与手段10は、図示しないが、扉6の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる他の抵抗力発生機構と、この他の抵抗力発生機構に扉6の完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かう下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全閉扉直前位置から下げ方向に移動する扉6と他の抵抗力発生機構とを連結状態にする一方、完全閉扉直前位置よりも完全開扉位置側に位置する扉6と他の抵抗力発生機構とを非連結状態にする他の連結機構とを更に具備していてもよく、他の抵抗力発生機構は、抵抗力発生機構21と略同様に構成されており、一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在であると共に当該一方の隙間形成体と協同して隙間を形成している他方の隙間形成体と、他の抵抗力発生機構の一方の隙間形成体と他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体とによって形成された隙間に収容されていると共に当該他方の隙間形成体の当該一方の隙間形成体に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体とを具備しており、他の連結機構は、連結機構22と略同様に構成されており、回転により他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体を回転させるように当該他方の隙間形成体に取り付けられている歯車と、扉が完全閉扉直前位置に位置した際に他の連結機構の歯車に歯合する一方、扉が完全閉扉直前位置よりも完全開扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段4に取り付けられている歯列部材とを具備しており、他の連結機構の歯列部材は、扉の完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かう下げ方向の移動に抗する抵抗力を他の抵抗力発生機構に生じさせるべく、他の連結機構の歯車との歯合状態においてアーム手段4のB方向の回動を回転力として当該歯車に伝達するように配されている。斯かる跳ね上げ式門扉1によれば、完全閉扉直前位置及び完全開扉位置間に位置する扉6と他の抵抗力発生機構とを非連結状態にすることができて、扉6を円滑に移動させることができると共に、完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かって下げ方向に移動する扉6に対して他の抵抗力発生機構による抵抗力を付与することができて、完全閉扉位置における扉6の地面等に対する激突を防止し得、しかも、扉6の下げ方向の移動速度に依存した抵抗力を生じさせることができ、完全閉扉直前位置から完全閉扉位置までにおいても扉6を下げ方向に円滑に移動させることができると共に、当該扉6の下げ方向の過度な移動速度に応じた大きな抵抗力を生じさせることができる。
【0047】
上記の他の抵抗力発生機構は、アーム手段4のB方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の一方の方向の回転を他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体に伝達するように当該歯車と当該他方の隙間形成体を連結する一方、アーム手段4のA方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の他方の方向の回転により前記連結を解除するように当該歯車と当該他方の隙間形成体との間に介在されている一方向クラッチを具備していてもよく、斯かる場合には、完全閉扉直前位置及び完全閉扉位置間における扉6の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせる一方、当該扉6の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせることをなくすことができ、而して、完全閉扉直前位置及び完全閉扉位置間における扉6を跳ね上げ方向に円滑に移動させ得る。
【0048】
上記の他の連結機構の歯車は、他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体に固着されていると共に周縁に複数の歯を有している歯車部材と、この歯車部材の歯よりも他の連結機構の歯車の回転方向において変位して配された複数の歯を周縁に有していると共に当該歯車の回転方向において当該歯車部材に対して可動となるように当該歯車部材に隣接している可動歯車部材と、アーム手段のB方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって当該可動歯車部材を弾性的に付勢する付勢手段とを具備していてもよく、斯かる場合には、扉6の下げ方向の移動において、可動歯車部材を歯車部材に先んじて歯列部材に接触させ、当該可動歯車部材が歯列部材に押圧移動された後に、歯車部材を歯列部材に接触させることで、歯車と歯列部材との衝突音を減少させることができ、また、歯車と歯列部材との接触時におけるこれら各々に対する負担をも軽減させ得る。
【0049】
上記の他の連結機構の歯車の付勢手段は、他の連結機構の歯車の歯車部材及び可動歯車部材のうちの一方に設けられていると共に当該歯車の歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に向かって突出しているピンと、アーム手段4のB方向の回動に基づく当該歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって当該ピンを弾性的に付勢するように当該歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に設けられているコイルばね等からなる付勢部材とを具備していてもよい。
【0050】
尚、跳ね上げ式門扉1は、例えば禁止手段11に代えて、例えば図13に示すように、カム板51にA及びB方向に伸びて形成された長孔97と、長孔97に配されたストッパ98とを具備してなる禁止手段99を具備していてもよく、斯かる禁止手段99は、扉6が完全開扉位置に配された際にストッパ98が長孔97の一端101に当接することによって当該扉6の跳ね上げ方向の移動を禁止する一方、扉6が完全閉鎖位置に配された際にストッパ98が長孔97の他端102に当接することによって当該扉6の下げ方向の移動を禁止するようになっている。また、跳ね上げ式門扉1は、アーム回動手段8を具備しているが、手動により扉6を跳ね上げ方向及び下げ方向に移動可能に構成されていてもよく、また、斯かるアーム回動手段8の構成を省略して、手動のみにより扉6を跳ね上げ方向及び下げ方向に移動されるように構成されていてもよい。加えて、弾性力付与手段9は、扉6が完全開扉位置に位置する際において扉6及びアーム手段4及び5の自重に基づく扉6の下げ方向の移動力を上回る跳ね上げ方向の弾性力をアーム手段4に付与するように当該アーム手段4に連結されているコイルばね67を具備していてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 跳ね上げ式門扉
2、3 支柱
4、5 アーム手段
6 扉
10 抵抗力付与手段
21 抵抗力発生機構
22 連結機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、この支柱に一端部で鉛直面内で回動自在に支持されたアーム手段と、このアーム手段の他端部に取り付けられており、アーム手段の一方の方向の回動により完全開扉位置に向かって跳ね上げ方向に移動する一方、アーム手段の他方の方向の回動により完全閉扉位置に向かって下げ方向に移動する扉と、この扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を扉に付与する抵抗力付与手段とを具備しており、抵抗力付与手段は、扉の跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる抵抗力発生機構と、この抵抗力発生機構に扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全開扉直前位置から跳ね上げ方向に移動する扉と抵抗力発生機構とを連結状態にする一方、完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置する扉と抵抗力発生機構とを非連結状態にする連結機構とを具備している跳ね上げ式門扉。
【請求項2】
扉及びアーム手段の自重に抗する跳ね上げ方向の弾性力をアーム手段に付与する弾性力付与手段を具備している請求項1に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項3】
抵抗力発生機構は、一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在であると共に当該一方の隙間形成体と協同して隙間を形成している他方の隙間形成体と、一方の隙間形成体と他方の隙間形成体とによって形成された隙間に収容されていると共に当該他方の隙間形成体の当該一方の隙間形成体に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体とを具備しており、連結機構は、回転により他方の隙間形成体を回転させるように当該他方の隙間形成体に取り付けられている歯車と、扉が完全開扉直前位置に位置した際に歯車に歯合する一方、扉が完全開扉直前位置よりも完全閉扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段に取り付けられている歯列部材とを具備しており、歯列部材は、扉の完全開扉直前位置から完全開扉位置に向かう跳ね上げ方向の移動に抗する抵抗力を抵抗力発生機構に生じさせるべく、歯車との歯合状態においてアーム手段の一方の方向の回動を回転力として当該歯車に伝達するように配されている請求項1又は2に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項4】
抵抗力発生機構は、アーム手段の一方の方向の回動に基づく歯車の一方の方向の回転を他方の隙間形成体に伝達するように歯車と他方の隙間形成体を連結する一方、アーム手段の他方の方向の回動に基づく歯車の他方の方向の回転により前記連結を解除するように歯車と他方の隙間形成体との間に介在されている一方向クラッチを具備している請求項3に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項5】
歯車は、他方の隙間形成体に固着されていると共に周縁に複数の歯を有している歯車部材と、この歯車部材の歯よりも歯車の回転方向において変位して配された複数の歯を周縁に有していると共に当該歯車の回転方向において歯車部材に対して可動となるように当該歯車部材に隣接している可動歯車部材と、アーム手段の一方の方向の回動に基づく歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって可動歯車部材を弾性的に付勢する付勢手段とを具備している請求項3又は4に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項6】
付勢手段は、歯車部材及び可動歯車部材のうちの一方に設けられていると共に歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に向かって突出しているピンと、アーム手段の一方の方向の回動に基づく歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かってピンを弾性的に付勢するように歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に設けられている付勢部材とを具備している請求項5に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項7】
抵抗力付与手段は、扉の下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じる他の抵抗力発生機構と、この他の抵抗力発生機構に扉の完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かう下げ方向の移動に抗する抵抗力を生じさせるべく完全閉扉直前位置から下げ方向に移動する扉と他の抵抗力発生機構とを連結状態にする一方、完全閉扉直前位置よりも完全開扉位置側に位置する扉と他の抵抗力発生機構とを非連結状態にする他の連結機構とを更に具備しており、他の抵抗力発生機構は、一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在であると共に当該一方の隙間形成体と協同して隙間を形成している他方の隙間形成体と、他の抵抗力発生機構の一方の隙間形成体と他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体とによって形成された隙間に収容されていると共に当該他方の隙間形成体の当該一方の隙間形成体に対する相対的な回転により抵抗力を生じる粘性体とを具備しており、他の連結機構は、回転により他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体を回転させるように当該他方の隙間形成体に取り付けられている歯車と、扉が完全閉扉直前位置に位置した際に他の連結機構の歯車に歯合する一方、扉が完全閉扉直前位置よりも完全開扉位置側に位置した際に前記歯合が解除されるようにアーム手段に取り付けられている歯列部材とを具備しており、他の連結機構の歯列部材は、扉の完全閉扉直前位置から完全閉扉位置に向かう下げ方向の移動に抗する抵抗力を他の抵抗力発生機構に生じさせるべく、他の連結機構の歯車との歯合状態においてアーム手段の他方の方向の回動を回転力として当該歯車に伝達するように配されている請求項1から6のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項8】
他の抵抗力発生機構は、アーム手段の他方の方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の一方の方向の回転を他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体に伝達するように当該歯車と当該他方の隙間形成体を連結する一方、アーム手段の一方の方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の他方の方向の回転により前記連結を解除するように当該歯車と当該他方の隙間形成体との間に介在されている一方向クラッチを具備している請求項7に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項9】
他の連結機構の歯車は、他の抵抗力発生機構の他方の隙間形成体に固着されていると共に周縁に複数の歯を有している歯車部材と、この歯車部材の歯よりも他の連結機構の歯車の回転方向において変位して配された複数の歯を周縁に有していると共に当該歯車の回転方向において当該歯車部材に対して可動となるように当該歯車部材に隣接している可動歯車部材と、アーム手段の他方の方向の回動に基づく他の連結機構の歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって当該可動歯車部材を弾性的に付勢する付勢手段とを具備している請求項7又は8に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項10】
他の連結機構の歯車の付勢手段は、他の連結機構の歯車の歯車部材及び可動歯車部材のうちの一方に設けられていると共に当該歯車の歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に向かって突出しているピンと、アーム手段の他方の方向の回動に基づく当該歯車の回転方向とは逆の回転方向に向かって当該ピンを弾性的に付勢するように当該歯車部材及び可動歯車部材のうちの他方に設けられている付勢部材とを具備している請求項9に記載の跳ね上げ式門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−255341(P2012−255341A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222396(P2012−222396)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2008−203654(P2008−203654)の分割
【原出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(503428703)オイレスECO株式会社 (69)
【Fターム(参考)】