説明

踏台

【課題】 高所作業時に作業に供する物品を踏台上部に掛け止めしておけるようにする。
【解決手段】本発明の踏台1は、梯子2の上部近傍に支持脚3の上端を連結し、梯子2の上端に上部連結体4を設けており、上部連結体4は、梯子2の上端から支持脚3の上方側へオーバーハングしていて、その上面に物品を載置する物品載置部5が形成されており、この物品載置部5からオーバーハング方向にさらに出退自在な物品掛止体6が設けられ、この物品掛止体6は進出状態で物品の掛け止めが可能な物品掛止部7が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降作業などに使用する踏台、特に高所に昇った場合に物品を一時的に載置することができて高所での物品の取り替え作業などに便利な踏台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、天井などの高所に設置された蛍光灯などを交換する際は踏台が用いられる。このような蛍光灯の交換作業においては、交換した蛍光灯を持って踏台を降りたり、新たに交換する蛍光灯を持って踏台を昇ったりしていては、作業効率が良くない。そこで、このような踏台には、特許文献1に示すように蛍光灯を収納する蛍光灯受け具を設けておき、蛍光灯の交換作業の効率化を図った踏台(脚立)が知られている。
【0003】
この踏台に設けられる蛍光灯受け具は、蛍光灯を立て掛けた状態で保持できるように有底円筒状に形成されたものであり、踏み板を架設状態で支持する縦材と平行な方向に蛍光灯を収納できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−23199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の踏台では、蛍光灯がストレートの直管形タイプの場合は保持できるが、環形タイプの場合は、保持することが困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、高所作業時に作業に供する物品を踏台上部に掛け止めしておけるようにした踏台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の踏台は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の踏台は、梯子の上部近傍に支持脚の上端を連結し、前記梯子の上端に上部連結体を設けており、前記上部連結体は、梯子の上端から支持脚の上方側へオーバーハングしていて、その上面に物品を載置する物品載置部が形成されており、この物品載置部からオーバーハング方向にさらに出退自在な物品掛止体が設けられ、この物品掛止体は進出状態で物品の掛け止めが可能な物品掛止部が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
なお、前記物品載置部は、前記上部連結体の上面を凹状に形成して小物品を載置して収納する凹型収納部を有し、前記物品掛止体はこの凹型収納部に配置されていて、凹型収納部から揺動または摺動することにより進出可能になっている。
また、前記物品載置部は、前記上部連結体を上下方向に穿孔して球状の物品を挿し込み状に収納する孔型収納部、及び/又は、前記上部連結体の上面に凹凸を形成して円筒状の物品を転げ落ち防止状態で載置収納する転落防止型収納部を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の踏台によれば、高所作業時に作業に供する物品を踏台上部に掛け止めしておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る踏台の上部の斜視図である。
【図2】上部連結体(物品載置部)の幅方向中央で切断した踏台の上部の断面図である。
【図3】上部連結体の平面図である。
【図4】上部連結体の背面図である。
【図5】踏台全体の右側面図である。
【図6】踏台全体の正面図である。
【図7】図3のB−B線断面図である。
【図8】図3のF−F線断面図である。
【図9】図3のA−A線断面図である。
【図10】図3のC−C線断面図である。
【図11】図3のD−D線断面図である。
【図12】図3のE−E線断面図である。
【図13】上部連結体の正面図である。
【図14】上部連結体の右側面図である。
【図15】上部連結体の左側面図である。
【図16】上部連結体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る踏台1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、踏台1は、梯子2と、この梯子2の上端よりやや下側(上部近傍)に上端が連結された支持脚3と、梯子2の上端に設けられた上部連結体4とを有している。
以下、本発明の踏台1の構成をさらに詳しく説明する。
【0011】
図1、図2、図5、図6において、梯子2は、左右支柱8、8を踏桟となる複数の横桟9で連結し、左右の各支柱8の下端に滑り止め部材10を取り付け、左右支柱8、8の上端を上部連結体4で連結している。
支持脚3は、その左右脚の上端を左右支柱8の上部に固定した連結部12に枢支連結し、上下方向中途部と下部とを支持桟16、支持脚固定桟14で連結している。梯子2の左右支柱8、8及び支持脚3の左右脚同士の間隔は上側が下側より幅狭になっている。
【0012】
支柱8の連結部12よりやや下方には枢支ピン18を介して踏み板15が連結されており、この踏み板15は支柱8と支持脚3とを逆V字状に立てたときに支持桟16と係合して、前記逆V字姿勢を保持する。
梯子2の上端に設けた上部連結体4は、梯子2の上端から支持脚3の上方側へオーバーハングしており、その上面に物品Sを載置する物品載置部5が形成され、この物品載置部5から上部連結体4のオーバーハング方向にさらに出退自在な物品掛止体6が設けられ、この物品掛止体6は、物品載置部5から進出した状態で物品Sの掛け止めが可能な物品掛止部7が形成されている。
【0013】
上部連結体4、物品載置部5及び物品掛止体6の構成についてさらに説明する。
図1〜図4及び図7〜図16において、上部連結体4は、1組の支柱8、8の間に架け渡されるように取り付けられたトレイ状の部材であり、上部連結体4の両端側の下面には、支柱8の上端を挿入可能な挿入凹部19が凹状に形成されており、上部連結体4の挿入凹部19を支柱8に嵌合して両者に固定具21を挿通して固定している。
【0014】
上部連結体4の挿入凹部19は、上部連結体4の下面の中でも手前半分の位置(支柱8に近い側)に偏って形成されている。そのため、支柱8の上端に取り付けた場合には、上部連結体4の奥半分は、支柱8の上端から支持脚3の上方側に向かって水平方向に突出することになり、支柱8に対してオーバーハング状に張り出した配置状態になる。
上部連結体4の手前側端部は、支柱8に対して踏み板15と同様な突出量であり、支柱8側から踏み板15に乗った作業者の障害にならない配置であり、作業者が通常乗らない支持脚3側の踏み板15上方には上部連結体4の奥側が位置し、その上面の物品載置部5を拡大形成できるようにしている。
【0015】
物品載置部5には、載置しようとする物品Sの形状や収納形態に合わせて、上部連結体4の上面に凹状に形成される凹型収納部22と、上部連結体4に上下方向に穿孔状に形成される孔型収納部23と、上部連結体4の上面に形成された凹凸で物品Sを転げ落ちないように載置する転落防止型収納部24とが形成されている。
図1〜図4及び図7〜図16において、凹型収納部22は、上部連結体4の上面のうち、平面視で略長方形とされる中央の一部を凹状に形成した部分であり、物品の中でもサイズが小さいもの、例えばネジ、ボルト、グロー球、治具、工具などを収納することができる。
【0016】
この凹型収納部22には、幅方向(左右方向)の中途側に左右2室に仕切る物品掛止体6が設けられている。なお、この物品掛止体6については後述する。
孔型収納部23は、上部連結体4を上下方向に穿孔した大小複数種類の孔が形成されていて、孔はその孔径より大きな外径を有する球状の物品S、例えば電球などを収納することができる。
【0017】
転落防止型収納部24は、上部連結体4の上面に、左右両側の隆起部25の上面に2つの凹部26を設けて凹凸形状に形成されており、左右の凹部26に亘って棒状物、筒状物などの外周円形であって長尺な物品を載置保持する。
この転落防止型収納部24は主に直管形の蛍光灯の載置に使用され、物品Sを転げ落ち防止状態で収容できる。
【0018】
図1〜図4及び図7において、物品載置部5に設けた物品掛止体6は、凹型収納部22と前後方向にほぼ同じ長さを備えたアーム形状であって、凹型収納部22の幅方向中途側に配備されていて、その内部を左右に仕切る機能を有している。
物品掛止体6は、凹型収納部22を仕切る定常位置と、この定常位置より物品載置部5のオーバーハング方向と同方向の外側に進出した進出位置との間で出退自在となっている。
【0019】
物品掛止体6の基端は凹型収納部22の周囲の物品載置部5内に位置して枢支軸28を介して枢支され、且つほぼ180°揺動した状態で当接するストッパ手段29が設けられており、物品掛止体6は枢支軸28を中心として先端側がオーバーハング方向に揺動して進出することが可能であり、ほぼ180°揺動した状態で停止され、それ以上の揺動は阻止される構成となっている。
【0020】
そして、定常位置での物品掛止体6の下面には凹状の物品掛止部7が形成されており、物品掛止体6が揺動して進出位置に来ると凹状の物品掛止部7が上方を向いて物品Sの掛け止めが可能となる。
物品掛止部7はフック形状になっていて、図7に示すような環形の蛍光灯、紐、ロープなどの物品Sを回し掛けることができる。
【0021】
物品掛止体6は、凹状の物品掛止部7を形成することで先端が先細り状に形成されていて、定常位置にあるとき、その先端は凹型収納部22の底面側を向き、凹型収納部22の底面に形成されたロック孔27に入り、不本意に揺動しないようになっている。
物品掛止体6は物品載置部5の凹型収納部22に左右レールを形成しておいて、その左右レールで物品載置部5外方へ直線移動させて出退する構成にしても良く、その場合は物品掛止部7を物品掛止体6の上面に形成しておく。
【0022】
上述したように、梯子2の上端に、この梯子2の上端から支持脚3の上方側へオーバーハングした上部連結体4を設け、この上部連結体4に物品載置部5を形成すれば、物品載置部5や上部連結体4がオーバーハング方向にせり出すため、踏み板15の上に立ち上がる作業者の邪魔になることなく、物品載置部5を拡大形成することができる。
また、物品掛止体6を物品載置部5からさらにオーバーハング方向に出退自在に設ければ、物品掛止体6に掛けられた物品Sは踏み板15に乗った作業者が掛け外し容易な位置に保持されることになる。
【0023】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
物品載置部5はその上面に物品Sを載置できれば良く、主として凹型収納部22が形成され、孔型収納部23及び転落防止型収納部24は選択的に形成すれば良い。
物品掛止体6は凹型収納部22を幅方向全域に亘って覆う開閉蓋として形成し、その開閉蓋を開放して反転した状態で物品を掛け止めする物品掛止部7を形成しておいても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 踏台
2 梯子
3 支持脚
4 上部連結体
5 物品載置部
6 物品掛止体
7 物品掛止部
8 支柱
9 横桟
10 滑り止め部材
12 連結部
14 支持脚固定桟
15 踏み板
16 支持桟
18 枢支ピン
19 挿入凹部
21 固定具
22 凹型収納部
23 孔型収納部
24 転落防止型収納部
25 隆起部
26 凹部
27 ロック孔
28 枢支軸
29 ストッパ手段
S 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梯子の上部近傍に支持脚の上端を連結し、前記梯子の上端に上部連結体を設けており、
前記上部連結体は、梯子の上端から支持脚の上方側へオーバーハングしていて、その上面に物品を載置する物品載置部が形成されており、この物品載置部からオーバーハング方向にさらに出退自在な物品掛止体が設けられ、この物品掛止体は進出状態で物品の掛け止めが可能な物品掛止部が形成されていることを特徴とする踏台。
【請求項2】
前記物品載置部は、前記上部連結体の上面を凹状に形成して小物品を載置して収納する凹型収納部を有し、前記物品掛止体はこの凹型収納部に配置されていて、凹型収納部から揺動または摺動することにより進出可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の踏台。
【請求項3】
前記物品載置部は、前記上部連結体を上下方向に穿孔して球状の物品を挿し込み状に収納する孔型収納部、及び/又は、前記上部連結体の上面に凹凸を形成して円筒状の物品を転げ落ち防止状態で載置収納する転落防止型収納部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の踏台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−62640(P2012−62640A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205844(P2010−205844)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000136170)株式会社ピカコーポレイション (46)
【Fターム(参考)】