説明

身体情報測定装置及び身体情報測定方法

【課題】検出対象に対するレーダーの対向性や距離等が変化する計測環境下でも、検出対象の周期的な検出対象生体信号を精度よく抽出することができる身体情報測定装置及び身体情報測定方法を提供すること。
【解決手段】第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する第一複素信号形成部8と、第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する第二複素信号形成部10と、各チャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出する周波数変換部16と、検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各スペクトル密度の突出するピークの数が最少の信号を選択するピーク数選択部17と、選択された信号から身体情報を抽出する信号解析部18と、スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための評価指数を算出してピークの数が最少かつ評価指数が最小となる信号を選択する最良形状選択部22と、を備える身体情報測定装置20とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体情報測定装置及び身体情報測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間や動物等の被検体の心拍数や呼吸数等の身体情報を測定する身体情報測定装置が従来から知られている。このような身体情報測定装置に関する技術として、例えば、ベッドに内蔵されたマイクロ波送受信センサから、ベッドに横たわる被験者の胸部に向けて電磁波としてのマイクロ波を照射し、反射電磁波、すなわち、被験者から反射したマイクロ波を受信し、これに基づいて、被験者の心拍数や呼吸数等の身体状態を検出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
ドップラ式のマイクロ波レーダーによる計測では、受信信号として、In-phaseチャネル(Iチャネル)及びQuadrature-phaseチャネル(Qチャネル)の2つの直交する信号成分を得るI/Q検波方式が一般に用いられる。この方式では、受信波とローカル波をそれぞれ2分配することにより、受信波とローカル波の組み合わせを2組用意し、それぞれの組み合わせについて、ミキサを用いて混合することにより、2チャネルの受信信号を得る。
【0004】
この際、脈波により振動している体表面部位がレーダーの方向と直交し、かつその距離が短く、かつ所謂ヌルポイント(Null Detection Point)から外れている場合に、そのレーダーの出力信号にターゲットとする心拍信号や呼吸信号が最も良好に含まれている。そこで、心拍数や呼吸数を算出する際には、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)周波数解析を行い、抽出精度を向上させるためにIチャネル信号とQチャネル信号とを合成したり、又は、ヌルポイントから離れているチャネル信号を抽出したりして、各信号の規則性(一定周波数)を検出し、複数の入力信号が混在する中から心拍数や呼吸数に相当するターゲット信号の周波数を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−102515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の身体情報測定装置のように、Iチャネル信号とQチャネル信号とを合成したり、ヌルポイントから離れているチャンネル信号を抽出したりしても、振動する体表面に対するレーダーの対向性や距離等が時々刻々と変化する計測環境下では、ターゲットとする周期的な心拍信号及び呼吸信号を精度よく抽出することが困難である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、検出対象に対するレーダーの対向性や距離等が時々刻々と変化する計測環境下であっても、検出対象が有する周期的な検出対象生体信号を精度よく抽出することができる身体情報測定装置及び身体情報測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る身体情報測定装置は、異なる位置から検出対象に向けて電波がそれぞれ照射され、周期性を有する検出対象生体信号を含んで前記検出対象からそれぞれ反射してなる第一入力信号及び第二入力信号から、所定の身体情報を検出する身体情報測定装置であって、前記第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する第一複素信号形成部と、前記第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する第二複素信号形成部と、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出する周波数変換部と、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号から、前記検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各前記スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択するピーク数選択部と、選択された信号から前記身体情報を抽出する信号解析部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る身体情報測定方法は、異なる位置から検出対象に向けて電波がそれぞれ照射され、周期性を有する検出対象生体信号を含んで前記検出対象からそれぞれ反射してなる第一入力信号及び第二入力信号から、所定の身体情報を検出する身体情報測定方法であって、前記第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する第一複素信号形成ステップと、前記第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する第二複素信号形成ステップと、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出する周波数変換ステップと、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号から、前記検出対象生体信号が含まれる周波数領域内で同一時刻における各前記スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択するピーク数選択ステップと、選択された信号から前記身体情報を抽出する信号解析ステップと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、同一のスペクトル密度分布図上において、ピーク値の大きい順番にピークを並べたときに、予め決められた数値α(例えば3.0)に対して、n番目のピークがn+1番目のピークよりもα倍大きくなる最小の整数nがある場合に、そのnを「突出したピークの数」とする。また、nがある一定の整数(例えば5)を越える場合にはピークの数は5とする。
【0011】
この発明は、スペクトル密度の突出したピークの数が少ない入力信号ほど、体動による擾乱、そして高調波及び相互変調波の発生が少なく、結果として検出対象生体信号を精度高く検出できることから、突出したピーク数が最少となるスペクトル密度の信号に基づいて検出対象生体信号の解析を行うことによって、精度の高い身体情報を抽出しようとするものである。
【0012】
また、本発明に係る身体情報測定装置は、前記身体情報測定装置であって、前記スペクトル密度の突出したピークの数が1となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第一評価指数と、前記スペクトル密度の突出したピークの数が2となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第二評価指数と、前記スペクトル密度の突出したピークの数が3となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第三評価指数と、を備え、前記第一評価指数、前記第二評価指数、及び前記第三評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択する最良形状選択部を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る身体情報測定方法は、前記身体情報測定方法であって、前記スペクトル密度の突出したピークの数が1となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第一評価指数と、前記スペクトル密度の突出したピークの数が2となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第二評価指数と、前記スペクトル密度の突出したピークの数が3となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第三評価指数と、を備え、前記第一評価指数、前記第二評価指数、及び前記第三評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択する最良形状選択ステップと、を備えていることを特徴とする。
【0014】
ここで、「スペクトル密度の分布形状が最良」とは、突出したピークの数が同じスペクトル密度をもつ入力信号でも、スペクトル密度のピークがより急峻であるとか、最大のピーク値が2番目の大きさのピーク値と比較してよりピーク間の差が大きいピークが存在する分布状態のことをいう。
【0015】
また、本発明に係る身体情報測定装置は、前記身体情報測定装置であって、前記スペクトル密度の突出したピークの数が4以上となる複数の前記チャネル信号に対して設定される第四評価指数を備え、前記最良形状選択部が、前記第一評価指数、前記第二評価指数、前記第三評価指数、及び前記第四評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る身体情報測定方法は、前記身体情報測定方法であって、前記スペクトル密度の突出したピークの数が4以上となる複数の前記チャネル信号に対して設定される第四評価指数を備え、前記最良形状選択ステップが、前記第一評価指数、前記第二評価指数、前記第三評価指数、及び前記第四評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択することを特徴とする。
【0017】
この発明は、このようなスペクトル密度の分布形状が最良の入力信号のほうが、より高い精度の検出対象生体信号を含むことから、突出したピークの数に応じた評価指数に基づき、スペクトル密度の分布形状が最良の入力信号を選択するとともに、このような信号を利用してさらに好適な身体情報を抽出しようとするものである。
【0018】
また、本発明に係る身体情報測定装置は、前記身体情報測定装置であって、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合、前記最良形状選択部が、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号、前記第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る身体情報測定方法は、前記身体情報測定方法であって、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合、前記最良形状ステップで、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号、前記第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択することを特徴とする。
【0020】
この発明は、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となる信号が、例えば、第一Qチャネル信号と第二Qチャネル信号と複数あった場合に、どれか一つのチャネル信号を選択する際の優先順位を決めるものである(この場合は第一Qチャネル信号を選択する。)。そして、このように優先順位を決めることにより、システムの整合性(ここでは同じ入力信号群に対して結果が常に同じ結果となるという意味でのシステムの整合性インテグリティIntegrity)を確保することができる。
【0021】
また、本発明に係る身体情報測定装置は、前記身体情報測定装置であって、前記検出対象に対する前記電波の前記照射方向を変更する駆動部を備えていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る身体情報測定方法は、前記身体情報測定方法であって、前記検出対象に対する前記電波の前記照射方向を変更する調節ステップを備えている特徴とする。
【0023】
この発明は、検出対象の動きが活発で、例えば、振動する検出対象の表面がレーダーの照射範囲から外れた場合や、レーダーが検出できない方向にマイクロ波が反射して検出対象信号を精度よく検出できない場合であっても、検出対象生体信号を受信できるように検出対象に対するマイクロ波の照射方向を変えることで再び計測することができ、可能な限り継続した計測を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、検出対象に対するレーダーの対向性や距離等が時々刻々と変化する計測環境下であっても、検出対象が有する周期的な検出対象生体信号を精度よく抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る身体情報測定装置を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る身体情報測定装置による測定方法を示すフロー図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る身体情報測定装置による(a)突出したピーク数が1つのスペクトル密度、(b)突出したピーク数が2つのスペクトル密度、(c)突出したピーク数が3つのスペクトル密度、(d)突出したピーク数が4以上のスペクトル密度を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る身体情報測定装置を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る身体情報測定装置による測定方法を示すフロー図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る身体情報測定装置を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る身体情報測定装置による測定方法を示すフロー図である。
【図8】(a)心拍数のHolter心電計による心拍数の測定結果、(b)本発明に係る身体情報測定装置による心拍数の測定結果、(c)同一時刻における体動発生状況をそれぞれ示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る身体情報測定装置1は、図1に示すように、被験者(検査対象)Uが横たわるベッドB内の異なる位置に配された第一レーダー2(第一マイクロ波送受信部材又は第一レーダーアンテナとも称する。以下、同じ。)及び第二レーダー3(第二マイクロ波送受信部材又は第二レーダーアンテナとも称する。以下、同じ。)と、これらから被験者Uに向けて送信されるマイクロ波(電波)を供給及び制御するとともに、被験者Uから反射した入力信号の受信処理を行う送受信制御部5と、受信処理された入力信号を増幅するとともにデジタル処理を行う増幅変換装置6と、入力信号から必要な身体情報を検出するためのコンピュータ7と、を備えている。これらは、信号伝送可能に接続されている。
【0027】
なお、ベッドBの上面には、ベッドB上で横たわる被験者Uを検知する被検体検知部材(不図示)が配されていてもよい。この被検体検知部材は、例えば、被検者Uの重量(体重)に基づいて、被検者UがベッドBから離れているか否かを検知するシート状のセンサ、いわゆる、離床センサ(徘徊センサ)によって構成されている。なお、離床センサについては、例えば、公知の製品(“株式会社テクノスジャパン│転倒・転落対策に!ベッドコール”、「online」、2003年9月9日、株式会社テクノスジャパン、「2009年1月16日検索」、URL:http://www.technosj.co.jp/alarm/bc.html)を使用することが可能である。
【0028】
第一レーダー2及び第二レーダー3は、さらに、マイクロ波を照射する不図示の照射部と、被験者Uからの反射波を受信する不図示の受信部と、をそれぞれ備えている。つまり、第一レーダー2の照射部から照射された送信用のマイクロ波は、被験者Uに当たって被験者Uの生体信号を含んだ第一入力信号(反射波)となって第一レーダー2の受信部に受信される。また、第二レーダー3の照射部から照射された送信用のマイクロ波は、被験者Uに当たって被験者Uの生体信号を含んだ第二入力信号となって第二レーダー3の受信部に受信される。なお、図1(図4及び図6)は、上述の第一レーダー2と第二レーダー3とが、ベッドB上の被検者Uが仰向けになった状態で、被検者Uの心拍数(の情報)を得るために、被検者Uの胸部の左右両側を測定可能な位置にあらかじめ設置されていることを示している。
【0029】
送受信制御部5は、第一レーダー2と第二レーダー3とがマイクロ波を送信すること及び反射波を受信することを制御するためのものである。送受信制御部5は、必要な処理を行うためのプログラム及びデータ等が記憶された不図示のROM(リードオンリーメモリ)、信号データを一時的に保存するための不図示のRAM(ランダムアクセスメモリー)、ROM等に記憶された所定の処理を行う不図示のCPU(中央演算処理装置)と、を備えている。そして、第一レーダー2及び第二レーダー3が受信した被験者Uからの第一入力信号及び第二入力信号を検波するための機能手段として不図示のハードウェア回路及びソフトウェア等によって構成される第一複素信号形成部8及び第二複素信号形成部10を備えている。
【0030】
第一複素信号形成部8は、第一入力信号(反射波)から、上述したIn-phaseチャネル(Iチャネル)及びQuadrature-phaseチャネル(Qチャネル)の2つの直交する信号成分を得るためのもので、第一入力信号をIF信号(Intermediate Frequency)として復調するための不図示の位相検波回路と、不図示の局部発信機と、を備えている。そして、第一入力信号(受信波)と局部発信機の基準信号(ローカル波)との差分をIF信号として周波数ミキサにより抽出する。この際、第一入力信号と同相の信号と90度位相を遅らせた信号との2つの信号を生成する。ここで、第一入力信号の同相成分を第一Iチャネル信号、直交成分を第一Qチャネル信号とする。Iチャネル信号、Q
チャネル信号は、それぞれ出力信号の複素信号表現における実数成分、虚数成分となる。第二複素信号形成部10も第一複素信号形成部8と同様の構成を備えており、第一複素信号形成部8と同様に第二入力信号(反射波)から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する。
【0031】
増幅変換装置6は、直流増幅部11と、A/D変換部12とを備えている(例えば、特許第465228号公報など)。直流増幅部11は、上述の第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号を増幅させるものである。また、A/D変換部12は、直流増幅部11で増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するものである。例えば、増幅変換装置6は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号のそれぞれから、例えば、サンプリング周波数100Hzでサンプリングした信号値をコンピュータ7へ出力する。換言すれば、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号は、増幅変換装置6の直流増幅部11とA/D変換部12とにより所定の処理(増幅及び変換)をされ、この所定の処理をされた信号がコンピュータ7へ出力される。なお、送受信制御部5や増幅変換装置6の一部又は全てがコンピュータに内蔵されていても構わない。
【0032】
コンピュータ7は、必要な処理を行うためのプログラム及びデータ等が記憶された不図示のROM、信号データを一時的に保存するための不図示のRAM、ROM等に記憶された身体情報測定プログラムに応じた処理を行う不図示のCPUと、算出された身体情報を表示する不図示の表示部と、を備えている。
【0033】
コンピュータ7は、複数の生体信号が混在する第一入力信号(反射波)及び第二入力信号(反射波)から所定の身体情報を検出する機能手段として、周波数選択部13と、振幅圧縮部15と、周波数変換部16と、ピーク数選択部17と、信号解析部18と、を含むプログラムを備えている。これらは不図示のハードウェア回路及びソフトウェア等によって実現される。
【0034】
周波数選択部13は、増幅変換装置6からの信号に対して、心拍信号(検出対象生体信号)又は呼吸信号(検出対象生体信号)の主要帯域以外の信号強度を低減させるものである。そして、周波数選択部13は、いわゆるフィルタリング(バンドパスフィルタリング)(例えば、特許4045394号公報参照)を実行する。例えば、心拍用通過帯域として、心拍用最小周波数に、0.5[Hz]、心拍用最大周波数に、3.0[Hz]が予め設定されている。また、呼吸用最小周波数に、0.015[Hz]、呼吸用最大周波数に、0.5[Hz]が予め設定されている。
【0035】
振幅圧縮部15は、複数の生体信号が混在する第一入力信号(反射波)及び第二入力信号(反射波)から心拍信号や呼吸信号を抽出しやすくするために、不図示のAGC(Automatic Gain Control)回路を備え、心拍信号や呼吸信号に応じて予め決められた閾値を超える強度の入力信号の個々の波の振幅のみを圧縮処理する一方、閾値内の強度の波の振幅はそのままの状態とする処理を行う機能手段である。例えば心拍信号の場合、振幅の大きさを電圧表示させた場合で、閾値を±0.03[V]とする。
【0036】
AGC回路による圧縮処理としては、閾値を入力信号の波の山波形の最大値又は波の谷波形の最小値で除した係数を、山波形又は谷波形に乗じて波形を縮小する。
【0037】
周波数変換部16は、圧縮処理されたそれぞれの信号から、例えば、特開2001−257611号公報や、特開2006−258786号公報等に記載された公知の高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を介して、スペクトル密度を演算する機能手段である。なお、FFTとは、離散フーリエ変換 (Discrete Fourier Transform, DFT) を計算機上で高速に計算するアルゴリズムである。
【0038】
ピーク数選択部17は、同一時刻における第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の各スペクトル密度の波形から、心拍信号又は呼吸信号の主要帯域内における突出したピークの数が最少となる信号を選択する機能手段である。図3で示すようなスペクトル密度の波形の軌跡は、コンピュータ7の不図示の表示部に表示される。ここで、「突出したピークの数」は、同一のスペクトル密度分布図上において、所定の周波数刻み幅内における出力の最大値を「ピーク」としたのち、上述のように、ピーク値の大きい順番にピークを並べたときに、予め決められた数値α(例えば3.0)に対して、n番目のピークがn+1番目のピークよりもα倍大きくなる最小の整数nがある場合に、そのnを「突出したピークの数」とする。
【0039】
信号解析部18は、例えば、特開2010−178933号公報の段落番号[0043]から[0048]に記載された公知の処理を行い、選択した信号のスペクトル密度から心拍数や呼吸数を算出する。
【0040】
次に、本実施形態に係る身体情報測定装置1による身体情報測定方法について説明する。
【0041】
この身体情報測定方法は、図2に示すように、照射ステップ(S01)と、受信ステップ(S02)と、第一複素信号形成ステップ(S03)と、第二複素信号形成ステップ(S04)と、周波数選択ステップ(S05)と、振幅圧縮ステップ(S06)と、周波数変換ステップ(S07)と、ピーク数選択ステップ(S08)と、信号解析ステップ(S09)と、を備えている。
【0042】
照射ステップ(S01)では、第一レーダー2及び第二レーダー3からベッドBに横たわる被験者Uに向けて、送受信制御部5によって決められた所定の強度のマイクロ波を照射する。
【0043】
受信ステップ(S02)では、上述のマイクロ波が被験者Uに当たって反射した第一入力信号(反射波)及び第二入力信号(反射波)をそれぞれ第一レーダー2及び第二レーダー3にて受信する。
【0044】
第一複素信号形成ステップ(S03)では、第一複素信号形成部8により、第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する。また、第二複素信号形成ステップ(S04)では、第二複素信号形成部10により、第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する。そして、ここで作成された第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号をそれぞれ増幅変換装置6によって所定の大きさに増幅、A/D変換してその結果をコンピュータ7に出力する。
【0045】
周波数選択ステップ(S05)では、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号に対して、心拍信号又は呼吸信号の主要帯域以外の信号強度を低減する。これは、コンピュータ7内の周波数選択部13にて処理される。
【0046】
振幅圧縮ステップ(S06)では、振幅圧縮部15にて、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号に対して、心拍信号や呼吸信号に応じて予め決められた閾値を超える強度の入力信号の個々の波の振幅のみを圧縮処理する一方、閾値内の強度の波の振幅はそのままの状態とする。
【0047】
なお、呼吸信号の出力は、心拍信号の100倍程度なので、受信ステップ(S02)の後、振幅圧縮ステップ(S06)の体動信号の除去を先に行い、続いて周波数選択ステップ(S03)を実施しても構わない。
【0048】
周波数変換ステップ(S07)では、周波数変換部16にて、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号のそれぞれのスペクトル密度を算出する。
【0049】
ピーク数選択ステップ(S08)では、ピーク数選択部17にて、同一時刻における第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の各スペクトル密度の分布から、心拍信号又は呼吸信号の主要帯域内における突出したピークの数が最少となる信号を選択する。例えば、図3(a)〜(d)に示すようなスペクトル密度が得られた場合、突出したピークの数が最も少ない1つの図3(a)に示す信号を選択する。
【0050】
信号解析ステップ(S09)では、信号解析部18にて、選択したスペクトル密度を有する信号に基づき、信号解析部18にて心拍数や呼吸数を算出する。
【0051】
この身体情報測定装置1及び身体情報測定方法によれば、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の4つの信号のそれぞれのスペクトル密度を比較して、これらのうち突出したピークの数が最少となるスペクトル密度の信号を選択し、この信号に基づいて解析を行うことができる。
【0052】
したがって、被験者Uの体動によって被験者Uに対する第一レーダー2及び第二レーダー3の対向性や被験者Uとの距離等が時々刻々と変化する計測環境下であっても、変化の影響を低減して心拍数や呼吸数を精度よく抽出することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図4及び図5を参照しながら説明する。
なお、上述した第一実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係る身体情報測定装置20のコンピュータ21が、図4に示すように、最良形状選択部22をさらに備えているとした点である。
【0054】
最良形状選択部22は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の各信号間にてスペクトル密度の突出したピークの数が同一の場合、突出したピークの数に応じて適用される第一評価指数、第二評価指数、又は第三評価指数を算出して、突出したピークの数が同一の信号同士から、さらにスペクトル密度分布の形状が最良となるスペクトル密度を有する信号を選択する。
【0055】
ここで、第一評価指数は、0以上1以下の範囲のなかで、スペクトル密度の突出したピークの数が1つの複数の信号からスペクトル密度分布の形状が最良となる信号を選択するため、例えば、突出した1つのピークの電力量が心拍信号又は呼吸信号の主要帯域全体の電力総量の値に近づくほど、0に近づく(スペクトル密度分布の形状が最良になる)ように設定されている。第二評価指数は、1以上2以下の範囲のなかで、スペクトル密度の突出したピークの数が2つの複数の信号からスペクトル密度分布の形状が最良となる信号を選択するため、例えば、最も突出したピーク値に対して2番目に突出したピーク値の大きさが小さいものほど1に近づく(スペクトル密度分布の形状が最良になる)ように設定されている。
【0056】
第三評価指数は、2以上4以下の範囲のなかで、スペクトル密度の突出したピークの数が3つの複数の信号からスペクトル密度分布の形状が最良となる信号を選択するため、例えば、最も突出したピーク値に対して2番目に突出したピーク値の大きさが小さいほど、かつ最も突出したピーク値に対して3番目に突出したピーク値の大きさが小さいほど2に近づく(スペクトル密度分布の形状が最良になる)ように設定されている。そして、最良形状選択部22は、これら評価指数が最も小さくなるスペクトル密度分布を有する信号を選択する。
【0057】
なお、スペクトル密度の突出したピークの数が4以上となる信号に対し、上述のように突出した各ピーク値の大きさの比較により算出され、又は、予め一定の値に設定される第四評価指数をさらに備えていてもよい。そして、最良形状選択部22は、第一評価指数、第二評価指数、第三評価指数、及び第四評価指数のうち、評価指数が最も小さくなるスペクトル密度分布を有する信号を選択してもよい。以降、コンピュータ21が第四評価指数まで備えている場合について説明する。
【0058】
この際、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合、最良形状選択部22は、一の信号を選択するための優先順位を規定している。すなわち、最良形状選択部22は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択する。例えば、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が第一Qチャネル信号と第二Qチャネル信号とである場合には、第一Qチャネル信号を選択する。
【0059】
次に、本実施形態に係る身体情報測定装置20による身体情報測定方法について説明する。
【0060】
この身体情報測定方法は、図5に示すように、照射ステップ(S01)と、受信ステップ(S02)と、第一複素信号形成ステップ(S03)と、第二複素信号形成ステップ(S04)と、周波数選択ステップ(S05)と、振幅圧縮ステップ(S06)と、周波数変換ステップ(S07)と、ピーク数選択ステップ(S08)と、最良形状選択ステップ(S20)と、信号解析ステップ(S09)と、を備えている。
【0061】
最良形状選択ステップ(S20)では、最良形状選択部22にて、スペクトル密度の突出したピークの数に応じて第一評価指数、第二評価指数、第三評価指数、又は第四評価指数を算出して、ピーク数が同一となる信号間から、スペクトル密度の分布形状が最良となる信号を選択する。
【0062】
ここで、第一評価指数は、図3(a)に示すスペクトル密度に対して、例えば、V=1−(P1/Pt)(P1はピーク値、Ptは心拍信号又は呼吸信号の主要帯域全体の電力総量)で表される。すなわち、P1がPtに近づくほど(該当帯域に他のピークがなく、1つの突出したピークが急峻な形状であるほど)、評価指数Vは0に近づく。
【0063】
第二評価指数は、図3(b)に示すスペクトル密度に対して、例えば、V=1+(P2/P1)(P1は2つの突出したピークのうち大きい方のピーク値、P2は小さい方のピーク値)で表される。すなわち、2つのピーク値の差が大きいほど評価指数Vは1に近づく。
【0064】
第三評価指数は、図3(c)に示すスペクトル密度に対して、例えば、V=2+(P2/P1)+(P3/P1)(P1は3つの突出したピークのうち、最も大きいピーク値、P2は2番目に大きいピーク値、P3は3番目に大きいピーク値)で表される。すなわち、最も突出したピーク値が他のピーク値よりも大きいほど、評価指数Vは2に近づく。
【0065】
第四評価指数は、図3(d)に示すスペクトル密度のように突出したピークの数が4以上のスペクトル密度に対するもので、ここでは5の一定の値に設定されている。
そして、スペクトル密度の突出したピークの数に応じた各評価指数Vを算出し、Vの値が最も小さい信号を信号解析ステップ(S09)へ送り出す。
【0066】
この際、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合には、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択する。
【0067】
この身体情報測定装置20及び身体情報測定方法によれば、突出したピークの数が同じスペクトル密度の入力信号同士でも、スペクトル密度の分布形状がより良い(より急峻なピーク、または他のピーク値間の値の差が大きい)入力信号を選択することが可能となり、その結果としてより好適な心拍信号や呼吸信号を含む信号を選択することができ、より高い精度で心拍数や呼吸数を抽出することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図6及び図7を参照しながら説明する。
なお、上述した第一実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、本実施形態に係る身体情報測定装置30が、図6に示すように、駆動部31をさらに備えているとした点である。
【0069】
駆動部31は、第一レーダー2及び第二レーダー3の近傍にそれぞれ配された駆動機構部32と、コンピュータ33に配された駆動制御部35とをさらに備えている。駆動機構部32は、不図示の公知の駆動源及びこの駆動源からの駆動力を伝達する機構部をさらに備えている。
【0070】
駆動制御部35は、被験者Uからの反射波から生成される第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号において心拍信号又は呼吸信号が検出可能なレベルで入力されない場合に、各信号が検出可能なレベルになるまでに必要な、第一レーダー2及び第二レーダー3の被験者Uに対する移動角度を算出して駆動源を制御する。
【0071】
駆動部31は、ターゲットとなる心拍信号又は呼吸信号が検出可能レベルで第一レーダー2及び第二レーダー3へ入力されない状態のときだけでなく、上記第2の実施形態においてスペクトル密度の突出したピークの数が3以下の信号がなく、4以上の突出したピークの数が一定時間以上続く場合に稼働するようにしてもよい。
【0072】
次に、本実施形態に係る身体情報測定装置30による身体情報測定方法について説明する。
【0073】
この身体情報測定方法は、図7に示すように、照射ステップ(S01)と、受信ステップ(S02)と、第一複素信号形成ステップ(S03)と、第二複素信号形成ステップ(S04)と、周波数選択ステップ(S05)と、振幅圧縮ステップ(S06)と、周波数変換ステップ(S07)と、ピーク数選択ステップ(S08)と、最良形状選択ステップ(S20)と、調節ステップ(S30)と、信号解析ステップ(S09)と、を備えている。
【0074】
調節ステップ(S30)は、受信ステップ(S02)にて第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号において心拍信号又は呼吸信号が検出可能なレベルで入力されない場合に、又は上記第2の実施形態においてスペクトル密度の突出したピークの数が3以下の信号がなく、4以上の突出したピークの数が一定時間以上続く場合に実施される。このとき、駆動部31により、第一レーダー2及び第二レーダー3の被験者Uへの照射角度を調節して、受信状態の改善を行う。
【0075】
この身体情報測定装置30及び身体情報測定方法によれば、被験者Uの体の位置が移動して脈波により振動している体表面、あるいは呼吸動により周期的に動いている体表面が第一レーダー2及び第二レーダー3の照射範囲から外れたときに、第一レーダー2及び第二レーダー3の照射角度を変えて再び検出できるようにしてから再度計測を行うことができ、可能な限り継続した計測を行うことができる。
【0076】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態における各ステップでの評価指数等の判断基準は、例示したものに限定されることはない。また、生体信号も、上述した信号に限定されることはない。また、被験者はベッドのみに横たわった状態である必要はなく、マッサージチェア等、他の手段を用いて測定しても構わない。
【実施例1】
【0077】
本発明に係る身体情報測定装置を用いて心拍数を測定した。結果を図8(b)に示す。心拍数測定の定番であるHolter心電計(図8(a))と比較して大きな差異もなく計測することができた。また、図8(c)に示すように、高頻度の体動があっても微弱な脈波振動のデータも検出することができた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、医師や看護士等が、診察室やナースステーション等の病院内や、外出・帰宅時の病院外において、病室内の入院患者の安否確認する場合等に有用である。また、例えば、在宅介護者が、自宅内の別室や外出時の遠隔地において、被介護者(要介護者)の安否確認する場合にも有用である。また、例えば、動物園で冬眠中の熊等の動物の生態の研究のため、非接触状態において観察する場合等にも有用である。
【符号の説明】
【0079】
1,20,30 身体情報測定装置
8 第一複素信号形成部
10 第二複素信号形成部
16 周波数変換部
17 ピーク数選択部
18 信号解析部
22 最良形状選択部
31 駆動部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置から検出対象に向けて電波がそれぞれ照射され、周期性を有する検出対象生体信号を含んで前記検出対象からそれぞれ反射してなる第一入力信号及び第二入力信号から、所定の身体情報を検出する身体情報測定装置であって、
前記第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する第一複素信号形成部と、
前記第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する第二複素信号形成部と、
前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出する周波数変換部と、
前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号から、前記検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各前記スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択するピーク数選択部と、
選択された信号から前記身体情報を抽出する信号解析部と、
を備えていることを特徴とする身体情報測定装置。
【請求項2】
前記スペクトル密度の突出したピークの数が1となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第一評価指数と、
前記スペクトル密度の突出したピークの数が2となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第二評価指数と、
前記スペクトル密度の突出したピークの数が3となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第三評価指数と、
を備え、
前記第一評価指数、前記第二評価指数、及び前記第三評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択する最良形状選択部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の身体情報測定装置。
【請求項3】
前記スペクトル密度の突出したピークの数が4以上となる複数の前記チャネル信号に対して設定される第四評価指数を備え、
前記最良形状選択部が、前記第一評価指数、前記第二評価指数、前記第三評価指数、及び前記第四評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択することを特徴とする請求項2に記載の身体情報測定装置。
【請求項4】
前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合、前記最良形状選択部が、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号、前記第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択することを特徴とする請求項2又は3に記載の身体情報計測装置。
【請求項5】
前記検出対象に対する前記電波の前記照射方向を変更する駆動部を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の身体情報測定装置。
【請求項6】
異なる位置から検出対象に向けて電波がそれぞれ照射され、周期性を有する検出対象生体信号を含んで前記検出対象からそれぞれ反射してなる第一入力信号及び第二入力信号から、所定の身体情報を検出する身体情報測定方法であって、
前記第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する第一複素信号形成ステップと、
前記第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する第二複素信号形成ステップと、
前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出する周波数変換ステップと、
前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号及び前記第二Qチャネル信号から、前記検出対象生体信号が含まれる周波数領域内で同一時刻における各前記スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択するピーク数選択ステップと、
選択された信号から前記身体情報を抽出する信号解析ステップと、
を備えていることを特徴とする身体情報測定方法。
【請求項7】
前記スペクトル密度の突出したピークの数が1となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第一評価指数と、
前記スペクトル密度の突出したピークの数が2となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第二評価指数と、
前記スペクトル密度の突出したピークの数が3となる複数の前記チャネル信号から、前記スペクトル密度の分布形状が最良の信号を選択するための第三評価指数と、
を備え、
前記第一評価指数、前記第二評価指数、及び前記第三評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択する最良形状選択ステップを備えていることを特徴とする請求項6に記載の身体情報測定方法。
【請求項8】
前記スペクトル密度の突出したピークの数が4以上となる複数の前記チャネル信号に対して設定される第四評価指数を備え、
前記最良形状選択ステップが、前記第一評価指数、前記第二評価指数、前記第三評価指数、及び前記第四評価指数を比較して、前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号を選択することを特徴とする請求項7に記載の身体情報測定装置。
【請求項9】
前記ピークの数が最少かつ前記評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合、前記最良形状選択ステップで、前記第一Iチャネル信号、前記第一Qチャネル信号、前記第二Iチャネル信号、前記第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択することを特徴とする請求項7又は8に記載の身体情報計測装置。
【請求項10】
前記検出対象に対する前記電波の前記照射方向を変更する調節ステップを備えていることを特徴とする請求項6から9の何れか一つに記載の身体情報測定方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−78413(P2013−78413A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218925(P2011−218925)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】