説明

身体排出物の収集装具

身体への取り付け用の身体排出物収集装具であって、第1の壁および第2の壁を含む収集パウチ(2)を含み、該パウチは接着ウエハ(1)に取り付けられており、該ウエハの中心部は前記のパウチの第1の壁の一部を構成しており、前記のウエハは、透過性の裏引き層(3)、少なくとも1つの柔軟な吸収性接着剤層(5)を含み、前記のウエハは少なくとも中心部に水分不透過性層(7)を含んでいる、装具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体への装着用および身体排出物の収集用の収集装具に関する。
【0002】
身体排出物収集用の収集装具、造瘻器具、創傷もしくは瘻孔廃液帯具または尿収集装具は、通常は容器、例えば袋、パウチもしくは排出物を受け入れるための管の形態であり、患者の皮膚に取り付けることができる接着ウエハに結合されている。このウエハは、通常は、皮膚に面する表面上を接着剤層で被覆されている裏引き層(backing layer)の形態であり、またこのウエハは更に身体の開口に適合する開口部を備えていることができる。前記の開口部の大きさおよび形状は、多くの場合、患者の解剖学的構造に適合するように個別に適合させることができる。
【0003】
このような装具の極めて重要な部品の1つは接着ウエハである。このウエハは、身体の開口の周りに洩れが起きないように適合することができなければならず、また皮膚からの意図しない脱離がないような、皮膚への良好な接着を有しているが、しかしながら、同時にこのウエハは皮膚を損傷することなく再び取り外すことが容易でなければならない。更に、このウエハは、身体の動作に追随することが出来なければならず、また装着するのが心地よくなければならない。接着剤および裏引き層がこれらの特性を決定する。
【0004】
収集装具に用いられる皮膚接着ウエハを設計する場合には、主要な課題は、浸軟を防ぐために接着剤の下の皮膚を比較的に乾燥状態に保つことである。浸軟は、皮膚が蒸散から水分を取り除くことが出来ず、そして皮膚の障壁機能の劣化をもたらし、また劣悪な接着をもたらす場合に発生する。
【0005】
通常は、皮膚接着剤は、水分透過性であることによって皮膚を乾燥状態に保つ。このことが、水分が、皮膚の側から上側(皮膚とは反対側)へと接着剤を通して運ばれることを可能にしており、そこで水分は蒸発することができる。しかしながら、この機構は、身体排出物の収集用の皮膚接着剤には用いることができない、何故ならば、この場合には接着剤の上側は収集パウチによって被覆されているか、または100%に近い相対湿度であるパウチの内部に曝されているからである。従って、身体排出物の収集用パウチを付着させるための接着剤は吸水性に作られている。吸収性粒子または親水コロイド(HC)が接着剤マトリックスへと混合されて皮膚からの水分を吸収し、またそれによって皮膚を比較的に乾燥状態に保つ。この技術は当技術分野でよく知られており(例えば米国特許第4551490号明細書を参照)、そして大抵の商業的に入手可能な造瘻器具の基礎を形成している。
【0006】
このような装具の全てで、水分不浸透性の裏引き層が接着剤の上側を被覆しており、収集パウチの内部の身体排出物からの水分が裏引き層を通してそして接着剤中に浸透して、さもなければ皮膚からの水分を吸収するために用いられるべき接着剤の吸収能力を満たしてしまうことを防いでいる。この裏引き層は通常は、ポリエチレン(PE)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)を含む単層または多層構造である。これらの物質は、それらが安価であり、またそれらがパウチもしくはパウチ用のカップリング環が接着ウエハ上に溶着することを可能にする溶着性能を有しているために選択される。これらの層に要求される機械的性能は、第一に、それらがウエハを取り外す時に接着剤の剥離力に耐えるに十分高い引張強度を有していなければならないことである。
【0007】
全体の装具が、装着者の皮膚基質とともにより伸びることができ、そして従ってより快適な製品を得るようなより柔軟な膜を見出す努力がなされてきた。しかしながら、吸収性接着剤、例えば親水コロイド接着剤は全て相対的に厚く、また固い接着剤であり、従って、より柔軟な膜を使用することは接着ウエハの柔軟性および可撓性に大きな影響を与えはしないが、それは何故ならば、接着ウエハ全体の柔軟性を決めるのは主に接着剤の柔軟性であり、そして裏引き層の柔軟性ではないためである。
【0008】
柔軟な吸収性接着剤の最近の開発に伴って、裏引き膜の柔軟性がなおさらに重要になってきている。現在では、接着ウエハの柔軟性の下限を定めるのはもはや接着剤の柔軟性ではなく、裏引き層であり、そしてこのことがこのような層が如何に柔軟でなくてはならないかという新たな制約を課している。
【0009】
従って、柔軟な接着剤を備えたウエハを扱う場合には、裏引き層には2つの本質的な機械的要求が存在する。すなわち、裏引き層は装着の間は柔軟でなければならず、すなわち、約0〜20%の身体の動作からの小さな変形に対処でき、また収集装具を取り外す際の剥離の負荷を支えるのに十分な引張強度を有している。
【0010】
小さな変形でより柔軟な膜であり、なお高い引張強度を有している柔軟な膜への要求が、現存する膜材料を、このような装具用の裏引き膜としての使用に適切ではなくしてしまっている。従来の裏引き層は、それらをより柔軟にするにはより薄くすることができるが、しかしながらこのことはこの層の引張強度を取り外しに要求される強度より小さくしてしまう。満足する性質を備えた膜は他の種類の物質から見出さなければならず、これらの物質は水分透過性であることができ、そしてパウチからの水分の裏引き層を通した吸収性接着剤中への逆流の問題が、突然に問題となる可能性がある。
【背景技術】
【0011】
大抵の従来の収集装具は、水分がパウチ中の排出物から吸収性接着剤中へと流れる問題を解決するために不浸透性の裏引き層を用いている。
【0012】
他の従来の接着ウエハは、裏引き層に目の開いた不織材料を用いているが、しかしながらパウチの壁を、接着ウエハ全体の中央部で不織布に溶着している。このことで、パウチから接着剤への水分の流れが止められるが、しかしながらパウチ材料が不織不に比べて固いので、接着ウエハの可撓性もまた低減されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4551490号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、水分に対して制御された浸透性を有する、柔軟でまた可撓性の収集装具への要求がなお存在している。
【0015】
本発明の目的は、患者の快適性を改善し、また患者の身体の開口部の周りの領域で発生する可能性がある、皮膚の炎症もしくは皮膚の損傷を排除、または少なくともかなりの程度低減する、身体排出物収集装具を提供することにある。
【0016】
本発明の1つの目的は、水分がパウチから吸収性接着剤へと通過するのを防ぐ、収集装具を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、使用者の身体への柔軟で、また可撓性のある取り付け具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は身体への取り付け用の身体排出物の収集装具であって、第1の壁および第2の壁を含む収集パウチを含み、該パウチは接着ウエハに取り付けられており、該ウエハの中心部は該パウチの第1の壁の一部を構成し、該ウエハは透過性の裏引き層、少なくとも1つの吸収性接着剤層を含み、該ウエハは少なくとも中央部に水分不透過性の層を含む、収集装具に関する。
【0019】
身体排出物の収集装具とは、所定の時間、収集品目中に排出物を収集し、そして保持することができる装具を意味している。この装具の皮膚への固定は、皮膚接着剤によって得られ、また身体排出物の収集は袋によって得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
驚くべきことに、好ましくは吸収性接着剤および半透過性裏引き層の間に配置された水分不透過性の物質の層を備えた収集装具のウエハを提供することによって、高い引張強度を備え、接着剤中への水分の逆流がない、柔軟な接着ウエハをもたらすことができることが示された。
本発明は、図面を参照することによってより詳細に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明による収集装具の実施態様を示している。
【図2】図2は本発明の他の実施態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、水分透過性膜の機械的性質と柔軟な層の水分不透過性および機械的特徴とを組み合わせて、それによって高い引張強度を備えた柔軟な水分不透過性の接着ウエハを実現したものである。
【0023】
透過性膜とは、ここに開示した方法を用いて測定したMVTRが100g/m/24時間超であることを意味する。
【0024】
不透過層とは、ここに開示した方法を用いて測定したMVTRが20g/m/24時間未満であることを意味する。
【0025】
柔軟な水分不透過性膜(バリアー膜)とは、ここに開示した方法を用いて、20%の変形において0.25N/4mm未満の引張強度を備えた水分不透過層を意味する。
【0026】
裏引き層の高い引張強度とは、2.5N/4mm超の最大引張強度を備えた裏引き層を意味する。
【0027】
柔軟な裏引き層とは、ここに開示した方法を用いて、20%の変形において0.75N/4mm未満の引張強度を備えた裏引き層を意味する。
【0028】
本発明の収集装具における柔軟な接着剤の使用は、使用者に完全に新しい特徴を提供する。親水コロイド接着剤を含み、比較的に固い従来の接着ウエハとは逆に、本発明による装具は、使用者に漏洩のより低い危険性と同様により大きな快適性を提供する。低い弾性率の裏引き層と共にこのような柔軟な接着剤を含む装具は、身体への優れた取り付けを提供する。
【0029】
しかしながら、柔軟でそして薄い裏引き層の使用と組み合わせて柔軟な接着剤を用いる場合には、このような層は水分透過性であろう。パウチの内側の湿度は100%であるので、この水分はパウチから接着剤裏引き層を通して吸収性接着剤へと移動することができる。パウチからのこの水分の吸収は、さもなければ皮膚からの水分の吸収に用いられるはずの吸収能力を低減してしまう。
【0030】
不透過性のバリアー層を備えたウエハを提供することによって、水分はパウチから接着ウエハの中心部を通して皮膚へと通過することは出来ず、そして逆の方向への水分の通過の問題が回避される。
【0031】
本発明の1つの実施態様では、バリアー層はウエハの中心部へだけに広がっている。中心部とは、パウチの内部であるウエハ表面の領域を意味している。このようにして、パウチの内部でない接着ウエハの領域は、接着ウエハを通して、そして環境中へと水分を通過させることができ、そしてそれによって接着剤の装着時間を延長することができる。
【0032】
本発明の1つの実施態様では、バリアー層はウエハの全体の領域に広がっており、ウエハの製造を容易にさせている。更に、このことは接着ウエハ全体の総合的な機械的強度を改善することができる。
【0033】
このバリアー層の厚さは、この膜が水分不透過性であり、またウエハを固くさせ過ぎない限りにおいて、5μm〜1000μmの範囲であることができる。
【0034】
このバリアー層は、好ましくは透過性の裏引き層と吸収性接着剤の間に配置される。
【0035】
このバリアー層は、個別の層、接着剤層もしくは被覆物であってもよく、またはバリアー層は裏引き層上に噴霧されていてもよい。
【0036】
このバリアー層は、好ましくは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることができる。このようなものの例としては、3元ブロック共重合体、例えばSIS(スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、またはブロック共重合体、例えばEMA(エチレン−メチルアクリレート)、EVA(エチレン酢酸ビニル)、およびEBAが挙げられる。また、この膜は天然ゴムまたは合成ゴム、例えばPIB(ポリイソブチレン)またはPB(ポリブチレン)であることができる。上記の混合物もまた用いることができる。更に、樹脂、オイルおよび可塑剤を、バリアー層の機械的性質を設計するために加えることができる。
【0037】
本発明の1つの実施態様では、ウエハの周辺部はパウチの外側にある。
【0038】
本発明の他の実施態様では、水分不透過層はウエハの周辺部に広がっている。このバリアー層は、裏引き層と同じ大きさであってもよい。
【0039】
本発明の1つの実施態様では、このバリアー層は、パウチの内部にあるウエハの領域、このウエハの中心部を覆っている。従って、パウチの外側にあるウエハの周辺部は、バリアー層で覆われていなくてもよい。
【0040】
パウチの内側および外側の定義:パウチはカップリングによって、またはウエハの表面に直接溶着することによってウエハに取り付けられており、またこの固定は、1つの区域、通常は中心の開口部を取り囲む円形の線であり、通常はストーマを受け入れるために、この開口部よりも大きいが、しかしながらウエハの外周よりも小さい直径を備えている。この中心領域が、固定線および開口部の間にあり、パウチの内側であり、また周辺領域が、外周と固定領域の間であり、パウチの外側である。
【0041】
本発明の装具の接着ウエハは異なる形状、例えば円形の、楕円形の、四角の、もしくは使用者が定めた形状を有していてもよく、その形状は、開口部と同様に、固定区域に適用される。
【0042】
本発明の好ましい実施態様では、水分不透過層は裏引き層と接着剤層との間に配置されている。
【0043】
本発明の1つの実施態様では、水分不透過層は裏引き層の表面上に配置されており、それは裏引き層の皮膚に向かうとは反対側の上である。
【0044】
水分不透過層は膜の形態であってもよく、または水分不透過層はあるいは被覆物の形態であってもよい。
【0045】
接着ウエハは、低吸収性接着剤層を含んでいてもよい。本発明の好ましい実施態様では、この低吸収性接着剤層は皮膚に接触する層であり、そして好ましくは低吸収性の、液体不透過性の、水分透過性接着剤組成物を含んでいる。
【0046】
低吸収性とは、接着剤が、水分に曝された場合に、その接着特性を維持するために、少量の水分だけを吸収することを意味している。接着剤の、その乾燥状態からその生理食塩水との平衡状態への質量増加は、ここに開示された方法を用いて測定して、8%未満、好ましくは4%未満でなければならない。さもなければ、接着剤が水分を吸収した場合に、剥離力が低下し過ぎる。
【0047】
本発明の1つの実施態様では、水分不透過層は接着剤層である。
【0048】
水分不透過層は、接着ウエハの機械的な剛性を増加させないことが好ましい。
【0049】
前述の実施態様による装具の利点は、流体と接触した場合に、この装具がその完全性を維持することである。これに関連して、もしも装具の開口が小さ過ぎた場合には、この開口は、ストーマにその大きさを適合させるために、打ち抜きまたは切断によって開口を大きくすることができることに注目しなければならない。ストーマ袋の従来の固定の構成は、この種の適用をより容易にするために、例えば螺旋形の線の形態の切断マークを与えられている。このような大きさの適合は、ストーマの周りの皮膚の可能性のある最小限の面積が、ストーマ袋中に収集された腸管の内容物と接触することを確実にするために重要である。既に述べたように、この装具の造形性(shapeability)は、円形からは外れる可能性があるストーマの断面形状にこの装具が適合するように、開口の形状を精細に適合させることが容易であることを意味している。
【0050】
本発明の装具の裏引き層は、好ましくはポリマー膜、被覆物、積層物、繊維製品もしくは不織布の形態である。この裏引き層は、好ましくは高度に可撓性の膜であり、例えばカップリングおよび/またはパウチの取り付け、およびこの装具の無傷での取り外しに十分に強く、しかしながら身体の動作に追随するのに十分に柔軟である。
【0051】
好ましい裏引き層はポリウレタン膜である。
【0052】
好ましくは、裏引き層は熱可塑性物質要素を有しており、それが例えばパウチもしくはカップリング環を接着ウエハへ溶着するのを可能にしている。裏引き層の好ましい厚さは、接着ウエハの柔軟性を維持するために15〜60μmの範囲である。
【0053】
本発明の装具は、柔軟でありまた装着するのが快適であり、良好な粘着性タックを有しているが、しかしながら更に取り外しが容易で、また穏やかであり、そして水分の透過性があり、従って親水コロイド接着装具の欠点を克服している。この接着剤は侵食に耐え、そして水分に曝された場合にそのタックを緩めない。
【0054】
所望によるウエハの低吸収性接着剤と同様に、この吸収性接着剤は、液体不透過性であるが、しかしながら水分透過性であるいずれかの柔軟な接着剤であることができる。好ましい接着剤は柔軟なゲル接着剤、例えばシリコーンまたはポリウレタン接着剤である。特に好ましい接着剤は、ポリアルキレンオキシドポリマーおよび有機シロキサンを主成分とする架橋接着剤系である。
【0055】
液体不透過性、水分透過性層は、液体はこの層を通して透過させないが、しかしながら水分はこの層を通して透過させる層である。
【0056】
本発明の好ましい実施態様では、この接着剤はエチレン酢酸ビニルを含んでいる。
【0057】
エチレン酢酸ビニルを含む接着剤は、好ましくは、例えばデンマーク国特許出願第PA200701003号中に開示されている接着剤組成物などの当技術分野で知られている接着剤であることができる。
【0058】
本発明の好ましい実施態様では、この接着剤はポリアクリレートを含んでいる。
【0059】
本発明の好ましい態様では、接着ウエハは、ポリアルキレンオキシドおよび有機シロキサンを主成分とする架橋接着剤系を含む接着剤と、低弾性率の裏引き層との組み合わせを含んでいる。この柔軟な構成が、傷、凹凸および皮膚のひだへの容易な適応を促進する。この装具は、極度の可撓性のために最小限の痛みで取り外すことができ、また皮膚細胞は剥ぎ取られるがことなく、そして従って皮膚の外傷が発生しない。この柔軟な接着剤は、使用の間に幅広の引き剥がしの前線(front)と良好な強さを有している。接着剤の再配置もまたタックの損失なしに可能である。
【0060】
また、接着ウエハが身体の動作に追随するためには、柔軟な裏引き層が好ましい。本発明による装具の裏引き層は、ここに記載した技術を用いて測定した時に、20%伸びで好ましくは0.75N/2.5cm未満の力、好ましくは0.5N/2.5cm未満の力を有している。
【0061】
低弾性率の裏引き層とは、ここに記載した技術を用いて測定した時に、20%伸びで好ましくは0.75N/4mm未満の力、好ましくは0.5N/4mm未満の力を有している裏引き層を意味している。
【0062】
本発明の装具の他の重要な性質は、用いられる柔軟な接着剤の接着力が、装具の装着時間の間に、時間とともに変化しないか、または時間と共にほんの僅かしか変化しないことである。
【0063】
この接着ウエハは非吸収性接着剤の層を含んでいてもよい。この接着ウエハは異なる性質を備えた2種またはそれ以上の接着剤層の積層物を含んでいてもよい。異なる性質とは、例えば吸収、透過性または機械的性質を意味する。第1の接着剤層は吸収性であり、一方で第2の層は非もしくは低吸収性であることができる。接着剤の吸収性は、接着剤中に吸収性物質を、例えば吸収性粒子もしくは塩の形態で、混合することによって得ることができる。
【0064】
低吸収性接着剤層が皮膚に面する表面上にあることが好ましい。低吸収性接着剤層の薄層を皮膚に直面させ、裏引き層に面する吸収性の接着剤の他の層と組み合わせることで、皮膚から、そして吸収性層へと水分を運ぶことができる皮膚に優しい皮膚への取り付けを提供する。
【0065】
本発明の装具に用いられる接着剤は、高い水蒸気透過速度を有しており、好ましくは100g/m/24時間超のMVTRを有しており、このことはこの装具を通気可能とし、また非常に皮膚に優しくする。この接着剤の高い水分透過率は、医療用装具が皮膚上に長期間、例えば数日間装着されなければならない場合に特に有利である。
【0066】
ここで用いられる水蒸気透過性疎水性ポリマーとは、平衡時に5質量%未満、好ましくは1質量%未満吸収し、また100g/m/24時間超、好ましくは200g/m/24時間超の水蒸気透過速度するポリマーを意味する。
【0067】
ここで用いられる架橋は、高分子(ポリマー鎖構造)中の小領域であって、そこから2本超の鎖が出ている小領域を意味している。
【0068】
本発明の好ましい実施態様中では、本発明の装具の接着剤層は、ポリアルキレンオキシドポリマーおよび有機シロキサンを主成分とする架橋された接着剤系を含んでいることができる。
【0069】
本発明の1つの実施態様では、このウエハの接着剤層は、付加反応触媒の存在下で行なわれる、
(i)1つまたはそれ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーおよび、
(ii)1つまたはそれ以上のSi−H基を含む有機シロキサン、
の反応生成物を含んでいる。
【0070】
本発明の他の実施態様では、この装具の接着剤組成物は、90質量%超の、3個またはそれ以上の炭素原子を有する重合アルキレンオキシド部分からなるポリアルキレンオキシドポリマーを含んでいる。
【0071】
本発明の他の実施態様では、この装具の接着剤組成物は、付加反応触媒の存在下で行なわれる、
(i)2つ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマー(90質量%超のポリアルキレンオキシドポリマーが、3個またはそれ以上の炭素原子を有する重合アルキレンオキシド部分からなる)
(ii)3つまたはそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤、および場合によっては、
(iii)2以下のSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤、の反応生成物を含んでいる。
【0072】
本発明の好ましい実施態様では、この付加反応触媒はPtビニルシロキサン錯体である。
【0073】
本発明の好ましい実施態様では、このポリアルキレンオキシドポリマーはポリプロピレンオキシドである。
【0074】
本発明の更に好ましい実施態様では、前記の反応生成物中のポリアルキレンオキシドの質量%は60%以上である。
【0075】
1つまたはそれ以上の不飽和基を有するこのポリアルキレンオキシドポリマーは、分岐していても、または直鎖でもよい。
【0076】
しかしながら、好ましくは、このポリアルキレンオキシドポリマーは直鎖であり、また2つの不飽和末端基を有している。
【0077】
本発明の1つの好ましい実施態様では、このポリアルキレンオキシドポリマーはポリプロピレンオキシドである。
【0078】
不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、下記の式の化合物であることができる。
CH2=C(R1)-(Z)-O-(X)n-(W)-C(R2)=CH2 (Ia)
または、
CH(R1)=CH-(Z)-O-(X)n-(W)-CH=CH(R2) (Ib)
ここで、RおよびRは独立して水素およびC1−6アルキルから選ばれ、ZおよびWはC1−4アルキレン、Xは−(CH−O−または−CH−CH(CH)−O−、またnは1〜900、より好ましくは10〜600、もしくは最も好ましくは20〜600である。
【0079】
不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、好ましくは500〜100000の範囲、より好ましくは500〜50000の範囲、そして最も好ましくは1000〜35000の範囲である。
【0080】
不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、米国特許第6248915号明細書および国際公開第05/032401号に記載されているように、またはそこに記載されている方法に類似して調製することができる。他のポリアルキレンオキシドポリマーは同様に調製することができる。
【0081】
3またはそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤は、下記の式を有する化合物であることが好ましい。
R-SiO(R,R)-(SiO(R,R))m-Si-(R,R,R) (II)
ここで、R基の少なくとも3つは水素であり、またR基の残りはそれぞれ独立してC1−12アルキル、C3−8シクロアルキル、C6−14アリールおよびC7−12アリールアルキルから選ばれ、またmは5〜50、もしくは好ましくは10〜40である。GPCで測定された数平均分子量は、好ましくは500〜3000である。
【0082】
1種またはそれ以上の式(II)の架橋剤を架橋反応に用いることができる。
【0083】
本発明の1つの実施態様では、1種またはそれ以上の、3つまたはそれ以上のSi−H基を含む式(II)の架橋剤および、2以下のSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤の混合物が架橋反応に用いられる。
【0084】
ポリシロキサン鎖延長剤は好ましくは下記の式を有する化合物である。
R3-SiO(R3,R3)-(SiO(R3,R3))m-Si-(R3,R3,R3) (III)
ここでR基の2つ以下は水素であり、またR基の残りはそれぞれ独立して、C1−12アルキル、C3−8シクロアルキル、C6−14アリールおよびC7−12アリールアルキルから選ばれ、またmは0〜50である。GPCで測定される数平均分子量は、好ましくは200〜65000の範囲、最も好ましくは200〜17500の範囲である。
【0085】
ここで用いられるC1−12アルキルは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基を意味し、C1−8アルキルは、1〜8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基を意味し、またC1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基を意味しており、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルである。
【0086】
ここで用いられるC1−4アルキレンは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐の二価のアルキレン基を意味し、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレンおよびイソブチレンである。
【0087】
ここで用いられるC3−8シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味しており、例えばシクロペンチルおよびシクロへキシルである。
【0088】
ここで用いられるC6−14アリールは、フェニルもしくはナフチル基を意味し、場合によってはC1−6アルキルで置換されており、例えばトリルおよびキシリルである。
【0089】
ここで用いられるC7−12アリールアルキルは、C1−6アルキル基に結合したアリールを意味し、C1−6アルキルとアリールは上記で定義した通りであり、例えばベンジル、フェネチルおよびo−メチルフェネチルである。
【0090】
式(II)の化合物および式(III)の化合物で、水素ではないR基およびR基は、好ましくはそれぞれ独立してC1−6アルキル、C6−14アリールまたはC7−12アリールアルキルの群の一員から選ばれる。
【0091】
Si−H基は、式(II)の化合物のいずれの末端に位置していてもよい。しかしながら、少なくとも1つのSi−H基は、好ましくは式(II)の化合物の−(SiO(R,R))−鎖の中に位置している。
【0092】
ポリシロキサン架橋剤および鎖延長剤は、日本特許出願第2002−224706号および国際公開第05/032401号に記載されているように、またはそこに記載された方法に類似して調製することができる。
【0093】
付加反応は、その最も単純な表現では、元素もしくは化合物の原子が、有機化合物中の二重結合または三重結合と、これらの結合の1つを開き、そしてそれに結合することによって1つの大きな化合物を形成する化学反応である。付加反応は多重結合した原子を有する化合物に限定される。ヒドロシリル化は、例えば化合物中の炭素−炭素二重結合と水素シロキサンからの反応性水素との間の付加反応である。
【0094】
好ましい付加反応触媒は、いずれかのヒドロシリル化触媒、好ましくは白金(Pt)触媒である。2成分シーラントの第1の部分としてのPt触媒が米国特許第6248915号明細書に記載されている。潜在毒性を考慮すると、Ptの原子価状態が0であるPt錯体触媒が好ましい。好ましい触媒は、白金ビニルシロキサンおよび白金オレフィン錯体、例えばPt−ジビニルテトラメチルジシロキサンである。
【0095】
この反応は、好ましくは、25℃〜150℃の範囲の温度で、希釈なしで実施される。この反応には溶媒を用いることは必要ではなく、このことはいずれの接着剤にとっても利点であるが、しかしながら特に皮膚用途では利点である。
【0096】
好ましくは、ポリシロキサン架橋剤中の反応性Si−H基の数の、ポリプロピレンオキシド中の不飽和基(反応条件の下でSi−H基と反応性である)の数との比率は、0.2〜1.0の範囲である。
【0097】
架橋に用いられるポリシロキサンの量は、不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーの量の、好ましくは15質量%未満であり、またより好ましくは10質量%未満である。
【0098】
この架橋反応は、全てのポリアルキレンオキシドポリマーの完全な架橋をもたらすのではない。この接着剤は、架橋された、および非架橋のポリアルキレンポリマー混合物を含んでいる。
【0099】
本発明による装具の接着剤組成物は、接着剤組成物用の他の慣用の成分、例えば粘着付与剤、増量剤(extenders)、非反応性ポリマー、オイル(例えば、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、鉱物油)、可塑剤、充填剤および界面活性剤、を含んでいてもよい。また、この接着剤は薬剤活性のある成分を含んでいてもよい。これらの所望による成分は、架橋反応の間に反応混合物中に存在していてもよい。
【0100】
この接着剤が吸収性粒子を含むことが有利である可能性がある。この粒子は、この接着剤が皮膚から水分を吸収するために、吸収性物品、例えば無機塩、親水コロイド、マイクロコロイドまたは超吸収剤であることができる。
【0101】
吸収性粒子の好ましい粒子径は、裸眼ではより見え難く、そしてより見た目がよいような微小粒子である。粒子径の上限は、この接着剤の最も小さい寸法の長さである。従って、300μm厚の接着剤は300μm超の直径をもつ粒子を含んでいてはならない。吸湿性の粒子は凝集する傾向にあり、またこの効果は粒子径の減少に伴って増大するであろう。従って、好ましい粒子径は10〜300μmとなる。また、この粒子は、微小粒子の凝集を低減させるように抗凝集剤を含むことができる。
【0102】
マイクロコロイド粒子は当技術分野で、例えば国際公開第02/066087号によりよく知られており、これにはマイクロコロイド粒子を含む接着剤組成物が開示されている。このマイクロコロイド粒子は、20μm未満の粒子径を有することができる。
【0103】
塩が、本発明の装具に用いられる疎水性接着剤のようなイオン不透過性マトリックスの中に含まれるのであれば、塩は吸収剤としての使用に有利であることができる。塩化ナトリウムのような特定の塩は、皮膚温度で約75%の平衡蒸気圧を有しており、そして蒸気圧の差のために、皮膚および排出物からの水を吸収する。
【0104】
本発明の実施態様では、この接着剤は無機塩の粒子を含んでいる。この塩は、1〜50質量%の量で、より好ましくは5〜25質量%の量で存在することができる。
【0105】
本発明の1つの実施態様では、この接着剤は非吸収性粒子を含んでおり、その存在はこの接着剤のレオロジー特性を変えることができる。
【0106】
吸収性接着剤層は、1〜40質量%の親水コロイド(HC)、マイクロコロイドもしくは超吸収性粒子(SAP)の粒子、より好ましくは5〜30質量%の粒子を含んでいてもよい。
【0107】
本発明の装具は、0.02〜0.4g/2時間、より好ましくは0.05〜0.25g/2時間の接着剤の吸収性を有していることができる。
【0108】
この収集パウチは、接着ウエハからカップリングシステムによって脱離可能であってよく、またこのパウチとウエハはウエハと、例えば溶着によって、一体化されていてもよい。この2つの異形は、造瘻用のワンピースまたはツーピース器具として知られている。
【0109】
装着の間に端部が巻き上がるのを避けるために、ウエハの端部を傾斜させることが有利である可能性がある。
【0110】
本発明の実施態様では、収集装具は造瘻器具である。
【0111】
本発明の他の実施態様では、収集装具は糞便の収集装具である。
【0112】
本発明の他の実施態様では、収集装具は瘻孔収集装具である。
【実施例】
【0113】
好ましい実施態様の記載
本発明は、ここに本発明の好ましい実施態様を示す図面を参照してより詳細に説明される。
【0114】
図1に、接着ウエハ(1)に溶着した収集パウチ(2)を含む本発明による収集装具を示している。接着ウエハ(1)は、ポリウレタン膜の形態の高い引張強度を備えた25μm厚さの柔軟な裏引き層の形態の裏引き層(3)を含み、接着ウエハは1つの表面を収集パウチ(2)に溶着されており、また他の表面を接着剤層で被覆されている。接着剤の構成は、2層構造であり、ポリアルキレンオキシドポリマーおよび有機シロキサンを主成分とする架橋接着剤の2つの層を含んでいる。皮膚に隣接する層(4)は、吸収性充填剤を含んでおらず、一方で第2の層(5)は水分吸収のために20質量%のNaClを含んでいる。第3の層、バリアー層(7)は、不透過性および非吸収性層の形態であり、ウエハ(1)の少なくとも中心部を被覆している。この第3の層(7)はポリウレタン膜(3)とNaCl含有接着剤(5)の間に配置されている。この不透過性層(7)は、使用の間に、ウエハの裏側から(ポリウレタン膜を通して)、NaCl含有接着剤層(5)中に水分が浸透することを防ぐ。この第3の層(7)は、100μmの柔軟な低透過性スチレン−イソプレン−スチレン樹脂もしくはオイル接着剤配合物の形態である。
【0115】
皮膚接着剤表面は、使用の前に接着剤を保護する剥離ライナー系で被覆されている。NaCl含有接着剤は、0.8mmの厚さを有しており、また皮膚接着剤側は0.2mmの厚さを有している。この製品の全体の厚さは約1mm厚である。端部が巻き上がるのを避けるために、接着ウエハの端部を1mmから、縁において0.3mmの厚さに傾斜させる。接着ウエハは10mmの排出物受容孔を有しており、これは慣用の方法、好ましくははさみで広げることができる。ウエハの直径は100mmである。
【0116】
図2に、接着ウエハ(1)を備えた収集装具が開示されており、この装具は、接着ウエハ(1)に溶着された収集パウチ(2)を含んでいる。接着ウエハ(1)は、ポリウレタン膜の形態の高い引張強度を備えた25μm厚さの柔軟な裏引き層の形態の裏引き層(3)を含み、接着ウエハは1つの表面を収集パウチ(2)に溶着されており、また他の表面を接着剤構成(construction)で被覆されている。この接着剤構成は2層構造であり、ポリアルキレンオキシドポリマーおよび有機シロキサンを主成分とする架橋接着剤の2つの層を含んでいる。皮膚に隣接する層(4)は、吸収性充填剤を含んでおらず、一方で第2の層(5)は水分吸収のために20質量%のNaClを含んでいる。皮膚に面する接着剤表面は、使用の前に接着剤を保護する剥離ライナー系(示されていない)で被覆されていてもよい。NaCl含有接着剤の層(5)は、0.8mmの厚さを有しており、また皮膚に面する接着剤の層(4)は0.2mmの厚さを有している。このウエハの全体の厚さは約1mm厚である。端部が巻き上がるのを避けるために、接着ウエハの端部を1mmから、端部に沿って0.3mmの厚さに傾斜させる。接着ウエハは10mmの直径の開口部(6)を与えられており、これは慣用の方法、好ましくははさみで所望の形状および大きさに広げることができる。ウエハの直径は100mmである。
【0117】
高い引張強度を備えた柔軟な裏引き層は、ここに開示した方法を用いて、5N/4mmの引張強度、また20%変形時で0.43N/4mmの引張強度を有している。
【0118】
方法
吸水率の測定
測定された吸水率と実際の人間のような環境での性能とのよりよい相関関係を得るために、ISO62標準の修正版を用いた。1×25×25mmの接着剤片を、両面接着剤を用いてガラス片上に固定し、そしてこの構成物を32℃の生理食塩水中(脱塩水中に0.9%のNaCl)に浸漬した。24時間後にこの試料を取り出し、そして注意深く液を落として乾燥させ(dripped dry)そして秤量した。質量の変化を記録し、そして質量増加として接着剤の当初の乾燥質量のパーセントで報告した。
【0119】
バリアーおよび裏引き層の水蒸気透過速度(MVTR)の測定
MVTRを、反転(inverted)カップ法を用いて、24時間に亘り、平方メータ当たりのグラム(g/m)で測定した。水および水蒸気不透過性であり、また開口部を有する容器またはカップを用いた。20mLの生理食塩水(脱塩水中に0.9%のNaCl)を容器中に置き、そして開口部を膜シートの形態の試験試料で封止した。この容器を、複製とともに、電気加熱湿潤キャビネット中に放置し、そしてこの容器もしくはカップを、上下逆さまに置き、水が接着剤と接触するようにした。このキャビネットを37℃、および15%の相対湿度(RH)に維持した。約1時間後に、この容器は周囲と平衡にあると考えられ、そして秤量した。最初の秤量の24時間後に、この容器を再度秤量した。質量の差は、接着剤膜を通して透過した蒸気の消散によるものである。この差を、水蒸気透過速度またはMVTRの計算に用いた。このMVTRはカップの開口部の面積で割り算した24時間後の質量損失として計算した(g/m/24時間)。物質のMVTRは、その物質の厚さの一次関数である。従って、MVTRを測定する場合には、装具の膜の厚さに相当する正確な厚さを用いることが重要である。
【0120】
裏引き層およびバリアー層の機械的性質の測定
この層の柔軟性の測定のために、標準ISO527−1からの試験指針を用いた。しかしながら、ISO527−1中で定義されているパラメータは、造瘻装具用の関連するパラメータを正確に表現するにはそれ自身十分ではない。造瘻装具は腹の上、皮膚の上に置かれ、それは20%を超えて容易に変形する。柔軟な裏引きを備えた柔軟な接着ウエハの関連する変形はこれと同じ大きさであり、従って、我々は接着ウエハ要素の柔軟性(弾性率)を、20%変形における、初期の試料の幅で割り算したニュートンでの力として定義した。我々は、ISO527−2の図1に示されたものと同じ、「犬の骨(dog-bone)」試験片を用いたが、しかしながら、一部の接着ウエハはISO527−1で試験するには小さ過ぎるという事実に対応するように異なる寸法である。我々は、ISO527−2の図1からの試料と類似の試験試料を用いたが、しかしながら、狭い部分の幅bは4mmであり、またゲージ長さLは10mmであった。相対変形εは、ISO527−1に記載されているように、初期の長さLで割り算した絶対変形ΔLとして計算した。変形速度は1mm/秒に設定した。引張強度は、得られた力の最大値として測定され、またN/4mmで報告された。一部の層は等方性であるという事実に対応するように、試料は最も柔軟な方向で測定した。得られた値は3回以上の測定結果の平均である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体への取り付け用の身体排出物収集装具であって、第1の壁および第2の壁を含む収集パウチを含み、該パウチは接着ウエハに取り付けられており、該ウエハの中心部は前記のパウチの第1の壁の一部を構成しており、該ウエハは、透過性の裏引き層、少なくとも1つの柔軟な吸収性接着剤層を含み、該ウエハは少なくとも中心部に水分不透過性層を含んでいる、装具。
【請求項2】
前記の水分不透過層が前記の吸収性接着剤層および裏引き層の間に配置されている、請求項1記載の装具。
【請求項3】
前記の裏引き層が高い引張強度を備え、柔軟である、請求項1または2記載の装具。
【請求項4】
前記の低弾性率裏引き層が、ポリマー膜、被覆物、積層物、繊維製品もしくは不織布の形態である、請求項1〜3のいずれか1項記載の装具。
【請求項5】
前記の低弾性率裏引き層が、20%の伸びにおいて0.75N/4mm未満、好ましくは0.5N/4mm未満の力を有している、請求項1〜4のいずれか1項記載の装具。
【請求項6】
前記の透過性裏引き層がここに開示した方法を用いて測定して、100g/m/24時間超のMVTRを有している、請求項1〜5のいずれか1項記載の装具。
【請求項7】
前記の接着剤層が液体不透過性であり、また水分透過性である、請求項1〜6のいずれか1項記載の装具。
【請求項8】
前記の吸収性接着剤が、シリコーン、ポリウレタンまたはポリアクリレートを主成分とする接着剤である、請求項1〜7のいずれか1項記載の装具。
【請求項9】
前記の吸収性接着剤がポリアルキレンオキシドおよび有機シロキサンを主成分とする架橋接着剤系である、請求項1〜7のいずれか1項記載の装具。
【請求項10】
前記の吸収性接着剤層がエチレン酢酸ビニルを含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の装具。
【請求項11】
前記のウエハの周辺部が前記のパウチの外側である、請求項1〜10のいずれか1項記載の装具。
【請求項12】
前記の水分不透過性層が前記のウエハの周辺部に広がっている、請求項1〜11のいずれか1項記載の装具。
【請求項13】
前記の水分不透過性層が前記の裏引き層の表面上に配置されている、請求項1〜12のいずれか1項記載の装具。
【請求項14】
前記の不透過性バリアー層が、ここに開示した方法を用いて測定して20g/m/24時間未満のMVTRを有している、請求項1〜13のいずれか1項記載の装具。
【請求項15】
前記の水分不透過性層が膜の形態である、請求項1〜14のいずれか1項記載の装具。
【請求項16】
前記の水分不透過性層が熱可塑性物質膜の形態である、請求項1〜15のいずれか1項記載の装具。
【請求項17】
前記の水分不透過性層が被覆物の形態である、請求項1〜14のいずれか1項記載の装具。
【請求項18】
前記の水分不透過性層が接着層である、請求項1〜14のいずれか1項記載の装具。
【請求項19】
前記の接着ウエハが低吸収性接着剤の層を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の装具。
【請求項20】
前記の収集装具が造瘻器具である、請求項1〜19のいずれか1項記載の装具。
【請求項21】
前記の収集装具が糞便の収集装具である、請求項1〜19のいずれか1項記載の装具。
【請求項22】
前記の収集装具が収集装具は瘻孔収集装具である、請求項1〜19のいずれか1項記載の装具。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−530263(P2010−530263A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512522(P2010−512522)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/DK2008/050147
【国際公開番号】WO2008/154929
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】