身体測定装置
【課題】可動部分をなくして簡単な構成により腹囲や胸囲などの身体測定を行うことが可能な身体測定装置の提供。
【解決手段】被測定者Hを測定面内で取り巻くように線状光線を照射する照射装置2と、被測定者Hに照射された線状光線の全周が撮像されるように被測定者Hの周囲に配置され、それぞれの撮像光学系の光軸が測定面に対して斜め方向に配置された撮像装置3a,3b,3cと、測定面を分割して撮像装置3a〜3cそれぞれの測定範囲とし、撮像装置3a〜3cの撮像画像上の2次元座標と測定面上の2次元座標とを対応付けるDB5と、測定面を分割して撮像装置3a〜3cそれぞれの測定範囲とし、この測定範囲に対応する撮像装置3a〜3cそれぞれの撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標からDB5を参照して測定面上の2次元座標を特定し、測定面上の被測定者Hの身体表面の周長を算出する演算装置4とを有する。
【解決手段】被測定者Hを測定面内で取り巻くように線状光線を照射する照射装置2と、被測定者Hに照射された線状光線の全周が撮像されるように被測定者Hの周囲に配置され、それぞれの撮像光学系の光軸が測定面に対して斜め方向に配置された撮像装置3a,3b,3cと、測定面を分割して撮像装置3a〜3cそれぞれの測定範囲とし、撮像装置3a〜3cの撮像画像上の2次元座標と測定面上の2次元座標とを対応付けるDB5と、測定面を分割して撮像装置3a〜3cそれぞれの測定範囲とし、この測定範囲に対応する撮像装置3a〜3cそれぞれの撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標からDB5を参照して測定面上の2次元座標を特定し、測定面上の被測定者Hの身体表面の周長を算出する演算装置4とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹囲や胸囲などの身体測定を行うための身体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健診者に接触することなく非接触方式で腹囲や胸囲などの身体測定を行う装置が開発されている。例えば、特許文献1には、所定位置から被測定者の身体表面までの距離を水平方向から所定範囲に亘って検出し、これに対応した信号を出力する6台の体形検出機構が設けられた体形検出部と、各体形検出機構のうち3台ずつを1組として垂直方向に駆動する駆動機構とを備え、各体形検出機構から出力される体形情報を処理して体形データを形成する体形自動測定装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、光学的手段により照射されたレーザスリット光を回転しながら被測定者の体表面上に死角になる部分に光が当たるようにレーザ光反射手段で間接的に照射し、照射されたレーザ光を撮影手段により画像として取り込み、得られた情報から体表面、体容積等を測定する体格測定装置が開示されている。
【0004】
また、本出願人は、特許文献3,4に記載の身体測定装置を開発している。特許文献3に記載の身体測定装置は、被測定者の身体表面までの距離を測定する距離測定手段を、被測定者の周囲に走行させることにより、腹囲や胸囲などの身体測定を行うものである。特許文献4に記載の身体測定装置は、被測定者を測定台に乗せて回転させ、この測定台上の被測定者の身体表面までの距離を測定することにより、身体測定を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−231623号公報
【特許文献2】特開平7−313492号公報
【特許文献3】特許第4308874号公報
【特許文献4】特許第4308875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載の測定装置では装置が非常に大がかりであり、装置構成も複雑であるため、装置のコストが高く、個々の病院や保健所などの施設に導入することは困難であり、普及には至っていない。一方、特許文献3,4に記載の測定装置では、測定手段または被測定者を動かすための駆動手段が必要となり、また可動部があるため、面倒なメンテナンスも必要となる。
【0007】
そこで、本発明においては、可動部分をなくして簡単な構成により腹囲や胸囲などの身体測定を行うことが可能な身体測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の身体測定装置は、被測定者を一平面(以下、「測定面」と称す。)内で取り巻くように線状光線を照射する照射装置と、被測定者に照射された線状光線の全周が撮像されるように被測定者の周囲に配置される複数の撮像装置であり、それぞれの撮像光学系の光軸が測定面に対して斜め方向に配置された複数の撮像装置と、測定面を分割して複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、複数の撮像装置の撮像画像上の2次元座標と測定面上の2次元座標とを対応付けるデータベースと、測定面を分割して複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、この測定範囲に対応する複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標からデータベースを参照して測定面上の2次元座標を特定し、測定面上の被測定者の身体表面の周長を算出する演算装置とを有するものである。
【0009】
本発明の身体測定装置によれば、被測定者に照射された線状光線の全周を複数の撮像装置により斜め方向から撮像し、それぞれの撮像装置により撮像された撮像画像上の線状光線の像から測定面上の被測定者の身体表面の外形を特定して、周長を算出することができる。
【0010】
ここで、演算装置は、複数の撮像装置それぞれの測定範囲に対応する複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標を、データベースを参照することにより測定面上の2次元座標に変換して、複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像の長さを算出し、合算することにより、測定面上の被測定者の身体表面の周長を算出するものであることが望ましい。
【0011】
これにより、演算装置は、複雑な演算を行うことなく、データベースを参照して撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標を測定面上の2次元座標に変換して、複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像の長さを算出することができ、これを合算することにより、容易に測定面上の被測定者の身体表面の周長を測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被測定者に照射された線状光線の全周を複数の撮像装置により斜め方向から撮像して、周長を算出することができ、腹囲や胸囲などの身体測定を行うことが可能となる。この身体測定装置では撮像装置および被測定者のいずれも動かす必要はなく、可動部分もないため、簡単な構成により低コストで導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における身体測定装置の概略構成図である。
【図2】図1の身体測定装置の測定部のカメラ配置を示す側面図である。
【図3】測定面の分割例を示す説明図である。
【図4】図3の測定面を撮像装置により撮像した画像の例を示す図である。
【図5】撮像装置により撮像した画像の例を示す図である。
【図6】図5の撮像画像から赤色を抽出した例を示す図である。
【図7】1つの測定範囲内の画像のみを抽出した例を示す図である。
【図8】図7の抽出画像を細線化した例を示す図である。
【図9】2次元座標の取得例を示す説明図である。
【図10】抽出された2次元座標を示す説明図である。
【図11】3次元座標への変換例を示す説明図である。
【図12】点間の微少長さの計算例を示す説明図である。
【図13】図1の身体測定装置による身体測定手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態における身体測定装置の概略構成図、図2は図1の身体測定装置のカメラ配置を示す側面図である。
【0015】
図1において、本発明の実施の形態における身体測定装置1は、被測定者Hに対して線状光線L(図2参照。)を照射する照射装置2と、被測定者Hに対して照射された線状光線の全周が撮像されるように被測定者Hの周囲に配置される複数の撮像装置3a,3b,3cと、複数の撮像装置3a,3b,3cにより撮像した画像に基づいて被測定者Hの身体表面の周長を測定する演算装置4と、演算装置4に参照されるデータベース(以下、「DB」と称す。)5とを有する。
【0016】
照射装置2は、水平方向のスリットから赤色のレーザを照射することにより被測定者Hに対して線状光線Lを照射するレーザ照射装置である。図示例では、照射装置2は被測定者Hの前方および後方の2箇所に設置して、被測定者Hを一平面内で取り巻くように線状光線Lを照射するようになっている。以下、この線状光線Lの照射により形成される平面を「測定面」と称す。なお、照射装置2は、被測定者Hを一平面内で取り巻くように線状光線Lを照射できるように配置すれば良く、被測定者Hの回りに何個設置しても良い。
【0017】
撮像装置3a,3b,3cは、被測定者Hに照射された線状光線Lの全周が撮像されるように被測定者Hの周囲に配置されている。図示例では、撮像装置3a,3b,3cは、被測定者Hを取り囲むように鉛直軸周りに120°間隔で3個設置されている。また、図2に示すように、撮像装置3a,3b,3cは、それぞれの撮像光学系の光軸Pが線状光線Lにより形成される測定面に対して斜め方向に配置されている。本実施形態においては、撮像装置3a,3b,3cの俯角は45°に設定されている。
【0018】
DB5は、測定面を分割して複数の撮像装置3a,3b,3cのそれぞれの測定範囲とし、複数の撮像装置3a,3b,3cの撮像画像上の2次元座標と測定面上の2次元座標とを対応付けるデータベースである。図3は測定面を120°間隔で3分割して3つの撮像装置3a,3b,3cのそれぞれの測定範囲A,B,Cとした例を示している。図4はこの測定面を撮像装置3aにより撮像した画像を示している。DB5には、この図4に示す撮像画像上の2次元座標(u,v)と、図3に示す測定面上の2次元座標(X,Z)との対応付けが記録されている。
【0019】
DB5の作成の際には、図3に示すように測定面上に直交する2組の平行線を等間隔で引き、これを撮像装置3aにより撮像した図4に示す画像の測定範囲A内にある交点の2次元座標(u,v)と、図3に示す測定範囲A内にある交点の2次元座標(X,Z)との対応をデータベース化する。測定範囲B,Cについても同様に、それぞれ撮像装置3b,3cにより撮像した画像に基づいてデータベース化する。なお、DB5は、測定面の高さをYとして、撮像画像上の2次元座標(u,v)と、2次元座標(X,Z)を含む3次元座標(X,Y,Z)とを対応付けるものとすることもできる。
【0020】
演算装置4は、DB5を参照して、複数の撮像装置3a,3b,3cそれぞれの測定範囲A,B,Cに対応する撮像画像上の線形光線Lの像(被測定者Hの身体表面に形成される線形光線Lの像)上の2次元座標(u,v)から測定面上の2次元座標(X,Z)あるいは3次元座標(X,Y,Z)を特定し、測定面上の被測定者Hの身体表面の周長を算出するものである。
【0021】
図5は撮像装置3aにより撮像した画像の例を示している。なお、図5に示す例では、被測定者Hの身体表面に形成される線形光線Lを想定した赤色の楕円を撮像したものを用いている。演算装置4は、具体的には、この図5に示す撮像画像から図6に示すように赤色を抽出し、図7に示すように1つの測定範囲A内の画像のみを抽出する。そして、図8に示すように、この抽出された画像の細線化を行い、図9に示すように画像上の2次元座標(u,v)を取得する。図10は抽出された2次元座標(u,v)の例を示している。
【0022】
次に、演算装置4は、この抽出された2次元座標(u,v)をDB5に照らし合わせて、図11に示すように3次元座標(X,Y=0,Z)(2次元座標(X,Z))に変換する。そして、演算装置4は、図12に示すようにこの変換後の座標の点間の微少長さを計算し、次式により測定範囲A内の線状光線Lの像の長さを算出する。
【数1】
【0023】
演算装置4は、他の撮像装置3b,3cにより撮像した画像からも同様の演算を行い、各測定範囲A,B,C内の線状光線Lの像の長さを合算し、被測定者Hの身体表面の測定面の周長を算出する。
【0024】
また、演算装置4は、変換後の座標を用いて、測定面の身体表面を表示する画像を作成する。演算装置4は、撮像装置3a,3b,3cにより撮像した画像からそれぞれの測定範囲A,B,C内の線状光線Lの測定面上の像を作成し、それぞれ回転して合成する。
【0025】
上記構成の身体測定装置1による身体測定手順は以下の通りである。図13は身体測定装置1による身体測定手順を示すフロー図である。なお、以下の例では身体測定として腹囲測定の例について説明する。
【0026】
図13に示すように、まず身体測定装置1を起動し(S100)、照射装置2により被測定者Hの臍の位置にレーザを照射する(S101)。そして、撮像装置3a,3b,3cにより画像撮影を行う(図5参照。)(S102)。次に、演算装置4は、図6に示すように赤色抽出を行い(S103)、図7に示すように1つの測定範囲に制限する(S104)。
【0027】
続いて、演算装置4は、図8に示すように細線化(S105)、図9および図10に示すように座標抽出を行い、記憶手段に格納する(S106)。次に、演算装置4は、図11に示すように3次元座標に変換し(S107)、図12に示すように測定範囲内の測定面の象の長さを算出する(S108)。演算装置4は、S103〜S108を撮像装置3a,3b,3cにより撮像した3枚の画像について繰り返し行い(S109)、最後に長さを合算して、被測定者Hの腹囲を算出し(S110)、処理を終了する(S111)。
【0028】
以上のように、本実施形態における身体測定装置1によれば、被測定者Hに照射された線状光線Lの全周を複数の撮像装置3a,3b,3cにより斜め方向から撮像し、それぞれの撮像装置3a,3b,3cにより撮像された撮像画像上の線状光線Lの像から測定面上の被測定者Hの身体表面の外形を特定して、周長を算出することができる。この身体測定装置1は、撮像装置3a,3b,3cおよび被測定者Hのいずれも動かす必要はなく、可動部分もないため、簡単な構成により低コストで実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の身体測定装置は、腹囲や胸囲などの身体測定を行うための装置として有用であり、特に健診者に接触することなく非接触で身体測定を行うことが可能な装置として好適である。
【符号の説明】
【0030】
1 身体測定装置
2 照射装置
3a,3b,3c 撮像装置
4 演算装置
5 データベース(DB)
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹囲や胸囲などの身体測定を行うための身体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健診者に接触することなく非接触方式で腹囲や胸囲などの身体測定を行う装置が開発されている。例えば、特許文献1には、所定位置から被測定者の身体表面までの距離を水平方向から所定範囲に亘って検出し、これに対応した信号を出力する6台の体形検出機構が設けられた体形検出部と、各体形検出機構のうち3台ずつを1組として垂直方向に駆動する駆動機構とを備え、各体形検出機構から出力される体形情報を処理して体形データを形成する体形自動測定装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、光学的手段により照射されたレーザスリット光を回転しながら被測定者の体表面上に死角になる部分に光が当たるようにレーザ光反射手段で間接的に照射し、照射されたレーザ光を撮影手段により画像として取り込み、得られた情報から体表面、体容積等を測定する体格測定装置が開示されている。
【0004】
また、本出願人は、特許文献3,4に記載の身体測定装置を開発している。特許文献3に記載の身体測定装置は、被測定者の身体表面までの距離を測定する距離測定手段を、被測定者の周囲に走行させることにより、腹囲や胸囲などの身体測定を行うものである。特許文献4に記載の身体測定装置は、被測定者を測定台に乗せて回転させ、この測定台上の被測定者の身体表面までの距離を測定することにより、身体測定を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−231623号公報
【特許文献2】特開平7−313492号公報
【特許文献3】特許第4308874号公報
【特許文献4】特許第4308875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載の測定装置では装置が非常に大がかりであり、装置構成も複雑であるため、装置のコストが高く、個々の病院や保健所などの施設に導入することは困難であり、普及には至っていない。一方、特許文献3,4に記載の測定装置では、測定手段または被測定者を動かすための駆動手段が必要となり、また可動部があるため、面倒なメンテナンスも必要となる。
【0007】
そこで、本発明においては、可動部分をなくして簡単な構成により腹囲や胸囲などの身体測定を行うことが可能な身体測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の身体測定装置は、被測定者を一平面(以下、「測定面」と称す。)内で取り巻くように線状光線を照射する照射装置と、被測定者に照射された線状光線の全周が撮像されるように被測定者の周囲に配置される複数の撮像装置であり、それぞれの撮像光学系の光軸が測定面に対して斜め方向に配置された複数の撮像装置と、測定面を分割して複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、複数の撮像装置の撮像画像上の2次元座標と測定面上の2次元座標とを対応付けるデータベースと、測定面を分割して複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、この測定範囲に対応する複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標からデータベースを参照して測定面上の2次元座標を特定し、測定面上の被測定者の身体表面の周長を算出する演算装置とを有するものである。
【0009】
本発明の身体測定装置によれば、被測定者に照射された線状光線の全周を複数の撮像装置により斜め方向から撮像し、それぞれの撮像装置により撮像された撮像画像上の線状光線の像から測定面上の被測定者の身体表面の外形を特定して、周長を算出することができる。
【0010】
ここで、演算装置は、複数の撮像装置それぞれの測定範囲に対応する複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標を、データベースを参照することにより測定面上の2次元座標に変換して、複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像の長さを算出し、合算することにより、測定面上の被測定者の身体表面の周長を算出するものであることが望ましい。
【0011】
これにより、演算装置は、複雑な演算を行うことなく、データベースを参照して撮像画像上の線状光線の像上の点の2次元座標を測定面上の2次元座標に変換して、複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の線状光線の像の長さを算出することができ、これを合算することにより、容易に測定面上の被測定者の身体表面の周長を測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被測定者に照射された線状光線の全周を複数の撮像装置により斜め方向から撮像して、周長を算出することができ、腹囲や胸囲などの身体測定を行うことが可能となる。この身体測定装置では撮像装置および被測定者のいずれも動かす必要はなく、可動部分もないため、簡単な構成により低コストで導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における身体測定装置の概略構成図である。
【図2】図1の身体測定装置の測定部のカメラ配置を示す側面図である。
【図3】測定面の分割例を示す説明図である。
【図4】図3の測定面を撮像装置により撮像した画像の例を示す図である。
【図5】撮像装置により撮像した画像の例を示す図である。
【図6】図5の撮像画像から赤色を抽出した例を示す図である。
【図7】1つの測定範囲内の画像のみを抽出した例を示す図である。
【図8】図7の抽出画像を細線化した例を示す図である。
【図9】2次元座標の取得例を示す説明図である。
【図10】抽出された2次元座標を示す説明図である。
【図11】3次元座標への変換例を示す説明図である。
【図12】点間の微少長さの計算例を示す説明図である。
【図13】図1の身体測定装置による身体測定手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態における身体測定装置の概略構成図、図2は図1の身体測定装置のカメラ配置を示す側面図である。
【0015】
図1において、本発明の実施の形態における身体測定装置1は、被測定者Hに対して線状光線L(図2参照。)を照射する照射装置2と、被測定者Hに対して照射された線状光線の全周が撮像されるように被測定者Hの周囲に配置される複数の撮像装置3a,3b,3cと、複数の撮像装置3a,3b,3cにより撮像した画像に基づいて被測定者Hの身体表面の周長を測定する演算装置4と、演算装置4に参照されるデータベース(以下、「DB」と称す。)5とを有する。
【0016】
照射装置2は、水平方向のスリットから赤色のレーザを照射することにより被測定者Hに対して線状光線Lを照射するレーザ照射装置である。図示例では、照射装置2は被測定者Hの前方および後方の2箇所に設置して、被測定者Hを一平面内で取り巻くように線状光線Lを照射するようになっている。以下、この線状光線Lの照射により形成される平面を「測定面」と称す。なお、照射装置2は、被測定者Hを一平面内で取り巻くように線状光線Lを照射できるように配置すれば良く、被測定者Hの回りに何個設置しても良い。
【0017】
撮像装置3a,3b,3cは、被測定者Hに照射された線状光線Lの全周が撮像されるように被測定者Hの周囲に配置されている。図示例では、撮像装置3a,3b,3cは、被測定者Hを取り囲むように鉛直軸周りに120°間隔で3個設置されている。また、図2に示すように、撮像装置3a,3b,3cは、それぞれの撮像光学系の光軸Pが線状光線Lにより形成される測定面に対して斜め方向に配置されている。本実施形態においては、撮像装置3a,3b,3cの俯角は45°に設定されている。
【0018】
DB5は、測定面を分割して複数の撮像装置3a,3b,3cのそれぞれの測定範囲とし、複数の撮像装置3a,3b,3cの撮像画像上の2次元座標と測定面上の2次元座標とを対応付けるデータベースである。図3は測定面を120°間隔で3分割して3つの撮像装置3a,3b,3cのそれぞれの測定範囲A,B,Cとした例を示している。図4はこの測定面を撮像装置3aにより撮像した画像を示している。DB5には、この図4に示す撮像画像上の2次元座標(u,v)と、図3に示す測定面上の2次元座標(X,Z)との対応付けが記録されている。
【0019】
DB5の作成の際には、図3に示すように測定面上に直交する2組の平行線を等間隔で引き、これを撮像装置3aにより撮像した図4に示す画像の測定範囲A内にある交点の2次元座標(u,v)と、図3に示す測定範囲A内にある交点の2次元座標(X,Z)との対応をデータベース化する。測定範囲B,Cについても同様に、それぞれ撮像装置3b,3cにより撮像した画像に基づいてデータベース化する。なお、DB5は、測定面の高さをYとして、撮像画像上の2次元座標(u,v)と、2次元座標(X,Z)を含む3次元座標(X,Y,Z)とを対応付けるものとすることもできる。
【0020】
演算装置4は、DB5を参照して、複数の撮像装置3a,3b,3cそれぞれの測定範囲A,B,Cに対応する撮像画像上の線形光線Lの像(被測定者Hの身体表面に形成される線形光線Lの像)上の2次元座標(u,v)から測定面上の2次元座標(X,Z)あるいは3次元座標(X,Y,Z)を特定し、測定面上の被測定者Hの身体表面の周長を算出するものである。
【0021】
図5は撮像装置3aにより撮像した画像の例を示している。なお、図5に示す例では、被測定者Hの身体表面に形成される線形光線Lを想定した赤色の楕円を撮像したものを用いている。演算装置4は、具体的には、この図5に示す撮像画像から図6に示すように赤色を抽出し、図7に示すように1つの測定範囲A内の画像のみを抽出する。そして、図8に示すように、この抽出された画像の細線化を行い、図9に示すように画像上の2次元座標(u,v)を取得する。図10は抽出された2次元座標(u,v)の例を示している。
【0022】
次に、演算装置4は、この抽出された2次元座標(u,v)をDB5に照らし合わせて、図11に示すように3次元座標(X,Y=0,Z)(2次元座標(X,Z))に変換する。そして、演算装置4は、図12に示すようにこの変換後の座標の点間の微少長さを計算し、次式により測定範囲A内の線状光線Lの像の長さを算出する。
【数1】
【0023】
演算装置4は、他の撮像装置3b,3cにより撮像した画像からも同様の演算を行い、各測定範囲A,B,C内の線状光線Lの像の長さを合算し、被測定者Hの身体表面の測定面の周長を算出する。
【0024】
また、演算装置4は、変換後の座標を用いて、測定面の身体表面を表示する画像を作成する。演算装置4は、撮像装置3a,3b,3cにより撮像した画像からそれぞれの測定範囲A,B,C内の線状光線Lの測定面上の像を作成し、それぞれ回転して合成する。
【0025】
上記構成の身体測定装置1による身体測定手順は以下の通りである。図13は身体測定装置1による身体測定手順を示すフロー図である。なお、以下の例では身体測定として腹囲測定の例について説明する。
【0026】
図13に示すように、まず身体測定装置1を起動し(S100)、照射装置2により被測定者Hの臍の位置にレーザを照射する(S101)。そして、撮像装置3a,3b,3cにより画像撮影を行う(図5参照。)(S102)。次に、演算装置4は、図6に示すように赤色抽出を行い(S103)、図7に示すように1つの測定範囲に制限する(S104)。
【0027】
続いて、演算装置4は、図8に示すように細線化(S105)、図9および図10に示すように座標抽出を行い、記憶手段に格納する(S106)。次に、演算装置4は、図11に示すように3次元座標に変換し(S107)、図12に示すように測定範囲内の測定面の象の長さを算出する(S108)。演算装置4は、S103〜S108を撮像装置3a,3b,3cにより撮像した3枚の画像について繰り返し行い(S109)、最後に長さを合算して、被測定者Hの腹囲を算出し(S110)、処理を終了する(S111)。
【0028】
以上のように、本実施形態における身体測定装置1によれば、被測定者Hに照射された線状光線Lの全周を複数の撮像装置3a,3b,3cにより斜め方向から撮像し、それぞれの撮像装置3a,3b,3cにより撮像された撮像画像上の線状光線Lの像から測定面上の被測定者Hの身体表面の外形を特定して、周長を算出することができる。この身体測定装置1は、撮像装置3a,3b,3cおよび被測定者Hのいずれも動かす必要はなく、可動部分もないため、簡単な構成により低コストで実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の身体測定装置は、腹囲や胸囲などの身体測定を行うための装置として有用であり、特に健診者に接触することなく非接触で身体測定を行うことが可能な装置として好適である。
【符号の説明】
【0030】
1 身体測定装置
2 照射装置
3a,3b,3c 撮像装置
4 演算装置
5 データベース(DB)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者を一平面(以下、「測定面」と称す。)内で取り巻くように線状光線を照射する照射装置と、
前記被測定者に照射された前記線状光線の全周が撮像されるように前記被測定者の周囲に配置される複数の撮像装置であり、それぞれの撮像光学系の光軸が前記測定面に対して斜め方向に配置された複数の撮像装置と、
前記測定面を分割して前記複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、前記複数の撮像装置の撮像画像上の2次元座標と前記測定面上の2次元座標とを対応付けるデータベースと、
前記測定面を分割して前記複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、この測定範囲に対応する前記複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の前記線状光線の像上の点の2次元座標から前記データベースを参照して前記測定面上の2次元座標を特定し、前記測定面上の前記被測定者の身体表面の周長を算出する演算装置と
を有する身体測定装置。
【請求項2】
前記演算装置は、前記複数の撮像装置それぞれの測定範囲に対応する前記複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の前記線状光線の像上の点の2次元座標を、前記データベースを参照することにより前記測定面上の2次元座標に変換して、前記複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の前記線状光線の像の長さを算出し、合算することにより、前記測定面上の前記被測定者の身体表面の周長を算出するものである請求項1記載の身体測定装置。
【請求項1】
被測定者を一平面(以下、「測定面」と称す。)内で取り巻くように線状光線を照射する照射装置と、
前記被測定者に照射された前記線状光線の全周が撮像されるように前記被測定者の周囲に配置される複数の撮像装置であり、それぞれの撮像光学系の光軸が前記測定面に対して斜め方向に配置された複数の撮像装置と、
前記測定面を分割して前記複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、前記複数の撮像装置の撮像画像上の2次元座標と前記測定面上の2次元座標とを対応付けるデータベースと、
前記測定面を分割して前記複数の撮像装置それぞれの測定範囲とし、この測定範囲に対応する前記複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の前記線状光線の像上の点の2次元座標から前記データベースを参照して前記測定面上の2次元座標を特定し、前記測定面上の前記被測定者の身体表面の周長を算出する演算装置と
を有する身体測定装置。
【請求項2】
前記演算装置は、前記複数の撮像装置それぞれの測定範囲に対応する前記複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の前記線状光線の像上の点の2次元座標を、前記データベースを参照することにより前記測定面上の2次元座標に変換して、前記複数の撮像装置それぞれの撮像画像上の前記線状光線の像の長さを算出し、合算することにより、前記測定面上の前記被測定者の身体表面の周長を算出するものである請求項1記載の身体測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図13】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図13】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−90736(P2012−90736A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239962(P2010−239962)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(596076126)株式会社マリネックス (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(596076126)株式会社マリネックス (7)
【Fターム(参考)】
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