説明

車両のアンダランプロテクタ

【課題】 UP本体を極力路面に近接させることにより、車体下への物体の巻き込みを防止するためのアンダランプロテクタを提供する。
【解決手段】 UP本体の下面が路面に干渉した際、上方に回避し、直ちに元の位置に戻るように、如何なる路面状況においても、対応できる形態のアンダランプロテクタを車体に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部、側部、後部に乗用車、バイク、自転車、歩行者、小動物、落下物、放置物等が衝突した際に、それら物体が床下に巻き込まれてしまうことを防止するためのアンダランドプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、UPが路面との不用意な接触を回避するように路面から、かなり高い位置に設置されており、物体が床下に巻き込まれてしまうことを防止できなかった。そこで、サスペンション機能を用いて、以前より低い位置に設置できるUPが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、電動機能を用いて、運転席からUPを昇降させる事例が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、センサ機能を用いて、UPを上下動させる事例が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−211092号公報
【特許文献2】特開2000−108818号公報
【特許文献3】特開2005−132258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、車両フレームにリンク機構で連結されたUP本体を、ダンバを介して地表すれすれの位置まで吊り下げており、UP本体が路面と干渉した際に上方へ逃げる仕組みである。しかし、部品点数が多くて重く、路面に干渉した時に衝撃が大きく、路面に干渉する下面の幅が狭いため、起伏のある路面では狭い溝などに嵌り、UPの破損と運転者がハンドルを取られる危険性がある。
【0005】
上記以外の文献でも下面の部分は、ほとんど幅が狭く、さらに小さな補助輪やコロなどの突起物が付いている例もあり、如何なる運転状況(直進前進、直進後進、右折前進、右折後進、左折前進、左折後進、坂道発進、高速走行等)で如何なる路面状況(舗装道路、土道路、未舗装山道、砂地面、凸面頂上路面、凹面谷底、坂道と平坦地の境、路傍施設と路面の間の段差、舗装路面上の細い溝、低い突起物等)においても対応できる形態が提案されていない。
【0006】
また、特許文献2では、電動でアクチュエーターを作動させ、車庫や敷地への出入口の段差を乗り越える際、悪路走行の際、平地を高速走行する際に、そのつどスイッチを切り替えなければならない。機構が非常に複雑で、制作費が高価で修理費もメーカ及びユーザの双方にとって負担大となる。
【0007】
また、特許文献3では、UPの移動手段として車速検知センサを装備し、低速走行の際には収納位置に収め、高速走行の際に下側に移動するようにできており、非常に高価な装置であり、修理費も当然高価となる。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、巻き込み防止機能を損なうことなく、路面などとの干渉を回避し、シンプルな構造で、軽く、安価に制作できるUPを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の考案では、フロントアンダランプロテクタについて、車両の前部車幅方向にUP本体を延出するように配置すると共に、前後左右の端を約45°前後、上方に向けて屈曲させた面と、正面から見て前面に立面を備え、上下動可能に装着したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、サイドアンダランプロテクタについて、車両の前輪と後輪の間にUP本体を延出するように配置すると共に、前後左右の端を約45°前後、上方に向けて屈曲させた面と、側面から見て前面に立面を備え、上下動可能に装着したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明では、リヤアンダランプロテクタについて、車両の後部車幅方向にUP本体を延出するように配置すると共に、前後左右の端を約45°前後、上方に屈曲させた面と、後面から見て前面に立面を備え、上下動可能に装着したことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明では、上記UP本体の下側の幅は、正面から見てFUPとRUPは前後幅、SUPは左右幅が最低でもタイヤ幅近くはあることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明では、上記UP本体の上下動機能は板バネ式、コイルバネ式、油圧式、空気圧式、ガス式等の手段を設け、初期位置に付勢する機能を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明では、請求項2のサイドアンダランプロテクタにして、大型車両の場合、後輪側の支持枠が後輪の車軸に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るアンダランプロテクタによれば、UP本体の下面が路面に干渉した際、上方に回避し、直ちに元の位置に戻るため、UP本体を極力路面に近接させることができ、床下への物体の巻き込みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明のフロントアンダランプロテクタの実施形態1で、車高の低い車両の実施例で、UP本体1と、UP本体1を支持すべく車体フレーム4に取り付けられたショックアブソーバ2と、車体フレーム4とショックアブソーバ2に取り付けられたブラケット3から構成されている。
【0018】
UP本体1の下面は鋼鉄、超合金、硬質樹脂等、摩擦に強い素材を一体成型するか、普通素材の表面にセラミック、鋼鉄、超合金、高強度のプラスチック等を全体または部分的に貼り付けてもよい。形状は下面が多孔状、網目状、立て格子、井桁格子、斜め格子等水や埃が溜まらないよう穴あき状になっている。
【0019】
そして、前後幅は車種により異なるが、最低でもタイヤ幅近く必要である。すなわち、図1の形状のFUPであると、細い溝に嵌まることなく、石などの障害物も押しのけるか、乗り越えて、そのままバックしても、FUPは上方に回避し元に戻るので、運転者に衝撃は伝わらない。
【0020】
一方、立面は、下面と同じ素材で一体成型しても良いが、板状、横格子状、すのこ状、網目状、平行棒状等でもよい。
【0021】
また、立面への前方からの衝撃はブラケット3により吸収されるので、衝撃物とFUPの双方の損傷が回避できる。一方、ブラケット3をコイルバネとしてもよい。
【0022】
図3及び図4は本発明のフロントアンダランプロテクタの実施形態2で、車高の高い車両の実施例で、UP本体1と、UP本体1に取り付けられたフラケット8と、車体フレーム4に取り付けられたブラケット3と、コイルバネ9から構成されており、UP本体1の素材は実施形態1と同様であるが、形態は立面1aを二重構造としている。
【0023】
上記車体フレームに取り付けられたブラケット3はボルト11で固定されているが、長穴12を設けることにより、衝突の際、衝撃吸収効果を発揮する。
【0024】
図5及び図6は本発明のサイドアンダランプロテクタの実施形態1で、車高の低い車両の実施例で、UP本体1と、UP本体1に取り付けられたブラケット8と、車体下面14の間に取り付けた板バネ13から構成されている。
【0025】
UP本体1と車体下面の間隔があまり多くないので、板バネが使用されている。板バネは横からの衝撃に対しても微妙に横移動するので、SUPの損傷が回避できる。
【0026】
図7及び図8は本発明のサイドアンダランプロテクタの実施形態2で、車高の高い車両の実施例で、従来のサイドガード15を応用し、UP本体1をショックアブソーバ2とコイルバネ9を介して取り付けられている。
【0027】
図9及び図10は本発明のサイドアンダランプロテクタの実施形態3で、車高の高い車両の実施例で、前輪側のサイドガード15が車体フレーム4に取り付けられている支持部19は、回動自在に固定されている。後輪側のサドガード15は支持枠17を後輪の車軸18に固定されている。そのことにより、車両の積載量に関わらず、後輪付近のUP本体1の路面からの距離は一定に保たれる。
【0028】
図11及び図12は本発明のサイドアンダランプロテクタの実施形態4で、車高の高い車両の実施例で、従来のサイドガード15を後輪の少し前で止め、UP本体1に取り付けられたショックアブソーバ2と、荷台21に取り付けられたブラケット20を介して後輪とサイドガードの間に装着されている。
【0029】
荷台に取り付けられたブラケット20と支持枠22において、手動で上下できる機能を備えることにより、ワンタッチで操作することができ、車両の積載の有無に応じて上下できるので、常に路面に近接させた状態を保てる。
【0030】
図13及び図14は、本発明のリヤアンダランプロテクタの実施形態1で、車高の高い車両の実施例で、UP本体1を車体フレーム4に取り付けられたブラケット3を介してショックアブソーバ2と衝撃吸収部材23で構成されている。また、従来のリヤバンパ24をUP本体1に取り付けることにより、シンプルなデザインにすることができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
【0032】
例えば、本発明のリヤアンダランプロテクタの実施形態1において、本図では示してないが、手動により上下できる機能を備えてもよい。
【0033】
さらに、本発明のUPは様々な車種に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のFUPの実施形態1を示す側面図である。
【図2】図1に示すFUPとバンパの右半分の正面図である。
【図3】本発明のFUPの実施形態2を示す側面図である。
【図4】図3に示すFUPとバンパの右半分の正面図である。
【図5】本発明のSUPの実施形態1を示す側面図である。
【図6】図5に示すSUPの左半分の正面図である。
【図7】本発明のSUPの実施形態2を示す側面図である。
【図8】図7に示すSUPの左半分の後面図である。
【図9】本発明のSUPの実施形態3を示す側面図である。
【図10】図9に示すSUPの底面図である。
【図11】本発明のSUPの実施形態4を示す側面図である。
【図12】図11に示すSUPの左半分の後面図である。
【図13】本発明のRUPの実施形態1を示す側面図である。
【図14】図13に示すRUPの後面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 FUP本体
1a FUP本体の立面
2 ショックアブソーバ
3 サイドフレーム側のブラケット
4 サイドフレーム
5 フロントバンパ
6 ボンネット
7 前輪
8 UP側のブラケット
9 コイルバネ
10 ピン
11 ボルト
12 長穴
13 板バネ
14 車体下面
15 サイドガード
16 後輪
17 車軸側の支持枠
18 後輪の車軸
19 サイドフレーム側の支持部
20 荷台側のブラケット
21 荷台
22 支持枠
23 衝撃吸収部材
24 リヤバンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部車幅方向にUP本体を延出するように配置すると共に、前後左右の端を約45°前後、上方に向けて屈曲させた面と、正面から見て前面に立面を備え、上下動可能に装着したことを特徴とするフロントアンダランプロテクタ。
【請求項2】
車両の前輪と後輪の間にUP本体を延出するように配置すると共に、前後左右の端を約45°前後、上方に向けて屈曲させた面と、側面から見て前面に立面を備え、上下動可能に装着したことを特徴とするサイドアンダランプロテクタ。
【請求項3】
車両の後部車幅方向にUP本体を延出するように配置すると共に、前後左右の端を約45°前後、上方に向けて屈曲させた面と、後面から見て前面に立面を備え、上下動可能に装着したことを特徴とするリヤアンダランプロテクタ。
【請求項4】
上記UP本体の下面の幅は、正面から見てFUPとRUPは前後幅、SUPは左右幅が最低でもタイヤ幅近くはあることを特徴とする請求項1〜3記載のアンダランプロテクタ。
【請求項5】
上記UP本体の上下動機能は板バネ式、コイルバネ式、油圧式、空気圧式、ガス式等の手段を設け、初期位置に付勢する機能を有することを特徴とする請求項1〜3記載のアンダランプロテクタ。
【請求項6】
請求項2のサイドアンダランプロテクタにして、大型車両の場合、後輪側の支持枠が後輪の車軸に固定されていることを特徴とするサイドアンダランプロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−50875(P2007−50875A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307757(P2005−307757)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願変更の表示】意願2005−7372(D2005−7372)の変更
【原出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(505337869)