説明

車両のドア構造

【課題】ミラーの振動を確実に抑制して耐久性を向上させることが可能なドア構造の提供。
【解決手段】ドアアウタパネル2は、ドア窓部8の下縁を区画する。ウエストアウタレインフォース4は、ドアアウタパネル2の車幅方向内側でドア窓部8の下縁に沿って配置され、ドアアウタパネル2の車幅方向内側面上に固定される。ドアビーム5は、ウエストアウタレインフォース4の下方で前後方向に配置され、ドアアウタパネル2の車幅方向内側面上に固定される。ミラー支持ステイは、ドアアウタパネル2の車幅方向外側に配置され、ミラーを支持する。ミラー取付部材30は、ウエストアウタレインフォース4の前端部とドアビーム5の前端部とに跨った状態でこれら2つの前端部に固定されて両者を連結すると共に、ミラー支持ステイの下端側を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャブオーバー型トラックなどの車両のドアにおいて、ミラーを支持するミラー支持ステイの下端を、ドアアウタパネルに固定されたロアブラケットによって支持する構造が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−251676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造では、ミラー支持ステイの下端をドアアウタパネルのみによって支持しているため、十分な取付剛性が得られず、エンジンからの振動や車両走行中の路面からの振動の入力によりミラーが振動して耐久性が低下してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、ミラーの振動を確実に抑制して耐久性を向上させることが可能なドア構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決すべく、本発明の第1の態様にかかるドア構造は、ドアアウタパネルとウエストアウタレインフォースとドアビームとミラー支持ステイとミラー取付部材とを備える。
【0007】
ドアアウタパネルは、ドア窓部の少なくとも下縁を区画する。ウエストアウタレインフォースは、ドアアウタパネルの車幅方向内側でドア窓部の下縁に沿って配置され、ドアアウタパネルの車幅方向内側面上に固定されてドアアウタパネルを補強する。ドアビームは、ウエストアウタレインフォースの下方で前後方向に配置され、ドアアウタパネルの車幅方向内側面上に固定されてドアアウタパネルを補強する。ミラー支持ステイは、ドアアウタパネルの車幅方向外側に配置され、ミラーを支持する。
【0008】
ミラー取付部材は、ウエストアウタレインフォースの前端部とドアビームの前端部とに跨った状態でこれら2つの前端部に固定されて両者を連結すると共に、ミラー支持ステイの下端側を支持する。
【0009】
上記構成では、ドアアウタパネルを補強するウエストアウタレインフォースとドアビームとに跨った状態で固定されるミラー取付部材によってミラー支持ステイが支持されるので、ミラーの取付剛性が確保され、ミラーの振動を確実に抑えて耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様にかかるドア構造は、上記第1の態様のドア構造であって、ドアインナパネルとヒンジレインフォースとをさらに備える。ドアインナパネルは、ドアアウタパネルの車幅方向内側に対向配置される側板部と、この側板部の前端から曲折してドアアウタパネルに接合されるとともに車体側に回転自在に連結される前板部と、を有し、ドアアウタパネルとの間に閉空間を区画する。ヒンジレインフォースは、閉空間内でドアインナパネルの前板部に固定されてドアインナパネルを補強する。
【0011】
ウエストアウタレインフォースとドアビームとは、閉空間内に配置され、ミラー取付部材は、ドアインナパネルの前板部とヒンジレインフォースとに固定される。
【0012】
上記構成では、ミラー取付部材が、ウエストアウタレインフォース及びドアビームに加えて、ドアインナパネルとヒンジレインフォースにも固定されるので、ミラーの取付剛性がさらに向上する。
【0013】
また、ドアインナパネルの前板部及びヒンジレインレインフォースがミラー取付部材を介してウエストアウタレインフォース及びドアビームに連結されるので、車体側に対するドアの取付剛性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミラーの振動を確実に抑制して耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態にかかる車両用のドアを車幅方向外側から視た側面図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図1のIII−III矢視断面図、図4は図1のIV−IV矢視断面図、図5は本実施形態にかかる車両用のドアを車幅方向内側から視た側面図、図6は図5のドアを車幅方向内側から視た分解斜視図、図7は図5の要部拡大図である。なお、図中の「前」は車両前方を、「上」は車両上方を、「内」は車幅方向内側をそれぞれ示している。また、以下の説明において、車幅方向外側及び内側とは、ドアを閉止した状態での車幅方向外側及び内側を意味し、左右とは、車両前方を向いた状態での左右を意味する。また、図1〜図4は左側のドアを、図5〜図7は右側のドアをそれぞれ示すが、両者はほぼ対称構造であるため、各構成に共通の符号を付して説明する。さらに、図5及び図6ではドアインナパネルを省略している。
【0016】
図1〜図7に示すように、車両の車室を開閉するドア(サイドドア)1は、ドアアウタパネル2とドアインナパネル3とウエストアウタレインフォース4とドアビーム5とヒンジレインフォース6とミラー取付部材30とミラー支持ステイ40とを備える。
【0017】
ドアアウタパネル2はドア1の外面を形成する。ドアインナパネル3は、ドアアウタパネル2の車幅方向内側に対向配置される側板部10と、側板部10の前端から車幅方向外側に曲折する前板部11とを有する。前板部11の前端部(車幅方向外端の先端部)は前方へ曲折してドアアウタパネル2の前端部に接合される。これにより、ドアアウタパネル2とドアインナパネル3との間に閉空間7が区画される。前板部11は、ヒンジ機構(図示外)によって車体側に回転自在に連結され、ドアアウタパネル2及びドアインナパネル3は、後上方に傾斜するドア窓部8の下縁を区画する。
【0018】
ヒンジレインフォース6は、後部12と前部13とを有し、閉空間7内に配置される。ヒンジレインフォース6の後部12は、ドアインナパネル3の側板部10の車幅方向外側面(閉空間7を区画する面)に沿って配置されて、側板部10に接合される。前部13は、ドアインナパネル3の前板部11に沿って後部12の前端から車幅方向外側に曲折し、前板部11に接合される。なお、ドアインナパネル3の前板部11の前端部には、ヒンジレインフォース6の前部13の前端部とミラー取付部材30の前端部とが重ねられた状態で接合される。これにより、ヒンジレインフォース6は、ドアインナパネル3のうちドア1の開閉時に負荷が加わる前板部11を主に補強する。
【0019】
ウエストアウタレインフォース4は、略長板形状を有し、ドアアウタパネル2の車幅方向内側(閉空間7内)でドア窓部8の下縁に沿って配置され、ドアアウタパネル2の車幅方向内側面(閉空間7を区画する面)に接合されてドアアウタパネル2のドア窓部8の下縁付近を主に補強する。
【0020】
ドアビーム5は、略長板形状を有し、閉空間7内のウエストアウタレインフォース4の下方で前後方向に配置され、ドアアウタパネル2の車幅方向内側面(閉空間7を区画する面)に接合されてドアアウタパネル2の中間部分を補強する。また、ドアビーム5は、車両衝突時のドア1の変形に際して、衝撃を吸収する機能と変形後のドア1の開放が許容されるようにドア1の変形モードを設定する機能とを有する。ウエストアウタレインフォース4が後上方に向かって傾斜しているため、ウエストアウタレインフォース4とドアビーム5とは、両者の前端部で最も近接する。
【0021】
ミラー取付部材30は、略板形状を有し、ウエストアウタレインフォース4の前端部とドアビーム5の前端部とに跨った状態でこれら2つの前端部に固定されて両者を連結する。また、前述のように、ミラー取付部材30の前端部は、ドアインナパネル3の前板部11の前端部と、ヒンジレインフォース6の前部13の前端部とに重ねられて接合される。また、ミラー取付部材30の車幅方向内側面上の上下前後の4箇所の所定位置には、後述するロア支持部材42を締結固定するためのボルト43と螺合する4つのウエルドナット44がそれぞれ接合されている。
【0022】
ミラー支持ステイ40は、上下方向に延びる略棒体状であり、ドアアウタパネル2の前上部の車幅方向外側に配置され、その中間部にミラー(ドアミラー)46が固定される。ミラー支持ステイ40の上端部は、ドアアウタパネル2のサッシュ部9の前上角部に固定されるアッパ支持部材41に回転自在に支持され、ミラー支持ステイ40の下端部は、ドアアウタパネル2のドア窓部8の前下角部の下方の車幅方向外側面上に配置されるロア支持部材42に回転自在に支持される。ロア支持部材42は、図3に示すように、ドアアウタパネル2とウエストアウタレインフォース4とミラー取付部材30とを貫通する上方の2つのボルト43をウエルドナット44に螺合するとともに、図4に示すように、ドアアウタパネル2とミラー取付部材30とを貫通する下方の2つのボルト43をウエルドナット44に螺合することによって、ドアアウタパネル2の車幅方向外側面上に締結固定される。なお、上方の締結部分におけるドアアウタパネル2とウエストアウタレインフォース4との間、及び下方の締結部分におけるドアアウタパネル2とミラー取付部材30との間には、それぞれスペーサ45が設けられている。また、ロア支持部材42はカバー48によって覆われている。
【0023】
本実施形態によれば、ドアアウタパネル2を補強するウエストアウタレインフォース4とドアビーム5とに跨った状態で固定されるミラー取付部材30によってミラー支持ステイ40の下端部が支持されるので、ミラー46の取付剛性が確保され、ミラー46の振動を確実に抑えて耐久性を向上させることができる。
【0024】
また、ミラー取付部材30が、ウエストアウタレインフォース4及びドアビーム5に加えて、ドアインナパネル3とヒンジレインフォース6にも固定されるので、ミラー46の取付剛性がさらに向上する。
【0025】
さらに、ドアインナパネル3の前板部11及びヒンジレインレインフォース6がミラー取付部材30を介してウエストアウタレインフォース4及びドアビーム5に連結されるので、車体側に対するドア1の取付剛性が向上する。
【0026】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態にかかる車両用のドアを車幅方向外側から視た側面図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図1のIII−III矢視断面図である。
【図4】図1のIV−IV矢視断面図である。
【図5】本実施形態にかかる車両用のドアを車幅方向内側から視た側面図である。
【図6】図5のドアを車幅方向内側から視た分解斜視図である。
【図7】図5の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ドア(サイドドア)
2 ドアアウタパネル
3 ドアインナパネル
4 ウエストアウタレインフォース
5 ドアビーム
6 ヒンジレインフォース
7 閉空間
8 ドア窓部
10 ドアインナパネルの側板部
11 ドアインナパネルの前板部
30 ミラー取付部材
40 ミラー支持ステイ
46 ミラー(ドアミラー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア窓部の少なくとも下縁を区画するドアアウタパネルと、
前記ドアアウタパネルの車幅方向内側で前記ドア窓部の下縁に沿って配置され、前記ドアアウタパネルの車幅方向内側面上に固定されて該ドアアウタパネルを補強するウエストアウタレインフォースと、
前記ウエストアウタレインフォースの下方で前後方向に配置され、前記ドアアウタパネルの車幅方向内側面上に固定されて該ドアアウタパネルを補強するドアビームと、
前記ドアアウタパネルの車幅方向外側に配置され、ミラーを支持するミラー支持ステイと、
前記ウエストアウタレインフォースの前端部と前記ドアビームの前端部とに跨った状態でこれら2つの前端部に固定されて両者を連結すると共に、前記ミラー支持ステイの下端側を支持するミラー取付部材と、を備えた
ことを特徴とする車両のドア構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のドア構造であって、
前記ドアアウタパネルの車幅方向内側に対向配置される側板部と、この側板部の前端から曲折して前記ドアアウタパネルに接合されるとともに車体側に回転自在に連結される前板部と、を有し、前記ドアアウタパネルとの間に閉空間を区画するドアインナパネルと、
前記閉空間内で前記ドアインナパネルの前板部に固定されて該ドアインナパネルを補強するヒンジレインフォースと、を備え、
前記ウエストアウタレインフォースと前記ドアビームとは、前記閉空間内に配置され、
前記ミラー取付部材は、前記ドアインナパネルの前板部と前記ヒンジレインフォースとに固定される
ことを特徴とする車両のドア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−126862(P2008−126862A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314735(P2006−314735)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】