説明

車両の後部荷室構造

【課題】ボード部材を配設することなく、簡単な構造で容易に、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材がリアピラーと干渉しないようにする。
【解決手段】最後列シート5の車両後側近傍に、トノカバー部材32を巻き取る巻取り装置を車幅方向に延びるように配設する。トノカバー部材32は、カバー本体部分35と、このカバー本体部分35の後端に連結され、後端部がリフトゲート3の内面部に配設された被係合部3aに係合可能に構成され、形状保持性を持つボード部36とを有する。リフトゲート3の内面部の車幅方向両端部における被係合部3aよりも上側に、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいてボード部36が当接してボード部36が上側に移動するのを規制することによりカバー本体部分35が上側に移動するのを規制する規制部40をそれぞれ配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うリフトゲートと、上記荷室を上方から覆うトノカバー部材とを備えている車両の後部荷室構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の後部荷室構造においては、リフトゲートの開閉操作に連動してトノカバー部材が開閉するように構成され、リフトゲートを開放したときにトノカバー部材を上方に移動させて荷室内に対する荷物の出し入れを行えるようになっている。
【0003】
ところで、リフトゲートを閉めたときに、荷室内の荷物を確実に覆うためトノカバー部材の車幅方向寸法を車体後面開口部の下部と略同じ寸法にする必要があるが、例えば、車体後面開口部が下縁部よりも上縁部の短い台形状に構成された自動車の場合、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材の車幅方向両端部がリアピラーと干渉する虞がある。
【0004】
特許文献1には、最後列シートの車両後方近傍にボード部材を配設し、このボード部材の後部にトノカバー部材を巻き取る巻取り装置を配設することにより、ボード部材の分、巻取り装置を車両後方に配置することで、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材の車幅方向両端部がリアピラーと干渉しないように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−108787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成は、ボード部材を配設しているため、このボード部材の分、構造の複雑化やコストアップを招き、また、見栄えや荷物の搭載性も悪くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ボード部材を配設することなく、簡単な構造で容易に、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材がリアピラーと干渉しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、リフトゲートが全開状態で且つトノカバー部材がリフトゲートに係合された状態のときにおいて、リフトゲートの内面部に配設した規制部によってトノカバー部材のカバー本体部分が上側に移動するのを規制することを特徴とする。
【0009】
具体的には、本発明は、車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うリフトゲートと、上記荷室を上方から覆うトノカバー部材とを備えている車両の後部荷室構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、最後列シートの車両後側近傍に車幅方向に延びるように配設され、上記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置をさらに備えており、上記リフトゲートの内面部には被係合部が配設されており、上記トノカバー部材は、カバー本体部分と、該カバー本体部分の後端に連結され、後端部が上記被係合部に係合可能に構成され、形状保持性を持つボード部とを有しており、上記リフトゲートの内面部の車幅方向両端部における上記被係合部よりも上側には、該リフトゲートが全開状態で且つ上記トノカバー部材が該リフトゲートに係合された状態のときにおいて上記ボード部が当接して該ボード部が上側に移動するのを規制することにより上記カバー本体部分が上側に移動するのを規制する規制部がそれぞれ配設されていることを特徴とするものである。
【0011】
これによれば、リフトゲートが全開状態で且つトノカバー部材がリフトゲートに係合された状態のときにおいて、リフトゲートの内面部の車幅方向両端部における被係合部よりも上側にそれぞれ配設された規制部に、ボード部が当接してボード部が上側に移動するのを規制することにより、カバー本体部分が上側に移動するのを規制するので、リフトゲートを全開したときに、トノカバー部材の形状が車両側面視において略逆へ字形状(略L字形状)となり、カバー本体部分がリアピラーから遠ざかる。このため、ボード部材を配設することなく、簡単な構造で容易に、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材がリアピラーと干渉しないようにすることができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記規制部は、リフトゲートトリムに一体に成形された膨出部であることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、規制部は、リフトゲートトリムに一体に成形された膨出部であるので、規制部の成形性と見栄えを向上させることができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記ボード部の車幅方向両端部には、上記リフトゲートが全開状態で且つ上記トノカバー部材が上記リフトゲートに係合された状態のときにおいて上記規制部に当接する樹脂製の当接部がそれぞれ配設されていることを特徴とするものである。
【0015】
これによれば、リフトゲートが全開状態で且つトノカバー部材がリフトゲートに係合された状態のときにおいて、リフトゲートの内面部の車幅方向両端部における被係合部よりも上側にそれぞれ配設された規制部に、ボード部の車幅方向両端部にそれぞれ配設された樹脂製の当接部が当接してボード部が上側に移動するのを規制することにより、カバー本体部分が上側に移動するのを規制するので、そのような比較的強度の高い樹脂製の当接部によって安定した当接強度を確保することができ、カバー本体部分の上側移動の規制を安定した状態にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リフトゲートが全開状態で且つトノカバー部材がリフトゲートに係合された状態のときにおいて、リフトゲートの内面部の車幅方向両端部における被係合部よりも上側にそれぞれ配設された規制部に、ボード部が当接してボード部が上側に移動するのを規制することにより、カバー本体部分が上側に移動するのを規制するので、リフトゲートを全開したときに、トノカバー部材の形状が車両側面視において略逆へ字形状となり、カバー本体部分がリアピラーから遠ざかるため、ボード部材を配設することなく、簡単な構造で容易に、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材がリアピラーと干渉しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の後部荷室構造を側面から見た部分断面図である。
【図2】リフトゲートが全開状態で且つトノカバー部材がリフトゲートに係合された状態のときにおける車両の後部荷室構造を示す背面図である。
【図3】リフトゲートが全開状態で且つトノカバー部材がリフトゲートに係合された状態のときにおける車両の後部荷室構造の要部を示す背面斜視図である。
【図4】規制部がリフトゲートに形成されていない場合と形成された場合におけるトノカバー部材のリアピラーへの接触状態を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本実施形態は、最後列シートのシートバックの車両後側に車両前後方向長さが比較的長い荷室が設けられたハッチバック型、バン型、ワゴン型等の自動車において、荷室内に収納される荷物を上方から覆うトノカバー装置を備えた車両の後部荷室構造に、本発明を適用した場合の例である。
【0020】
図1〜図3に示すように、自動車の後部には、下縁部よりも上縁部の短い略台形状の車体後面開口部2と、車体後面開口部2における上縁近傍部のヒンジ部に軸支され、車体後面開口部2を開閉自在に覆う下開き式のリフトゲート(バックドア)3と、車体後面開口部2の車両前方の荷室4と、荷室4の車両前側に装備された最後列シート5と、最後列シート5のシートバック6の車両後側に装備されたトノカバー装置30などが設けられている。
【0021】
次に、リフトゲート3について説明する。リフトゲート3は、下側壁21と、左右の側壁22,22と、上側壁23とを備えている。下側壁21は、自動車の略半分の高さまで立ち上がっている。各側壁22は、下側壁21の車幅方向両端部分の上部から上方に立ち上がっている。この側壁22は、車体前方に向かうに従って上方に向かうように傾斜されている。上側壁23は、左右側壁22,22の上端部間を跨ぐように車幅方向に延びている。下側壁21、側壁22及び上側壁23は、リフトゲートウインドウ用開口を形成しており、その開口にはリフトゲートウインドウが設けられている。下側壁21、側壁22及び上側壁23には、その各車両前側(車内側)において樹脂製のトリムがそれぞれ設けられている。そして、下側壁トリム24、側壁トリム25及び上側壁トリムがリフトゲートトリムを構成している。
【0022】
次に、荷室4について説明する。荷室4は、その上下がルーフ11とフロアパネル12とにより区画されている。このルーフ11の後縁部が車体後面開口部2の上縁部を構成している。フロアパネル12は、荷室4の領域全体に亘って平坦な状態とされている。このフロアパネル12の後縁部が車体後面開口部2の下縁部を構成している。
【0023】
また、荷室4は、その左右が車体後部の左右の後部側壁13,13により区画されている。各後部側壁13は、下側側壁14と、リアピラー15とを備えている。各下側側壁14は、自動車の左右各側において、フロアパネル12から自動車の略半分の高さまで立ち上がっている。各リアピラー15は、下側側壁14の後側上部から上方に立ち上がっている。このリアピラー15は、車体前方に向かうに従って上方に向かうように傾斜されている。このような各後部側壁13は、そのリアピラー15がルーフ11の後部を支持している。これに伴い、下側側壁14、リアピラー15及びルーフ11は、リアクウォータウインドウ用開口16を形成することになり、その開口16にはリアクウォータウインドウ17が設けられている。
【0024】
下側側壁14及びリアピラー15には、その各車幅方向内側において樹脂製のトリムがそれぞれ設けられている。下側側壁トリム18には、最後列シート5のシートバック6の上端部の車両後側近傍においてケース用凹所が形成されている。そして、リアピラートリムとリアピラー15とが車体後面開口部2の側縁部を構成している。
【0025】
さらに、荷室4は、その前後が最後列シート5とリフトゲート3とにより区画されている。最後列シート5は、フロアパネル12上に設けられている。
【0026】
次に、トノカバー装置30について説明する。トノカバー装置30は、シートバック6の上端部の車両後側近傍位置に設けられた収容ケース31と、後端部がリフトゲート3の内面部に係合可能に構成されたトノカバー部材32などを有している。
【0027】
収容ケース31は、左右後部側壁13,13間を跨ぐように車幅方向に延びており、その両端部は左右の下側側壁トリム18,18のケース用凹所に嵌合保持されている。収容ケース31内には、トノカバー部材32の前側部分のカバー本体部分35を巻き取る方向に付勢する巻取り機構33が車幅方向に延びるように配設され、この巻取り機構33にトノカバー部材32の前端部が回動可能に軸支されている。この収容ケース31及び巻取り機構33が、最後列シート5の車両後側近傍に車幅方向に延びるように配設され且つトノカバー部材32を巻き取る巻取り装置34を構成している。そして、巻取り機構33の付勢力によりカバー本体部分35に付与された張力によって、カバー本体部分35が車両前後方向に展張される。
【0028】
トノカバー部材32は、伸縮性を有する生地で構成されたカバー本体部分35と、カバー本体部分35の後端に車幅方向に延びる軸周りに回動可能に連結され、形状保持性を有する樹脂で構成され、トノカバー部材32が巻取り装置34に巻き取られた状態のときにおいて巻取り装置34から下方に垂下したボード部36などを有し、トノカバー部材32の車幅方向寸法が、車体後面開口部2の上縁部の車幅方向寸法よりも長く且つ車体後面開口部2の下部と略同じになるように構成されている。
【0029】
ボード部36の外周形状は、略円弧と直線とで構成されている。ボード部36の後部において車幅方向両端部分には係合部37がそれぞれ設けられ、各係合部37は、リフトゲート3において下側壁トリム24の車幅方向両端部分のリフトゲートウインドウ下縁近傍部にそれぞれ設けた被係合部3aに係合連結され、リフトゲート3の開閉に応じてトノカバー部材32が上下動するように連係されている。
【0030】
上述のように、トノカバー部材32は、カバー本体部分35の後端に連結されたボード部36を有するので、トノカバー部材32の後側部分の強度を高めることができる。そのため、リフトゲート3にトノカバー部材32を連結するための係合部37をボード部36に取り付けることができ、リフトゲート3を開いたときにトノカバー部材32の後端部が車両後方に引っ張られた場合にも、トノカバー部材32に対して十分な強度を確保することができる。
【0031】
リフトゲート3の内面部の車幅方向両端部分において被係合部3aよりも上側(この位置関係は、リフトゲート3の閉時における状態をいう。言い換えると、リフトゲート3上縁側)には、トノカバー部材32の車幅方向両端部がリアピラー15(車体後面開口部2の周縁部)と干渉しないように、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいてボード部36が当接してボード部36の前端側が上側且つ車両前方(リフトゲート3外面側)に移動するのを規制することによりカバー本体部分35の後端側が上側且つ車両前方に移動するのを規制する規制部40がそれぞれ設けられている。つまり、各規制部40は、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいてボード部36が係合部37及び被係合部3aの係合部分に位置し且つ車幅方向に延びる回動軸を中心として上側(図1では時計回り)に回動するのを規制することにより、カバー本体部分35が車幅方向に延びる、巻取り機構33の軸を中心として上側(図1では反時計回り)に回動するのを規制するようになっている。このように、規制部40によってカバー本体部分35の後端側が上側且つ車両前方に移動するのを規制することで、トノカバー部材32の形状が車両側面視においてカバー本体部分35及びボード部36の連結部分が下側且つ車両後方に突出する略逆へ字形状(略L字形状)とされる。各規制部40は、リフトゲート3の各側壁トリム25の車幅方向内側に車幅方向内側に膨出するように一体に成形された樹脂製の膨出部である。各規制部40の車両前側(図1に示す状態では下側)には、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいてボード部36が当接する、平面で構成された被当接面41が設けられている。
【0032】
また、ボード部36の前縁部において車幅方向両端部分には、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいて各規制部40の被当接面41に当接する樹脂製の当接部42がそれぞれ一体に設けられている。各当接部42は、その車幅方向外側端部がボード部36から車幅方向外側に突出した矩形状の板状部材で構成されており、その車幅方向外側端部の上面は、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいて各規制部40の被当接面41に当接するようになっている。
【0033】
次に、トノカバー装置30の作用、効果について図1〜図4に基づいて説明する。
【0034】
トノカバー部材32を巻取り装置34に巻き取ると、ボード部36が巻取り装置34から下方に垂下する。一方、トノカバー部材32をリフトゲート3に係合するときには、図1において二点鎖線で示すように、巻取り装置34から下方に垂下したボード部36を上方に持ち上げて、トノカバー部材32を巻取り装置34から車両後方に引き出し、トノカバー部材32をリフトゲート3に連結する。
【0035】
また、トノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態で、リフトゲート3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られて、図1において実線で示すように、カバー本体部分35が巻取り装置34から引き出され、トノカバー部材32が上昇位置に到達したとき、荷室4の上方に開口が開放される。
【0036】
このとき、上述のように、リフトゲート3の内面部に形成された各規制部40は、その被当接面41にボード部36の各当接部42の上面が当接してボード部36の前端側が斜め上前方に移動するのを規制することによりカバー本体部分35の後端側が斜め上前方に移動するのを規制することで、図1において実線で示すように、トノカバー部材32の形状を車両側面視において略逆へ字形状とするので、リフトゲート3の全開時に、カバー本体部分35の車幅方向両端部がリアピラー15から遠ざかり、リアピラー15に干渉することがない。しかも、このときにカバー本体部分35がリアピラー15と干渉しないので、トノカバー装置30が破損するのを防止できる。
【0037】
図4は、規制部40がリフトゲート3に形成されていない場合と形成された場合におけるトノカバー部材32のリアピラー15への接触状態を模式的に示す側面図である。規制部40がリフトゲート3に形成されていないと、図4において二点鎖線で示すように、リフトゲート3の全開時に、トノカバー部材32の形状が略直線形状となり、カバー本体部分35がリアピラー15に接触してしまう。しかしながら、本実施形態のように、規制部40がリフトゲート3に形成されていると、図4において実線で示すように、リフトゲート3の全開時に、ボード部36が規制部40に当接することで、トノカバー部材32の形状が略逆へ字形状となり、これに伴い、カバー本体部分35が上記接触位置から遠ざかり、リアピラー15に接触することがない。
【0038】
一方、トノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態で、リフトゲート3を閉じると、トノカバー部材32が下降位置に移動し、図1において二点鎖線で示すように、トノカバー部材32が水平展張されるので、荷室4の上方の開口が覆われる。
【0039】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいて、リフトゲート3の内面部の車幅方向両端部における被係合部3aよりも上側にそれぞれ配設された規制部40に、ボード部36が当接してボード部36が上側に移動するのを規制することにより、カバー本体部分35が上側に移動するのを規制するので、リフトゲート3を全開したときに、トノカバー部材32の形状が車両側面視において略逆へ字形状となり、カバー本体部分35がリアピラー15から遠ざかる。このため、ボード部材を配設することなく、簡単な構造で容易に、リフトゲート3を全開したときにトノカバー部材32がリアピラー15と干渉しないようにすることができる。
【0040】
また、規制部40は、リフトゲートトリムに一体に成形された膨出部であるので、規制部40の成形性と見栄えを向上させることができる。
【0041】
さらに、リフトゲート3が全開状態で且つトノカバー部材32がリフトゲート3に係合された状態のときにおいて、リフトゲート3の内面部の車幅方向両端部における被係合部3aよりも上側にそれぞれ配設された規制部40に、ボード部36の車幅方向両端部にそれぞれ配設された樹脂製の当接部42が当接してボード部36が上側に移動するのを規制することにより、カバー本体部分35が上側に移動するのを規制するので、そのような比較的強度の高い樹脂製の当接部42によって安定した当接強度を確保することができ、カバー本体部分35の上側移動の規制を安定した状態にすることができる。
【0042】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、被係合部3aは、リフトゲート3においてリフトゲートウインドウ下縁近傍部に設けられているが、これに限らず、例えば、リフトゲートウインドウ下縁部から下方に離間した部分に設けられてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、ボード部36は樹脂で構成されているが、形状保持性を有する限り、これに限らず、例えば、フェルト状のものを固めて作られてもよい。
【0044】
さらに、上記実施形態では、規制部40は、リフトゲートトリムに一体成形された膨出部であるが、これに限らず、例えば、リフトゲート3とは別部材であってもよい。但し、規制部40の成形性と見栄えの向上の観点からは、膨出部であるのが望ましい。
【0045】
さらにまた、上記実施形態では、規制部40にボード部36に形成された樹脂製の当接部42が当接しているが、これに限らず、例えば、ボード部36自体が当接してもよい。
【0046】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0047】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明に係る車両の後部荷室構造は、ボード部材を配設することなく、簡単な構造で容易に、リフトゲートを全開したときにトノカバー部材がリアピラーと干渉しないようにすることが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
2 車体後面開口部
3 リフトゲート
3a 被係合部
4 荷室
5 最後列シート
24 下側壁トリム(リフトゲートトリム)
25 側壁トリム(リフトゲートトリム)
32 トノカバー部材
34 巻取り装置
35 カバー本体部分
36 ボード部
40 規制部
42 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うリフトゲートと、上記荷室を上方から覆うトノカバー部材とを備えている車両の後部荷室構造であって、
最後列シートの車両後側近傍に車幅方向に延びるように配設され、上記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置をさらに備えており、
上記リフトゲートの内面部には被係合部が配設されており、
上記トノカバー部材は、カバー本体部分と、該カバー本体部分の後端に連結され、後端部が上記被係合部に係合可能に構成され、形状保持性を持つボード部とを有しており、
上記リフトゲートの内面部の車幅方向両端部における上記被係合部よりも上側には、該リフトゲートが全開状態で且つ上記トノカバー部材が該リフトゲートに係合された状態のときにおいて上記ボード部が当接して該ボード部が上側に移動するのを規制することにより上記カバー本体部分が上側に移動するのを規制する規制部がそれぞれ配設されていることを特徴とする車両の後部荷室構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の後部荷室構造において、
上記規制部は、リフトゲートトリムに一体に成形された膨出部であることを特徴とする車両の後部荷室構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両の後部荷室構造において、
上記ボード部の車幅方向両端部には、上記リフトゲートが全開状態で且つ上記トノカバー部材が上記リフトゲートに係合された状態のときにおいて上記規制部に当接する樹脂製の当接部がそれぞれ配設されていることを特徴とする車両の後部荷室構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−23095(P2013−23095A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160390(P2011−160390)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】