説明

車両の窓ガラス用洗浄装置

本発明は、窓ガラスの下縁部に沿って延びる洗浄用水管路(15)及び該洗浄用水管路(15)に連結された少なくとも1つの洗浄用水ジェット(14)を含む自動車の窓ガラス用洗浄装置に関する。歩行者の保護に関する規定を遵守すると同時に車両にコンパクトな形で組込むことのできる洗浄装置を得るために、洗浄用水ノズル(14)は、細長い管状部品(18)及びこの管状部品(18)上にフランジをつけた細長く平坦な弁ハウジング(19)を含み、ハウジングの軸に対し垂直な開口部軸をもつ少なくとも1つの注入用開口部、及び注入用開口部から上流側に位置づけられた逆止弁がその中に配置されている。洗浄用水ノズル(14)を洗浄用水管路(15)に連結するために、前記洗浄用水ノズル(14)は、管状部品(18)が界面の結果生じる2つのライン区分を連結するように、前記界面において洗浄用水管路(15)の中に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の車両の窓ガラス用、特に自動車のウィンドシールド用の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの既知の洗浄装置においては(特許文献1)、エンジンフードの後縁部とウィンドシールドとの間でウィンドシールドの幅全体にわたり延びているプラスチックパネル内に、長手方向に走行する2本のダクトが具備され、前記ダクトは各々、パネルの一方の端部から中心まで延び、各々連結ニップルを用いて洗浄用水供給ラインに連結されている。長手方向ダクトには、規定の場所に穴が具備されている。各々に逆止弁が備わった加熱された洗浄用水ノズルは、自立したユニットの形で製造され、洗浄用水ノズル内のスプレー開口部がウィンドシールドの方を指すように長手方向ダクト内の穴の1つの中に挿入される連結部品を有している。
【0003】
自動車用の既知の窓ガラス洗浄システムにおいては(特許文献2)、洗浄用水管路は、およそ洋梨形の断面形状をもつ柔軟で弾性のあるプラスチックホースにより形成されており、その中心領域内を洗浄用水用のフローダクトが走行している。具備されている洗浄用水ノズルのレベルにおいて、プラスチックホースの壁領域には、フローダクト内に到達する1つの開口部が具備されており、この開口部の軸は、フローダクトとの関係において半径方向に走行している。ノズル本体に連結された連結パイプがこの半径方向開口部内に挿入される。スプレー開口部は、このノズル本体の中に形成される。半径方向開口部から離れるように面したプラスチックホースの壁の領域の中には、フローダクトに平行に2本の発熱導体が埋込まれ、これらの発熱導体は電源に接続され、フローダクト内を流れる洗浄用水を加熱する。さらに、ノズル本体の領域も同様にPTC要素を用いて加熱される。
【0004】
【特許文献1】独国実用新案第9201119U1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第4304661C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、設置空間の削減に向けた要件及び歩行者の保護に関する規定を満たす、導入部で言及したタイプの車両の窓ガラス用洗浄装置を特定するという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本目的は、請求項1の特徴を用いて達成される。
【0007】
本発明による洗浄装置は、自立したユニットの形で製造される少なくとも1つの洗浄用水ノズルが、逆止弁の組込みにも関わらず非常に平坦な構成のものであり、洗浄用水管路の外部の拡がり以下であるか又はこれよりもわずかに大きいだけである横断方向の拡がりを有し、かくして車両の前面に保持されるレセプタクルの中に多数の洗浄用水ノズルを非常に有効に設置することができるようになっており、このレセプタクルは洗浄用水管路のために1つの設置空間しか提供する必要がない、という利点をもつ。平坦な構成の洗浄用水ノズルは、窓ガラスを囲む領域の中で、エンジンフードに衝突した場合に歩行者を傷つける可能性のあるいかなる突出部も形成しない。
【0008】
本発明の目的に基づく展開及び改良を含めた本発明による洗浄装置の有利な実施形態は、さらなる請求項の中で特定されている。
【0009】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、パイプ区分及び弁ハウジングは、熱良導性材料で製造されており、洗浄用水管路の内部には連続する絶縁電熱線が敷設されている。洗浄用水を搬送する洗浄用水管路のフロー内部の中に電熱線を敷設することにより、まず第1に、洗浄用水管路の壁が比較的薄い状態に保たれることが可能となり得、かくして洗浄用水管路の小さな外径が得られることになり、第2に、洗浄用水ノズルのパイプ区分を通して全く問題なく電熱線を導くことができる。こうして、洗浄用水ノズルの付加的な加熱システムのための製造及び組立てコストを両方共節減でき、又、設置空間も節約される。弁ハウジングの平坦な構成というのは、このように敷設された電熱線がスプレー開口部に非常に近いところに位置づけられ、そのため、パイプ区分及び弁ハウジングの熱良導性材料と合わさって、スプレー開口部の領域はきわめて効果的に加熱されるようになっているということを意味する。導入部で記述した既知の窓ガラス洗浄システムの洗浄ノズルの場合にスプレー開口部の凍結を防止するために使用されているような付加的なPCT発熱体を設けずにすませられ、従って、加熱された洗浄用水ノズルについてさらなるコスト削減が達成されることになる。
【0010】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、スプレー開口部は、ハウジング軸に対して横断方向に走行する開口部垂線又は開口部軸をもつ弁ハウジング内のハウジング開口部の中に交換可能な形で挿入されている別のスプレーモジュールの中に組込まれている。この場合、ハウジング開口部は、好ましくは、弁ハウジング上に形成され、その中にスプレーモジュールを挟むことのできるカラーにより囲まれている。この設計上の措置の利点は、スプレーモジュールを弁ハウジング内に単に挟んだ結果、交換プロセスを非常に迅速に都合よく実施することが可能であることから、スプレー開口部が閉塞したとき洗浄用水ノズルの作動を復旧させるためにスプレーモジュールの交換しか必要でないということにある。
【0011】
発明の1つの有利な実施形態によれば、洗浄用水管路は、各々1つのパイプ区分により互いに連結された少なくとも2本のホース区分をもつ可撓性ホースである。ホースは、上部で開放し、U字形横断面を有する1本のシャフト内に設置されており、かつ窓ガラスに比較的近い前記シャフトの壁の中には少なくとも1つの切欠きが具備され、この切欠きの中にスプレー開口部が突出している。シャフトは下部カバーの一体形構成部分であり、このカバーはその上に載っているエンジンフードの一部分と共に給気ダクトを囲んでいる。エンジンフードが閉鎖されると、シャフトは上からこのエンジンフードにより被覆される。車両内への洗浄装置のこのタイプの組込みは、組立ての面で便利であり、大きい設置空間を必要としない。ホースの断面形状内に組込まれている洗浄用水ノズルは、シャフト内の既存の切欠きを通るように噴霧方向が向いている状態で、この切欠きに単純に位置づけされそこに固定される。
【0012】
本発明のさらなる実施形態に従った洗浄用水ノズルが、弁ハウジングから半径方向外へ突出しスプレーモジュール内で挟むことに役立つカラーをも有する場合、そのカラーは同時に、シャフト内の切欠きの中に洗浄用水ノズルを確実に固定するために使用してもよい。
【0013】
本発明は、図面中に示されている例示的実施形態を参考にした以下の本文の中でより詳しく記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、ウィンドシールドの下でその幅全体にわたり車両のフロントウィンドシールド(ここでは例示せず)から一定の距離のところを走行する後縁部101をもつ2重壁の備わったエンジンフード10の後部領域の略図である。閉鎖状態で、エンジンフード10は、エンジンフード10により上部で拘束されエンジンフード10内で空気取入口開口部に連結されている給気ダクト12のための下部カバー11を形成するプラスチック部品の上に載っている。前記カバーのウィンドシールドに面する端部で、カバー11内に一体化してU字形シャフト13が形成されている。シャフトは上部で開き、閉鎖したエンジンフード10により覆われる。シャフト13はウィンドシールドの幅全体にわたり広がっており、洗浄用水ノズル14が設けられる洗浄用水管路15を収容する。ウィンドシールドに比較的近いシャフト壁131は、洗浄用水ノズル14内に収納されたスプレー開口部22が中に突出している切欠き16を有し、かくして、圧力下でスプレー開口部22から放出される洗浄用水はウィンドシールドの規定のゾーンを湿らせる。提示された例示的実施形態においては、洗浄用水管路15は、上からシャフト13内に設置されている可撓性ホース17の形をしている。一変形形態としては、洗浄用水管路15は、カバー11内に組込まれたフローダクトによって形成されてもよい。
【0015】
洗浄用水管路15又はホース17の断面形状内に位置づけされている各々の洗浄用水ノズル14は、細長いパイプ区分18及び、パイプ区分18に対して半径方向に取付けられパイプ区分18と一体型設計のものであってもよい弁ハウジング19を有している。弁ハウジング19は、比較的小さい直径をもつきわめて平坦な又は円形の構成のものであり、そのハウジング軸がパイプ区分18の軸に平行に方向づけされるようにパイプ区分18に対しフランジ連結されている。弁ハウジング19は、パイプ区分18内の壁開口部20を用いてパイプ区分18の内部に存在するフローダクトに連結されている。逆止弁21(図2中に符号でのみ示されている)及び洗浄用水ノズル14中のスプレー開口部22は、弁ハウジング19内に組込まれている。通常は弁座と相互作用する弁部材及び弁閉鎖用バネを有する逆止弁21は、弁ハウジング19内に形成されている弁入口チャンバ23と弁ハウジング19内に形成されている弁出口チャンバ24の間に配置されており、該弁入口チャンバ23及び弁出口チャンバ24は、弁ハウジング19の軸方向に直列に配置されている。弁入口チャンバ23はパイプ区分18内の壁開口部20と重なり、弁出口チャンバ24はスプレー開口部22を有する。
【0016】
スプレー開口部22は、弁ハウジング19内のハウジング開口部26の中に別々のコンポーネントとして挿入されるスプレーモジュール25の中に組込まれる。ハウジング開口部26の垂線又は軸はこの場合、弁ハウジング19のハウジング軸及びパイプ区分18の軸に対し直角に方向づけされている。図3の拡大詳細図を見れば特にはっきりとわかるように、ハウジング開口部26は、弁ハウジング19上に形成されているカラー27により囲まれており、このカラー27は弁ハウジング19と一体型設計のものであり得る。スプレーモジュール25が中に挟まれるクリップレセプタクル28は、カラー27の中に内蔵されている。
【0017】
記述されている例示的実施形態においては、スプレーモジュール25は、下部モジュールプレート29及び上部モジュールプレート30を含み、これらのプレートは各々中央貫通穴31又は32を具備しており、2つの貫通穴31、32は互いに心合せされている。ボールの形をしたノズル本体33は、2つのモジュールプレート29、30の間にしっかりとかつ旋回可能な形で挟持されており、スプレー開口部22はボールの中央を通って走行し2つの貫通穴31、32と連通しているボーリング孔の形で前記ボール内に形成されている。記述された例示的実施形態においては、ノズル本体33は1つのスプレー開口部22しか有していないが、互いに一定の角度を成してオフセットされている複数のスプレー開口部が具備されていてもよい。
【0018】
洗浄用水管路15に洗浄用水ノズル14を連結するために、パイプ区分18は洗浄用水管路15の交点に挿入され、洗浄用水管路15がホース17の形をしている場合、2つの連続したホース区分171及び172を互いに連結する(図2)。この目的で、連結ニップル34又は35が、パイプ区分18の各端部で形成され、ホース171又は172の各端部が前記連結ニップル上に押し込まれる。
【0019】
連続する絶縁電熱線36が、洗浄用水管路15又はホース17の洗浄用水搬送フローダクト内を走行し、この電熱線は同様にパイプ区分18を通って導かれる。電熱線36が電源に接続された時点で、洗浄用水管路15内を流れる洗浄用水は加熱され、従って凍結が防止されるか又は凍結した洗浄用水管路15が再び解凍される。パイプ区分18及び弁ハウジング19は、熱良導性材料で製造され、かくして、弁ハウジング19の細長く平坦な設計のため、電熱線により生成された充分な量の熱がなおもスプレーモジュール25に到達し、ここでも又スプレー開口部22の凍結が防止又は解除されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】空気誘導ダクトの下部カバーとともに、自動車のウィンドシールドの方を指しているエンジンフードの後部領域を通る長手方向区分の詳細図。
【図2】洗浄用水管路の2つのライン部分の間に挿入されている洗浄用水ノズルを通る長手方向断面図。
【図3】図2中の細部IIIの拡大図。
【図4】図2中の断面IV−IVの拡大図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラス、特に、自動車のウィンドシールド用の洗浄装置であって、窓ガラスの下縁部に沿って走る洗浄用水管路(15)を有し、前記洗浄用水管路(15)に連結され、少なくとも1つのスプレー開口部(22)と前記少なくとも1つのスプレー開口部(22)の上流側に配置された逆止弁(21)をもつ少なくとも1つの洗浄用水ノズル(14)を有する洗浄装置であって、
前記洗浄用水ノズル(14)がパイプ区分(18)及び、前記逆止弁(21)を収納しかつそのハウジング軸が前記パイプ区分の軸に対して平行である状態で前記パイプ区分(18)の外側にフランジで連結されているバルブハウジング(19)を有し、
前記少なくとも1つのスプレー開口部(22)は、その開口部垂線が前記ハウジング軸に対し横方向になるように、前記弁ハウジング(19)内に配置され、
前記パイプ区分(18)が前記洗浄用水管路(15)の交点に挿入されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記パイプ区分(18)及び前記弁ハウジング(19)が、熱良導性材料で構成され、
連続する絶縁電熱線が前記洗浄用水管路(15)の洗浄用水搬送内部を走行していることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記スプレー開口部(22)は、前記弁ハウジング(19)内のハウジング開口部(26)に交換可能な形で挿入されているスプレーモジュール(25)に組込まれていることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ハウジング開口部(26)は前記弁ハウジング(19)に形成されたカラー(27)により囲まれ、
前記スプレーモジュールは前記カラーに挟まれるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記スプレーモジュール(25)が、心合せされた貫通穴(31、32)と下部及び上部モジュールプレート(29、30)を有し、
前記少なくとも1つのスプレー開口部(22)を有するノズル本体(33)が、前記モジュールプレート(29、30)で旋回可能な形で挟持されていることを特徴とする請求項3あるいは4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記パイプ区分(18)の内部に連結されている弁入口チャンバ(23)及び前記少なくとも1つのスプレー開口部(22)を備える弁出口チャンバ(24)が、前記弁ハウジング(19)内に形成され、これらのチャンバは、前記ハウジング軸の方向に直列に配置され、
前記逆止弁(21)は前記弁入口チャンバ及び弁出口チャンバ(23、24)の間に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記パイプ区分(18)及び前記弁ハウジング(19)が細長い形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記弁ハウジング(19)が平坦な設計のものであることを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記弁ハウジング(19)が、好ましくは最小限の直径をもつ円形設計のものであることを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄用水管路(15)が、各々1つのパイプ区分(18)によって互いに連結されている少なくとも2つのホース区分(171、172)を有する可撓性ホース(17)であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項11】
前記パイプ区分(18)の2つの自由端の各々で1つの連結ニップル(34、35)が形成されており、ホース区分(171又は172)の一方の端部が前記ニップル上に押し込まれていることを特徴とする請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項12】
前記ホース(17)が、上部で開放しU字形横断面を有する1本のシャフト(13)内に配置され、車両の窓ガラスに比較的近い前記シャフトの壁(131)が、前記洗浄用水ノズル(14)の前記少なくとも1つのスプレー開口部(22)が突出している少なくとも1つの切欠き(16)を有することを特徴とする請求項10あるいは11に記載の洗浄装置。
【請求項13】
前記シャフト(13)が、カバー(11)の一体形構成部分であり、前記カバーはこのカバーの上に載っているエンジンフード(10)の一部分と共に給気ダクト(12)を囲み、
前記エンジンフード(10)が上方から前記シャフト(13)を閉鎖していることを特徴とする請求項12に記載の洗浄装置。
【請求項14】
前記洗浄用水管路(15)は、カバー(11)の中に組込まれているダクトの形をしており、前記カバーは、このカバー上に載っているエンジンフード(10)の一部と共に給気ダクトを囲んでいることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−502904(P2006−502904A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544022(P2004−544022)
【出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010071
【国際公開番号】WO2004/035359
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】