説明

車両の運転支援装置

【課題】自車両の進行方向と交差する方向で該自車両の前方に向って走行して来る他車を、該他車と自車両との間に存在する遮蔽構造物により検出することができない場合であっても、該他車と自車両との接触を回避するための処理を極力適切なタイミングで行う。
【解決手段】車両2に搭載したカメラ3aの撮像画像から、車両2の進行方向と交差する方向で車両2の前方に向かって移動しており、且つ、障害物検出手段7により検出されていない他車21の前照灯により照明されていると推定される他車照明路面領域を検出する他車照明検出手段8を備える。他車21が検出された場合に、他車21との接触を回避するための対策処理を実行すべきか否かを判断する処理を、他車21が検出される前に、他車照明路面領域が検出された場合と、他車21が検出される前に、他車照明路面領域が検出されていない場合とで異なる判断条件を使用して行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周辺に存在する障害物を検出する機能を有する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両に搭載されたレーダ装置やカメラ等を用いて、自車両の周辺に存在する他車等の障害物を検出すると共に、自車両に対する該障害物の相対的な位置や速度を推定し、将来における該障害物と自車両との接触の恐れがある場合に、その接触を回避するための対策処理(運転者に対する警報や、自車両の制動力もしくは駆動力の制御等)を行なうようにした装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4179135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1に見られる如き従来の技術では、自車両の前方に、自車両が走行している道路(以降、自車走行路ということがある)と交差する道路(以降、交差路ということがある)が存在し、且つ、該自車走行路と交差路との交差点の手前において、自車走行路を該交差点に向って走行している自車両と、交差路を該交差点に向って走行して来る他車との間に、交差路もしくは自車走行路の側縁に設置された壁等の遮蔽構造物が介在する場合がある。
【0005】
このような場合には、該他車が交差点もしくはその直前位置に到達するまで、自車両に搭載されたレーダ装置やカメラによって該他車を検出することができない場合が多い。
【0006】
従って、このような場合には、上記遮蔽構造物が存在しない場合に較べて、自車両における上記他車の検出が遅れてしまい、ひいては、上記他車と自車両との接触を回避するための対策処理の実行タイミングが遅くなってしまうという不都合がある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、自車両の進行方向と交差する方向で該自車両の前方に向って走行して来る他車を、該他車と自車両との間に存在する遮蔽構造物により検出することができない場合であっても、該他車と自車両との接触を回避するための処理を極力適切なタイミングで行うことができる車両の運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両の運転支援装置は、かかる目的を達成するために、車両の前方の監視領域に存在する少なくとも他車を含む傷害物を検出する障害物検出手段と、該障害物検出手段により検出された障害物と前記車両との接触を回避するための対策処理を実行すべきか否かを判断し、該対策処理を実行すべきと判断した場合に該対策処理を実行する接触回避対策処理手段とを備えた車両の運転支援装置において、
前記監視領域を撮像すべく前記車両に搭載されたカメラと、
該カメラの撮像画像から、前記車両の進行方向と交差する方向で該車両の前方に向かって移動しており、且つ、前記障害物検出手段により検出されていない他車の前照灯により照明されていると推定される路面上の領域である他車照明路面領域を検出する他車照明検出手段とを備え、
前記接触回避対策処理手段は、前記障害物検出手段により前記他車が検出された場合に、該他車との接触を回避するための前記対策処理を実行すべきか否かを判断する処理を、該他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合と、該他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出されていない場合とで異なる判断条件を使用して行なうことを特徴とする(第1発明)。
【0009】
かかる本発明によれば、前記車両の進行方向と交差する方向で該車両の前方に向かって移動している他車(以降、交差方向進行他車ということがある)が障害物検出手段により検出される前に、前記他車照明検出手段により他車照明路面領域が検出された場合には、該交差方向進行他車が障害物検出手段により検出される直前に、塀等の構造物の背後に隠れた状態で、自車両の前方に近づきつつある可能性が高いとみなすことができる。
【0010】
そこで、前記接触回避対策処理手段は、前記障害物検出手段により前記交差方向進行他車が検出された場合に、該交差方向進行他車との接触を回避するための前記対策処理を実行すべきか否かを判断する処理を、該交差方向進行他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合と、該交差方向進行他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出されていない場合とで異なる判断条件を使用して行なう。
【0011】
このため、前記交差方向進行他車が障害物検出手段により検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合、すなわち、該交差方向進行他車の検出前に、既に該交差方向進行他車が自車両の前方に近づきつつあった可能性が高い場合と、該交差方向進行他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出されていない場合とを区別し、前者の場合には、該交差方向進行他車と前記車両(自車両)との接触を回避するための対策処理を実行すべきか否かの判断が、後者の場合よりも早期になされるようにすることができる。
【0012】
従って、第1発明によれば、自車両の進行方向と交差する方向で該自車両の前方に向って走行して来る他車(交差方向進行他車)を、該他車と自車両との間に存在する遮蔽構造物により検出することができない場合であっても、該他車と自車両との接触を回避するための処理を極力適切なタイミングで行うことができる。
【0013】
かかる第1発明では、前記他車照明検出手段は、例えば、前記カメラの撮像画像における前記車両の前方の路面の画像部分の輝度又は色の変化に基づいて前記他車照明路面領域を検出する(第2発明)。
【0014】
すなわち、前記交差方向進行他車が前照灯を点灯させて自車両の前方に接近してくる場合には、自車両の前方の路面の輝度や色が比較的急激な変化を生じやすい。従って、第2発明によれば、前記他車照明路面領域を比較的高い信頼度で検出することができる。
【0015】
ただし、路面の照明は、外灯等の影響も受けやすいので、他車照明検出手段により他車照明路面領域が検出されても、その他車照明路面領域の、実際の交差方向進行他車の前照灯により照明された部分としての信頼度がさほど高くない可能性もある。
【0016】
そこで、前記第1発明又は第2発明では、前記他車照明検出手段により検出された他車照明路面領域の、実際の他車の前照灯により照明された領域としての信頼度を設定する信頼度設定手段をさらに備えており、前記接触回避対策処理手段は、前記他車が検出される前に、前記前照灯照明領域検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合において、前記信頼度設定手段により設定された信頼度に応じて、前記対策処理を実行すべきか否かを判断するための判断条件を変更するか、又は、前記対策処理の内容を変更する手段であり、前記信頼度設定手段は、検出された他車照明路面領域の右側又は左側の側方に静止構造物が存在している状況で、前記カメラの撮像画像における該静止構造物の輝度の単位時間当たりの増加度合いが所定量よりも大きいことが検出された場合に、該検出がなされない場合よりも、前記信頼度を相対的に高めるように設定するようにしてもよい(第3発明)。
【0017】
あるいは、前記第1発明又は第2発明では、前記他車照明路面領域検出手段により検出された他車照明路面領域の、実際の他車の前照灯により照明された領域としての信頼度を設定する信頼度設定手段をさらに備えており、前記接触回避対策処理手段は、前記他車が検出される前に、前記前照灯照明領域検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合において、前記信頼度設定手段により設定された信頼度に応じて、前記対策処理を実行すべきか否かを判断するための判断条件を変更するか、又は、前記対策処理の内容を変更する手段であり、前記信頼度設定手段は、前記検出された他車照明路面領域の路面上に障害物が前記障害物検出手段により検出されている状況で、該障害物の画像の輝度が、該障害物の周囲の画像の輝度よりも所定量以上高いことが検出された場合に、該検出がなされない場合よりも、前記信頼度を相対的に高めるように設定するようにしてもよい(第4発明)。
【0018】
なお、上記第3発明及び第4発明を組み合わせるようにしてもよい。
【0019】
ここで、交差方向進行他車の走行路が、前記車両(自車両)の走行路との交差箇所で突き当たりとなっていて、その突き当たりに壁等の静止構造物が存在する場合には、交差方向進行他車が前照灯を点灯させている場合に、その前照灯の光が当該静止構造物に当たりつつ、該交差方向進行他車が当該静止構造物に近づいて来ることで、当該静止構造物の輝度(交差方向進行他車の前照灯により照明されている部分の輝度)が、比較的急激に増加する傾向がある。
【0020】
そこで、第3発明では、前記信頼度設定手段は、検出された他車照明路面領域の右側又は左側の側方に静止構造物が存在している状況で、前記カメラの撮像画像における該静止構造物の輝度の単位時間当たりの増加度合いが所定量よりも大きいことが検出された場合に、該検出がなされない場合よりも、前記信頼度を相対的に高めるように設定する。これにより、他車照明検出手段により検出された他車照明路面領域の信頼度を適切に設定することができる。
【0021】
また、交差方向進行他車の走行路が、前記車両(自車両)の走行路との交差箇所に、人や自転車等の障害物が存在する場合には、交差方向進行他車が前照灯を点灯させている場合に、その前照灯によって該交差箇所の障害物が照明されることで、該障害物の輝度が、その周囲の輝度に比して高いものとなる傾向がある。
【0022】
そこで、第4発明では、前記信頼度設定手段は、前記検出された他車照明路面領域の路面上に障害物が前記障害物検出手段により検出されている状況で、該障害物の画像の輝度が、該障害物の周囲の画像の輝度よりも所定量以上高いことが検出された場合に、該検出がなされない場合よりも、前記信頼度を相対的に高めるように設定する。これにより、他車照明検出手段により検出された他車照明路面領域の信頼度を適切に設定することができる。
【0023】
そして、第3発明又は第4発明によれば、前記接触回避対策処理手段は、前記他車が検出される前に、前記前照灯照明領域検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合において、前記信頼度設定手段により設定された信頼度に応じて、前記対策処理を実行すべきか否かを判断するための判断条件を変更するか、又は、前記対策処理の内容を変更する。
【0024】
これにより、他車照明路面領域の信頼度に応じて、障害物検出手段により検出された交差方向進行他車と自車両との接触を回避するための対策処理の実行タイミングや、その対策処理の内容を変更することができる。例えば、他車照明路面領域の信頼度が相対的に高い場合に、該信頼度が相対的に低い場合よりも、前記対策処理を実行すべきとの判断がより早期に行なわれるようにしたり、あるいは、前者の場合の対策処理において、後者の場合よりも、運転者の注意喚起を促しやすい警報を発するようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態における運転支援装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す他車照明検出部の処理を示すフローチャート。
【図3】図1に示す他車照明検出部の処理を説明するための図。
【図4】図1に示す信頼度設定部の処理を説明するための図。
【図5】図1に示す信頼度設定部の処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態を図1〜図5を参照して以下に説明する。
【0027】
図1を参照して、本実施形態の運転支援装置1は、車両2(自車両)の前方の所定の監視領域(所定の画角範囲の領域)を撮像する一対のカメラ3a,3b(ステレオカメラ)と、該カメラ3a,3bの撮像画像の画像処理等の各種演算処理を実行して、車両2の運転者に対する警報等の報知を行なうための報知器4や車両2のブレーキ装置5の制動力の制御を行う演算処理ユニット6とを備えている。
【0028】
ステレオカメラを構成するカメラ3a,3bのそれぞれは、CCDカメラやCMOSカメラ等により構成されたものである。そして、カメラ3a,3bは、それぞれの撮像範囲に車両2の前方の所定の監視領域を含むようにして、車両2の前部(フロントグリル部等)に左右方向に並列させて搭載されている。両カメラ3a,3bの撮像領域となる上記監視領域は、例えば、図3に破線で示す直線LaとLbとの間の領域である。なお、カメラ3a,3bの撮像画像は、モノトーン画像及びカラー画像のいずれであってもよい。
【0029】
報知器4は、視覚的信号あるいは音声信号により運転者に対する報知を行なうものであり、例えば表示器(液晶ディスプレイ等)、ランプ、スピーカ等により構成される。
【0030】
また、ブレーキ装置5は、詳細な構造の説明は省略するが、例えば、その制動力を発生するブレーキ圧を、車両2のブレーキペダルの操作量に対応するブレーキ圧に対して増減制御することが可能な公知の構造のものである。
【0031】
演算処理ユニット6は、CPU、RAM、ROM、インターフェイス回路等から構成された電子回路ユニットであり、車両2の適所に配置されている。この演算処理ユニット6は、本実施形態では、実装されたプログラム等により実現される機能として、カメラ3a,3bの撮像画像から車両2(自車両)の前方に存在する障害物を検出する障害物検出部7と、カメラ3a,3bのうちのあらかじめ定められた一方のカメラ3aの撮像画像から他車照明路面領域の有無を検出する他車照明検出部8と、この他車照明検出部8により検出された他車照明路面領域の信頼度を設定する信頼度設定部9と、障害物検出部7により検出された障害物と自車両2との接触を回避するための対策処理を実行すべきか否かを判断し、その判断結果に応じて、対策処理を適宜実行する接触回避対策処理部10とを備えている。
【0032】
上記障害物検出部7が検出する障害物の種類は、例えば他車、人、あるいは、道路上もしくはその周辺の構造物である。なお、この場合、「他車」は、通常の四輪自動車に限らず、自動二輪車、自転車も含まれる。
【0033】
また、障害物検出部7は、検出した各障害物の自車両2に対する運動状態(自車両2に対する各障害物の位置及び移動速度)と、各障害物の空間的なサイズ(横幅や縦幅)とを特定する機能も含んでいる。
【0034】
また、他車照明検出部8が検出する他車照明路面領域は、より詳しくは、自車両2の進行方向と交差する方向(自車両2の走行路を横切る方向)で自車両2の前方に向かって移動しており、且つ、障害物検出部7により検出されていない他車の前照灯により照明されていると推定される路面上(自車両2の前方の路面上)の領域である。以降、自車両2の進行方向と交差する方向(自車両2の走行路と交差する方向)で自車両2の前方に向かって移動している他車を交差方向進行他車という。
【0035】
本実施形態では、障害物検出部7は、カメラ3a,3bの撮像画像から他車等の障害物を検出するので、該カメラ3a,3bの撮像画像に写っていない交差方向進行他車は、障害物検出部7により検出されないこととなる。
【0036】
例えば、図3又は図4に示す如く、自車両2と交差方向進行他車21との間に、遮蔽構造物22a又は22bが存在しており、該交差方向進行他車21が、自車両2のカメラ3,3から見て、遮蔽構造物22a又は22bの背後に隠れてしまう状態では、該交差方向進行他車21が、自車両2のカメラ3a,3bの撮像画像に写らない。上記遮蔽構造部22a,22bは、例えば、自車両2が走行している走行路23又は交差方向進行他車21が走行する走行路24の側方に存在する壁や樹木、建物等である。
【0037】
このような状況では、交差方向進行他車21は、自車両2の前方正面付近まで走行して、カメラ3a,3bの撮像画像に写るようになるまで、障害物検出部7により検出されないこととなる。
【0038】
本実施形態で、他車照明検出部8が検出する他車照明路面領域は、自車両2の前方の路面上で、上記の如き交差方向進行他車21の前照灯により照明されている部分(例えば図3又は図4で参照符号25を付した部分)である。
【0039】
補足すると、前記障害物検出部7は、カメラ3a,3bの代わりに、ミリ波レーダやレーザレーダ等のレーダ装置により障害物を検出するものであってもよく、あるいは、レーダ装置とカメラ3a,3bの一方又は両方の撮像画像とを併用して、障害物を検出するものであってもよい。レーダ装置により障害物を検出する場合であっても、自車両2と交差方向進行他車21との間に上記の如き遮蔽構造物22a又は22bが存在する状況では、交差方向進行他車21が検出されない。なお、レーダ装置を備える場合には、車両2の搭載するカメラは一台の単眼カメラであってもよい。
【0040】
また、信頼度設定部9が設定する信頼度は、より詳しくは、他車照明検出部8により他車照明路面領域の存在が検出された場合に、その他車照明路面領域の、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明されている領域としての信頼度(確からしさの度合い)である。
【0041】
路面の照明は、外灯等の影響も受けるので、他車照明検出部8により後述する如く検出される他車照明路面領域が、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明された部分ではない可能性もある。このため、本実施形態では、検出された他車照明路面領域の信頼度を設定し、その信頼度を、接触回避対策処理部10の処理に反映させるようにしている。
【0042】
また、接触回避対策処理部10が実行する接触回避対策処理としては、本実施形態では、障害物と自車両2とが接触する恐れがある旨の警報を、報知器4によって運転者に発する警報処理と、ブレーキ装置5のブレーキ圧を通常よりも増加させる(ひいては制動力を増加させる)制動制御処理とが含まれる。
【0043】
補足すると、前記障害物検出部7、他車照明検出部8、信頼度設定部9、接触回避対策処理部10はそれぞれ、本発明における障害物検出手段、他車照明検出手段、信頼度設定手段、接触回避対策処理手段に相当するものである。
【0044】
次に、上記各機能部の処理の詳細を含めて、演算処理ユニット6の全体的な処理を詳細に説明する。
【0045】
演算処理ユニット6は、カメラ3a,3bの撮像画像を所定の時間間隔で逐次取り込んで、図示しない画像メモリに記憶保持する。この場合、カメラ3a,3bの最新の撮像画像を含めて、現在時刻から所定時間前までの期間分の複数フレームの撮像画像が記憶保持される。
【0046】
そして、演算処理ユニット6は、障害物検出部7及び接触回避対策処理部10の処理を所定の演算処理周期で逐次実行すると共に、他車照明検出部8及び信頼度設定部9の処理を適宜実行する。
【0047】
この場合、障害物検出部7の処理は次のように実行される。すなわち、障害物検出部7は、演算処理ユニット9の画像メモリに記憶保持されたカメラ3a,3bの撮像画像(最新の撮像画像)のうちの一方のカメラ3a(以降、基準カメラ3aという)の撮像画像である基準画像から、検出対象の障害物(他車、人、あるいは、道路上もしくはその周辺の構造物)をそれぞれの形状等の特徴量に基づいて検出する。このような障害物の検出手法は、種々様々な手法が公知となっており、その公知の手法を用いて障害物を検出すればよい。
【0048】
さらに、障害物検出部7は、両カメラ3a,3bの撮像画像をステレオ画像として使用して、公知のステレオマッチングの手法によって、基準画像から検出した各障害物の、自車両2に対する位置及び移動速度(位置の時間的変化率)と、該障害物の空間的なサイズとを特定する。
【0049】
また、他車照明検出部8の処理は、障害物検出部7により交差方向進行他車が検出されていない状況において、例えば図2のフローチャートに示す如く実行される。すなわち、他車照明検出部8は、まず、STEP1において、現在時刻から所定時間前までの時間内に、基準カメラ3aにより一定の時間間隔で取得された複数の撮像画像のそれぞれに、他車照明路面領域が有るか否かを検出するための検出用路面領域を設定する。
【0050】
該検出用路面領域は、自車両2が走行している走行路23の路面が投影されている領域内(又は該走行路23の路面が投影されている可能性が高いと推定される領域内(例えば自車両2正面の車幅相当の領域内))で、自車両2からの距離(自車両2の前後方向の距離)が所定範囲内に収まるように設定される所定サイズの領域である。
【0051】
次いで、STEP2において、他車照明検出部8は、上記複数の撮像画像のそれぞれの検出用路面領域における画像の輝度値から、該検出用路面領域の輝度変化を計測する。
【0052】
具体的には、他車照明検出部8は、上記複数の撮像画像のそれぞれの検出用路面領域の画像の平均輝度を算出し、それらの平均輝度の算出値から、現在時刻から所定時間前までの期間における該平均輝度の単位時間当たりの変化率(平均変化率)を算出する。なお、ここでは、該変化率(以降、路面輝度変化率という)は、平均輝度が増加する場合に正の値、平均輝度が減少する場合には負の値であるとする。
【0053】
次いで、他車照明検出部8は、STEP3の判断処理を実行する。このSTEP3では、他車照明検出部8は、上記の如く算出した路面輝度変化率を、所定の閾値(>0)と比較することで、検出用路面領域の平均輝度が、所定の閾値よりも大きな増加率で増加したか否かを判断する。
【0054】
ここで、自車両2の前方の路面に、交差方向進行他車2の前照灯により照明されている領域が存在する場合、その領域の輝度が比較的急激に増加する傾向がある。
【0055】
そこで、他車照明検出部8は、STEP3で路面輝度変化率が所定の閾値(>0)よりも大きい場合には、STEP4において、自車両2の前方の路面に、交差方向進行他車21の前照灯により照明されていると推定される領域、すなわち、他車照明路面領域が有るとする。これにより、他車照明路面領域が自車両2の前方の路面に有ることが検出される。
【0056】
また、路面輝度変化率が所定の閾値(>0)以下である場合には、他車照明検出部8は、STEP6において、自車両2の前方の路面に、他車照明路面領域が無いものとする。
【0057】
そして、他車照明検出部8は、他車照明路面領域が検出された場合には、さらにSTEP5において、他車照明路面領域と自車両2との距離(自車両2の前後方向の距離)を算出する。具体的には、他車照明検出部8は、例えば、最新の基準画像の前記検出用路面領域内において、輝度値が所定値以上となる部分の重心点の位置(基準画像上での位置)を、該基準画像での他車照明路面領域の代表位置として求める。そして、他車照明検出部8は、基準画像の縦方向での該重心点の位置に基づいて、自車両2の前後方向での他車照明路面領域と自車両2との間の距離を算出する。
【0058】
この場合、基準画像の縦方向での該重心点の位置から、実空間における路面上の他車照明路面領域の方位角(基準カメラ3aの光軸に対するピッチ方向の方位角)が判るので、その方位角と基準カメラ3aの高さ(路面からの高さ)とカメラ3aの焦点距離とから他車照明路面領域と自車両2との間の距離を算出することができる。
【0059】
以上が、他車照明検出部8の処理の詳細である。
【0060】
なお、他車照明検出部8の処理では、基準画像の前記検出用路面領域内において、輝度値が所定値以上となる部分のサイズに基づいて、交差方向進行他車21の種別が四輪自動車、自動二輪車、自転車のいずれであるかを判断するようにすることも可能である。この場合、例えば、輝度値が所定値以上となる部分のサイズを大、中、小の3種類に分類し、該サイズが大である場合、中である場合、小である場合にそれぞれ、交差方向進行他車21の種別が四輪自動車、自動二輪車、自転車であるというように判断すればよい。
【0061】
また、カメラ3a,3bの撮像画像がカラー画像である場合には、自車両2の前方の路面の検出用路面領域の色の変化に基づいて、他車照明路面領域の有無を検出するようにしてもよい。例えば、現在時刻から所定時間前までの期間内に、検出用路面領域の色の彩度が、所定量以上、明るい彩度に変化した場合に、他車照明路面領域が有ることを検出するようにしてもよい。
【0062】
他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出された場合には、さらに、信頼度設定部9の処理が次のように実行される。
【0063】
この信頼度設定部9が実行する処理には、図4に示す如く、交差方向進行他車21の走行路24と、自車両2の走行路23とがT字路形態で交差して、交差方向進行他車21の走行路24が、自車両2の走行路23との交差点で突き当たりとなっており、且つ、該交差点における交差方向進行他車21の正面前方(突き当たりの正面)に、壁等、交差方向進行他車2の前照灯の照明を反射可能な静止物体30が存在するような状況(以降、第1特定状況という)で行なわれる第1処理と、図5に示す如く、交差方向進行他車2の走行路24と自車両2の走行路23との交差点内に自転車や人等の障害物31が存在する状況(以降、第2特定状況という)で行なわれる第2処理とが含まれる。
【0064】
なお、図5では、走行路23,24の交差点が、T字路形態の交差点である場合を例示しているが、該2処理では、該交差点は、十字路形態の交差点、あるいは、走行路23,24を含めた3つ以上の走行路が交差するような交差点であってもよい。
【0065】
信頼度設定部9は、まず、上記第1処理と第2処理とのいずれの処理を行うかを決定するために、他車照明検出部8により検出された他車照明路面領域の近辺(自車両1からの距離が検出された他車照明路面領域とほぼ等しくなる箇所)の状況が、上記第2特定状況に該当するか否かを判断する。
【0066】
この場合、信頼度設定部9は、他車照明検出部8により検出された他車照明路面領域の近辺での走行路23の路面上に、障害物検出部7によって、自転車あるいは人等の障害物31が検出されている場合に、他車照明路面領域の近辺の状況が第2特定状況に該当すると判断し、該障害物31が検出されていない場合には、他車照明路面領域の近辺の状況が第2特定状況に該当しないと判断する。
【0067】
そして、他車照明路面領域の近辺の状況が第2特定状況に該当しないと判断した場合には、信頼度設定部9はさらに、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当するか否かを判断する。
【0068】
この場合、信頼度設定部9は、例えば、障害物検出部7の検出結果と基準カメラ3aの撮像画像とに基づいて、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当するか否かを判断する。
【0069】
具体的には、例えば基準カメラ3aの撮像画像において、他車照明路面領域の近辺における自車両2の走行路23の路面上に横断歩道が写っていることが確認され、且つ、他車照明路面領域の右側もしくは左側の側方箇所(走行路23の側縁付近の箇所)に、障害物検出部7により壁等の静止物体30が検出されている場合には、図4に示す如く、他車照明路面領域が走行路23,24のT字路形態での交差点上の箇所である可能性が高いので、信頼度設定部9は、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当すると判断する。
【0070】
なお、他車照明路面領域の周辺が暗く、基準カメラ3a(又はカメラ3b)の撮像画像から他車照明路面領域の近辺に横断歩道や静止物体を検出できないような場合には、例えば次のようにして、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当するか否かを判断するようにしてもよい。
【0071】
すなわち、他車照明路面領域の右側もしくは左側の側方箇所(走行路23の側縁付近の箇所)に、比較的高輝度の局所領域が存在する場合には、該局所領域が、交差方向進行他車21の前照灯により照明されている壁等の静止物体30の部分である可能性が高いと考えられるので、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当すると判断するようにしてもよい。
【0072】
また、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当するか否かの判断を、例えばナビゲーション情報(自車両2の前方の地図情報)を参照して行なうようにしてもよい。
【0073】
信頼度設定部9は、上記の如く、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況に該当すると判断した場合には、前記第1処理を実行する。
【0074】
この第1処理では、信頼度設定部9は、現在時刻から所定時間前までの期間で、基準カメラ3aにより一定の時間間隔で取得された複数の撮像画像のそれぞれにおいて、他車照明路面領域の側方の静止物体30の箇所(又は静止物体30が存在すると推定される箇所)の所定サイズの領域(例えば図4の参照符号32を付した領域)における平均輝度を算出し、それらの平均輝度の算出値から、現在時刻から所定時間前までの期間における該平均輝度の単位時間当たりの変化率(平均変化率)を算出する。該変化率は、平均輝度が増加する場合に正の値、平均輝度が減少する場合には負の値であるとする。
【0075】
ここで、検出された他車照明路面領域が、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明された部分である場合には、その側方の静止物体30が該交差方向進行他車21の前照灯により照明されることとなるために、該静止物体30の照明部分の平均輝度は、該交差方向進行他車21が近づいてくることで、急激に増加していく。
【0076】
そこで、信頼度設定部9は、静止物体30の算出した平均輝度の変化率が所定の閾値(>0)よりも大きい場合には、他車照明路面領域が、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明されている部分である可能性が高いものとして、該他車照明路面領域に関する信頼度を、相対的に高い信頼度として設定する。
【0077】
また、静止物体30の算出した平均輝度の変化率が所定の閾値以下である場合には、信頼度設定部9は、他車照明路面領域に関する信頼度を、相対的に低い信頼度として設定する。
【0078】
また、信頼度設定部9は、他車照明路面領域の近辺の状況が第2特定状況に該当すると判断した場合には、前記第2処理を実行する。
【0079】
この第2処理では、信頼度設定部9は、基準カメラ3aの撮像画像において、障害物検出部7により検出されている障害部31の画像の平均輝度と、その周囲の所定サイズの領域(例えば、図5に示す如く障害物31の画像を囲む領域33)の平均輝度とを算出する。
【0080】
ここで、検出された他車照明路面領域が、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明された部分である場合には、図5に示す如く、該他車照明路面領域の路面上(自車両2の走行路23と交差方向進行他車21の走行路24との交差点の路面上)に自転車や人等の障害物31が存在する場合に、該障害物31の画像の輝度は、一般に、その周囲の輝度に比して高くなる。
【0081】
そこで、信頼度設定部9は、障害物31の画像の平均輝度が、その周囲の領域の平均輝度よりも所定量以上高い場合には、他車照明路面領域が、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明されている部分である可能性が高いものとして、該他車照明路面領域に関する信頼度を、相対的に高い信頼度として設定する。
【0082】
また、障害物31の画像の平均輝度が、その周囲の領域の平均輝度よりも所定量以上高いという条件が成立しない場合には、信頼度設定部9は、他車照明路面領域に関する信頼度を、相対的に低い信頼度として設定する。
【0083】
なお、信頼度設定部9は、他車照明路面領域の近辺の状況が第1特定状況及び第2特定状況のいずれにも該当しないと判断した場合(例えば図3に示す如き状況でる場合)には、他車照明路面領域に関する信頼度を、相対的に低い信頼度として設定する。
【0084】
以上が信頼度設定部9の処理である。
【0085】
以上の如く、障害物検出部7、他車照明検出部8及び信頼度設定部9の処理を実行した後、演算処理ユニット6は、接触回避対策処理部10の処理を実行する。
【0086】
この場合、接触回避対策処理部10は、障害物検出部7により交差方向進行他車21が検出され、且つ、その検出前に他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出されている場合を除く場合(以降、通常の場合ということがある)には、障害物検出部7により検出された各障害物の位置(自車両2に対する相対位置)の、所定時間分の所定数の時系列と、当該位置の時間的変化率(移動速度)とに基づいて、該障害物の自車両2に対する進路を予測し、その予測に基づいて、該障害物と自車両2との衝突の可能性が高いか否かを判断する。例えば、該障害物の進路と自車両2の進路とがある時刻で重なり合うような場合、もしくはそれに近い状況となる場合に、該障害物と自車両2との接触の可能性が高いと判断する。
【0087】
そして、障害物と自車両2との接触の可能性が高いとした場合には、接触回避対策処理部10は、自車両2の障害物との接触の可能性が高い旨の運転者への警報(視覚的な報知又は音声による報知)を報知器4から出力させるように該報知器4の作動を制御する。さらに、接触回避対策処理部10は、ブレーキ装置5による制動力を増加させるように、該ブレーキ装置5のブレーキ圧を制御する。これにより、自車両2と障害物の接触の可能性が低減される。
【0088】
一方、接触回避対策処理部10は、障害物検出部7により交差方向進行他車21が検出された場合には、その検出前に他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出されているか否か、並びに、検出された他車照明路面領域に関して信頼度設定部9により設定された信頼度に応じて、接触を回避するための処理の実行タイミングなどを変化させる。
【0089】
具体的には、例えば、障害物検出部7により交差方向進行他車21が検出される前に(該検出時刻から所定時間前までの期間内に)、他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出されている場合には、接触回避対策処理部10は、交差方向進行他車21の進路を予測するために用いる該交差方向進行他車21の位置の時系列の個数を通常の場合よりも少なくする。また、この場合、接触回避対策処理部10は、検出された他車照明路面領域の信頼度が相対的に低い信頼度に設定されている場合よりも相対的に高い信頼度に設定されている場合の方が、交差方向進行他車21の進路を予測するために用いる該交差方向進行他車21の位置の時系列の個数をより少なくする。
【0090】
このように交差方向進行他車21の進路を予測するために用いる該交差方向進行他車21の位置の時系列の個数を少なくするということは、交差方向進行他車21の進路を通常の場合よりも、早期に予測し、ひいては、該交差方向進行他車21との接触の可能性の判断がより早期に行なわれるように、その判断のための条件を変更することを意味する。
【0091】
このため、障害物検出部7により交差方向進行他車21が検出される前に、他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出されている場合には、障害物としての交差方向進行他車21と自車両2との接触の可能性が高いか否かが、通常の場合よりも早期に判断されることとなる。
【0092】
従って、本実施形態によれば、交差方向進行他車21が、遮蔽構造物22a又は22bの背後に隠れてしまい、障害物検出部7により該交差方向進行他車21を検出することができない状態から、該交差方向進行他車21が障害物検出部7の監視領域に出現して、該障害物検出部7により検出されるようになると、該交差方向進行他車21と自車両2との接触の可能性の判断が素早く行なわれる。
【0093】
この結果、該交差方向進行他車21と自車両2との接触の可能性の判断が遅くなるのを極力防止することができる。
【0094】
また、交差方向進行他車21と自車両2との接触の可能性の判断は、検出された他車照明路面領域の信頼度が相対的に低い信頼度である場合よりも、相対的に高い信頼度である場合の方が、より早期に行なわれる。
【0095】
従って、他車照明路面領域が、実際の交差方向進行他車21の前照灯により照明された部分でないのに、他車照明路面領域として検出されてしまったような場合に、過剰に早期に接触を可否するための対策処理が実行されてしまうようなことを防止することができる。
【0096】
次に、以上説明した実施形態の変形態様をいくつか説明する。
【0097】
前記交差方向進行他車21等の障害物と自車両2との接触を回避するための対策処理では、ブレーキ装置5のブレーキ圧の制御に代わりに、又はブレーキ装置5のブレーキ圧の制御と併用して、車両2の動力源(エンジンや電動モータ等)の駆動力を制御するようにしてもよい。
【0098】
また、該対策処理として、報知器4による報知だけを行なうようにしてもよい。
【0099】
また、障害物検出部7により交差方向進行他車21が検出される前に、他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出されている場合において、該交差方向進行他車21と自車両2との接触を回避する対策処理を実行する場合に、ブレーキ装置5のブレーキ圧の制御(又は車両2の動力源の駆動力の制御)に先行して(例えば、交差方向進行他車21の検出直後)に報知器4による警報を発するようにしてもよい。
【0100】
また、交差方向進行他車21と自車両2との接触を回避するための対策処理における、報知器4による警報の内容(音声内容など)や、ブレーキ装置5のブレーキ圧の増加量(又は車両2の動力源の駆動力の減少量)を、他車照明路面領域の信頼度に応じて変化させるようにしてもよい。
【0101】
例えば、他車照明路面領域の信頼度が相対的に低い場合には、該信頼度が相対的に高い場合よりも、報知器4による警報の内容を、運転者の注意喚起をより抑制した内容(音量をより小さくする等)にしたり、あるいは、ブレーキ圧の増加量をより少なくするようにしてもよい。
【0102】
また、障害物検出部7により交差方向進行他車21が検出される前に、他車照明検出部8により他車照明路面領域が検出されている場合に、交差方向進行他車21の進路を予測するために用いる該交差方向進行他車21の位置の時系列の個数を通常の場合よりも少なくすることに代えて、交差方向進行他車21と自車両2とが将来において接触する可能性が高いか否かを判断するための閾値を変更するようにしてもよい。
【0103】
また、信頼度設定部9により設定する信頼度は、高低2種類だけでなく、複数種類の信頼度を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…運転支援装置、2…車両、3a,3b…カメラ、7…障害物検出部(障害物検出手段)、8…他車照明検出部(他車照明検出手段)、9…信頼度設定部(信頼度設定手段)、10…接触回避対策処理部(接触回避対策処理手段)、21…他車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の監視領域に存在する少なくとも他車を含む傷害物を検出する障害物検出手段と、該障害物検出手段により検出された障害物と前記車両との接触を回避するための対策処理を実行すべきか否かを判断し、該対策処理を実行すべきと判断した場合に該対策処理を実行する接触回避対策処理手段とを備えた車両の運転支援装置において、
前記監視領域を撮像すべく前記車両に搭載されたカメラと、
該カメラの撮像画像から、前記車両の進行方向と交差する方向で該車両の前方に向かって移動しており、且つ、前記障害物検出手段により検出されていない他車の前照灯により照明されていると推定される路面上の領域である他車照明路面領域を検出する他車照明検出手段とを備え、
前記接触回避対策処理手段は、前記障害物検出手段により前記他車が検出された場合に、該他車との接触を回避するための前記対策処理を実行すべきか否かを判断する処理を、該他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合と、該他車が検出される前に、前記他車照明検出手段により前記他車照明路面領域が検出されていない場合とで異なる判断条件を使用して行なうことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の運転支援装置において、
前記他車照明検出手段は、前記カメラの撮像画像における前記車両の前方の路面の画像部分の輝度又は色の変化に基づいて前記他車照明路面領域を検出することを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両の運転支援装置において、
前記他車照明検出手段により検出された他車照明路面領域の、実際の他車の前照灯により照明された領域としての信頼度を設定する信頼度設定手段をさらに備えており、
前記接触回避対策処理手段は、前記他車が検出される前に、前記前照灯照明領域検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合において、前記信頼度設定手段により設定された信頼度に応じて、前記対策処理を実行すべきか否かを判断するための判断条件を変更するか、又は、前記対策処理の内容を変更する手段であり、
前記信頼度設定手段は、検出された他車照明路面領域の右側又は左側の側方に静止構造物が存在している状況で、前記カメラの撮像画像における該静止構造物の輝度の単位時間当たりの増加度合いが所定量よりも大きいことが検出された場合に、該検出がなされない場合よりも、前記信頼度を相対的に高めるように設定することを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の車両の運転支援装置において、
前記他車照明路面領域検出手段により検出された他車照明路面領域の、実際の他車の前照灯により照明された領域としての信頼度を設定する信頼度設定手段をさらに備えており、
前記接触回避対策処理手段は、前記他車が検出される前に、前記前照灯照明領域検出手段により前記他車照明路面領域が検出された場合において、前記信頼度設定手段により設定された信頼度に応じて、前記対策処理を実行すべきか否かを判断するための判断条件を変更するか、又は、前記対策処理の内容を変更する手段であり、
前記信頼度設定手段は、前記検出された他車照明路面領域の路面上に障害物が前記障害物検出手段により検出されている状況で、該障害物の画像の輝度が、該障害物の周囲の画像の輝度よりも所定量以上高いことが検出された場合に、該検出がなされない場合よりも、前記信頼度を相対的に高めるように設定することを特徴とする車両の運転支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate