説明

車両の遠隔装置

【課題】
車両にアルコール検知機能を設け、アルコール濃度が所定値以上であるときにエンジンの始動を禁止する車両制御装置において、ディーラオプションなど後付けで遠隔始動装置を車両に装着した場合、遠隔始動装置を用いてエンジンを始動させることができない。
【解決手段】
車両にアルコール検知機能を設けた車両において、携帯機からのエンジン始動要求を受信した場合、アルコール検知結果によらずエンジンの始動を解除する擬似信号を出力し、前記携帯機の要求によってエンジンが始動したあとに、車両室内に運転者が侵入もしくは運転者の存在を検知した場合は、エンジン停止要求信号を出力する遠隔始動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたエンジンまたは空調装置の遠隔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲酒運転の防止は社会的な要請であり、近年においてはシートベルトにアルコール検知器を備え付け、運転する前に、これに息を吹き込んでアルコール濃度を測定し、アルコール濃度が所定値以上の場合、エンジンが始動せず、飲酒運転ができないようにする車両が開発されている。また、夏場や冬場など運転者が車両に乗車してから空調制御を行っていては、運転者の所望温度になるまで所定時間を要することになり、乗車後すぐに運転者が快適に運転できないという問題があり、遠隔からエンジンを始動させ、車室内の暖房や冷房を可能とすることができる遠隔始動装置が開発されている。
また、従来から、飲酒運転を防止に関する発明として特許文献1、エンジンの遠隔始動装置として特許文献2などの技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−169524
【特許文献2】特開平10−148170
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように車両にアルコール検知器を備えた場合、運転者が一旦、車両に乗車してからアルコール検知器でノンアルコールであることを検知してからでないとエンジンの始動ができないようになっている。そのため、ディーラやオートバックスなどで運転者が後付けで遠隔始動装置を装着した場合、遠隔始動装置を用いてエンジンを始動させることができないという問題が生じる。すなわち、車両所有者が、遠隔始動装置を用いて遠隔から車室内の暖房や冷房を実施することができなくなる。
本発明はこうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルコール検知機能を備えた車両において、ディーラやオートバックスなどで遠隔始動装置を後付けで装着しても遠隔始動を可能とする車両制御装置を提供することである。さらに、車両走行時には確実にアルコール検知機能も利用して飲酒運転を防止できる車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、運転者のアルコール濃度に基づきデータ信号を出力し、該データ信号が所定の特定信号と一致するとエンジンの作動を許容させる機能を備えた車両に設けられ、通信機能を有する携帯機によりエンジンを遠隔始動する機能を備えたエンジン遠隔始動/停止装置において、前記携帯機から送出される始動指示信号を受信した場合、前記所定の特定信号に対応する擬似信号を前記データ信号として出力する擬似信号生成手段を備えたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のエンジン遠隔始動/停止装置において、擬似信号をデータ信号として出力した後に、始動指示信号を送信することを特徴とすることを要旨とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のエンジン遠隔始動/停止装置において、携帯機によりエンジンを遠隔始動した後に、運転者の車室内への侵入を検知した場合、エンジンを停止させるエンジン停止信号を送信することを特徴とすることを要旨とする。
請求項4に記載の発明では、運転者のアルコール濃度に基づきデータ信号を出力し、該データ信号が所定の特定信号と一致するとエンジンの作動を許容させる機能を備えた車両に設けられ、通信機能を有する携帯機からのエンジンの始動信号に基づいてエンジンを始動するエンジン制御装置において、携帯機からエンジンの始動要求があった場合、前記アルコール濃度に基づくデータ信号に関わらず、エンジンの作動を許容させることを特徴とすることを要旨とする。
【0006】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のエンジン制御装置において、携帯機からエンジンの始動要求によりエンジンを始動した後に、運転者の車室内への侵入を検知した場合、エンジンを自動停止することを特徴とすることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
以下、本発明の効果について説明する。
【0008】
請求項1に記載の発明によると、携帯機から遠隔でエンジンの始動要求を受信した場合、所定の特定信号と一致するデータ信号をエンジン遠隔始動/停止装置から擬似信号を送信するようにしているため、ディーラやオートバックスなどでエンジン遠隔始動/停止装置を後付けしても、遠隔からエンジンの始動が可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明によると、エンジン遠隔始動/停止装置は擬似信号出力後にエンジン始動指示信号を出力しているようにしている。つまり、エンジン制御装置がアルコール許可信号を受信して、始動信号を受信するようにしているため、確実にエンジンの始動が可能となる。
請求項3に記載の発明によると、エンジン遠隔始動/停止装置を用いてエンジン始動後に運転者の車室内への侵入を検知すると、エンジン遠隔始動/停止装置はエンジン停止信号を出力する構成としている。すなわち、エンジン遠隔始動/停止装置を用いてエンジンを遠隔始動しても、運転者が車室内へ侵入するとエンジンを一旦停止して、アルコール濃度測定を実施してからでないと車両走行できないようになっている。
【0010】
請求項4に記載の発明によると、携帯機からのエンジン始動要求を受信するとアルコール濃度検知結果によらずエンジンの始動を許可するようにエンジン制御装置がエンジンを制御しているため、ディーラやオートバックスなどでエンジン遠隔始動/停止装置を後付けしても遠隔からエンジンの始動が可能となる。
請求項5に記載の発明によると、エンジン遠隔始動/停止装置を用いてエンジン始動後に運転者の車室内への侵入を検知すると、エンジン制御装置がエンジンを自動停止する構成としている。すなわち、エンジン遠隔始動/停止装置を用いてエンジンを遠隔始動しても、運転者が車室内へ侵入するとエンジンを一旦停止して、アルコール濃度測定を実施してからでないと車両走行できないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例である車両制御装置の概略図を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例である車両制御装置の概略図を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施例である車両制御装置のエンジン始動を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例である車両制御装置のエンジン始動を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の一実施例である車両制御遠隔装置のエンジン始動を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施例である車両制御装置のエンジン始動を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の一実施例である車両制御装置のエンジン始動を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施例である車両制御装置の概略図を示す構成図である。
【図9】本発明の一実施例である車両制御装置の概略図を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
次に、本発明の実施形態を図1〜図2に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、車両11は、車両制御装置10(遠隔始動/停止装置1、エンジン制御装置2、ボディ制御装置3、アルコール検知装置4、送受信装置5、通信線8,9などから構成される)を備え、携帯機12とIDコードの照合を実施して、車両10の制御を可能としている。
【0014】
エンジン制御装置2は、吸気管から吸入される空気(エアフローセンサ107で検知)とインジェクタ110から噴射される燃料との混合気がシリンダ内で着火・燃焼することにより、駆動力を発生する。エンジンから出力された駆動力は、図示しないトランスミッション、ディファレンシャル、ドライブシャフトなどを介して駆動輪に伝達される。
【0015】
エンジン制御装置2は、始動・停止SW101、アクセルセンサ102、スロットルセンサ103、ブレーキ圧センサ104、車速センサ105、エンジン回転数センサ106、エアフローセンサ107、酸素濃度センサ108などの各種センサが接続されている。
【0016】
エンジン制御装置2は、インジェクタ110を駆動するインジェクタドライバ、イグナイタ111へ点火信号を出力する出力回路、および電子スロットルバルブを開閉する電子スロットルモータ113を駆動するモータドライブなどを備えている。
【0017】
エンジン制御装置2は、その内部に演算を行うCPU、このCPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果など各種データを記憶するRAMなどを有している。
エンジン制御装置2は、上述した各種センサ21からの出力値に基づいて燃料噴射量や点火時期などの制御値を算出し、算出した制御値に基づいてインジェクタ110、イグナイタ111、電子スロットルモータ112、エンジンスタータモータ113を駆動して、エンジンの運転を制御する。
また、アルコール検知装置4には、アルコール検知器140が接続されており、該アルコール検知器140による検知結果が入力される。アルコール検知装置4は、検知結果が所定の基準値未満であるときには、運転者が飲酒をしていない状態であると判断し、該検知結果をエンジン制御装置2にエンジン始動許可信号122として送信する。また、アルコール検知装置4からアルコール濃度をエンジン制御装置2に送信して、エンジン制御装置2で運転者が飲酒をしていないか判断するようにしてもよい。
【0018】
エンジン制御装置2は、アルコール検知装置4からエンジン始動許可信号122を受信して、始動・停止SW101から始動信号を受信すると、エンジンスタータモータ113を駆動するとともに、燃料供給や点火を開始して、エンジンを始動する。
【0019】
ここで、呼気中のアルコール濃度で飲酒状態を判定する場合、上述した所定の基準値は、0〜0.15(mg/l)の間で設定される。この基準値はゼロに近いことが好ましいが、アルコール検知器140の検出精度などを考慮して設定される。
【0020】
アルコール検知器140は、運転者の呼気や血中に含まれるアルコール濃度を検知するものであり、例えば、車両のステアリングハンドルやシートベルトなどに取り付けられている。
【0021】
アルコール検知器140は、運転者のアルコール濃度を検知できればよく、検知方法は特に限定されない。例えば、半導体センサ、燃料電池センサ、赤外線センサまたは化学物質センサを用いたハンディブロー式や据置ブロー式、遠方吸い込み式のアルコール検知器、光学式接触センサを用いた接触式のアルコール検知器などを用いることができる。
ここで、半導体センサは、半導体中に流れる電子の量がアルコールにより吸収され変化する特性を利用したものであり、電子の量の変化により生じる電気抵抗値の変化からアルコール濃度を検知する。燃料電池センサは、アルコールから電子を作り出すことができる燃料電池の特性を利用したものであり、作り出された電子の数に対応する電流値からアルコール濃度を検知する。赤外線センサは、赤外線がアルコールに吸収される特性を利用したものであり、アルコールにより吸収された赤外線を光検出器で電気信号に変換して解析することによりアルコール濃度を検知する。化学物質センサは、化学物質とアルコールとが化学反応を起こして変色する特性を利用してアルコール濃度を検知する。また、光学式接触センサは、血中アルコール濃度と静脈血流との間に相関関係があることを利用したものであり、センサで検出した指先の静脈血流に基づいて血中アルコール濃度を検知する。
【0022】
携帯機12は、所有者(運転者)によって所持され、車両制御装置10(詳細には送受信装置5)と相互通信可能となっている。詳しくは、携帯機12の遠隔エンジン始動SW13が押印されると、所定のIDコード14を自動的に送信する。このIDコード信号14は、所定周波数(例えば300MHz)の電波15として送信される。
【0023】
また送受信装置5は、携帯機12から送信された電波15を受信すると、そのIDコードをパルス信号に復調して遠隔始動/停止制御装置1に対してIDコード受信信号123を出力する。
【0024】
遠隔始動/停止制御装置は、送受信装置5からIDコード受信信号123が入力されると、IDコード受信信号123に含まれるIDコードと、自身で予め設定されたIDコードとの比較(IDコード照合)を行う。その結果、それらIDコード同士が一致したときは、遠隔始動/停止制御装置1は、エンジン制御装置2に対してエンジン始動要求126を送信する。また、それらIDコード同士が不一致のときには、遠隔始動/停止制御装置1は、エンジン制御装置2に対して特になにもしない。
【0025】
また、ボディ制御装置3は、侵入センサ130、着座センサ131、ドア開閉SW132などのセンサが接続されている。
【0026】
ボディ制御装置3は、携帯機12によってエンジンを遠隔始動したあと、上述した侵入センサ130、着座センサ131、ドア開閉SW132から車両内に運転者が侵入したことや、車両内に運転者が存在することを検知した場合、エンジン制御装置2に侵入検知信号121を送信する。エンジン制御装置2は、前記侵入検知信号を受信するとエンジンを自動停止する。
【0027】
次に、図3を参照しつつ、車両制御装置10の動作について説明する。ここで、図3は、車両制御装置10によるエンジン始動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS1では、運転者が携帯機12の遠隔始動SW13を押印することにより、エンジン始動要求が検知される。ステップS2では、遠隔始動/停止制御装置1で携帯機12のID照合判定を実施する。
【0029】
ステップS3では、ID照合が一致したと判断すると、ステップS4でエンジン制御装置2がエンジンスタータモータを駆動し、また、噴射・点火制御を実施してエンジンを始動させる。ステップS3でのID照合が不一致であると判断すると、エンジンの停止を継続する(ステップS11)。
【0030】
ステップS5では、遠隔で携帯機12を使用してエンジン始動(ステップS4)させた後、ボディ制御装置3において車室内への運転者の侵入、あるいは車室内に運転者の存在を検知し、エンジン制御装置2に侵入検知信号121を送信する。ステップS6でエンジン制御装置2が侵入検知信号121を受け取ると、噴射・点火を停止して、エンジンを自動停止させる。尚、ステップS5の具体的な検知方法として、ドア開閉SW132からドア開閉を検出した場合や、運転席等に取り付けられた着座センサ130で運転者がいることを検出した場合や、車室内に取り付けられた侵入センサ131で運転者の侵入を検知した場合である。
【0031】
ステップS7では、運転者が車室内でアルコール検知器140に対して呼気を吹きかけることにより、呼気中のアルコール濃度が検知される。また、アルコール検知器140で検知されたアルコール濃度がアルコール制御装置4に読み込まれる。
【0032】
ステップS8では、アルコール検知装置4が検知されたアルコール濃度が基準値(例えば、0.1mg/l)未満であるか否かについて判断が行われる。ここで、アルコール濃度が基準値未満である場合には、運転者が飲酒をしていない状態であると判断され、エンジン制御装置2にエンジン始動許可信号122を送信する。
【0033】
ステップS9では、エンジン制御装置2に始動・停止SW101から信号が入力されると、ステップ10でエンジンスタータモータを駆動し、また、噴射・点火制御を実施してエンジンを始動させる。
【0034】
次に図4〜図7のタイミングチャートを参照しながら、エンジン始動について説明する。
【0035】
図4は、運転者が携帯機で遠隔からエンジンを始動させた後、車両に乗り込み、アルコールチェックOKでエンジンを始動させた場合のタイミングチャートである。タイミングt1で携帯機12からエンジン始動要求が送信され、タイミングt2において遠隔始動/停止装置2でID照合の一致を確認し、タイミングt3においてエンジン制御装置2がエンジンを始動させる。
【0036】
つぎに、タイミングt4においてボディ制御装置3でドアの開閉を検知すると、エンジン制御装置2はエンジンを自動停止させる。
【0037】
つぎに、タイミングt5において運転者がアルコール検知器に呼気を吹きかけ、アルコール検知装置4でアルコール濃度が所定値未満であるかどうかを判断する。
【0038】
つぎに、タイミングt6において前記アルコール濃度チェックがOKの場合に、運転車が始動・停止SW101を押印したことをエンジン制御装置2が検知したときに、エンジンを始動させる。
【0039】
つぎに、図5について説明する。図5は、運転者が携帯機でエンジンを始動した後、車両に乗り込み、アルコール濃度チェックがNGでエンジンが始動できない場合のタイミングチャート図である。
【0040】
タイミングt1において携帯機12からエンジン始動要求が送信され、タイミングt2において遠隔始動/停止装置2でID照合の一致を確認し、タイミングt3でエンジン制御装置2がエンジンを始動させる。
【0041】
つぎに、タイミングt4においてボディ制御装置3でドアの開閉を検知すると、エンジン制御装置2はエンジンを自動停止させる。
【0042】
つぎに、タイミングt5において運転者がアルコール検知器に呼気を吹きかけ、アルコール検知装置4でアルコール濃度が所定値未満であるかどうかを判断する。図5では、アルコール濃度が所定値以上であるため、アルコール濃度チェックOKフラグがOFFのままである。
【0043】
つぎに、タイミングt6において前記アルコール濃度チェックがNGのため、運転車が始動・停止SW101を押印しても、エンジン制御装置2はエンジンを始動させない。
【0044】
つぎに、図6について説明する。図6は、運転者が携帯機12でエンジンを始動させることなく、車両に乗り込み、アルコール濃度チェックがOKでエンジンを始動させた場合のタイミングチャート図である。
【0045】
タイミングt4において、ボディ制御装置3でドアの開閉を検知しても、エンジンは停止している状態のため、エンジン制御装置2はとくになにも動作しない。
【0046】
つぎに、タイミングt5において運転者がアルコール検知器140に呼気を吹きかけ、アルコール検知装置4でアルコール濃度が所定値未満であるかどうかを判断する。
【0047】
つぎに、タイミングt6において前記アルコール濃度チャックがOKの場合に、運転車が始動・停止SWを押印したことをエンジン制御装置2が検知したときに、エンジンを始動させる。
つぎに、図7について説明する。図7は、運転者が携帯機12でエンジンを始動させることなく、車両に乗り込み、アルコール濃度チェックがNGでエンジンが始動できない場合のタイミングチャート図である。
【0048】
タイミングt4において、ボディ制御装置3でドアの開閉を検知しても、エンジンは停止している状態のため、エンジン制御装置2はとくになにも動作しない。
【0049】
つぎに、タイミングt5において運転者がアルコール検知器に呼気を吹きかけ、アルコール検知装置4でアルコール濃度が所定値未満であるかどうかを判断する。図5では、アルコール濃度が所定値以上であるため、アルコール濃度チェックOKフラグがOFFのままである。
【0050】
つぎに、タイミングt6において前記アルコール濃度チャックがNGのため、運転車が始動・停止SWを押印されても、エンジン制御装置2はエンジンを始動させない。
(第2実施形態)
第1の実施形態は、遠隔でエンジンを始動させることによってエンジン暖機やプレ空調(車室内の暖房、冷房)を可能にした場合の実施例について説明してきた。後述する実施の形態は、エンジンを搭載していない電気自動車や燃料電池自動車、エンジンは搭載しているがモータのみで走行可能なハイブリット車両において遠隔操作でプレ空調を可能とする第2の実施形態である。
【0051】
図8を参照して詳細に説明する。図8は電気自動車を実施例とした構成図である。
【0052】
遠隔始動/停止装置1および送受信装置5およびボディ制御装置3およびアルコール検知装置は図1と同様の構成であるため、説明を省略する。また、携帯機12の構成は遠隔エンジン始動SW13から遠隔プレ空調SW17になっている以外は同様の構成となっており、携帯機12からプレ空調要求16があった場合、送受信装置5で受信し、照合制御装置1へ送信する。照合制御装置1では、IDコードの照合を確認し、照合成立であれば、エアコン制御装置7に空調制御許可信号を送信して、エアコン制御装置7はプレ空調制御を実施する。
【0053】
尚、遠隔始動/停止制御装置1でID照合が成立しても、駆動モータ制御装置6に対しては、駆動モータに駆動許可を与えない。つまり、ID照合が一致しても、空調制御は許可するが、駆動モータに駆動許可を与えないため、車両が走行することができないようになっている。
【0054】
つぎに、遠隔でプレ空調実施後に、ボディ制御装置3で車室内への運転者の侵入あるいは、車室内に運転者が存在していることを検知すると、プレ空調制御を禁止する。ただし、この場合、駆動モータに駆動許可を与えていなため、車両は走行できないようになっている。そのため、とくにプレ空調制御を禁止する必要はない。
【0055】
つぎに、運転者がアルコール検知器に呼気を吹きかけ、アルコール濃度を検知してアルコール検知装置でアルコール濃度が所定値(例えば、0.1mg/l)未満であるか否かについて判断が行われる。
【0056】
上記アルコール濃度判断結果でアルコール濃度が所定値未満であれば、駆動モータ制御装置6にモータの駆動許可を与える。その後、運転者が始動・停止SWを押印すれば、車両が走行できるようになっている。
【0057】
仮に、上記アルコール濃度判断結果でアルコール濃度が所定値以上であれば、駆動モータ制御装置6にモータの駆動の駆動を禁止する。つまり、運転者が始動・停止SWを押印しても、車両は走行できないようになっている。
(第3実施形態)
次に図9を用いて第3の実施形態について説明する。第1の実施形態はエンジン制御装置1で車両に搭載された始動・停止SW101からのエンジン始動要求信号か携帯機12からのエンジン始動信号120かを判断し、携帯機12からのエンジン始動要求120の場合はアルコール検知装置4からのエンジン始動許可信号122に関わらずエンジンを始動できるようにした実施例であった。これに対し、第3の実施形態では、エンジン制御装置2は車両に搭載された始動・停止SW101からのエンジン始動要求信号か携帯機12からのエンジン始動信号120かを判断しなくてもいいような形態とした。以下に、第1の実施形態と異なる箇所について詳細に説明する。
【0058】
始動・停止SW101からのエンジン始動要求信号と遠隔始動/停止装置1からのエンジン始動要求120は同一の信号としてエンジン制御装置2に入力される。すなわち、エンジン制御装置2にアルコール検知結果が問題ないと判断されないとエンジン制御装置2はエンジンを始動できないようになっている。ここで、懸かる問題(携帯機からエンジン始動できない問題)を解決するために、遠隔始動/停止装置1は、携帯機12とのID照合が一致した場合、エンジン始動許可信号122に相当するエンジン始動許可擬似信号124をエンジン制御装置2に送信する。以上の構成とすることにより、後付けで遠隔始動/停止装置1を装着してもエンジンの始動が可能となる。
【0059】
また、ボディ制御装置3で運転者が車両に侵入したことを検知すると、侵入検知信号121を遠隔始動/停止装置1に送信し、遠隔始動/停止装置1が侵入検知信号121を受信するとエンジン停止要求123をエンジン制御装置2へ送信し、エンジン制御装置2がエンジン停止要求123を受信するとエンジンを自動停止する。
【符号の説明】
【0060】
1:遠隔始動/停止装置
2:エンジン制御装置
3:ボディ制御装置
4:アルコール検知装置
5:送受信装置
6:駆動モータ制御装置
7:エアコン制御装置
8:通信線
9:通信線
10:車両制御装置
11:車両
12:携帯機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のアルコール濃度に基づきデータ信号を出力し、該データ信号が所定の特定信号と一致するとエンジンの作動を許容させる機能を備えた車両に設けられ、通信機能を有する携帯機によりエンジンを遠隔始動する機能を備えたエンジン遠隔始動/停止装置において、
前記携帯機から送出される始動指示信号を受信した場合、前記所定の特定信号に対応する擬似信号を前記データ信号として出力する擬似信号生成手段を備えたエンジン遠隔始動/停止装置。
【請求項2】
前記擬似信号をデータ信号として出力した後に、前記始動指示信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のエンジン遠隔始動/停止装置。
【請求項3】
前記携帯機によりエンジンを遠隔始動した後に、運転者の車室内への侵入を検知した場合、エンジンを停止させるエンジン停止信号を送信することを特徴とする請求項2または3に記載のエンジン遠隔始動/停止装置。
【請求項4】
運転者のアルコール濃度に基づきデータ信号を出力し、該データ信号が所定の特定信号と一致するとエンジンの作動を許容させる機能を備えた車両に設けられ、通信機能を有する携帯機からのエンジンの始動信号に基づいてエンジンを始動するエンジン制御装置において、
携帯機からエンジンの始動要求があった場合、前記アルコール濃度に基づくデータ信号に関わらず、エンジンの作動を許容させることを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項5】
前記携帯機からエンジンの始動要求によりエンジンを始動した後に、運転者の車室内への侵入を検知した場合、エンジンを自動停止することを特徴とする請求項4に記載のエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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