車両シート用操作レバー機構
【課題】操作レバー1の操作量に応じて被操作対象(フロアロック装置、スライド機構など)を操作する車両シート用操作レバー機構において、一つの被操作対象が操作される条件とは異なる条件下で、操作レバーの操作に伴い操作される被操作対象を設けることにより、一つの操作レバーで、ある条件下で操作されるべき被操作対象の他に、異なる条件下で操作されるべき被操作対象を操作可能として、一つの操作レバーで複数の被操作対象の操作を可能とする。
【解決手段】操作レバー1の操作により作動され、フロアロック装置及びスライド機構を操作する中間リンク2、6を備え、該中間リンク2、6は、シートバックが前倒しされている条件下ではフロアロック装置を操作し、シートバックが前倒しされていない条件下ではスライド機構を操作するように配置されている。
【解決手段】操作レバー1の操作により作動され、フロアロック装置及びスライド機構を操作する中間リンク2、6を備え、該中間リンク2、6は、シートバックが前倒しされている条件下ではフロアロック装置を操作し、シートバックが前倒しされていない条件下ではスライド機構を操作するように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーの操作量に応じて被操作対象(フロアロック装置、スライド機構など)を操作する車両シート用操作レバー機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、所謂スペースアップシートにおける操作レバー機構が開示されている。係る操作レバー機構では、操作レバーの操作によりリクライニング機構のロック解除とフロアロック装置のロック解除との両方が行えるように構成されている。詳細には、リクライニング機構は、操作レバーにより直接操作され、フロアロック装置のロック解除は、シートバックが前倒しされていることを条件に解除リンクを介して解除操作される。そのため、シートバックが前倒しされていないときはフロアロック装置のロック解除操作は行われない。このように、特許文献1のスペースアップシートでは、シートバックが前倒しされているときはリンクを介して被操作対象が操作されるが、シートバックが前倒しされていないときはリンクは作動されず何の操作も行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−102506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このスペースアップシートに更に別の被操作対象、例えば、前後スライド機構が備えられている場合は、そのスライド機構のロックを解除するための操作レバーを上記リクライニング機構とフロアロック装置のための操作レバーに追加して設けなければならない。そのため、操作レバーの数が多くなりシート周りの構成が複雑化する。
本発明は、このような問題に鑑み、一つの被操作対象が操作される条件とは異なる条件下でも、操作レバーの操作に伴い操作される被操作対象を設けることにより、一つの操作レバーで、ある条件下で操作されるべき被操作対象の他に、異なる条件下で操作されるべき被操作対象を操作可能として、一つの操作レバーで複数の被操作対象の操作を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、操作レバーの操作量に応じて被操作対象を操作する車両シート用操作レバー機構であって、操作レバーの操作により作動され、第1及び第2の2つの被操作対象を操作する中間リンクを備え、該中間リンクは、第1の条件下では前記第1の被操作対象を操作し、第1の条件とは異なる第2の条件下では前記第2の被操作対象を操作するように配置されていることを特徴とする。
第1発明によれば、第1の条件の他に、第2の条件が満たされているときに被操作対象が操作可能とされるため、一つの操作レバーで複数の被操作対象の操作が可能となり、複数の被操作対象が互いに異なる条件の下に、それぞれ操作されるものである場合は、操作レバーをまとめることができ、操作レバーの数を抑制してシート周りの構成を簡素化することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、中間リンクは、第1又は第2の条件のどちらが満たされているかにより操作レバーの操作量に対する作動量が変化され、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が第1の所定量より大きく、第1の所定量より大きい第2の所定量より小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が前記第2の所定量より大きくされ、前記第1の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第2の所定量に達すると操作されるように配置され、前記第2の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第1の所定量に達すると操作されるように配置されていることを特徴とする。
第2発明によれば、第2の条件が満たされているときにも中間リンクが作動され、その作動により第2の被操作対象が操作されるようにしたため、第1の条件が満たされたときに中間リンクを介して作動される第1の被操作対象と合わせて、一つの操作レバーにより2つの被操作対象を操作可能とすることができる。
しかも、操作レバーの最大操作量に対する中間リンクの最大作動量は、第1の条件が満たされているときは第2の所定量より大きくされるのに対して、第2の条件が満たされているときは、第2の所定量より大きくされない。そして、中間リンクの作動量が第2の所定量に達したとき、第1の被操作対象が操作されるようにされているため、操作レバーが操作され、その操作量が最大操作量とされたとき、第1の条件が満たされていれば第1の被操作対象が操作されるが、第1の条件が満たされていなければ第1の被操作対象は操作されない。従って、第1の被操作対象は第1の条件が満たされ、操作レバーが大きく操作されたときのみに限って操作可能とすることができ、一つの操作レバーで複数の被操作対象を操作可能としても誤って操作してしまう可能性をなくすことができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、操作レバーは、操作に伴い中間リンクの第1当接部と当接し、その当接位置を操作量に応じて変化させる第2当接部を有し、中間リンクは、第1当接部から離間した部位を中心に回動可能に支持され、該回動中心部は、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が大きくされるように移動されることを特徴とする。
第3発明によれば、第1又は第2の条件のどちらが満たされているかにより中間リンクの揺動中心部を移動して偏倚させることにより、操作レバーの操作に伴う第2当接部の移動軌跡に対する中間リンクの位置が変化するため、第1の条件が満たされているときと、第2の条件が満たされているときとで、それぞれ中間リンクを介して2つの被操作対象を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の分解斜視図である。
【図2】上記第1の実施形態の主要部の拡大側面図である。
【図3】図2と同様の図であり、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図4】図2と同様の図であり、操作レバーが全操作範囲に渡って操作され状態を示す。
【図5】図2と同様の図であり、操作レバーが操作されず、シートバックが前倒しされた状態を示す。
【図6】図2と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図7】図2と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが全操作範囲に渡って操作された状態を示す。
【図8】上記第1の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す図2と同様の拡大側面図である。
【図10】図9と同様の図であり、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図11】図9と同様の図であり、操作レバーが全操作範囲に渡って操作され状態を示す。
【図12】図9と同様の図であり、操作レバーが操作されず、シートバックが前倒しされた状態を示す。
【図13】図9と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図14】図9と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが全操作範囲に渡って操作された状態を示す。
【図15】上記第2の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【図16】本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
【図17】上記第3の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【図18】本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
【図19】上記第4の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、車両幅方向に2分割され、分割された左右のシートがそれぞれ車両進行方向(前後方向)にスライド可能に構成されると共に、車両側壁部に設けられた回動軸を中心に跳ね上げて格納されるスペースアップシートを示し、ここでは車両進行方向右側のスペースアップシートの骨格を示している。
係るスペースアップシートは、その左側部分の下の車両フロア面及び右側部分の側部の車両側壁に設けられた各スライドレール(図示省略)に沿って前後スライド可能にスライド機構(図示省略)を備えると共に、シートクッションフレーム7が右側のスライドレールの上部に車両進行方向に沿って設けられた回動軸(図示省略)を中心に回動自在に支持され、同左側のスライドレールのスライダとの間に設けられたフロアロック装置(図示省略)により車両フロアに着脱自在に固定されている。
シートクッションフレーム7には、その後端部にシートバックフレーム8がリクライニング機構75を介して回動自在に固定され、周知のようにリクライニング機構75のロックを解除することによりシートバックフレーム8はばね72の付勢力により前方に回動して前倒しされ、シートクッションフレーム7上に畳まれるように構成されている。
【0010】
シートクッションの左側後方部にはフロア側に向けてブラケット73が固定されており、ブラケット73には、操作レバー1がベース部材5を介して固定されている。操作レバー1は、その操作によりリクライニング機構75、スライド機構及びフロアロック装置の各ロックを解除操作するように構成されている。ベース部材5とブラケット73との固定は、ベース部材本体51の貫通孔53、54に図示しないボルトを貫通し、そのボルトをブラケット73の取付孔731、732に螺合することにより行われている。
また、操作レバー1とベース部材5とは、操作レバー本体11の貫通孔16とベース部材本体51の貫通孔55に図示しないヒンジピンを挿入することにより、ベース部材本体51に対して操作レバー本体11が回動自在に固定されている。ここで、貫通孔55は、ベース部材本体51の上部に溶接固定された左側突片57上に形成されている。更に、ベース部材本体51はその上方部で上記左側突片57に対向する部位に設けられた貫通孔56に図示しないボルトを貫通し、そのボルトをシートクッションフレーム7のリクライニング機構75とブラケット73との間に設けられた取付孔に一点鎖線で案内されるように螺合することによっても、シートクッションフレーム7に固定されている。
【0011】
操作レバー1は、1枚の板材から成る操作レバー本体11を屈曲して形成され、その下辺は操作部14とされ、上辺の先端はリクライニング機構75の解除アーム76を解除操作するためのリクライニング解除部13とされている。また、操作レバー本体11の貫通孔16の下方には、リクライニング解除部13に対して操作レバー本体11の板厚方向に偏倚してケーブル操作部(本発明における第2当接部に相当)12が形成されている。更に、操作レバー本体11には、その側部の大部分に補強板15が溶接固定されている。
【0012】
揺動リンク4はシートバックフレーム8の回動軸と同軸のピン74に揺動自在に固定されており、揺動リンク本体41の中心部に形成された貫通孔42にピン74が貫通するように組付けられている。また、揺動リンク4はシートバックフレーム8のリクライニング機構75の上部に固定された押し部材71に当接するように配置されている。それにより、シートバックフレーム8が前倒しされ、シートクッションフレーム7上に畳まれた状態で、押し部材71が揺動リンク本体41の前方端部44を押し、揺動リンク4をピン74を中心に反時計方向に揺動するようにされている。なお、揺動リンク本体41は常時時計方向に回動するようにばね付勢されており、ピン74の周りに設けられているストッパ77に当接して停止している。
【0013】
揺動リンク4の揺動動作は、伝達リンク3を介して、本発明における中間リンクである第1ケーブルリンク2及び第2ケーブルリンク6に伝達される。そのため、伝達リンク3は、伝達リンク本体31の上端部が揺動リンク本体41の後端部に結合されている。また、伝達リンク本体31の下端部が第2ケーブルリンク本体61の入力端に結合されている。各結合部は、各貫通孔33と43、並びに各貫通孔32と62とに図示しないヒンジピンを挿入することにより互いに回動自在に結合されている。
第2ケーブルリンク本体61は、その中央部に穿設された貫通孔65に図示しないヒンジピンを挿入し、そのヒンジピンをベース部材本体51の貫通孔52に挿入することにより第2ケーブルリンク本体61はベース部材本体51に対して上記ヒンジピンを中心に回動自在とされている。
また、第2ケーブルリンク本体61の出力端に穿設された貫通孔63は、第1ケーブルリンク本体21の一端部に穿設された貫通孔23と共に図示しないヒンジピンに貫通され互いに回動自在に結合されている。第2ケーブルリンク本体61の出力端と第1ケーブルリンク本体21との間には、前者に対して後者が上記ヒンジピンを中心に反時計方向に回動するようにばね付勢されている。
【0014】
第1ケーブルリンク本体21の他端部には、当接ピン(本発明における第1当接部に相当)22が固定されており、当接ピン22は、操作レバー本体11のケーブル操作部12に常時当接するようにされている。
第1ケーブルリンク本体21には、当接ピン22に隣接してケーブル結合部24が形成されており、図示しないフロアロック装置及びスライド機構に連結されたケーブルの一端が結合されている。上記ケーブルはインナーケーブルとアウタケーシングとから成る芯鞘構造を成し、ケーブル結合部24には、インナーケーブルの一端が接続されている。インナーケーブルの他端は図示しないフロアロック装置のロックを解除するためのポール及びスライド機構に接続され、アウタケーシングは第2ケーブルリンク本体61の貫通孔65を挟んで貫通孔62、63とは反対側に形成されたフランジ部66の切欠部64に結合されている。
【0015】
次に操作レバー1、揺動リンク4、伝達リンク3、第1ケーブルリンク2及び第2ケーブルリンク6の各動作を、スペースアップシート全体の動作と関連させて図2〜7に基づいて説明する。
図2は、操作レバー1が操作されておらず、シートバックも前倒しされていない状態を示している。
図から明らかなように、操作レバー1は操作部14が図示しないばねの付勢力により車両フロアに近い位置にあり、揺動リンク4の前方端部44は押し部材71から離間していて、図示しないばねの付勢力により揺動リンク4はピン74を中心として時計方向に回動された位置に停止している。
このとき、伝達リンク3は揺動リンク4により下方に押されており、第1ケーブルリンク本体21と第2ケーブルリンク本体61とは互いに重なり合った初期位置にある。この状態ではケーブルは全く操作されていない。
【0016】
次に図2の状態から操作レバー1が操作されると、図3の状態となる。操作レバー1の操作は、図2のように車両フロア側にある操作レバー1の下側から手を入れて操作部14の前端部を指先で後方に引くことにより行われ、そのとき操作レバー1は貫通孔16を中心に回動される。
このとき、第1ケーブルリンク本体21の当接ピン22は、操作レバー1のケーブル操作部12によって図3のように押され、第1ケーブルリンク本体21は第2ケーブルリンク本体61に対して回動されることになる。従って、ケーブルのインナーケーブル9は図2の状態から図3のように引かれる。
【0017】
操作レバー1が更に大きく操作されると、図4に示すように第1ケーブルリンク本体21は更に操作レバー1のケーブル操作部12によって押され、第2ケーブルリンク本体61に対して回動される。そのため、インナーケーブル9の引かれる量も大きくされる。
操作レバー1が回動されると、操作レバー1のリクライニング解除部13が解除アーム76のピン77を前方へ押し、解除アーム76を回動させる。このように解除アーム76が回動されると、周知のようにリクライニング機構75のロックが解除され、シートバックはばね72の付勢力により前倒しされる。図4は、リクライニング機構75のロックが解除された瞬間を示し、まだシートバックが前倒しされていない状態を示している。
このようにシートバックが前倒しされていない条件(本発明における第2の条件に相当)下での操作レバー1の操作量(レバーストローク)に対するインナーケーブル9の引かれる量(ケーブルストローク)の関係は、図8の実線で示されるようになる。
【0018】
次に図5は、シートバックが前倒しされ、操作レバー1が操作されていない状態を示している。シートバックが前倒しされ、揺動リンク4が反時計方向に揺動されると、伝達リンク3を介して第1ケーブルリンク2が回動される。このとき、操作レバー1は操作されていないため、第1ケーブルリンク本体21の当接ピン22の位置は初期位置のままであり、第1ケーブルリンク本体21は第2ケーブルリンク本体61と共に回動されるが、互いの相対位置は変化しないためインナーケーブル9が引かれることはない。
【0019】
次に操作レバー1が操作されると、図6の状態となり、操作レバー1の回動に伴って第1ケーブルリンク本体21の当接ピン22が操作レバー1のケーブル操作部12に押され、第1ケーブルリンク本体21が第2ケーブルリンク本体61に対して相対回動し、インナーケーブル9が引かれる。
操作レバー1の操作量が増加すると、図7の状態となり、第1ケーブルリンク本体21の回動量も大きくなり、インナーケーブル9の引かれる量も大きくなる。
【0020】
シートバックが前倒しされている条件(本発明における第1の条件に相当)下の操作レバー1の操作量(レバーストローク)に対するインナーケーブル9の引張り量(ケーブルストローク)の関係は、図8の破線で示すとおりとなる。図8から明らかなように、同じ操作レバー1の操作量に対してインナーケーブル9の引張り量は、シートバックが前倒しされている破線の場合の方が前倒しされていない実線(シートバック着座状態)の場合に比べて大きくなるように設定されている。これは操作レバー1に対する第1ケーブルリンク本体21の相対位置と操作レバー1のケーブル操作部12の形状によって設定される。
【0021】
上述のようにインナーケーブル9の他端は、フロアロック装置及びスライド機構に結合されている。図8に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、フロアロック装置(本発明における第1の被操作対象に相当)がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークではスライド機構(本発明における第2の被操作対象に相当)のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークはシートバックが前倒しされている状態では、到達するストロークであるが、シートバックが前倒しされていない状態では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークは、いずれの状態でも到達するストロークに設定されている。
この場合、シートバックが前倒しされていない状態では、操作レバー1を操作してスライド機構をロック解除することができ、このとき操作レバー1の操作量を大きくしてもフロアロック装置をロック解除することはできない。一方、シートバックが前倒しされた状態では、操作レバー1の操作によりスライド機構のロック解除と、フロアロック装置のロック解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバー1の操作量が小さいときにスライド機構のロック解除が行われ、操作レバー1の操作量が大きくなるとフロアロック装置のロック解除も行われる。
このように、一つの操作レバー1でシートバックの前倒しが行われているか否かにより、スライド機構とフロアロック装置とを区別して操作することができる。
【0022】
<第2の実施形態>
第2の実施形態が上述の第1の実施形態と相違する点は、図8と図15を比較すれば明らかなように、レバーストロークに対するケーブルストロークの特性が相違する。即ち、図8の特性は、シートバックが前倒しされているか否かに係らず、レバーストロークの増加に対してケーブルストロークは比例的に増加し、レバーストロークの大きい領域では、シートバックが前倒しされていないときのみレバーストロークの増加に係らずケーブルストロークが大きくならないようにされている。これに対し、図15の特性は、シートバックが前倒しされている条件(本発明における第1の条件に相当)下では、レバーストロークとケーブルストロークはレバーストロークの増加に伴ってケーブルストロークは比例的に増加するように設定され、シートバックが前倒しされていない条件(シートバック着座状態)(本発明における第2の条件に相当)下では、レバーストロークがあるレベルより大きくなるまではケーブルストロークはゼロのままで、レバーストロークがあるレベルより大きくなると、レバーストロークに対してケーブルストロークは比例的に増加するように設定されている。但し、シートバックが前倒しされていないときのケーブルストロークの上限は、シートバックが前倒しされている場合の半分程度に制限されている。
【0023】
以上の図15の特性を実現するための操作レバー機構を図9〜14によって説明する。図9〜14を上述の図2〜7と比較すれば明らかなように、操作レバー1、100及び揺動リンク4、400の各形状と、中間リンク(第1ケーブルリンク2、200、第2ケーブルリンク6、600)及び伝達リンク3、300の各形状が互いに相違している。その他のシートなどの構成は第2の実施形態においても第1の実施形態と同様である。
【0024】
図9は、シートバックが前倒しされておらず、操作レバー100が操作されていない状態を示す。このとき、揺動リンク400は時計方向にばね付勢された状態で停止されており、中間リンクを成す第1ケーブルリンク200、第2ケーブルリンク600は、伝達リンク300を介して初期位置にある。第2ケーブルリンク600は、揺動中心が操作レバー100の回動中心と共にベース部材(図示せず)に回動自在に固定され、その上端部が伝達リンク300に、また下端部が第1ケーブルリンク200の下端部に、それぞれ回動自在に固定されている。第1ケーブルリンク200の先端部に設けられた当接ピン220(本発明における第1当接部に相当)は操作レバー100のケーブル操作部120(本発明における第2当接部に相当)に当接されている。第1ケーブルリンク200が第2ケーブルリンク600に対して第1ケーブルリンク200の下端部を中心に反時計方向に回動するようにばね付勢され、第1ケーブルリンク200のケーブル結合部240に芯鞘ケーブルのインナーケーブル90の一端が結合され、アウタケーシングが第2ケーブルリンク600の切欠部640に固定されている点は、第1の実施形態の場合と同様である。
図9の状態では、インナーケーブル90は全く引かれていない。
【0025】
次に図10のように操作レバー100が操作されると、操作レバー100のケーブル操作部120と第1ケーブルリンク200の当接ピン220の相対位置が変化する。しかし、このとき当接ピン220が当接するケーブル操作部120の形状は、操作レバー100の回動中心を中心とした円弧121に形成されており、操作レバー100が回動操作されても、第1ケーブルリンク200の第2ケーブルリンク600に対する相対位置は変化しない。
その状態は、図15において実線で示すように、レバーストロークが大きくなってもケーブルストロークはゼロのままとなる特性に対応している。
【0026】
操作レバー100が更に操作されると、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は、操作レバー100のケーブル操作部120の円弧121から別の円弧122に当接し、第1ケーブルリンク200は第2ケーブルリンク600に対して相対移動するようになる。その結果、インナーケーブル90は引かれるようになる。この状態は、図15において実線で示すように、レバーストロークがあるストロークを越えると、ケーブルストロークが立ち上がる特性に対応している。
【0027】
図12は、シートバックが前倒しされ、操作レバー100が操作されていない状態を示している。シートバックが前倒しされると、揺動リンク400がシートバックの押し部材71に当接して揺動リンク400が反時計方向に揺動されるため、伝達リンク300を介して第2ケーブルリンク600も第1ケーブルリンク200と共に回動される。このとき、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は操作レバー100のケーブル操作部120の円弧121上を移動し、円弧121と円弧122との間の位置で停止される。このときインナーケーブル90は全く引かれない。
【0028】
次に図13のように操作レバー100が操作されると、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は操作レバー100のケーブル操作部120の円弧122によって押され、第2ケーブルリンク600との相対位置が変化され、インナーケーブル90は引かれる。このため、図15に破線で示すようにシートバックが前倒しされている状態では、操作レバー100が操作されると同時にケーブルストロークが立ち上がる。
【0029】
図14に示すように操作レバー100の操作量が大きくされると、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は操作レバー100のケーブル操作部120の円弧122によって更に押されて第1ケーブルリンク200は第2ケーブルリンク600に対して大きく相対移動する。そのため、インナーケーブル90は大きく引かれることになり、図15の破線で示すようにレバーストロークに比例してケーブルストロークは大きく引かれる。
【0030】
第1の実施形態の場合と同様に、インナーケーブル90の他端は、フロアロック装置及びスライド機構に結合されている。図15に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、フロアロック装置(本発明における第1の被操作対象に相当)がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークではスライド機構(本発明における第2の被操作対象に相当)のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークはシートバックが前倒しされている状態では到達するストロークであるが、シートバックが前倒しされていない状態では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークはいずれの状態でも到達可能なストロークに設定されている。
この場合、シートバックが前倒しされていない条件(本発明における第2の条件に相当)下では、操作レバー100を操作してスライド機構を解除することができ、このとき操作レバー100の操作量を大きくしてもフロアロック装置を解除することはできない。一方、シートバックが前倒しされた条件(本発明における第1の条件に相当)下では、操作レバー100の操作によりスライド機構の解除と、フロアロック装置の解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバー100の操作量が小さいときにスライド機構のロック解除が行われ、操作レバー100の操作量が大きくなるとフロアロック装置のロック解除も行われる。
このように、一つの操作レバー100でシートバックの前倒しが行われているか否かにより、スライド機構とフロアロック装置とを区別して操作することができる。
【0031】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、前後スライドの他に横スライドも可能とされた車両用シートに本発明を適用した場合である。このシートは、前後スライド機構のスライド量が通常より大きく設定されているが、車両後方にシートを大きくスライドさせる場合は、シートが車室内側に突出したホイールハウスに干渉してしまう。そこで、シートを車両後方に大きくスライドさせる場合は、シートを車両内側に横スライドさせてシートをホイールハウスと干渉しないようにしている。そのため、機構としては、図16に示すように、シートが車両外側にある場合(図16における「外スラ」)は、シートを後方スライドさせたとき、ホイールハウスより車両前方にある中間ストッパ1000の位置でシートが停止され、シートがホイールハウスと干渉しないようにし、シートが車両内側にある場合(図16における「内スラ」)は、シートがホイールハウスと干渉することはないため、中間ストッパ1000の位置で後方スライドされるシートが停止されることなく(中間ストッパ1000のロック解除可能)、最後端の位置(R/M)までスライド可能とされている。図16においてF/Mで示される位置はスライド機構におけるシートが位置し得る最前端位置を示している。
【0032】
このようなシートにおいて、前後スライドのロック機構(本発明における第2の被操作対象に相当)と中間ストッパ1000のロック機構(本発明における第1の被操作対象に相当)とを一つの操作レバーでロック解除操作可能とするために本発明が適用されている。
そのため、図17に示されるように、シートが横スライド機構によって車両外側に位置されている条件(図17における「外スラ」)(本発明における第2の条件に相当)下では、操作レバーのレバーストロークに対して、前後スライドのロック機構と中間ストッパ1000のロック機構をロック解除操作するためのケーブルのケーブルストロークの特性は、図17で実線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークがあるレベルに達するまではレバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加し、レバーストロークがあるレベルを越えると、ケーブルストロークは変化しないようにされている。
一方、シートが横スライド機構によって車両内側に位置されている条件(図17における「内スラ」)(本発明における第1の条件に相当)下では、図17の破線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加するようにされている。レバーストロークがあるレベルを越えてもケーブルストロークは比例的に増加する。
【0033】
図17に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、中間ストッパ1000のロック機構がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークではスライド機構のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークは横スライド機構によりシートが車両内側にスライドされている状態(破線の特性)では到達するストロークであるが、シートが車両外側にスライド状態とされている状態(実線の特性)では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークはいずれの状態でも到達可能なストロークに設定されている。
【0034】
この場合、シートが車両外側にスライド状態されている状態では、操作レバーを操作してスライド機構を解除することができるが、操作レバーの操作量を大きくしても中間ストッパ1000のロック機構をロック解除することはできない。従って、外スラの状態で操作レバーを大きく操作してもシートがホイールハウスに干渉してしまうことを防止することができる。
一方、シートが車両内側にスライドされている状態では、操作レバーの操作によりスライド機構の解除と、中間ストッパ1000のロック機構のロック解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバーの操作量が小さいときにスライド機構のロック解除が行われ、操作レバーの操作量が大きくなると中間ストッパ1000のロック機構のロック解除も行われる。従って、内スラの状態で操作レバーを大きく操作することによりシートを最後端位置まで大きくスライドさせることができる。
このように、一つの操作レバーでシートが車両内側に位置されているか車両外側に位置しているかにより、スライド機構と中間ストッパ1000のロック機構とを区別して操作することができる。
その場合の操作レバー機構は第1の実施形態で説明したものと同じものを使用することができる。
【0035】
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、いわゆるチャイルドケアモードを備えた回転シートに本発明を適用した場合である。この回転シートは、図18に示すように、車両前方側のシートが正面を向いた状態(正面向き)から後方を向いて車両後方側の別のシートと対面する状態(回転対座モード)まで回転可能とされているが、そのように回転させるためには、シートバックを前倒ししてシートクッション上に畳む必要がある。なぜなら、シートバックが前倒しされない着座可能位置のままではシートの回転時にシートバックが車室内壁と干渉して回転が困難となる。このように、シートバックを前倒ししないでシートを後方を向いた状態まで回転させることはできないが、横向き(外向き)の位置まで回転させることは車室内壁との干渉なしに可能である。このようにシートを外向きとした状態で、そのシートに座らせた子供の世話を車両外側から子供の保護者が容易にできるようになる。この使用形態を外向きチャイルドケアモードとしている。
【0036】
そこで、図18の回転シートでは、回転機構のロックを解除して前向きの状態にあるシートを回転させたとき、シートバックを前倒ししない状態でも回転可能な外向き位置で中間ストッパ2000により一旦停止し、そこでシートバックを前倒し状態として中間ストッパ2000のロックを解除することにより更にシートを回転可能としてシートを後向きの状態とすることができるように構成されている。
【0037】
この回転シートの回転機構のロック機構(本発明における第2の被操作対象に相当)と中間ストッパ2000のロック機構(本発明における第1の被操作対象に相当)に本発明を適用した場合を図19に示している。この場合の操作レバー機構は、上述の第1の実施形態と同一であり、第4の実施形態の場合は、第1の実施形態における操作レバー機構の中間リンク(第1ケーブルリンク2)に一端が接続されたインナーケーブルの他端が回転機構のロック機構と中間ストッパ2000のロック機構とに結合されている。
【0038】
図19に示されるように、シートバックが前倒しされていない条件(図17における「シートバック着座状態」)(本発明における第2の条件に相当)下では、操作レバーのレバーストロークに対して、回転機構のロック機構と中間ストッパ2000のロック機構をロック解除操作するためのケーブルのケーブルストロークの特性は、図19で実線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークがあるレベルに達するまではレバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加し、レバーストロークがあるレベルを越えると、ケーブルストロークは変化しないようにされている。
一方、シートバックが前倒しされている条件(図19における「シートバック前倒し状態」)(本発明における第1の条件に相当)下では、図19の破線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加するようにされている。レバーストロークがあるレベルを越えてもケーブルストロークは比例的に増加する。
【0039】
図19に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、中間ストッパ2000のロック機構がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークでは回転機構のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークはシートバックが前倒しされている状態(破線の特性)では到達するストロークであるが、シートバックが前倒しされていない着座状態(実線の特性)では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークはいずれの状態でも到達可能なストロークに設定されている。
【0040】
この場合、シートバックが前倒しされていない着座状態では、操作レバーを操作して回転機構のロック状態を解除することができるが、操作レバーの操作量を大きくしても中間ストッパ2000のロック機構をロック解除することはできない。従って、シートバックが前倒しされていない着座状態で操作レバーを大きく操作してもシートが中間ストッパ2000の位置を越えて回転してシートバックが車室内壁に干渉してしまうことは防止できる。
一方、シートバックが前倒しされている状態では、操作レバーの操作により回転機構のロック解除と、中間ストッパ2000のロック機構のロック解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバーの操作量が小さいときに回転機構のロック解除が行われ、操作レバーの操作量が大きくなると中間ストッパ2000のロック機構のロック解除も行われる。従って、シートバックが前倒しされている状態で操作レバーを大きく操作することによりシートを回転対座モードまで回転させることができる。
このように、一つの操作レバーでシートバックの前倒しが行われているか否かにより、回転機構のロック機構と中間ストッパ2000のロック機構とを区別して操作することができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態では、シートバックの前倒しが行われているか否かなどの条件により中間リンクの作動量を変化させるようにしたが、条件が満たされているか否かにより操作レバーの操作に伴う中間リンクの作動方向を変えて、中間リンクの作動方向によりそれぞれ別の被操作対象を操作するようにしても良い。
2.上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、中間リンクの動きをケーブルを介して被操作対象に伝達したが、中間リンクによって被操作対象を直接操作しても良いし、別リンクを介して操作するようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1、100 操作レバー
12、120 ケーブル操作部
2、200 第1ケーブルリンク(中間リンク)
22、220 当接ピン(第1当接部)
3、300 伝達リンク
4、400 揺動リンク
5 ベース部材
6、600 第2ケーブルリンク(中間リンク)
7 シートクッションフレーム
8 シートバックフレーム
9、90 インナーケーブル
1000、2000 中間ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーの操作量に応じて被操作対象(フロアロック装置、スライド機構など)を操作する車両シート用操作レバー機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、所謂スペースアップシートにおける操作レバー機構が開示されている。係る操作レバー機構では、操作レバーの操作によりリクライニング機構のロック解除とフロアロック装置のロック解除との両方が行えるように構成されている。詳細には、リクライニング機構は、操作レバーにより直接操作され、フロアロック装置のロック解除は、シートバックが前倒しされていることを条件に解除リンクを介して解除操作される。そのため、シートバックが前倒しされていないときはフロアロック装置のロック解除操作は行われない。このように、特許文献1のスペースアップシートでは、シートバックが前倒しされているときはリンクを介して被操作対象が操作されるが、シートバックが前倒しされていないときはリンクは作動されず何の操作も行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−102506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このスペースアップシートに更に別の被操作対象、例えば、前後スライド機構が備えられている場合は、そのスライド機構のロックを解除するための操作レバーを上記リクライニング機構とフロアロック装置のための操作レバーに追加して設けなければならない。そのため、操作レバーの数が多くなりシート周りの構成が複雑化する。
本発明は、このような問題に鑑み、一つの被操作対象が操作される条件とは異なる条件下でも、操作レバーの操作に伴い操作される被操作対象を設けることにより、一つの操作レバーで、ある条件下で操作されるべき被操作対象の他に、異なる条件下で操作されるべき被操作対象を操作可能として、一つの操作レバーで複数の被操作対象の操作を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、操作レバーの操作量に応じて被操作対象を操作する車両シート用操作レバー機構であって、操作レバーの操作により作動され、第1及び第2の2つの被操作対象を操作する中間リンクを備え、該中間リンクは、第1の条件下では前記第1の被操作対象を操作し、第1の条件とは異なる第2の条件下では前記第2の被操作対象を操作するように配置されていることを特徴とする。
第1発明によれば、第1の条件の他に、第2の条件が満たされているときに被操作対象が操作可能とされるため、一つの操作レバーで複数の被操作対象の操作が可能となり、複数の被操作対象が互いに異なる条件の下に、それぞれ操作されるものである場合は、操作レバーをまとめることができ、操作レバーの数を抑制してシート周りの構成を簡素化することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、中間リンクは、第1又は第2の条件のどちらが満たされているかにより操作レバーの操作量に対する作動量が変化され、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が第1の所定量より大きく、第1の所定量より大きい第2の所定量より小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が前記第2の所定量より大きくされ、前記第1の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第2の所定量に達すると操作されるように配置され、前記第2の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第1の所定量に達すると操作されるように配置されていることを特徴とする。
第2発明によれば、第2の条件が満たされているときにも中間リンクが作動され、その作動により第2の被操作対象が操作されるようにしたため、第1の条件が満たされたときに中間リンクを介して作動される第1の被操作対象と合わせて、一つの操作レバーにより2つの被操作対象を操作可能とすることができる。
しかも、操作レバーの最大操作量に対する中間リンクの最大作動量は、第1の条件が満たされているときは第2の所定量より大きくされるのに対して、第2の条件が満たされているときは、第2の所定量より大きくされない。そして、中間リンクの作動量が第2の所定量に達したとき、第1の被操作対象が操作されるようにされているため、操作レバーが操作され、その操作量が最大操作量とされたとき、第1の条件が満たされていれば第1の被操作対象が操作されるが、第1の条件が満たされていなければ第1の被操作対象は操作されない。従って、第1の被操作対象は第1の条件が満たされ、操作レバーが大きく操作されたときのみに限って操作可能とすることができ、一つの操作レバーで複数の被操作対象を操作可能としても誤って操作してしまう可能性をなくすことができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、操作レバーは、操作に伴い中間リンクの第1当接部と当接し、その当接位置を操作量に応じて変化させる第2当接部を有し、中間リンクは、第1当接部から離間した部位を中心に回動可能に支持され、該回動中心部は、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が大きくされるように移動されることを特徴とする。
第3発明によれば、第1又は第2の条件のどちらが満たされているかにより中間リンクの揺動中心部を移動して偏倚させることにより、操作レバーの操作に伴う第2当接部の移動軌跡に対する中間リンクの位置が変化するため、第1の条件が満たされているときと、第2の条件が満たされているときとで、それぞれ中間リンクを介して2つの被操作対象を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の分解斜視図である。
【図2】上記第1の実施形態の主要部の拡大側面図である。
【図3】図2と同様の図であり、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図4】図2と同様の図であり、操作レバーが全操作範囲に渡って操作され状態を示す。
【図5】図2と同様の図であり、操作レバーが操作されず、シートバックが前倒しされた状態を示す。
【図6】図2と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図7】図2と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが全操作範囲に渡って操作された状態を示す。
【図8】上記第1の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す図2と同様の拡大側面図である。
【図10】図9と同様の図であり、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図11】図9と同様の図であり、操作レバーが全操作範囲に渡って操作され状態を示す。
【図12】図9と同様の図であり、操作レバーが操作されず、シートバックが前倒しされた状態を示す。
【図13】図9と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが部分的に操作された状態を示す。
【図14】図9と同様の図であり、シートバックが前倒しされた状態で、操作レバーが全操作範囲に渡って操作された状態を示す。
【図15】上記第2の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【図16】本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
【図17】上記第3の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【図18】本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
【図19】上記第4の実施形態の入出力特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、車両幅方向に2分割され、分割された左右のシートがそれぞれ車両進行方向(前後方向)にスライド可能に構成されると共に、車両側壁部に設けられた回動軸を中心に跳ね上げて格納されるスペースアップシートを示し、ここでは車両進行方向右側のスペースアップシートの骨格を示している。
係るスペースアップシートは、その左側部分の下の車両フロア面及び右側部分の側部の車両側壁に設けられた各スライドレール(図示省略)に沿って前後スライド可能にスライド機構(図示省略)を備えると共に、シートクッションフレーム7が右側のスライドレールの上部に車両進行方向に沿って設けられた回動軸(図示省略)を中心に回動自在に支持され、同左側のスライドレールのスライダとの間に設けられたフロアロック装置(図示省略)により車両フロアに着脱自在に固定されている。
シートクッションフレーム7には、その後端部にシートバックフレーム8がリクライニング機構75を介して回動自在に固定され、周知のようにリクライニング機構75のロックを解除することによりシートバックフレーム8はばね72の付勢力により前方に回動して前倒しされ、シートクッションフレーム7上に畳まれるように構成されている。
【0010】
シートクッションの左側後方部にはフロア側に向けてブラケット73が固定されており、ブラケット73には、操作レバー1がベース部材5を介して固定されている。操作レバー1は、その操作によりリクライニング機構75、スライド機構及びフロアロック装置の各ロックを解除操作するように構成されている。ベース部材5とブラケット73との固定は、ベース部材本体51の貫通孔53、54に図示しないボルトを貫通し、そのボルトをブラケット73の取付孔731、732に螺合することにより行われている。
また、操作レバー1とベース部材5とは、操作レバー本体11の貫通孔16とベース部材本体51の貫通孔55に図示しないヒンジピンを挿入することにより、ベース部材本体51に対して操作レバー本体11が回動自在に固定されている。ここで、貫通孔55は、ベース部材本体51の上部に溶接固定された左側突片57上に形成されている。更に、ベース部材本体51はその上方部で上記左側突片57に対向する部位に設けられた貫通孔56に図示しないボルトを貫通し、そのボルトをシートクッションフレーム7のリクライニング機構75とブラケット73との間に設けられた取付孔に一点鎖線で案内されるように螺合することによっても、シートクッションフレーム7に固定されている。
【0011】
操作レバー1は、1枚の板材から成る操作レバー本体11を屈曲して形成され、その下辺は操作部14とされ、上辺の先端はリクライニング機構75の解除アーム76を解除操作するためのリクライニング解除部13とされている。また、操作レバー本体11の貫通孔16の下方には、リクライニング解除部13に対して操作レバー本体11の板厚方向に偏倚してケーブル操作部(本発明における第2当接部に相当)12が形成されている。更に、操作レバー本体11には、その側部の大部分に補強板15が溶接固定されている。
【0012】
揺動リンク4はシートバックフレーム8の回動軸と同軸のピン74に揺動自在に固定されており、揺動リンク本体41の中心部に形成された貫通孔42にピン74が貫通するように組付けられている。また、揺動リンク4はシートバックフレーム8のリクライニング機構75の上部に固定された押し部材71に当接するように配置されている。それにより、シートバックフレーム8が前倒しされ、シートクッションフレーム7上に畳まれた状態で、押し部材71が揺動リンク本体41の前方端部44を押し、揺動リンク4をピン74を中心に反時計方向に揺動するようにされている。なお、揺動リンク本体41は常時時計方向に回動するようにばね付勢されており、ピン74の周りに設けられているストッパ77に当接して停止している。
【0013】
揺動リンク4の揺動動作は、伝達リンク3を介して、本発明における中間リンクである第1ケーブルリンク2及び第2ケーブルリンク6に伝達される。そのため、伝達リンク3は、伝達リンク本体31の上端部が揺動リンク本体41の後端部に結合されている。また、伝達リンク本体31の下端部が第2ケーブルリンク本体61の入力端に結合されている。各結合部は、各貫通孔33と43、並びに各貫通孔32と62とに図示しないヒンジピンを挿入することにより互いに回動自在に結合されている。
第2ケーブルリンク本体61は、その中央部に穿設された貫通孔65に図示しないヒンジピンを挿入し、そのヒンジピンをベース部材本体51の貫通孔52に挿入することにより第2ケーブルリンク本体61はベース部材本体51に対して上記ヒンジピンを中心に回動自在とされている。
また、第2ケーブルリンク本体61の出力端に穿設された貫通孔63は、第1ケーブルリンク本体21の一端部に穿設された貫通孔23と共に図示しないヒンジピンに貫通され互いに回動自在に結合されている。第2ケーブルリンク本体61の出力端と第1ケーブルリンク本体21との間には、前者に対して後者が上記ヒンジピンを中心に反時計方向に回動するようにばね付勢されている。
【0014】
第1ケーブルリンク本体21の他端部には、当接ピン(本発明における第1当接部に相当)22が固定されており、当接ピン22は、操作レバー本体11のケーブル操作部12に常時当接するようにされている。
第1ケーブルリンク本体21には、当接ピン22に隣接してケーブル結合部24が形成されており、図示しないフロアロック装置及びスライド機構に連結されたケーブルの一端が結合されている。上記ケーブルはインナーケーブルとアウタケーシングとから成る芯鞘構造を成し、ケーブル結合部24には、インナーケーブルの一端が接続されている。インナーケーブルの他端は図示しないフロアロック装置のロックを解除するためのポール及びスライド機構に接続され、アウタケーシングは第2ケーブルリンク本体61の貫通孔65を挟んで貫通孔62、63とは反対側に形成されたフランジ部66の切欠部64に結合されている。
【0015】
次に操作レバー1、揺動リンク4、伝達リンク3、第1ケーブルリンク2及び第2ケーブルリンク6の各動作を、スペースアップシート全体の動作と関連させて図2〜7に基づいて説明する。
図2は、操作レバー1が操作されておらず、シートバックも前倒しされていない状態を示している。
図から明らかなように、操作レバー1は操作部14が図示しないばねの付勢力により車両フロアに近い位置にあり、揺動リンク4の前方端部44は押し部材71から離間していて、図示しないばねの付勢力により揺動リンク4はピン74を中心として時計方向に回動された位置に停止している。
このとき、伝達リンク3は揺動リンク4により下方に押されており、第1ケーブルリンク本体21と第2ケーブルリンク本体61とは互いに重なり合った初期位置にある。この状態ではケーブルは全く操作されていない。
【0016】
次に図2の状態から操作レバー1が操作されると、図3の状態となる。操作レバー1の操作は、図2のように車両フロア側にある操作レバー1の下側から手を入れて操作部14の前端部を指先で後方に引くことにより行われ、そのとき操作レバー1は貫通孔16を中心に回動される。
このとき、第1ケーブルリンク本体21の当接ピン22は、操作レバー1のケーブル操作部12によって図3のように押され、第1ケーブルリンク本体21は第2ケーブルリンク本体61に対して回動されることになる。従って、ケーブルのインナーケーブル9は図2の状態から図3のように引かれる。
【0017】
操作レバー1が更に大きく操作されると、図4に示すように第1ケーブルリンク本体21は更に操作レバー1のケーブル操作部12によって押され、第2ケーブルリンク本体61に対して回動される。そのため、インナーケーブル9の引かれる量も大きくされる。
操作レバー1が回動されると、操作レバー1のリクライニング解除部13が解除アーム76のピン77を前方へ押し、解除アーム76を回動させる。このように解除アーム76が回動されると、周知のようにリクライニング機構75のロックが解除され、シートバックはばね72の付勢力により前倒しされる。図4は、リクライニング機構75のロックが解除された瞬間を示し、まだシートバックが前倒しされていない状態を示している。
このようにシートバックが前倒しされていない条件(本発明における第2の条件に相当)下での操作レバー1の操作量(レバーストローク)に対するインナーケーブル9の引かれる量(ケーブルストローク)の関係は、図8の実線で示されるようになる。
【0018】
次に図5は、シートバックが前倒しされ、操作レバー1が操作されていない状態を示している。シートバックが前倒しされ、揺動リンク4が反時計方向に揺動されると、伝達リンク3を介して第1ケーブルリンク2が回動される。このとき、操作レバー1は操作されていないため、第1ケーブルリンク本体21の当接ピン22の位置は初期位置のままであり、第1ケーブルリンク本体21は第2ケーブルリンク本体61と共に回動されるが、互いの相対位置は変化しないためインナーケーブル9が引かれることはない。
【0019】
次に操作レバー1が操作されると、図6の状態となり、操作レバー1の回動に伴って第1ケーブルリンク本体21の当接ピン22が操作レバー1のケーブル操作部12に押され、第1ケーブルリンク本体21が第2ケーブルリンク本体61に対して相対回動し、インナーケーブル9が引かれる。
操作レバー1の操作量が増加すると、図7の状態となり、第1ケーブルリンク本体21の回動量も大きくなり、インナーケーブル9の引かれる量も大きくなる。
【0020】
シートバックが前倒しされている条件(本発明における第1の条件に相当)下の操作レバー1の操作量(レバーストローク)に対するインナーケーブル9の引張り量(ケーブルストローク)の関係は、図8の破線で示すとおりとなる。図8から明らかなように、同じ操作レバー1の操作量に対してインナーケーブル9の引張り量は、シートバックが前倒しされている破線の場合の方が前倒しされていない実線(シートバック着座状態)の場合に比べて大きくなるように設定されている。これは操作レバー1に対する第1ケーブルリンク本体21の相対位置と操作レバー1のケーブル操作部12の形状によって設定される。
【0021】
上述のようにインナーケーブル9の他端は、フロアロック装置及びスライド機構に結合されている。図8に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、フロアロック装置(本発明における第1の被操作対象に相当)がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークではスライド機構(本発明における第2の被操作対象に相当)のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークはシートバックが前倒しされている状態では、到達するストロークであるが、シートバックが前倒しされていない状態では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークは、いずれの状態でも到達するストロークに設定されている。
この場合、シートバックが前倒しされていない状態では、操作レバー1を操作してスライド機構をロック解除することができ、このとき操作レバー1の操作量を大きくしてもフロアロック装置をロック解除することはできない。一方、シートバックが前倒しされた状態では、操作レバー1の操作によりスライド機構のロック解除と、フロアロック装置のロック解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバー1の操作量が小さいときにスライド機構のロック解除が行われ、操作レバー1の操作量が大きくなるとフロアロック装置のロック解除も行われる。
このように、一つの操作レバー1でシートバックの前倒しが行われているか否かにより、スライド機構とフロアロック装置とを区別して操作することができる。
【0022】
<第2の実施形態>
第2の実施形態が上述の第1の実施形態と相違する点は、図8と図15を比較すれば明らかなように、レバーストロークに対するケーブルストロークの特性が相違する。即ち、図8の特性は、シートバックが前倒しされているか否かに係らず、レバーストロークの増加に対してケーブルストロークは比例的に増加し、レバーストロークの大きい領域では、シートバックが前倒しされていないときのみレバーストロークの増加に係らずケーブルストロークが大きくならないようにされている。これに対し、図15の特性は、シートバックが前倒しされている条件(本発明における第1の条件に相当)下では、レバーストロークとケーブルストロークはレバーストロークの増加に伴ってケーブルストロークは比例的に増加するように設定され、シートバックが前倒しされていない条件(シートバック着座状態)(本発明における第2の条件に相当)下では、レバーストロークがあるレベルより大きくなるまではケーブルストロークはゼロのままで、レバーストロークがあるレベルより大きくなると、レバーストロークに対してケーブルストロークは比例的に増加するように設定されている。但し、シートバックが前倒しされていないときのケーブルストロークの上限は、シートバックが前倒しされている場合の半分程度に制限されている。
【0023】
以上の図15の特性を実現するための操作レバー機構を図9〜14によって説明する。図9〜14を上述の図2〜7と比較すれば明らかなように、操作レバー1、100及び揺動リンク4、400の各形状と、中間リンク(第1ケーブルリンク2、200、第2ケーブルリンク6、600)及び伝達リンク3、300の各形状が互いに相違している。その他のシートなどの構成は第2の実施形態においても第1の実施形態と同様である。
【0024】
図9は、シートバックが前倒しされておらず、操作レバー100が操作されていない状態を示す。このとき、揺動リンク400は時計方向にばね付勢された状態で停止されており、中間リンクを成す第1ケーブルリンク200、第2ケーブルリンク600は、伝達リンク300を介して初期位置にある。第2ケーブルリンク600は、揺動中心が操作レバー100の回動中心と共にベース部材(図示せず)に回動自在に固定され、その上端部が伝達リンク300に、また下端部が第1ケーブルリンク200の下端部に、それぞれ回動自在に固定されている。第1ケーブルリンク200の先端部に設けられた当接ピン220(本発明における第1当接部に相当)は操作レバー100のケーブル操作部120(本発明における第2当接部に相当)に当接されている。第1ケーブルリンク200が第2ケーブルリンク600に対して第1ケーブルリンク200の下端部を中心に反時計方向に回動するようにばね付勢され、第1ケーブルリンク200のケーブル結合部240に芯鞘ケーブルのインナーケーブル90の一端が結合され、アウタケーシングが第2ケーブルリンク600の切欠部640に固定されている点は、第1の実施形態の場合と同様である。
図9の状態では、インナーケーブル90は全く引かれていない。
【0025】
次に図10のように操作レバー100が操作されると、操作レバー100のケーブル操作部120と第1ケーブルリンク200の当接ピン220の相対位置が変化する。しかし、このとき当接ピン220が当接するケーブル操作部120の形状は、操作レバー100の回動中心を中心とした円弧121に形成されており、操作レバー100が回動操作されても、第1ケーブルリンク200の第2ケーブルリンク600に対する相対位置は変化しない。
その状態は、図15において実線で示すように、レバーストロークが大きくなってもケーブルストロークはゼロのままとなる特性に対応している。
【0026】
操作レバー100が更に操作されると、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は、操作レバー100のケーブル操作部120の円弧121から別の円弧122に当接し、第1ケーブルリンク200は第2ケーブルリンク600に対して相対移動するようになる。その結果、インナーケーブル90は引かれるようになる。この状態は、図15において実線で示すように、レバーストロークがあるストロークを越えると、ケーブルストロークが立ち上がる特性に対応している。
【0027】
図12は、シートバックが前倒しされ、操作レバー100が操作されていない状態を示している。シートバックが前倒しされると、揺動リンク400がシートバックの押し部材71に当接して揺動リンク400が反時計方向に揺動されるため、伝達リンク300を介して第2ケーブルリンク600も第1ケーブルリンク200と共に回動される。このとき、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は操作レバー100のケーブル操作部120の円弧121上を移動し、円弧121と円弧122との間の位置で停止される。このときインナーケーブル90は全く引かれない。
【0028】
次に図13のように操作レバー100が操作されると、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は操作レバー100のケーブル操作部120の円弧122によって押され、第2ケーブルリンク600との相対位置が変化され、インナーケーブル90は引かれる。このため、図15に破線で示すようにシートバックが前倒しされている状態では、操作レバー100が操作されると同時にケーブルストロークが立ち上がる。
【0029】
図14に示すように操作レバー100の操作量が大きくされると、第1ケーブルリンク200の当接ピン220は操作レバー100のケーブル操作部120の円弧122によって更に押されて第1ケーブルリンク200は第2ケーブルリンク600に対して大きく相対移動する。そのため、インナーケーブル90は大きく引かれることになり、図15の破線で示すようにレバーストロークに比例してケーブルストロークは大きく引かれる。
【0030】
第1の実施形態の場合と同様に、インナーケーブル90の他端は、フロアロック装置及びスライド機構に結合されている。図15に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、フロアロック装置(本発明における第1の被操作対象に相当)がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークではスライド機構(本発明における第2の被操作対象に相当)のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークはシートバックが前倒しされている状態では到達するストロークであるが、シートバックが前倒しされていない状態では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークはいずれの状態でも到達可能なストロークに設定されている。
この場合、シートバックが前倒しされていない条件(本発明における第2の条件に相当)下では、操作レバー100を操作してスライド機構を解除することができ、このとき操作レバー100の操作量を大きくしてもフロアロック装置を解除することはできない。一方、シートバックが前倒しされた条件(本発明における第1の条件に相当)下では、操作レバー100の操作によりスライド機構の解除と、フロアロック装置の解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバー100の操作量が小さいときにスライド機構のロック解除が行われ、操作レバー100の操作量が大きくなるとフロアロック装置のロック解除も行われる。
このように、一つの操作レバー100でシートバックの前倒しが行われているか否かにより、スライド機構とフロアロック装置とを区別して操作することができる。
【0031】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、前後スライドの他に横スライドも可能とされた車両用シートに本発明を適用した場合である。このシートは、前後スライド機構のスライド量が通常より大きく設定されているが、車両後方にシートを大きくスライドさせる場合は、シートが車室内側に突出したホイールハウスに干渉してしまう。そこで、シートを車両後方に大きくスライドさせる場合は、シートを車両内側に横スライドさせてシートをホイールハウスと干渉しないようにしている。そのため、機構としては、図16に示すように、シートが車両外側にある場合(図16における「外スラ」)は、シートを後方スライドさせたとき、ホイールハウスより車両前方にある中間ストッパ1000の位置でシートが停止され、シートがホイールハウスと干渉しないようにし、シートが車両内側にある場合(図16における「内スラ」)は、シートがホイールハウスと干渉することはないため、中間ストッパ1000の位置で後方スライドされるシートが停止されることなく(中間ストッパ1000のロック解除可能)、最後端の位置(R/M)までスライド可能とされている。図16においてF/Mで示される位置はスライド機構におけるシートが位置し得る最前端位置を示している。
【0032】
このようなシートにおいて、前後スライドのロック機構(本発明における第2の被操作対象に相当)と中間ストッパ1000のロック機構(本発明における第1の被操作対象に相当)とを一つの操作レバーでロック解除操作可能とするために本発明が適用されている。
そのため、図17に示されるように、シートが横スライド機構によって車両外側に位置されている条件(図17における「外スラ」)(本発明における第2の条件に相当)下では、操作レバーのレバーストロークに対して、前後スライドのロック機構と中間ストッパ1000のロック機構をロック解除操作するためのケーブルのケーブルストロークの特性は、図17で実線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークがあるレベルに達するまではレバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加し、レバーストロークがあるレベルを越えると、ケーブルストロークは変化しないようにされている。
一方、シートが横スライド機構によって車両内側に位置されている条件(図17における「内スラ」)(本発明における第1の条件に相当)下では、図17の破線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加するようにされている。レバーストロークがあるレベルを越えてもケーブルストロークは比例的に増加する。
【0033】
図17に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、中間ストッパ1000のロック機構がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークではスライド機構のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークは横スライド機構によりシートが車両内側にスライドされている状態(破線の特性)では到達するストロークであるが、シートが車両外側にスライド状態とされている状態(実線の特性)では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークはいずれの状態でも到達可能なストロークに設定されている。
【0034】
この場合、シートが車両外側にスライド状態されている状態では、操作レバーを操作してスライド機構を解除することができるが、操作レバーの操作量を大きくしても中間ストッパ1000のロック機構をロック解除することはできない。従って、外スラの状態で操作レバーを大きく操作してもシートがホイールハウスに干渉してしまうことを防止することができる。
一方、シートが車両内側にスライドされている状態では、操作レバーの操作によりスライド機構の解除と、中間ストッパ1000のロック機構のロック解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバーの操作量が小さいときにスライド機構のロック解除が行われ、操作レバーの操作量が大きくなると中間ストッパ1000のロック機構のロック解除も行われる。従って、内スラの状態で操作レバーを大きく操作することによりシートを最後端位置まで大きくスライドさせることができる。
このように、一つの操作レバーでシートが車両内側に位置されているか車両外側に位置しているかにより、スライド機構と中間ストッパ1000のロック機構とを区別して操作することができる。
その場合の操作レバー機構は第1の実施形態で説明したものと同じものを使用することができる。
【0035】
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、いわゆるチャイルドケアモードを備えた回転シートに本発明を適用した場合である。この回転シートは、図18に示すように、車両前方側のシートが正面を向いた状態(正面向き)から後方を向いて車両後方側の別のシートと対面する状態(回転対座モード)まで回転可能とされているが、そのように回転させるためには、シートバックを前倒ししてシートクッション上に畳む必要がある。なぜなら、シートバックが前倒しされない着座可能位置のままではシートの回転時にシートバックが車室内壁と干渉して回転が困難となる。このように、シートバックを前倒ししないでシートを後方を向いた状態まで回転させることはできないが、横向き(外向き)の位置まで回転させることは車室内壁との干渉なしに可能である。このようにシートを外向きとした状態で、そのシートに座らせた子供の世話を車両外側から子供の保護者が容易にできるようになる。この使用形態を外向きチャイルドケアモードとしている。
【0036】
そこで、図18の回転シートでは、回転機構のロックを解除して前向きの状態にあるシートを回転させたとき、シートバックを前倒ししない状態でも回転可能な外向き位置で中間ストッパ2000により一旦停止し、そこでシートバックを前倒し状態として中間ストッパ2000のロックを解除することにより更にシートを回転可能としてシートを後向きの状態とすることができるように構成されている。
【0037】
この回転シートの回転機構のロック機構(本発明における第2の被操作対象に相当)と中間ストッパ2000のロック機構(本発明における第1の被操作対象に相当)に本発明を適用した場合を図19に示している。この場合の操作レバー機構は、上述の第1の実施形態と同一であり、第4の実施形態の場合は、第1の実施形態における操作レバー機構の中間リンク(第1ケーブルリンク2)に一端が接続されたインナーケーブルの他端が回転機構のロック機構と中間ストッパ2000のロック機構とに結合されている。
【0038】
図19に示されるように、シートバックが前倒しされていない条件(図17における「シートバック着座状態」)(本発明における第2の条件に相当)下では、操作レバーのレバーストロークに対して、回転機構のロック機構と中間ストッパ2000のロック機構をロック解除操作するためのケーブルのケーブルストロークの特性は、図19で実線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークがあるレベルに達するまではレバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加し、レバーストロークがあるレベルを越えると、ケーブルストロークは変化しないようにされている。
一方、シートバックが前倒しされている条件(図19における「シートバック前倒し状態」)(本発明における第1の条件に相当)下では、図19の破線で示されるように設定されている。即ち、レバーストロークの増加に対して、ケーブルストロークは比例的に増加するようにされている。レバーストロークがあるレベルを越えてもケーブルストロークは比例的に増加する。
【0039】
図19に示すようにケーブルストロークが大きい第2ストロークでは、中間ストッパ2000のロック機構がロック解除されるように設定し、ケーブルストロークが第2ストロークよりも小さい第1ストロークでは回転機構のロックが解除されるように設定されている。このとき、第2ストロークはシートバックが前倒しされている状態(破線の特性)では到達するストロークであるが、シートバックが前倒しされていない着座状態(実線の特性)では到達することができないストロークに設定され、第1ストロークはいずれの状態でも到達可能なストロークに設定されている。
【0040】
この場合、シートバックが前倒しされていない着座状態では、操作レバーを操作して回転機構のロック状態を解除することができるが、操作レバーの操作量を大きくしても中間ストッパ2000のロック機構をロック解除することはできない。従って、シートバックが前倒しされていない着座状態で操作レバーを大きく操作してもシートが中間ストッパ2000の位置を越えて回転してシートバックが車室内壁に干渉してしまうことは防止できる。
一方、シートバックが前倒しされている状態では、操作レバーの操作により回転機構のロック解除と、中間ストッパ2000のロック機構のロック解除とを共に行うことができる。このとき、操作レバーの操作量が小さいときに回転機構のロック解除が行われ、操作レバーの操作量が大きくなると中間ストッパ2000のロック機構のロック解除も行われる。従って、シートバックが前倒しされている状態で操作レバーを大きく操作することによりシートを回転対座モードまで回転させることができる。
このように、一つの操作レバーでシートバックの前倒しが行われているか否かにより、回転機構のロック機構と中間ストッパ2000のロック機構とを区別して操作することができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態では、シートバックの前倒しが行われているか否かなどの条件により中間リンクの作動量を変化させるようにしたが、条件が満たされているか否かにより操作レバーの操作に伴う中間リンクの作動方向を変えて、中間リンクの作動方向によりそれぞれ別の被操作対象を操作するようにしても良い。
2.上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、中間リンクの動きをケーブルを介して被操作対象に伝達したが、中間リンクによって被操作対象を直接操作しても良いし、別リンクを介して操作するようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1、100 操作レバー
12、120 ケーブル操作部
2、200 第1ケーブルリンク(中間リンク)
22、220 当接ピン(第1当接部)
3、300 伝達リンク
4、400 揺動リンク
5 ベース部材
6、600 第2ケーブルリンク(中間リンク)
7 シートクッションフレーム
8 シートバックフレーム
9、90 インナーケーブル
1000、2000 中間ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーの操作量に応じて被操作対象を操作する車両シート用操作レバー機構であって、
操作レバーの操作により作動され、第1及び第2の2つの被操作対象を操作する中間リンクを備え、
該中間リンクは、第1の条件下では前記第1の被操作対象を操作し、第1の条件とは異なる第2の条件下では前記第2の被操作対象を操作するように配置されていることを特徴とする車両シート用操作レバー機構。
【請求項2】
請求項1において、前記中間リンクは、第1又は第2の条件のどちらが満たされているかにより操作レバーの操作量に対する作動量が変化され、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が第1の所定量より大きく、第1の所定量より大きい第2の所定量より小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が前記第2の所定量より大きくされ、
前記第1の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第2の所定量に達すると操作されるように配置され、
前記第2の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第1の所定量に達すると操作されるように配置されていることを特徴とする車両シート用操作レバー機構。
【請求項3】
請求項2において、前記操作レバーは、操作に伴い前記中間リンクの第1当接部と当接し、その当接位置を操作量に応じて変化させる第2当接部を有し、
前記中間リンクは、第1当接部から離間した部位を中心に回動可能に支持され、該回動中心部は、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が大きくされるように移動されることを特徴とする車両シート用操作レバー機構。
【請求項1】
操作レバーの操作量に応じて被操作対象を操作する車両シート用操作レバー機構であって、
操作レバーの操作により作動され、第1及び第2の2つの被操作対象を操作する中間リンクを備え、
該中間リンクは、第1の条件下では前記第1の被操作対象を操作し、第1の条件とは異なる第2の条件下では前記第2の被操作対象を操作するように配置されていることを特徴とする車両シート用操作レバー機構。
【請求項2】
請求項1において、前記中間リンクは、第1又は第2の条件のどちらが満たされているかにより操作レバーの操作量に対する作動量が変化され、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が第1の所定量より大きく、第1の所定量より大きい第2の所定量より小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの最大操作量に対する最大作動量が前記第2の所定量より大きくされ、
前記第1の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第2の所定量に達すると操作されるように配置され、
前記第2の被操作対象は、前記中間リンクの作動量が第1の所定量に達すると操作されるように配置されていることを特徴とする車両シート用操作レバー機構。
【請求項3】
請求項2において、前記操作レバーは、操作に伴い前記中間リンクの第1当接部と当接し、その当接位置を操作量に応じて変化させる第2当接部を有し、
前記中間リンクは、第1当接部から離間した部位を中心に回動可能に支持され、該回動中心部は、第2の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が小さくされ、第1の条件が満たされているときは、操作レバーの操作に伴う中間リンクの回動量が大きくされるように移動されることを特徴とする車両シート用操作レバー機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−112243(P2013−112243A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261387(P2011−261387)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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