説明

車両バッテリー遮断装置

【課題】
通常の車両では、ライテングスイッチの消し忘れ等の防止装置は、不要部品の削減等の要請から設けていないものが一般的であり、車両購入後にライテングスイッチの消し忘れ等の防止する車両バッテリー遮断装置を提供することにある。
【解決手段】
車両のイグニッションスイッチがオフの時に導電状体を維持する常時通電ラインのヒューズ取付端子20に、この端子に適合する車両ヒューズ型端子30を先端に有する接続プラグ3を取付、常時通電ラインをヒューズ取付端子20外に取り出すと共に、イグニッションスイッチの最終のオフ信号7から作動するタイマーを内蔵する制御ユニット5により、前記ヒューズ取付端子20外に取り出した常時通電ラインを切断用リレー6で遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両バッテリー遮断装置に関し、詳しくは、エンジン停止時にランプ類等が点灯し続け、常時バッテリーから、電力を供給し続けることで、バッテリーが上がることを防止するための車両バッテリー遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な車両の電源は、一般的には図4に示す如くイグニッションスイッチIGNswが、OFFのポジションが0の位置では、常時通電回路に電気が通電され、例えばヒューズ0、ライッチングスイッチLswを介し、ランプLやその他のクラクション類等の電気回路に通電が行われる。
ここで、イグニッションスイッチIGNswが、ポジションIの位置では、ヒューズaを経て、例えばワイパースイッチWswを介しワイパーWに給電され、ワイパーWの作動が可能となる他、その他ヒーター類の作動が可能となる。更に、イグニッションスイッチIGNswがポジションIIへ回すと、今度はイグニッションランプIGN−Lが、点灯してオルタネータ(発電機)Gに接続すると共に、ヒューズbを経てオーディオ等の電源が入る。最後にイグニッションスイッチIGNswをポジションIIIに回すと、スタータリレーST−Rを介し、スタータモータMが回り、エンジンがかかり、エンジンが正常な回転に達し、発電が開始されるとイグニッションランプが消える構成となっている。
【0003】
上述のように車両のイグニッションスイッチIGNswは、OFFの時には、ヒューズ0は常に、電気が通電しており、車両のランプ類の点灯消灯は全(すべ)て、ライテングスイッチLswのスイッチ類を手動操作で行っており、通常のライテングスイッチLswは、前照灯、スモールランプの点灯操作で行っている。
このように、ライテングスイッチは手動点灯である為、消し忘れのおそれがあり、バッテリー上がりが生じる原因ともなっており、種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1では、イグニッションスイッチがOFFとされた信号を検出した後、ランプ類が点灯していることを検出した場合に、ランプ類の消灯の要否を確認に関する質問の音声で出力し,運転者に注意を喚起すると共に、この質問に対する返答に基づいてランプを消灯する手段を設ける技術が提案されている。
【0005】
また特許文献2には、イグニッションスイッチがOFFとされた状態で運転席のドアが開かれたとき、イグニッションスイッチがOFFとされた時から一定時間経過後に自動的にランプ類の消灯を行う消灯手段を設けた技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−158136号公報
【特許文献2】実開昭60−243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常の車両では、ライテングスイッチの消し忘れ等の防止装置は、不要部品の削減等の要請から、これらの装置を設けていないものが一般的である。しかしながら、実際にバッテリー上がりなどを経験したユーザーにおいては、車両購入後にこれらの装置を簡易に取り付けたいとの要望も多い。このような要望が有るとしても、近年の自動車では、電子制御が大部分であり、車両購入後に、電気関係の配線替え等はある程度熟練を要し、電気的知識も必要となることから、簡易に実施するのは困難である。
そこで本発明では、比較的簡易な構成で、車両購入後でも取付が簡易なバッテリー上がりを防止する車両バッテリー遮断装置を提供することを第一の課題とする。
更に、非常時等に於いて、例えばライテングスイッチは、非常時伝達手段として使用する場合もある。そこで本発明では、望ましくは、非常時にはこの車両バッテリー遮断装置の遮断を速やかに解き、ライテングスイッチ機能を回復させることが出来る機能をも併せ持つ車両バッテリー遮断装置を提供することを第二の課題とする。

【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくともいずれかを解決するために、本発明では、車両のイグニッションスイッチがオフの時に導電状体を維持する常時通電ラインのヒューズ取付端子に、この端子に適合する車両ヒューズ型端子を先端に有する接続プラグを取付、常時通電ラインをヒューズ取付端子外に取り出すと共に、イグニッションスイッチの最終のオフ信号から作動するタイマーにより、前記ヒューズ取付端子外に取り出した常時通電ラインを遮断することを特徴とする車両バッテリー遮断装置を提供する。
上記車両バッテリー遮断装置においては、イグニッションスイッチの最終のオフ信号から作動するタイマーにより、前記ヒューズ取付端子外に取り出した常時通電ラインの遮断した常時通電ラインの復帰手段を設ける事が望ましい。
また本発明では、上記車両バッテリー遮断装置を車両に設けられているヒューズ取付端子に取り付けることによる、車両のバッテリー電圧を管理する方法、および上記の車両バッテリー遮断装置が設置された車両を提供し、前記課題の少なくともいずれかを解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両のイグニッションスイッチがオフの時に通電状態を維持する常時通電ラインのヒューズ取付端子に適合する車両ヒューズ型端子を先端に有する接続プラグを介し、常時通電ラインをヒューズ取付端子外に取り出す構成としていることより、各自動車メーカで使用しているヒューズホルダーは、ほぼ決まっているおり、自動車の電気回路等の改造は、少なく取り付けることが出来る。また、イグニッションスイッチの最終のオフ信号から作動するタイマーにより、前記ヒューズ取付端子外に取り出した常時通電ラインを遮断することが出来る為、自動的にライトのライン等を遮断できバッテリー上がりを未然に防止することが出来る。
更に、イグニッションスイッチの最終のオフ信号から作動するタイマーにより、前記ヒューズ取付端子外に取り出した常時通電ラインの遮断した常時通電ラインの復帰手段を設る構成としている為、非常時に於いて、トラブル等でイグニッションスイッチを作動できない場合であっても、車両バッテリー遮断装置の遮断を速やかに解き、ライテングスイッチ機能を回復させることが出来る等効果を有する。
そして本発明にかかる車両のバッテリー電圧管理方法では、モジュール化された本発明にかかる車両バッテリー遮断装置を車両に設置するだけであることから、電子制御による車両電圧管理の複雑化や、電気関係の配線替え等の専門性の問題を解消して、簡易な後付による車両のバッテリー電圧管理方法が提供され、同時に新車時には車両のバッテリー電圧が管理されていない車両でも、後付けによりバッテリー上がりを防止した車両とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の構成の例を説明する概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る制御部を中心とした回路構成概略図である。
【図3】本発明の車両バッテリー遮断装置の使用状態を示す参考図である。
【図4】従来の一般的な車両の電源構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の構成の例を説明する全体ブロック図、図2は、図1の制御部を中心とした回路構成概略図、図3は車両バッテリー遮断装置の使用状態を示す参考図である。
【0012】
この実施の形態に示す車両バッテリー遮断装置は、車両本体内の電源バッテリー1に接続し、車両のイグニッションスイッチがオンオフにかかわらず導通する常時通電ラインであって、使用者が望む全部、又は一部の常時通電ラインを選択し、この常時通電ラインにつながる車両ヒューズボックス2内に設けているヒューズ取付端子20のヒューズ21に替えて、先端に車両ヒューズ型端子30の接続プラグ3を介し、後述する操作ボックス4内で、イグニッションスイッチの信号(以下、「イグニッション信号」と略称する)7に基づいて制御ユニット5を介し作動する切断用リレーによって、常時通電ラインを遮断する構成となっている。
【0013】
ここで、前記ヒューズ型端子30は、車両ヒューズボックス2内のヒューズ取付端子20に、ヒューズ21に替わって取付るもので、ヒューズ21と同様の先端形状としている対の接続板31をヒューズ取付端子20に装着する。そして、この各接続板31のそれぞれに接続ケーブル32、33が設けられており、後述する操作ボックス4内に設けている制御ユニット5に接続する構成となっている。
【0014】
制御ユニット5は、操作ボックス4内に収納しており、内部に制御ユニット5、切断リレー6等が内蔵されており、制御ユニット5により、イグニッション信号7がオフの状態が連続して一定時間続いた場合に「切断」のリレー信号を出し、他方イグニッション信号7がオンの状態になったら、「接続」のリレー信号を出す回路が設けられている。
また、図3に示すように、制御ユニット5の前面には、常時通電ラインの数だけの、車両ヒューズ型端子30が設けられており、遮断する常時通電ラインの車両ヒューズ型端子30にヒューズ21を装着して使用する。
なお、制御ユニット5等は、車載の電源バッテリー1の電源により作動させる。
【0015】
次に、制御ユニット5の回路構成としては、定電圧回路50、制御用IC51、リレードライバー52、その他抵抗コンデンサー等電子部品により構成する。また、制御用ユニット5により、イグニッション信号がオフの状態が連続した場合に切断する機構としては、イグニッションスイッチのイグニッション信号の、オンオフ信号を利用する。例えば、オンオフ信号がある車両ではそのまま使用することができるが、信号がない場合には、前記イグニッションスイッチが、ポジション0とIの位置の信号を利用することが出来る。
【0016】
なお、図中の符号8は、非常時に常時通電ラインの遮断を解き、回路を復活させる為の非常用ボタン80により作動する非常用オン信号であり、符号9は、電源バッテリーの電圧管理に使用する表示用LEDである。
【0017】
次に、操作ボックス4内に収納している制御ユニット5、切断リレー6等について、図2を基に説明する。
制御ユニット5に使用する定電圧回路50は、市販のDCジェネレータを用いて製作することができ、例えば5ボルトの直流電源を用いる。
制御用IC51は、イグニッションスイッチが、エンジンオフの時(設定時間内にイグニッションスイッチがオンとなった場合には、最後にオフとなった時間から計測)のイグニッション信号7に基づいて、タイマーを作動させる。例えば、エンジンを切った後、連続してオフの状態が設定時間(例えば10分程度)続いた場合に、タイマーの信号を発する。そしてこのタイマーの信号を発するタイミング、即ちエンジンオフの時のイグニッション信号7から計測される時間は、利用者において任意に設定可能なように構成することも望ましい。営業用車両などにおいては、その作業内容により、バッテリーを切断すべきタイミングが様々であり、車両用途に応じて変更し得るようにするためである。
このタイマーの信号は、リレードライバー52に伝えられ、リレードライバー52によって切断用リレー6を作動させる。即ち、常時通電ラインに接続している車両ヒューズボックス3内では、「常時通電ライン−ヒューズ取付端子20−車両ヒューズ型端子30−接続ケーブル32−切断用リレー6−ヒューズ61−接続ケーブル33−常時通電ライン」の回路が切断用リレー6を作動で常時通電ラインを遮断する構成となっている。

【0018】
なお、イグニッションスイッチが、エンジンオフの時の信号を、抵抗を利用して所定の分圧にして前記分圧して、制御用IC51の所定の部位に接続する。
【0019】
また、この制御用のIC51は、一定の基準電圧電位に基づいて出力させることが出来る為、車載の電源バッテリー10が、一定水準以下になった際に、出力信号を得ることが出来る為、いわばバッテリーの電圧監視させる機能を併せて利用することも出来る。
【0020】
具体的な結線状態を説明すると、制御用IC51として、マイクロチップ・テクノロジー社製(PIC12F675−E/P)を用いた例で説明する。
このPIC12F675−E/Pは、8ピンの制御用ICであり、例えば、1番ピン(VDD)には、定電圧回路50としてDCジェネレータ(5V、70mA)に接続する。
2番ピン(GP5)は、リレー制御信号として出力しリレードライバー60接続する。
3番ピン(GP4/AN3)は、電源バッテリー1の分圧回路に接続し、電源の電圧監視に利用される。
5番ピン(GP2)は、イグニッション信号の入力として接続する。
6番ピン(GP1/ICSPCLK)は、表示用LEDの赤のアノードに接続する。
7番ピン(GP0/ICSPDAT)は、表示用LEDの緑のアノードに接続に接続する。
8番ピン(VSS)は、アース端子に接続する。
なお、リレードライバー60は、市販品を使用することが出来、このリレードライバー60を介し、切断用リレー6を作動させる。
【0021】
また、上記実施の形態では、リレードライバー60を介し切断用リレー6を作動させる例を述べたが、これに限るものではなく、切断用リレー6の替わりに例えばMOS−FET等、適宜な素子を用いても良いことは言うまでもない。
【0022】
本発明は、上述のように構成し、前記した制御用IC51に、イグニッション信号7が「オフ」から「オン」に変化させたとき、2番ピン(GP5)は、リレー制御信号が、「L」から「H」に遅滞なく変化する。また、逆にイグニッション信号7が「オン」から「オフ」に変化させたとき、設定時間遅れて、2番ピンは、リレー制御信号が、「H」から「L」に変化する。
【0023】
また、前記と同様にイグニッション信号7が「オン」から「オフ」に変化させ、設定時間前にイグニッションスイッチが「オン」とした後に、「オフ」に変化させると、2回目の「オフ」から設定した時間岳遅れてリレー制御信号が、「H」から「L」に変化する。これらの信号の「H」から「L」への変化を利用して、リレードライバー60を作動させて、常時通電ラインの切断用リレー6の切断を行う。
なお、非常用オン信号8は、イグニッション信号7の「オン」と同様の信号とし、非常用スイッチ80をオンとすると、「オン」信号を2番ピンに供給することにより行う。

【0024】
次に、電源バッテリー1の電圧監視について述べる。
前記した制御用IC51に、電源バッテリー1の電圧監視は、3番ピン(GP4/AN3)と6番ピン(GP1/ICSPCLK)と、7番ピン(GP0/ICSPDAT)で行う。例えば電圧検出レベルの設定値1を11V、設定値2を10Vとし、赤点滅時間を500[msec]とする。そして、電圧検出レベルが、設定値1より上の電圧の時は、7番ピンから「H」の信号を表示用LEDの緑のアノードに供給し、表示用LEDが緑の点灯する。
設定値1と設定値2の間の電圧の時は、7番ピンから「H」の信号を表示用LEDの緑のアノードに供給する他、6番ピンから「H」の信号を表示用LEDの赤のアノードに供給する。このため、表示用LEDがオレンジ色の点灯となる。
【0025】
次に電圧検出レベルが、設定値2より下の電圧の時は、7番ピンからは「L」の信号となり、また6番ピンから500[msec]間隔で「H」「L」の繰り返し信号を表示用LEDの赤のアノードに供給する。このため、表示用LED9が、赤の点滅の点灯表示となる。
【0026】
このように2つの設定値を利用して、電源のバッテリーの安全な設定値1以上電位の時、緑色の表示とし、安全な設定値1と危険領域の基準値2との間の電位では、オレンジ色の表示、そして危険領域の基準値2以下の時の電位では、赤の点滅表示とする表示を行うことが出来る為、確実な電圧監視を行うことが出来る。従って、前記した車両バッテリー遮断装置と併せて使用すると特に有益である為、表示用LEDは特に運転席から見える位置に適宜マウントを利用して取り付けることが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
1 電源バッテリー
2 車両ヒューズボックス
20 ヒューズ取付端子
21 ヒューズ
3 接続プラグ
30 車両ヒューズ型端子
31 接続板
32、33 接続ケーブル
4 操作ボックス
5 制御ユニット
50 定電圧回路
51 制御用IC
52 リレードライバー
6 切断用リレー
7 イグニッション信号
8 非常用オン信号
80 非常用スイッチ
9 表示用LED


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のイグニッションスイッチがオフの時に導電状体を維持する常時通電ラインのヒューズ取付端子に、この端子に適合する車両ヒューズ型端子を先端に有する接続プラグを取付、常時通電ラインをヒューズ取付端子外に取り出すと共に、イグニッションスイッチの最終のオフ信号から作動するタイマーにより、前記ヒューズ取付端子外に取り出した常時通電ラインを遮断することを特徴とする車両バッテリー遮断装置。

【請求項2】
イグニッションスイッチの最終のオフ信号から作動するタイマーにより、前記ヒューズ取付端子外に取り出した常時通電ラインの遮断した常時通電ラインの復帰手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両バッテリー遮断装置。

【請求項3】
車両のバッテリー電圧を管理する方法であって、
車両に設けられているヒューズ取付端子に、請求項1又は2に記載の車両バッテリー遮断装置を取り付ける、車両のバッテリー電圧管理方法。

【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両バッテリー遮断装置が設置された車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−76631(P2012−76631A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224445(P2010−224445)
【出願日】平成22年10月3日(2010.10.3)
【出願人】(594057314)翼システム株式会社 (22)
【Fターム(参考)】