説明

車両ブレーキ・システムの作動方法およびブレーキ・システム

【課題】断面積調節部材、中間アキュームレータおよび供給装置を有する車両ブレーキ・システムにおいて、供給装置をより小さい能力で設計する。
【解決手段】車両ブレーキ・システムは、ブレーキ・システムが車輪にブレーキ力を与えるように設けられ、マスタ・ブレーキ・シリンダからブレーキ流体が供給可能な、車両の車輪に付属されたブレーキ装置と、断面積調節部材および中間アキュームレータを介してブレーキ装置に結合された供給装置とを有する。ブレーキ力を低減させるために、操作/制御により、ブレーキ流体が、ブレーキ装置から断面積調節部材を介して中間アキュームレータ内に排出され且つ供給装置によってマスタ・ブレーキ・シリンダ内に供給可能である。ブレーキ装置からのブレーキ流体の排出が、供給装置の最大供給容積流量より多い排出容積流量で行われ、ブレーキ・システムの特定の作動状態が発生したとき、排出容積流量が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ・システムが車輪にブレーキ力を与えるように設けられたブレーキ装置にマスタ・ブレーキ・シリンダからブレーキ流体を供給可能な、車両の車輪に付属された少なくとも1つの該ブレーキ装置と、断面積調節部材および中間アキュームレータを介してブレーキ装置と結合された供給装置と、を有し、ブレーキ力を低減させるために、操作/制御により、ブレーキ流体がブレーキ装置から断面積調節部材を介して中間アキュームレータ内に排出され且つ供給装置によりマスタ・ブレーキ・シリンダ内に供給可能である、車両ブレーキ・システムの作動方法に関するものである。本発明は、さらに、ブレーキ・システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冒頭記載のタイプの方法は従来技術から既知である。この場合、ブレーキ・システムは、操舵性および制動性、走行安定性および/または車両のトラクションを改善するという課題を有している。このようなブレーキ・システムは、例えば、ABSブレーキ・システム、ASRブレーキ・システムおよび/またはESPブレーキ・システムである。はじめに、車輪と地面との間の最大可能な摩擦結合を保証するために、制動の間における車両車輪のロックを阻止すべきである。ブレーキ・システムは、車両の少なくとも1つの車輪に付属されているブレーキ装置を有している。ブレーキ装置により、ブレーキ力を車輪に与えることが可能である。このために、例えば、車両のドライバによる、マスタ・ブレーキ・シリンダと結合されているブレーキ・ペダルの操作に基づき、ブレーキ装置にマスタ・ブレーキ・シリンダからブレーキ流体が供給される。ブレーキ流体がマスタ・ブレーキ・シリンダからブレーキ装置に供給された場合、その後に、車輪に対するブレーキ力が上昇ないしは増大される。
【0003】
ブレーキ力を適切に低減させるために、ブレーキ・システムは、さらに、断面積調節部材、中間アキュームレータおよび供給装置を有している。断面積調節部材は、ブレーキ流体が操作(開ループ)/制御(閉ループ)によりブレーキ装置から排出可能なようにブレーキ装置に接続されている。排出された流体は、中間アキュームレータ内にないしは供給装置に到達する。供給装置は、ブレーキ装置から排出されたブレーキ流体を直接または中間アキュームレータから供給し且つ再びマスタ・ブレーキ・シリンダに供給するように働き、これにより、ブレーキ流体は、改めてブレーキ力を発生するために利用可能である。供給装置は、最大供給容積流量、即ちブレーキ流体をマスタ・ブレーキ・シリンダに供給可能な最大容積流量を特徴としている。通常、供給装置は、最大供給容積流量がブレーキ・システム内において発生可能な最大排出容積流量より大きくなるように設計されている。この場合、排出容積流量は、ブレーキ流体が1つのブレーキ装置ないしは複数のブレーキ装置から排出され且つこれにより中間アキュームレータ内にないしは供給装置に到達する容積流量である。このようにして、各作動状態において排出されたブレーキ流体は、マスタ・ブレーキ・シリンダ内に供給可能であることが保証されるべきである。しかしながら、これは供給装置の比較的大きな設計を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、断面積調節部材、中間アキュームレータおよび供給装置を有するブレーキ・システムにおいて、供給装置をより小さく即ちより小さい能力で設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術に比較して、請求項1の特徴を有するブレーキ・システムの作動方法は、ブレーキ・システムの供給装置がより小さく即ちより小さい能力で設計可能であるという利点を有している。これは、本発明により、ブレーキ・システムのブレーキ装置からのブレーキ流体の排出が、少なくとも時々、供給装置の最大供給容積流量より多い排出容積流量で行われ、またブレーキ・システムの特定の作動状態が発生したとき、排出容積流量が低減されることにより達成される。はじめに、用語「容積流量」は、単位時間当たりのブレーキ流体の量を表わしていることを注記しておく。用語「容積流量」は、同様に、用語「質量流量」により置き換えられてもよく、この場合、このとき、排出容積流量は排出質量流量に対応し、最大供給容積流量は最大供給質量流量に対応する。排出容積流量が持続的に最大供給容積流量より大きい場合、中間アキュームレータは充填される。中間アキュームレータが完全に充満された場合、1つのブレーキ装置ないしは複数のブレーキ装置から、もはやブレーキ流体が排出可能ではない。これにより、ブレーキ・システムの機能、特にABSブレーキ・システムの機能は、確実に保証可能ではない。したがって、このような状態は、ブレーキ・システムの特殊な機能範囲内において確実に回避されなければならない。
【0006】
排出容積流量が最大供給容積流量より大きい場合、負の容積バランスが存在し、このことは、供給装置がマスタ・ブレーキ・シリンダ内に供給可能なブレーキ流体よりも多いブレーキ流体が中間アキュームレータ内に排出されることを意味する。ここで、従来技術から、それに対応する供給装置の能力を介してこの負の容積バランスを回避することが既知である。これに対して、供給装置を、できるだけ小さく、即ちできるだけ小さい供給能力で設計することが本発明の目的である。このかぎりにおいて、少なくとも時々、排出容積流量が最大供給容積流量よりも大きいことが許容される。ブレーキ・システムの機能性を持続的に保証するために、ブレーキ・システムの特定の作動状態が発生ないしは存在したとき、排出容積流量は低減される。この場合、特定の作動状態が存在しない正常作動において保証されるであろう排出容積流量の値に対して低減が行われる。このようにして、既存のブレーキ・システムを用いて、より高いブレーキ要求を与えることが可能であり、または与えられたブレーキ要求において、ブレーキ・システムおよび特に供給装置は、小さくされ、即ちより小さい能力で設計可能である。排出容積流量の低減は、比較的稀にしか発生することがない危険な作動状態においてのみ行われる。
【0007】
本発明の一変更態様は、特定の作動状態が、供給装置のエラー機能および/または中間アキュームレータの特定充填レベル超え、であるように設計されている。第1の場合、供給装置が中間アキュームレータからないしはブレーキ装置からブレーキ流体を十分急速にマスタ・ブレーキ・シリンダに排出可能ではないことが予測されるので、排出容積流量は予防的に低減される。追加態様または代替態様として、特定の充填レベルを超えたときもまた排出容積流量が低減されてもよい。このようにして、中間アキュームレータがさらにないしはきわめて急速に充填されることが阻止可能であり、且つこのようにして、少なくともより長い期間にわたり、ブレーキ・システムの完全な機能性が確保可能である。
【0008】
本発明の一変更態様は、エラー機能における排出容積流量は、最大供給容積流量に等しいかまたはそれより少なく選択されるように設計されている。最大供給容積流量は、常に、ブレーキ流体がマスタ・ブレーキ・シリンダ内に戻し供給可能な最大容積流量に対応する。最大供給容積流量の決定において、供給装置のエラー機能もまた考慮されることが理想的である。この場合、最大供給容積流量は、例えばモデルによりまたは測定値から決定される。エラー機能が存在する場合、中間アキュームレータが(きわめて急速に)充填され、これにより、ブレーキ・システムの機能性に少なくとも一時的に悪影響を与えることを阻止するために、排出容積流量は、最大供給容積流量に等しいかまたはそれより小さく選択することが有意義である。このようにして、エラー機能が存在しない公称条件下においては、ブレーキ・システムが最適に使用可能であり、この場合、供給装置は、従来技術から既知の供給装置よりも小さく設計可能であり、しかもブレーキ・システムの機能性は常に保証される。
【0009】
本発明の一変更態様は、供給装置の作動電圧がモニタリングされ且つ特定の最小電圧を下回ったときにエラー機能が指示されるように設計されている。エラー機能は、例えば供給装置の電圧供給におけるエラーによって与えられることがある。この理由から、作動電圧がモニタリングされる。作動電圧が、特定の値、即ち最小電圧を下回った場合、エラー機能が指示され且つこの結果として排出容積流量が低減される。この場合、排出容積流量の低減は、測定された作動電圧と正常な作動電圧との比較に基づいて行われることが好ましい。
【0010】
本発明の一変更態様は、中間アキュームレータの充填レベルが充填レベル・モデルに基づいて決定されるように設計されている。通常、ブレーキ・システムの中間アキュームレータは、中間アキュームレータの充填レベルを決定可能な充填レベル指示計を有していない。この理由から、充填レベルは、充填レベル・モデルにより決定されるかないしは評価される。このようにして、常に、充填レベルに対して少なくとも1つの概略値が評価可能である。評価された充填レベルが特定の充填レベルを超えた場合、排出容積流量は低減される。充填レベルを決定するために、追加態様または代替態様として、少なくとも1つのセンサが設けられていてもよいことは当然である。
【0011】
本発明の一変更態様は、充填レベル・モデルが、入力変数として、排出容積流量および供給装置の少なくとも1つの作動特性変数を有するように設計されている。入力値から出発して、ブレーキ流体が中間アキュームレータ内に入り込む容積流量ないしはブレーキ流体が中間アキュームレータから出る容積流量が少なくともわかっているとき、充填レベル・モデルにより充填レベルが特定可能である。この場合、供給装置の瞬間供給容積流量は、供給装置の作動特定変数である。追加態様として、他の作動特定変数、例えば供給装置の作動電圧が使用されてもよい。
【0012】
本発明の一変更態様は、複数のブレーキ装置が中間アキュームレータに接続されるように設計されている。この場合、排出容積流量は、中間アキュームレータに接続されている全てのブレーキ装置からブレーキ流体が排出される容積流量に対応する。即ち、供給装置は、この総合排出容積流量を中間アキュームレータからないしはブレーキ装置から排出可能でなければならない。
【0013】
本発明の一変更態様は、排出容積流量を低減させるために、マスタ・ブレーキ・シリンダからのブレーキ流体の供給がより少ない容積流量で行われ、および/またはブレーキ装置内の設定圧力への到達とブレーキ流体の排出との間の待ち時間がより大きく選択され、および/またはブレーキ流体を供給するときに到達されるべき設定圧力が低下される、ように設計されている。これらの手段により、ブレーキ流体が断面積調節部材を介して1つのブレーキ装置ないしは複数のブレーキ装置からより稀に且つより少ない量で排出されなければならないことが達成可能である。ブレーキ装置にブレーキ流体がより少ない容積流量で供給される場合、ブレーキ装置内においてブレーキ力はより緩やかに上昇するので、ブレーキ力の低下はより遅い時点においてはじめて必要となる。即ち、この手段は、ブレーキ・システムないしはブレーキ装置の制御頻度の低減により行われてもよい。追加態様または代替態様として、ブレーキ装置内の設定圧力への到達とブレーキ流体の排出との間の待ち時間に対応する圧力保持時間が増大されてもよい。このようにしてもまた、制御頻度の低減が達成される。通常、ブレーキ・システムは、特定の設定圧力ないしは設定ブレーキ力に到達するまでブレーキ装置にブレーキ流体が供給されるように作動する。それに続いて、ブレーキ流体は、断面積調節部材を介してブレーキ装置から排出される。ここで、排出容積流量を低減させるために、例えば圧力保持過程のより敏感な作動により、この設定圧力を低減可能である。上記の値は、それぞれ、特定の作動状態が存在しないブレーキ・システムの正常な作動において選択されるであろう値に対して低減されるかまたはより大きく選択される。
【0014】
本発明の一変更態様は、複数のブレーキ装置において排出容積流量を低減させるために、最高ロック傾向を有している車輪は、ブレーキ流体の排出の操作/制御に対して考慮されないように設計されている。この実施形態においては、それに応じて、車両のそれぞれ1つの車輪に付属されている複数のブレーキ装置が存在している。通常、ブレーキ装置の少なくとも2つが共通に操作/制御されるので、車輪の1つのみが特定のロック傾向を有しているとき、これらの2つのブレーキ装置において同時にブレーキ流体が排出される(「セレクト・ロー(Select Low)」作動)。このことから、ヨーモーメントないしはかじ取りモーメントの発生が回避されるので、車両の最大走行安定性が得られる。しかしながら、最高ロック傾向を示していない1つの車輪または両方の車輪においてできるだけより小さいブレーキ力のみが設定されるので、車両の制動距離もまた増大する。一方、この「セレクト・ロー」作動は、排出容積流量もまた増大させる。この排出容積流量を低減させるために、それに応じて、「セレクト・ロー」作動が阻止され且つブレーキ装置の個々の操作/制御が実行されることが好ましい。
【0015】
本発明は、さらに、ブレーキ・システムが、車輪にブレーキ力を与えるように設けられたブレーキ装置に、マスタ・ブレーキ・シリンダからブレーキ流体を供給可能な、車両の車輪に付属された少なくとも1つの該ブレーキ装置と、断面積調節部材および中間アキュームレータを介してブレーキ装置に結合された供給装置と、を有し、ブレーキ力を低減させるために、操作/制御により、ブレーキ流体がブレーキ装置から断面積調節部材を介して中間アキュームレータ内に排出され且つ供給装置によってマスタ・ブレーキ・シリンダ内に供給可能である、特に上記の実施形態による方法を実行するための車両ブレーキ・システムに関するものである。この場合、ブレーキ・システムは、ブレーキ・システムのブレーキ装置からのブレーキ流体の排出が、少なくとも時々、供給装置の最大供給容積流量より多い排出容積流量で行われ、また、ブレーキ・システムの特定の作動状態が発生したときに、排出容積流量が低減されるように設計されている。車両のブレーキ・システムは上記の実施形態により変更されていてもよい。
【0016】
以下に、本発明が図面に示された実施例により詳細に説明されるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ブレーキ・システムを有する車両の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、車輪2、3、4および5を有する車両1を示し、車輪2、3、4および5に、それぞれブレーキ装置6、7、8および9が付属されている。ブレーキ装置6、7、8および9は、車両1のブレーキ・システム10の構成部品である。ブレーキ装置6−9はそれぞれマスタ・ブレーキ・シリンダ11に結合され、このことは、図1には示されていない。ブレーキ装置6−9はそれぞれ、ここには図示されていない断面積調節部材を介して、中間アキュームレータ12および供給装置13に接続されていることのみが表わされている。ブレーキ流体が、断面積調節部材を介して適切にブレーキ装置6−9から排出可能であり、これにより、ブレーキ装置6−9から車輪2−5に与えられるブレーキ力を低減することが可能である。断面積調節部材を介して操作(開ループ)/制御(閉ループ)により排出されたブレーキ流体は、供給装置13に到達するかないしは中間アキュームレータ12内に到達する。ブレーキ流体が断面積調節部材内を流れる容積流量は、排出容積流量と呼ばれる。排出されたブレーキ流体は、供給装置13により再びマスタ・ブレーキ・シリンダ11内に供給される。供給装置13は、例えば電動供給ポンプである。供給装置13に対しては、その最大供給容積流量、即ち、供給装置13によりマスタ・ブレーキ・シリンダ11の方向に最大に排出可能な容積流量が特徴である。排出容積流量が最大供給容積流量を超えた場合、ブレーキ流体は、ブレーキ装置6−9からマスタ・ブレーキ・シリンダ11内に十分急速に供給可能ではないので、中間アキュームレータ12は充填される。
【0019】
中間アキュームレータ12が完全に充満されている場合、それ以上にブレーキ流体はブレーキ装置6−9から排出可能ではないので、ブレーキ・システム10の機能性は少なくとも一部影響されている。したがって、この状態は阻止されるべきである。これは、ブレーキ・システム10の特定の作動状態が発生したときに、排出容積流量が低減されることにより達成される。ブレーキ・システム10は、それに対応するように設計されるかないしはそれに対応するように作動される。特定の作動状態は、例えば、供給装置13のエラー機能が発生するかまたは中間アキュームレータ12の特定の充填レベルが超えられたときに存在する。この場合、排出容積流量は低減され、ここで、排出容積流量の低減は、排出容積流量が供給装置13の最大供給容積流量より小さいかまたはそれに等しくなるように行われることが理想的である。
【0020】
このようにして、供給装置13ないしはブレーキ・システム10は、従来技術から既知の装置よりも小さく、ないしはより小さい能力で設計可能であり、しかも、ブレーキ・システムの機能性はいかなる時点においても保証可能である。したがって、ブレーキ・システム10に対するコストは低減可能である。排出容積流量の低減において、通常、基準ブレーキ性能(制動距離)、車両安定性、排出容積流量(所要容量)ないしは制御快適性および操作/制御の確実性が相互に考慮される。この場合、上記の基準の間で妥協が達成されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ・システム(10)が車輪(2、3、4、5)にブレーキ力を与えるように設けられたブレーキ装置(6、7、8、9)に、マスタ・ブレーキ・シリンダ(11)からブレーキ流体を供給可能な、車両(1)の車輪(2、3、4、5)に付属された少なくとも1つの該ブレーキ装置(6、7、8、9)と、断面積調節部材および中間アキュームレータ(12)を介してブレーキ装置(6、7、8、9)に結合された供給装置(13)と、を有し、
ブレーキ力を低減させるために、操作/制御により、ブレーキ流体がブレーキ装置(6、7、8、9)から断面積調節部材を介して中間アキュームレータ(12)内に排出され且つ供給装置(13)によってマスタ・ブレーキ・シリンダ(11)内に供給可能である、車両(1)ブレーキ・システム(10)の作動方法において、
ブレーキ・システム(10)のブレーキ装置(6、7、8、9)からのブレーキ流体の排出が、少なくとも時々、前記供給装置(13)の最大供給容積流量より多い排出容積流量で行われ、ブレーキ・システム(10)の特定の作動状態が発生したとき、前記排出容積流量が低減されることを特徴とする車両ブレーキ・システムの作動方法。
【請求項2】
前記特定の作動状態が、供給装置(13)のエラー機能および中間アキュームレータ(12)の特定充填レベル超え、の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記エラー機能における排出容積流量は、前記最大供給容積流量に等しいかまたはそれより少なく選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の作動方法。
【請求項4】
前記供給装置(13)の作動電圧が、モニタリングされ且つ特定の最小電圧を下回ったときに、エラー機能が指示されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の作動方法。
【請求項5】
前記中間アキュームレータ(12)の充填レベルが、充填レベル・モデルに基づいて決定されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の作動方法。
【請求項6】
前記充填レベル・モデルが、入力変数として、前記排出容積流量および前記供給装置(13)の少なくとも1つの作動特性変数を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の作動方法。
【請求項7】
複数のブレーキ装置(6、7、8、9)が、前記中間アキュームレータ(12)に接続されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の作動方法。
【請求項8】
前記排出容積流量を低減させるために、マスタ・ブレーキ・シリンダ(11)からのブレーキ流体の供給がより少ない容積流量で行われること、およびブレーキ装置(6)内の設定圧力への到達とブレーキ流体の排出との間の待ち時間がより大きく選択されること、およびブレーキ流体を供給するときに到達されるべき設定圧力が低下されること、の少なくともいずれかが行われることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の作動方法。
【請求項9】
複数のブレーキ装置(6、7、8、9)において前記排出容積流量を低減させるために、最高ロック傾向を有している車輪(2、3、4、5)は、ブレーキ流体の排出の操作/制御に対して考慮されないことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の作動方法。
【請求項10】
ブレーキ・システム(10)が車輪(2、3、4、5)にブレーキ力を与えるように設けられたブレーキ装置(6、7、8、9)に、マスタ・ブレーキ・シリンダ(11)からブレーキ流体を供給可能な、車両(1)の車輪(2、3、4、5)に付属された少なくとも1つの該ブレーキ装置(6、7、8、9)と、断面積調節部材および中間アキュームレータ(12)を介してブレーキ装置(6、7、8、9)に結合された供給装置(13)と、を有し、
ブレーキ力を低減させるために、操作/制御により、ブレーキ流体がブレーキ装置(6、7、8、9)から断面積調節部材を介して中間アキュームレータ(12)内に排出され且つ供給装置(13)によってマスタ・ブレーキ・シリンダ(11)内に供給可能である、請求項1ないし9の少なくともいずれかに記載の方法を実行するための車両(1)ブレーキ・システム(10)において、
ブレーキ・システム(10)のブレーキ装置(6、7、8、9)からのブレーキ流体の排出が、少なくとも時々、前記供給装置(13)の最大供給容積流量より多い排出容積流量で行われ、ブレーキ・システム(10)の特定の作動状態が発生したとき、前記排出容積流量が低減されることを特徴とする車両ブレーキ・システム。

【公表番号】特表2013−520354(P2013−520354A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554259(P2012−554259)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051214
【国際公開番号】WO2011/104064
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】