説明

車両内情報伝送用電線及び導電材料の再生方法

【課題】リンギング収束の効果や通信エラー低減の効果を高め、また、良好なリサイクル性も有する車両内情報伝送用電線を提供する。
【解決手段】各電装ユニット4には、車載バス駆動装置5が設けられている。各車載バス駆動装置5は、車両内情報伝送用電線1によって接続されている。車両内情報伝送用電線1は、銅基合金からなり標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が165〜385mΩ/mとなる導体を備えた絶縁線心を撚り合わせてなっている。導体は、例えばSn−Cu合金からなり、錫の含有率が0.2〜1.5wt%に設定されている。また、導体の導電率は、35〜80%IACSに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内で情報伝送に用いる電線、及び導電材料の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両内情報伝送用電線としては、例えば下記特許文献1に開示された技術のものが知られている。下記特許文献1には、通信エラーを引き起こす原因となるリンギングの振幅を小さくすることを目的としたツイストペア線に係る技術が開示されている。具体的には、自動車に搭載される二つの電装ユニットの各車載バス駆動装置に接続されて車載バスを構成するツイストペア線に関し、このツイストペア線は導電率が純銅の15〜85%の高抵抗導電材からなる導体を用いることが開示されている。
【特許文献1】特開2007−8237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術にあっては、導電率が純銅の15〜85%の高抵抗導電材を用いているが、導体の導体抵抗等を鑑みた場合には、リンギング収束の効果や通信エラー低減の効果が得られないケースがあることを本願発明者は突き止めている。
【0004】
尚、上記従来技術は、環境特性(リサイクル性)の面に配慮がなされてないと考えられる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、リンギング収束の効果や通信エラー低減の効果を高め、また、良好なリサイクル性も有する車両内情報伝送用電線を提供することを課題とする。また、導電材料の再生方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の車両内情報伝送用電線は、銅基合金からなり標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が165〜385mΩ/mとなる導体を備える絶縁線心を複数心撚り合わせてなることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の本発明の車両内情報伝送用電線は、請求項1に記載の車両内情報伝送用電線において、前記導体はSn−Cu合金であって錫含有率を0.2〜1.5wt%としたことを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の本発明の車両内情報伝送用電線は、請求項1又は請求項2に記載の車両内情報伝送用電線において、前記導体の導電率を35〜80%IACSとしたことを特徴としている。
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の本発明の導電材料の再生方法は、請求項1ないし請求項3いずれか記載の車両内情報伝送用電線を、導体材料組成に基づいて他の構成部材より分離回収した後、導電材料として再生することを特徴としている。
【0010】
以上のような特徴を有する本発明において、銅基合金からなり標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗を165〜385mΩ/mとしたのは、165mΩ/mを下回る場合には、車両内高圧電線から混入した信号ノイズの減衰効果が得られなくなってしまうからである。また、385mΩ/mを上回る場合には、差動信号の電圧低下が顕著に生じ、これが通信エラーの原因となってしまうからである。
【0011】
尚、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が175mΩ/mである時、同種の導電材料を用いるとすると、0.22sqでは110mΩ/mとなり、0.08sqでは290mΩ/mとなる。従って、導体サイズに応じて導体抵抗の範囲が変わることが分かる。本発明は、導体サイズを限定するものでなく、0.13sq換算時の導体抵抗を限定するものである。
【0012】
本発明において、導体をSn−Cu合金からなるものとしたのは、上記導体抵抗を満足させつつリサイクル性に配慮することが可能になるからである。導体を例えば純銅としないのは、上記導体抵抗を満足させようとすると、径が細くなりすぎて電線として強度的に満足できなくなってしまうからである。また、例えばZn−Cu合金としないのは、環境特性(リサイクル性)に配慮することができなくなってしまうからである。また、例えばMg系銅合金としないのは、MgOが発生してこれが導体伸線時に破断の原因になってしまうからである。また、Sn−Cu合金でなく例えばアルミニウムやアルミニウム合金としないのは、引張強度や耐屈曲性などの機械的特性に影響を来してしまうからである。
【0013】
本発明において、錫の含有率を0.2〜1.5wt%としたのは、含有率が0.2wt%を下回る場合、引張強度や耐屈曲性などの機械的特性に影響を来してしまうからである。また、錫の含有率が1.5wt%を上回る場合には、環境特性(リサイクル性)に配慮することができなくなってしまう可能性があるからである。Snは0.2〜0.5が好ましい。廃導体の主なリサイクル用途はトロリー線(0.3Sn−Cu)であり、Sn含有率が0.3wt%と相違する程、リサイクル性を阻害するからである。
【0014】
このような特徴を有する本発明において、導体の導電率を35〜80%IACSとしたのは、導電率が35%IACSを下回る場合、差動信号の電圧低下が顕著に生じ、これが通信エラーの原因となってしまうからである。また、導電率が80%IACSを上回る場合には、リンギング収束の効果が得られなくなってしまうからである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2に記載された本発明によれば、リンギング収束の効果や通信エラー低減の効果を高める車両内情報伝送用電線を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、機械的特性を満足させつつリサイクル性を良好にすることができるという効果を奏する。
【0016】
請求項3に記載された本発明によれば、リンギング収束の効果や通信エラー低減の効果をより一層高めることができるという効果を奏する。
【0017】
請求項4に記載された本発明によれば、車両内情報伝送用電線を導電材料として再生する方法を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の車両内情報伝送用電線の一実施の形態を示す図であり、各電装ユニットを車両内情報伝送用電線で接続した状態の概略図である。
【0019】
図1において、引用符号1は本発明の車両内情報伝送用電線を示している。車両内情報伝送用電線1は、ここではツイストペア線として形成されている(一例であるものとする。二本に限らず複数心の撚り合わせが可能であるものとする)。車両内情報伝送用電線1は、約25mmの撚りピッチで撚り合わせられている。車両内情報伝送用電線1の両端には、コネクタ2がそれぞれ設けられている。各コネクタ2は、電装ユニット3のコネクタ4に接続されている。各電装ユニット3には、例えば車載バス駆動装置5が設けられている。各車載バス駆動装置5は、車両内情報伝送用電線1によって接続されることになる。
【0020】
車両内情報伝送用電線1は、銅基合金からなり標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が165〜385mΩ/mとなる導体を備えた絶縁線心を撚り合わせてなっている。導体は、例えばSn−Cu合金からなり、錫の含有率が0.2〜1.5wt%に設定されている。また、導体の導電率は、35〜80%IACSに設定されている。導体は、上記合金を伸線し集合より・7ヶ撚り等(単線であっても良いものとする)して形成した場合に、導体抵抗が165〜385mΩ/mとなるようになっている。
【0021】
導体の上記条件に関し、銅基合金からなり標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗を165〜385mΩ/mとしたのは、165mΩ/mを下回る場合には、車両内高圧電線から混入した信号ノイズの減衰効果が得られなくなってしまうからである。また、385mΩ/mを上回る場合には、差動信号の電圧低下が顕著に生じ、これが通信エラーの原因となってしまうからである。
【0022】
導体の上記条件に関し、導体を例えばSn−Cu合金からなるものとしたのは、上記導体抵抗を満足させつつリサイクル性に配慮することが可能になるからである。また、錫の含有率を0.2〜1.5wt%としたのは、錫の含有率が0.2wt%を下回る場合、引張強度や耐屈曲性などの機械的特性に影響を来してしまうからである。また、錫の含有率が1.5wt%を上回る場合には、環境特性(リサイクル性)に配慮することができなくなってしまう可能性があるからである。Snは0.2〜0.5が好ましい。廃導体の主なリサイクル用途はトロリー線(0.3Sn−Cu)であり、Sn含有率が0.3wt%と相違する程、リサイクル性を阻害するからである。
【0023】
導体の上記条件に関し、導体の導電率を35〜80%IACSとしたのは、導電率が35%IACSを下回る場合、差動信号の電圧低下が顕著に生じ、これが通信エラーの原因となってしまうからである。また、導電率が80%IACSを上回る場合には、リンギング収束の効果が得られなくなってしまうからである。
【0024】
本発明は、上記条件の導体を備えて絶縁線心を形成することにより、車両内情報伝送用電線1としてリンギング収束の効果や通信エラー低減の効果を従来よりも高めることができるようになっている。また、機械的特性を満足させ、リサイクル性も良好にすることができるようになっている。特に、自動車用電線の細径軽量化の要請に伴い導体公称断面積が0.22sq以下の絶縁電線及びこれからなる撚り合わせ線心に好適である。
【0025】
以下、導体の上記条件の妥当性に関して表1及び表2を参照しながら具体的に説明する。尚、表1中の実施例1〜5及び表2中の実施例6は上記条件に該当しているものとする。表1はSn−Cu合金及びこの関連の材料でまとめてある。一方、表2はSn−Cu合金(非Sn系)でない材料でまとめてある。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
実施例1は、錫の含有率が0.2wt%となる0.2wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が165mΩ/mとなる導体である。また、導電率が80%IACSとなる導体である。実施例1は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率が上記条件を満足することから、通信信頼性が良くなり「○」の評価をしている。また、リサイクル性も良好になり「◎」の評価をしている。また、車両内配索時の断線の生じ易さの判断として耐屈曲性も良くなり「○」の評価をしている(耐屈曲性が良いことから、機械的特性も良好になる)。また、導体押出成形時の断線の生じ易さの判断として、引張強度が基準の310MPa以上となる350MPaであることから、機械的特性も良好となる。この他、実施例1は、材料がSn−Cu合金でありMg系合金でないことから、MgOが発生することはない。従って、導体伸線時の破断の原因となるMgOの発生がないことから、導体製造性が良くなり「○」の評価をしている。
【0029】
実施例2は、錫の含有率が0.3wt%となる0.3wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が175mΩ/mとなる導体である。また、導電率が75%IACSとなる導体である。実施例2は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率が上記条件を満足することから、通信信頼性が良くなり「○」の評価をしている。また、リサイクル性も良好になり「◎」の評価をしている。また、耐屈曲性も良くなり「○」の評価をしている(耐屈曲性が良いことから、機械的特性も良好になる)。また、引張強度が390MPaであることから、機械的特性も良好となる。この他、実施例2は、材料がMg系合金でないことから、導体製造性が良くなり「○」の評価をしている。
【0030】
実施例3は、錫の含有率が0.5wt%となる0.5wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が205mΩ/mとなる導体である。また、導電率が65%IACSとなる導体である。実施例3は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率が上記条件を満足することから、通信信頼性が良くなり「○」の評価をしている。また、リサイクル性も良好になり「◎」の評価をしている。また、耐屈曲性も良くなり「○」の評価をしている(耐屈曲性が良いことから、機械的特性も良好になる)。また、引張強度が415MPaであることから、機械的特性も良好となる。この他、実施例3は、材料がMg系合金でないことから、導体製造性が良くなり「○」の評価をしている。
【0031】
実施例4は、錫の含有率が0.7wt%となる0.7wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が220mΩ/mとなる導体である。また、導電率が60%IACSとなる導体である。実施例4は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率が上記条件を満足することから、通信信頼性が良くなり「○」の評価をしている。また、リサイクル性も良くなり「○」の評価をしている。また、耐屈曲性も良くなり「○」の評価をしている(耐屈曲性が良いことから、機械的特性も良好になる)。また、引張強度が440MPaであることから、機械的特性も良好となる。この他、実施例4は、材料がMg系合金でないことから、導体製造性が良くなり「○」の評価をしている。
【0032】
実施例5は、錫の含有率が1.5wt%となる1.5wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が385mΩ/mとなる導体である。また、導電率が35%IACSとなる導体である。実施例5は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率が上記条件を満足することから、通信信頼性が良くなり「○」の評価をしている。また、リサイクル性は上記よりもやや劣るが問題なく「△」の評価をしている。また、耐屈曲性は良くなり「○」の評価をしている(耐屈曲性が良いことから、機械的特性も良好になる)。また、引張強度が490MPaであることから、機械的特性も良好となる。この他、実施例5は、材料がMg系合金でないことから、導体製造性が良くなり「○」の評価をしている。
【0033】
実施例6は、Cu−Cr−Zr合金(析出強化型銅合金であり、組成はCr:0.3wt%、Zr:0.1wt%、その他不純物)からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が170mΩ/mとなる導体である。また、導電率が78%IACSとなる導体である。実施例6は、導体抵抗及び導電率が上記条件を満足することから、通信信頼性が良くなり「○」の評価をしている。また、リサイクル性は良好で「◎」の評価をしている(主な用途はPHCトロリー線として知られ、新幹線用架線に用いられつつある)。また、耐屈曲性はやや劣るが問題なく「△」の評価をしている。また、引張強度が560MPaであることから、機械的特性は良好となる。また、導体製造性は「○」の評価をしている。
【0034】
上記実施例1〜6に対する比較として、比較例1は、錫の含有率が6.0wt%となる6.0wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が1225mΩ/mとなる導体である。また、導電率が11%IACSとなる導体である。比較例1は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率の全てが上記条件を満足しないことから、通信信頼性やリサイクル性や耐屈曲性は悪く「×」の評価をしている。また、この結果をふまえて導体製造性も「×」の評価をしている。引張強度は850MPaであることから機械的特性は良好となる。
【0035】
比較例2は、錫の含有率が0.15wt%となる0.15wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が150mΩ/mとなる導体である。また、導電率が85%IACSとなる導体である。比較例2は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率の全てが上記条件を満足しないが、通信信頼性や耐屈曲性はレベル的にやや劣る「△」の評価をしている。リサイクル性は特に問題なく普通であることから「○」の評価をしている。引張強度は320MPaであることからこの点での機械的特性は良好となる。この他、比較例2は、材料がMg系合金でないことから、導体製造性が良くなり「○」の評価をしている。
【0036】
比較例3は、錫の含有率が0.2wt%となり且つMgの含有率が0.1wt%となる0.1wt%Mg−0.2wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が190mΩ/mとなる導体である。また、導電率が70%IACSとなる導体である。比較例3は、導体抵抗、錫の含有率、及び導電率が上記条件を満足するがMgを含有している。比較例3では、通信信頼性は「○」の評価をしている。リサイクル性は「×」の評価をしている。耐屈曲性はMgを含有する影響で悪くなり「×」の評価をしている。引張強度は390MPaであることからこの点での機械的特性は良好となる。導体製造性はMgを含有する影響で悪くなり「×」の評価をしている。
【0037】
比較例4は、錫の含有率が0.15wt%となり且つMgの含有率が0.05wt%となる0.05wt%Mg−0.15wt%Sn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が180mΩ/mとなる導体である。また、導電率が75%IACSとなる導体である。比較例4は、導体抵抗及び導電率が上記条件を満足するが錫の含有率が上記条件を満足しない。また、Mgを含有している。比較例4では、通信信頼性は「○」の評価をしている。リサイクル性は「△」の評価をしている。耐屈曲性はMgを含有する影響で悪くなり「×」の評価をしている。引張強度は370MPaであることからこの点での機械的特性は良好となる。導体製造性はMgを含有する影響で悪くなり「×」の評価をしている。
【0038】
比較例5は、亜鉛の含有率が35wt%となる35wt%Zn−Cu合金からなる導体であるとともに、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が500mΩ/mとなる導体である。また、導電率が27%IACSとなる導体である。比較例5は、Sn−Cu合金でなくZn−Cu合金からなる導体であり、導体抵抗や導電率の条件も満足しないことから、通信信頼性やリサイクル性や耐屈曲性や導体製造性は「×」の評価をしている。引張強度は700MPaであることから機械的特性は良好となる。
【0039】
比較例6は、純アルミからなる導体であり、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が220mΩ/mとなる導体である。また、導電率が61%IACSとなる導体である。比較例6では、通信信頼性は「○」の評価をしている。リサイクル性は「×」の評価をしている。耐屈曲性は「×」の評価をしている。引張強度は170MPaであることから機械的特性は悪くなる。導体製造性は「○」の評価をしている。
【0040】
比較例7は、アルミ合金からなる導体であり、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が250mΩ/mとなる導体である。また、導電率が53%IACSとなる導体である。比較例7では、通信信頼性は「○」の評価をしている。リサイクル性は「×」の評価をしている。耐屈曲性は「×」の評価をしている。引張強度は250MPaであることから機械的特性は悪くなる。導体製造性は「○」の評価をしている。
【0041】
比較例8は、比較例7と同様にアルミ合金からなる導体であり、標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が265mΩ/mとなる導体である。また、導電率が52%IACSとなる導体である。比較例8では、通信信頼性は「○」の評価をしている。リサイクル性は「×」の評価をしている。耐屈曲性は「×」の評価をしている。引張強度は310MPaであることからこの点での機械的特性は良好となる。導体製造性は「○」の評価をしている。
【0042】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の車両内情報伝送用電線の一実施の形態を示す図であり、各電装ユニットを車両内情報伝送用電線で接続した状態の概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 車両内情報伝送用電線
2 コネクタ
3 電装ユニット
4 コネクタ
5 車載バス駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅基合金からなり標準温度20℃で公称断面積0.13sq換算時の導体抵抗が165〜385mΩ/mとなる導体を備える絶縁線心を複数心撚り合わせてなる
ことを特徴とする車両内情報伝送用電線。
【請求項2】
請求項1に記載の車両内情報伝送用電線において、
前記導体はSn−Cu合金であって錫含有率を0.2〜1.5wt%とした
ことを特徴とする車両内情報伝送用電線。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両内情報伝送用電線において、
前記導体の導電率を35〜80%IACSとした
ことを特徴とする車両内情報伝送用電線。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の車両内情報伝送用電線を、導体材料組成に基づいて他の構成部材より分離回収した後、導電材料として再生する
ことを特徴とする導電材料の再生方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−245742(P2009−245742A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90770(P2008−90770)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】