説明

車両前照灯,照明装置及びその放熱部材

【課題】 本発明は、高い放熱性能を備え、容易に且つ低コストで構成され得るようにした放熱部材そして車両前照灯及び照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 LED光源11の放熱を行なうために、LED光源の基板11aが熱的に接続される基台部15aと、この基台部から互いにほぼ平行に突出する薄板状の複数個の放熱フィン15bから成るLED光源用の放熱部材15であって、上記基台部15aと各放熱フィン15bが互いに別体に構成されており、上記基台部15aが、鍛造または鋳造により形成されていて、上記各放熱フィン15bが、薄板材料から曲げ加工により形成されるように、放熱部材15を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLED素子を使用したLED光源を備えた車両前照灯及び照明装置と、そのLED光源を放熱するための放熱部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白色LEDの高出力化,高輝度化に伴って、LEDランプの利用範囲が表示灯から照明装置へと拡大しつつあり、車両用灯具においても、より大光量が要求される車両前照灯への白色LEDの利用が検討されている。
このような白色LEDは、一般的には、例えば青色LEDチップ(InGaN)と、例えばYAG等の青色光に励起されて黄色光に波長変換する蛍光体との組合せにより、これらの青色光と黄色光の混色によって、擬似的に白色光を得るようにしている。
また、青色LEDチップと、緑色及び赤色または橙色の蛍光体との組合せによる白色LEDや、紫外LEDチップと、RGB蛍光体との組合せによる白色LEDも既に開発されている。
【0003】
白色LEDにより車両前照灯に必要な光量,光度を実現するためには、高出力型の白色LEDを使用して、一つのLEDチップあたり、1W〜5W程度の電力を投入する必要がある。そして、投入電力のうち、80〜90%程度が熱に変換されるため、LEDチップは非常に熱密度の高い状態となり、通常200℃を超える高温になってしまう。
【0004】
ところで、白色LEDは、温度上昇に伴って発光効率が低下する。これにより、その寿命が短くなってしまうという特性を有している。このため、高出力型の白色LEDを使用する際には、LEDチップ接合部の所謂ジャンクション温度を100℃以下の温度に抑制することが望ましい。
従って、白色LEDを車両前照灯の光源として使用する場合、発生する熱を拡散させ、効率良く放熱することにより、ジャンクション温度及び蛍光体温度を低下させる必要がある。
【0005】
これに対して、車両前照灯として使用する場合には、車両前照灯は自動車のエンジンルーム内に設置されることから、周囲にエンジンやバッテリ等の発熱源が多く、エンジンルーム内の温度は常に例えば70℃〜90℃程度の高温になっている。従って、高出力型の白色LEDを使用するために良好な環境とはいいがたい。
このため、エンジンルーム内でも比較的低温で利用できるようにした、放熱機構を備えた車両前照灯が知られている。
【0006】
このような車両前照灯は、例えば図17に示すように、構成されている。
図17において、車両前照灯1は、LED光源2と、反射面3と、投影レンズ4と、シャッタ5と、を含んでいる。
【0007】
上記LED光源2は、基板2a上に実装された少なくとも一つのLED2bを備えており、基板2aの後方(図17にて右方)の領域が反射面3に対して支持されている。
そして、各LED2bは、その光軸が、光出射方向後方に向かって斜め上に向くように、配置されている。
さらに、上記LED光源2は、その基板2aが、放熱部材2cに対して熱的に接続されるように、取り付けられている。
【0008】
ここで、上記放熱部材2cは、図18に示すように、例えば多数の放熱フィン2dを備えたヒートシンク等として構成されている。
そして、このような放熱部材2cは、通常、アルミダイカスト等の鋳造や押し出し成形により、形成されている。
【0009】
上記反射面3は、LED光源2の発光点付近を第一焦点(後側の焦点)F1とし且つ長軸が光照射方向前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0010】
上記投影レンズ4は、凸レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に配置されている。
これにより、上記投影レンズ4は、反射面3から光照射方向前方に向かって進む反射光を集光し、光照射方向前方に向かって投影するようになっている。
【0011】
上記シャッタ5は、遮光性材料から構成されており、その上端5aが、上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に配置されている。
【0012】
このような構成の車両前照灯1によれば、LED光源2に対して外部から給電されることにより、各LED2bが駆動され、発光する。
そして、各LED2bから出射した光は、反射面3で反射して、反射面3の第二の焦点F2に向かって進み、投影レンズ4により集束されて、光照射方向前方に向かって照射される。
その際、シャッタ5により光の一部が遮断されることにより、カットオフラインが形成され、すれ違いビームの配光パターンが形成されるようになっている。
【0013】
この場合、LED光源2の個々のLED2bの発光に伴って熱が発生するが、この熱は、LED光源2から上記放熱部材2cに伝達され、この放熱部材2cから周囲を流れる空気流により放熱され、放熱部材2cそしてLED光源2が空冷されるようになっている。
これにより、LED光源2の各LED2bが比較的低温、例えば95℃程度に維持され得るので、各LED2bが比較的高い発光効率で発光し、高輝度の照射光を前方に向かって出射するようになっている。
【0014】
また、複数のLEDランプユニットを備えた車両前照灯も知られており、例えば図19に示すように構成されている。
図19において、車両前照灯6は、前面が開放した樹脂製の筐体6aと、この筐体6a内に設けられたLEDランプユニット7,8と、筐体6aの前面を覆うように筐体6aに取り付けられた透光性樹脂材料から成る前面レンズ6bと、から構成されている。
【0015】
上記LEDランプユニット7は、実装基板7a上に実装された少なくとも一つのLED7bを含んでおり、前方に向かって光を出射するように、放熱部材7cに対して支持されている。
さらに、上記LEDランプユニット7は、各LED7bから出射する光をそれぞれ前方に向かって反射・集束させる反射面7dと、投影レンズ7eと、シャッタ7fと、を備えている。
ここで、上記反射面7d,投影レンズ7e及びシャッタ7fは、それぞれ前述した反射面3,投影レンズ4及びシャッタ5と同様に構成され、配置されている。
【0016】
また、上記LEDランプユニット8は、実装基板8a上に実装された少なくとも一つのLED8bを含んでおり、前方に向かって光を出射するように、放熱部材8cに対して支持されている。
さらに、上記LEDランプユニット8は、各LED8bから出射する光をそれぞれ前方に向かって反射・集束させる反射面8dを備えている。
ここで、上記反射面8dは、放物面系反射面とて構成されており、その焦点位置付近にLED8bが配置されている。
【0017】
上記放熱部材7c,8cは、前述した放熱部材2cと同様にして、多数の放熱フィンを備えたヒートシンク構造を有している。
【0018】
このような構成の車両前照灯6によれば、LEDランプユニット7,8に対して外部から給電することにより、上記LEDランプユニット7,8の各LED7b,8bが駆動され、発光する。
そして、上記LEDランプユニット7,8から出射した光が、上記前面レンズ6bを介して前方に向かって照射される。
【0019】
この場合、LEDランプユニット7,8内の個々のLED7b,8bの発光に伴って熱が発生するが、この熱は、LEDランプユニット7,8から上記放熱部材7c,8cに伝達され、この放熱部材7c,8cから筐体2内を流れる空気流に放熱され、放熱部材7c,8cそしてLED7b,8bが空冷されるようになっている。
これにより、LEDランプユニット7,8内の個々のLED7b,8bが比較的低温、例えば95℃程度に維持され得るので、各LED7b,8bが比較的高い発光効率で発光し、高輝度の照射光を前方に向かって出射するようになっている。
【0020】
これに対して、特許文献1には、ハウジング内にて、LEDが実装される基板の裏面を放熱面として構成し、これらの放熱面に放熱フィンを備えた車両用灯具が開示されている。
このような構成の車両用灯具によれば、LEDで発生した熱は、基板の放熱面から放熱フィンを介してハウジング内に放熱されるようになっている。
【0021】
また、特許文献2には、ハウジングの少なくとも一部に設けられた放熱部と、ハウジング内のLED光源とをヒートパイプで熱的に接続した車両用灯具が開示されている。
このような構成の車両用灯具によれば、LEDで発生した熱は、ヒートパイプを介して放熱部に伝達され、この放熱部から外部に放熱されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−150036号
【特許文献2】特開2006−164967号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ところで、このようなLED光源を使用した車両前照灯においては、例えば図19に示すように、複数個のLEDランプユニット7,8を使用することによって、光学制御部を小型化することができる。このため、通常のHID(High Intensity Discharge)光源等を利用した車両用灯具と比較して、灯体の薄型化や、多様な灯体デザインの要求に対応することができる。 また、白色LEDからの光には、赤外光成分が含まれていないことから、輻射による熱伝達が他の種類の光源と比較して極めて小さい。従って、反射面(リフレクタ)やレンズ等の光学部品を樹脂化することが可能であり、灯具全体の軽量化やコスト低減が容易に実現可能である。
【0023】
しかしながら、上記の灯具にあってはLED光源のための放熱構造が必要となる。
このような放熱構造は、一般的にはヒートシンク構造の放熱部材により構成されており、以下のような条件、即ち高い放熱性能を維持しながら小型軽量であること、多様なデザインに対応できる柔軟な設計の自由度を有すること、光学性能を成立させるだけの寸法精度があること、そして低コストで製造できること、という条件を満たす必要があった。
【0024】
これに対して、ヒートシンク構造の放熱部材は、前述したように、一般的には鋳造や押し出し成形によって形成された放熱フィンを有している。
【0025】
従って、例えばアルミダイカストによる鋳造の場合には、低コストで自由度の高い形状を得ることが可能である。しかしながら、鋳造時の材料(主としてアルミニウム)の粘性に基づく湯流れや離型性の問題があるため、形状的な制約が多かった。特に、放熱性能を左右する最も重要な放熱フィンの長さ及び厚さに対する制約が大きく、長さについては40〜50mm程度、厚さについては1.0mm程度の限界があった。
【0026】
さらに、鋳造のアルミヒートシンクでは、アルミニウム材料の種類に関する制約も大きく、例えば熱伝導率の高いA1000系,A6000系の材料の利用ができないことから、不純物が多く、熱伝導率が純アルミニウムの半分以下であるADC12という種類のアルミニウム材料が一般的に使用されている。このため、放熱部材の放熱性能が低下してしまう。
これに対して、最近では、熱伝導率が高い鋳造可能なアルミニウム材料も開発されているが、このような材料は、まだ材料コストが高く、しかも材料粘性が高いことから、形状に関する制約が大きすぎるため、放熱部材としての利用は進んでいない。
【0027】
また、押し出し成形の場合には、形状の自由度が小さく、例えば図19に示すような放熱部材7c,8cのような場合には、光源としてのLEDランプユニット7,8を取り付けるための複雑な形状を、切削等による後加工により形成する必要があり、製造コストが増大してしまう。さらに、鋳造の場合と同様に、放熱フィンの長さや厚さに制約があることから、筐体内の限られたスペース内において、所望の放熱性能を得たり、軽量化を図ることが困難であった。
【0028】
さらに、放熱部材を鍛造により形成する方法もあるが、鋳造や押し出し成形の場合と同様にして、材料や、放熱フィンの長さ,厚さに制約があるため、放熱性能が鋳造の場合と同程度になってしまう。
【0029】
これに対して、特許文献1による車両用灯具においては、同様にLEDが実装される基板の裏面に対して、複数個の別体の放熱フィンを取り付けることにより、LEDで発生する熱を放熱フィンを介して放熱するようになっているが、放熱フィンは、単に板状の放熱フィンを複数枚並べた構成になっており、上述した車両前照灯1,6における放熱部材の放熱フィンと同様の放熱性能を得られるにすぎず、できるだけ高い放熱性能を得るようには構成されていない。
【0030】
また、特許文献2による車両用灯具においては、LEDで発生する熱をヒートパイプを介して筐体の少なくとも一部を構成する放熱部に伝達して、外部に放熱することにより、LEDから放熱部への熱伝達性を高めるようになっているが、放熱部自体の放熱性能を高めるようには構成されていない。
【0031】
本発明は、以上の点から、高い放熱性能を備え、容易に且つ低コストで構成され得るようにした、放熱部材そして車両前照灯及び照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的は、本発明によれば、LED光源の放熱を行なうために、LED光源の基板が熱的に接続される基台部と、この基台部から互いにほぼ平行に突出する薄板状の複数個の放熱フィンから成るLED光源用の放熱部材であって、上記基台部と各放熱フィンが互いに別体に構成されており、上記基台部が、鍛造または鋳造により形成されていて、上記各放熱フィンが、薄板材料から曲げ加工により形成されていることを特徴とする、放熱部材により、達成される。
【0033】
本発明による放熱部材は、好ましくは、上記基台部と各放熱フィンがロウ付けにより互いに接合されている。
【0034】
本発明による放熱部材は、好ましくは、各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる長さを有している。
【0035】
本発明による放熱部材は、好ましくは、各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる厚さを有している。
【0036】
本発明による放熱部材は、好ましくは、各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる間隔を有している。
【0037】
本発明による放熱部材は、好ましくは、上記基台部が、鍛造または鋳造の際に同時に一体に形成される第二の放熱フィンを備えている。
【0038】
本発明による放熱部材は、好ましくは、上記基台部の一部が、他の部分に対して20度以上の角度で傾斜している。
【0039】
本発明による放熱部材は、好ましくは、上記基台部が、LED光源を含む光学系の光軸に対して20度以上の角度で傾斜している。
【0040】
本発明による放熱部材は、好ましくは、上記各放熱フィンが、アルミニウムまたは銅から成る。
【0041】
本発明による放熱部材は、好ましくは、上記基台部が、液体及び気体の相変化を利用した放熱構造を有している。
【0042】
また、上記目的は、本発明の第二の構成によれば、光照射方向前方に向かって光を照射するように配置されたそれぞれ少なくとも一つのLED素子を有する少なくとも一つのLED光源と、上記LED光源が熱的に接続される熱伝導性材料から成る放熱部材と、を含んでいる車両前照灯において、上記放熱部材が、上述した何れかの構成による放熱部材であることを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
【0043】
さらに、上記目的は、本発明の第三の構成によれば、光照射方向に向かって光を照射するように配置されたそれぞれ少なくとも一つのLED素子を有する少なくとも一つのLED光源と、上記LED光源が熱的に接続される熱伝導性材料から成る放熱部材と、を含んでいる照明装置において、上記放熱部材が、上述した何れかの構成による放熱部材であることを特徴とする、照明装置により、達成される。
【発明の効果】
【0044】
上記構成によれば、上記放熱部材の基台部に対してLED光源が熱的に接続された状態にて、LED光源に対して外部から給電が行なわれることにより、LED光源の個々のLEDが駆動され、発光する。そして、LED光源から光照射方向に対して出射することになる。
上記LED光源の個々のLEDで発生した熱は、LED光源の基板から放熱部材の基台部を介して放熱フィンに伝達され、放熱フィンから放熱される。これにより、上記LED光源の個々のLEDが冷却され、各LEDのジャンクション温度及び蛍光体温度が低下される。これにより、各LEDの発光効率の低下が抑制され得ることになる。
【0045】
この場合、上記放熱部材の基台部と各放熱フィンが互いに別体に構成され、好ましくは互いにロウ付けにより接合されており、上記基台部が鍛造または鋳造により形成される。これにより、上記基台部に関しては、低コストで自由度の高い形状が得られることになる。
【0046】
また、上記放熱フィンが薄板材料から曲げ加工により形成される。これにより、上記放熱フィンに関しては、従来の鍛造または鋳造による放熱フィンの場合と比較して、長さや厚さが制約されるようなことはなく、所望の長さ及び厚さの放熱フィンが容易に形成され、放熱効率が向上する。
このようにして、本発明による放熱部材によれば、高い放熱性能を備えることができる。また本発明による放熱部材は、軽量化がなされ、多様なデザインに対応可能であり、また光学性能を成立させ得るだけの寸法精度が確保され得、さらに低コストで製造され得ることになる。
【0047】
さらに、例えば基台部を共通部品化して、フィン形状の異なる複数種類の放熱フィンを用意しておくことにより、適宜の種類の放熱フィンを基台部と組み合わせることにより、異なる車種のための車両前照灯を構成することができる。
従って、共通部品化によって、多車種への展開が可能になるので、放熱部材のコストが低減され得ることになる。
【0048】
各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる長さまたは厚さを有し、または各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる間隔を有している場合には、例えば車両前照灯の灯体内のような限られた形状の空間内に収容する場合に、この空間を有効に利用して、高い放熱性能が得られることになる。
【0049】
上記基台部が、鍛造または鋳造の際に同時に一体に形成される第二の放熱フィンを備えている場合には、基台部に設けられた第二の放熱フィンを介しても放熱が行なわれることになり、放熱性能がより一層向上することになる。
【0050】
上記基台部の一部が他の部分に対して20度以上の角度で傾斜している場合、または上記基台部がLED光源を含む光学系の光軸に対して20度以上の角度で傾斜している場合には、放熱フィンの間の間隙が上方に向かって斜めに延びることになり、放熱フィンの放熱による空気の自然対流に関して煙突効果が得られることになり、この煙突効果によって放熱性能が向上することになる。
【0051】
上記各放熱フィンが、アルミニウムまたは銅から成る場合には、各放熱フィンがそれぞれ高い熱伝導効果を備えることになり、放熱性能がより一層向上することになる。
【0052】
上記基台部が液体及び気体の相変化を利用した放熱構造を有している場合には、基台部を例えばベーパチャンバやヒートパイプ等を利用して構成することによって、基台部自体の放熱性能がより一層向上することになる。
【0053】
さらに、本発明の第二及び第三の構成によれば、上述した放熱部材を備えることにより、放熱性能の高く、しかも全体として小型軽量化され得る車両前照灯及び照明装置が構成され得ることになる。
【0054】
従って、例えば図17に示した放熱部材と同様の放熱性能を得るためには、放熱部材は、2/3〜1/2程度まで軽量化することができ、放熱部材そして車両前照灯や照明装置が軽量化され得る。また、同じ大きさの放熱部材では、従来の1.1倍〜1.3倍程度の放熱性能を得ることができる。
【0055】
このようにして、本発明によれば、高い放熱性能を備えた、容易に且つ低コストで構成され得るようにした、放熱部材そして車両前照灯及び照明装置が提供され得ることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図16を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0057】
[実施例1]
図1は、本発明による放熱部材を備えた車両前照灯の第一の実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、LED光源11と、反射面12と、投影レンズ13と、シャッタ14と、放熱部材15と、を含んでいる。
【0058】
上記LED光源11は、基板11a上に実装された少なくとも一つのLED11bを備えており、基板11aの後方(図1にて右方)の領域が反射面12に対して支持されている。
そして、各LED11bは、その光軸が、光出射方向後方に向かって斜め上に向くように、基板11aが後方で下がるように所定の傾斜角で傾斜して配置されている。この傾斜角は、好ましくは20度以上の角度に選定されている。
さらに、上記LED光源11は、その基板11aが、放熱部材15に対して熱的に接続されるように、取り付けられている。
【0059】
上記反射面12は、LED光源11の発光点付近を第一焦点(後側の焦点)F1とし且つ長軸が光照射方向前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0060】
上記投影レンズ13は、凸レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に配置されている。
これにより、上記投影レンズ13は、反射面12から光照射方向前方に向かって進む反射光を集光し、光照射方向前方に向かって投影するようになっている。
【0061】
上記シャッタ14は、遮光性材料から構成されており、その上端14aが、上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に配置されている。
【0062】
上記放熱部材15は、図2に示すように、基台部15aと、複数個の放熱フィン15bと、から構成されており、上述したLED光源11の基板11aの傾斜に従って、同様に傾斜して配置されている。
これらの基台部15a及び各放熱フィン15bは、互いに別体に構成されており、ロウ付けにより互いに熱的に接続されている。
【0063】
上記基台部15aは、アルミニウム,銅等の熱伝導性の高い材料から、例えば鋳造または鍛造により形成されている。
これにより、上記基台部15aは、容易に、低コストで自由度の高い形状を備えることが可能になる。この場合、放熱フィン15bが別体であることから、上記基台部15aは、特に鋳造の際の材料の粘性に基づく湯流れ,離型性等の問題により形状が制約されるようなことはなく、また熱伝導率の高いアルミニウムであるA1000系やA6000系の材料を使用することができる。従って、高い放熱性能が得られることになる。
【0064】
上記放熱フィン15bは、アルミニウム,銅等の熱伝導性の高い薄板材料から曲げ加工により形成されている。
これにより、上記放熱フィン15bは、その長さ,厚さや高さ、そして間隔が任意に選定され得る。これにより、高い放熱性能を容易に得ることが可能である。
【0065】
上記放熱フィン15bは、図1及び図2においては、その長さ方向(図2にて矢印A方向)に関して、三分割されており、各部15c,15d,15eが、それぞれ高さ方向(図2にて矢印B方向)に異なる寸法を有している。
尚、上記放熱フィン15bは、図17に示した従来の車両前照灯1における放熱部材と同様に、図3に示すように、全体が同じ高さを有するように形成されていてもよい。
【0066】
このような構成の車両前照灯10によれば、LED光源11に対して外部から給電されることにより、各LED11bが駆動され、発光する。
各LED11bから出射した光は、反射面12で反射して、反射面12の第二の焦点F2に向かって進み、投影レンズ13により集束されて、光照射方向前方に向かって照射される。
その際、シャッタ14により光の一部が遮断されることにより、カットオフラインが形成され、すれ違いビームの配光パターンが形成されるようになっている。
【0067】
この場合、LED光源11の個々のLED11bの発光に伴って熱が発生するが、この熱は、LED光源11から上記放熱部材15の基台部15aに伝達され、この基台部15aから各放熱フィン15bに伝達され、これらの放熱フィン15bから、周囲を流れる空気流に放熱され、放熱部材15そしてLED光源11が空冷される。これにより、各LED11bのジャンクション温度及び蛍光体温度が低下するので、各LED11bの発光効率の低下が抑制され得ることになる。
【0068】
その際、上記放熱部材15の個々の放熱フィン15bは、基台部15aと別体に薄板材料の曲げ加工により形成されている。これにより、所望の長さ,厚さや高さそして間隔を備えることができ、より高い放熱性能を備えることになる。
また、上記放熱フィン15bは、LED光源11の基板11aの傾斜に対応して傾斜して配置されている。このため、各放熱フィン15bの間に画成されるダクトも同様に傾斜して配置されることになる。これにより、個々のダクト内で放熱フィン15bからの放射熱により加熱された空気が自然対流により流れるとき、煙突効果によって、高い放熱性能が得られることになる。
従って、上記LED光源11の各LED11bが、比較的低温、例えば95℃程度に確実に維持され得る。これにより、各LED11bが高い発光効率で発光し、高輝度の照射光を光照射方向前方に向かって出射することができる。
【0069】
[実施例2]
図4は、本発明による放熱部材を備えた車両前照灯の第二の実施形態の構成を示している。
図4において、車両前照灯20は、前面が開放した樹脂製の筐体21と、この筐体21内に設けられたLED光源としてのLEDランプユニット22,23と、筐体21の前面を覆うように筐体21に取り付けられた透光性樹脂材料から成る前面レンズ24と、放熱部材25,26と、を含んでいる。
【0070】
上記LEDランプユニット22は、実装基板22a上に実装された少なくとも一つのLED22bを含んでおり、前方に向かって光を出射するように、放熱部材25に対して支持されている。
さらに、上記LEDランプユニット22は、各LED22bから出射する光をそれぞれ前方に向かって反射・集束させる反射面22dと、投影レンズ22eと、シャッタ22fと、を備えている。
ここで、上記反射面22d,投影レンズ22e及びシャッタ22fは、それぞれ前述した反射面12,投影レンズ13及びシャッタ14と同様に構成され、配置されている。
【0071】
また、上記LEDランプユニット23は、実装基板23a上に実装された少なくとも一つのLED22bを含んでおり、前方に向かって光を出射するように、放熱部材26に対して支持されている。
さらに、上記LEDランプユニット23は、各LED23bから出射する光をそれぞれ前方に向かって反射・集束させる反射面23dを備えている。
ここで、上記反射面23dは、放物面系反射面として構成されており、その焦点位置付近にLED23bが配置されている。
【0072】
上記放熱部材25,26は、前述した放熱部材15と同様にして、それぞれ図5に示すように、基台部25a,26aと、この基台部25a,26aと別体に形成され、対応する基台部25a,26aに対してロウ付けにより熱的に接続された複数の放熱フィン25b,26bと、から構成されている。
【0073】
この場合も前述した放熱部材15a,16aと同様にして、上記基台部25a,26aは、アルミニウム,銅等の熱伝導性の高い材料から、例えば鋳造または鍛造により形成されており、上記放熱フィン25b,26bは、アルミニウム,銅等の熱伝導性の高い薄板材料から曲げ加工により形成されている。
従って、上記基台部25a,26aは、容易に、低コストで自由度の高い形状を備える。また、これにより、高い放熱性能を備えることになる。また、上記放熱フィン25b,26bは、その長さや厚さ、そして間隔が任意に選定され得る。これにより、高い放熱性能を容易に得ることが可能である。
【0074】
この場合、上記放熱フィン25b,26bは、それぞれ図4及び図5に示すように、その長さ方向(図5にて矢印A方向)に関して、二分割されており、各部25c,25d及び26c,26dが、それぞれ高さ方向(図5にて矢印B方向)に異なる寸法を有している。
尚、上記放熱フィン25b,26bは、図17に示した従来の車両前照灯1における放熱部材と同様に、図6に示すように、全体が同じ高さを有するように形成されていてもよい。
さらに、上記放熱部材26の基台部26aは、そのLEDランプユニット23の実装基板23aが取り付けられる部分の裏側に、第二の放熱フィン26eを備えている。
この第二の放熱フィン26eは、基台部26aの鋳造または鍛造による製造の際に、同時に形成されるようになっている。
【0075】
このような構成の車両前照灯20によれば、LEDランプユニット22,23に対して外部から給電することにより、上記LEDランプユニット22,23の各LED22b,23bが駆動され、発光する。
上記LEDランプユニット22,23から出射した光が、上記前面レンズ24を介して光照射方向前方に向かって照射される。
【0076】
この場合、LEDランプユニット22,23内の個々のLED22b,23bの発光に伴って熱が発生するが、この熱は、LEDランプユニット22,23から上記放熱部材25,26の基台部25a,26aに伝達され、この基台部25a,26aから各放熱フィン25b,26b,26eに伝達され、これらの放熱フィン25b,26bから周囲を流れる空気流に放熱され、空気の自然対流の煙突効果によって、放熱部材25,26そしてLED22b,23bが空冷されるようになっている。
これにより、LEDランプユニット22,23内の個々のLED22b,23bのジャンクション温度及び蛍光体温度が低下する。これにより、各LED22b,23bの発光効率の低下が抑制され得ることになる。
【0077】
その際、上記放熱部材25,26の個々の放熱フィン25b,26bは、基台部25a,26aと別体に薄板材料の曲げ加工により形成されている。このため、所望の長さ,高さや厚さそして間隔を備えることになり、より高い放熱性能を備えている。
例えば、放熱フィン25b,26bは、その厚さを例えば0.1mm程度まで薄くすることができる。これにより、放熱フィン25b,26bの枚数を増大させることができ、容易に放熱性能を高めることが可能である。
【0078】
さらに、放熱フィン25b,26bは、折り加工により形成される。このため、その基台部25a,26aとは反対側の先端にて、一つおきに、放熱フィン25b,26bを連結するブリッジ部が形成されることになり、放熱フィン25b,26bの表面積がより増大することにより、放熱性能が高められ得る。
また、車両前照灯20の筐体21の形状に合わせて、放熱フィン25b,26bを部分的に異なる高さに設定することができる。このため、筐体21内における放熱フィン25b,26bのレイアウトに関して、自由度が大きくなる。
従って、上記LEDランプユニット22,23の各LED22b,23bが、比較的低温、例えば95℃程度に確実に維持され得る。これにより、各LED22b,23bが高い発光効率で発光し、高輝度の照射光を光照射方向前方に向かって出射することができる。
【0079】
上述した車両前照灯20において、下方のLEDランプユニット23に取り付けられる放熱部材26については、基台部26aが水平方向即ち車両前照灯の光軸方向に対して傾斜して固定保持されていることにより、放熱フィン26bによる空気通路が水平方向から20度以上傾斜して、図示の場合にはほぼ垂直方向に延びている。これにより、図5にて矢印Cで示すように、自然対流による煙突効果が生ずることになり、放熱性能がより一層向上することになる。
また、上記放熱部材26は、その基台部26aの表面に、さらに第二の放熱フィン26eを備えている。この放熱フィン26eは、基台部26aが鋳造または鍛造等により形成される際に、同時に形成される。
これにより、放熱部材26による放熱性能がより一層高められることになる。
【0080】
さらに、上述した車両前照灯20においては、放熱フィン25b,26bが二分割され、段状に配置されていることから、その段差の領域にて、放熱フィン25b,26bからの空気が、図5にて矢印で示すように、段階的に外部に放出される。
従って、放熱部材25,26の基台部25a,26aの全体がより均一に放熱されることになり、基台部25a,26a全体における温度分布がより均一になる。
【0081】
図7及び図8は、上述した車両前照灯20における放熱部材25,26の第一の変形例の構成を示している。
図7において、放熱部材25,26は、その放熱フィン25b,26bが、長さ方向に関して二分割されており、各分割部分が、互いに横方向に、個々の放熱フィン25b,26bの間隔の半分程度だけずれて配置されている。
このような構成の放熱部材25,26によれば、放熱フィン25b,26bの間を流れる空気は、一般的には図9(A)に示すように、煙突効果によって所謂層流となるが、上述したように上下の分割部分が互いにずれる。このため、図9(B)に示すように、上下の分割部分の境界付近にて、乱流となる。
これにより、放熱フィン25b,26bの表面に接触する空気が増大することになり、放熱性能がより一層向上することになる。
【0082】
図10は、上述した車両前照灯20における放熱部材25,26の第一の変形例の構成を示している。
図10において、放熱部材25,26は、その放熱フィン25b,26bが、長さ方向に関して二分割されており、分割された上方部分が、上に向かって斜め左に所定の傾斜角で傾斜するように、配置されている。この場合、上記傾斜角は、好ましくは20度以上の角度に選定されている。
【0083】
このような構成の放熱部材25,26によれば、放熱フィン25b,26bの間を流れる空気は、一般的には図9(A)に示すように、煙突効果により上方に向って流れる空気流が、放熱フィン25b,26bの上方部分の傾斜に従って、横方向に誘導されることになる。
これにより、放熱部材25,26の放熱方向を制御することができる。これにより、熱の発生源であるLED光源が複数個配置されている場合に、各LED光源の相互の熱的影響が抑制され得ることになる。
【0084】
図11及び図12は、図4に示した車両前照灯20におけるLEDランプユニット23のための放熱部材26の変形例を示している。
図11及び図12において、放熱部材26は、その放熱フィン26bが、長さ方向に関して三分割されており、各部が、それぞれ高さ方向に異なる寸法を有することにより、階段状の外形を備えている。
【0085】
このような階段状の外形を備えることによって、LEDランプユニット22の放熱部材25の下方の比較的狭い空間内において、放熱部材26は、できるだけ大きな放熱面を備えた放熱フィン26bを有することになり、より高い放熱性能を得ることができる。
【0086】
上述した車両前照灯10及び20においては、放熱部材15,25,26の基台部15a,25a,26aが、水平方向に対して傾斜して配置されていることにより、各放熱部材15b,25b,26bの間に画成されるダクトが傾斜して配置される。これにより、この傾斜による空気の自然対流による煙突効果が生じて、放熱性能が向上するようになっている。
このようなダクト傾斜による放熱性能を、シミュレーションにより、図3による放熱部材15の基台部15aの傾斜角を種々に変更した場合について実験したところ、図13に示すような結果が得られた。
即ち、基台部の傾斜角を0度,20度,45度,90度と変化させた場合に、LED光源直下,基台部15a,放熱フィン15b及び放熱部材15の上方の空気の温度は、図13にそれぞれ符号T1,T2,T3,T4で示すように、傾斜角が大きいほど放熱性能による冷却効果が大きいことが分かった。
即ち、傾斜角20度で約3%,傾斜角45度で約5%そして傾斜角90度で約10%だけ、放熱性能が向上することが確認できた。
【0087】
図14は、図7に示した放熱部材の変形例を示している。
図14において、放熱部材25,26は、その放熱フィン25b,26bが長さ方向に関して二分割されており、各分割部分が、互いに横方向に、個々の放熱フィン25b,26bの間隔だけずれて配置されている。
このような構成の放熱部材25,26によれば、放熱フィン25b,26bの間を流れる空気は、上下の分割部分の境界付近にて、各放熱フィン25b,26bの間のダクトのうち、下方の最も左のダクトを流れる空気が外部に放出される。また、上方の最も右のダクトを流れる空気が外部から取り込まれることになる。
これにより、上方部分及び下方部分のダクトを流れる空気を分離誘導することによって、下方部分のダクトを流れる空気の温度による上方部分のダクトにおける放熱性能への影響が抑制され得ることになる。
【0088】
図15は、図7に示した放熱部材の変形例を示している。
図15において、放熱部材25,26は、その放熱フィン25b,26bが長さ方向に関して三分割されており、各分割部分のうち、中央部分が、下方に向かって左方に傾斜することにより、下方部分の上端から完全に外れるように、配置されている。
このような構成の放熱部材25,26によれば、放熱フィン25b,26bの間を流れる空気は、下方部分のダクト上端から放出される空気流が、中央及び上方部分のダクト内に進入せず、また中央部分のダクト内には外部の比較的低温の空気が導入され得ることになる。
これにより、上方部分及び下方部分のダクトを流れる空気を分離誘導することによって、下方部分のダクトを流れる空気の温度による上方部分のダクトにおける放熱性能への影響が抑制され得ることになる。
【0089】
図16は、図7に示した放熱部材の変形例を示している。
図16において、放熱部材25,26は、その放熱フィン25b,26bが長さ方向に関して三分割されており、各分割部分のうち、中央部分が、上方に向かって左方に傾斜する。このため、上方部分の下端から完全に外れるように、配置されている。
このような構成の放熱部材25,26によれば、放熱フィン25b,26bの間を流れる空気は、下方部分のダクト上端から放出される空気流が、中央部分のダクトを通って左方に誘導される。このため、上方部分のダクト内に進入せず、また上方部分のダクト内には外部の比較的低温の空気が導入され得ることになる。
これにより、上方部分及び下方部分のダクトを流れる空気を分離誘導することによって、下方部分のダクトを流れる空気の温度による上方部分のダクトにおける放熱性能への影響が抑制され得ることになる。
【0090】
上述した実施形態においては、LED光源11またはLEDランプユニット22,23を使用した車両前照灯10,20について説明したが、これに限らず、LED光源を使用した他のLEDランプ、特に照明装置に関して、そのLED光源に対して熱的に接続される放熱部材に本発明を適用し得ることは明らかである。
また、図4に示した車両前照灯20においては、放熱部材25,26は、それぞれLEDランプユニット22,23に対して設けられているが、これに限らず、双方のLEDランプユニット22,23に対して、共通の一つの放熱部材が設けられていてもよい。
【0091】
また、上述した実施形態においては、上記放熱部材15,25,26の基台部15a,25a,26aは、例えばアルミニウム,銅等の熱伝導性の高い材料から構成されているが、これに限らず、液体及び気体の相変化を利用した放熱構造、例えばヒートパイプやベーパチャンバ等を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明による放熱部材15,25,26は、それぞれ車両前照灯10,20のLED光源を放熱するようになっているが、これに限らず、他の種類の車両用灯具やLEDランプ、例えば照明装置のためのLED光源を放熱するためにも利用することができる。
【0093】
このようにして、本発明によれば、高い放熱性能を備え、容易に且つ低コストで構成され得るようにした、極めて優れた放熱部材そして車両前照灯及び照明装置が提供され得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明による車両前照灯の第一の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両前照灯における放熱部材を示す概略斜視図である。
【図3】図2の放熱部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明による車両前照灯の第二の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図5】図4の車両前照灯における放熱部材を示す概略斜視図である。
【図6】図5の放熱部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図7】図5の放熱部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図8】図7の放熱部材を示す平面図である。
【図9】図7の放熱部材におけるダクト内を流れる空気流を示す説明図である。
【図10】図5の放熱部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図11】図4の車両前照灯における下方の放熱部材の変形例を示す概略側面図である。
【図12】図11の放熱部材を示す概略斜視図である。
【図13】図3の放熱部材における傾斜角と各部の温度のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図14】図5の放熱部材の放熱フィンの変形例を示す概略断面図である。
【図15】図5の放熱部材の放熱フィンの変形例を示す概略断面図である。
【図16】図5の放熱部材の放熱フィンの変形例を示す概略断面図である。
【図17】従来のLEDによる車両前照灯の一例の構成を示す概略断面図である。
【図18】図17の車両前照灯における放熱部材を示す概略斜視図である。
【図19】従来のLEDによる車両前照灯の他の例の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0095】
10,20 車両前照灯
11 LED光源
12 反射面
13 投影レンズ
14 シャッタ
15 放熱部材
15a 基台部
15b 放熱フィン
21 筐体
22,23 LEDランプユニット(LED光源)
24 前面レンズ
25,26 放熱部材
25a,26a 基台部
25b,26b 放熱フィン
26e 第二の放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源の放熱を行なうために、LED光源の基板が熱的に接続される基台部と、この基台部から互いにほぼ平行に突出する薄板状の複数個の放熱フィンから成るLED光源用の放熱部材であって、
上記基台部と各放熱フィンが互いに別体に構成されており、
上記基台部が、鍛造または鋳造により形成されていて、
上記各放熱フィンが、薄板材料から曲げ加工により形成されている
ことを特徴とする、放熱部材。
【請求項2】
上記基台部と各放熱フィンがロウ付けにより互いに接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項3】
各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる長さを有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の放熱部材。
【請求項4】
各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる厚さを有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の放熱部材。
【請求項5】
各放熱フィンのうち、一部の放熱フィンが、他の放熱フィンと異なる間隔を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の放熱部材。
【請求項6】
上記基台部が、鍛造または鋳造の際に同時に一体に形成される第二の放熱フィンを備えていることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の放熱部材。
【請求項7】
上記基台部の一部が、他の部分に対して20度以上の角度で傾斜していることを特徴とする、請求項1から6の何れかに記載の放熱部材。
【請求項8】
上記基台部が、LED光源を含む光学系の光軸に対して20度以上の角度で傾斜していることを特徴とする、請求項1から7の何れかに記載の放熱部材。
【請求項9】
上記各放熱フィンが、アルミニウムまたは銅から成ることを特徴とする、請求項1から8の何れかに記載の放熱部材。
【請求項10】
上記基台部が、液体及び気体の相変化を利用した放熱構造を有していることを特徴とする、請求項1から9の何れかに記載の放熱部材。
【請求項11】
光照射方向前方に向かって光を照射するように配置されたそれぞれ少なくとも一つのLED素子を有する少なくとも一つのLED光源と、上記LED光源が熱的に接続される熱伝導性材料から成る放熱部材と、を含んでいる車両前照灯において、
上記放熱部材が、請求項1から10の何れかによる放熱部材であることを特徴とする、車両前照灯。
【請求項12】
光照射方向に向かって光を照射するように配置されたそれぞれ少なくとも一つのLED素子を有する少なくとも一つのLED光源と、上記LED光源が熱的に接続される熱伝導性材料から成る放熱部材と、を含んでいる照明装置において、 上記放熱部材が、請求項1から10の何れかによる放熱部材であることを特徴とする、照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−59965(P2008−59965A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237171(P2006−237171)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】