説明

車両周辺の画像を用いた運転支援装置

【課題】運転者が車両周辺の状況を把握しやすい運転支援装置を提供する。
【解決手段】運転支援装置10は、運転支援装置ECU11と、撮像装置12と、障害物検知装置13と、表示装置18と、警告手段19と、を備える。運転支援装置ECU11は、撮像装置12によって撮像された周辺画像31と、運転を支援するガイド画像32aとを取得する。運転支援装置ECU11は、障害物検知装置13が障害物33を検知した場合、ガイド画像32aを表示装置18に表示せずに周辺画像31を表示するとともに、障害物33が検知されたことを警告手段19によって運転者に知らせる。障害物検知装置13が障害物33を検知しない場合、ガイド画像32aと周辺画像31とを表示装置18に重畳表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両周辺の画像を表示装置に表示することによって、運転者を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の運転支援装置の一つとして、車両の後方を撮影するカメラによって撮影された映像をモニタに表示するとともに、ハンドルの操舵角に連動した車両の予想軌跡を示すガイド表示をカメラによって撮影された映像に重畳させてモニタに表示する技術が開示されている。ガイド表示は、車両の予想軌跡及び車両からの距離目安線を含む。この構成によれば、車両の後退時に後方の映像と車両の予想後退軌跡とがモニタに表示されるため、運転者は後方を目視することに加えてモニタ画面を参考にして後退することができて便利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−180405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイド表示が現在のハンドルの操舵角の場合において車両が進行する予想軌跡を示す一方で、カメラによって撮影された映像にガイド表示が重畳表示されることによって、運転者はガイド表示によって車両の外部映像が見えづらくなる。特に、障害物が車両の近傍にある時に、ガイド表示が車両外部の映像に重畳表示されると、ガイド表示が障害物と重なって運転者は障害物を見えづらくなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされた発明であり、その目的の一つは車両周辺の画像を表示することによって、運転者が車両周辺の状況を把握しやすい運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明にかかる運転支援装置は、車両周辺を撮像する撮像装置と、撮像された周辺画像と該周辺画像に重畳表示する運転支援のためのガイド画像とを表示する表示装置と、を備え、前記周辺画像に応じて前記ガイド画像の表示様態の変更をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者が車両周辺の状況を把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態にかかる運転支援装置の概要を示す図である。
【図2】運転支援装置を作動させるための制御フローチャートを示す図である。
【図3】ディスプレイに車両周辺の画像とガイド画像を重畳表示させた図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるディスプレイを示す図である。
【図5】本発明の変形例にかかるディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態にかかる運転支援装置について説明する。
【0010】
はじめに、本発明の実施形態にかかる運転支援装置の構成を、図1を参照して説明する。図1に示すように、実施形態にかかる運転支援装置10は、運転支援装置ECU11と、カメラ12と、対物センサ13と、ステアリングホイール14と、舵角センサ15と、軌跡演算手段16と、警告生成手段17と、ディスプレイ18と、スピーカ19と、を備える。
【0011】
運転支援装置ECU11は、周知のマイクロコンピュータを含む電気回路である。車両支援装置ECU11は、カメラ12と、対物センサ13と、軌跡演算手段16と、警告生成手段17と、ディスプレイ18と、スピーカ19と、電気信号を送受信して電子制御するようになっている。運転支援装置ECU11は、後述するように軌跡演算手段16で演算した予測進路の軌跡と車両からの所定距離を示す距離目安線とを組み合わせたガイド画像を表示するか否か、或いは、ガイド画像の透過率或いは形状を変更するか否かを判断するようになっている。
【0012】
カメラ12は、車両周辺の画像を撮像するための撮像装置である。カメラ12は、衝突防止装置に用いられる単眼カメラ又は複眼カメラと共用で使われてもよく、例えばCCD或いはCMOS撮像素子等を備えているカメラが挙げられる。
【0013】
対物センサ13は、超音波、レーザ又は電波を用いて車両周辺の障害物を検知する障害物検知装置である。例えば、クリアランスソナーやミリ波レーダ等が挙げられる。
【0014】
ステアリングホイール14は、車両の進行方向を変化させる操舵装置である。
【0015】
舵角センサ15は、ステアリングホイール14の切り角を検出する操舵角検出装置である。
【0016】
軌跡演算手段16は、舵角センサ15で検出したステアリングホイール14の切り角から、車両の予想進路の軌跡を演算する手段である。
【0017】
警告生成手段17は、スピーカ19から発する警告音を生成する手段である。警告生成手段17は、ディスプレイ18に表示する文字又は対物センサ13で検知した障害物の強調表示する表示記号を生成してもよい。
【0018】
ディスプレイ18は、車両支援装置ECU11を介してカメラ12が撮像した画像等を表示する表示装置であり、ヘッドアップディスプレイ(HUD)であってもよい。ディスプレイ18は、カーナビゲーション画面を表示する表示装置と共用してもよく、設置位置は、インストルメントパネル、ダッシュボード又はダッシュボード上が挙げられる。
【0019】
スピーカ19は、電気信号を物理振動に変えて、音を生み出す警告装置であり、警告生成手段17で生成された警告音を発するようになっている。スピーカ19は、カーナビゲーション用の音声案内装置に代用されてもよい。
【0020】
次に、運転支援装置10を制御する際の作動について図2に示す制御フローチャートを参照して説明する。
【0021】
運転者は例えば後方または縦列駐車するために、運転者が目視で確認することができない車両に隠れた位置を確認したい場合がある。このとき、運転者がシフトレバーをDレンジからRレンジに操作すると、運転支援プログラムが開始されステップ210に進む。運転支援装置ECU11は、ステップ210においてカメラ12で撮像した車両周辺の周辺画像を取得する。周辺画像の一つとして、図3に示した周辺画像31がある。
【0022】
運転支援装置ECU11は、ステップ220に進み、軌跡演算手段16が演算した車両の予想進路の軌跡と車両からの所定距離を示す距離目安線とを組み合わせたガイド画像を取得する。ガイド画像32aはステアリングホイール13に連動しており、図3に示すように、ステアリングホイール13を右に切っている場合、右に湾曲するように生成される。距離目安線は、所定距離(例えば、車両から50cmの距離及び1mの距離等)に設定され、車速センサに応じて所定距離を変化させてもよい。
【0023】
運転支援装置ECU11は、ステップ230に進み、対物センサ13が障害物を検知したか否かを監視する。図3に示すように、対物センサ13が障害物33を検知した場合、運転支援装置ECU11は、ステップ240に進む。
【0024】
運転支援装置ECU11は、警告生成手段17が生成した警告情報を取得する。警告情報34は、例えば、図4に示すように、ディスプレイ18に「車両周辺を直接確認してください」のように、運転者に対して文章で表示してもよいし、障害物33を強調表示するように丸で囲う等してもよい。また、スピーカ19から「ピーピー音」或いは「注意してください」等の警告音を発して運転者に注意を促すようにしてもよい。
【0025】
運転支援装置ECU11は、ステップ250に進み、図4に示すように、ガイド画像32aを表示させずに、ステップ240で取得した警告情報34を周辺画像31とともにディスプレイ18に表示させる。
【0026】
一方、運転支援装置ECU11は、ステップ230において、障害物を検知しない場合、ステップ260に進む。運転支援装置ECU11は、ステップ220において取得したガイド画像32aをディスプレイ18に表示した車両の周辺画像31に重畳表示させる。
【0027】
従来の運転支援装置は、図3に示すように、障害物33が映っている車両の周辺画像31をディスプレイ18に表示し、更にガイド画像32aを周辺画像31に重畳させてディスプレイ18に表示させる。このように表示すると、障害物33の上からガイド画像32aが表示されてしまい、障害物33がガイド画像32aと重なる。障害物33がガイド画像32aと重なってしまうことで、運転者は障害物33を見えづらくなってしまうことが起こる場合がある。
【0028】
一方、本発明の実施形態のように、障害物を検知した場合、ディスプレイ18にガイド画像32aを表示させず、警告情報34を表示することによって、運転者は障害物があることをいち早く認識することができる。また、障害物を検知しない場合、ガイド画像32aを周辺画像31に重畳表示させることによって、運転者は運転しやすくなる。
【0029】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、運転者は車両周辺の状況を把握することで運転しやすくなる。
【0030】
なお、上述した実施形態では運転支援装置10の制御の場合について説明したが、上述した運転支援装置10に限られず、車両周辺の状況に応じてディスプレイの表示方法を変更する等の制御であればガイド画像32aを表示させない以外の任意の方法を採用しうる。
【0031】
例えば、上記実施形態においては、運転支援装置10は運転者がシフトレバーをDレンジからRレンジに操作すると、運転支援プログラムが開始されるとしたが、例えば、ディスプレイやインストルメントパネル等に設置された図示しない運転支援装置開始のスイッチを押すことによって開始するようにしてもよい。
【0032】
更に、上記実施形態においては、例として後方または縦列駐車するために運転支援装置10が使用されるとしたが、車両が前進している場合の前方カメラによる運転支援の場合でもよい。例えば、前進時における対向車両とすれ違うとき又は駐車時における切り替えしの際の車両前方を確認するときでもよい。
【0033】
更に、上記実施形態においては、障害物33を検知した場合、ガイド画像32aを表示させないようにするが、図5のガイド画像32bのように表示様態を変更してもよい。例えば、ガイド画像32aの透過率を低くする、或いは実線表示を破線表示にする又は線の太さを細くする等の形状を変更することが挙げられる。このようにすることで、実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0034】
更に、上記実施形態においては、1つのカメラ12が撮像した画像をディスプレイ18に表示させるが、複数のカメラを用いて撮像した1種類又は2種類以上の画像をディスプレイ18に表示させてもよい。例えば、複数のカメラを用いて撮像した画像として、車両上方から俯瞰した俯瞰画像が挙げられる。
【0035】
更に、上記実施形態においては、カメラ12が車両の周辺画像を撮像し、対物センサ13が障害物を検知しているが、カメラ12が車両の周辺画像を撮像し、かつ、周辺画像の画像処理をすることによって障害物を検知するようにしてもよい。すなわち、対物センサが必要なく、カメラ12のみを備えるだけでよい。
【符号の説明】
【0036】
10…運転支援装置、11…運転支援装置ECU、12…カメラ、13…対物センサ、18…ディスプレイ、19…スピーカ、31…周辺画像、32a・32b…ガイド画像、33…障害物、34…警告情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を撮像する撮像装置と、
撮像された周辺画像と該周辺画像に重畳表示する運転支援のためのガイド画像とを表示する表示装置と、を備え、
前記周辺画像に応じて前記ガイド画像の表示様態の変更をする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
車両周辺に障害物があるか否かを検知する障害物検知装置を更に備え、
前記障害物に応じて前記ガイド画像の表示様態の変更をする運転支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置であって、
前記ガイド画像の表示様態の変更は前記ガイド画像の消去である運転支援装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置であって、
前記ガイド画像の表示様態の変更は前記ガイド画像の透過率或いは形状の変更である運転支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の運転支援装置であって、
運転者に対して注意を促す警告手段を更に備え、
前記障害物を検知すると運転者に対して警告する運転支援装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の運転支援装置であって、
前記撮像装置は複数の撮像装置であり、
前記表示装置は複数の周辺画像を表示する表示装置である運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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