説明

車両室内照明灯

【課題】実装部の剥がれを防止して照射対象面を確実に照らすことが可能な車両室内照明灯を提供する。
【解決手段】実装部23はレンズ15により押さえ込まれ、また、レンズ15も筒状部14のレンズ当接部16により押さえ込まれることから、実装部23の剥がれを防止することができる。従って、実装部23の剥がれ防止により、照射対象面をLED21からの光で確実に照らすことができる。実装部23の剥がれを防止することにより、実装部23がベース2側に密着するようになることから、電子部品等からの発熱を効率よくベース2側に伝えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の室内に設けられ、スイッチ操作により点灯、消灯が切り替わる車両室内照明灯に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント基板上に照明用光源を実装するとともに、これを筐体内に収容してなる車両室内照明灯としては、例えば下記特許文献1に開示された技術が知られている。具体的には、照明用光源と、この照明用光源を実装する部分としての実装部を有するフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板を収容する筐体と、照明用光源に対し車両室内側に配設されるレンズと、を含んで従来の車両室内照明灯は構成されている。フレキシブルプリント基板における実装部は、筐体を構成するベースに設けられた支持プレートに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術にあっては、実装部の固定状態が悪いと、この実装部が支持プレートから剥がれ(めくれ)てしまうという可能性を有している。仮に剥がれが生じた場合、実装部には照明用光源が実装されることから、照射対象面を照明用光源からの光で確実に照らすことは困難になってしまうことになる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、実装部の剥がれを防止して照射対象面を確実に照らすことが可能な車両室内照明灯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の車両室内照明灯は、車両室内照明用の光源と、該光源を実装する実装部を有するFPCと、該FPCを固定するベース及び該ベースに嵌合して車両室内側に位置する意匠部を有する筐体と、前記光源に対し前記車両室内側に配設されるレンズと、を含む車両室内照明灯において、前記ベース及び前記実装部に、該実装部の位置決めをするための位置決め部を形成する一方、前記レンズに、前記ベースと共に前記実装部を挟持する挟持部及び前記意匠部側に配設される被当接部を形成し、さらに、前記意匠部に、前記被当接部に当接するレンズ当接部を形成する
ことを特徴とする。
【0007】
このような特徴を有する本発明によれば、筐体を構成するベースと、レンズの一部分として形成される挟持部との間に、光源を実装した実装部が挟み込まれる。レンズは、筐体におけるベース及び意匠部の嵌合の際に、意匠部に形成されたレンズ当接部により押圧される。これらにより、実装部の剥がれは防止される。
【0008】
請求項2記載の本発明の車両室内照明灯は、請求項1に記載の車両室内照明灯において、前記レンズ及び前記ベースに、これらを固定するための固定部を形成することを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、ベース及び意匠部の嵌合前にレンズがベースに固定される。実装部はこの時点で狭持される。レンズは、意匠部のレンズ当接部により押圧されると、ベースに対する固定状態がより確実になる。つまり、実装部の挟持状態は確実に維持される。
【0010】
請求項3記載の本発明の車両室内照明灯は、請求項1又は請求項2に記載の車両室内照明灯において、前記実装部又は前記ベースに、互いを密着させるための接着部を設けることを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、接着部により実装部及びベースは互いに密着し合う。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された本発明によれば、実装部の剥がれを防止することができるという効果を奏する。従って、照射対象面を確実に照らすことができるという効果を奏する。
【0013】
請求項2、3に記載された本発明によれば、より確実に実装部の剥がれを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の車両室内照明灯を車両室内側から見た図である。
【図2】本発明の車両室内照明灯の分解斜視図である。
【図3】図1の要部断面図である。
【図4】ベース側の構成に係る斜視図である。
【図5】図4のA部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
FPCにおける光源の実装部をレンズにて押さえ込む。また、レンズを筐体における意匠部にて押さえ込む。
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の車両室内照明灯を車両室内側から見た図である。また、図2は車両室内照明灯の分解斜視図、図3は要部断面図、図4はベース側構成の斜視図、図5は要部拡大図である。
【0017】
図1及び図2において、本発明の車両室内照明灯1は、図示しない車両の室内に設けられてスイッチ操作により点灯、消灯が切り替わるものであって、ベース2及び意匠部3を有する筐体4と、この筐体4に設けられる左側光源部5、右側光源部6、及び中央光源部7とを含んで構成されている。本発明は、左側光源部5及び右側光源部6の部分に特徴を有している。尚、左側光源部5及び右側光源部6は、図示しない照射対象面を照らす向きが異なるだけで同じ構成及び構造になっている。筐体4は、合成樹脂製のベース2及び意匠部3を嵌合させて所定の内部空間を有するように形成されている。
【0018】
図3ないし図5において、ベース2は浅底の部材であって、薄型で柔軟性を有するFPC8(フレキシブルプリント基板)を収容固定することができるように形成されている。ベース2の内面側における引用符号9は突起部を示している。この突起部9は、FPC8の後述する実装部23を所定の向きに傾けて位置決め配置をするための部分として形成されている。
【0019】
突起部9は、左側光源部5及び右側光源部6の位置に合わせてそれぞれ配置形成されている。突起部9には、後述する実装部23の位置決めに用いられる一対の壁10及び位置決め突起11が形成されている(図5参照)。尚、位置決め突起11の数や配置は一例であるものとする。本形態において、一対の壁10の端部は、後述するレンズ15を固定するための固定部として機能するように形成されている(固定方法は特に限定しないものとする。例えば接着や係止構造による固定方法が一例として挙げられるものとする)。
【0020】
ベース2における引用符号12は放熱板一体型コネクタを示している。また、引用符号13は意匠部3との嵌合の際に用いられる嵌合部を示している。嵌合部13は、略爪状の突起となるように形成されている。
【0021】
図1ないし図3において、意匠部3は、車両室内側に位置する所謂ベゼルであって、左側光源部5及び右側光源部6に対応する各位置には、上記照射対象面に向く筒状部14が形成されている。筒状部14は、ベース2及び意匠部3の嵌合の際に、この奥位置に配置されるレンズ15を押さえ込むことができるように形成されている。具体的には、レンズ15の後述する被当接部20に当接するレンズ当接部16を有するように筒状部14が形成されている。
【0022】
レンズ15は、凸状となるレンズ本体17と、このレンズ本体17の基端に周設される固定部18と、後述する実装部23を押さえ込むためにレンズ本体17の反対側に配置形成される挟持部19とを有している。固定部18における車両室内側の面は、意匠部3の筒状部14におけるレンズ当接部16が当接する被当接部20として形成されている。固定部18は、この脚状の部分(断面視脚状の部分)がベース2における一対の壁10の端部に固定されるようになっている。
【0023】
レンズ15は、ベース2及び意匠部3の嵌合前に、固定部18を介して予め一対の壁10の端部に固定されるようになっている。尚、この固定の際に、挟持部19はFPC8の後述する実装部23を押さえ込んで剥がれを防止するようになっている。言い換えれば、ベース2の突起部9と挟持部19とにより後述する実装部23を挟み込んで剥がれを防止するようになっている。挟持部19は、本形態において、突起形状に形成されている(実装部23を押さえ込むことができれば特に限定されないものとする)。
【0024】
剥がれ防止に関し、後述する実装部23と突起部9との間に接着部(図示省略。例えば両面テープが一例として挙げられるものとする)を配設することにより、実装部23及び突起部9がより一層互いに密着し合い剥がれ難くなるのは勿論である。接着部は、仮止め用としても有効であるものとする。
【0025】
図4及び図5において、FPC8は、ベース2の内面側形状に合わせて形成されており、所望の経路となる回路(図示省略)を有している。FPC8には、複数のLED21(特許請求の範囲に記載した光源に相当)と、同じく複数のスイッチ22とが実装されている。左側光源部5及び右側光源部6の位置に合わせて実装されるLED21は、FPC8における実装部23に実装されている。また、中央光源部7の位置に合わせて実装されるLED21は、FPC8における実装部24に実装されている。
【0026】
実装部23は、ベース2における突起部9の傾斜面において、上記位置決めや上記剥がれ防止の手段により固定されている(引用符号25は、位置決め突起11に対応する位置決め穴を示している)。実装部23は、この周囲にスリット26を形成することにより、突起部9の形状に対応して持ち上がるようになっている。実装部23は、本形態において、短冊形状に形成されている。
【0027】
実装部23は、突起部9に位置決め固定されると、この時、実装面が所定方向(図示しない照射対象面に対応する方向)を向くようになっている。このような実装部23は、この前方に配設されるレンズ15の挟持部19により押さえ込まれるようになっている。
【0028】
一方、実装部24は、上記のような持ち上がりのない平坦な部分であって、LED21が実装されている。本形態においては、実装部24のLED21の前方にもレンズ15が配設されている(実装部24もレンズ15により押さえ込まれる、剥がれが生じないようになっている)。
【0029】
スイッチ22は、点灯、消灯を切り替えるための部分であって、公知のものが用いられている(詳細な説明は省略するものとする)。スイッチ22は、図1に示すような意匠部3に配設されるスイッチノブ27、28を介して操作されるようになっている。
【0030】
左側光源部5及び右側光源部6は、突起部9、実装部23、LED21、及びレンズ15を含んで構成されている。
【0031】
意匠部3における引用符号29は、ベース2の嵌合部13に引っ掛かる被嵌合部を示している。被嵌合部29は、矩形貫通孔となる形状に形成されている。
【0032】
上記構成において、左側光源部5及び右側光源部6のいずれであっても、実装部23はレンズ15により押さえ込まれ、また、レンズ15も筒状部14のレンズ当接部16により押さえ込まれることから、実装部23の剥がれを防止することができる。従って、実装部23の剥がれ防止により、図示しない照射対象面をLED21からの光で確実に照らすことができるという効果を奏する。
【0033】
この他、実装部23の剥がれを防止することにより、実装部23がベース2側に密着するようになることから、図示しない電子部品等からの発熱を効率よくベース2側に伝えることができる。従って、放熱効率の高い車両室内照明灯1にすることができるという効果を奏する。
【0034】
尚、LDED21を実装した実装部24も、この前方に配設されるレンズ15により押さえ込まれるようになることから、上記同様の効果を奏する。
【0035】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1…車両室内照明灯
2…ベース
3…意匠部
4…筐体
5…左側光源部
6…右側光源部
7…中央光源部
8…FPC
9…突起部
10…壁(固定部、位置決め部)
11…位置決め突起(位置決め部)
12…放熱板一体型コネクタ
13…嵌合部
14…筒状部
15…レンズ
16…レンズ当接部
17…レンズ本体
18…固定部
19…挟持部
20…被当接部
21…LED(光源)
22…スイッチ
23、24…実装部
25…位置決め穴(位置決め部)
26…スリット
27、28…スイッチノブ
29…被嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内照明用の光源と、
該光源を実装する実装部を有するFPCと、
該FPCを固定するベース及び該ベースに嵌合して車両室内側に位置する意匠部を有する筐体と、
前記光源に対し前記車両室内側に配設されるレンズと、
を含む車両室内照明灯において、
前記ベース及び前記実装部に、該実装部の位置決めをするための位置決め部を形成する一方、
前記レンズに、前記ベースと共に前記実装部を挟持する挟持部及び前記意匠部側に配設される被当接部を形成し、
さらに、前記意匠部に、前記被当接部に当接するレンズ当接部を形成する
ことを特徴とする車両室内照明灯。
【請求項2】
請求項1に記載の車両室内照明灯において、
前記レンズ及び前記ベースに、これらを固定するための固定部を形成する
ことを特徴とする車両室内照明灯。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両室内照明灯において、
前記実装部又は前記ベースに、互いを密着させるための接着部を設ける
ことを特徴とする車両室内照明灯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate