説明

車両情報取得装置

【課題】故障診断コネクタに取付けて使用する車両情報取得装置において、故障診断コネクタに取付けて様々なデータを収集する際に、この収集したデータが指定した時間から所望の時間まで、例え受信側で受信できなくとも何処に蓄積しておくような蓄積手段を備えた車両情報取得装置を提供する。
【解決手段】車両情報取得装置は、車両のエンジン電子制御装置に備えられた故障診断コネクタに接続し、該故障診断コネクタからのデータを受信して、所定の機器、例えば、スマートフォンに無線で送信する機能を備えると共に前記受信したデータを別途設けた記憶手段に蓄積する蓄積手段を備えたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両情報取得装置に関し、詳しくは、車両に装備されている故障診断コネクタに取付けて使用するもので、コネクタ一体型無線接続タイプの車載端末であり、ナビゲーション、スマートフォン等の受信側の端末で車載端末からのデータを受信できないときでも車載端末側に車両からの様々なデータを蓄積する蓄積手段を備えた車両情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における車両情報取得装置として、所謂、故障診断コネクタに取付けて車両からの様々なデータを取出し解析することで車両の状態を診断したり或は取出したデータに基づいて燃費を計測するといった手法が一般的に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−170965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術で説明した車両情報取得装置においては、車両のエンジン電子制御装置に備えられた故障診断コネクタに取付けるとしても、その取付けた装置で収集した様々なデータを送る先の受信側が無い、または動作していない場合、連続したデータの収集ができないという問題がある。
【0005】
従って、故障診断コネクタに取付けて使用する車両情報取得装置において、故障診断コネクタに取付けて様々なデータを収集する際に、例え受信側で受信できなくとも何処に蓄積しておくような蓄積手段を備えた装置に解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の装置は、次に示す構成にすることである。
【0007】
(1)車両情報取得装置は、車両に備えられた故障診断コネクタに接続し、該故障診断コネクタからのデータを受信して、所定の機器に無線で送信する機能を備えると共に前記受信したデータを別途設けた記憶手段に蓄積する蓄積手段を備えたことである。
(2)前記所定の機器は、スマートフォンであることを特徴とする(1)に記載の車両情報取得装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る装置においては、故障診断コネクタに取付けると、車両に関する様々なデータを間断なく収集するために受信側で受信できないときがあってもその受信できなかったデータをメモリ等の記憶手段に蓄積しているために、データの欠落といった状態を回避して正確なデータの収集が可能となる。そのため、例えば、収集したデータを連続的に得ることが可能となり、継続的なデータを元にした分析等が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明に係る車両情報取得装置を示す略示的なブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本願発明に係る車両情報取得装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
本発明に係る車両情報取得装置は、図1に示すように、コネクタ42と一体型に作成されており、車両に備えられた故障診断コネクタ32に接続して、この故障診断コネクタ32からの様々なデータを受信すると共に、この受信したデータを無線でスマートフォン等の無線LAN機器61に送信するというものであり、特に受信した各種のデータを別途設けた記憶手段である走行データ記録用メモリ51に逐次蓄積するようにして、無線LAN機器61が無いときでもデータを保存し、後に無線LAN機器61が接続できた時に蓄積されていたデータをまとめて送信することで、正確なデータの収集を行うことができる機能を備えたところに特徴がある。
【0012】
エンジン電子制御装置11は、所謂、ECUであり、インジェクタやイグナイタ等の車載機器の動作を制御するものであり、このエンジン電子制御装置11は、回転数を測定する回転センサ12、空気量を測定するエアフロアセンサ13、冷却水温を測定する水温センサ14、スロットルバルブの開度を測定するスロットルセンサ15、排ガス中の酸素濃度を検出するOセンサ16、スタータモータを始動するスタータスイッチ17等の信号を入出力回路21を経由でCPU23のI/O24に入力し、これらの入力信号を基に、CPU23の演算処理部25がROM27に記憶された各種制御プログラムにしたがって、適宜データをRAM26に一時記憶させながら、エンジンにとって最適な噴射量、噴射タイミング、点火時期を計算し、インジェクタ18、イグナイタ19等の車載機器にI/O24、入出力回路21を経由して出力する。
【0013】
電源回路22は、外部の蓄電池であるバッテリとイグニッションSWを介して接続され、イグニッションSWがオンされるとバッテリからの電源が供給される。
【0014】
また、CPU23のシリアルI/O28は通信回路31経由でCAN/K−Lineに接続され、このCAN/K−Lineは故障診断コネクタ32に接続されている。
この故障診断コネクタ32には、CAN/K−Lineの接続の他に、バッテリからの電源が直に接続されている。
【0015】
故障診断コネクタ32に接続されたコネクタ42を介して様々なデータを受信することができる車両情報取得装置41は、コネクタ一体型無線接続タイプの車載端末であり、故障診断コネクタ32から出力されるエンジン回転数等の各種データを車両I/F回路43で受けて、その受けた各種データをCPU49で処理する。CPU49で処理された各種のデータは別途設けた記憶手段である走行データ記録用メモリ51に記録して蓄積されると同時に無線LANモジュール52を介して外部の無線LAN機器61であるスマートフォンに送信する。
尚、無線LAN機器61は、スマートフォンに限定されることなく、例えば、車載AV、ナビゲーション、ドライブレコーダ、デジタルタコグラフ、ゲーム機器、テレマ端末、計測器等でもよく、これらは無線LANモジュールを備え、各種のデータを処理するCPUが搭載されていることが必要である。
【0016】
CPU49は、電源回路44からの電力供給によって動作し、設定記憶用不揮発性メモリ48内の各種設定パラメータに応じてこの車両情報取得装置41の全体動作を制御する。この設定記憶用不揮発性メモリ48には、自動車メーカー、車種、通信方法、その他車両情報取得装置41の動作に必要な各種パラメータ等が格納されている。
【0017】
無線LANモジュール52は、無線LAN通信機能を構成するもので、アンテナを有し、無線LANに接続されて高速無線通信を行うもので、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。
【0018】
無線LAN機器61であるスマートフォンは、通信機能、電子メール機能、インターネット接続機能などのほか、無線LANモジュール63が搭載され、その構成要素であるCPU73は、二次電池を備えた電源部62からの電力供給によって動作し、記憶部67内の各種のプログラムに応じてこのスマートフォンの全体動作を制御する。この記憶部67は、ROM、RAMを有する構成で、そのプログラム領域には、たとえば、車両情報取得装置41で得られた様々な走行データを参酌して瞬間燃費、平均燃費、積算距離等を算出するためのプログラムが格納されている。
【0019】
無線通信部66は、アンテナに接続された送受信部の受信側から信号を取込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、スピーカ71から音声出力させる。また、無線通信部66は、マイク69から入力された音声データを取込み、送信ベースバンド信号に符号化したのちに送受信部の送信側に与えられたアンテナから送信出力させる。また、電子メール機能或はインターネット接続機能によって無線通信部66を介して受信取得した表示データは、高品位表示が可能なLCD(液晶表示装置)などの表示部64に与えられて表示出力される。また、無線LANモジュールから得られたデータをパケットデータとしてインターネット等で送信することも出来る。
【0020】
操作部65は、各種の操作キー、ポインティングデバイスなどを有し、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行う。CPU73は、操作部65からの操作入力信号に応じた処理を実行する。RTC(リアルタイムクロックモジュール)68は、時計部を構成するもので、CPU73は、RTC68から現在日時を取得する。報知部72は、スピーカ71、LED(発光ダイオード)、振動モータを備え、電話・メール着信時に駆動されて着信報知を行うほか、アラーム報知時にも駆動される。
【0021】
無線LANモジュール63は、無線LAN通信機能を構成するもので、アンテナを有し、無線LANに接続されて高速無線通信を行うものであり、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。
【0022】
以上のような構成からなる車両情報取得装置41を、エンジン電子制御装置11の故障診断コネクタ32にコネクタ42を差込んで接続する。するとエンジン電子制御装置11で得られた様々な各種のデータを故障診断コネクタ32を介して得ることができる。この各種のデータ、即ち、各種の走行データを無線LANモジュール52を介して無線LAN機器61であるスマートフォン側に送信すると共に記憶手段である走行データ記録用メモリ51に逐次蓄積する。このように、得られた各種の走行データをメモリに蓄積することで、スマートフォン側で受信できていなくとも、受信できていない分を補充等することが可能となる。一方、スマートフオン側では操作部65の操作により車両情報取得装置41からの各種の走行データを読み込むようにすると、無線LANモジュール63を介して車両情報取得装置41側から、走行データを受信できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
故障診断コネクタに取付けて使用する車両情報取得装置において、故障診断コネクタに取付けて様々なデータを収集する際に、例え受信側で受信できなくとも何処に蓄積しておくような蓄積手段を備えた車両情報取得装置を提供する。
【符号の説明】
【0024】
11 エンジン電子制御装置
12 回転センサ
13 エアフロセンサ
14 水温センサ
15 スロットルセンサ
16 O2センサ
17 スタータスイッチ
18 インジェクタ
19 イグナイタ
21 入出力回路
22 電源回路
23 CPU
24 I/O
25 演算処理部
26 RAM
27 ROM
28 シリアルI/O
31 通信回路
32 故障診断コネクタ
41 車両情報取得装置
42 コネクタ
43 車両I/F回路
44 電源回路
45 リセット回路
46 保護回路
47 RTC
48 設定記憶用不揮発生メモリ
49 CPU
51 走行データ記録用メモリ
52 無線LANモジュール
61 無線LAN機器
62 電源部
63 無線LANモジュール
64 表示部
65 操作部
66 無線通信部
67 記憶部
68 RTC
69 マイク
71 スピーカ
72 報知部
73 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた故障診断コネクタに接続し、該故障診断コネクタからのデータを受信して、所定の機器に無線で送信する機能を備えると共に前記受信したデータを別途設けた記憶手段に蓄積する蓄積手段を備えたことを特徴とする車両情報取得装置。
【請求項2】
前記所定の機器は、スマートフォンであることを特徴とする請求項1に記載の車両情報取得装置。

【図1】
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