説明

車両情報管理システム

【課題】アプリケーションを配信するプロバイダーに提供すべき車両情報を事前に選別する。
【解決手段】車両2から発信された車両情報を受信する基地局12と、基地局12より受信した車両情報を記憶するVIDB13、14と、VIDB13、14に記憶された車両情報を管理する中央管理部15とを有する情報管理システム6と、情報管理システム6から選択的に送信されてくる車両情報に基づいた各種アプリケーションを車両2へ配信するアプリケーション配信システム7とを備え、中央管理部15は、アプリケーション配信システム7に送信すべき車両情報を、アプリケーション配信システム7毎に設定されている選択基準に基づいて選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から取得した車両情報を管理し、これに基づいた各種アプリケーションを配信する車両情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、渋滞情報や交通規制などの車両の利便性を向上させる交通情報を路上で配信する車両情報配信システムが実用化されている(例えば、特許文献1、2参照。)。例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)では、VICS(登録商標)センターで編集、処理された交通情報を車両へリアルタイムに送信し、車両のカーナビゲーションがそれを受信して経路探索や目的地までの到着予想時間の算出等を行っている。
【0003】
しかしながら、VICS(登録商標)では、車両の識別、各種情報の配信、車両間通信、車両管理、カーナビゲーション等を始めとした新規な各種アプリケーションを他のプロバイダーが案出し、これを一般ユーザに提供したい場合もある。かかる場合には、各車両から送信されてくる車両情報を取得する必要があるが、係る車両情報は、プライバシーの問題、人格権の問題、その他セキュリティ面等から、プロバイダーに開示することなく保護すべき情報も含まれている。また、これに加えて犯罪捜査や道路交通の安全面等から、あらゆる情報を他のプロバイダーに渡してしまうことは大きな危険が付きまとうことになる。
【0004】
このため、プロバイダーに対して開示してもよい開示用情報と、プロバイダーに対して開示すべきない保護用情報を予め選別し、プロバイダーに開示すべき情報は次々に開示することにより、配信すべきコンテンツの充実化を図るとともに、セキュリティ保護の万全化を図る必要性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許6988032号公報
【特許文献2】米国特許7174243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、車両から取得した車両情報を管理し、これに基づいた各種アプリケーションを配信する車両情報管理システムにおいて、アプリケーションを配信するプロバイダーに提供すべき車両情報を事前に選別することが可能な車両情報管理システムに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る車両情報管理システムは、車両から発信された車両情報を受信する基地局と、上記基地局より受信した車両情報を記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された車両情報を管理する管理手段とを有する情報管理システムと、上記情報管理システムから選択的に送信されてくる車両情報に基づいた各種アプリケーションを上記車両へ配信するアプリケーション配信システムとを備え、上記管理手段は、上記アプリケーション配信システムに送信すべき車両情報を、上記アプリケーション配信システム毎に設定されている選択基準に基づいて選択することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る車両情報管理システムは、請求項1に係る発明において、上記情報管理システムは、上記記憶手段に記憶された上記車両情報に基づいて生成した管理情報を上記記憶手段に記憶させ、上記基地局は、当該記憶手段に記憶された管理情報を車両へ送信することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る車両情報管理システムは、車両から発信された車両情報を受信する基地局と、上記基地局より受信した車両情報を記憶する記憶手段と、上記基地局並びに上記記憶手段を管理する管理手段と、上記記憶手段から選択的に送信されてくる車両情報に基づいた各種アプリケーションを上記車両へ配信するアプリケーション配信システムとを備え、上記管理手段は、上記記憶手段に対して上記アプリケーション配信システムに送信すべき車両情報を、上記アプリケーション配信システム毎に設定されている選択基準に基づいて管理することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る車両情報管理システムは、請求項3に係る発明において、上記管理手段は、上記記憶手段に記憶された上記車両情報に基づいて生成した管理情報を上記記憶手段に記憶させ、上記基地局は、当該記憶手段に記憶された管理情報を車両へ送信することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る車両情報管理システムは、請求項1〜4のうち何れか1項記載の発明において、上記基地局は、上記記憶手段に記憶された上記車両情報を他の車両へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述した構成からなる本発明によれば、車両から取得した車両情報を管理し、これに基づいた各種アプリケーションを配信する車両情報管理システムにおいて、アプリケーションを配信するプロバイダーに対して開示してもよい開示用情報と、プロバイダーに対して開示すべきない保護用情報を予め選別し、プロバイダーに開示すべき情報は次々に開示することにより、配信すべきコンテンツの充実化を図るとともに、セキュリティ保護の万全化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した車両情報管理システムの構成図である。
【図2】車両に実装されたSVCDの構成例を示す図である。
【図3】車両側から送られる車両情報の例を示す図である。
【図4】データベースにおいて生成される管理情報の例を示す図である。
【図5】登録番号の例を示す図である。
【図6】本発明を適用した車両情報管理システムにおける動作例を示すフローチャートである。
【図7】SVCEFと情報管理システム等との間で通信を行う際の処理フローチャートである。
【図8】本発明を適用した車両情報管理システムにおける他の構成図である。
【図9】本発明を適用した車両情報管理システムにおける実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用した車両情報管理システム1の構成を示している。車両情報管理システム1は、道路上を走行し、SVCD(Smart Vehicular Communication Device)4が実装された車両2と、車両以外の情報端末3とに対して、アプリケーションを配信することを目的としたものであり、アンテナ11を有する基地局12_1・・・12_Nと、この基地局12・・・12_Nに接続された情報管理システム6と、基地局12・・・12_N並びに情報管理システム6に接続されたアプリケーション配信システム7とを備えている。
【0016】
この情報管理システム6には、分散VIDB(Vehicular Information Database)13_1・・・13_Nと、各分散VIDB13_1・・・13_Nに接続された中央VIDB14と、各分散VIDB13_1・・・13_N並びに中央VIDB14に接続された中央管理部15と、中央管理部15並びに中央VIDB14に接続されたデータフィルタ16とを備えている。
【0017】
この情報管理システム6には、データベース17と、交通管理部18と、交通調整部19と、車両メッセージ部20との間でデータの送受信が可能とされている。
【0018】
またアプリケーション配信システム7は、制御部30と、SPDB(Service Provider Database)28を備えるとともに、車両情報通信サービス23、地図情報サービス24と、車両特定サービス25と、車両メッセージサービス26と、車両管理サービス27と、ナビゲーションサービス29を実行するためのソフトウェア、手段を備えるか、或いはこのような各種サービスを行う手段と外部的に接続されている。
【0019】
上述した情報管理システム6は、例えば、交通情報や車両情報等を公的に管理する機関(特定の機関)において適用され、またアプリケーション配信システム7は、民間のプロバイダを想定しているが、これに限定されるものではない。
【0020】
車両2は、自動車、トラック、オートバイ等を始めとした道路上を走行するあらゆる車両を含む概念である。図2は、この車両2に実装されたSVCD4の構成例を示している。このSVCD4は、アンテナ41と、このアンテナ41に接続された増幅部42と、増幅部42に接続されたコミュニケーションモジュール43と、コミュニケーションモジュール43に対してインターフェース44を介して設けられたSVCEF(Smart Vehicular Communication Enabling Function)45と、このSVCEF45にそれぞれ接続されているプロトコルデータベース(プロトコルDB)55、カメラ46、車両IDストレージ47、メッセージプール48、スピードメータ49、GPS(Global Positioning System)50、制御部51、ユーザインターフェース52、UMDF(Unmanned Driving function)53とを備え、更にこのUMDF53に接続されたセンサ54を更に備えている。
【0021】
アンテナ41は、基地局11から送信されてきた電波を受信して電気信号とし、これを増幅部42へと出力する。またアンテナ41は、増幅部42から供給される電気信号を電波に変換してこれを基地局11へと送信する。
【0022】
増幅部42は、アンテナ41から入力される上記電気信号を増幅し、これをコミュニケーションモジュール43へと送信する。またこの増幅部42はコミュニケーションモジュール43からの電気信号をアンテナ41へと送る。
【0023】
コミュニケーションモジュール43は、実際に通信を行うための各種規定を管理するものである。このコミュニケーションモジュール43には、例えばGSM(Global System for Mobile Communications)やWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、IEEE等の各種通信規格に基づく通信を行う上で必要なソフトウェアがインストールされている。
【0024】
SVCEF45は、このSVCD4のコアであり、SVCD4の各ユニットを制御するいわゆる中央制御ユニットとしての役割を担う。
【0025】
プロトコルDB55は、通信プロトコルのうち特殊なものを記憶しておくデータベースである。実際にSVCEF45は、通信を行う上でかかる特殊なプロトコルを必要とする場合には、当該プロトコルDB55からプロトコルを読み出してこれを用いた通信を行う。
【0026】
カメラ46は、車両2の内側又は外側に設けられ、車両2内を撮像したり、或いは運転手視線で画像を撮像する。カメラ46は、この撮像した画像をCCD(Charge Coupled Device)等を介して画像信号とし、これをSVCEF45へと送信する。
【0027】
車両IDストレージ47は、自らの車両2のIDや登録番号、その他の情報が書き込まれる。
【0028】
メッセージプール48は、車両2から相手側の車両2に送信しようとするメッセージ、相手側の車両2に既に送信したメッセージ、相手側の車両2から受信したメッセージを格納するためのサーバーである。
【0029】
スピードメータ49は、車両2の現時点における速度を運転手に表示するための機器、又は表示盤からなる。
【0030】
GPS50は、人工衛星から送られてくる信号に基づいて、車両2の現在の位置情報を取得する。GPS50は取得した位置情報をSVCEF45、又は制御部51へ送信する
【0031】
制御部51は、SVCEF45からの情報を、必要に応じてGPS50からの位置情報を組み合わせて新たな表示情報を生成し、これをユーザインターフェース52へと送る。
【0032】
ユーザインターフェース52は、運転手に対して各種情報を表示するための液晶ディスプレイ、表示盤等で構成される。
【0033】
UMDF53は、無人であっても自動的に運転することが可能な機能である。センサ54は、この自動運転を行う際に、車両2周囲の交通信号、交通情報、他の車両2との間隔、周囲に人や障害物等があるか否かを検出するための各種センサで構成される。
【0034】
図1に示す車両情報管理システム1の説明に戻る。情報端末3は、例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC)等である。
【0035】
アンテナ11は、車両2に搭載されたSVCD4や、情報端末3から送信されてくる電波を受信しこれを電気信号に変換し、或いは、基地局12からの電気信号を電波に変換してSVCD4、情報端末3に対して送信する。
【0036】
基地局12_1〜12_Nは、アンテナ11に接続され、SVCD4等と情報管理システム6との間における通信を中継する。この基地局12_1〜12_Nは、複数箇所に亘り設けられていわゆる通信網が形成され、何れの箇所を走行する車両2からもそのSVCD4を介して通信を行うことができるようにしてもよい。
【0037】
分散VIDB(Vehicular Information Database)13_1・・・13_Nは、それぞれ基地局12_1〜12_Nに接続されている。この分散VIDB13_1・・・13_Nは、それぞれの基地局12_1〜12_Nから送られてくる車両情報を記憶するサーバーである。この分散VIDB13_1・・・13_Nは、それぞれに接続されている基地局12_1〜12_Nに対して送信すべき管理情報を記憶する場合もある。
【0038】
中央VIDB14は、分散VIDB13_1・・・13_Nにおいて読み出された車両情報を受信し、これを記憶する。また、この中央VIDB14は、自ら記憶していた管理情報を、分散VIDB13_1・・・13_Nに対して送信する。
【0039】
図3は、車両4側から送られ、分散VIDB13、中央VIDB14に格納される車両情報の例を示している。車両情報は、例えば車両ID(登録番号)、車両IDの詳細(サイズ、タイプ、会社用又は個人用)、プロトコル、特別なリクエスト、サービス履歴、現在地に関する地理的情報とタイムスタンプ、車両2のスピード、メッセージ等である。
【0040】
中央管理部15は、分散VIDB13_1・・・13_N、中央VIDB14を制御する。この中央管理部15は、データベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20との間で管理情報を生成するための制御を行う。また、この中央管理部15は、情報管理システム6全体を制御するとともに、データフィルタ16におけるフィルタリングを制御する。
【0041】
データベース17は、車両2における登録番号や、その他修理状況等が記憶される。また交通管理部18は、道路交通情報等を記憶するとともに、これらの情報を管理するためのシステムである。交通調整部19は、交通渋滞を無くすための管理情報を生成し、管理する。また車両メッセージ20は、車両2による通信を行う際のメッセージを記憶し、またこれらを管理する。
【0042】
データベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20は、情報管理システム6の外部に設置されることを前提としている。
【0043】
このようなデータベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20は、それぞれ役割が異なるが、中央管理部15との間で必要に応じて管理情報を生成するという点において共通する。この管理情報は、データベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20内、或いは中央管理部15内において管理されるが、かかる管理情報は中央管理部15による制御の下で、基地局12を介して各車両2のSVCD4、携帯情報端末3へと送られる。
【0044】
例えばデータベース17において生成される管理情報の例としては、例えば図4に示すように、車両ID、車両登録国、車両登録都市、登録番号、車両所有者情報、メンテナンス履歴、法定機関による認証情報、タイムスタンプ、交通違反情報、レギュレーション等の情報である。ちなみに、ここでいう登録番号の例としては、例えば図5に示すように、3桁の国コードと、3桁の都市コードと、6〜10桁の車両IDにより構成されていてもよい。また、交通管理部18において生成される管理情報の例としては、各道路の各地点に設置される信号の点灯状況や、道路の渋滞状況を文字、図表等示したもの等が該当する。更に、交通調整部19において生成される管理情報の例としては、交通渋滞や信号状況に応じて各車両2に対して進むべき方向を示す情報等がある。更に車両メッセージ部20において生成される管理情報の例としては、上述した車両2による通信文のみならず、情報管理システム6により各車両2に対して送信すべきメッセージも含まれる。
【0045】
データフィルタ16は、中央管理部15による制御の下、中央VIDB14に記憶されている車両情報のうち、アプリケーション配信システム7側へ送信する車両情報を選別する。なお、データフィルタ16は、独立した構成要素として存在させる代わりに、その機能を中央管理部15に担わせるようにしてもよい。
【0046】
アプリケーション配信システム7における制御部30は、当該アプリケーション配信システム7全体を制御するための部局である。
【0047】
アプリケーション配信システム7における選択VIDB22は、情報管理システム6におけるデータフィルタ16において選択された車両情報を受信し、これを記憶するサーバーである。
【0048】
車両情報通信サービス23は、車両2間通信、並びに車両2と情報端末3との通信、更には、車両2、情報端末3と、図示しない公衆通信網との通信に関するアプリケーションや、情報を提供するためのサービスである。
【0049】
地図情報サービス24は、いわゆるカーナビゲーションのように、現在走行中の道路周辺の地図情報を提供するサービスである。
【0050】
車両特定サービス25は、現在運転している車両2の位置を特定したり、他の走行している車両2に関する情報を確認するためのあらゆるサービスを含む。
【0051】
車両メッセージサービス26は、車両2とのメール通信に関するアプリケーションを提供するサービスである。
【0052】
車両管理サービス27は、車両2の管理に関するあらゆるアプリケーションを提供するためのサービスである。
【0053】
SPDB28は、アプリケーション配信システム7自体が使用するデータベースである。このSPDB28は、制御部30や、他の情報源からの情報が集められて記憶される。このSPDB28によって記憶される情報の例としては、サービスに関する履歴や、特別なリクエスト等がある。
【0054】
ナビゲーションサービス29は、いわゆるカーナビゲーションに関するあらゆるサービスを提供するものである。
【0055】
実際にこれらの各サービス23〜27を制御するのは、制御部30である。この制御部30は、実際にこれらのサービス23〜27を制御する上で、必ず車両2からの車両情報が必要となる。車両情報は、予め情報管理システム6において選択されたもののみアプリケーション配信システム7に対して送信されてくるが、かかる車両情報4を最初にVIDB22に格納しておく。そして、各サービス23〜27について、それぞれ必要な車両情報をこのVIDB22から読み出し、それぞれのアプリケーションに反映させていくことになる。
【0056】
次に、本発明を適用した車両情報管理システム1における動作について図6を用いて説明をする。
【0057】
先ずスタート直後、ステップS11において、通信認証のリクエストの有無を確認する。このリクエストは、通常、車両2に搭載されたSVCD4(SVCEF45)から送信されてくる。リクエストは、アンテナ11、基地局12を介して受信され、場合によっては中央VIDB14を介して中央管理部15へと送られる。中央管理部15は、係る通信認証リクエストを受信したか否かを判断する。通信認証リクエストを受信した場合には、ステップS12へと移行する。これに対して、通信認証リクエストの受信を確認できなかった場合には、図中2−1、2−2の何れかに進む。
【0058】
ステップS12へ移行した場合には、認証が行われたか否かの確認を行う。認証が完了しなかった場合には、ステップS13へ移行し、認証が完了した場合には、ステップS14へ移行する。
【0059】
ステップS13では、問題点があり、認証ができない旨の簡単なメッセージをSVCD4へ送信し、処理動作を終了させる。
【0060】
これに対して、ステップS14へ移行した場合には、再度車両2に搭載されたSVCD4から、情報の読出、情報の書込、メッセージの送受信、サービスのリクエストを待ち受ける。ステップS14において待ち受けた結果、情報の読出に関するリクエストをSVCD4から受信した場合には、ステップS15へ移行し、それ以外のリクエストをSVCD4から受信した場合には、ステップS17へ移行する。
【0061】
ステップS15に移行した場合には、分散VIDB13、中央VIDB14において記憶されている各種管理情報を読み出す。読み出された管理情報は、基地局12へ送信され、基地局12においてアンテナ11を介してSVCD4へと送信する。このステップS15の処理を終了した後、ステップS16へ移行する。
【0062】
ステップS16に移行した場合には、情報の読出以外に他のリクエストがあるか否かを確認する。他のリクエストがある場合には、図中の“A”に戻る。これに対して、他のリクエストが無い場合には、処理を終了する。
【0063】
ステップS17に移行した場合は、分散VIDB13、中央VIDB14に対する情報の書込、メッセージの送受信、サービスのリクエストを受信した場合である。このうち、特定の機関の下で情報管理システム6内における処理で足りる場合には、中央管理部15による制御で処理を進めることとなり、かかる場合にはステップS18へ移行する。これに対して、民間のサービスプロバイダの下で、アプリケーション配信システム7によるアプリケーションの配信等が要求されている場合、制御部30による制御で処理を進めることとなり、かかる場合にはステップS22へ移行する。
【0064】
ステップS18へ移行した場合、中央VIDB14に記憶されている車両情報を中央管理部15が読み出し、これを取得する。受信したリクエストが、各種管理やマネジメントコントロールに関するものであれば、ステップS19に移行する。これに対して、SVCD4に対する何らかの応答のリクエストである場合には、ステップS20へ移行する。
【0065】
ステップS19に移行した場合には、中央管理部15は、VIDB14から取得した車両情報に基づいて、交通管理部18、交通調整部19等と協働しつつ、各種交通に関する管理、マネジメントコントロールを行った後、処理を終了させる。
【0066】
ステップS20へ移行した場合には、中央管理部15は、この取得した車両情報に基づいてデータベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20と協働して、各種管理情報を生成する。そして、生成したこの管理情報をSVCD4に対して直接的に送信し、或いは基地局12を介して送信する。また、この中央管理部15は、単独で、又はデータベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20と協働して提供しえる各種サービスも、車両2(SVCD4)に対して提供する。これらの処理を終了した場合には、ステップS21へと移行する。
【0067】
ステップS21へ移行した場合には、他のリクエストがあるか否か判別を行う。他のリクエストがある場合には、再度“A”に戻り、ステップS14から実行する。これに対して他のリクエストが無かった場合には、処理を終了させる。
【0068】
ステップS22に移行した場合には、中央VIDB14から選択VIDB22、ひいては制御部30に車両情報を送る。このステップS22では、中央管理部15による制御の下、アプリケーション配信システム7へ送信すべき車両情報を選択する。この選択の基準はいかなるものであってもよいが、例えばプライバシーの問題、人格権の問題、その他セキュリティ面等から、プロバイダーに開示することなく保護すべき車両情報は、アプリケーション配信システム7側に送信しないようにしてもよい。これにより、犯罪捜査や道路交通の安全面等から、あらゆる情報を他のプロバイダーに渡してしまうことによるリスクを無くすことが可能となる。
【0069】
なお、この選択基準は、アプリケーション配信システム7毎に設定されている。あるアプリケーション配信システム7においては特に車両に関する位置情報のみ取得すれば所望のアプリケーションが実現できる場合もあれば、あるアプリケーション配信システム7においては、更に車両2からタイムスタンプを取得しない限り所望のアプリケーションが実行できない場合もある。このようにアプリケーション配信システム7によって所望の車両情報は異なり、千差万別である。従って、アプリケーション配信システム7毎に、送信すべき車両情報に関する選択基準を設けておき、これに従って車両情報を選択して、アプリケーション配信システム7へ送信する。
【0070】
次にステップS23へ移行し、アプリケーション配信システム7は、情報管理システム6から選択的に送信されてくる車両情報に基づいて、各種アプリケーションを配信する。このアプリケーションは、制御部30がサービス23〜27と協働して作り出したものであってもよいし、また、ナビゲーションサービス29との間で協働して作り出したものも含まれる。また、ここでいうアプリケーションは、SPDB28や、VIDB22において記憶されているあらゆる情報も含まれる概念である。制御部30は、このアプリケーションをSVCD4に対して直接的に送信するか、又は基地局12を介してSVCD4に対して送信する。
【0071】
ステップS23における処理を終了させた後、ステップS24へ移行する。ステップS24では、他のリクエストがあるか否か判別を行う。他のリクエストがある場合には、再度“A”に戻り、ステップS14から実行する。これに対して他のリクエストが無かった場合には、処理を終了させる。
【0072】
また、図7は、SVCEF45により、実際に情報管理システム6や、アプリケーション配信システム7との間で通信を行う際の処理フローチャートである。ちなみに、この処理フローは、SVCD4による処理フローと考えることもできるが、以下ではこれをSVCEF45が主体となって行っている場合を例にとり説明をする。
【0073】
先ず、ステップS31に示すように、SVCEF45は情報収集を行う。この情報収集においては、例えば車両IDストレージ47や、GPS50、スピードメータ49、センサ54、カメラ46等から各種情報を取得する。
【0074】
次にステップS32へ移行し、SVCEF45は、自身を搭載している車両2に対して有効な無線通信網を探索する。この無線通信網の探索は、例えば、出力、カバー範囲、使用可能期間、データレート等を初めとした、各種優先条件に基づいて探索を行う。
【0075】
次にステップS33に移行し、SVCEF45は、有効な無線通信網を発見できた場合には、その基地局12に対して無線通信リンクを確立する。ここでは、ステップS32における優先順位が最も高い無線通信網に対して無線通信リンクを確立する。このとき、基地局12、VIDB13、14、中央管理部15による通信認証を受けるようにしてもよい。
【0076】
次にステップS34へ移行し、無線通信リンクを確立した無線通信網との間で通信する上で、プロトコルが有効か否かを判断する。その結果、プロトコルが有効でない場合には、ステップS35へ移行してVIDB13、14からプロトコルをダウンロードし、ステップS36へ移行する。また、このステップS34においてプロトコルが有効である旨を判断した場合には、同様にステップS36へと移動する。
【0077】
ステップS36において、SVCEF45は、直近の車両情報の送信、メッセージの送信等を行う。SVCEF45は、かかる車両情報等を、最も近接している基地局12(分散VIDB13)へ送信する。
【0078】
ステップS37では、最も近接している基地局12(分散VIDB13)から情報を受信する。
【0079】
更にステップS38へ移行し、受信した情報に基づいて、UMDF53、メッセージプール48等を用いて各種処理動作を実行する。
【0080】
なお、本発明を適用した車両情報管理システム1は、上述した実施の形態に限定されるものではない。特定の機関の管轄下におかれることを前提とした情報管理システム6を、図8に示すように、VIDB13、14と、中央管理部15との間で分けて構成するようにしてもよい。この図8の構成において上述した図1と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0081】
この例では、分散VIDB13と、中央VIDB14とからなるデータベース群71、並びに中央管理部15と、データベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20とから構成される処理ブロック群72により、情報管理システム6を構成している。
【0082】
中央VIDB14は、各分散VIDB13_1〜13_Nと、中央管理部15と、制御部30とが接続されている。また、中央管理部15は、基地局12、データベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20に対して接続されている。
【0083】
この図8に示す例では、中央管理部15は、基地局12、中央VIDB14、を始めデータベース17、交通管理部18、交通調整部19、車両メッセージ部20をそれぞれ管理し、制御する。中央VIDB14において記憶されている車両情報は、中央管理部15を経ることなく、アプリケーション配信システム7側に直接的に送信される。但し、中央VIDB14において記憶されている全ての車両情報がアプリケーション配信システム7側に送信されるのはなく、中央管理部15による管理の下で、アプリケーション配信システム7毎に送信すべき車両情報に関する選択基準を設けておき、これに従って車両情報を選択して、アプリケーション配信システム7へ送信する。
【0084】
このような図8に示す構成においても上述した本発明の効果を奏し得ることは勿論である。
【実施例1】
【0085】
この実施例では、各車両4から取得した車両情報に基づいて、一の車両4を中心とした周囲における交通情報を提供するアプリケーションである。車両4から取得した車両情報は、各スピードメータ49から取得した各車両4のスピードと、GPS50から取得した位置情報、さらにタイプスタンプ等である。これらの車両情報は、VIDB13、14に記憶され、さらに中央管理部15による制御の下で選択されてアプリケーション配信システム7に送信される。
【0086】
アプリケーション配信システム7では、取得した車両情報に基づいたアプリケーションを車両4へ配信する。図9は、ユーザインターフェース52に表示された、このアプリケーションの一例を示している。
【0087】
このアプリケーションでは、画面上に表示された道路81上を走行する各車両84がグラフィカルに表示される。自身の車両4はマーカー84aであり、他の車両4は、マーカー84bで表される。マーカー84は、三角形状で構成されており、かかるマーカーの方向性を視認するのみで、車両4がいかなる方向へ進もうとしているのかを即座に把握することが可能となる。各車両4のマーカー84は数字が表示されるが、これはスピードである。また、この画面上には、信号82の状況等も表示される。
【0088】
即ち、車両情報として上述したスピード、位置情報、さらにタイプスタンプ等を取得することにより、上述したような車両4を中心とした周囲の交通情報をユーザインターフェース52上に表示させることが可能となる。
【0089】
このため、運転者は、このユーザインターフェース52を視認するのみで周囲の車両4がどの程度のスピードで、どの方向へ向かっているかを瞬時に理解することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 車両情報管理システム
2 車両
3 情報端末
4 SVCD
6 情報管理システム
7 アプリケーション配信システム
11 アンテナ
12 基地局
13 分散VIDB
14 中央VIDB
15 中央管理部
16 データフィルタ
17 データベース
18 交通管理部
19 交通調整部
20 車両メッセージ部
22 選択VIDB
23 車両情報通信サービス
24 地図情報サービス
25 車両特定サービス
26 車両メッセージサービス
27 車両管理サービス
28 SPDB
29 ナビゲーションサービス
30 制御部
41 アンテナ
42 増幅部
43 コミュニケーションモジュール
44 インターフェース
45 SVCEF
46 カメラ
47 車両IDストレージ
48 メッセージプール
49 スピードメータ
50 GPS
51 制御部
52 ユーザインターフェース
53 UMDF
54 センサ
55 プロトコルDB
71 データベース群
72 処理ブロック群




【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から発信された車両情報を受信する基地局と、
上記基地局より受信した車両情報を記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された車両情報を管理する管理手段とを有する情報管理システムと、
上記情報管理システムから選択的に送信されてくる車両情報に基づいた各種アプリケーションを上記車両へ配信するアプリケーション配信システムとを備え、
上記管理手段は、上記アプリケーション配信システムに送信すべき車両情報を、上記アプリケーション配信システム毎に設定されている選択基準に基づいて選択すること
を特徴とする車両情報管理システム。
【請求項2】
上記情報管理システムは、上記記憶手段に記憶された上記車両情報に基づいて生成した管理情報を上記記憶手段に記憶させ、
上記基地局は、当該記憶手段に記憶された管理情報を車両へ送信すること
を特徴とする請求項1記載の車両情報管理システム。
【請求項3】
車両から発信された車両情報を受信する基地局と、
上記基地局より受信した車両情報を記憶する記憶手段と、
上記基地局並びに上記記憶手段を管理する管理手段と、
上記記憶手段から選択的に送信されてくる車両情報に基づいた各種アプリケーションを上記車両へ配信するアプリケーション配信システムとを備え、
上記管理手段は、上記記憶手段に対して上記アプリケーション配信システムに送信すべき車両情報を、上記アプリケーション配信システム毎に設定されている選択基準に基づいて管理すること
を特徴とする車両情報管理システム。
【請求項4】
上記管理手段は、上記記憶手段に記憶された上記車両情報に基づいて生成した管理情報を上記記憶手段に記憶させ、
上記基地局は、当該記憶手段に記憶された管理情報を車両へ送信すること
を特徴とする請求項3記載の車両情報管理システム。
【請求項5】
上記基地局は、上記記憶手段に記憶された上記車両情報を他の車両へ送信すること
を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の車両情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−248520(P2011−248520A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119494(P2010−119494)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】