説明

車両構成管理システム

【課題】車両を構成する各種部品をユニット化し、車両構成を任意に変更可能とした車両の管理等を容易に行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】フレームユニット10には、端末20と、アクセサリユニット30と、ホイールユニット40とが、固定部材により着脱自在に装着される。フレームユニット10、アクセサリユニット30及びホイールユニット40にはそれぞれIDが予め付与されているとともに、端末20にも端末IDが予め付与されている。利用者は、アクセサリユニット30、ホイールユニット40、フレームユニット10のそれぞれについて、複数の種類のなかから自身が所望するものを選択して用いることができる。端末IDは、選択された各ユニットのIDを自端末の記憶部に記憶しておき、走行制御を行う際に、記憶されたIDを用いて認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構成管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インホイールモータを用いて車両を駆動する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、減速部、特に曲線板を支持する転がり軸受に安定して潤滑油を供給可能な構造とすることによって、耐久性に優れ、信頼性の高いインホイールモータ駆動装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−58005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動力部品としてインホイールモータを採用することにより、車両全体のレイアウト構成あるいは採用する各種部品の選択自由度が飛躍的に向上することが見込まれる。例えば、動力部品であるインホイールモータや車両を構成する各種アクセサリ類をユーザ好みの任意のものに交換したりするといったように、従来の車両デザインとは異なり、動力部品を含む各種部品をユーザが自由に組み合わせ1つの車両を構成することが可能となる。このようにユーザ自由に車両の構成を選択できるようにした場合、1つの車両を構成する各部品(ユニット)の管理等を容易に行うことができれば好適である。
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、車両を構成する各種部品をユニット化し、車両構成を任意に変更可能とした車両の管理等を容易に行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のユニット化された部品により一の車両が構成され、ユニットの種類乃至個数を変更することにより構成組み換え可能な車両のための車両構成管理システムであって、ホイールと該ホイールを回転駆動させる駆動部と該駆動部によるホイールの回転駆動を制御する駆動制御部を含み、当該ユニットを一意に識別するホイール識別情報が予め付与されたホイールユニットと、前記駆動部乃至駆動制御部に電力を供給するバッテリーを含み、当該ユニットを一意に識別するアクセサリ識別情報が予め付与されたアクセサリユニットと、前記ホイールユニット及び前記アクセサリユニットから前記ホイール識別情報及び前記アクセサリ識別情報を取得する取得手段を備えた端末とを具備し、前記端末は当該端末の制御下に置かれるホイールユニット及びアクセサリユニットを識別するためのホイール識別情報及びアクセサリ識別情報を予め記憶しており、ユーザによる起動指示に応じて前記ホイールユニット及びアクセサリユニットから前記ホイール識別情報およびアクセサリ識別情報を取得し、該取得した識別情報と前記予め記憶した識別情報とを照合することによりユニットを認証し、認証に成功したことを条件に前記ホイールユニットおよび/またはアクセサリユニットを当該端末の制御下におくことを特徴とする車両構成管理システムを提供する。
【0006】
本発明の好ましい態様において、さらに、1又は複数の前記ホイールユニットが着脱自在に装着されるフレームユニットを具備し、前記端末は、前記フレームユニットに装着された1乃至複数のホイールユニットを認識する認識手段と、前記認識手段によって認識されたホイールユニットに含まれる駆動制御部の一部または全てに対して駆動を指示する駆動指示手段とを具備してもよい。
【0007】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記端末は、該端末を識別する端末識別情報が予め付与されているとともに、該端末識別情報を前記ホイールユニット及びアクセサリユニットに対して供給し、前記ホイールユニット及びアクセサリユニットは前記端末から供給された端末識別情報を予め記憶するよう構成され、前記端末は、ユーザによる起動指示に応じて前記ホイールユニット及びアクセサリユニットに対して前記端末識別情報を送信し、前記ホイールユニット及びアクセサリユニットは、該送信された端末識別情報と前記予め記憶した端末識別情報とを照合することによって認証を行い、認証に成功したことを条件に前記端末による制御を受け入れてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インホイールモータを用いた車両の管理等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】車両の構成の一例を示す斜視図である。
【図2】車両の構成の一例を示す斜視図である。
【図3】ホイールユニットの構造の一例を示す図である。
【図4】コントローラの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】車両の構成の一例を示す斜視図である。
【図7】車両の構成の一例を示す斜視図である。
【図8】車両の構成の一例を示す斜視図である。
【図9】システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図10】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図11】管理情報記憶領域の内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<A:第1実施形態>
<A−1:構成>
図1は、本発明の一実施形態である車両100の構成の一例を示す図である。この車両100は、複数のユニット化された部品により構成されているとともに、ユニットの種類乃至個数を変更することにより構成の組み換えが可能となっている。図において、フレームユニット10は、車両100の骨組みを構成する部材である。フレームユニット10には、端末20と、アクセサリユニット30と、ホイールユニット40とが、固定部材(図示略)により装着されている。図2に示すように、端末20と、アクセサリユニット30と、ホイールユニット40とは、フレームユニット10に対して着脱自在に装着されている。なお、車両100は、利用者が乗車すると、車両姿勢を定常状態(例えば直立状態)に維持するように自律制御し、搭乗者が車両全体を進行方向に倒したりすることによって走行可能となっている。
【0011】
図3は、ホイールユニット40の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。なお、図3は、四輪車の走行車輪として取り付けられることを想定したホイールユニット40の構成例である。ホイールユニット40は、駆動力を生み出す電気モータがホイール内に設けられており、いわゆるインホイールモータを備えるホイールユニットである。ホイールユニット40は、タイヤ2を装着した有底円筒状のホイール11を備えており、ホイール11の内側には、モータ12及び制動装置13が収容されている。ホイール11は、ディスク部111と、該ディスク部111の周縁から略垂直に延設された筒部112とから構成されている。ディスク部111の中心部には車体側へ突出した回転軸14が設けられており、回転軸14は、車体から横方向外側へ突出した車軸15の先端部に軸受を介して回転可能に支持されている。
【0012】
モータ12は、ホイールを回転駆動させる駆動部であり、回転軸14と直交する方向に対向配置したロータ121及びステータ122を備えている。ロータ121は永久磁石121aから構成されている。ロータ121及びステータ122が回転軸と直交する方向に対向するように、筒部112にはステータ122が延設されている。ステータ122は、筒部112に周設された磁心部122aを有していて、磁心部122aにはコイル122bが巻回されている。
【0013】
制動装置13は、ホイール11と一体的に回転する回転体、及び該回転体に接触し、摩擦力にてホイール11の回転を制動する制動子から構成されている。例えば、回転体はブレーキドラム、制動子はブレーキシューである。車軸15の途中には円盤状の支持体16が設けられており、制動子は支持体16に支持されている。ダンパ18は振動吸収部材であり、スプリング19により支持されている。ホイールユニット40がダンパ18を介して車両のフレームに取り付けられ、ホイールユニット40のモータ12によってホイール11が回転することによって、ホイールユニット40が装着された車両が走行する。この実施形態では、ホイールユニット40はダンパ18を介してフレームユニット10に固定されている。
【0014】
コントローラ17は、利用者が利用する端末との間で通信を行う。図4は、コントローラ17の構成の一例を示すブロック図である。図において、通信部171は、利用者によって操作される端末20との間で図示しないシールド線等を用いた有線による通信を行う。なお、この実施形態では、コントローラ17と端末20とが有線により通信を行う場合について説明するが、これに限らず、無線により通信を行うようにしてもよい。制御部172は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、通信部171によって受信される信号に応じて各種の処理を実行する。制御部172のROMには、ホイールユニット40を一意に識別する識別情報(ホイールID)が記憶されている。記憶部173は、例えばフラッシュメモリやEPROM等の記憶手段である。
【0015】
次に、利用者によって操作される端末20の構成について図面を参照しつつ説明する。図5は、端末20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。端末20は、利用者によって操作される端末である。図において、制御部21は、CPUやROM、RAMを備え、ROM又は記憶部22に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介して端末20の各部を制御部する。記憶部22は、制御部21によって実行されるコンピュータプログラムやその実行時に使用されるデータを記憶するための記憶手段であり、例えばフラッシュメモリやハードディスク装置等である。端末20の記憶部22には、端末20を識別する識別情報(端末ID)が予め記憶されている。表示部23は、液晶パネル等を備え、制御部21による制御の下に各種の画像を表示する。操作部24は、端末20の利用者による操作に応じた信号を制御部21に出力する。通信部25は、各種通信装置等を備え、ホイールユニット40の通信部171から送信されてくる信号等を受信する。
【0016】
図1の説明に戻る。図1において、アクセサリユニット30は、ホイールユニット40のモータ12や制動装置13に対して電力を供給するバッテリーを含むとともに、オーディオユニット(スピーカ等)、保安機器、通信インタフェース等を含む。また、アクセサリユニット30は、CPU、ROM、RAMを含む制御部を備えている。また、このアクセサリユニット30には、アクセサリユニット30の各々を識別する識別情報(アクセサリID)が予め割り当てられている。アクセサリユニット30には、所定のメモリが予め内蔵されており、このメモリにアクセサリIDが予め記憶されている。
【0017】
また、フレームユニット10は、CPU、ROM、RAMを含む制御部を備えているとともに、フレームユニット10には、フレームユニット10の各々を識別する識別情報(フレームID)が予め割り当てられている。フレームユニット10には、所定のメモリが予め内蔵されており、このメモリにフレームIDが予め記憶されている。
【0018】
上述のように、フレームユニット10,端末20,アクセサリユニット30及びホイールユニット40はそれぞれ、各々を識別するIDが予め付与されている。なお、以下の説明では、説明の便宜上、フレームユニット10、アクセサリユニット30及びホイールユニット40を各々区別する必要がない場合には、これらを「ユニット」と称して説明する。端末20は、フレームユニット10、アクセサリユニット30及びホイールユニット40のそれぞれに付与されたIDを読み取り、1車両を構成する複数のユニットのIDを管理・識別する。また、フレームユニット10,アクセサリユニット30及びホイールユニット40は、自身のマスタとなる端末20のIDを記憶している。
【0019】
また、上述したように、フレームユニット10,アクセサリユニット30及びホイールユニット40はそれぞれ、CPU、RAM、ROM等を備え、自律制御可能に構成されている。車両構成に応じた制御プログラム設定データを端末20から各ユニットにロードさせ、各ユニットがアップロードされたプログラムに応じた動作を行う。
【0020】
<A−2:動作>
<A−2−1:初期設定動作>
次に、この実施形態の動作について説明する。まず、初期設定動作について説明する。上述したように、端末20と、アクセサリユニット30と、ホイールユニット40とは、フレームユニット10に対して着脱自在に装着される。利用者は、アクセサリユニット30、ホイールユニット40、フレームユニット10のそれぞれについて、複数の種類のなかから自身が所望するものを選択して用いることができる。なお、端末20は利用者が所有している端末である。利用者は、自身が選択したフレームユニット10に対して、端末20と、自身が選択したアクセサリユニット30と、ホイールユニット40とを装着し、シールド線などの接続ケーブルを用いて各ユニットを端末20に接続する。なお、初期状態においては各ユニットには自身のマスタとなる端末20のIDは記憶されていない。また、端末20においても自身がマスタとなるユニットのIDは記憶されていない。次いで、利用者は、端末20の操作部24を用いて、端末20と接続された各ユニットと当該端末20とを対応付けるための操作を行う。操作部24は、利用者の操作に応じた信号を出力する。制御部21は、操作部24から出力される信号に応じて、自端末の端末IDを、当該端末20と接続された各ユニットに対して送信する。
【0021】
ホイールユニット40を例にすると、ホイールユニット40は、端末20から端末IDを受信すると、受信した端末IDを自身のマスタとなる端末20のIDとして記憶部173に記憶し、端末20またはメーカあるいはメンテナンス業者の利用する保守用端末からのリセット指示があるまで保持する。ここで記憶された端末IDは、ホイールユニット40を制御可能な端末20を識別するために用いられる。なお、この場合において、端末IDとパスワードとを対応付けて記憶するようにし、パスワードを用いて認証処理を行うようにしてもよい。ホイールユニット40は端末IDを記憶部173に記憶すると、次いで自身の識別情報(ホイールID)を端末20に送信する。端末20は受信した識別情報(ホイールID)を記憶部22に記憶する。記憶された識別情報は操作部24を介して利用者からの削除指示を受け付けるまで保持される。
【0022】
端末20は、当該端末20と接続された各ユニット(ホイールユニット40,フレームユニット10,アクセサリユニット30)との間でIDの授受を行う。ここで、各ユニットは端末20から端末IDを受信した際、自ユニットの所定のメモリにマスタとなるユニットのIDが記憶されていない場合は、識別情報とともに制御受入を許容する旨の情報を端末20に送信し、他の場合は識別情報のみを端末20に送信する。端末20では制御受入を許容する旨の情報とともに受信した識別情報を記憶部22に追加記憶する。このようにして、端末20は、当該端末に接続された1車両を構成する複数のユニットのIDを取得して自身がマスタとなるユニットを識別するための情報として所定のメモリ(記憶部22等)に記憶する。また、フレームユニット10,アクセサリユニット30及びホイールユニット40は、自身のマスタとなる端末20のIDを所定のメモリ(記憶部173等)に記憶する。
【0023】
なお、端末20の記憶部22には、各ユニットに対応した制御プログラムあるいは制御データ等が記憶されており、端末20は、初期設定動作や後述する起動制御動作、あるいは任意の時点にて接続された各ユニットに対して制御プログラムあるいは制御データ等を供給することができる。例えば、端末20の記憶部22にはホイールユニット40の走行制御に関する制御プログラムが記憶されているとともに、ホイールユニット40の走行制御に関する各種の設定情報が記憶されている。制御プログラム乃至データが端末20から供給される場合、各ユニットのCPUにて実行される制御プログラムは、各ユニットのROMに予め記憶された基本プログラムにくわえ、上述の端末20より供給される制御プログラム乃至データにて構成される。
【0024】
<A−2−2:起動制御動作>
次に、車両100の起動制御動作について説明する。この動作においては、端末20は、各ユニットを起動させるための「キー」として機能する。利用者は、端末20の操作部24を用いて、車両を起動するための操作を行う。操作部24は、利用者によって操作された内容に応じた信号を出力し、制御部21は、操作部24から出力される信号に応じて、端末20に接続された各ユニットに対して自端末の端末IDと起動を指示する信号(以下「起動信号」という)とを送信する。なお、このときに、利用者が、操作部24を用いてパスワードを入力し、制御部21が、自端末の端末IDとパスワードとをホイールユニット40に対して送信するようにしてもよい。
【0025】
各ユニットは、端末20からの起動指示に応じて、上記初期設定動作時にマスタ端末として予め所定のメモリに登録されていた端末IDと起動指示とともに受信された端末IDとを比較して端末IDの整合性を確認する。また、各ユニットは、端末20からの起動指示に応じて、自身に割り当てられた識別情報(ホイールID,フレームID,アクセサリID)を端末20へ送信する。
【0026】
端末20は、各ユニットから受信される識別情報(起動指示を送信した各ユニットが送信するホイールID,フレームID,アクセサリID)と、記憶部22に記憶されている識別情報とを照合することによってユニットを認証し、認証に成功したことを条件に各ユニットを端末20の制御下におく。すなわち、端末20は、認証に成功した場合には当該ユニットの駆動制御を開始する一方、認証に失敗した場合には当該ユニットの駆動制御を行わない。ここで、上述のようにユニットから受信した識別情報が制御受入を許容する旨の情報とともに受信されたものであった場合は、この時点で上記初期設定動作を実行し、端末20は受信した識別情報を記憶部22に追加記憶し、改めて上記起動指示を当該ユニットに対して送信するようにしても良い。なお、駆動制御とはホイールユニット40に対する回転駆動のON/OFF制御や、アクセサリユニット30から他のユニットに対する給電状態の制御等、接続されたユニットに対応する各種制御が含まれる。
【0027】
端末20は、起動時において、ID不整合のユニットが検出された場合は、システム全体として起動を停止するようにしてもよいし、また、そのユニットを無視して車両を起動して走行可能状態とするようにしてもよい。ただし、IDが不整合であったユニットがホイールユニットや保安機器ユニット等であった場合は、走行上重大な事故や障害などを誘発する可能性があるため、この場合はシステム全体の起動を停止し、走行不能に制御することが好ましい。また、端末20−各ユニット間でのID照合に加えて、ユニット−ユニット間でのID照合を行うようにしてもよい。また、端末20は、記憶部22に記憶された識別情報のうち、起動制御動作にて接続されたユニットから対応する識別情報が取得できなかった(例えば、起動整合動作時には取り外されていたり、故障によりユニットが正常に動作できない等)場合は、当該識別情報を自動的に記憶部22より削除するようにしてもよい。
【0028】
また、各ユニットにおいては、起動を指示する信号とともに受信した端末IDと所定のメモリに記憶された端末IDとを照合することによって認証を行い、認証に成功した場合のみ接続されている端末20による駆動制御を受け入れる。認証に失敗した場合は他の端末20より起動を指示する信号を受け付けるまで待機するようにしても良いし、そのまま電源を落とす等してもよい。端末20との間の認証に成功した各ユニットのうち一部または全てのユニットは、予め定められた単位時間毎に端末20に対して端末IDを取得するポーリング処理を行う。例えば、ホイールユニット40のコントローラ17は、端末IDを取得する毎に記憶部173に記憶された端末IDと照合し、照合された場合には駆動処理を継続する一方、照合に失敗した場合には、駆動処理を停止する。具体的には、例えば、端末20の電源が落ちた場合等においては、コントローラ17は、端末20から端末IDを取得することができず、このような場合には駆動処理を停止する。
【0029】
以上説明したように本実施形態によれば、端末20、アクセサリユニット30、ホイールユニット40のそれぞれに識別情報(ID)が付与され、それらを組み合わせて用いることによって、利用者は自身が所望するユニットを選択して用いることができる。また、ユニットのそれぞれにIDが付与されていることにより、ユニット単位や端末20単位での管理を行うことができる。また、例えば、利用者が、移動先でバッテリー(アクセサリユニット30)を交換したりする等、ユニットの交換を容易に行うことができる。更に、ユニットを交換した場合であっても、各ユニットにIDが付与されていることによって、ユニットの管理を容易に行うことができる。
【0030】
<B:第2実施形態>
<B−1:構成>
次に、この発明の第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図6は、この発明の第2の実施形態である車両200の構成の一例を示す図である。この車両200は、2つのホイールユニットが装着されて用いられる二輪車である。図において、フレームユニット10Bは、車両200の骨組みを構成する部材である。フレームユニット10Bには、端末20Bと、アクセサリユニット30Bと、ホイールユニット40Bと、ホイールユニット40Dとが、フレームユニット10Bに対して着脱自在に装着されている。端末20Bは、利用者によって操作される端末であり、上述の第1の実施形態において示した端末20の構成と同様である。また、ホイールユニット40B,40Dの構成は、上述した第1の実施形態において示したホイールユニット40の構成と同様である。以下の説明においては、端末20Bにおいて上述した端末20と同様の構成要素については同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。同様に、ホイールユニット40B,40Dにおいて上述したホイールユニット40と同様の構成要素については同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0031】
上述の第1の実施形態と同様に、各ユニットは任意に組み替え・追加可能である。具体的には、例えば、図6に示すように、端末20Bに代えて端末20Cや端末20Dをフレームユニット10Bに装着することも可能である。また、例えば、アクセサリユニット30Bに代えて、アクセサリユニット30Cをフレームユニット10Bに装着することも可能である。また、例えば、ホイールユニット40Bに代えて、ホイールユニット40Cをフレームユニット10Bに装着することも可能である。以下の説明では、説明の便宜上、端末20B,20C,20Dを各々区別する必要がない場合には、これらを「端末20」と称して説明する。同様に、アクセサリユニット30Bとアクセサリユニット30Cとを各々区別する必要がない場合には、これらを「アクセサリユニット30」と称して説明する。また、ホイールユニット40Bとホイールユニット40Cとを各々区別する必要がない場合には、これらを「ホイールユニット40」と称して説明する。
【0032】
<B−2:動作>
<B−2−1:初期設定動作>
次に、この実施形態の動作について説明する。まず、初期設定動作について説明する。上述したように、端末20とアクセサリユニット30とホイールユニット40は、フレームユニット10Bに対して着脱自在に装着される。利用者は、アクセサリユニット30、ホイールユニット40のそれぞれについて、複数の種類のなかから自身が所望するものを選択して用いることができる。利用者は、自身が選択したフレームユニット10に対して、端末20と、自身が選択したアクセサリユニット30と、ホイールユニット40とを装着する。次いで、利用者は、端末20の操作部24を用いて、ホイールユニット40と端末20とを対応付けるための操作を行う。
【0033】
この動作例においては、各ユニットは、複数の端末20によって制御可能であり、各ユニットでは複数の端末20に対応する複数の端末IDを記憶する。この場合、各ユニットにてIDが記憶されていない端末20ではコントロール不能である。例えば各ユニットにて端末20Bの端末IDと端末20Cの端末IDが記憶されている場合、端末20Bおよび端末20Cでは各ユニットをコントロールすることができるが、端末20Dでは各ユニットをコントロールすることができない。なお、この場合、制御を許可する端末に優先順位を付与するようにしてもよい。例えば、端末20Bが端末20Cよりも優先順位を高くしてもよい。また、例えば、アクセサリユニット30に含まれるオーディオユニット等、走行上制御不能であっても支障のないユニットについては、一部の端末(例えば端末20B)でのみ制御を許可するようにしてもよい。
【0034】
各ユニットの設定・構成変更の設定(各ユニットに記憶させる端末IDの設定、あるいは複数記憶された端末ID間での優先順位の設定等のマスタ端末の設定を含む)は、端末20B又は端末20Cでのみ変更可能である。あるいは、特定の端末(例えば端末20B)でのみ変更可能としてもよい。また、各ユニットを装着乃至初期設定する際、ひとつひとつマニュアルで端末20B(または端末20C)上で接続されているユニットの種別や車両全体の構成を確認しながら車両を構成するユニットの情報の更新(ユニットの識別情報の記憶やユニットに記憶される端末IDの記憶あるいは消去)をしてもよい。この場合、利用者が容易に対応するユニットを認識できるよう、各ユニットの位置を検出する機能あるいは、ユニットに設けられたLED等の発光手段やスピーカ等でなる放音手段を利用してユニット自身が設定対象となっていることを報知する機能等を備えることが望ましい。
【0035】
装着されたユニットの交換あるいは組み換えを行う場合は、端末20B(または端末20C)にて構成置換の処理を行う。この場合、各ユニットは、端末20B(または端末20C)からの構成置換指示に応じて端末ID(及び/又は、その端末IDにて統括される他のユニットのID)を更新する。初期設定あるいは構成置換の際、併せて、適宜制御プログラムや設定データ等の更新を行っても良い。
【0036】
<B−2−2:起動制御動作>
次に、車両200の起動制御動作について説明する。第1の実施形態と同様、利用者は、端末20の操作部24を用いて、各ユニットを起動するための操作を行う。操作部24は、利用者によって操作された内容に応じた信号を出力し、制御部21は、操作部24から出力される信号に応じて各ユニットに対して起動を指示する信号および端末IDの送信を行い、その応答として各ユニットから受信した各ユニットのIDを記憶部22に記憶されているIDと照合することによって認証を行い、認証に成功したことを条件に各ユニットを端末20の制御下におく。なお、制御部21が行う起動制御処理の詳細については、上述した第1の実施形態のそれと同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。なお、第2の実施形態の場合、動力部品となるホイールユニットが複数装着されており、第1の実施形態で説明した駆動制御に加えて、制御部21は、複数のホイールユニット40の回転速度を同期させる制御を行うようにしてもよい。
【0037】
以上説明したように本実施形態によれば、端末20、アクセサリユニット30、ホイールユニット40のそれぞれに識別情報(ID)が付与され、それらを組み合わせて用いることによって、利用者は自身が所望するユニットを選択して用いることができる。また、ユニットのそれぞれにIDが付与されていることにより、ユニット単位や端末20単位での管理を行うことができる。また、ユニットを交換した場合であっても、各ユニットにIDが付与されていることによって、ユニットの管理を容易に行うことができる。
【0038】
<C:第3実施形態>
<C−1:構成>
次に、この発明の第3の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図7は、この発明の第3の実施形態である車両300の構成の一例を示す図である。この車両300は、4つのホイールユニットが装着されて用いられる四輪車両である。図において、フレームユニット10Cは、車両300の骨組みを構成する部材である。フレームユニット10Cには、端末20Eと、アクセサリユニット30Eと、ホイールユニット40E,40F,40G,40Hとが、フレームユニット10Cに対して着脱自在に装着されている。図示のように、この車両300は、フレームユニット10Cに複数のホイールユニット40E,40F,40G,40Hが装着されて用いられる。上述の第1および第2の実施形態と同様に、各ユニットは任意に組み替え・追加可能である。なお、以下の説明においては、ホイールユニット40E,40F,40G,40Hを各々区別する必要がない場合には、これらを「ホイールユニット40」と称して説明する。
【0039】
ホイールユニット40は直接接地される必要はない。例えば、図8に示すように、ホイールユニット40Iを、フレームユニット10C上であって地面とは接地しない位置に設置し、従来同様、ギヤ・チェーン・シャフト等を介してホイールユニットに動力を伝達するように構成しても良い。この場合、ホイールユニット40Iからの動力伝達先は、フレームユニット10Cに装着されている全てのホイールユニット40に伝達するようにしても良いし、一部(1又は複数)のホイールユニット40に対してのみ伝達するように構成しても良い。また、動力を伝達するためのメカニカルな仕組みはフレームユニット10Cに組みつけられた形であってもよい。
【0040】
<C−2:動作>
次に、この実施形態の動作について説明する。この実施形態における初期設定動作及び起動制御動作は、上述した第1および第2の実施形態で示したそれとほぼ同様であるため、以下の説明においては、上述した第1および第2の実施形態と異なる動作について主に説明することとし、上述した第1および第2の実施形態と同様の動作については適宜その説明を省略する。
【0041】
起動制御動作の際、複数のホイールユニット40E,40F,40G,40H(および40I)は、相互に通信を行い、マスタとなる端末20の端末IDの認証を相互に行うようにしてもよい。この場合、全てのホイールユニット40においてマスタとなる端末20が同じである(端末IDが一致する)ことを条件に、各ホイールユニット40は端末20による駆動制御を受け入れる。第2の実施形態にて説明したように各ユニットが複数の端末IDを記憶する場合は、全ホイールユニットにて一致する端末IDが存在し、かつ、端末20より受信した端末IDが当該全ホイールユニットにて一致した端末IDと一致することを条件に、端末20による駆動制御を受け入れるようにしても良い。また、ホイールユニット40E,40F,40G,40Hはそれぞれ相互に通信または端末20からの駆動制御により、カーブに応じて、カーブの内側と外側の回転速度の差をつくる内輪差の制御や蛇角の制御を行うようにしてもよい。
【0042】
また、ホイールユニット40E,40F,40G,40Hはそれぞれ、ホイールに対する異常な負荷のかかり方を検知し、検知結果を端末に通知する。端末は、ホイールユニット40E,40F,40G,40Hから出力される信号に応じて、ホイールに対して異常な負荷がかかった場合にその旨を報知する。具体的には、例えば、事故によって車両300が横転した場合等に、その旨を所定の連絡先に報知するようにしてもよい。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、端末20E、アクセサリユニット30E、ホイールユニット40のそれぞれに識別情報(ID)が付与され、それらを組み合わせて用いることによって、利用者は自身が所望するユニットを選択して用いることができる。また、ユニットのそれぞれにIDが付与されていることにより、ユニット単位や端末20E単位での管理を行うことができる。
【0044】
<D:第4実施形態>
<D−1:構成>
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。図9は、この発明の第4の実施形態であるシステムの構成の一例を示す図である。図示のように、このシステムは、サーバ装置70と、複数の端末20a,20b,20cとが、インターネット等の通信ネットワーク80に接続されて構成される。サーバ装置70は、例えば汎用のサーバ装置であり、端末20a,20b,20cから送信されてくる種々のデータを管理する。端末20a,20b,20cは、上述した第1の実施形態において示した端末20と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。なお、以下の説明においては、端末20a,20b,20cを各々区別する必要がない場合には、これらを「端末20」と称して説明する。また、図9には、3つの端末20a,20b,20cを図示しているが、端末の数はこれに限定されるものではなく、これより多くても少なくてもよい。
【0045】
図10は、サーバ装置70の構成の一例を示す図である。図において、制御部71は、CPUやROM、RAMを備え、ROM又は記憶部72に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介してサーバ装置70の各部を制御部する。記憶部72は、制御部71によって実行されるコンピュータプログラムやその実行時に使用されるデータを記憶するための記憶手段であり、例えばハードディスク装置である。表示部73は、液晶パネル等を備え、制御部71による制御の下に各種の画像を表示する。操作部74は、サーバ装置70の利用者による操作に応じた信号を制御部71に出力する。通信部75は、各種通信装置等を備え、端末20等の他の装置から送信されてくるデータを受信する。
【0046】
サーバ装置70の記憶部72は、ユーザ管理情報記憶領域721と、ホイール管理情報記憶領域722と、アクセサリ管理情報記憶領域723とを有している。図11は、ユーザ管理情報記憶領域721に記憶されたデータの内容の一例を示す図である。この領域には、図示のように、「端末ID」と「ホイールID」と「アクセサリID」との各項目が互いに関連付けて記憶される。これらの項目のうち、「端末ID」の項目には、端末20を識別する識別情報(端末ID)が格納される。「ホイールID」の項目には、ホイールユニット40を識別する識別情報(ホイールID)が格納される。「アクセサリID」の項目には、アクセサリユニット30を識別する識別情報(アクセサリID)が格納される。
なお、ユーザ管理情報記憶領域721に記憶されるデータの内容は図11に例示した態様に限らない。図11のようにテーブルで表現した場合に、1つの端末IDに対応して1行を形成し、1端末IDについて2以上の識別情報を対応付けるよう記憶しても良いし、ユニットの識別情報に対応して1つの行を形成し、ユニットの識別情報に対して端末20を識別する識別情報(端末ID)を格納するようにしてもよい。後者の場合、さらにカテゴリ(ホイールやアクセサリ等)毎に個別のテーブルを設けるようにしてもよい。
【0047】
次に、ホイール管理情報記憶領域722には、ホイールユニット40毎に、そのホイールユニット40の使用状況やダメージ状態等を示す情報(以下「ホイール管理情報」という)が記憶される。アクセサリ管理情報記憶領域723には、アクセサリユニット30毎に、そのアクセサリユニット(例えば、バッテリー)の使用回数やダメージ状態等を示す情報(以下「アクセサリ管理情報」という)が記憶される。
【0048】
端末20は、適宜サーバ等から車両構成に応じた制御プログラムや設定情報等を、通信ネットワーク80を介して取得することができる。また、制御プログラムや設定データ等を利用者がパーソナルコンピュータや端末20等を用いて作成可能にしてもよい。
【0049】
端末20は、記憶部22に記憶された設定情報に従って1又は複数のホイールユニット40を走行制御する。このようにすることにより、利用者の所望する走行制御を行うことができる。例えば、設定情報として、複数のホイールユニット40が装着されている場合に選択が可能な「FRモード」や「FFモード」といった走行駆動輪モードや「スポーツ走行モード」や「徐行モード」といった走行制御モードを示すモード情報を含んでいる。「FRモード」が選択された場合は、車両の前後に装着されたホイールユニット40のうち後輪が駆動輪となる。「FFモード」が選択された場合は前輪が駆動輪となって走行制御が行われる。「スポーツ走行モード」が選択された場合は操作部24を利用して指示される加速指示(アクセル)に対するモータのレスポンスを早くし、「エコノミーモード」が選択された場合は加速指示に対するモータのレスポンスを鈍くするといったような制御が行われる。上記例示したモード以外にも、全輪駆動モード(装着された全てのホイールユニット40が駆動輪となって走行制御が行われるモード)等他のモードを設けるようにしてもよい。フロントエンジン・リアドライブ方式が好みである利用者は、FRモードを選択することで、自身の所望する走行制御を行わせることができる。
【0050】
<D−2:動作>
次に、この実施形態の動作について説明する。利用者は、上述の第1乃至第3の実施形態と同様に、フレームユニット10,アクセサリユニット30,ホイールユニット40のそれぞれについて、複数の種類のなかから自身が所望するものを選択し端末20と接続する。次いで、利用者は、端末20の操作部24を用いて、初期設定動作乃至起動制御動作を実行するための操作を行う。端末20は、各ユニットからIDを取得すると、取得したIDと自端末のIDとを対応付けてサーバ装置70へ送信する。サーバ装置70は、各ユニットのIDと自端末のIDとを受信すると、受信したIDを対応付けてユーザ管理情報記憶領域721に記憶する。
【0051】
また、端末20は、自端末の走行制御処理におけるホイールユニット40の使用状況やダメージ状況等を表すホイール管理情報を生成し、生成したホイール管理情報とホイールIDとを対応付けてサーバ装置70へ送信する。また、端末20は、自端末の走行制御処理におけるアクセサリユニット30の使用状況やダメージ状態等を示すアクセサリ管理情報を生成し、生成したアクセサリ管理情報とアクセサリIDとを対応付けてサーバ装置70へ送信する。サーバ装置70は、ホイール管理情報やアクセサリ管理情報を受信すると、受信したホイール管理情報をホイール管理情報記憶領域722に記憶するとともに、受信したアクセサリ管理情報をアクセサリ管理情報記憶領域723に記憶する。
【0052】
なお、この実施形態では、端末20がホイール管理情報やアクセサリ管理情報を生成したが、これに限らず、ホイールユニット40が、自身の使用状況やダメージ状態等を検出するセンサ等を具備する構成とし、センサから出力される信号を端末20が受信することによってホイールユニット40の使用状況やダメージ状態を検出するようにしてもよい。同様に、アクセサリユニット30が、自身の使用回数やダメージ状態等を検出するセンサ等を具備する構成とし、センサから出力される信号を端末20が受信することによってホイールユニット40の使用状況やダメージ状態を検出するようにしてもよい。
【0053】
利用者は、端末20を用いて、サーバ装置70に記憶されたホイール管理情報やアクセサリ管理情報を確認することができる。具体的には、例えば、利用者が、端末20を用いて、ホイール管理情報とアクセサリ管理情報とを参照する旨の操作を行うと、端末20は、操作された内容に応じて、自端末の端末IDをサーバ装置70へ送信する。サーバ装置70は、端末20から端末IDを受信すると、まず、受信した端末IDに対応するホイールIDとアクセサリIDとを、ユーザ管理情報記憶領域721を参照して特定する。次いで、サーバ装置70は、特定したホイールIDに対応するホイール管理情報をホイール管理情報記憶領域722から読み出すとともに、特定したアクセサリIDに対応するアクセサリ管理情報をアクセサリ管理情報記憶領域723から読み出し、読み出したホイール管理情報とアクセサリ管理情報とを端末20へ送信する。端末20は、ホイール管理情報とアクセサリ管理情報とを受信すると、受信したホイール管理情報とアクセサリ管理情報とを、表示部23に表示する等して利用者に報知する。利用者は、表示部23に表示される画面を参照することで、自身が使用しているホイールユニット40やアクセサリユニット30のダメージ状態等を把握することができる。
【0054】
また、サーバ装置70は、ホイール管理情報記憶領域722やアクセサリ管理情報記憶領域723の記憶内容を参照し、記憶されたホイール管理情報やアクセサリ管理情報が予め定められた条件を満たす場合(例えば、使用回数が予め定められた閾値以上である場合や走行距離が予め設定された値を超えた場合、等)に、そのホイール管理情報に対応するホイールユニットやアクセサリ管理情報に対応するアクセサリユニット30と対応付けられた端末20に対して、その旨を通知する処理を行う。
あるいは、アクセサリユニット30または端末20、あるいはサーバ装置70は充電回数や放電時間等の情報に基づき、バッテリーが新品の状態と比較してどの程度2次電池としての性能が低下しているかを判定するようにし、この情報を上記アクセサリ管理情報に含めても良い。この場合、サーバ装置70は管理するユーザ(端末20)あるいは個別のアクセサリ30毎にバッテリーの交換時期等を適切に判断することができる。
【0055】
以上説明したように本実施形態によれば、サーバ装置70によって、端末ID、ホイールID及びアクセサリIDが一括して管理されるから、IDの管理を容易にすることができる。また、ホイールユニット40やアクセサリユニット30のダメージ状態等も管理するから、利用者(およびサーバ装置70に蓄積された情報を利用するメンテナンスサービス業者やユニットを製造するメーカ等)がホイールユニット40やアクセサリユニット30等の使用状況やダメージ状態を把握し易くすることができる。
【0056】
<E:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、ホイールユニット40と端末20とがシールド線等を用いた有線により接続されるようにしたが、これに限らず、ホイールユニット40と端末20とが無線によって接続されるようにしてもよい。好適には、ノイズ・障害対策が施されていることが望ましい。
【0057】
(2)上述の実施形態では、各ユニットがメモリに識別情報(ホイールユニットID等)を記憶するものとしたが、これに代えて、RFID等によって各ユニットの識別情報が付与乃至端末20にて読取可能にしてもよい。また、識別情報の電気的な記憶に限らず、バーコード等の光学読取可能なパターンコードを各ユニットの外装面等に印刷しておき、端末20にて光学的にコードを読み取る構成であってもよい。
【0058】
(3)上述の実施形態において、端末20に各ユニットを直接接続するものとして説明したが、端末20はフレームユニット10を介して他のユニットと接続するように構成してもよい。この場合、フレームユニット10が、ホイールユニット40やアクセサリユニットの着脱を検出するようにしてもよい。この場合、各ユニットが組みつけられるフレームユニット10も端末の一部として構成し、フレームユニット10に対する他のユニットの取付・取り外しを検出するセンサを備える構成とし、このセンサの検出に応じて構成置換の処理を自動的に実行するようにしてもよい。
【0059】
(4)構成の初期設定動作時あるいは構成置換を行う際、車両を構成するユニットの組み合わせから各ユニットを制御するためのプログラム・設定を自動判別するようにしてもよい。より具体的には、例えば、原動機付き車両として公道走行に必須のユニット(例えばウィンカー等の保安部品に対応するユニット等)が欠落している場合には、ホイールユニットにて所定の速度以上を出さないよう、制御プログラムにて保安上の制限が講じられるように制御してもよい。また、フレームユニット10に装着された1乃至複数のホイールユニット40をフレームユニット10(又は端末20)が認識し、端末20が、認識されたホイールユニット40に含まれる駆動制御部の一部または全てに対してホイールの駆動を指示するようにしてもよい。
【0060】
(5)上述の実施形態では、ホイールユニット40にモータが内蔵されている構成であったが、これに限らず、ホイールユニット40にモータが内蔵されていない構成であってもよい。また、モータを有する構成のホイールユニット40と、モータを有しない構成のホイールユニット40との2種類の構成のホイールユニット40を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、図6に示す車両200において、ホイールユニット40B、40C、40Dのいずれかをモータを有しないホイールユニット40としてもよい。また、例えば、図7に示す車両300において、ホイールユニット40E〜40Hのホイールユニット40のうち、一部(1又は複数)のホイールユニット40を動力なしのものを用いるようにしてもよい。また、図8に示す車両300において、ホイールユニット40E〜40H全てを動力なしのものとしてもよい。この態様によれば、利用者は、動力付のホイールユニットと動力なしのホイールユニットとの2種類のホイールユニットを選択して用いることができる。なお、モータを備えないホイールユニットの場合でも、上述した実施形態におけるホイールユニットと同様に、CPU、ROM、RAMを備え、端末20との間でのID情報の授受や制御プログラムに従った駆動制御(例えば、制動制御や舵角制御等)を適宜行う。
【0061】
(6)上述の第1乃至第3の実施形態において、端末20あるいは各ユニットが車両外のシステムとの間で通信を行い、外部より任意のタイミングにて種々の情報配信を受けるようにしてもよい。この場合、車両外のシステムとしては、例えば、GPS、ITSなどの道路情報システム、天気予報等の各種情報提供サーバ、他の車両等が挙げられる。また、例えば、救急車両が近づいた場合に、GPSや道路情報システムによりその接近を検知し、緊急車両が接近している旨を報知したり、さらに、自車両(端末20)と緊急車両との相対的な位置関係から緊急車両の方向を検出し、接近する救急車両の方向を報知するようにしてもよい。あるいはGPSや道路情報システムから得られる、進行方向の道路状況・道路形状等の情報に基づき、自動的に速度調整をしたり内輪差や蛇角の制御等を行うようにしてもよい。
【0062】
(7)上述の各実施形態では、一輪車両、二輪車両、四輪車両の場合についてそれぞれ説明したが、本発明が適用される車両はこれらに限らず、例えば、三輪車両や六輪車両等であってもよく、車輪の数はどのような数であってもよい。
【0063】
(8)上述の実施形態において、ホイールユニット40から端末20へ信号が出力され、端末20がホイールユニット40から出力される信号に応じて各種の処理を実行するようにしてもよい。例えば、端末20が走行距離に応じて音楽を再生するようにしてもよい。また、例えば、ホイールの回転数や回転速度に応じたテンポで音楽を再生するようにしてもよい。また、例えば、ワイパーやウィンカーの動作を再生される音楽のテンポと整合させるようにしてもよい。また、例えば、左折や右折の動作に合わせて再生される音楽を転調するようにしてもよい。
【0064】
(9)上述の実施形態において、アクセサリユニット30は、バッテリーや、オーディオ、保安機器、通信インタフェース等を含む構成であったが、これらに限らず、例えば、ハンドルやペダル等がアクセサリユニット30に含まれる構成であってもよい。また、アクセサリユニット30は、操作インタフェースや、高度な車両制御のための処理を代替する演算ユニット等を含む構成であってもよい。また、アクセサリユニット30がバッテリーのみを含む構成であってもよい。この場合は、アクセサリIDとして、バッテリーを識別するバッテリー識別情報(バッテリーID)が用いられる。
【0065】
(10)上述の実施形態では、端末によってホイールユニット40の制御を行ったが、これに限らず、他の操作子(例えば、ハンドル型の操作子、等)を外部接続する構成とし、外部接続された操作子を用いて利用者が運転動作を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、フレームユニット10にハンドル型の操作子を装着する構成とし、操作子から出力される信号に応じて、端末20がホイールユニット40の走行制御を行うようにしてもよい。
【0066】
(11)上述の実施形態において、フレームユニット10に端末20が装着されていない場合に、ホイールユニット40が装着された車両が、端末20の移動に応じて移動するようにしてもよい。具体的には、例えば、キャリーバッグ等の車両にホイールユニット40を装着する構成とし、端末とホイールユニット40との距離が予め定められた閾値以上となった場合に、ホイールユニット40が端末から受信される信号に応じて端末の方向を検出し、検出した方向に車両を移動するようにしてもよい。
【0067】
(12)ホイールユニット40の構成は上述の第1の実施形態にて説明した構成に限らない。モータ,制動部品,サスペンション、あるいは他のユニット(フレームユニット)に対する装着方法等、適宜選択が可能である。例えば、ホイールユニット40にサスペンションが内蔵される構成であったが、これに限らず、ホイールユニット40がサスペンションを有しない構成であってもよく、ホイールユニット40の一部として構成したモータや制動部品も「モータユニット」や「制動ユニット」としてホイールユニット40とは独立したユニットとして構成してもよい。
【0068】
(13)上述の実施形態における制御部172、制御部21、制御部71等によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由で各装置にダウンロードさせることも可能である。なお、このような制御を行う制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
2…タイヤ、11…ホイール、12…モータ、13…制動装置、14…回転軸、15…車軸、16…支持体、17…コントローラ、18…ダンパ、19…スプリング、20…端末、21,172…制御部、22,173…記憶部、23…表示部、24…操作部、25,171…通信部、30…アクセサリユニット、40…ホイールユニット、100,200,300…車両、70…サーバ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニット化された部品により一の車両が構成され、ユニットの種類乃至個数を変更することにより構成組み換え可能な車両のための車両構成管理システムであって、
ホイールと該ホイールを回転駆動させる駆動部と該駆動部によるホイールの回転駆動を制御する駆動制御部を含み、当該ユニットを一意に識別するホイール識別情報が予め付与されたホイールユニットと、
前記駆動部乃至駆動制御部に電力を供給するバッテリーを含み、当該ユニットを一意に識別するアクセサリ識別情報が予め付与されたアクセサリユニットと、
前記ホイールユニット及び前記アクセサリユニットから前記ホイール識別情報及び前記アクセサリ識別情報を取得する取得手段を備えた端末と
を具備し、
前記端末は当該端末の制御下に置かれるホイールユニット及びアクセサリユニットを識別するためのホイール識別情報及びアクセサリ識別情報を予め記憶しており、ユーザによる起動指示に応じて前記ホイールユニット及びアクセサリユニットから前記ホイール識別情報およびアクセサリ識別情報を取得し、該取得した識別情報と前記予め記憶した識別情報とを照合することによりユニットを認証し、認証に成功したことを条件に前記ホイールユニットおよび/またはアクセサリユニットを当該端末の制御下におくことを特徴とする車両構成管理システム。
【請求項2】
さらに、1又は複数の前記ホイールユニットが着脱自在に装着されるフレームユニット
を具備し、
前記端末は、
前記フレームユニットに装着された1乃至複数のホイールユニットを認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識されたホイールユニットに含まれる駆動制御部の一部または全てに対して駆動を指示する駆動指示手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の車両構成管理システム。
【請求項3】
前記端末は、該端末を識別する端末識別情報が予め付与されているとともに、該端末識別情報を前記ホイールユニット及びアクセサリユニットに対して供給し、
前記ホイールユニット及びアクセサリユニットは前記端末から供給された端末識別情報を予め記憶するよう構成され、
前記端末は、ユーザによる起動指示に応じて前記ホイールユニット及びアクセサリユニットに対して前記端末識別情報を送信し、前記ホイールユニット及びアクセサリユニットは、該送信された端末識別情報と前記予め記憶した端末識別情報とを照合することによって認証を行い、認証に成功したことを条件に前記端末による制御を受け入れること
を特徴とする請求項1又は2に記載の車両構成管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−239697(P2010−239697A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82709(P2009−82709)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】