説明

車両消毒装置

【課題】地面の掘削工事が不要で、設置・移設が容易な車両消毒装置を提供する。
【解決手段】平坦な地面G上に設置される平面視縦細長形の左右一対の浅皿状タイヤ消毒槽1,1を備えている。また、横桁部材9,9によって、左右のタイヤ消毒槽1,1が確実に連結保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口蹄疫や鳥インフルエンザ等の伝染病から家畜を保護するために、畜産施設に出入りする車両に消毒液を散布して、家畜伝染病の原因となるウィルスや細菌の侵入を防止する感染拡大防止策が講じられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−89951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
家畜伝染病の防疫を確実に行うには、土や家畜の排泄物が付着している車両のタイヤを特に重点的に消毒することが大事であり、消毒液の散布だけでは防疫が不十分である。
図11に示すように、従来の車両消毒装置は、まず地面Gを掘り下げてコンクリート打設を行って、窪地Pを形成し、その周辺に設けられていた。即ち、従来の車両消毒装置は、消毒液Aの供給を行なう消毒液供給器40を備え、窪地P内を通過する車両の上面及び側面に向けて消毒液Aを噴射する複数の噴射ノズル42…を備えると共に左右の脚を地面Gの上記窪地Pの左右側辺中央に打ち込んで立設したゲート41を設け、車両の下面を消毒するための下噴射ノズル44…を上向きに備える下部洗浄パイプ43を窪地Pの前辺又は後辺に形成した凹溝内に敷設し、さらに、窪地Pに消毒液Aを注入して設置した消毒槽として、ここに車両を通過させてタイヤを消毒液Aに浸漬することで、消毒を行っていた。
しかし、窪地Pを掘り下げるには、地面を掘削する工事が必要であり、重機を使った作業が非常に面倒で、かつ、コンクリート打設も必要で、車両消毒装置の設置に多大な労力を要していた。また、設置に時間(日数)も掛かり、通常の道路の横にバイパス道路を設けて、そこに掘削とコンクリート打設した消毒槽を形成することは一層多大な労力と日数を要した。
【0005】
そこで、本発明は、地面の掘削工事とコンクリート打設が不要で、設置・移設が容易な車両消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両消毒装置は、平坦な地面上に設置される平面視縦細長形の左右一対の浅皿状タイヤ消毒槽を備えたものである。
【0007】
また、左右一対の上記タイヤ消毒槽を、着脱自在に連結する横桁部材を有するものである。
また、上記消毒槽は、地面に沿って水平方向左右外方に突出するパイプ支持部材が付設され、上記消毒槽上を通過する車両の上面及び両側面に消毒液を吹き付ける複数の噴射ノズルを有する門型のアーチパイプ部材の左右各下端を、上記パイプ支持部材の外端に着脱自在に立設したものである。
【0008】
また、上記消毒槽は、その周壁部の前壁及び後壁に、上記車両のタイヤが乗り越えるための側面視山型のスロープ部を有するものである。
また、上記スロープ部は、前後各方向へ降下する傾斜部を有する複数のスロープ板を左右に並設して櫛歯状に構成され、しかも、上記前壁及び後壁を上記スロープ板の前後中間にて補強する補強板を兼用したものである。
また、上記スロープ部は、上記各スロープ板の下端縁に倒立U字状の切欠部を切欠形成し、上記車両の下面に消毒液を吹き付ける下噴射ノズルを有する下部洗浄パイプを、上記切欠部に挿通して着脱自在に取着しているものである。
また、上記消毒槽は、上記アーチパイプ部材を前後から引っ張るワイヤの下端が固着される一対のワイヤ連結部材が、地面に沿って水平方向左右外方に突出状として付設されているものである。
また、上記消毒槽の前後位置に光電式センサーを設けたものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両消毒装置によれば、タイヤ消毒槽を人力で運搬して設置できる。よって、車両のタイヤが通過する地面上に、少ない人員で、容易に設置・移設でき、作業が短時間で済み、感染力の強い家畜伝染病に迅速かつ柔軟な対応が可能となる。また、消毒液の殺菌能力を長持ちさせることができ、タイヤを確実に消毒して家畜伝染病の感染被害拡大を防止できる。特に、運搬と設置と撤去が迅速かつ容易であり、しかも、平坦な道路等の地面にそのまま設置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車両消毒装置の実施の一形態を示した平面図である。
【図2】車両消毒装置を示した正面図である。
【図3】車両消毒装置を示した側面図である。
【図4】タイヤ消毒槽の一例を示した拡大平面図である。
【図5】図4のX−X断面図である。
【図6】図4のY−Y拡大断面図である。
【図7】図4のZ−Z拡大断面図である。
【図8】スロープ部を分解状態で示した側面図である。
【図9】スロープ部を示した断面側面図である。
【図10】小型車両が通過している状態を示した正面図である。
【図11】従来の車両消毒装置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜図3に示すように、本発明の車両消毒装置は、牧場や畜舎等の畜産施設に進入・退出する車両Vを、消毒液Aによって消毒・殺菌する目的で使用され、複数の構成部に分解して運搬可能であり、かつ、平坦な地面等にそのまま(組立て)設置が可能な車両消毒ユニット10として構成されている。本発明の車両消毒装置は、平坦な地面G上に設置される平面視縦細長状の左右一対の浅皿状タイヤ消毒槽1,1を備えている。
タイヤ消毒槽1,1は、車両Vが通行する平坦な地面G上に運搬して設置することが可能であり、図中矢印で示した車両進行方向Sから走行してくる車両Vの進路上で、左右のタイヤT,Tが乗り上げるように、タイヤT,Tの軌道に沿って平行に2本並べて設置されている。タイヤ消毒槽1,1には、消毒液供給器4にて自動希釈して所定濃度で供給される消毒液Aが入れてある。消毒液Aは、消毒槽1,1上を転動するタイヤT,Tに付着した家畜伝染病の病原性ウィルスを不活性化し、細菌を含有した土を洗い落として、畜産施設の家畜を伝染病感染のリスクから保護している。また、逆に、畜産施設等から他の地域にウィルスや細菌が持ち出されることを防止している。タイヤ消毒槽1,1は、大小種々の車両VのタイヤT,Tの走行軌跡の輪幅より僅かに大きく設定した幅寸法W,Wを有し、間隔寸法Bをもって相互に隔離されている。
図2に於て、大型の車両Vが、最大幅寸法RのタイヤT,Tをもってタイヤ消毒槽1,1上を通過している状態を示している。これに対して、図10は、小型の車両V´が、最小幅寸法RのタイヤT,Tをもってタイヤ消毒槽1,1上を通過している状態を示している。車両消毒装置は、図2に示すような大型車両Vから、図10に示すような小型車両V´まで、寸法の異なるタイヤT,Tの消毒に対応できるように構成されている。タイヤ消毒槽1,1は、最小幅寸法RのタイヤT,Tの各内面が通過する軌道から、最大幅寸法RのタイヤT,Tの各外面が通過する軌道までを包含するように、配設される。タイヤ消毒槽1,1は、全ての車両V,V´のタイヤT,Tが必ずその上を通過できるように、間隔寸法Bをもって相互に隔離し、かつ、幅寸法W,Wを大小種々の車両のタイヤT,Tがタイヤ消毒槽1,1内を通過可能に設定している。
【0012】
本発明の車両消毒装置は、左右一対のタイヤ用消毒槽1,1を、着脱自在に連結する横桁部材9,9を有している。横桁部材9,9は、車両進行方向Sに対して直交方向に配設され、各消毒槽1に着脱自在に取付けられている。横桁部材9,9は、地面Gに沿って水平状に、左右の消毒槽1,1の間を架け渡すように設けられている。横桁部材9,9は、左右一対の消毒槽1,1に突き合わされる突っ支え棒として、消毒槽1,1を平行に保持している。この構成により、車両Vが消毒槽1,1上を走行する際に、消毒槽1,1の消毒液A中に左右のタイヤT,Tが確実に通過し、消毒が十分に行われる。
【0013】
車両消毒装置は、消毒槽1,1上を通過する車両Vの上面及び両側面に消毒液Aを吹き付ける複数の噴射ノズル20を有する門型のアーチパイプ部材2を具備している。消毒槽1,1には、地面Gに沿って水平方向左右外方に突出するパイプ支持部材7,7が付設され、アーチパイプ部材2の左右各下端を、パイプ支持部材7,7の外端7a,7aに着脱自在に立設している。
アーチパイプ部材2は、左右の脚部21,21に、夫々3つずつ横向きの噴射ノズル20…を有し、脚部21,21の上部に架け渡した水平状の梁部22に、下向きの噴射ノズル20…を3つ有している。噴射ノズル20…は、車両Vの上面及び両側面に満遍なく消毒液Aが当たるように配設され、全て内側に向けて消毒液Aを噴射するように設けられている。パイプ支持部材7,7の外端7a,7aには、アーチパイプ部材2の左右の脚部21,21の下端を支持する支柱12,12が付設されている。支柱12は、地面G上でアーチパイプ部材2の荷重を支持する基板としてのベースプレート12a上に、柱部12bを立設している。アーチパイプ部材2は、左右の脚部21,21の各下端を、支柱12,12の柱部12b,12bに着脱自在に(ボルトや締付バンド等の)固定具で固着している。脚部21,21の中間位置には、ワイヤ6,6が連結され前後方向から均等な力で引っ張られている。
【0014】
パイプ支持部材7,7は、金属浅皿型の消毒槽1,1にアーチパイプ部材2を連結すると共に、アーチパイプ部材2の脚部21,21を消毒槽1,1の外端から水平方向左右外方に所定の突出寸法Cをもって離れた位置に保持している。この構成により、車両消毒装置は、タイヤT,Tが左右の消毒槽1,1上を通過した際に、消毒槽1,1に連結したアーチパイプ部材2の左右方向のゲート幅寸法Bを十分に大きく確保し、余裕をもって車両Vが通行するように設置されている。
車両消毒装置は、平坦な地面G上に、車両VのタイヤT,Tに対応可能な(小さな)幅寸法W,Wをもって消毒槽1,1を配設し、パイプ支持部材7,7により消毒槽1,1から突出寸法Cをもって離れた位置にアーチパイプ部材2の脚部21,21を立設し、アーチパイプ部材2を車両Vの車体に干渉することのないように設置している。
【0015】
消毒槽1は、アーチパイプ部材2を前後から引っ張るワイヤ6,6の下端が固着される一対のワイヤ連結部材8,8が、地面Gに沿って水平方向左右外方に突出状として付設されている。
ワイヤ連結部材8,8は、ワイヤ6,6が車両Vに干渉しないように水平方向左右外方に突出している。ワイヤ6,6は、アーチパイプ部材2の脚部21,21の内側に係着され、アーチパイプ部材2が前後方向に揺動しないように固定している。ワイヤ6,6は、脚部21,21を左右外方に向けて引っ張っている。ワイヤ6,6によって、アーチパイプ部材2の脚部21,21の中間高さ部位が左右外方に張設されることで、梁部22に水平方向左右外方への張力が作用している。つまり、アーチパイプ部材2の梁部22は、常に水平方向左右外方へ引っ張られ、座屈変形しないように支持されている。なお、アーチパイプ部材2の梁部22には、脚部21,21の上端部に固着された座屈防止用ワイヤが連結されている。
【0016】
車両消毒装置は、車両Vの下面に消毒液Aを吹き付ける下噴射ノズル3aを有する下部洗浄パイプ3を具備している。下部洗浄パイプ3は、消毒槽1の車両進行方向S後方寄りに、着脱自在に取着されている。下噴射ノズル3a…は、車両Vの下面に満遍なく消毒液Aが当たるように3つ配設され、全て上側に向けて消毒液Aを噴射するように設けられている。
消毒槽1の車両進行方向S前方寄りには、操作ボックス5が設けられている。操作ボックス5は、地面Gに沿って水平に突設した連結部材5aの外端に立てた支柱5bの上部に設けられ、アーチパイプ部材2及び下部洗浄パイプ3による消毒液Aの噴射を開始させるスイッチを備えている。操作ボックス5のスイッチを押すと、消毒液Aの噴射が開始され、噴射開始からタイマー設定時間経過後に自動的に噴射を停止するように構成されている。なお、タイマー設定時間は、操作ボックス5において調整が可能となっている。
【0017】
図4〜図6に示すように、消毒槽1は、幅寸法Wが700mm〜1000mm、長さ寸法Lが3.5m〜5.0mの平面視縦細長形に形成され、タイヤTが転動可能なタイヤ転動底面部16を有し、かつ、タイヤ転動底面部16の左右前後の周縁部に沿って周壁部15を備えている。消毒槽1の底面から周壁部15の上端面までの高さ寸法Hは、30mm〜200mmに設定されている。周壁部15は、平面視矩形の包囲状の起立壁として形成され、車両進行方向S前方の前壁15aと、後方の後壁15bと、側壁15c,15cとを有している。周壁部15は、側壁15c,15cの外面に、複数の把手14…を並べて突設している。消毒槽1は、周壁部15に包囲されたタイヤ転動底面部16上に、タイヤTが乗り上げて転動するように構成している。タイヤ転動底面部16は、複数の補強部材16a…を車両進行方向Sの所定ピッチ毎に取付けて、タイヤTから受ける荷重に耐え得る強度に補強されている。消毒槽1には、図外の消毒液供給器4から所定量の消毒液Aが注入され、タイヤ転動底面部16から液面までの深さ寸法Dは、20mm〜180mmになるように調整されている。
【0018】
消毒槽1は、その周壁部15の前壁15a及び後壁15bに、車両進行方向S(又はその逆の方向)から進入してくるタイヤTが乗り越えるための側面視山型のスロープ部11を有している。
スロープ部11は、前後各方向へ降下する傾斜部18,18を有する複数のスロープ板19を左右に並設して櫛歯状に構成され、しかも、前壁15a及び後壁15bを、スロープ板19の前後中間にて補強する補強板を兼用している。
スロープ板19は、周壁部15の前壁15a及び後壁15bの上端面から地面G及びタイヤ転動底面部16まで緩やかな勾配で降下する傾斜部18,18を有している。傾斜部18,18の勾配は、10°〜30°に設定されている。スロープ板19は、厚さ寸法Fが6mm〜8mmの厚手の金属板にて形成されている。スロープ板19は、周壁部15の前壁15a及び後壁15bに対して垂直に、かつ、相互に平行に並べられている。
【0019】
消毒槽1は、周壁部15の後壁15bに有する後方のスロープ部11に、下部洗浄パイプ3を取り付けている。下部洗浄パイプ3は、櫛歯状に並べられた平行なスロープ板19,19間に、上方に向けて消毒液Aを噴射する下噴射ノズル3a…を配設している。
図8と図9に示すように、スロープ部11は、スロープ板19の下端縁19Aに倒立U字状の切欠部13を切欠形成し、下部洗浄パイプ3を、切欠部13に挿通して着脱自在に取着している。後方のスロープ部11は、組立式であって、スロープ板19の後半部分を形成する取付部材27が、消毒槽1の後壁15bに着脱自在に取着されている。取付部材27は、下端縁を切欠いて形成した倒立U字状の切欠部13を有し、切欠部13内に下部洗浄パイプ3を装着し、下方からU字型の配管固定板28を取付けて、下部洗浄パイプ3を押圧固定している。取付部材27は、後壁15bに突設したボルト部26が挿通される貫通孔27aを有し、ナット29にて消毒槽1に締着固定されている。配管固定板28は、ボルト・ナットにて取付部材27に固定されている。
【0020】
図4及び図5に示すように、消毒槽1は、前半部材31と後半部材32との2部品を組み合わせて一体に構成されている。言い換えると、消毒槽1は、前半部材31と後半部材32とが着脱自在に連結される連結部30を備えており、2部品に分割することが可能である。つまり、消毒槽1は、前半部材31と後半部材32とを各々分割して運搬可能であって、1人〜2人の人員で持ち運びできるように構成されている。
前半部材31及び後半部材32は、金属製で、夫々の重量が25kg〜35kgになるように作製されている。前半部材31及び後半部材32は、各左右外側面に把手14,14を2つずつ配設している。前半部材31及び後半部材32は、単独で水平状のまま持ち上げられた際に、把手14…に荷重が均等に掛かるように重量バランスを考慮して設計されている。
【0021】
図7に示すように、消毒槽1は、連結部30に、消毒液Aの漏出を防止するパッキン17を備えている。パッキン17は、耐腐食ゴム製で、前半部材31の後端に設けられた接合板部31aと、後半部材32の前端に設けられた接合板部32aとの間に介装されている。消毒槽1は、パッキン17を介して接合板部31a,32aをボルト・ナットにて締結している。
【0022】
上述した本発明の車両消毒装置の使用方法(作用)について説明する。
図1、図2、図3に示すように、車両消毒装置を、車両Vの通行する道路等の平坦な地面G上に設置する。タイヤ消毒槽1,1を、夫々2つの部品(前半部材31と後半部材32)に分割して運搬し、タイヤT,Tの軌道に沿うように設置する。前半部材31と後半部材32とを、ボルト・ナットを用いて連結し、横桁部材9,9を架け渡して左右のタイヤ消毒槽1,1を相互に連結する。左右並列状に配設され一体に連結されたタイヤ消毒槽1,1に、パイプ支持部材7,7、ワイヤ連結部材8,8、操作ボックス5を取着して、パイプ支持部材7,7の外端7a,7aにアーチパイプ部材2を立設し、ワイヤ6,6で固定する。そして、タイヤ消毒槽1,1の後方のスロープ部11に、下部洗浄パイプ3を取付ける。
このように、車両消毒装置を部品毎に分解して運搬可能な車両消毒ユニット10としたことにより、地面Gを掘り下げる工事をすることなく平坦な地面G上にタイヤ消毒槽1,1を設置し、基台としての消毒槽1,1に着脱自在の構成部品を取付けて、迅速に車両消毒装置を組み立て得る。
【0023】
タイヤ消毒槽1,1に、消毒液供給器4から供給される消毒液Aを注入すると共に、アーチパイプ部材2及び下部洗浄パイプ3に消毒液供給器4から消毒液Aを流入するためのホースを接続する。
車両Vの運転手又は作業員が、操作ボックス5のスイッチを押すと、アーチパイプ部材2の噴射ノズル20…と下部洗浄パイプ3の下噴射ノズル3a…から消毒液Aがジェット状乃至霧状に噴射される。車両Vは、ゆっくりと消毒槽1,1上に進入し、車体の上面、両側面、下面及びタイヤT,Tを消毒する。この際、車両VのタイヤT,Tは、スロープ部11をスムーズに昇降して周壁部15の前壁15a及び後壁15bを乗り越える。消毒槽1,1上を通過するタイヤT,Tは、消毒液Aに浸漬されて確実に消毒される。また、スロープ部11を櫛歯状に構成しているため、下部洗浄パイプ3の下噴射ノズル3a…から上方に噴射された消毒液Aが、確実に車両Vの下面を洗浄・消毒する。
なお、車両進行方向Sとは反対方向から車両Vが通行してくる場合には、作業員が操作ボックス5のスイッチを押してから、車両Vが消毒槽1,1上に進入する。
【0024】
なお、本発明の車両消毒装置は、設計変更可能であって、例えば、噴射ノズル20の個数は増減可能であり、また、操作ボックス5を省略して、消毒槽1,1の前後位置に対面状の光電式センサーを設けるも好ましい。この光電式センサーを、消毒槽1,1の前後位置に設けることで、消毒すべき車両Vを自動検知して消毒液Aの噴射を開始及び停止するので、作業員がスイッチを押す必要がなく、非常に便利である。
ところで、本発明は車両洗滌装置として、上述した構成を用いることもできる。即ち、消毒槽1を洗滌水槽とし、消毒液供給器4を洗滌水供給器とし、車両消毒ユニット10を車両洗滌ユニットとし、消毒液Aとしては洗滌水とすれば良い。このように構成した車両洗滌装置であれば、洗滌水槽を人力や車両で容易に運搬でき、車両VのタイヤT,Tが通過する平坦な地面G上に、容易に設置や移設が可能となる。かつ、車両の左右のタイヤT,Tが正確な左右間隔に保持された洗滌槽にて確実に美しく洗滌できる。また、洗滌すべき車両をスムーズに侵入・退出できて、通過も確実容易であり、車両下面も洗滌され易い。
【0025】
以上のように、本発明に係る車両消毒装置は、平坦な地面G上に設置される平面視縦細長形の左右一対の浅皿状タイヤ消毒槽1,1を備えたので、消毒槽1,1を人力や車両にて容易に運搬できる。よって、車両VのタイヤT,Tが通過する平坦なままの地面G上に、少ない人員で、容易に設置・移設できる。また、消毒液Aの殺菌能力を長持ちさせることができ、タイヤT,Tを確実に消毒して家畜伝染病の感染被害拡大を防止できる。
【0026】
また、左右一対のタイヤ消毒槽1,1を、着脱自在に連結する横桁部材9,9を有するので、左右一対の消毒槽1,1に突き合わされる突っ支え棒として、消毒槽1,1を平行に保持し、車両Vが消毒槽1,1上を走行する際に、消毒槽1,1の消毒液A中に左右のタイヤT,Tが確実に通過し、消毒が十分に行われる。
【0027】
また、消毒槽1,1は、地面Gに沿って水平方向左右外方に突出するパイプ支持部材7,7が付設され、消毒槽1,1上を通過する車両Vの上面及び両側面に消毒液Aを吹き付ける複数の噴射ノズル20を有する門型のアーチパイプ部材2の左右各下端を、パイプ支持部材7,7の外端7a,7aに着脱自在に立設したので、消毒槽1,1を、大小種々の車両VのタイヤT,Tに対応可能な小さな幅寸法W,Wをもって配設でき、かつ、アーチパイプ部材2の左右方向のゲート幅寸法Bを十分に大きく確保でき、余裕をもって車両Vが通行できる。
【0028】
また、消毒槽1は、その周壁部15の前壁15a及び後壁15bに、車両VのタイヤTが乗り越えるための側面視山型のスロープ部11を有するので、タイヤT,Tがスムーズに消毒槽1,1上を通過できる。
【0029】
また、スロープ部11は、前後各方向へ降下する傾斜部18,18を有する複数のスロープ板19を左右に並設して櫛歯状に構成され、しかも、前壁15a及び後壁15bをスロープ板19の前後中間にて補強する補強板を兼用したので、前壁15a及び後壁15bがタイヤT,Tの荷重を受けて屈曲・破損することがなく、しかも、タイヤ消毒槽1,1を軽量化できる。
【0030】
また、スロープ部11は、スロープ板19の下端縁19Aに倒立U字状の切欠部13を切欠形成し、車両Vの下面に消毒液Aを吹き付ける下噴射ノズル3aを有する下部洗浄パイプ3を、切欠部13に挿通して着脱自在に取着しているので、タイヤ消毒槽1,1に下部洗浄パイプ3を一体状に連結して設置できる。下部洗浄パイプ3を、タイヤT,Tの荷重により破損しないように保護できる。下部洗浄パイプ3の下噴射ノズル3a…から上方に噴射される消毒液Aにより、確実に車両Vの下面を洗浄・消毒できる。
【0031】
また、消毒槽1は、アーチパイプ部材2を前後から引っ張るワイヤ6,6の下端が固着される一対のワイヤ連結部材8,8が、地面Gに沿って水平方向左右外方に突出状として付設されているので、ワイヤ6,6が車両Vに干渉せず、余裕をもって車両Vが通行できる。また、アーチパイプ部材2が前後に揺動せず安全である。
また、上記消毒槽1の前後位置に光電式センサーを設けた構成とすれば、消毒すべき車両Vを自動検知して消毒液Aの噴射を開始及び停止するので、作業員がスイッチを押す必要がなく、非常に便利である。
【符号の説明】
【0032】
1 タイヤ消毒槽
2 アーチパイプ部材
3 下部洗浄パイプ
3a 下噴射ノズル
6 ワイヤ
7 パイプ支持部材
7a 外端
8 ワイヤ連結部材
9 横桁部材
11 スロープ部
13 切欠部
15 周壁部
15a 前壁
15b 後壁
18 傾斜部
19 スロープ板
19A 下端縁
20 噴射ノズル
G 地面
V 車両
A 消毒液
T タイヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な地面(G)上に設置される平面視縦細長形の左右一対の浅皿状タイヤ消毒槽(1)(1)を備えたことを特徴とする車両消毒装置。
【請求項2】
左右一対の上記タイヤ消毒槽(1)(1)を、着脱自在に連結する横桁部材(9)(9)を有する請求項1記載の車両消毒装置。
【請求項3】
上記消毒槽(1)(1)は、地面(G)に沿って水平方向左右外方に突出するパイプ支持部材(7)(7)が付設され、
上記消毒槽(1)(1)上を通過する車両(V)の上面及び両側面に消毒液(A)を吹き付ける複数の噴射ノズル(20)を有する門型のアーチパイプ部材(2)の左右各下端を、上記パイプ支持部材(7)(7)の外端(7a)(7a)に着脱自在に立設した請求項1又は2記載の車両消毒装置。
【請求項4】
上記消毒槽(1)は、その周壁部(15)の前壁(15a)及び後壁(15b)に、上記車両(V)のタイヤ(T)が乗り越えるための側面視山型のスロープ部(11)を有する請求項1,2又は3記載の車両消毒装置。
【請求項5】
上記スロープ部(11)は、前後各方向へ降下する傾斜部(18)(18)を有する複数のスロープ板(19)を左右に並設して櫛歯状に構成され、しかも、上記前壁(15a)及び後壁(15b)を上記スロープ板(19)の前後中間にて補強する補強板を兼用した請求項4記載の車両消毒装置。
【請求項6】
上記スロープ部(11)は、上記スロープ板(19)の下端縁(19A)に倒立U字状の切欠部(13)を切欠形成し、
上記車両(V)の下面に消毒液(A)を吹き付ける下噴射ノズル(3a)を有する下部洗浄パイプ(3)を、上記切欠部(13)に挿通して着脱自在に取着している請求項5記載の車両消毒装置。
【請求項7】
上記消毒槽(1)は、上記アーチパイプ部材(2)を前後から引っ張るワイヤ(6)(6)の下端が固着される一対のワイヤ連結部材(8)(8)が、地面(G)に沿って水平方向左右外方に突出状として付設されている請求項3,4,5又は6記載の車両消毒装置。
【請求項8】
上記消毒槽(1)の前後位置に光電式センサーを設けた請求項3記載の車両消毒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−46083(P2012−46083A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190323(P2010−190323)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(597095120)株式会社岡常歯車製作所 (19)
【Fターム(参考)】