車両無線装置
【課題】携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことのできる車両無線装置を得る。
【解決手段】車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8とを車両1のボディを挟んで内外に対をなすよう設置する。検出器9〜11は、車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8で受信した携帯機2からの無線信号の信号強度を算出する。ECU12は、検出器9〜11で算出した車外用アンテナ3〜5における信号強度と車内用アンテナ6〜8における信号強度とを比較し、携帯機2が車室内外の何れに存在するかを判定する。
【解決手段】車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8とを車両1のボディを挟んで内外に対をなすよう設置する。検出器9〜11は、車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8で受信した携帯機2からの無線信号の信号強度を算出する。ECU12は、検出器9〜11で算出した車外用アンテナ3〜5における信号強度と車内用アンテナ6〜8における信号強度とを比較し、携帯機2が車室内外の何れに存在するかを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信によって車両のドアの施錠・開錠を行うスマートキーレス装置に用いられる車両無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートキーレス装置は、物理キーを使用することなく、自動車のドアを遠隔操作で施錠したり開錠したりすることが可能である。これは、携帯電子キー(以降、携帯機と呼ぶ)を所持する利用者が自動車に搭載された車載無線機の検知エリアに入り、携帯機と車載無線機間でキー情報の認証ができれば車両ドアが開錠されるというものである。その際、利用者は物理キーを使用する必要が無い。
【0003】
従来のスマートキーレス装置は、例えば、周波数315MHzのUHF(Ultra‐High Frequency:極超短波)帯の無線信号と、130kHzのLF(Long Frequency:長波)帯の無線信号が使用される。周波数315MHzのUHF帯は、RF(Radio frequency)帯と呼ばれている。RF帯の無線信号は携帯機のキー情報(ID)のデータ通信に使用される。LF帯の無線信号は携帯機のエリア検知に使用される。
【0004】
従来のスマートキーレス装置の構成は、車載無線機と携帯機からなり、車載無線機は自動車に搭載され、携帯機は自動車を使用する利用者(ユーザ)が所持する。ドアロック開錠の動作は次の通りである。即ち、携帯機を所持する利用者が、ドアノブを引く又はドア・スイッチを押す動作をトリガとして、車載無線機はLF帯アンテナから携帯機へエリア検知信号を送信し、エリア検知信号の受信可否で携帯機の車室内外判定処理を行う。携帯機はエリア検知信号の応答として、予め設定されている鍵情報を変調してRF信号で車載無線機に返信する。車載無線機は、携帯機の車室内外判定の結果と鍵データを照合し、携帯機が車室外に存在し、鍵データが一致すればドアロックを開錠する。
【0005】
携帯機の車室内外判定は、例えば、特許文献1に示されているように、車室内に存在する携帯端末と通信を行うための車室内アンテナと、車室外に存在する携帯端末と通信を行うための車室外アンテナを設置し、車室内アンテナを介した通信状態と車室外アンテナを介した通信状態とに基づいて、携帯端末が車室内に存在するのか、或いは車室外に存在するのかを判別していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−124863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されたような車両無線装置では、車体のシールド効果により、携帯機が車室内に存在する場合は、携帯機が送信した電波は車室内アンテナのみで受信でき、車室外アンテナでは受信できない。或いは車室内アンテナの受信強度が車室外アンテナの受信強度よりも大きくなる。また携帯機が車室外に存在する場合は、車室外アンテナのみで受信でき、車室内アンテナでは受信できない。或いは車室外アンテナの受信強度が車室内アンテナの受信強度より大きくなる。
【0008】
しかしながら、従来装置で利用される車体シールド効果は一定でなく、車室内に存在する携帯機が送信した電波が、車室外へ強く放出される方向(位置)が存在する。また、車室外に存在する携帯機が送信した電波が、車室内へ強く進入する方向(位置)も存在する。そのため、車室内アンテナと車室外アンテナの位置によっては、携帯機が車室内に存在しても、車室外アンテナの受信強度が車室内アンテナの受信強度より大きくなる場所がある。逆に、携帯機が車室外に存在し、車室内アンテナの受信強度が車室内アンテナの受信強度より大きくなる場所がある。このように、車室内アンテナと車室外アンテナの受信強度が逆転する箇所が存在し、上記従来装置の構成では車室内外判定を誤る可能性があり、携帯機の車室内外を正しく判定することができないという問題があった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことのできる車両無線装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る車両無線装置は、無線通信機能を有する携帯機と、携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、車載無線機は、車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、車外用アンテナと車内用アンテナで受信した携帯機からの無線信号の信号強度を算出する検出手段と、検出手段で算出した車外用アンテナにおける信号強度と車内用アンテナにおける信号強度とを比較し、携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の車両無線装置は、車外用アンテナと車内用アンテナを車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置し、これらの信号強度を比較して携帯機の車室内外の判定を行うようにしたので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による車両無線装置の全体構成を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車両無線装置を適用した車両の斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車両無線装置の車外用アンテナと車内用アンテナの取り付け位置とこれらアンテナで受信する信号強度の分布を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による車両無線装置の検出器とECUを示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1による車両無線装置の検波器の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1による車両無線装置の車両のドア施錠状態からドアロック開錠に至る動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1による車両無線装置の車両のエンジン停止状態からエンジン始動に至る動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1による車両無線装置の多数決判定処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1による車両無線装置の各ドアに設置した車内外アンテナでの判定結果と多数決判定結果の関係を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態2による車両無線装置の検出器とECUを示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態3による車両無線装置の検出器とECUを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
本発明は、携帯機が車両の車室内に存在するか、或いは車室外に存在するかを判別する車載無線機の装置構成と判定手順に関するものであり、先ず、その構成について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による車両無線装置の全体構成図である。
図2は、この発明の実施の形態1による車両無線装置を搭載した車両の斜視図である。
これらの図において、車両1には、車両1の車外に設置され携帯機2からの無線信号を受信するための車外用アンテナ3,4,5が設置されている。また、車両1の車内には、携帯機2からの無線信号を受信するための車内用アンテナ6,7,8が設置されている。車外用アンテナ3と車内用アンテナ6は、車両1の運転席ドアを挟んで対となるよう設置され、また、車外用アンテナ4と車内用アンテナ7は、車両1の助手席ドアを挟んで対となるよう設置されている。さらに、車外用アンテナ5と車内用アンテナ8は、車両1後方のドアを挟んで対となるよう設置されている。
【0014】
車外用アンテナ3と車内用アンテナ6には、これらアンテナにおける受信強度を算出するための検出器9が、また、車外用アンテナ4と車内用アンテナ7には、これらアンテナにおける受信強度を算出するための検出器10が、さらに、車外用アンテナ5と車内用アンテナ8には、これらアンテナにおける受信強度を算出するための検出器11がそれぞれ接続されている。
尚、車両1の両側面ドアは運転席側のドアと助手席側のドアを示し、車両の後方ドアは車両1の形状がセダンタイプであればトランク(ラゲッジ)ドアを、ミニバンタイプ等であればハッチバックドアを示す。また、検出器9〜検出器11は、それぞれ携帯機2からの無線信号の信号強度を算出する検出手段を構成している。
【0015】
検出器9〜検出器11は、それぞれ電気制御ユニット(以降、ECUと呼ぶ)12に接続され、ECU12には、これら検出器9〜検出器11が出力する受信強度データが入力されるようになっている。ECU12は、検出器9〜検出器11からの受信強度データに基づいて携帯機2の車室内外判定処理を行う機能を有している。また、ECU12には、データ通信用アンテナ13が送受信手段14を介して接続されると共に、エンジンスタートスイッチ15やドアロック解除スイッチ(ドアノブ)16が接続されている。データ通信用アンテナ13は、携帯機2とキー情報(ID)を無線通信するためのアンテナであり、送受信手段14はデータ通信用アンテナ13をECU12に接続するためのデータ通信処理を行う手段である。また、エンジンスタートスイッチ15は車両1のエンジンを始動させるためのスイッチである。さらに、ドアロック解除スイッチ16は車両1の運転席ドアのドアロックを解除するためのスイッチであり、図中では省略しているが、ドアノブは助手席ドアと後部ドアにも存在する。
また、車載無線機は、以上の車外用アンテナ3〜ドアロック解除スイッチ16の構成を含むものである。
【0016】
車外エリア17は、車両1の運転席ドア付近の車外に設けられたエリア、車外エリア18は、助手席ドア付近の車外に設けられたエリア、車外エリア19は、トランクドア付近の車外に設けられたエリアを示し、また、車内エリア20は、車両1の内部に設けられたエリアである。
【0017】
判定境界21は、運転席ドアに設置した車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の受信強度から形成される境界面であり、判定境界22は、助手席ドアに設置した車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の受信強度から形成される境界面、判定境界23は、後部ドアに設置した車外用アンテナ5と車内用アンテナ8の受信強度から形成される境界面である。これら判定境界21,22,23は、携帯機2が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定するための境界面である。携帯機2が車外エリアに存在する場合は、車外用アンテナの受信強度が大きく、携帯機2が車内エリアに存在する場合は、車内用アンテナの受信強度が大きい。判定境界21,22,23と受信強度の関係は、以降の図3を用いて詳しく説明するが、判定境界は車外用アンテナの受信強度と車内用アンテナの受信強度の大小関係が反転する位置であり、車内用アンテナと車外用アンテナを設置した車両ドアの車室内外の境界と一致する。判定境界21,22,23は、図1または図2に示すように車両ドア面と平行に境界面が設定できる。図2において、判定境界21,22,23は、明示的に示したものであり、車両1のルーフ(天井)エリアでも、設置した車内外アンテナの受信強度の大小比較から携帯機2の車内外判定は可能である。即ち、運転席ドアや助手席ドア及び後部ドアといったドア以外であっても車両1のボディを挟んで設置することで携帯機2の車内外判定を行うことが可能である。
【0018】
従来のスマートキーレス装置は、315MHzの無線信号で携帯機2が保持するキー情報(ID)のデータ通信を行い、130kHzの無線信号で携帯機2の車室内外判定を行っている。本発明では、データ通信と車室内外判定に用いる無線信号は同じ周波数とし、たとえば従来スマートキーレス装置のデータ通信に用いられている315MHzとする。
【0019】
130kHzの無線信号を車室内外判定に用いた場合、130kHzのデータ無線信号は315MHzのデータ通信信号に比べて波長が長く、車両実装可能な小型アンテナで効率よく信号受信するために、フェライトなどの透磁率の高い棒状のコアに、表面を絶縁皮膜した銅線を巻き付けたバーアンテナが使用されている。そのため130kHzのアンテナは高価であり、315MHzのアンテナより小型化し難い課題があった。
本発明では、データ通信用と車室内外判定用の無線信号の周波数を315MHzに共通化することで、車載アンテナの共通化、小型化、低コスト化が可能となる。
尚、無線信号の周波数は315kHz以外に、従来の車室内外判定に用いる130kHzでも、さらにRF−IDタグで用いられる915MHzや2.45GHzとしても、本発明で記載の車室内外判定機能を実現することは可能である。
【0020】
図3は、車外用アンテナと車内用アンテナの取り付け位置と、車外用アンテナと車内用アンテナで受信する信号強度の分布を説明する図である。31は車両1の運転席ドアを示し、図3(a)は車両を上部から見た上面図で示している。32は、アンテナ取り付け位置を説明するための、車両進行方向と平行な運転席ドア31の軸である。
受信強度33は車外用アンテナ3で受信した携帯機2からの無線信号の受信強度を示し、受信強度34は車内用アンテナ6で受信した携帯機2からの無線信号の受信強度を示している。図3(b)における受信強度分布35は、図3(a)に示すラインA−A’に沿って携帯機2を移動させた際に、車外用アンテナ3で受信する受信強度の分布を示し、受信強度分布36は同じくラインA−A’での車内用アンテナ6で受信する受信強度の分布である。また、強度差分布37は、図3(a)に示すラインA−A’での車外用アンテナ3の受信強度分布35と車内用アンテナ6の受信強度分布36から求められる強度差の分布である。図3(c)における受信強度分布38は、図3(a)に示すラインB−B’での車外用アンテナ3で受信する受信強度の分布を示し、受信強度分布39は車内用アンテナ6で受信する受信強度の分布である。また、強度差分布40は車外用アンテナ3の受信強度分布38と車内用アンテナ6の受信強度分布39から求められる強度差の分布である。
【0021】
次に、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の取り付け位置について説明する。
車外用アンテナ3は、車室内または車室外に存在する携帯機2の無線信号を受信する。携帯機2と車外用アンテナ3の距離が近いと受信強度が大きく、距離が離れるに従って受信強度は弱くなる。車内用アンテナ6は、金属体である運転席ドア31を挟んだ車内側で、車外用アンテナ3と対をなす位置に取り付けられ、車室外または車室内に存在する携帯機2の無線信号を受信する。車内用アンテナ6の受信強度34は、車外用アンテナ3の受信強度33と同様に、車内用アンテナ6から離れるに従ってその値が弱くなる。
【0022】
車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の対をなす位置の取り付けとは、図3(a)に示すように、運転席ドア31の車両進行方向と平行な軸32を基準として、運転席ドア31を挟んでドア面の内外に対称となる位置で、アンテナの高さが同じ位置に設置することである。車外用アンテナ3と車内用アンテナ6のドア面からの離隔距離は、使用する無線信号の波長の10%未満であれば、車内外アンテナをドア面に密着して設置した状態と同様の受信強度の特性を得ることができる。
【0023】
図3(b)は、図3(a)に記載したラインA−A’での車外用アンテナ3と車外用アンテナ6の受信強度分布を示す図である。車外用アンテナ3で受信する受信強度分布35では、車外エリアでは車外用アンテナ3と携帯機2の距離、即ち、無線信号の伝搬距離に従って受信強度が弱くなる。車内エリアでは、金属体の運転席ドア31で伝搬が遮蔽されるため、運転席ドア31を境にして受信強度分布35における受信強度は急激に弱くなる。一方、車内用アンテナ6で受信する受信強度分布36は、車内エリアでは車内用アンテナに近い位置は受信強度が強く、離れるに従って受信強度が弱くなる。車外エリアは運転席ドア31で携帯機2からの無線信号の伝搬が遮蔽されるので、運転席ドア31から車外エリアでは受信強度が弱くなる。
【0024】
上記のように、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6を、車両金属体である運転席ドアを挟んで対をなす位置に設置することで、車室外に存在する携帯機2が送信した無線信号は、金属体である運転席ドアで伝搬が遮蔽され、車室内に伝搬した無線信号の信号強度が減衰する。これにより、車外用アンテナ3で受信される信号強度と車内用アンテナ6で受信される信号強度の差が、伝搬距離の違いによる信号強度の差(自由空間伝搬損失による強度差)より、大きくなるので信号強度の比較により携帯機2が車室外に存在することを正確に判別できるようになる。また逆に、車室内に存在する携帯機2が送信した無線信号は、金属体である運転席ドアで遮蔽されて、車室外に伝搬した無線信号の信号強度が小さくなるので、車外用アンテナ3で受信される信号強度と車内用アンテナ6で受信される信号強度の差が大きくなり、携帯機が車室内に存在することを正確に判断できるようになる。
【0025】
車外用アンテナ3の受信強度分布35の値から車内用アンテナ6の受信強度分布36の値を減算することで求めたラインA−A’の強度差分布37は、運転席ドア31の位置と、強度差が車外エリアのプラス値から車内エリアのマイナス値への変化が一致している。これにより、強度差分布37の符号がプラスであれば携帯機2は車室外に存在すると判断できる。逆に強度差分布37の符号がマイナスであれば携帯機2は車室内に存在すると判定することができる。さらに、強度差分布37の符号が反転する位置が運転席ドア31と一致するので、内外判定境界を運転席ドア31の内外境界と合わせることができる。
【0026】
次に、図3(a)に示すラインB−B’での車外用アンテナ3と車外用アンテナ6の受信強度分布(図3(c))について説明する。このラインB−B’は、ラインA−A’に対して、車両1の前方にシフトし、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6を結ぶラインとは異なる位置での強度分布を示すものである。ラインB−B’での車外用アンテナ3の受信強度分布38と、車内用アンテナの受信強度分布39は、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6から(車両前方に)離れることで、ラインA−A’での受信強度よりも全体的に低下するが、運転席ドア31の遮蔽による受信強度分布の傾向は同じである。車外用アンテナ3の受信強度分布38は、車外エリアで大きく、遮蔽を受ける車内エリアでは小さい。逆に車内用アンテナ6の受信強度分布39は、車内エリアで大きく、遮蔽を受ける車外エリアでは小さい。
【0027】
車外用アンテナ3の受信強度分布38の値から車内用アンテナ6の受信強度分布39の値を減算することで求めたラインB−B’での強度差分布40は、車外エリアのプラス値から車内エリアのマイナス値への変化が運転席ドア31位置と一致する。よってラインA−A’の強度差分布37と同じく強度差分布40の符号から、ラインB−B’においても、携帯機2の車室内外を判定することができ、車室内外の判定境界を運転席ドア位置(境界)にあわせることができる。ラインA−A’とラインB−B’で、携帯機2の車室内外判定境界は運転席ドア31の車室内外の境界と合わせることができるので、図3には示していないが、運転席ドアに直交する他のラインでも、同様に携帯機2の車室内外判定境界は運転席ドア31の車室内外の境界と合わせることができる。説明は省略するが、同様のことは助手席ドアや後部ドアでも、携帯機2の車室内外判定境界をドアの車室内外の境界と合わせることができる
これにより、図1に示す判定境界21,22,23のように、車両ドアを挟んで内外に対をなす位置に設置することで、車内外の判定境界を車両ボディに沿った直線で設定することができ、車両ボディに沿って車内外位置を判定することができる。
【0028】
さらに、図3(a)には示していないが、ラインA−A’を垂直に上方向にずらしたライン、または垂直に下方向にずらしたラインにおいても、図3(b)で示した強度差分布と同じ、車外エリアのプラス値から車内エリアのマイナス値への変化が運転席ドア31位置と一致する特性が成立する。
これにより、図2に示す様に、車両ドアを挟んで内外に対をなす位置に設置することで、車内外の判定境界を車両ボディに沿った面で設定することができ、車両ボディに沿って車内外位置を判定することができる。
【0029】
車外用アンテナ3の取り付け位置は、アンテナ取り付けの容易性、取り付けの耐久性、かつ車両1のデザイン性を考慮して、運転席ドアのドアノブ内に実装する。車外用アンテナ3と対をなす車内用アンテナ6の取り付け位置は、運転席ドア31の車両進行方向と平行な軸32を基準として対称となる運転席ドアの内側位置で、車外用アンテナ3と同じ高さとする。これにより、車内外の判定境界を車両ボディに沿った直線(平面)で設定することができ、車両ボディに沿って車内外位置を判定することができる。
【0030】
また、別の車内用アンテナ6の取り付け位置は、運転席ドア(金属体)による無線信号の遮蔽効果を高めるために、上記の車内用アンテナ6の取り付け位置から、使用する無線信号の波長の20%未満の範囲で、車外用アンテナ3より低い位置に取り付けてもよい。これにより、ドアのウィンドウ枠で回折して車室内に伝搬する無線信号を受信し難くする効果が得られ、より携帯機2の車室内外位置を正しく判定することができる。車内用アンテナ6を車外用アンテナ3より高い位置への取り付けは、ドアウィンドウより高い位置では運転席ドアによる遮蔽効果を得ることができないので、ドアウィンドウより低い位置とする。
【0031】
さらに、別の車内用アンテナ6の取り付け位置は、アンテナ取り付けの容易性または車両1の内装デザイン性を考慮して、車内用アンテナ6を使用する無線信号の波長の20%未満の範囲で車外用アンテナ3から車両進行方向の前後にずらした位置に取り付けてもよい。この車内用アンテナ6の取り付け位置においても、車両ボディによる電波遮蔽効果を得ることができ、携帯機の車室内外位置を正しく判定することができる。
【0032】
車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の取り付け位置は助手席ドアとし、運転席ドアに取り付けた車外用アンテナ3と車内用アンテナ6と同様に実装する。車外用アンテナ5と車内用アンテナ8は、セダンタイプの車種はトランクドアの車外側と車内側に取り付ける。ワンボックスタイプの車種では、ハッチバックドアの車外側に車外用アンテナ5を、車内側に車内用アンテナ8を取り付ける。
以上では、運転席ドア、助手席ドア、後部ドアの3箇所に、車載アンテナを取り付ける構成を説明したが、運転席側の後部座席ドア、助手席側の後部座席ドアに車載アンテナを追加した構成でもよい。
【0033】
図4は、検出器9とECU12の装置構成を示すブロック図である。尚、検出器10及び検出器11の内部構造は同一であるため、図4ではこれら検出器10,11の内部構成を省略している。
図4において、検出器9は、増幅器91,92、帯域フィルタ93,94、検波器95,96、データ伝送手段97を備えている。増幅器91は車外用アンテナ3からの信号を増幅する増幅器であり、増幅器92は、車内用アンテナ6からの信号を増幅する増幅器である。帯域フィルタ93,94は、それぞれ増幅器91,92で増幅された信号を入力し、所定周波数帯域のみを透過させるバンドパスフィルタである。検波器95,96は、帯域フィルタ93,94から出力された信号に基づき、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6における受信強度を算出するための検波器であり、データ伝送手段97は、それぞれの検波器95,96で検出された信号強度データをECU12に伝送するための手段である。
【0034】
ECU12は判定手段121と車両制御手段122を備えている。判定手段121は、検出器9〜検出器11から伝送される受信強度データに基づいて携帯機2の車室内外判定を行う手段であり、車両制御手段122は、判定手段121の車室内外判定結果により、ドアロック解除(または施錠)を行う制御手段である。また、出力信号122aは、車両制御手段122から出力され、車両ドアをロック(施錠)またはアンロック(開錠)する指令信号であり、入力信号122bは、車両制御手段122に入力される、エンジンスタートスイッチ15やドアロック解除スイッチ16が押された(ON状態となった)ことを伝達する信号である。
【0035】
携帯機2が送信した無線信号は、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信され、それぞれ増幅器91,92で所定のレベルに信号増幅される。増幅器91,92の出力信号は、帯域フィルタ93,94で無線通信周波数の315MHzを通過周波数とし不要な帯域のノイズ成分をフィルタリングで除去され、検波器95,96でそれぞれの信号強度が算出される。即ち、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信された無線信号の信号強度が検波器95,96にてそれぞれで算出される。受信強度を算出する検波器95,96の構成は種々存在するが、一例として、I/Q検波回路を適用した装置構成を説明する。
【0036】
図5は、検波器95の装置構成を示すブロック図である。尚、検波器96ならびに検出器10と検出器11に内蔵された検波器の内部構造は同一であるため、検波器95の構成のみ示す。
図5に示すように、検波器95は、内部発振器951、乗算器952,953、移相器954、ローパスフィルタ955,956、演算器957を備えている。
内部発振器951は、携帯機2から送信される無線信号と同一周波数の検波信号(正弦波信号)を生成する。次に、車外用アンテナ3もしくは車内用アンテナ6で受信し、増幅器91,92と帯域フィルタ93,94を通過した無線信号と、内部発振器951で生成した検波信号を乗算器952で乗算する。乗算した波形の高調波成分は、ローバスフィルタ955で除去し、In−Phase信号成分(以降、I成分と呼ぶ)が出力される。また移相器954で90度の位相回転を行った検波信号と、上記無線信号を乗算器953で乗算し、出力信号の高調波成分をローパスフィルタ956で除去し、Quadrature−Phase信号成分(以降、Q成分と呼ぶ)が出力される。演算器957は、I成分とQ成分を入力として、Sqrt(I成分2+Q成分2)の演算を行い、受信した無線信号の信号強度を算出する。
尚、検波器95、96は、このようなI/Q検波の他にダイオードを用いた整流回路(全波整流、半波整流)や対数アンプ回路といった回路を用いて信号強度を算出する構成でもよい。
【0037】
図6は、車両1のドア施錠状態からドアロック開錠に至る一連の動作を説明するフローチャートであり、ECU12に内蔵された判定手段121の処理手順を示す。
先ず、ステップST100では、車両1のドアはロック状態で、携帯機2を保持するユーザは車両1の車外に位置する。携帯機2を持ったユーザが車両1に近づき、ドアを開くために車両1のドアノブを引く、またはドアノブに設置されたドアロック解除スイッチ16を押したことをトリガとして、ドア・スイッチ信号(入力信号122b)がECU12へ伝達される。ステップST101で、ドア・スイッチ信号がONとなったことで、処理手順は、次にステップST102へ移行する。
【0038】
ステップST103では、ECU12は、携帯機2を起動させるために、起動無線信号をデータ通信用アンテナ13から送信する。通常、携帯機2は電池の消耗を抑えるために、キー情報を送信する無線信号機能の回路動作を停止している。起動無線信号を受信した携帯機2は、応答として自身のメモリに記録されたキー情報を変調して無線信号として車載無線機へ送信する。一方、車載無線機ではステップST103で、携帯機2から送信される無線信号を車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8で受信し、検出器9〜11で無線信号の受信強度を計測する。また送受信手段14は、携帯機2からの無線信号に含まれるキー情報を復調する。
【0039】
次に、ステップST104で、受信した携帯機2から無線信号の受信強度が予め定められた値(閾値)以上かを判定する。判定に用いる受信強度は、車外用アンテナ3〜5で最も大きい受信強度とする。受信強度が閾値以上であればステップST105へ移行する。
【0040】
ステップST105では、携帯機2のキー情報と車両1に登録されたキー情報が一致するかを確認する。キー情報の一致で携帯機2を所持するユーザが車両1の正規のユーザであると確認される。ステップST104で、受信強度が閾値以上では無かった場合、図6の処理手順ではステップST100へ戻るフローを記載しているが、ステップT102の携帯機を呼び出す起動無線信号の送信へ戻り、ステップST102からステップST104の手順を複数回実行する構成としてもよい。同じくステップST105で、携帯機2からのキー情報が一致しなかった場合も、ステップST102からステップST104の手順を複数回実行する構成としてもよい。
【0041】
ステップST106では、ドアロック解除スイッチ16がONになったドア位置と、車外用アンテナ3〜5で受信した携帯機2の無線信号の受信強度が最も大きかった車外用アンテナ位置の確認を行う。例えば、このステップST106の判定がなかった場合、携帯機2を持つ正規ユーザが助手席側の車室外エリア内に居り、悪意を持つ第3者が運転席側の車室外エリアからドアアンロックの操作を行った場合、助手席側の車室外エリアにある携帯機2との間でドアアンロック条件が成立し、運転席ドアも開錠され悪意を持つ第3者が車室内に侵入できることになる。ステップST106で、車室外に存在する携帯機2は、どのドアの近くに存在するか判別することができる。これによりロック解除するドアを限定することができ、防犯効果を向上することができる。ドアロック解除スイッチ16がONのドア位置と、受信強度が最も大きかった車外用アンテナ位置が一致すれば、次のステップST107へ移行する。
【0042】
ステップST107は、車外用アンテナ3〜5内で最も受信強度が大きかった車外用アンテナの受信強度と、車室内に設置された車内用アンテナ6〜8の受信強度を比較し、携帯機2の車室内外判定を行う。車外用アンテナの受信強度が、車内用アンテナ6〜8の受信強度より大きければ携帯機2はユーザと共に車室外に存在すると判断され、ステップST108でドアロックが解除される。逆に、車内用アンテナ6〜8の受信強度が大きければ、携帯機2はユーザと共に車室外には存在しないと判断し、携帯機2が車室内に置き忘れた可能性があるとして、ステップST108でドアロックは解除されない。
【0043】
図7は、車両1のエンジン停止状態からエンジン始動に至る一連の動作を説明するフローチャートであり、ECU12に内蔵された判定手段121の処理手順を示す。
先ず、ステップST200では、車両1のエンジンは停止状態である。携帯機2を保持するユーザが、エンジンを始動するためのエンジンスタートスイッチ15を押し、スイッチ信号(入力信号122b)がECU12へ伝達される。ステップST201で、エンジンスタートスイッチ15がONになったことを判断し、処理手順は次のステップST202へ移行する。
ステップST202では、携帯機2を起動させるために、起動無線信号をデータ通信用アンテナ13から送信する。起動無線信号を受信した携帯機2は、応答として自身のメモリに記録されたキー情報を変調して、無線信号として車載無線機へ送信する。車載無線機では、携帯機2からの無線信号を車外用アンテナ3〜5と、車内用アンテナ6〜8で受信する。
【0044】
次にステップST203は、受信した携帯機2の無線信号に基づいて、検出器9〜11でその受信強度を計測する。また、送受信手段14は携帯機2の無線信号に含まれるキー情報を復調する。ステップST204は、受信した携帯機2の無線信号の受信強度が、予め定められた値(閾値)以上であるか判定する。ステップST205では、携帯機2のキー情報とECU12に登録されたキー情報が一致するか判定する。キー情報の一致で、携帯機2を保持しエンジンスタートスイッチ15を押したユーザが車両1の正規ユーザであると判断する。
【0045】
ステップST206では、車内用アンテナ6〜8で最も受信強度が大きかった車内用アンテナの受信強度と、車室外に設置された車外用アンテナ3〜5の受信強度を比較し、携帯機2の車室内外の位置判定を行う。車内用アンテナの受信強度が、車外用アンテナ3〜5の受信強度より大きければ、携帯機2はユーザと共に車室内に存在すると判断する。逆に、車内用アンテナでの受信強度が車外用アンテナ3〜5での受信強度より小さければ、携帯機2は車室外に存在すると判断する。
ステップST206の別の車室内外判定の処理手順には、車室内外判定結果(個別判定結果)の多数決をとり、最も多かった判定結果を最終判定結果とする処理がある。
【0046】
図8は、多数決判定処理の内容を説明するフローチャートである。
本実施の形態での車両ドアを挟んで対で設置された車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8は、上述したように、運転席ドアに設置された車外用アンテナ3と車内用アンテナ6、助手席ドアに設置された車外用アンテナ4と車内用アンテナ7、ドランクドアに設置された車外用アンテナ5と車内用アンテナ8である。
【0047】
先ず、ステップST300において、個別判定結果である多数決データをゼロクリアする。次にステップST301で、運転席ドアに設置した車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の受信強度での車内外判定結果が車内の判定であれば、ステップST302で多数決データに1を加算しステップST303へ移行する。一方、ステップST301で車外の判定であれば、ステップST303へ直接移行する。
ステップST303では、助手席ドアに設置された車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の受信強度での車内外判定結果が車内の判定であれば、ステップST304で多数決データに1を加算しステップST305へ移行する。車外の判定であればステップST305へ直接移行する。
ステップST305では後部ドアに設置された車外用アンテナ5と車内用アンテナ8の受信強度での車内外判定結果が車内の判定であれば、ステップST306で多数決データに1を加算しステップST307へ移行する。車外の判定であればステップST307へ直接移行する。
ステップST307で、多数決データの値が3または2であれは、多数決判定の結果として携帯機2が車室内に存在すると最終判定する。逆に、多数決データが1または0であれば、多数決判定の結果として携帯機2が車室外に存在すると最終判定する。
【0048】
図9は、各ドアに設置した車内外アンテナでの判定結果と多数決判定結果の関係を示す図である。
本実施の形態で多数決判定に用いる判定データは、運転席ドアに設置した車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の受信強度で求めた内外判定結果、助手席ドアに設置した車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の受信強度で求めた内外判定結果、ドランクドアに設置した車外用アンテナ5と車内用アンテナ8の受信強度で求めた内外判定結果である。よって各ドアに設置した車内外アンテナでの判定結果の組合せは8ケースとなり、図9に示す多数決データの値が2以上で、携帯機2が車室内に存在すると判定し、多数決データの値が1以下であれば、形態機2が車室外に存在すると判定する。
【0049】
多数決による内外判定処理は、以下に記載するマルチパスフェージングの課題を解決する手段として効果的である。その課題と効果について説明する。車外用アンテナと車内用アンテナでの受信強度を比較する携帯機2の車室内外判定では、マルチパスフェージングによる受信強度の低下が内外判定の誤判定要因となる。このマルチパスフェージングは、異なる伝搬経路を持つ電波(直接波と反射波)が干渉し、受信強度が変動することである。特に直接波と反射波が逆位相となって、アンテナで受信されると、その受信強度が大きく低下する。マルチパスフェージングにより受信強度の低下が生じると、携帯機2が車室内にある場合でも、車内用アンテナでの受信強度が低下し、車外用アンテナの受信強度が相対的に強くなる。そのため強度差が逆転し、内外判定の誤判定につながることが課題である。例えば、携帯機2が車室内にあるにもかかわらず、運転席ドアの内側(車室内側)に設置した車内用アンテナ6〜8での受信強度が、マルチパスフェージングの影響により低下し、相対的に車外用アンテナ3〜5での受信強度が大きくなり、受信強度の比較で携帯機2は車室外に存在すると判断されてしまう。
【0050】
マルチパスフェージングによる受信強度の低下を回避する方策として、無線信号の1/2波長以上離れた箇所では、マルチパスフェージングの影響が解消される物理的特性の利用がある。例えば、運転席ドア内側の車内用アンテナ6での受信強度がマルチパスフェージングにより低下しても、助手席ドアの内側に設置した車内用アンテナ7、また後部ドアの内側に設置した車内用アンテナ8では、マルチパスフェージングによって受信強度の低下が発生していない。
【0051】
多数決判定による内外判定処理を行うことで、車内用アンテナ6〜8の何れか一つで、マルチパスフェージングが発生し、携帯機2が車室外に存在すると誤った判定を行っても、他の車内用アンテナでは携帯機2を車室内と正しく判定できるので、最終的な判定では携帯機2は車室内に存在すると正しく判定することができる。
【0052】
ステップST206で携帯機2が車室内に存在すると判断できれば、ステップST207でエンジンスタートが許可されエンジンが始動する。ステップST206で携帯機2が車室外に存在すると判定された場合は、携帯機2はユーザと共に車室内に存在しないのでエンジン始動しない。
【0053】
以上説明したように、実施の形態1の車両無線装置によれば、無線通信機能を有する携帯機と、携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、車載無線機は、車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、車外用アンテナと車内用アンテナで受信した携帯機からの無線信号の信号強度を算出する検出手段と、検出手段で算出した車外用アンテナにおける信号強度と車内用アンテナにおける信号強度とを比較し、携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えたので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことができる。
【0054】
また、実施の形態1の車両無線装置によれば、車外用アンテナと車内用アンテナは3対以上設置され、判定手段は、対をなす車外用アンテナと車内用アンテナ毎の受信強度を比較して、それぞれの結果を個別判定結果とし、3箇所以上の個別判定結果を用いて多数決判定を行うようにしたので、マルチパスによる受信強度の低下による誤判定を回避することができ、携帯機の車室内外位置の判定精度を向上することができる。
【0055】
また、実施の形態1の車両無線装置によれば、車外用アンテナと車内用アンテナは、金属面の両側に、金属面と各アンテナの間隔が無線信号に用いる波長の10%より近い位置に設置するようにしたので、車両ボディによる電波遮蔽効果を得ることができ、携帯機の車室内外位置をさらに精度良く判定することができる。
【0056】
また、実施の形態1の車両無線装置によれば、車外用アンテナと車内用アンテナは、車両の両側面ドアと後部ドアとをそれぞれ挟んで複数対設置されるようにしたので、車外エリアの車両側方と車両後方、また車内エリアの前方、後方も含め車室内外の全領域で、携帯機の車室内外の位置を精度良く判定することができる。
【0057】
実施の形態2.
車外用アンテナと車内用アンテナでの受信強度を比較する携帯機の車室内外判定では、マルチパスフェージングによる受信強度の低下が内外判定の誤判定要因となる。マルチパスフェージングにより受信強度の低下が生じると、携帯機が車外にある場合でも、車外用の車載アンテナでの受信強度が低下し、車内用の車載アンテナの受信強度が相対的に強くなる。そのため強度差が逆転し、内外判定の誤判定につながることがある。
そこで、実施の形態2では、車外用アンテナを垂直偏波と水平偏波を受信する構成とし、偏波の受信強度の大きい方を車外用アンテナでの受信強度としたものである。尚、実施の形態2の車両無線装置における全体の基本的な構成は図1及び図2で示した実施の形態1と同様であるため、全体構成についてはその説明を省略する。
【0058】
図10は、本発明の実施の形態2の車両無線装置における検出器9aとECU12aの装置構成を示すブロック図である。尚、検出器10a、検出器11aの内部構造は同一であるため、これらの内部構成についてはその図示を省略している。
図10において、車外用アンテナ3a〜5a,3b〜5bは、車両1の車外に設置され、携帯機2の無線通信を受信するアンテナである。また、車内用アンテナ6〜8は、車両1の車室内に設置され携帯機2の無線通信を受信するアンテナであり、車内用アンテナ6〜8の構成は実施の形態1と同様である。車外用アンテナ3a〜5aは、携帯機2の無線信号について、垂直偏波を選択的に受信するアンテナであり、車外用アンテナ3b〜5bは、携帯機2の無線信号について、水平偏波を選択的に受信するアンテナである。また、増幅器91a,91b、帯域フィルタ93a,93b、検波器95a,95bは、それぞれ、車外用アンテナ3aからの信号と車外用アンテナ3bからの信号に対応した構成であり、それぞれの機能は、実施の形態1における増幅器91、帯域フィルタ93、検波器95と同様である。また、増幅器92、帯域フィルタ94、検波器96は実施の形態1と同様である。データ伝送手段97は、検波器95a,95b,96の出力信号をECU12aに伝送する手段である。
【0059】
また、ECU12aにおける判定手段121aは、検出器9a〜11aからデータ伝送される信号強度データを元に携帯機2の車室内外判定を行う判定手段であり、基本的な機能は実施の形態1の判定手段121と同様であるが、車外用アンテナ3a〜5a,3b〜5bからの信号強度として、垂直偏波を受信する車外用アンテナ3a〜5aと、水平偏波を受信する車外用アンテナ3b〜5bでの受信強度の大きい方を選択する点が異なっている。またECU12aの車両制御手段122は実施の形態1と同様である。
【0060】
無線信号の伝搬では、地面、コンクリート壁、天井など構造物での反射した反射波は、水平偏波と垂直偏波で、その反射波の強度が異なる、またアンテナから送信(または受信)される水平偏波と垂直偏波の強度が異なるので、垂直偏波と水平偏波ではマルチパスによる受信強度の変動度合いが異なる。例えば、水平偏波ではマルチパスによる受信強度が低下する場合でも、垂直偏波ではマルチパスによる受信強度の低下は発生しない。これにより、どちらか一方の偏波にマルチパスフェージングによる受信強度の低下が生じた場合でも、もう一方の偏波ではマルチパスフェージングが回避されるので、受信強度が大きい偏波での値を選択することで、受信強度の低下によって内外判定の誤りを防止することが出来る。
【0061】
一方、車内エリア20に存在する携帯機2が送信した無線信号は、車内用アンテナ6,7,8で受信される。例えば、車内用アンテナ6での受信強度が、マルチパスフェージングの影響により強度が低下した場合、他の車内用アンテナ7,8での受信強度を用いて、最も受信強度が大きいものを選択し、車内用アンテナでの受信強度の代表値とする。これにより車室内エリアで生じたマルチパスによる受信強度の低下を回避することができ、受信強度の比較による携帯機の車室内外位置の判定精度を向上することができる。
【0062】
以上説明したように、実施の形態2の車両無線装置によれば、車外用アンテナは、垂直偏波と水平偏波を受信する構成を有し、偏波の受信強度の大きい方を車外用アンテナでの受信強度とするようにしたので、マルチパスによる受信強度の低下による誤判定を回避することができ、携帯機の車室内外位置の判定精度を向上させることができる。
【0063】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3の車両無線装置を説明するための検出器9b〜11bとECU12bの装置構成を示すブロック図である。尚、車両無線装置における全体構成は実施の形態1と同様である。また、検出器10b,11bの内部構造は検出器9bと同一である。
図11において、発振器98は、携帯機2の無線信号と同じ周波数の正弦波を生成する発振器である。検波器99,100は、それぞれ受信した携帯機2からの無線信号の位相差を算出する検波手段である。データ伝送手段97は、検出器99,100からの出力信号である位相差データをECU12bに伝送する手段である。また、ECU12bの判定手段121bは、検出器9b〜11bからデータ伝送された位相差データを元に、携帯機2の車室内外判定を行うよう構成されている。その他の構成については、実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
携帯機2が送信した無線信号は、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信され、それぞれ増幅器91,92で所定のレベルに信号増幅される。次に、増幅器91,92の出力信号は、帯域フィルタ93,94で無線通信周波数の315MHzを通過周波数とし不要な帯域のノイズ成分をフィルタリングで除去される。
車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信された無線信号の位相データは、検波器99,100にてそれぞれで算出される。位相データを算出する検波器99,100の構成は、実施の形態1の図5で説明したI/Q検波回路を用いる。この場合、図5の演算器957は、I成分とQ成分を入力として、tan−1(Q成分/I成分)の演算を行い、受信した無線信号の位相データを算出する。
【0065】
判定手段121bは、検出器9b,10b,11bからデータ伝送された位相データを元に、携帯機2の車室内外判定を行う。携帯機2が車室外に存在する場合、車内用アンテナ6〜8での位相データより車外用アンテナ3〜5での位相データは位相が遅れている。これは無線信号の伝搬距離に依存するもので、携帯機2と車内用アンテナ6〜8での伝搬距離より携帯機2と車外用アンテナ3〜5での伝搬距離の方が短いからである。一方、携帯機2が車室内に存在する場合は、車内用アンテナ6〜8での位相データより、車外用アンテナ3〜5での位相データは位相が進んでいる。このように、車内用アンテナ6〜8での位相データと車外用アンテナ3〜5での位相データを比較することで、受信強度と同様に、携帯機2の車室内外位置の判定を行うことができる。
尚、実施の形態3において、携帯機2の車室内外判定に位相データを用いること以外の動作は実施の形態1と同様であるため、他の動作の説明は省略する。
【0066】
以上説明したように、実施の形態3の車両無線装置によれば、無線通信機能を有する携帯機と、携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、車載無線機は、車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、車外用アンテナと車内用アンテナで受信した携帯機からの無線信号の位相差を算出する検出手段と、検出手段で算出した位相差を比較し、携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えたので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことができる。
【0067】
尚、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合せ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 車両、2 携帯機、3,4,5 車外用アンテナ、6,7,8 車内用アンテナ、9,9a,9b,10,10a,10b,11,11a,11b 検出器、12,12a,12b ECU、13 データ通信用アンテナ、14 送受信手段、15 エンジンスタートスイッチ、16 ドアロック解除スイッチ、17,18,19 車外エリア、20 車内エリア、21,22,23 判定境界、91,91a,91b,92 増幅器、93,93a,93b,94 帯域フィルタ、95,95a,95b,99,100 検波器、97 データ伝送手段、98 発振器、121,121a,121b 判定手段、122 車両制御手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信によって車両のドアの施錠・開錠を行うスマートキーレス装置に用いられる車両無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートキーレス装置は、物理キーを使用することなく、自動車のドアを遠隔操作で施錠したり開錠したりすることが可能である。これは、携帯電子キー(以降、携帯機と呼ぶ)を所持する利用者が自動車に搭載された車載無線機の検知エリアに入り、携帯機と車載無線機間でキー情報の認証ができれば車両ドアが開錠されるというものである。その際、利用者は物理キーを使用する必要が無い。
【0003】
従来のスマートキーレス装置は、例えば、周波数315MHzのUHF(Ultra‐High Frequency:極超短波)帯の無線信号と、130kHzのLF(Long Frequency:長波)帯の無線信号が使用される。周波数315MHzのUHF帯は、RF(Radio frequency)帯と呼ばれている。RF帯の無線信号は携帯機のキー情報(ID)のデータ通信に使用される。LF帯の無線信号は携帯機のエリア検知に使用される。
【0004】
従来のスマートキーレス装置の構成は、車載無線機と携帯機からなり、車載無線機は自動車に搭載され、携帯機は自動車を使用する利用者(ユーザ)が所持する。ドアロック開錠の動作は次の通りである。即ち、携帯機を所持する利用者が、ドアノブを引く又はドア・スイッチを押す動作をトリガとして、車載無線機はLF帯アンテナから携帯機へエリア検知信号を送信し、エリア検知信号の受信可否で携帯機の車室内外判定処理を行う。携帯機はエリア検知信号の応答として、予め設定されている鍵情報を変調してRF信号で車載無線機に返信する。車載無線機は、携帯機の車室内外判定の結果と鍵データを照合し、携帯機が車室外に存在し、鍵データが一致すればドアロックを開錠する。
【0005】
携帯機の車室内外判定は、例えば、特許文献1に示されているように、車室内に存在する携帯端末と通信を行うための車室内アンテナと、車室外に存在する携帯端末と通信を行うための車室外アンテナを設置し、車室内アンテナを介した通信状態と車室外アンテナを介した通信状態とに基づいて、携帯端末が車室内に存在するのか、或いは車室外に存在するのかを判別していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−124863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されたような車両無線装置では、車体のシールド効果により、携帯機が車室内に存在する場合は、携帯機が送信した電波は車室内アンテナのみで受信でき、車室外アンテナでは受信できない。或いは車室内アンテナの受信強度が車室外アンテナの受信強度よりも大きくなる。また携帯機が車室外に存在する場合は、車室外アンテナのみで受信でき、車室内アンテナでは受信できない。或いは車室外アンテナの受信強度が車室内アンテナの受信強度より大きくなる。
【0008】
しかしながら、従来装置で利用される車体シールド効果は一定でなく、車室内に存在する携帯機が送信した電波が、車室外へ強く放出される方向(位置)が存在する。また、車室外に存在する携帯機が送信した電波が、車室内へ強く進入する方向(位置)も存在する。そのため、車室内アンテナと車室外アンテナの位置によっては、携帯機が車室内に存在しても、車室外アンテナの受信強度が車室内アンテナの受信強度より大きくなる場所がある。逆に、携帯機が車室外に存在し、車室内アンテナの受信強度が車室内アンテナの受信強度より大きくなる場所がある。このように、車室内アンテナと車室外アンテナの受信強度が逆転する箇所が存在し、上記従来装置の構成では車室内外判定を誤る可能性があり、携帯機の車室内外を正しく判定することができないという問題があった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことのできる車両無線装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る車両無線装置は、無線通信機能を有する携帯機と、携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、車載無線機は、車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、車外用アンテナと車内用アンテナで受信した携帯機からの無線信号の信号強度を算出する検出手段と、検出手段で算出した車外用アンテナにおける信号強度と車内用アンテナにおける信号強度とを比較し、携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の車両無線装置は、車外用アンテナと車内用アンテナを車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置し、これらの信号強度を比較して携帯機の車室内外の判定を行うようにしたので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による車両無線装置の全体構成を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車両無線装置を適用した車両の斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車両無線装置の車外用アンテナと車内用アンテナの取り付け位置とこれらアンテナで受信する信号強度の分布を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による車両無線装置の検出器とECUを示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1による車両無線装置の検波器の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1による車両無線装置の車両のドア施錠状態からドアロック開錠に至る動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1による車両無線装置の車両のエンジン停止状態からエンジン始動に至る動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1による車両無線装置の多数決判定処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1による車両無線装置の各ドアに設置した車内外アンテナでの判定結果と多数決判定結果の関係を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態2による車両無線装置の検出器とECUを示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態3による車両無線装置の検出器とECUを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
本発明は、携帯機が車両の車室内に存在するか、或いは車室外に存在するかを判別する車載無線機の装置構成と判定手順に関するものであり、先ず、その構成について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による車両無線装置の全体構成図である。
図2は、この発明の実施の形態1による車両無線装置を搭載した車両の斜視図である。
これらの図において、車両1には、車両1の車外に設置され携帯機2からの無線信号を受信するための車外用アンテナ3,4,5が設置されている。また、車両1の車内には、携帯機2からの無線信号を受信するための車内用アンテナ6,7,8が設置されている。車外用アンテナ3と車内用アンテナ6は、車両1の運転席ドアを挟んで対となるよう設置され、また、車外用アンテナ4と車内用アンテナ7は、車両1の助手席ドアを挟んで対となるよう設置されている。さらに、車外用アンテナ5と車内用アンテナ8は、車両1後方のドアを挟んで対となるよう設置されている。
【0014】
車外用アンテナ3と車内用アンテナ6には、これらアンテナにおける受信強度を算出するための検出器9が、また、車外用アンテナ4と車内用アンテナ7には、これらアンテナにおける受信強度を算出するための検出器10が、さらに、車外用アンテナ5と車内用アンテナ8には、これらアンテナにおける受信強度を算出するための検出器11がそれぞれ接続されている。
尚、車両1の両側面ドアは運転席側のドアと助手席側のドアを示し、車両の後方ドアは車両1の形状がセダンタイプであればトランク(ラゲッジ)ドアを、ミニバンタイプ等であればハッチバックドアを示す。また、検出器9〜検出器11は、それぞれ携帯機2からの無線信号の信号強度を算出する検出手段を構成している。
【0015】
検出器9〜検出器11は、それぞれ電気制御ユニット(以降、ECUと呼ぶ)12に接続され、ECU12には、これら検出器9〜検出器11が出力する受信強度データが入力されるようになっている。ECU12は、検出器9〜検出器11からの受信強度データに基づいて携帯機2の車室内外判定処理を行う機能を有している。また、ECU12には、データ通信用アンテナ13が送受信手段14を介して接続されると共に、エンジンスタートスイッチ15やドアロック解除スイッチ(ドアノブ)16が接続されている。データ通信用アンテナ13は、携帯機2とキー情報(ID)を無線通信するためのアンテナであり、送受信手段14はデータ通信用アンテナ13をECU12に接続するためのデータ通信処理を行う手段である。また、エンジンスタートスイッチ15は車両1のエンジンを始動させるためのスイッチである。さらに、ドアロック解除スイッチ16は車両1の運転席ドアのドアロックを解除するためのスイッチであり、図中では省略しているが、ドアノブは助手席ドアと後部ドアにも存在する。
また、車載無線機は、以上の車外用アンテナ3〜ドアロック解除スイッチ16の構成を含むものである。
【0016】
車外エリア17は、車両1の運転席ドア付近の車外に設けられたエリア、車外エリア18は、助手席ドア付近の車外に設けられたエリア、車外エリア19は、トランクドア付近の車外に設けられたエリアを示し、また、車内エリア20は、車両1の内部に設けられたエリアである。
【0017】
判定境界21は、運転席ドアに設置した車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の受信強度から形成される境界面であり、判定境界22は、助手席ドアに設置した車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の受信強度から形成される境界面、判定境界23は、後部ドアに設置した車外用アンテナ5と車内用アンテナ8の受信強度から形成される境界面である。これら判定境界21,22,23は、携帯機2が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定するための境界面である。携帯機2が車外エリアに存在する場合は、車外用アンテナの受信強度が大きく、携帯機2が車内エリアに存在する場合は、車内用アンテナの受信強度が大きい。判定境界21,22,23と受信強度の関係は、以降の図3を用いて詳しく説明するが、判定境界は車外用アンテナの受信強度と車内用アンテナの受信強度の大小関係が反転する位置であり、車内用アンテナと車外用アンテナを設置した車両ドアの車室内外の境界と一致する。判定境界21,22,23は、図1または図2に示すように車両ドア面と平行に境界面が設定できる。図2において、判定境界21,22,23は、明示的に示したものであり、車両1のルーフ(天井)エリアでも、設置した車内外アンテナの受信強度の大小比較から携帯機2の車内外判定は可能である。即ち、運転席ドアや助手席ドア及び後部ドアといったドア以外であっても車両1のボディを挟んで設置することで携帯機2の車内外判定を行うことが可能である。
【0018】
従来のスマートキーレス装置は、315MHzの無線信号で携帯機2が保持するキー情報(ID)のデータ通信を行い、130kHzの無線信号で携帯機2の車室内外判定を行っている。本発明では、データ通信と車室内外判定に用いる無線信号は同じ周波数とし、たとえば従来スマートキーレス装置のデータ通信に用いられている315MHzとする。
【0019】
130kHzの無線信号を車室内外判定に用いた場合、130kHzのデータ無線信号は315MHzのデータ通信信号に比べて波長が長く、車両実装可能な小型アンテナで効率よく信号受信するために、フェライトなどの透磁率の高い棒状のコアに、表面を絶縁皮膜した銅線を巻き付けたバーアンテナが使用されている。そのため130kHzのアンテナは高価であり、315MHzのアンテナより小型化し難い課題があった。
本発明では、データ通信用と車室内外判定用の無線信号の周波数を315MHzに共通化することで、車載アンテナの共通化、小型化、低コスト化が可能となる。
尚、無線信号の周波数は315kHz以外に、従来の車室内外判定に用いる130kHzでも、さらにRF−IDタグで用いられる915MHzや2.45GHzとしても、本発明で記載の車室内外判定機能を実現することは可能である。
【0020】
図3は、車外用アンテナと車内用アンテナの取り付け位置と、車外用アンテナと車内用アンテナで受信する信号強度の分布を説明する図である。31は車両1の運転席ドアを示し、図3(a)は車両を上部から見た上面図で示している。32は、アンテナ取り付け位置を説明するための、車両進行方向と平行な運転席ドア31の軸である。
受信強度33は車外用アンテナ3で受信した携帯機2からの無線信号の受信強度を示し、受信強度34は車内用アンテナ6で受信した携帯機2からの無線信号の受信強度を示している。図3(b)における受信強度分布35は、図3(a)に示すラインA−A’に沿って携帯機2を移動させた際に、車外用アンテナ3で受信する受信強度の分布を示し、受信強度分布36は同じくラインA−A’での車内用アンテナ6で受信する受信強度の分布である。また、強度差分布37は、図3(a)に示すラインA−A’での車外用アンテナ3の受信強度分布35と車内用アンテナ6の受信強度分布36から求められる強度差の分布である。図3(c)における受信強度分布38は、図3(a)に示すラインB−B’での車外用アンテナ3で受信する受信強度の分布を示し、受信強度分布39は車内用アンテナ6で受信する受信強度の分布である。また、強度差分布40は車外用アンテナ3の受信強度分布38と車内用アンテナ6の受信強度分布39から求められる強度差の分布である。
【0021】
次に、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の取り付け位置について説明する。
車外用アンテナ3は、車室内または車室外に存在する携帯機2の無線信号を受信する。携帯機2と車外用アンテナ3の距離が近いと受信強度が大きく、距離が離れるに従って受信強度は弱くなる。車内用アンテナ6は、金属体である運転席ドア31を挟んだ車内側で、車外用アンテナ3と対をなす位置に取り付けられ、車室外または車室内に存在する携帯機2の無線信号を受信する。車内用アンテナ6の受信強度34は、車外用アンテナ3の受信強度33と同様に、車内用アンテナ6から離れるに従ってその値が弱くなる。
【0022】
車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の対をなす位置の取り付けとは、図3(a)に示すように、運転席ドア31の車両進行方向と平行な軸32を基準として、運転席ドア31を挟んでドア面の内外に対称となる位置で、アンテナの高さが同じ位置に設置することである。車外用アンテナ3と車内用アンテナ6のドア面からの離隔距離は、使用する無線信号の波長の10%未満であれば、車内外アンテナをドア面に密着して設置した状態と同様の受信強度の特性を得ることができる。
【0023】
図3(b)は、図3(a)に記載したラインA−A’での車外用アンテナ3と車外用アンテナ6の受信強度分布を示す図である。車外用アンテナ3で受信する受信強度分布35では、車外エリアでは車外用アンテナ3と携帯機2の距離、即ち、無線信号の伝搬距離に従って受信強度が弱くなる。車内エリアでは、金属体の運転席ドア31で伝搬が遮蔽されるため、運転席ドア31を境にして受信強度分布35における受信強度は急激に弱くなる。一方、車内用アンテナ6で受信する受信強度分布36は、車内エリアでは車内用アンテナに近い位置は受信強度が強く、離れるに従って受信強度が弱くなる。車外エリアは運転席ドア31で携帯機2からの無線信号の伝搬が遮蔽されるので、運転席ドア31から車外エリアでは受信強度が弱くなる。
【0024】
上記のように、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6を、車両金属体である運転席ドアを挟んで対をなす位置に設置することで、車室外に存在する携帯機2が送信した無線信号は、金属体である運転席ドアで伝搬が遮蔽され、車室内に伝搬した無線信号の信号強度が減衰する。これにより、車外用アンテナ3で受信される信号強度と車内用アンテナ6で受信される信号強度の差が、伝搬距離の違いによる信号強度の差(自由空間伝搬損失による強度差)より、大きくなるので信号強度の比較により携帯機2が車室外に存在することを正確に判別できるようになる。また逆に、車室内に存在する携帯機2が送信した無線信号は、金属体である運転席ドアで遮蔽されて、車室外に伝搬した無線信号の信号強度が小さくなるので、車外用アンテナ3で受信される信号強度と車内用アンテナ6で受信される信号強度の差が大きくなり、携帯機が車室内に存在することを正確に判断できるようになる。
【0025】
車外用アンテナ3の受信強度分布35の値から車内用アンテナ6の受信強度分布36の値を減算することで求めたラインA−A’の強度差分布37は、運転席ドア31の位置と、強度差が車外エリアのプラス値から車内エリアのマイナス値への変化が一致している。これにより、強度差分布37の符号がプラスであれば携帯機2は車室外に存在すると判断できる。逆に強度差分布37の符号がマイナスであれば携帯機2は車室内に存在すると判定することができる。さらに、強度差分布37の符号が反転する位置が運転席ドア31と一致するので、内外判定境界を運転席ドア31の内外境界と合わせることができる。
【0026】
次に、図3(a)に示すラインB−B’での車外用アンテナ3と車外用アンテナ6の受信強度分布(図3(c))について説明する。このラインB−B’は、ラインA−A’に対して、車両1の前方にシフトし、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6を結ぶラインとは異なる位置での強度分布を示すものである。ラインB−B’での車外用アンテナ3の受信強度分布38と、車内用アンテナの受信強度分布39は、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6から(車両前方に)離れることで、ラインA−A’での受信強度よりも全体的に低下するが、運転席ドア31の遮蔽による受信強度分布の傾向は同じである。車外用アンテナ3の受信強度分布38は、車外エリアで大きく、遮蔽を受ける車内エリアでは小さい。逆に車内用アンテナ6の受信強度分布39は、車内エリアで大きく、遮蔽を受ける車外エリアでは小さい。
【0027】
車外用アンテナ3の受信強度分布38の値から車内用アンテナ6の受信強度分布39の値を減算することで求めたラインB−B’での強度差分布40は、車外エリアのプラス値から車内エリアのマイナス値への変化が運転席ドア31位置と一致する。よってラインA−A’の強度差分布37と同じく強度差分布40の符号から、ラインB−B’においても、携帯機2の車室内外を判定することができ、車室内外の判定境界を運転席ドア位置(境界)にあわせることができる。ラインA−A’とラインB−B’で、携帯機2の車室内外判定境界は運転席ドア31の車室内外の境界と合わせることができるので、図3には示していないが、運転席ドアに直交する他のラインでも、同様に携帯機2の車室内外判定境界は運転席ドア31の車室内外の境界と合わせることができる。説明は省略するが、同様のことは助手席ドアや後部ドアでも、携帯機2の車室内外判定境界をドアの車室内外の境界と合わせることができる
これにより、図1に示す判定境界21,22,23のように、車両ドアを挟んで内外に対をなす位置に設置することで、車内外の判定境界を車両ボディに沿った直線で設定することができ、車両ボディに沿って車内外位置を判定することができる。
【0028】
さらに、図3(a)には示していないが、ラインA−A’を垂直に上方向にずらしたライン、または垂直に下方向にずらしたラインにおいても、図3(b)で示した強度差分布と同じ、車外エリアのプラス値から車内エリアのマイナス値への変化が運転席ドア31位置と一致する特性が成立する。
これにより、図2に示す様に、車両ドアを挟んで内外に対をなす位置に設置することで、車内外の判定境界を車両ボディに沿った面で設定することができ、車両ボディに沿って車内外位置を判定することができる。
【0029】
車外用アンテナ3の取り付け位置は、アンテナ取り付けの容易性、取り付けの耐久性、かつ車両1のデザイン性を考慮して、運転席ドアのドアノブ内に実装する。車外用アンテナ3と対をなす車内用アンテナ6の取り付け位置は、運転席ドア31の車両進行方向と平行な軸32を基準として対称となる運転席ドアの内側位置で、車外用アンテナ3と同じ高さとする。これにより、車内外の判定境界を車両ボディに沿った直線(平面)で設定することができ、車両ボディに沿って車内外位置を判定することができる。
【0030】
また、別の車内用アンテナ6の取り付け位置は、運転席ドア(金属体)による無線信号の遮蔽効果を高めるために、上記の車内用アンテナ6の取り付け位置から、使用する無線信号の波長の20%未満の範囲で、車外用アンテナ3より低い位置に取り付けてもよい。これにより、ドアのウィンドウ枠で回折して車室内に伝搬する無線信号を受信し難くする効果が得られ、より携帯機2の車室内外位置を正しく判定することができる。車内用アンテナ6を車外用アンテナ3より高い位置への取り付けは、ドアウィンドウより高い位置では運転席ドアによる遮蔽効果を得ることができないので、ドアウィンドウより低い位置とする。
【0031】
さらに、別の車内用アンテナ6の取り付け位置は、アンテナ取り付けの容易性または車両1の内装デザイン性を考慮して、車内用アンテナ6を使用する無線信号の波長の20%未満の範囲で車外用アンテナ3から車両進行方向の前後にずらした位置に取り付けてもよい。この車内用アンテナ6の取り付け位置においても、車両ボディによる電波遮蔽効果を得ることができ、携帯機の車室内外位置を正しく判定することができる。
【0032】
車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の取り付け位置は助手席ドアとし、運転席ドアに取り付けた車外用アンテナ3と車内用アンテナ6と同様に実装する。車外用アンテナ5と車内用アンテナ8は、セダンタイプの車種はトランクドアの車外側と車内側に取り付ける。ワンボックスタイプの車種では、ハッチバックドアの車外側に車外用アンテナ5を、車内側に車内用アンテナ8を取り付ける。
以上では、運転席ドア、助手席ドア、後部ドアの3箇所に、車載アンテナを取り付ける構成を説明したが、運転席側の後部座席ドア、助手席側の後部座席ドアに車載アンテナを追加した構成でもよい。
【0033】
図4は、検出器9とECU12の装置構成を示すブロック図である。尚、検出器10及び検出器11の内部構造は同一であるため、図4ではこれら検出器10,11の内部構成を省略している。
図4において、検出器9は、増幅器91,92、帯域フィルタ93,94、検波器95,96、データ伝送手段97を備えている。増幅器91は車外用アンテナ3からの信号を増幅する増幅器であり、増幅器92は、車内用アンテナ6からの信号を増幅する増幅器である。帯域フィルタ93,94は、それぞれ増幅器91,92で増幅された信号を入力し、所定周波数帯域のみを透過させるバンドパスフィルタである。検波器95,96は、帯域フィルタ93,94から出力された信号に基づき、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6における受信強度を算出するための検波器であり、データ伝送手段97は、それぞれの検波器95,96で検出された信号強度データをECU12に伝送するための手段である。
【0034】
ECU12は判定手段121と車両制御手段122を備えている。判定手段121は、検出器9〜検出器11から伝送される受信強度データに基づいて携帯機2の車室内外判定を行う手段であり、車両制御手段122は、判定手段121の車室内外判定結果により、ドアロック解除(または施錠)を行う制御手段である。また、出力信号122aは、車両制御手段122から出力され、車両ドアをロック(施錠)またはアンロック(開錠)する指令信号であり、入力信号122bは、車両制御手段122に入力される、エンジンスタートスイッチ15やドアロック解除スイッチ16が押された(ON状態となった)ことを伝達する信号である。
【0035】
携帯機2が送信した無線信号は、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信され、それぞれ増幅器91,92で所定のレベルに信号増幅される。増幅器91,92の出力信号は、帯域フィルタ93,94で無線通信周波数の315MHzを通過周波数とし不要な帯域のノイズ成分をフィルタリングで除去され、検波器95,96でそれぞれの信号強度が算出される。即ち、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信された無線信号の信号強度が検波器95,96にてそれぞれで算出される。受信強度を算出する検波器95,96の構成は種々存在するが、一例として、I/Q検波回路を適用した装置構成を説明する。
【0036】
図5は、検波器95の装置構成を示すブロック図である。尚、検波器96ならびに検出器10と検出器11に内蔵された検波器の内部構造は同一であるため、検波器95の構成のみ示す。
図5に示すように、検波器95は、内部発振器951、乗算器952,953、移相器954、ローパスフィルタ955,956、演算器957を備えている。
内部発振器951は、携帯機2から送信される無線信号と同一周波数の検波信号(正弦波信号)を生成する。次に、車外用アンテナ3もしくは車内用アンテナ6で受信し、増幅器91,92と帯域フィルタ93,94を通過した無線信号と、内部発振器951で生成した検波信号を乗算器952で乗算する。乗算した波形の高調波成分は、ローバスフィルタ955で除去し、In−Phase信号成分(以降、I成分と呼ぶ)が出力される。また移相器954で90度の位相回転を行った検波信号と、上記無線信号を乗算器953で乗算し、出力信号の高調波成分をローパスフィルタ956で除去し、Quadrature−Phase信号成分(以降、Q成分と呼ぶ)が出力される。演算器957は、I成分とQ成分を入力として、Sqrt(I成分2+Q成分2)の演算を行い、受信した無線信号の信号強度を算出する。
尚、検波器95、96は、このようなI/Q検波の他にダイオードを用いた整流回路(全波整流、半波整流)や対数アンプ回路といった回路を用いて信号強度を算出する構成でもよい。
【0037】
図6は、車両1のドア施錠状態からドアロック開錠に至る一連の動作を説明するフローチャートであり、ECU12に内蔵された判定手段121の処理手順を示す。
先ず、ステップST100では、車両1のドアはロック状態で、携帯機2を保持するユーザは車両1の車外に位置する。携帯機2を持ったユーザが車両1に近づき、ドアを開くために車両1のドアノブを引く、またはドアノブに設置されたドアロック解除スイッチ16を押したことをトリガとして、ドア・スイッチ信号(入力信号122b)がECU12へ伝達される。ステップST101で、ドア・スイッチ信号がONとなったことで、処理手順は、次にステップST102へ移行する。
【0038】
ステップST103では、ECU12は、携帯機2を起動させるために、起動無線信号をデータ通信用アンテナ13から送信する。通常、携帯機2は電池の消耗を抑えるために、キー情報を送信する無線信号機能の回路動作を停止している。起動無線信号を受信した携帯機2は、応答として自身のメモリに記録されたキー情報を変調して無線信号として車載無線機へ送信する。一方、車載無線機ではステップST103で、携帯機2から送信される無線信号を車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8で受信し、検出器9〜11で無線信号の受信強度を計測する。また送受信手段14は、携帯機2からの無線信号に含まれるキー情報を復調する。
【0039】
次に、ステップST104で、受信した携帯機2から無線信号の受信強度が予め定められた値(閾値)以上かを判定する。判定に用いる受信強度は、車外用アンテナ3〜5で最も大きい受信強度とする。受信強度が閾値以上であればステップST105へ移行する。
【0040】
ステップST105では、携帯機2のキー情報と車両1に登録されたキー情報が一致するかを確認する。キー情報の一致で携帯機2を所持するユーザが車両1の正規のユーザであると確認される。ステップST104で、受信強度が閾値以上では無かった場合、図6の処理手順ではステップST100へ戻るフローを記載しているが、ステップT102の携帯機を呼び出す起動無線信号の送信へ戻り、ステップST102からステップST104の手順を複数回実行する構成としてもよい。同じくステップST105で、携帯機2からのキー情報が一致しなかった場合も、ステップST102からステップST104の手順を複数回実行する構成としてもよい。
【0041】
ステップST106では、ドアロック解除スイッチ16がONになったドア位置と、車外用アンテナ3〜5で受信した携帯機2の無線信号の受信強度が最も大きかった車外用アンテナ位置の確認を行う。例えば、このステップST106の判定がなかった場合、携帯機2を持つ正規ユーザが助手席側の車室外エリア内に居り、悪意を持つ第3者が運転席側の車室外エリアからドアアンロックの操作を行った場合、助手席側の車室外エリアにある携帯機2との間でドアアンロック条件が成立し、運転席ドアも開錠され悪意を持つ第3者が車室内に侵入できることになる。ステップST106で、車室外に存在する携帯機2は、どのドアの近くに存在するか判別することができる。これによりロック解除するドアを限定することができ、防犯効果を向上することができる。ドアロック解除スイッチ16がONのドア位置と、受信強度が最も大きかった車外用アンテナ位置が一致すれば、次のステップST107へ移行する。
【0042】
ステップST107は、車外用アンテナ3〜5内で最も受信強度が大きかった車外用アンテナの受信強度と、車室内に設置された車内用アンテナ6〜8の受信強度を比較し、携帯機2の車室内外判定を行う。車外用アンテナの受信強度が、車内用アンテナ6〜8の受信強度より大きければ携帯機2はユーザと共に車室外に存在すると判断され、ステップST108でドアロックが解除される。逆に、車内用アンテナ6〜8の受信強度が大きければ、携帯機2はユーザと共に車室外には存在しないと判断し、携帯機2が車室内に置き忘れた可能性があるとして、ステップST108でドアロックは解除されない。
【0043】
図7は、車両1のエンジン停止状態からエンジン始動に至る一連の動作を説明するフローチャートであり、ECU12に内蔵された判定手段121の処理手順を示す。
先ず、ステップST200では、車両1のエンジンは停止状態である。携帯機2を保持するユーザが、エンジンを始動するためのエンジンスタートスイッチ15を押し、スイッチ信号(入力信号122b)がECU12へ伝達される。ステップST201で、エンジンスタートスイッチ15がONになったことを判断し、処理手順は次のステップST202へ移行する。
ステップST202では、携帯機2を起動させるために、起動無線信号をデータ通信用アンテナ13から送信する。起動無線信号を受信した携帯機2は、応答として自身のメモリに記録されたキー情報を変調して、無線信号として車載無線機へ送信する。車載無線機では、携帯機2からの無線信号を車外用アンテナ3〜5と、車内用アンテナ6〜8で受信する。
【0044】
次にステップST203は、受信した携帯機2の無線信号に基づいて、検出器9〜11でその受信強度を計測する。また、送受信手段14は携帯機2の無線信号に含まれるキー情報を復調する。ステップST204は、受信した携帯機2の無線信号の受信強度が、予め定められた値(閾値)以上であるか判定する。ステップST205では、携帯機2のキー情報とECU12に登録されたキー情報が一致するか判定する。キー情報の一致で、携帯機2を保持しエンジンスタートスイッチ15を押したユーザが車両1の正規ユーザであると判断する。
【0045】
ステップST206では、車内用アンテナ6〜8で最も受信強度が大きかった車内用アンテナの受信強度と、車室外に設置された車外用アンテナ3〜5の受信強度を比較し、携帯機2の車室内外の位置判定を行う。車内用アンテナの受信強度が、車外用アンテナ3〜5の受信強度より大きければ、携帯機2はユーザと共に車室内に存在すると判断する。逆に、車内用アンテナでの受信強度が車外用アンテナ3〜5での受信強度より小さければ、携帯機2は車室外に存在すると判断する。
ステップST206の別の車室内外判定の処理手順には、車室内外判定結果(個別判定結果)の多数決をとり、最も多かった判定結果を最終判定結果とする処理がある。
【0046】
図8は、多数決判定処理の内容を説明するフローチャートである。
本実施の形態での車両ドアを挟んで対で設置された車外用アンテナ3〜5と車内用アンテナ6〜8は、上述したように、運転席ドアに設置された車外用アンテナ3と車内用アンテナ6、助手席ドアに設置された車外用アンテナ4と車内用アンテナ7、ドランクドアに設置された車外用アンテナ5と車内用アンテナ8である。
【0047】
先ず、ステップST300において、個別判定結果である多数決データをゼロクリアする。次にステップST301で、運転席ドアに設置した車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の受信強度での車内外判定結果が車内の判定であれば、ステップST302で多数決データに1を加算しステップST303へ移行する。一方、ステップST301で車外の判定であれば、ステップST303へ直接移行する。
ステップST303では、助手席ドアに設置された車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の受信強度での車内外判定結果が車内の判定であれば、ステップST304で多数決データに1を加算しステップST305へ移行する。車外の判定であればステップST305へ直接移行する。
ステップST305では後部ドアに設置された車外用アンテナ5と車内用アンテナ8の受信強度での車内外判定結果が車内の判定であれば、ステップST306で多数決データに1を加算しステップST307へ移行する。車外の判定であればステップST307へ直接移行する。
ステップST307で、多数決データの値が3または2であれは、多数決判定の結果として携帯機2が車室内に存在すると最終判定する。逆に、多数決データが1または0であれば、多数決判定の結果として携帯機2が車室外に存在すると最終判定する。
【0048】
図9は、各ドアに設置した車内外アンテナでの判定結果と多数決判定結果の関係を示す図である。
本実施の形態で多数決判定に用いる判定データは、運転席ドアに設置した車外用アンテナ3と車内用アンテナ6の受信強度で求めた内外判定結果、助手席ドアに設置した車外用アンテナ4と車内用アンテナ7の受信強度で求めた内外判定結果、ドランクドアに設置した車外用アンテナ5と車内用アンテナ8の受信強度で求めた内外判定結果である。よって各ドアに設置した車内外アンテナでの判定結果の組合せは8ケースとなり、図9に示す多数決データの値が2以上で、携帯機2が車室内に存在すると判定し、多数決データの値が1以下であれば、形態機2が車室外に存在すると判定する。
【0049】
多数決による内外判定処理は、以下に記載するマルチパスフェージングの課題を解決する手段として効果的である。その課題と効果について説明する。車外用アンテナと車内用アンテナでの受信強度を比較する携帯機2の車室内外判定では、マルチパスフェージングによる受信強度の低下が内外判定の誤判定要因となる。このマルチパスフェージングは、異なる伝搬経路を持つ電波(直接波と反射波)が干渉し、受信強度が変動することである。特に直接波と反射波が逆位相となって、アンテナで受信されると、その受信強度が大きく低下する。マルチパスフェージングにより受信強度の低下が生じると、携帯機2が車室内にある場合でも、車内用アンテナでの受信強度が低下し、車外用アンテナの受信強度が相対的に強くなる。そのため強度差が逆転し、内外判定の誤判定につながることが課題である。例えば、携帯機2が車室内にあるにもかかわらず、運転席ドアの内側(車室内側)に設置した車内用アンテナ6〜8での受信強度が、マルチパスフェージングの影響により低下し、相対的に車外用アンテナ3〜5での受信強度が大きくなり、受信強度の比較で携帯機2は車室外に存在すると判断されてしまう。
【0050】
マルチパスフェージングによる受信強度の低下を回避する方策として、無線信号の1/2波長以上離れた箇所では、マルチパスフェージングの影響が解消される物理的特性の利用がある。例えば、運転席ドア内側の車内用アンテナ6での受信強度がマルチパスフェージングにより低下しても、助手席ドアの内側に設置した車内用アンテナ7、また後部ドアの内側に設置した車内用アンテナ8では、マルチパスフェージングによって受信強度の低下が発生していない。
【0051】
多数決判定による内外判定処理を行うことで、車内用アンテナ6〜8の何れか一つで、マルチパスフェージングが発生し、携帯機2が車室外に存在すると誤った判定を行っても、他の車内用アンテナでは携帯機2を車室内と正しく判定できるので、最終的な判定では携帯機2は車室内に存在すると正しく判定することができる。
【0052】
ステップST206で携帯機2が車室内に存在すると判断できれば、ステップST207でエンジンスタートが許可されエンジンが始動する。ステップST206で携帯機2が車室外に存在すると判定された場合は、携帯機2はユーザと共に車室内に存在しないのでエンジン始動しない。
【0053】
以上説明したように、実施の形態1の車両無線装置によれば、無線通信機能を有する携帯機と、携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、車載無線機は、車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、車外用アンテナと車内用アンテナで受信した携帯機からの無線信号の信号強度を算出する検出手段と、検出手段で算出した車外用アンテナにおける信号強度と車内用アンテナにおける信号強度とを比較し、携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えたので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことができる。
【0054】
また、実施の形態1の車両無線装置によれば、車外用アンテナと車内用アンテナは3対以上設置され、判定手段は、対をなす車外用アンテナと車内用アンテナ毎の受信強度を比較して、それぞれの結果を個別判定結果とし、3箇所以上の個別判定結果を用いて多数決判定を行うようにしたので、マルチパスによる受信強度の低下による誤判定を回避することができ、携帯機の車室内外位置の判定精度を向上することができる。
【0055】
また、実施の形態1の車両無線装置によれば、車外用アンテナと車内用アンテナは、金属面の両側に、金属面と各アンテナの間隔が無線信号に用いる波長の10%より近い位置に設置するようにしたので、車両ボディによる電波遮蔽効果を得ることができ、携帯機の車室内外位置をさらに精度良く判定することができる。
【0056】
また、実施の形態1の車両無線装置によれば、車外用アンテナと車内用アンテナは、車両の両側面ドアと後部ドアとをそれぞれ挟んで複数対設置されるようにしたので、車外エリアの車両側方と車両後方、また車内エリアの前方、後方も含め車室内外の全領域で、携帯機の車室内外の位置を精度良く判定することができる。
【0057】
実施の形態2.
車外用アンテナと車内用アンテナでの受信強度を比較する携帯機の車室内外判定では、マルチパスフェージングによる受信強度の低下が内外判定の誤判定要因となる。マルチパスフェージングにより受信強度の低下が生じると、携帯機が車外にある場合でも、車外用の車載アンテナでの受信強度が低下し、車内用の車載アンテナの受信強度が相対的に強くなる。そのため強度差が逆転し、内外判定の誤判定につながることがある。
そこで、実施の形態2では、車外用アンテナを垂直偏波と水平偏波を受信する構成とし、偏波の受信強度の大きい方を車外用アンテナでの受信強度としたものである。尚、実施の形態2の車両無線装置における全体の基本的な構成は図1及び図2で示した実施の形態1と同様であるため、全体構成についてはその説明を省略する。
【0058】
図10は、本発明の実施の形態2の車両無線装置における検出器9aとECU12aの装置構成を示すブロック図である。尚、検出器10a、検出器11aの内部構造は同一であるため、これらの内部構成についてはその図示を省略している。
図10において、車外用アンテナ3a〜5a,3b〜5bは、車両1の車外に設置され、携帯機2の無線通信を受信するアンテナである。また、車内用アンテナ6〜8は、車両1の車室内に設置され携帯機2の無線通信を受信するアンテナであり、車内用アンテナ6〜8の構成は実施の形態1と同様である。車外用アンテナ3a〜5aは、携帯機2の無線信号について、垂直偏波を選択的に受信するアンテナであり、車外用アンテナ3b〜5bは、携帯機2の無線信号について、水平偏波を選択的に受信するアンテナである。また、増幅器91a,91b、帯域フィルタ93a,93b、検波器95a,95bは、それぞれ、車外用アンテナ3aからの信号と車外用アンテナ3bからの信号に対応した構成であり、それぞれの機能は、実施の形態1における増幅器91、帯域フィルタ93、検波器95と同様である。また、増幅器92、帯域フィルタ94、検波器96は実施の形態1と同様である。データ伝送手段97は、検波器95a,95b,96の出力信号をECU12aに伝送する手段である。
【0059】
また、ECU12aにおける判定手段121aは、検出器9a〜11aからデータ伝送される信号強度データを元に携帯機2の車室内外判定を行う判定手段であり、基本的な機能は実施の形態1の判定手段121と同様であるが、車外用アンテナ3a〜5a,3b〜5bからの信号強度として、垂直偏波を受信する車外用アンテナ3a〜5aと、水平偏波を受信する車外用アンテナ3b〜5bでの受信強度の大きい方を選択する点が異なっている。またECU12aの車両制御手段122は実施の形態1と同様である。
【0060】
無線信号の伝搬では、地面、コンクリート壁、天井など構造物での反射した反射波は、水平偏波と垂直偏波で、その反射波の強度が異なる、またアンテナから送信(または受信)される水平偏波と垂直偏波の強度が異なるので、垂直偏波と水平偏波ではマルチパスによる受信強度の変動度合いが異なる。例えば、水平偏波ではマルチパスによる受信強度が低下する場合でも、垂直偏波ではマルチパスによる受信強度の低下は発生しない。これにより、どちらか一方の偏波にマルチパスフェージングによる受信強度の低下が生じた場合でも、もう一方の偏波ではマルチパスフェージングが回避されるので、受信強度が大きい偏波での値を選択することで、受信強度の低下によって内外判定の誤りを防止することが出来る。
【0061】
一方、車内エリア20に存在する携帯機2が送信した無線信号は、車内用アンテナ6,7,8で受信される。例えば、車内用アンテナ6での受信強度が、マルチパスフェージングの影響により強度が低下した場合、他の車内用アンテナ7,8での受信強度を用いて、最も受信強度が大きいものを選択し、車内用アンテナでの受信強度の代表値とする。これにより車室内エリアで生じたマルチパスによる受信強度の低下を回避することができ、受信強度の比較による携帯機の車室内外位置の判定精度を向上することができる。
【0062】
以上説明したように、実施の形態2の車両無線装置によれば、車外用アンテナは、垂直偏波と水平偏波を受信する構成を有し、偏波の受信強度の大きい方を車外用アンテナでの受信強度とするようにしたので、マルチパスによる受信強度の低下による誤判定を回避することができ、携帯機の車室内外位置の判定精度を向上させることができる。
【0063】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3の車両無線装置を説明するための検出器9b〜11bとECU12bの装置構成を示すブロック図である。尚、車両無線装置における全体構成は実施の形態1と同様である。また、検出器10b,11bの内部構造は検出器9bと同一である。
図11において、発振器98は、携帯機2の無線信号と同じ周波数の正弦波を生成する発振器である。検波器99,100は、それぞれ受信した携帯機2からの無線信号の位相差を算出する検波手段である。データ伝送手段97は、検出器99,100からの出力信号である位相差データをECU12bに伝送する手段である。また、ECU12bの判定手段121bは、検出器9b〜11bからデータ伝送された位相差データを元に、携帯機2の車室内外判定を行うよう構成されている。その他の構成については、実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
携帯機2が送信した無線信号は、車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信され、それぞれ増幅器91,92で所定のレベルに信号増幅される。次に、増幅器91,92の出力信号は、帯域フィルタ93,94で無線通信周波数の315MHzを通過周波数とし不要な帯域のノイズ成分をフィルタリングで除去される。
車外用アンテナ3と車内用アンテナ6で受信された無線信号の位相データは、検波器99,100にてそれぞれで算出される。位相データを算出する検波器99,100の構成は、実施の形態1の図5で説明したI/Q検波回路を用いる。この場合、図5の演算器957は、I成分とQ成分を入力として、tan−1(Q成分/I成分)の演算を行い、受信した無線信号の位相データを算出する。
【0065】
判定手段121bは、検出器9b,10b,11bからデータ伝送された位相データを元に、携帯機2の車室内外判定を行う。携帯機2が車室外に存在する場合、車内用アンテナ6〜8での位相データより車外用アンテナ3〜5での位相データは位相が遅れている。これは無線信号の伝搬距離に依存するもので、携帯機2と車内用アンテナ6〜8での伝搬距離より携帯機2と車外用アンテナ3〜5での伝搬距離の方が短いからである。一方、携帯機2が車室内に存在する場合は、車内用アンテナ6〜8での位相データより、車外用アンテナ3〜5での位相データは位相が進んでいる。このように、車内用アンテナ6〜8での位相データと車外用アンテナ3〜5での位相データを比較することで、受信強度と同様に、携帯機2の車室内外位置の判定を行うことができる。
尚、実施の形態3において、携帯機2の車室内外判定に位相データを用いること以外の動作は実施の形態1と同様であるため、他の動作の説明は省略する。
【0066】
以上説明したように、実施の形態3の車両無線装置によれば、無線通信機能を有する携帯機と、携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、車載無線機は、車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、車外用アンテナと車内用アンテナで受信した携帯機からの無線信号の位相差を算出する検出手段と、検出手段で算出した位相差を比較し、携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えたので、携帯機の車室内外の判定を精度よく行うことができる。
【0067】
尚、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合せ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 車両、2 携帯機、3,4,5 車外用アンテナ、6,7,8 車内用アンテナ、9,9a,9b,10,10a,10b,11,11a,11b 検出器、12,12a,12b ECU、13 データ通信用アンテナ、14 送受信手段、15 エンジンスタートスイッチ、16 ドアロック解除スイッチ、17,18,19 車外エリア、20 車内エリア、21,22,23 判定境界、91,91a,91b,92 増幅器、93,93a,93b,94 帯域フィルタ、95,95a,95b,99,100 検波器、97 データ伝送手段、98 発振器、121,121a,121b 判定手段、122 車両制御手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機能を有する携帯機と、前記携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、
前記車載無線機は、
車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、前記携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、
前記車外用アンテナと前記車内用アンテナで受信した前記携帯機からの無線信号の信号強度を算出する検出手段と、
前記検出手段で算出した前記車外用アンテナにおける信号強度と前記車内用アンテナにおける信号強度とを比較し、前記携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えた車両無線装置。
【請求項2】
車外用アンテナと車内用アンテナは3対以上設置され、
判定手段は、前記対をなす車外用アンテナと車内用アンテナ毎の受信強度を比較して、それぞれの結果を個別判定結果とし、3箇所以上の前記個別判定結果を用いて多数決判定を行うことを特徴とする請求項1記載の車両無線装置。
【請求項3】
車外用アンテナは、垂直偏波と水平偏波を受信する構成を有し、前記偏波の受信強度の大きい方を前記車外用アンテナでの受信強度とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両無線装置。
【請求項4】
車外用アンテナと車内用アンテナは、金属面の両側に、当該金属面と各アンテナの間隔が無線信号に用いる波長の10%より近い位置に設置することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の車両無線装置。
【請求項5】
無線通信機能を有する携帯機と、前記携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、
前記車載無線機は、
車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、前記携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、
前記車外用アンテナと前記車内用アンテナで受信した前記携帯機からの無線信号の位相差を算出する検出手段と、
前記検出手段で算出した位相差を比較し、前記携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えた車両無線装置。
【請求項6】
車外用アンテナと車内用アンテナは、車両の両側面ドアと後部ドアとをそれぞれ挟んで複数対設置されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の車両無線装置。
【請求項1】
無線通信機能を有する携帯機と、前記携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、
前記車載無線機は、
車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、前記携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、
前記車外用アンテナと前記車内用アンテナで受信した前記携帯機からの無線信号の信号強度を算出する検出手段と、
前記検出手段で算出した前記車外用アンテナにおける信号強度と前記車内用アンテナにおける信号強度とを比較し、前記携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えた車両無線装置。
【請求項2】
車外用アンテナと車内用アンテナは3対以上設置され、
判定手段は、前記対をなす車外用アンテナと車内用アンテナ毎の受信強度を比較して、それぞれの結果を個別判定結果とし、3箇所以上の前記個別判定結果を用いて多数決判定を行うことを特徴とする請求項1記載の車両無線装置。
【請求項3】
車外用アンテナは、垂直偏波と水平偏波を受信する構成を有し、前記偏波の受信強度の大きい方を前記車外用アンテナでの受信強度とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両無線装置。
【請求項4】
車外用アンテナと車内用アンテナは、金属面の両側に、当該金属面と各アンテナの間隔が無線信号に用いる波長の10%より近い位置に設置することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の車両無線装置。
【請求項5】
無線通信機能を有する携帯機と、前記携帯機との間で無線通信を行う車載無線機とを備えた車両無線装置において、
前記車載無線機は、
車両のボディを挟んで内外に対をなすよう設置され、それぞれが、前記携帯機からの無線信号を受信する車外用アンテナ及び車内用アンテナと、
前記車外用アンテナと前記車内用アンテナで受信した前記携帯機からの無線信号の位相差を算出する検出手段と、
前記検出手段で算出した位相差を比較し、前記携帯機が車室内外の何れに存在するかを判定する判定手段とを備えた車両無線装置。
【請求項6】
車外用アンテナと車内用アンテナは、車両の両側面ドアと後部ドアとをそれぞれ挟んで複数対設置されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の車両無線装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−172334(P2012−172334A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33301(P2011−33301)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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