説明

車両用のアーム部品とその製造方法

【課題】溶接工程を行うことなく、プレス加工やヘム加工により迅速かつ簡単に成形可能であって、材料の歩留まりもよく、コスト的にも有利で、繰り返し作用する圧縮力や引張り力に対しても十分強度あるいは剛性のある車両用アーム部品とその製造方法を提供する。
【解決手段】 軸直角断面がハット状をした一対の半部材H1,H2の各第1フランジ片9,10及び第2フランジ片11,12を合わせ、膨出部から第1フランジ部及び第2フランジ部を突出した車両用アーム部品であり、第1フランジ部及び第2フランジ部はいずれも本体部2の軸線に沿って直状に伸延すると共に、本体部2が側面視で矩形状を呈するように形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のアーム部品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のアーム部品としては、車体と車輪とを連結するサスペンションアームや、サブフレームと車輪側とを連結するラジアスロッドなどのように、車両走行時あるいは制動時に作用する大きな力に対抗すると共に、このような力を伝達するために、十分な剛性を有していなければならないものがある。
【0003】
このようなアーム部品は、従来から、所定の外径と肉厚を有するチューブの一端に連結用ブラケットを、他端に連結用カラーを溶接したものが使用されており、連結用ブラケットは車輪側と、連結用カラーは内部に挿入されたゴムブッシュを介して車体側などの取付軸とそれぞれ連結される。しかし、このアーム部品は、チューブ、ブラケット及びカラーという3部品から構成されていることから、重量的に不利となるのみでなく、溶接作業を伴うので、製造的に面倒である。
【0004】
最近では、下記特許文献1のようなプレス成形されたサスペンションアームが提案されている。このサスペンションアームは、中央部分に大きなバネ受け座を有しているものの、全体的には軸直角断面がコ字状をしたもので、長手方向に沿って伸延する平坦な背部材と、この背部材の左右両側部から垂下された左右のアーム半体と、からなっている。このサスペンションアームは、プレス成形されたものであるが、この成形時に、各アーム半体は、その端部に前記連結用ブラケットあるいは連結用カラーに相当する部分を形成するための通孔がそれぞれ形成され、端部から離間した位置には連結用窪みが形成されている。そして、各アーム半体に設けた連結用窪みの底壁相互を溶接接合し、右アーム半体と左アーム半体を連結している。このようにして成形されたサスペンションアームは、1枚の板材をプレス成形したものであるため、重量的にも製造的にも有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−316228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このサスペンションアームは、連結用窪みの底壁相互を溶接により接合することから、完全に溶接工程を省くまでには至っておらず、面倒な製造作業となり、製造に時間を要し、コスト的にも不利である。しかも、このサスペンションアームは、背部材と各アーム半体が断面コ字状であるため、連結用窪みが溶接接合により連結されていても、閉断面構造ではないことから、捩れや歪みが生じやすく、強度あるいは剛性的に不利である。特に、サスペンションアームのように圧縮力と引張り力が繰り返し作用するものの場合には、単に、背部材の左右両側から右アーム半体と左アーム半体が垂下したのみでは、引張り力に対してはある程度強度あるいは剛性を有するものの、圧縮力に対しては弱いものとなる。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたもので、溶接工程を行うことなく、プレス加工やヘム加工により迅速かつ簡単に成形可能であって、材料の歩留まりもよく、コスト的にも有利で、繰り返し作用する圧縮力や引張り力に対しても十分強度あるいは剛性のある車両用アーム部品とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る車両用アーム部品は、端部に通孔を有する連結部が形成された長尺な本体部が、軸線方向に沿って伸延する湾曲突部と、当該湾曲突部の麓から延在するように形成された第1フランジ片及び第2フランジ片とを有する軸直角断面がハット状をした一対の半部材から構成され、前記両フランジ片を合わせ前記湾曲突部により形成される膨出部から各半部材の各第1フランジ片により形成された第1フランジ部、及び各第2フランジ片により形成された第2フランジ部が突出された車両用アーム部品であって、前記第1フランジ部は一方の半部材の第1フランジ片が他方の半部材の第1フランジ片と一体的連続構成となるように折り曲げ成形され、前記第2フランジ部は一方の半部材の第2フランジ片端部を他方の半部材の第2フランジ片が覆うように先端部が折り曲げ成形され、前記第1フランジ部及び第2フランジ部はいずれも前記膨出部の軸線に沿って直状に伸延すると共に、前記本体部が側面視で矩形状を呈するように形成したことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成する本発明に係る車両用アーム部品の製造方法は、端部に通孔を有する連結部が形成された長尺な本体部が、軸線方向に沿って伸延する湾曲突部と、当該湾曲突部の麓から延在するように形成された第1フランジ片及び第2フランジ片とを有する軸直角断面がハット状をした一対の半部材から構成され、前記両フランジ片を合わせ前記湾曲突部により形成される膨出部から各半部材の各第1フランジ片により第1フランジ部、及び各第2フランジ片により第2フランジ部が突出するようにした車両用アーム部品の製造方法であって、前記本体部及び連結部を成形するための、比較的長尺なブランク材を打ち抜く打ち抜き工程と、前記ブランク材の巾方向中央部に軸線方向に沿って伸延し、上面が第1平坦面とされ、当該第1平坦面の外側に第1立ち片が形成されるように膨出された中央膨出部を成形する中央膨出部成形工程と、前記中央膨出部から巾方向に離間した位置に第2立ち片を形成すると共に、当該第2立ち片の上端から平坦に外方に延びる第2平坦面を形成する第1折り曲げ工程と、一方の前記第2平坦面の外側部を折り曲げ、折り曲げ片を形成する第2折り曲げ工程と、前記中央膨出部の中央部を前記軸線に沿って折り曲げることにより、前記第1フランジ片と、前記第1立ち片及び第2立ち片を有する前記湾曲突部と、前記第2平坦面からなる第2フランジ片とで軸直角断面がハット状をした半部材が相互に対向する状態とする第3折り曲げ工程と、前記折り曲げ片を、他方の半部材の前記第2フランジ片端部を覆うように折り曲げ成形する第4折り曲げ工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用アーム部品は、溶接工程を行うことなく、折り曲げ加工により成形するので、迅速にかつ簡単に成形が可能となり、製品も外観的に優れたものとなり、製品品質が向上する。また、閉断面構造の膨出部に第1フランジ部及び第2フランジ部を本体部の軸線に沿って直状に伸延するように形成したので、引っ張り力や圧縮力が繰り返す作用するものに使用しても十分な強度を有するものとなる。
【0011】
特に、前記本体部が側面視で矩形状を呈するように形成したので、フランジ部が補強部材として機能し、繰り返し作用する圧縮力や引張り力に対しても十分強度あるいは剛性を発揮することになる。
【0012】
さらに、本体部の軸方向両端に設けられる連結部を形成するに当り、両半部材の端部に通孔を開設し、当該通孔にカラーを圧入して使用する場合には、通孔の内径を大小適宜変更するのみで、種々の車両用アーム部品を製造でき、部品の共用化を図ることができるという利点もある。
【0013】
請求項2に記載の車両用アーム部品は、前記湾曲突部が前記連結部の近傍は幅広に中間部は狭小幅となるように前記幅が徐々に変化する円弧状外縁部を有する構成としたので、車両用アーム部品が全体に渡り均一な強度を有し、引っ張り力や圧縮力が繰り返す作用するものに使用しても問題なく使用できる。
【0014】
また、両フランジ部は、いわば余肉を利用して成形されるので、切除部分が低減し、材料の歩留まりもよく、コスト的にも有利となる。つまり、連結部の近傍は幅広に中間部は狭小幅に形成された湾曲突部から第1フランジ部及び第2フランジ部が延在し、これらを含む本体部全体が側面視で矩形状となるように形成したので、狭小幅に形成された湾曲突部の湾曲突部に続くフランジ部は、余剰肉をたっぷり有する補強部材として機能し、繰り返し作用する圧縮力や引張り力に対しても十分強度あるいは剛性を発揮することになる。
【0015】
請求項3に記載の車両用アーム部品は、本体部及び連結部を高張力鋼板により構成したので、車両用アーム部品全体が軽量で強度のあるものとなる。
【0016】
請求項4に記載の車両用アーム部品の製造方法は、溶接工程を行うことなく、折り曲げ加工により成形するので、迅速な成形が可能となり、コスト的に有利となる。
【0017】
また、膨出部から突出する補強用の第1フランジ部を形成する場合、予めブランク材をドロー成形することにより形成した中央膨出部を軸線に沿って折り曲げることにより形成するので、軸線に沿って直線的に伸延する強度のある第1フランジ部を簡単にかつ迅速に形成することができる。第2フランジ部に関しても、一方の第2フランジ片の外側部に形成した立片を他方の第2フランジ片の先端部分を覆うように折り曲げ成形することにより直線的に伸延する強度のあるものを簡単にかつ迅速に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るサスペンションアームの概略斜視図である。
【図2】同サスペンションアームの軸直角断面図である。
【図3】同サスペンションアームの概略側面図である。
【図4】図3の4−4線に沿う断面図である。
【図5】図3の5−5線に沿う断面図である。
【図6】前記サスペンションアーム成形用の板材を打ち抜く状態を示す平面図である。
【図7】(A)は同板材に中央膨出部を成形した状態を示す斜視図、(B)は同板材の軸直角断面図である。
【図8】(A)は前記板材を第1折り曲げ工程を施した状態を示す斜視図、(B)は同板材の軸直角断面図である。
【図9】前記板材に通孔などを形成した状態を示す斜視図である。
【図10】(A)は前記板材をピアスバーリングすると共に、第2折り曲げ工程を施した状態を示す斜視図、(B)は同板材の軸直角断面図である。
【図11】(A)は前記板材の中央膨出部に第3折り曲げ工程を施した状態を示す斜視図図、(B)は同板材の軸直角断面図である。
【図12】(A)は前記板材に第4折り曲げ工程を施した状態を示す斜視図、(B)は同板材の軸直角断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用アーム部品は、車両用のサスペンションアーム1に用いられるものであり、長尺な本体部2と、本体部2の両端に一体的に設けられた連結部3,4と、を有している。連結部3は、大径の通孔5が形成され、内部にブッシュが圧入され、ゴムなどの弾性材を介して車体側から突出されている軸部材(不図示)と連結され、連結部4は、小径の通孔6が形成され、内部に車輪側からのボルト(不図示)が挿通され、ナットにより連結される。
【0021】
本体部2は、軸線方向に沿って伸延すると共に、外方に向かって膨出された湾曲突部7、8と、湾曲突部7、8の麓から延在された第1フランジ片9、10、及び、第2フランジ片11,12と、を有する軸直角断面がハット状をした一対の半部材H1,H2から構成され、湾曲突部7、8を合わせることにより膨出部Eが形成され、この膨出部Eから第1フランジ片9、10により形成された第1フランジ部F1と、第2フランジ片11,12により形成された第2フランジ部F2が上下に突出されている。
【0022】
膨出部Eは、図3に示すように、連結部3あるいは4に近い部分の幅W1が比較的大きく、中間部の幅W2は狭小に形成されている。つまり、膨出部Eは、図3〜5に示すように、中央部分が狭小幅で、両端に至るほど幅Wが増大するように、幅W(W1、W2の総称)が徐々に変化する円弧状外縁部とされている。これは、全体に渡り均一な強度を有するようにするためであり、また、幅Wを大きくすることによる重量増を防止するためでもある。
【0023】
一方の半部材H1における第1フランジ片9は、他方の半部材H2の第1フランジ片10と一体的に連続した構成とされ、折り曲げにより第1フランジ片9,10相互が略密着するように成形されている。また、一方の半部材H1における第2フランジ片11は、他方の半部材H2の第2フランジ片12を上方から覆うように先端部11aが折り曲げ成形されている。
【0024】
特に、本実施形態では、第1フランジ部F1及び第2フランジ部F2は、いずれも本体部2の軸線に沿って直状に伸延するように形成され、また、膨出部E、第1フランジ部F1及び第2フランジ部F2を含む本体部2は、全体的形状が軸直角方向から見た状態(図3に示す状態であるが、以下、「側面視」と略称する)で矩形状を呈するように形成されている。
【0025】
第1フランジ部F1及び第2フランジ部F2を本体部2の軸線に沿って直状に伸延するように形成すれば、両連結部3,4から作用する力に対向する強度が向上するのみでなく、プレス成形あるいはヘム成形が容易となり、コスト的に有利となる。
【0026】
また、本体部2を側面視で矩形状となるように形成すれば、図3に示すように、中央部分が狭小幅で、両端に至るほど幅Wが大きくなるように形成された膨出部Eの円弧状外縁部から第1フランジ部F1あるいは第2フランジ部F2の端部まで距離L1,L2が大きくなる。この結果、狭小幅の膨出部Eから伸延されたフランジ部F1、F2は、余剰肉をたっぷり有する補強部材として機能することになり、繰り返し作用する圧縮力や引張り力に対しても十分強度あるいは剛性を発揮することになる。しかも、両フランジ部F1、F2は、いわば余肉となる部分であるが、切断除去することなく補強部材として利用するので、切断除去する部分が低減し、材料の歩留まりもよく、コスト的にも有利となる。
【0027】
このように構成された車両用のアーム部品を製造する方法について説明する。
<打ち抜き工程>
まず、図6に示すように、本体部2と連結部3,4とを有する車両用アーム部品の展開した形状に相当する比較的長尺な所定形状のブランク材Bを打ち抜き成形する。この打ち抜き工程は、コイル状に巻回された状態の材料板材Cを引き出し、プレス型を用いて所定形状に打ち抜くことにより行う。材料板材Cは、特に限定されるものではないが、強度を有し軽量な高張力鋼板を用いることが好ましい。
<中央膨出部成形工程>
次に、打ち抜かれたブランク材Bに対しドロー成形を施し、中央膨出部20を形成する。中央膨出部20は、図7(A)に示すように、ブランク材Bの巾方向中央部に軸線方向に沿って伸延するように形成され、上面が第1平坦面21とされ、第1平坦面21の外側に第1立ち片22が形成されている。中央膨出部20の外側縁に形成された第1立ち片22は、なだらかな円弧状を呈するように形成されている。
【0028】
この成形によりブランク材Bは、図7(B)に示すように、上方に向かって膨出された中央膨出部20の両側に平坦な部分が伸延している状態となる。
<第1折り曲げ工程>
このブランク材Bに対し、図8(A)に示すように、中央膨出部20から巾方向に離間した位置を立ち上げる第1折り曲げを行う。これにより第2立ち片23が形成されるが、さらに第2立ち片23の上端から平坦に外方に延びる第2平坦面24も形成する。
【0029】
この第1折り曲げによりブランク材Bは、図8(B)に示すように、中央膨出部20の両側部に膨出部Eに対応する部分が形成されることになり、第2平坦面24は、第2フランジ部F2用のものとして形成されることになる。
<ピアス工程>
そして、このブランク材Bに対し、図9に示すように、大径の通孔5と小径の通孔6をピアシングにより開設する。この場合、通孔5の内周部分には凸縁部5aを形成することが好ましい。通孔5は、後にカラーあるいはブッシュを圧入し固定する部分であるため、ここに凸縁部5aを形成すれば、カラーなどを支持する領域が増大し、強固に保持することができることになり、好ましい。なお、機種変更や設計変更などにより不必要な部分が生じた場合には、余剰部分Yを同時に削除しても良い。
<第2折り曲げ工程>
次に、図10(A)(B)に示すように、一方の第2平坦面24の外側部を折り曲げて折り曲げ片25を形成する。折り曲げ片25は、第2フランジ片12を覆う部分である。
<第3折り曲げ工程>
図11(A)に示すように、中央膨出部20の中央部を軸線に沿って折り曲げることにより半部材H1,H2が相互に対向する状態とする。各半部材H1,H2は、第1平坦面21(第1フランジ片9、10に対応)と、第2平坦面24(第2フランジ片11、12に対応)との間で第1立ち片22及び第2立ち片23(膨出部Eの一部に対応)が立ち上げられた、軸直角断面略ハット状を呈するものとなる。
【0030】
この第3折り折り曲げにより、図11(B)に示すように、各半部材H1,H2の下端部には、第1フランジ片9、10に対応する部分が一体的に連続した構成のものが形成され、上端部には、第2フランジ部F2に対応する部分が相互に近接した状態になる。
<第4折り曲げ工程>
最後に、図12(A)(B)に示すように、一方の第2平坦面24の折り曲げ片25が、他方の第2平坦面24の端部を覆うように折り曲げ成形する。これにより、両半部材H1,H2の両第2平坦面24が相互に密着した第2フランジ部F2が形成されると共に、下端部に第1フランジ部F1が形成される。なお、この折り曲げ成形は、いわゆるヘム加工のみに限定されるものではなく、カシメにより行ってもよい。
【0031】
このように本発明方法では、溶接を使用することなく折り曲げ成形によりアーム部材を形成するので、外観に溶接により生じる肉盛が表れることはなく、製品品質のよいものが得られ、しかも、溶接により連結する場合よりも極めて短時間で連結でき、好ましい。
【0032】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述した実施形態は、サスペンションアームについて説明したが、本発明は、これのみに限定されるものではなく、クラッチペダルアーム、ラジアスロッドあるいはトレーリングアームなどのような長尺なアーム状をした車両用部品にも同様に適用可能である。
【0033】
また、本実施形態では、半部材H1,H2の断面形状をいずれもハット状としているが、これのみに限定されるものではなく、一方の半部材をハット状とし、他方の半部材を平坦なものとしてもよい。さらに、第1及び第2のフランジ部F1,F2は、平坦で軸方向直状に伸延するものであるが、このフランジ部に点状あるいは線状の凹凸部分を形成してもよい。このようにすれば、車両用アーム部品の強度をさらに向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、軽量で外観的に好ましい車両用サスペンションアームなどの製造に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0035】
1…車両用ペダルアーム、
2‥本体部、
3,4…連結部、
5…大径の通孔、
6…小径の通孔、
7,8…湾曲突部、
9,10…第1フランジ片、
11,12…第2フランジ片、
20…中央膨出部、
21…第1平坦面、
22…第1立ち片、
23…第2立ち片、
24…第2平坦面、
25…折り曲げ片、
B…ブランク材、
F1…第1フランジ部、
F2…第2フランジ部、
H1,H2…半部材、
W…膨出部の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に通孔を有する連結部が形成された長尺な本体部が、軸線方向に沿って伸延する湾曲突部と、当該湾曲突部の麓から延在するように形成された第1フランジ片及び第2フランジ片とを有する軸直角断面がハット状をした一対の半部材から構成され、前記両フランジ片を合わせ前記湾曲突部により形成される膨出部から各半部材の各第1フランジ片により形成された第1フランジ部、及び各第2フランジ片により形成された第2フランジ部が突出された車両用アーム部品であって、
前記第1フランジ部は一方の半部材の第1フランジ片が他方の半部材の第1フランジ片と一体的連続構成となるように折り曲げ成形され、前記第2フランジ部は一方の半部材の第2フランジ片端部を他方の半部材の第2フランジ片が覆うように先端部が折り曲げ成形され、前記第1フランジ部及び第2フランジ部はいずれも前記膨出部の軸線に沿って直状に伸延すると共に、前記本体部が側面視で矩形状を呈するように形成したことを特徴とする車両用のアーム部品。
【請求項2】
前記本体部は、前記湾曲突部が前記連結部の近傍は幅広に中間部は狭小幅となるように前記幅が徐々に変化する円弧状外縁部を有する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の車両用のアーム部品。
【請求項3】
前記本体部及び連結部は、高張力鋼板により構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用のアーム部品。
【請求項4】
端部に通孔を有する連結部が形成された長尺な本体部が、軸線方向に沿って伸延する湾曲突部と、当該湾曲突部の麓から延在するように形成された第1フランジ片及び第2フランジ片とを有する軸直角断面がハット状をした一対の半部材から構成され、前記両フランジ片を合わせ前記湾曲突部により形成される膨出部から各半部材の各第1フランジ片により第1フランジ部、及び各第2フランジ片により第2フランジ部が突出するようにした車両用アーム部品の製造方法であって、
前記本体部及び連結部を成形するための、比較的長尺なブランク材を打ち抜く打ち抜き工程と、
前記ブランク材の巾方向中央部に軸線方向に沿って伸延し、上面が第1平坦面とされ、当該第1平坦面の外側に第1立ち片が形成されるように膨出された中央膨出部を成形する中央膨出部成形工程と、
前記中央膨出部から巾方向に離間した位置に第2立ち片を形成すると共に、当該第2立ち片の上端から平坦に外方に延びる第2平坦面を形成する第1折り曲げ工程と、
一方の前記第2平坦面の外側部を折り曲げ、折り曲げ片を形成する第2折り曲げ工程と、
前記中央膨出部の中央部を前記軸線に沿って折り曲げることにより、前記第1フランジ片と、前記第1立ち片及び第2立ち片を有する前記湾曲突部と、前記第2平坦面からなる第2フランジ片とで軸直角断面がハット状をした半部材が相互に対向する状態とする第3折り曲げ工程と、
前記折り曲げ片を、他方の半部材の前記第2フランジ片端部を覆うように折り曲げ成形する第4折り曲げ工程と、
を有することを特徴とする車両用アーム部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−188076(P2012−188076A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55484(P2011−55484)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000253455)株式会社ヨロズ (22)
【Fターム(参考)】