説明

車両用の二重ヘッドランプ

一つのハウジング(2)の内部に互いに隣接して配置される、二つの、いずれも一つのリフレクタ(8)の内部に配置される一つの光源(9)と、ランプユニット(3、4)に前置されてこれを少なくとも部分的にその照射方向に対して横向きに取り囲む一つの光導波要素(5、6)とを有するランプユニット(3、4)により構成され、前記両ランプユニット(3、4)が、車両の前後軸(13)に対して横向きに並べて、かつ前記車両前後軸(13)と平行な向きに互いに位置をずらして配置される、二重ヘッドランブ(1)において、前記両ランプユニット(3、4)が、その照射方向に、一つの共通の自由なハウジング内部空間(21)の内部に突出しており、その内部に、前記両光導波要素(5、6)が、前記車両前後軸(13)と平行な向きに、それぞれのランプユニット(3、4)に対して、かつ互いに対して、一定の自由な距離(16、17、18)をおいて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つのハウジング内に互いに隣接して配置される、二つの、いずれも一つのリフレクタの内部に配置される一つの光源と、ランプユニットに前置されてこれを少なくとも部分的にその照射方向に対して横向きに取り囲む一つの光導波要素とを有するランプユニットにより構成され、それぞれのランプユニットが、車両の前後軸に対して横向きに並べて、かつ車両前後軸と平行な向きに互いに位置をずらして配置される、車両用の二重ヘッドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10040302号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第10114123号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第10251812号明細書
【0003】
特許文献1から、一つのハウジングの内部に互いに隣接して配置される二つのランプユニットないしはヘッドランプを有している、車両用の二重ヘッドランプが知られている。そこではこれらのヘッドランプに、環状の光導波要素が一つずつ、信号灯火の部材として前置されている。特許文献2および特許文献3から知られる二重ヘッドランプの構造も、基本的にはこれと同一である。
【0004】
これらの公知の二重ヘッドランプでは、信号灯火ないしは光導波要素がいずれも、リフレクタまたはカバー要素に対して直接配置される点が短所となっている。それにより、そのような二重ヘッドランプの空間的な外観およびデザイナによる造形に、望ましくない制約を受けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、デザイナによる空間的な造形の可能性が改善されるように、公知である二重ヘッドランプを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の前段部分とあわせ、それぞれのランプユニットが、その照射方向に一つの共通の自由なハウジング内部空間の内部に突出しており、その内部に、それぞれの光導波要素が、車両の前後軸と平行な向きに、それぞれのランプユニットに対して、かつ互いに対して、一定の自由な距離をおいて配置されることにより解決される。
【0007】
光導波要素が自由な距離をおいて配置されることにより、デザイン効果の高い秀でた信号灯火が製作される。信号灯火は、これがただ単にオンになっている限りは、その背後の暗いハウジング内部空間からくっきりと浮かび上がり、「宙吊り」状態、すなわち空中に浮かんでいるように見える。それに加えてさらに、光導波要素のこの自由な配置方式により、たとえば斜めの角度から見たときには、隣接する光導波要素が、見かけではスーパーインポーズないしはオーバラップするかのように見える、三次元的な印象を醸し出す。
【0008】
本発明の好ましい実施形態の一例においては、光導波要素が光リングとして構成される。その際にこの光リングは、公知であるように上向きに開口しているとよい。光導波要素は、基本的には、ほかにも楕円形、腎臓形、または方形に成形されてもよい。上向きに開口した光リングでは、光リングの両端部が、照射方向とは逆の後方に向かって後退するように取り廻され、そこから光を入射できるようになっている。光導波要素は、この入射光を照射方向に照射することができる一つの照射面を有している。その際に光要素のこの照射面とは反対側の裏面は、少なくともところどころ反射式に構成されるようになっている。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態においては、ランプユニットがプロジェクションモジュールとして構成される。このプロジェクションモジュールは、それ自体として公知であるように、一つのリフレクタの内部に配置される一つの光源を有している。そこではこのリフレクタおよび光源に、一つのレンズが前置されており、またこのレンズは、そのために、両側部のウェブを介してリフレクタに接続されたカバーに取り付けられている。プロジェクションモジュールとして構成されることにより、ランプユニットは比較的小さい直径を有することになり、正面図において、光リングとして構成される光導波要素に対し一定の間隔が与えられるようになる。同時にその結果として、光導波要素のランプユニットに対する空間的な印象が、さらに一段と強まることになる。
【0010】
本発明のさらに別の好ましい実施形態においては、それぞれの光導波要素が、鉛直方向下側を一つの保持要素により、上側を二つの保持要素により保持されるようになっている。その場合は、空間的な印象に支障を来たすことなく、光導波要素の確実な三点支承が成立する。
【0011】
本発明のその他の細部については、以下の説明および本発明の好ましい実施形態が例示される添付図面から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
二重ヘッドランプ1は、実質的に一つのハウジング2と、二つのランプユニット3、4と、二つの光導波要素5、6とにより構成される。
【0013】
二重ヘッドランプ1は、そのハウジング2により、自動車両7の対応する受入穴にはめ込まれている(図1を参照)。
【0014】
ランプユニット3、4は実質的に、一つの光源9を中央に配した一つのリフレクタ8と、リフレクタ8および光源9に前置される一つのレンズ10とにより構成される。レンズ10は、両側部のウェブ12を介してリフレクタ8に接続された一つのカバー11に支承されている(図2を参照)。ランプユニット3、4は、車両の前後軸13に対して横向きに一定の距離14をおいて並べて配置されている。ランプユニット3、4は、車両前後軸13と平行な向きに一定の距離15をおいて互いに対して位置をずらして配置されている。光導波要素5、6は、ランプユニット3、4に前置されている。光導波要素5は、車両前後軸13と平行な向きにランプユニット3に対して一定の自由な距離16を有しており、光導波要素6もまたランプユニット4に対して一定の自由な距離17を有している。光導波要素5、6は、相互間に、車両前後軸13と平行な向きに一定の自由な前後方向の距離18を有している。光導波要素5、6は、互いに対して車両前後軸13に対して横向きに一定の自由な横方向の距離19を有している。ランプユニット3、4は、照射方向20に、ハウジング1の自由なハウジング内部空間21の内部に突出しており、そのため光導波要素5、6は、このハウジング内部空間21の内部で自由な見晴らしを持たせて、それぞれのランプユニット3、4に前置されている。自由な見晴らしとは、ここでは何よりも特に、光導波要素がリフレクタ、カバー、またはスクリーン若しくは視界保護要素に埋め込まれないことも意味している。
【0015】
光導波要素5、6は、鉛直方向上向きに開口した光リングとして構成される。光導波要素5、6ないしは光リングの上側の両端部は、この実施例においては照射方向20とは逆の後方に向かって後退するように取り廻されており、そこでは光が両端部から入射されるようになっている。当然ながら光の入射は、特殊な光入射要素等を介しても行うことができる。
【0016】
光導波要素5、6は、照射方向20に、入射光を照射することができる一つの照射面26を有している。光導波要素5、6は、それぞれの照射面26とは反対側の裏面27において、少なくとも部分的に反射式に構成される。
【0017】
光導波要素5、6は、鉛直方向上側を二つの上側保持要素28により、鉛直方向下側を一つの下側保持要素29により保持されている。
【0018】
図3から5には、右側の二重ヘッドランプ1’が示されており、その基本構造は、左右を反転させたときに、図1および2に示される二重ヘッドランプ1と等しくなっている。カバー11’は、カバー11よりも大径に構成されており、同時に一種の視界保護装置ともなっている。図示されない観察者が見る角度に応じて、二重ヘッドランプの光導波要素は、オーバラップしたり、互いから離れて位置したりするように見える。光導波要素5、6は、これらが暗い背景の前で点灯される限り、「宙吊り」状態のような、すなわち空間的な印象を醸し出す。ランプユニット3、4は、これらが明るく点灯されるときには、光導波要素5、6に対して宙吊り状態、ないしは空中に浮かんでいるように見える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】斜め前方から見たときの自動車の左側の二重ヘッドランプを切り取って示した空間図である。
【図2】図1の二重ヘッドランプを線II−IIに沿って切り取ったときの側面図である。
【図3】右側の二重ヘッドランプをハウジングなしで上から見た図である。
【図4】図3の二重ヘッドランプの正面図である。
【図5】図3の二重ヘッドランプを向きVに見たときの側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 左側二重ヘッドランプ
1’ 右側二重ヘッドランプ
2 ハウジング
3 ランプユニット
4 ランプユニット
5 光導波要素
6 光導波要素
7 自動車両
8 リフレクタ
9 光源
10 レンズ
11 カバー
11’ カバー
12 ウェブ
13 車両前後軸
14 距離
15 距離
16 距離
17 距離
18 距離
19 距離
20 照射方向
21 ハウジング内部空間
22 端部
23 端部
24 端部
25 端部
26 照射面
27 裏面
28 上側保持要素
29 下側保持要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の二重ヘッドランプであって、一つのハウジング内に互いに隣接して配置される二つのランプユニットにより構成され、ランプユニットはいずれも一つのリフレクタ内に配置される一つの光源と、ランプユニットに前置され、これを少なくとも部分的にその照射方向に対して横向きに取り囲む一つの光導波要素とを有し、両ランプユニットが、車両の前後軸に対して横向きに並べて、かつ前記車両前後軸と平行な向きに互いに位置をずらして配置される、二重ヘッドランブにおいて、
前記両ランプユニット(3、4)が、その照射方向(20)に、一つの共通のフリーなハウジング内部空間(21)の内部に突出しており、その内部にて、前記両光導波要素(5、6)が、前記車両前後軸(13)と平行な向きに、前記それぞれのランプユニット(3、4)に対して、かつ互いに対して、一定の自由な距離(16、17、18)をおいて配置されることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記光導波要素(5、6)が光リングとして構成されることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項3】
請求項2に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記光リングが鉛直方向上向きに開口していることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項4】
請求項3に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記光リングの上側の両端部(22、23;24、25)が、照射方向(20)とは逆の後方に向かって後退するように取り廻され、そこから光を入射可能であることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記光導波要素(5、6)が、前記入射光を照射することができる照射面(26)を照射方向に有しており、さらに前記照射面(26)とは反対側のその裏面(27)にて、少なくともところどころ反射式に構成されることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項6】
請求項5に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記ランプユニット(3、4)の少なくとも一方が、リフレクタ(8)および光源(9)に前置されるレンズ(10)を有することを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項7】
請求項6に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記ランプユニット(3、4)がプロジェクションモジュールとして構成され、その前記光源(9)に前置されるレンズ(10)が、両側部のウェブ(12)を介して前記リフレクタ(8)に接続されたカバー(11、11’)に支承されることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記光導波要素(5、6)が、鉛直方向下側および上側を少なくとも一つの保持要素(28、29)により保持されることを特徴とする、二重ヘッドランプ。
【請求項9】
請求項8に記載の二重ヘッドランプにおいて、前記光導波要素(5、6)が、上側を二つの保持要素(28)により、下側を一つの保持要素(29)により保持されることを特徴とする、二重ヘッドランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−508131(P2008−508131A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522929(P2007−522929)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006040
【国際公開番号】WO2006/010402
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】