説明

車両用の空調設備の冷凍剤循環を制御する方法および装置

【課題】冷凍剤コンプレッサの負荷トルクを走行状況に従って制限する場合でも、できるだけ良好な室内空調を可能にする、冷凍剤循環、特にR744−冷凍剤循環を制御する方法および装置を提供する。
【解決手段】車両用の空調設備(4)の冷凍剤循環(2)を制御する方法において、冷凍剤循環(2)内に配置されているコンプレッサ(10)が、蒸発器温度制御(VR)および蒸発器温度制御(VR)に統合されている負荷トルク制限関数(22)に従って制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の空調設備の冷凍剤循環、たとえばR744−冷凍剤循環(CO2)を制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内の室内快適性および熱的な快適性を改良するために、一般に空気温度調節システム(空調設備とも称する)が使用され、同システムは少なくとも暖房および冷凍剤循環、空調機器および空気ガイドから形成されている。一般に、車両エンジンまたは駆動モータが高い出力をもたらさなければならない、所定の走行状態において、たとえば勾配がきつい走行あるいは加速が激しい場合に、冷凍剤循環のコンプレッサへのパワー出力の制限が必要となる場合がある。従って車両エンジンとトランスミッションの最適な機能方法を保証するために、たとえば冷凍剤コンプレッサのようなサブアグリゲートの負荷トルクが検出されて、エンジン制御装置および/またはトランスミッション制御装置へ供給される。一般に、このように走行状況に従って負荷トルクが制限される場合に、冷凍剤コンプレッサはエンジン制御装置またはトランスミッション制御装置によってオフにされる。代替的に、たとえば従来技術(たとえば、特許文献1を参照)からは、冷凍剤コンプレッサのその時の負荷トルクの変数の関数を用いて、かつ関数に属する逆関数を用いて、予め定められた最大の限界トルクに従って直接冷凍剤コンプレッサのための駆動信号を形成することが、知られている。その場合に冷凍剤コンプレッサ、好ましくはR134a−冷凍剤コンプレッサを状況に基づいて制御する方法は、エンジン制御装置によって予め定められた負荷トルクに従って定められる。
【特許文献1】ドイツ特許公報DE10106243
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、冷凍剤コンプレッサの負荷トルクを走行状況に従って制限する場合でも、できるだけ良好な室内空調を可能にする、冷凍剤循環、特にR744−冷凍剤循環を制御する方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を有する方法(すなわち、車両用の空調設備の冷凍剤循環を制御する方法であって、冷凍剤循環内に配置されているコンプレッサが、蒸発器温度制御および蒸発器温度制御に統合されている負荷トルク制限関数に従って制御される、空調設備の冷凍剤循環を制御する方法)によって解決され、また、請求項12の特徴を有する装置(すなわち、車両用の空調設備の冷凍剤循環を制御する装置であって、冷凍剤循環内に配置されているコンプレッサが、蒸発器温度制御および蒸発器温度制御内に統合された負荷トルク制限関数に従って制御可能である、空調設備の冷凍剤循環を制御する装置)によって解決される。好ましい展開が、従属請求項の対象である。
【発明の実施の形態】
【0005】
本発明によれば、車両用の空調設備の冷凍剤循環を制御する方法において、冷凍剤循環内に配置されている冷凍剤コンプレッサが、蒸発器温度制御および蒸発器温度制御内に統合されている負荷トルク制限関数に従って制御される。このように冷凍剤コンプレッサを制御するためのノーマルプロセスに負荷トルク制限関数を統合し、あるいは結合することによって、付加的なハードウェアコンポーネントが確実に回避される。その場合に特に、すでに設けられているセンサとアクターが使用される。さらに、冷凍剤コンプレッサをオフにし、あるいは単に最大の限界トルクに従って駆動する代りに、冷凍剤コンプレッサのトルクを走行状況に従って制限することによって、車両エンジンの負荷が著しい場合でも室内のまだ十分に良好な空気温度調節が得られる。従って車両エンジンとトランスミッションの改良された作業方法が可能である。さらに、冷凍剤コンプレッサのこのような負荷トルク制限機能が、燃料節約ももたらす(低いアイドリング回転数)。
【0006】
好ましくは、特に空調制御の上位に配置された制御の、ベース制御回路内で、蒸発器温度のための目標値が予め定められ、その目標値が操作量を形成するための蒸発器温度制御へ供給され、その操作量から冷凍剤コンプレッサのための操作信号が導き出される。その場合に操作量を用いて高圧目標値が定められ、その高圧目標値が下位に位置する高圧制御を案内する。通常場合において、蒸発器温度は、高圧制御を介して調節される。限界場合において、すなわち負荷トルク制限関数を考慮すべき場合には、蒸発器温度は望み通りに調節できないので、空調設備は減少された出力で駆動される。その場合に蒸発器温度のための目標値からの偏差が、最小値に制限される。さらに、限界場合において、負荷トルク制限関数を用いて、たとえば蒸発器温度制御器の積分成分が一定に維持されることにより、ノーマルモードへの恒常的な移行がもたらされる。従って負荷の著しい走行状況においてさえ、空調設備の出力はできるだけわずかしか減少されない。
【0007】
好ましくは高圧目標値が、MIN関数を介して負荷トルク制限関数と論理結合される。すなわち、2つの印加される値−高圧目標値と負荷トルク制限関数の出力値−が互いに比較され、その場合により小さい値が下位に配置された高圧制御のガイド量として用いられる。詳細には、負荷トルク制限関数を用いて、高圧目標値のための実際の限界値が定められて、MIN関数へ供給される。その後、高圧目標値と高圧目標値のための実際の限界値を用いて、MIN関数によって最小値が定められて、それが高圧制御へ供給される。
【0008】
好ましくは、高圧目標値のための最小値を用いて、高圧制御器によって高圧を制御するための操作量が定められ、その場合に高圧制御の操作量が伝送特性曲線とパルス幅変調器を用いてコンプレッサのストローク体積を制御するための操作信号に変換される。
【0009】
最大許容される負荷トルクから高圧目標値のための実際の限界値を求めることは、負荷トルク制限関数を用いて逆関数を介して高圧、吸込み圧、回転数およびR744−冷凍剤循環の他のパラメータのトルクの既知の関数依存性に基づいて行われる。従って逆関数は、負荷トルク制限関数と称することもできる。従ってエンジン出力が高く、かつ冷凍剤コンプレッサの負荷トルクの制限が必要な場合に、上述した逆関数から駆動信号が導き出される。
【0010】
トルク計算関数に対する逆関数を用いて高圧目標値のための実際の限界値を求めるために、負荷トルク制限関数に少なくとも1つのパラメータ、特に最大許容される負荷トルク、吸込み圧力のため、および/またはコンプレッサの回転数のための実際の値、コンプレッサ制御弁を制御するためのパルス幅変調度、蒸発器を介しての空気質量流のため、空気流入温度のため、蒸発器後の空気温度のためおよび/または空気流入湿度のための実際の値が供給される。従って負荷の著しい走行状況においてさえ、空調設備は減少されてはいるが、最大可能な出力で駆動される。他の実施形態においては、限界値を計算する場合に、吸込み圧のため、空気流入温度のためおよび空気流入湿度のための実際の値は、簡略化された精度のためには考慮しないままにすることができる。
【0011】
空調設備の冷凍剤循環を制御する装置に関して、冷凍剤循環内に配置されている冷凍剤コンプレッサが、蒸発器温度制御および蒸発器温度制御に統合された負荷トルク制限関数に従って制御可能である。その場合に蒸発器温度のための目標値を求めるための上位に配置されたベース制御回路と、後段に接続された蒸発器温度制御器が設けられており、その蒸発器温度制御器を用いて蒸発気温度制御のための操作量が定められる。蒸発器温度制御器の操作量を用いて高圧目標値を求めるために、場合によっては補正特性曲線を有する、ベース特性曲線が設けられており、その場合にベース特性曲線の後段に、負荷トルク制限関数を用いて高圧目標値を制限するための制限モジュールが接続されている。その場合に、後段に接続された制限モジュール、たとえばMIN関数、を介して負荷トルク制限関数が蒸発気温度制御器に対して並列に接続される。
【0012】
負荷トルク制限関数は、種々のパラメータ、たとえばコンプレッサ入力側の吸込み圧、コンプレッサ回転数、蒸発器温度および他の入力量またはパラメータを介して求められる。そのために、負荷トルク制限関数に複数の入力が設けられている。制限モジュールは、入力側においてトルク制限関数の出力および通常場合においてそれからもたらされる高圧目標値と接続されている。制限モジュールの後段に、高圧制御器が接続されている。冷凍剤コンプレッサを駆動するために、高圧制御器の後段に特性曲線を介して、冷凍剤コンプレッサの制御弁のためのパルス幅変調された操作信号を形成するためのパルス幅変調器が接続されている。
【0013】
本発明によって得られる利点は、特に、付加的な構成部品なしで、エンジン側の負荷が激しい場合に冷却出力の必要に応じた制限とそれにともなって好ましくない条件においても、まだ十分に良好な室内空調が保証されることにある。この種の解決は、付加的な組込み空間と冷凍剤循環の重量要請なしの利点と、制限機能の基礎となる自動的な保護機能によって高い程度の駆動安全性をもたらす。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。図は、車両のための空気温度調節システム4(空調設備とも称する)の冷凍剤循環2を制御する装置1を示している。空気温度調節システム4は、閉鎖された空間内に、たとえば車両室内に、供給すべき空気を冷却または加熱するための組み合わされた装置として形成することもできる。
【0015】
空気温度調節システム4は、ガスクーラーとして形成されたコンデンサ6(以下においてはガスクーラー6と称する)と蒸発器8を有している。冷凍剤循環2は、閉成されたシステムであって、そのシステム内で冷凍剤KM、たとえば二酸化炭素、R744がコンプレッサ10からガスクーラー6へ、そして膨張弁12を介して循環内の蒸発器8へ案内される。
【0016】
図に示す冷凍剤循環2は、さらに、内部の熱交換器11を有している。冷凍剤循環2の駆動中に、冷凍剤KMは車両内へ流入する空気から熱を吸収して、その熱を再び周囲空気へ放出する。そのために、冷凍剤KMが空気に対して十分に大きい温度差を有していることが、必要である。そのために、冷凍剤循環2内に配置されている膨張弁12における圧力損失によって冷凍剤KMの冷却が行われる;車両室内へ流入する空気の冷却は、蒸発器8内の冷凍剤KMの熱吸収によって行われる。
【0017】
詳細には、冷凍剤循環2は、ガス状の冷凍剤KM、たとえば二酸化炭素を圧縮するための可変のストローク体積Hを持つコンプレッサ10を有している。コンプレッサ10は、ガス状の冷凍剤KMを吸い込む。吸い込まれたガス状の冷凍剤KMは、低い温度と低い圧力を有している。冷凍剤KMは、コンプレッサ10によって圧縮される。ガス状の熱い冷凍剤KMが、ガスクーラー6へ案内される。ガスクーラー6内へ流入する空気によって、冷凍剤KMが冷却される。
【0018】
ガスクーラー6内で冷却された冷凍剤KMは、次にコンプレッサ10の吸込み圧側に供給するために、内部の熱交換器11を介して、かつ膨張弁12を介して案内され、その膨張弁は絞りとして働く。その場合に冷凍剤KMの弛緩がもたらされるので、冷凍剤KMが著しく冷却される。膨張弁12を用いて、冷却された冷凍剤KMが蒸発器8内へ噴射され、そこで冷凍剤KMが流入する空気、たとえば外気から必要な蒸発熱を引き出す。それによって空気が冷却される。冷却された空気は、詳しく図示されていない送風機を介して、かつ空気ガイドを介して車両室内へ案内される。冷凍剤KMは、蒸発器8の後で内部の熱交換器11を介して吸込み圧側でコンプレッサ10へ再び供給される。
【0019】
冷凍剤循環4を制御するために、ここには図示されていない、上位に配置された制御によって、蒸発器温度TVのための目標値SW(TV)が、たとえば2℃から10℃まで滑らかに、予め定められる。温度センサ16を用いて、蒸発器8における蒸発器温度VTについての実際値IW(VT)が定められる。蒸発器温度VTのための目標値SW(VT)と実際値IW(VT)の差を用いて、蒸発器温度VTのための制御偏差RW(VT)が定められる。制御偏差RW(VT)が蒸発器温度制御器18、たとえばP−I−制御器へ供給され、それがその制御偏差に基づいて操作量Uを形成する。蒸発器温度制御器18の操作量Uから、ベース特性曲線20を用いて、ガスクーラー6の後の冷凍剤循環2内の冷凍剤KMの高圧HDのための目標値SW(HD)が導き出される。
【0020】
冷凍剤KM、たとえばR744の物質特性に基づいて、付加的な補正特性曲線KKが必要であって、補正または修正された高圧目標値kSW(HD)を得るために、ベース特性曲線20から得られた、高圧HDのための目標値SW(HD)がその補正特性曲線によって修正される。補正特性曲線20を用いて高圧HDのための目標値SW(HD)を補正するための入力量E1からEnとして、たとえば空気流入温度、空気流入湿度、空気量および/またはコンプレッサ10の回転数が用いられる。
【0021】
車両のエンジン側の負荷が著しい場合でも十分に良好な室内空気温度調節を得るために、コンプレッサ10の出力をできるだけ少なく減少させ、あるいは制限することが行われ、その場合にコンプレッサ10のオフは回避されるべきである。そのために、負荷トルク制限関数22が設けられており、それは蒸発器温度制御VRに対して、従って蒸発器温度制御器18に対して並列に接続されている。
【0022】
その場合に高圧目標値SW(HD)、特に補正された高圧目標値kSW(HD)は、必要な場合には負荷トルク制限関数22を用いて制限される。通常の場合、蒸発器温度VTは、高圧目標値SW(HD)または補正された高圧目標値kSW(HD)を用いて調節される。しかし、制限場合においては、すなわち負荷トルク制限関数22を考慮すべき場合には、蒸発器温度VTは希望通りに調節することはできないので、空調設備は減少された出力で駆動される。そのために蒸発器温度VTのための目標値SW(VT)からの偏差が、最小値へ減少される。制御場合と制限場合の間で常に移行するために、蒸発器制御器18の積分成分は制限の場合に一定に維持され、ないしは凍結される。従って負荷が激しい走行状況においても、空調設備は減少されてはいるが、最大可能な出力で駆動される。
【0023】
図に示すように、コンプレッサ10の出力を制限するために、高圧目標値SW(HD)が、制限モジュール24のMIN関数を介して負荷トルク制限関数22と論理結合される。すなわち2つの印加される値−高圧目標値SW(HD)と負荷トルク制限関数22の出力値、すなわち高圧目標値SW(HD)のための制限値GW−が互いに比較され、その場合により小さい値が高圧制御HDRのための最小値MWの形式でガイド量として用いられる。
【0024】
コンプレッサ10の実際のトルクMが、負荷トルク制限関数22へ供給される種々のパラメータPを用いて、トルク計算関数fによって求められる。コンプレッサ10の実際のトルクMの関数依存性について、以下のように記述される:
【数1】

【0025】
なお、PRCA=コンプレッサ後の冷凍剤高圧、PRCE=コンプレッサ前の冷凍剤吸込み圧、r=コンプレッサ回転数、PWM=コンプレッサ制御弁を制御するためのパルス幅変調、mLuft=蒸発器を介しての空気質量流、TLufteintritt=空気流入温度、TLVA=蒸発器後の空気温度、ΦLufteintritt=空気流入湿度(外部湿度ないし内部湿度)である。
【0026】
その場合に考慮すべきパラメータPの数は、負荷トルク計算の精度に関する設定に合わせられるので、パラメータP、たとえばコンプレッサ前の冷凍剤吸込み圧力PRCE、空気流入温度TLufteintrittまたは空気流入湿度ΦLufteintrittを考慮しないでおくこともできる。代替的に、冷凍剤吸込み圧力PRCEを、蒸発器8語の空気温度TLVAを介して定めることもできる。負荷トルク制限を定めるために、トルク計算関数fのマップが逆関数f”へ移行され、その逆関数が高圧HDのための限界値GW(単に高圧限界値PRCAlimとも称される)を予め定められた最大許容される負荷トルクMlim(トルク限界値とも称される)に従って次のように予め定める:
【数2】

【0027】
なお、Mlim=最大許容される負荷トルクである。
【0028】
制限モジュール24へ供給される限界値GWと高圧目標値SW(HD)を用いて、通常場合においては、もたらされる高圧目標値SW(HD)のための最小値MWが求められて、次に高圧制御器26へ供給される。
【0029】
さらに、高圧実際値IW(HD)を求めるために、圧力センサ32が設けられており、それがガスクーラー6の後あるいは場合によってその前の冷凍剤循環2内の高圧HDを定める。高圧目標値SW(HD)のための最小値MWと高圧実際値IW(HD)の差が、高圧制御器26へ圧力差値Δpとして供給される。圧力差値Δpを用いて高圧制御器26によって、付属の制御弁30を用いてコンプレッサ10のストローク体積Hを制御するための制御量Sが定められる。制御量Sは、パルス幅変調器28によって前段に接続されている伝送特性曲線を介して制御弁30のためのパルス幅変調された操作信号SSに変換される。次に、パルス幅変調された操作信号SSが、ストローク体積Hを制御するためにコンプレッサ10の制御弁30へ供給される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】車両のための空気温度調節システム(空調設備とも称する)の冷凍剤循環を制御する装置を示している。
【符号の説明】
【0031】
1 冷凍剤循環を制御する装置
2 冷凍剤循環
4 空気温度調節システム
6 コンデンサ(=ガスクーラー)
8 蒸発器
10 コンプレッサ
11 内部の熱交換器
12 膨張弁
16 温度センサ
18 蒸発器温度制御器
20 ベース特性曲線
22 負荷トルク制限関数
24 制限モジュール
26 高圧制御器
28 パルス幅変調器
30 制御弁
32 高圧センサ
E1からEn 入力量
f トルク計算関数
f”トルク計算関数の逆関数
GW 高圧目標値のための限界値
H コンプレッサのストローク体積
HD 高圧
IW(HD) 高圧実際値
IW(VT) 蒸発器温度実際値
KK 補正特性曲線
KM 冷凍剤
MW 高圧目標値のための最小値
P パラメータ
PRCE 冷凍剤吸込み圧力
Δp 差圧力値
RW(VT) 制御偏差 蒸発器温度
SS 制御弁のための操作信号
S 高圧制御器のための操作量
SW(HD) 高圧目標値
kSW(HD) 修正された高圧目標値
SW(VT) 蒸発器温度目標値
TLVA 蒸発器後の空気温度
U 蒸発器温度制御器の操作量
VR 蒸発器温度制御
VT 蒸発器温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の空調設備(4)の冷凍剤循環(2)を制御する方法であって、冷凍剤循環(2)内に配置されているコンプレッサ(10)が、蒸発器温度制御(VR)および蒸発器温度制御(VR)に統合されている負荷トルク制限関数(22)に従って制御される、空調設備の冷凍剤循環を制御する方法。
【請求項2】
ベース制御回路内で蒸発器温度(VT)のための目標値(SW(VT))が予め定められ、前記目標値が蒸発器温度(VT)のための操作量(U)を形成するために蒸発器温度制御器(18)へ供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蒸発器温度(VT)のための操作量(U)を用いて、高圧目標値(SW(HD))が定められ、前記高圧目標値が少なくとも領域的に負荷トルク制限関数(22)を用いて制限される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
高圧目標値(SW(HD))が、MIN関数を介して負荷トルク制限関数(22)と論理結合される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
MIN関数を用いてそこからもたらされる、高圧目標値(SW(HD))のための最小値(MW)が求められる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
負荷トルク制限関数(22)を用いて、高圧目標値(SW(HD))のための実際の限界値(GW)が定められ、その場合に実際の限界値(GW)がMIN関数を介して高圧目標値(SW(HD))と論理結合される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
高圧目標値(SW(HD))と高圧目標値(SW(HD))のための実際の限界値(GW)を用いて、MIN関数によって最小値(MW)が定められ、前記最小値が高圧制御器(26)へ供給される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
高圧目標値(SW(HD))のための最小値(MW)を用いて、高圧制御器(26)によって高圧制御(HDR)のための操作量(S)が定められる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
高圧制御(HDR)の操作量(S)が伝送特性曲線とパルス幅変調器を用いて、コンプレッサ(10)のストローク体積(H)を制御するための制御信号(SS)に変換される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
高圧目標値(SW(HD))のための実際の限界値(GW)を求めるための負荷トルク制限関数(22)に、トルク計算関数(f)に対する逆関数(f”)を用いて少なくとも1つのパラメータ(P)、特に最大許容される負荷トルク(Mlim)、吸込み圧(PRCE)のためおよび/またはコンプレッサ(10)の回転数(rc)のための実際の値、コンプレッサ制御弁(30)を制御するためのパルス幅変調度(PWM)、蒸発器(8)を介しての空気質量流(mluft)のため、空気流入温度(TLufteintritt)のため、蒸発器後の空気温度(TLVA)のためおよび/または空気流入湿度(ΦLufteintritt)のための実際の値が供給される、請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
負荷トルク制限関数(22)が逆関数(f”)を用いて、吸込み圧(PRCE)のための実際の値、空気流入温度(TLufteintritt)のための実際の値および空気流入湿度(ΦLufteintritt)のための実際の値を考慮しないで、十分に大まかな精度で高圧目標値(SW(HD))のための実際の限界値(GW)を定める、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
車両用の空調設備の冷凍剤循環(2)を制御する装置(1)であって、冷凍剤循環(2)内に配置されているコンプレッサ(10)が、蒸発器温度制御(VR)および蒸発器温度制御(VR)内に統合された負荷トルク制限関数(22)に従って制御可能である、空調設備の冷凍剤循環を制御する装置。
【請求項13】
蒸発器温度(VT)のための目標値(SW(VT))を求めるためのベース制御回路と後段に接続された蒸発器温度制御器(18)が設けられており、それを用いて蒸発器温度制御(VR)のための操作量(U)が定められる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
蒸発器温度(VT)のための操作量(U)を用いて高圧目標値(SW(HD))を求めるためのベース特性曲線(20)が設けられており、かつベース特性曲線(20)の後段に、負荷トルク制限関数(22)を用いて高圧目標値(SW(HD))を制限するための制限モジュール(24)が接続されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
制限モジュール(24)が、MIN関数を有している、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
負荷トルク制限関数(22)に複数の入力が設けられている、請求項12から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
負荷トルク制限関数(22)が、蒸発器温度制御器(18)に対して並列に接続されている、請求項13から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
制限モジュール(24)が入力側において負荷トルク制限関数(22)の出力と接続されている、請求項13から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
限界値(GW)を定めるための負荷トルク制限関数(22)が、
M=f(PRCA、PRCE、r、PWM、mluft、TLufteintritt、TLVAおよび/またはΦLufteintritt
を有する、トルク計算関数(f)に対する逆関数(f)である、請求項12から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
制限モジュール(24)の後段に、高圧制御器(26)が接続されている、請求項13から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
高圧制御器(26)の後段に、コンプレッサ(10)の制御弁(30)のためのパルス幅変調された操作信号(SS)を形成するためのパルス幅変調器(28)が接続されている、請求項20に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−502523(P2008−502523A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515812(P2007−515812)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005878
【国際公開番号】WO2005/123428
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】