説明

車両用アンテナ装置

【課題】 車室内の美観を損なうことなくかつアンテナ性能を低下させることなく車室内に対し車両用アンテナ装置を設ける。
【解決手段】 車室天井面1に装着されるオーバーヘッドコンソール11のボックス本体12の前部にはフロントガラス2に向けてアンテナ体20が延出され、そのアンテナ体20の内部にはアンテナエレメント22が収納されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は車両用アンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用アンテナ装置において、カーナビゲーションシステムに対応するGPS用アンテナ装置や衛星放送に対応するBS用アンテナ装置の他、有料道路等の自動料金課金システム(ETCと呼ばれているノンストップ自動料金収受システム)に対応するアンテナ装置等が知られている。この種の車両用アンテナ装置110は、図5と図6に示すように、縦・横及び高さ寸法が70mm・70mm・15mm程度の薄箱体よりなるアンテナ体120の内部に対し導体よりなる平面状のアンテナエレメントが収納されて構成されている。前記車両用アンテナ装置110は、永久磁石やネジ等の取付手段105によって、車両のルーフパネル104の上面やあるいはトランクリッドの上面に装着されるのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両のルーフパネル104の上面やあるいはトランクリッドの上面に対し車両用アンテナ装置110が装着されると、その車両用アンテナ装置110によって車両の外観が損なわれる不具合が生じる。また、車両の走行時の風圧等によって、車両用アンテナ装置110が不測に離脱しないように保持するために、取付強度の大きい取付手段105によって車両用アンテナ装置110を取り付けなければならず、取付コストが高くなる。
【0004】このようなことから、車両用アンテナ装置110を車室内、例えば、インストルメントパネルに対し装着することが提案されている。インストルメントパネルには、空調制御装置、各種計器類、オーデオ機器、スピーカ、グラブボックス、灰皿、小物入れ等の各種の機器・物品が装着されている。このため、インストルメントパネルに対し車両用アンテナ装置110を装着しようとすると、前記各種の機器・物品の配設に悪影響を及したり、あるいは、インストルメントパネルの外観意匠が悪化されたり、あるいは、アンテナ性能が低下されたりする不具合が生じるため、インストルメントパネルに対し車両用アンテナ装置110を装着することが困難であった。
【0005】この発明の目的は、前記問題点に鑑み、車室内の美観を損うことなくかつアンテナ性能を低下させることなく車室内に対し車両用アンテナ装置を設けることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る車両用アンテナ装置は、車室天井面に装着されるオーバーヘッドコンソールのボックス本体の前部にはフロントガラスに向けてアンテナ体が延出され、そのアンテナ体の内部にはアンテナエレメントが収納されていることを特徴とする。したがって、フロントガラスに向けてアンテナエレメントを備えたアンテナ体が延出されることで、アンテナ性能が低下される不具合が生じない。さらに、車載のインストルメントパネルに対し車両用アンテナ装置を装着した場合の不具合、例えば、各種の機器・物品の配設に悪影響を及したり、あるいは、インストルメントパネルの外観意匠が悪化されたり、あるいは、アンテナ性能が低下されたりする不具合等を解消することができる。
【0007】また、請求項2の発明に係る車両用アンテナ装置は、車室天井面に装着されるオーバーヘッドコンソールのボックス本体の前部にはバックミラーが設けられると共に、前記ボックス本体の前部には、前記バックミラーの背面とフロントガラスとの間のスペース内においてアンテナ体が延出され、そのアンテナ体の内部にはアンテナエレメントが収納されていることを特徴とする。
【0008】したがって、バックミラーの背面とフロントガラスとの間のスペース、すなわち、従来は有効利用されないまま放置されていたデッドスペース内において、車両用アンテナ装置が設置される。前記デッドスペースに車両用アンテナ装置が設置されることで、車両の前方視界が車両用アンテナ装置によって狭められることを防止することができる。また、前記デッドスペースは、電波の受信に際し障害物となるものがなく、車室内において電波の受信に最適な位置であるから、車両用アンテナ装置のアンテナ機能が低下される不具合が生じない。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図1〜図4R>4にしたがって説明する。図3において、車室天井面1の前側より中央部にはオーバーヘッドコンソール11が装着されている。図1と図2において、前記オーバーヘッドコンソール11のボックス本体12には、その後側部に小物収納室16が形成され、その小物収納室16の開口部には開閉蓋17がヒンジ機構によって開閉可能に組み付けられている。この実施の形態において、図2に示すように、開閉蓋17の内側にはメガネが収納保持されるポケット部17aが形成され、そのポケット部17aには、チケットやカード等のカード類が保持されるカードホルダー部17bがそれぞれ形成されている。また、ボックス本体12の中央部には照明ランプが内設されたランプ収納室が形成され、そのランプ収納室の開口部には照明レンズ15が組み付けられている。
【0010】前記ボックス本体12の前部にはバックミラー(ルームミラー)18がボックス本体12と一体状に設けられている。前記ボックス本体12の前部には、そのバックミラー18の背面とフロントガラス2との間のスペース(従来、前記スペースは有効利用されないまま放置されたデットスペースである。)内において、中空の薄箱状をなすアンテナ体20が延出されている。前記アンテナ体20は、合成樹脂等の電波透過性材料より形成されている。図3に示すように、前記アンテナ体20の内部には、導体よりなる平面状のアンテナエレメント22が収納され、これによって、車両用アンテナ装置10が構成されている。
【0011】また、ボックス本体12をポリプロピレン等の合成樹脂より成形されている場合には、そのボックス本体12の成形と同時にアンテナ体20を一体成形することで、部品点数や組み付け工数を低減することができるが、ボックス本体12とアンテナ体20とをそれぞれ別個に形成した後、ボックス本体12の前部にアンテナ体20を組み付けることもできる。
【0012】なお、前記車両用アンテナ装置10は、カーナビゲーションシステムに対応するGPS用アンテナ装置、衛星放送に対応するBS用アンテナ装置、有料道路等の自動料金課金システム(ETCと呼ばれているノンストップ自動料金収受システム)に対応するアンテナ装置等のうち、所望とする車両用アンテナ装置10として充分に機能するように、その大きさ、形状、アンテナ性能等が適宜に設定される。
【0013】この実施の形態の車両用アンテナ装置10は上述したように構成される。したがって、オーバーヘッドコンソール11のボックス本体12の前部には、そのバックミラー18の背面とフロントガラス2との間のスペース、すなわち、従来は有効利用されないまま放置されていたデッドスペース内において、アンテナエレメント22が収納されたアンテナ体20が延出され、これによって、車室内に対し車両用アンテナ装置10が設置される。前記バックミラー18の背面とフロントガラス2との間のデッドスペースに車両用アンテナ装置10が設置されることで、車両の前方視界が車両用アンテナ装置10によって狭められることを防止することができる。
【0014】また、前記バックミラー18の背面とフロントガラス2との間のデッドスペースは、電波の受信に際し障害物となるものがない。このため、前記デッドスペースは、車室内において電波の受信に最適な位置であるから、車両用アンテナ装置10のアンテナ性能が低下される不具合も生じない。さらに、車載のインストルメントパネルに対し車両用アンテナ装置を装着した場合の不具合、例えば、各種の機器・物品の配設に悪影響を及したり、あるいは、インストルメントパネルの外観意匠が悪化されたり、あるいは、アンテナ性能が低下されたりする不具合等を解消することができる。
【0015】なお、前記実施の形態においては、オーバーヘッドコンソール11のボックス本体12と一体にバックミラー18が設けられる場合を例示したが、これに限るものではない。例えば、図4に示すように、バックミラー18にステー19を設け、車室天井面1の前側寄りに前記ステー19によってバックミラー18を取り付けてもよい。さらに、オーバーヘッドコンソール11のボックス本体12にバックミラー18のステー19に対する挿通孔30を形成すると共に、そのステー19を覆い隠すことで、ボックス本体12とバックミラー18とが一体感のある外観をなす。このため、ボックス本体12と一体にバックミラー18が設けられた前記実施の形態のものと略同等で意匠性に優れたものとなる。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、車室内の美観を損なうことなくかつアンテナ性能を低下させることなく車室内に対し車両用アンテナ装置を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の車両用アンテナ装置をオーバーヘッドコンソールに設けた状態を示す斜視図である。
【図2】同じくオーバーヘッドコンソールの小物収納室の開閉蓋を開放した状態を示す斜視図である。
【図3】同じくオーバーヘッドコンソールと車両用アンテナ装置との関係を示す側断面図である。
【図4】この発明の他の実施の形態を示す側断面図である。
【図5】従来の車両用アンテナ装置が車両のルーフパネル上面に装着された状態を示す説明図である。
【図6】同じく従来の車両用アンテナ装置を拡大して示す側面図である。
【符号の説明】
1 車室天井面
2 フロントガラス
10 車両用アンテナ装置
11 オーバーヘッドコンソール
12 ボックス本体
18 バックミラー
20 アンテナ体
22 アンテナエレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車室天井面に装着されるオーバーヘッドコンソールのボックス本体の前部にはフロントガラスに向けてアンテナ体が延出され、そのアンテナ体の内部にはアンテナエレメントが収納されていることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項2】 車室天井面に装着されるオーバーヘッドコンソールのボックス本体の前部にはバックミラーが設けられると共に、前記ボックス本体の前部には、前記バックミラーの背面とフロントガラスとの間のスペース内においてアンテナ体が延出され、そのアンテナ体の内部にはアンテナエレメントが収納されていることを特徴とする車両用アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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