説明

車両用オイルストレーナ

【課題】エンジンの焼付きを誘発するオイルパンの突き上げによるストレーナ本体の割れを防止するとともに、車両走行時の振動による吸入口側取付部の破損を防止する。
【解決手段】吸入口側取付部29に、板面を上下方向に向けて突出する第1壁部31を設け、第1壁部31の両側端縁に、一対の第2壁部41a,41bを、第2壁部41a,41bの突出端側が、第1壁部31の突出端側の両側端縁から下方に延出して第1壁部31とで断面略コ字状をなすように延設する。第1壁部31の突出端近傍に、ボス部37を下側に突設するとともに、ボス部37に、締結用のボルトが挿通されるボルト挿通孔37aを形成し、かつ第1壁部31のボス部37のストレーナ本体側に、第2壁部41a,41bを互いに連結する第3壁部43をボス部37の外周縁に略沿うように形成し、第3壁部43とボス部37との間に、溝部を連続して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にオイル流路が形成されたストレーナ本体と、上記オイル流路内に配設されて該オイル流路を上流側と下流側とに分断するフィルタとを備えた車両用オイルストレーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された車両用オイルストレーナは、内部にオイル流路が形成されたストレーナ本体と、上記オイル流路内に配設されて該オイル流路を上流側と下流側とに分断するフィルタとを備えている。上記ストレーナ本体は、オイルパンの底壁に接近するように配置されて当該オイルパンからオイルを吸入する吸入口と、エンジンの潤滑系各部にオイルを導出する導出口とを有している。上記ストレーナ本体の吸入口近傍には、上記エンジンに取り付けられる吸入口側取付部が外側に突設され、該吸入口側取付部の突出端近傍には、締結用のボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている。一方、上記ストレーナ本体の導出口近傍には、上記エンジンに取り付けられる導出口側取付部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、オイルストレーナの各部の剛性の設定によっては、路面の凹凸によってオイルパンが突き上げられた場合に、その突き上げ力によりストレーナ本体が割れ、オイルの潤滑不足によるエンジンの焼付きを招くおそれがある。
【0005】
また、一般に、車両走行時の振動による吸入口側取付部の破損を防止する必要がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの焼付きを誘発するオイルパンの突き上げによるストレーナ本体の割れを防止するとともに、車両走行時の振動による吸入口側取付部の破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、ボルト挿通孔周りの構造を工夫したことを特徴とする。
【0008】
具体的には、本発明は、内部にオイル流路が形成されたストレーナ本体と、上記オイル流路内に配設されて該オイル流路を上流側と下流側とに分断するフィルタとを備え、上記ストレーナ本体は、オイルパンの底壁に接近するように配置されて当該オイルパンからオイルを吸入する吸入口と、エンジンの潤滑系各部にオイルを導出する導出口とを有し、上記ストレーナ本体の吸入口近傍には、上記エンジンに取り付けられる吸入口側取付部が外側に突設される一方、上記ストレーナ本体の導出口近傍には、上記エンジンに取り付けられる導出口側取付部が設けられた車両用オイルストレーナを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、上記吸入口側取付部は、板面を上下方向に向けて突出する第1壁部を備え、該第1壁部の両側端縁には、一対の第2壁部が、該第2壁部の突出端側が、上記第1壁部の突出端側の両側端縁から少なくとも下方に延出して当該第1壁部とで断面略コ字状又は断面略H字状をなすように延設され、上記第1壁部の突出端近傍には、ボス部が少なくとも下側に突設されるとともに、該ボス部には、締結用のボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成され、かつ上記第1壁部のボス部のストレーナ本体側には、上記第2壁部を互いに連結する第3壁部が上記ボス部の外周縁に略沿うように形成され、該第3壁部と上記ボス部との間には、溝部が連続して形成されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係る車両用オイルストレーナにおいて、上記第1壁部は、その突出端側から順に、上記ボス部が突設された上段壁部と、該上段壁部よりも下側に位置する下段壁部とを有し、上記上段壁部の反突出端側端縁と下段壁部の突出端側端縁との間には、これら両端縁を互いに連結する縦壁部が、上記第2壁部を互いに連結するように形成されて上記第3壁部を構成していることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1の発明に係る車両用オイルストレーナにおいて、上記第1壁部は、その突出端側から順に、上記ボス部が突設された上段壁部と、該上段壁部よりも下側に位置する中段壁部と、該中段壁部よりも下側に位置する下段壁部とを有し、上記上段壁部の反突出端側端縁と中段壁部の突出端側端縁との間には、これら両端縁を互いに連結する傾斜壁部が、上記第2壁部を互いに連結するように形成されて上記第3壁部の少なくとも一部を構成していることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第3の発明に係るオイルストレーナにおいて、上記傾斜壁部は、直線状に形成されて一方の第2壁部から他方の第2壁部に向かってボス部から離間するように傾斜し、上記上段壁部には、上記他方の第2壁部と上記傾斜壁部の中途部とを連結する連結壁部が下側に突設され、該連結壁部と、該連結壁部から上記一方の第2壁部にかけての傾斜壁部とで上記第3壁部が構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、吸入口側取付部をエンジンに取り付けた状態でオイルパンの突き上げ力が吸入口周りに上向きにかかると、吸入口側取付部の基端部が押し上げられるが、吸入口側取付部の突出端側のボス部は締結用のボルトでエンジンに締結されているので動かない。したがって、上側に動こうとする基端側の第1壁部、第3壁部、及び第2壁部と不動のボス部との境界に位置する溝部の底壁、すなわち溝部に対応する第1壁部にその応力が集中し、該溝部に対応する第1壁部が容易に破壊される。これにより、ストレーナ本体にかかる力が低減してストレーナ本体の破損が防止される。
【0014】
また、ボルト挿通孔周りの第1壁部が、第3壁部とボス部とで補強されているので、車両走行時の振動によるボルト挿通孔周りの破損が防止される。
【0015】
第2の発明によれば、下段壁部上にオイルストレーナの一部を配置しなければ、下段壁部が上段壁部よりも下方に位置している分、エンジンの下段壁部対向箇所を上記ボルトの締結箇所よりも下方に配置できるので、エンジンの設計自由度が向上する。
【0016】
第3の発明によれば、中段壁部上及び下段壁部上にオイルストレーナの一部を配置しなければ、中段壁部及び下段壁部が上段壁部よりも下方に位置している分、エンジンの中段壁部及び下段壁部対向箇所を上記ボルトの締結箇所よりも下方に配置できるので、エンジンの設計自由度が向上する。
【0017】
第4の発明によれば、他方の第2壁部側の傾斜壁部がボス部から大きく離間しても、当該傾斜壁部とボス部との間に連結壁部が突設されるので、オイルパンの突き上げ時に連結壁部(第3壁部)とボス部との間に応力を集中させることができるとともに、ボルト挿通孔周りを補強できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るオイルストレーナの一部を破断した斜視図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1のA部を下側から見た図である。
【図4】図2のB−B線における断面図である。
【図5】実施形態2の図2相当図である。
【図6】図5のC部を下側から見た図である。
【図7】実施形態3の図5相当図である。
【図8】実施形態3の図6相当図である。
【図9】実施形態4の図5相当図である。
【図10】実施形態4の図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るオイルストレーナ1は、図1に示すように、内部に図示しないオイル流路が形成された略筒状のストレーナ本体3と、上記オイル流路内に配設されて該オイル流路を上流側と下流側とに分断するフィルタ5とを備えており、図示しないエンジンに取り付けられる。
【0021】
上記ストレーナ本体3は、略縦長矩形の浅皿状のロアケース本体9を有する樹脂製のロアケース7、及び略縦長矩形の浅皿状のアッパーケース本体13を有する樹脂製のアッパーケース11から構成されている。上記ロアケース本体9の長手方向一端近傍には、図3に示すように、図示しないオイルパンの底壁に接近して配置されて当該オイルパンからオイルを吸入する吸入口15が形成され、該吸入口15周縁には、図2にも示すように、筒状吸入管部17が下側に一体に突設されている。一方、上記アッパーケース本体13の長手方向他端近傍には、エンジンの潤滑系各部にオイルを導出する導出口19が形成され、該導出口19周縁には、筒状導出管部21が一体に突設されている。該導出管部21の外周面(導出口19近傍)には、平面視略菱形の厚肉板状の導出口側取付部としてのフランジ23が一体に張出形成され、該フランジ23の上面23aには、エンジンへの締結用のボルト(図示せず)が挿通する一対のボルト挿通孔25aが形成されるとともに、シール部材としてのOリング(図示せず)が嵌め込まれる溝25bが上記導出管部21の突出端側開口を囲むように形成されている。上記両ボルト挿通孔25aには、金属製のカラー27が装着されている。
【0022】
また、上記アッパーケース本体13の長手方向吸入管部17側の端部近傍には、平面視で先細り形状の吸入口側取付部29が外側に向かって長手方向反導出管部21側に傾斜するように突設されている。
【0023】
上記吸入口側取付部29は、板面を上下方向に向けて上記アッパーケース本体13から略水平方向に突出する第1壁部31を備え、該第1壁部31は、図4にも示すように、その突出端側から順に、略水平な上段壁部33と、該上段壁部33よりも下側に位置する略水平な下段壁部35とを有している。上記第1壁部31の突出端近傍、すなわち上段壁部33には、平面視円形のボス部37が上側及び下側に突設されるとともに、該ボス部37には、締結用のボルトが挿通されるボルト挿通孔37aが形成されている。該ボルト挿通孔37aには、金属製のカラー39が嵌合している。第1壁部31の突出端縁は、ボス部37の外周縁に沿う円弧状をなしている。
【0024】
上記第1壁部31の両側端縁には、一対の第2壁部41a,41bが当該第1壁部31とで断面略コ字状をなすように上下方向に延設されている。これら第2壁部41a,41bの突出端側は、上記第1壁部31の突出端側の両側端縁(上段壁部33の両側端縁)から下方に延設されている一方、これら第2壁部41a,41bの基端側は、上記第1壁部31の基端側の両側端縁(下段壁部35の両側端縁)から上方に延設されている。両第2壁部41a,41bは、上記第1壁部31の突出端側で互いに連結されている一方、上記第1壁部31の基端側で上記アッパーケース本体13に連結されている。また、両第2壁部41a,41bの延出長さは、上記第1壁部31の両側端縁全体に亘ってほぼ一定であり、両第2壁部41a,41bの上下端縁は、略水平になっている。
【0025】
上記第1壁部31のボス部37のアッパーケース本体13(ストレーナ本体3)側には、上記第2壁部41a,41bをその上端から下端にかけて互いに連結する第3壁部43が上記ボス部37の外周縁に略沿うように円弧状に形成され、該第3壁部43と上記ボス部37との間には、溝部45が連続して形成されている。上記第3壁部43は、その全体が、上記上段壁部33の反突出端側(ストレーナ本体3側)端縁と下段壁部35の突出端側(反ストレーナ本体3側)端縁との間に位置し、これら両端縁を互いに連結している。上記第3壁部43は、その全体で縦壁部47を構成している。上記下段壁部35には、上記両第2壁部41a,41b間の中程で上記第3壁部43とアッパーケース本体13とを互いに連結する板状リブ48が突設されている。
【0026】
上記フィルタ5は、樹脂製のもので、略縦長矩形の環状枠部5aと、この環状枠部5aの内側に一体に形成されたメッシュ部5bとからなる。
【0027】
そして、上記ロアケース本体9とアッパーケース本体13とを内部にオイル流路が形成されるように各々の開放側を向かい合わせ、上記フィルタ5の環状枠部5aを上記ロアケース本体9とアッパーケース本体13の開放端縁部で挟持した状態でオイルストレーナ1が組み付けられている。
【0028】
上述のように構成されたオイルストレーナ1はオイルパン内に収容され、上記フランジ23の両ボルト挿通孔25aにカラー27を装着した状態でボルトを挿通してエンジン側に締結するとともに、上記吸入口側取付部29のボルト挿通孔37aにカラー39を装着した状態でボルトを挿通してエンジン側に締結することによりエンジンに取り付けられる。この状態でエンジンが駆動するとオイルパン内のオイルが吸入管部17を介して吸入口15から吸入されてフィルタ5のメッシュ部5bを通過して濾過され、導出口19から導出管部21を介して流出してオイルポンプを経てエンジンの潤滑系各部に供給される。
【0029】
したがって、本実施形態1によれば、路面の凹凸によってオイルパンが突き上げられ、オイルパンの底壁が変形してロアケース7の吸入管部17(吸入口15周り)に衝突し、その突き上げ力が吸入口15周りに上向きにかかると、吸入口側取付部29の基端部(吸入口15側)が押し上げられるが、吸入口側取付部29の突出端側のボス部37は締結用のボルトでエンジンに締結されているので動かない。したがって、上側に動こうとする下段壁部35、第3壁部43、及び第2壁部41a,41bと不動のボス部37との境界に位置する溝部45の底壁45a、すなわち溝部45に対応する第1壁部31の上段壁部33にその応力が集中し、該溝部45に対応する第1壁部31の上段壁部33が容易に破壊される。これにより、ストレーナ本体3にかかる力が低減してストレーナ本体3の破損が防止される。
【0030】
また、ボルト挿通孔37a周りの第1壁部31が、第3壁部43とボス部37とで補強されているので、車両走行時の振動によるボルト挿通孔37a周りの破損が防止される。
【0031】
(実施形態2)
図5及び図6は、本発明の実施形態2に係るオイルストレーナ1の吸入口側取付部29を示す。本実施形態2では、上記第1壁部31が、上段壁部33と下段壁部35との間に、中段壁部34を有している。この中段壁部34は、上記上段壁部33よりも反突出端側でかつ下側の位置に配置され、上記中段壁部34よりも反突出端側でかつ下側の位置に、上記下段壁部35が配置されている。また、両第2壁部41a,41bの突出端側は、上記下段壁部35を除く第1壁部31(上段壁部33及び中段壁部34)の両側端縁から下方に延設されている一方、両第2壁部41a,41bの基端側は、下段壁部35の両側端縁から上方に延設されている。つまり、両第2壁部41a,41bの延出長さが一定でない。両第2壁部41a,41bの上端縁は、それぞれ、上記上段壁部33及び中段壁部34の境界でアッパーケース本体13側に向かって下方に傾斜する傾斜端縁50を有している。これら傾斜端縁50は、傾斜壁部52によって互いに連結されている。この傾斜壁部52は、上段壁部33の反突出端側端縁と中段壁部34の突出端側端縁との間でこれら両端縁を互いに連結している。この傾斜壁部52は、上記ボス部37の外周縁に略沿うように略V字状に形成されて上記第3壁部43を構成している。
【0032】
また、上記中段壁部34の反突出側端縁と上記下段壁部35の突出側端縁との間には、両端縁を互いに連結し、かつ両第2壁部41a,41bをその上端から下端にかけて互いに連結する基端側縦壁部51が形成されている。上記板状リブ48は、該基端側縦壁部51とアッパーケース本体13とを両第2壁部41a,41bの中程で互いに連結している。
【0033】
そのほかの構成は実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
したがって、本実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られることに加え、中段壁部34の上方に第2壁部41a,41b及び板状リブ48が形成されていないので、エンジンの一部を中段壁部34の上方に自由に配置でき、エンジンの設計自由度をより向上できる。
【0035】
(実施形態3)
図7及び図8は、本発明の実施形態3に係るオイルストレーナ1の吸入口側取付部29を示す。本実施形態3では、両第2壁部41a,41bの上端縁が略水平に形成され、上記基端側縦壁部51よりも先端側の第1壁部31が段差なく平坦に形成されている。上記第3壁部43は、上記基端側縦壁部51よりも先端側の第1壁部31に突設され、上記両第2壁部41a,41bをその上端から下端近傍にかけて互いに略V字状に連結している。
【0036】
そのほかの構成は実施形態2と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0037】
したがって、本実施形態3によれば、基端側縦壁部51よりも先端側の第1壁部31に段差を設けることなく、オイルパンの突き上げ時に第3壁部43とボス部37との間に応力を集中させることができるとともに、第3壁部43によりボルト挿通孔37a周りを補強できる。
【0038】
(実施形態4)
図9及び図10は、本発明の実施形態4に係るオイルストレーナ1の吸入口側取付部29を示す。本実施形態4では、上記傾斜壁部52が、屈曲することなく直線状に形成され、一方の第2壁部41aから他方の第2壁部41b側に向かってボス部37から離間するように傾斜している。また、上記上段壁部33には、上記他方の第2壁部41bと上記傾斜壁部52の中途部とを連結する連結壁部53が下側に突設され、該連結壁部53と、該連結壁部53から上記一方の第2壁部41aにかけての傾斜壁部52とで第3壁部43が略V字状に構成されている。図10中、連結壁部53から上記一方の第2壁部41aにかけての傾斜壁部52を52a、連結壁部53から上記他方の第2壁部41bにかけての傾斜壁部52を52bと示す。
【0039】
そのほかの構成は実施形態2と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
したがって、本実施形態4によれば、実施形態2に比べて上段壁部33が広く形成されている分その程度は劣るが、上記実施形態2と同様に、エンジンの設計自由度を向上させる効果が得られる。また、他方の第2壁部41b側の傾斜壁部52bがボス部37から大きく離間しても、オイルパンの突き上げ時に第3壁部43とボス部37との間に応力を集中させることができ、かつ連結壁部53によりボルト挿通孔37a周りを補強できる。
【0041】
なお、上記実施形態1〜4において、フランジ23に設けるボルト挿通孔25aの数は2つに限らず、例えば1つであってもよい。また、フランジ23の形状も上述の例に限らない。
【0042】
また、上記実施形態1〜4では、吸入口側取付部29を、アッパーケース本体13の長手方向吸入管部17側の端部近傍に突設したが、ロアケース本体9の長手方向吸入管部17側の端部近傍に、外側に向かって長手方向反導出管部21側に傾斜するように突設してもよい。
【0043】
また、上記実施形態1〜4では、一対の第2壁部41a,41bを、上記第1壁部31の両側端縁に当該第1壁部31とで断面略コ字状をなすように上下方向に延設したが、上記第1壁部31の両側端縁の全体又は一部に亘って、断面略H字状をなすように延設してもよい。例えば、第2壁部41a,41bの突出端側だけを、上記第1壁部31の突出端側の両側端縁(上段壁部33の両側端縁)から断面略H字状をなすように上方及び下方に延設してもよい。
【0044】
また、上記実施形態1〜4では、第1壁部31を階段状に形成した。つまり、上記実施形態1では、上段壁部33と下段壁部35とで第1壁部31を構成し、上記実施形態2,4では、上段壁部33と中段壁部34と下段壁部35とで第1壁部31を構成し、上記実施形態3では、下段壁部35と、基端側縦壁部51よりも先端側の第1壁部31とで第1壁部31を構成した。しかし、第1壁部31全体を平坦に形成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態1〜4では、第3壁部43を円弧状又は略V字状に形成したが、ボス部37の外周縁に略沿うようにであれば、多角形状に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、内部にオイル流路が形成されたストレーナ本体と、上記オイル流路内に配設されて該オイル流路を上流側と下流側とに分断するフィルタとを備えた車両用オイルストレーナとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 オイルストレーナ
3 ストレーナ本体
5 フィルタ
15 吸入口
19 導出口
23 フランジ(導出口側取付部)
29 吸入口側取付部
31 第1壁部
33 上段壁部
34 中段壁部
35 下段壁部
37 ボス部
37a ボルト挿通孔
41a,41b 第2壁部
43 第3壁部
45 溝部
47 縦壁部
52 傾斜壁部
52a 傾斜壁部
53 連結壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にオイル流路が形成されたストレーナ本体(3)と、上記オイル流路内に配設されて該オイル流路を上流側と下流側とに分断するフィルタ(5)とを備え、上記ストレーナ本体(3)は、オイルパンの底壁に接近するように配置されて当該オイルパンからオイルを吸入する吸入口(15)と、エンジンの潤滑系各部にオイルを導出する導出口(19)とを有し、上記ストレーナ本体(3)の吸入口(15)近傍には、上記エンジンに取り付けられる吸入口側取付部(29)が外側に突設される一方、上記ストレーナ本体(3)の導出口(19)近傍には、上記エンジンに取り付けられる導出口側取付部(23)が設けられた車両用オイルストレーナであって、
上記吸入口側取付部(29)は、板面を上下方向に向けて突出する第1壁部(31)を備え、該第1壁部(31)の両側端縁には、一対の第2壁部(41a,41b)が、該第2壁部(41a,41b)の突出端側が、上記第1壁部(31)の突出端側の両側端縁から少なくとも下方に延出して当該第1壁部(31)とで断面略コ字状又は断面略H字状をなすように延設され、
上記第1壁部(31)の突出端近傍には、ボス部(37)が少なくとも下側に突設されるとともに、該ボス部(37)には、締結用のボルトが挿通されるボルト挿通孔(37a)が形成され、かつ上記第1壁部(31)のボス部(37)のストレーナ本体(3)側には、上記第2壁部(41a,41b)を互いに連結する第3壁部(43)が上記ボス部(37)の外周縁に略沿うように形成され、該第3壁部(43)と上記ボス部(37)との間には、溝部(45)が連続して形成されていることを特徴とする車両用オイルストレーナ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用オイルストレーナにおいて、
上記第1壁部(31)は、その突出端側から順に、上記ボス部(37)が突設された上段壁部(33)と、該上段壁部(33)よりも下側に位置する下段壁部(35)とを有し、
上記上段壁部(33)の反突出端側端縁と下段壁部(35)の突出端側端縁との間には、これら両端縁を互いに連結する縦壁部(47)が、上記第2壁部(41a,41b)を互いに連結するように形成されて上記第3壁部(43)を構成していることを特徴とする車両用オイルストレーナ。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用オイルストレーナにおいて、
上記第1壁部(31)は、その突出端側から順に、上記ボス部(37)が突設された上段壁部(33)と、該上段壁部(33)よりも下側に位置する中段壁部(34)と、該中段壁部(34)よりも下側に位置する下段壁部(35)とを有し、
上記上段壁部(33)の反突出端側端縁と中段壁部(34)の突出端側端縁との間には、これら両端縁を互いに連結する傾斜壁部(52)が、上記第2壁部(41a,41b)を互いに連結するように形成されて上記第3壁部(43)の少なくとも一部を構成していることを特徴とする車両用オイルストレーナ。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用オイルストレーナにおいて、
上記傾斜壁部(52)は、直線状に形成されて一方の第2壁部(41a)から他方の第2壁部(41b)に向かってボス部(37)から離間するように傾斜し、
上記上段壁部(33)には、上記他方の第2壁部(41b)と上記傾斜壁部(52)の中途部とを連結する連結壁部(53)が下側に突設され、該連結壁部(53)と、該連結壁部(53)から上記一方の第2壁部(41a)にかけての傾斜壁部(52a)とで上記第3壁部(43)が構成されていることを特徴とする車両用オイルストレーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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