説明

車両用オーバーヘッドコンソール装置

【課題】スイッチ押圧時の回路基板の撓みを防止し、従来よりも省スペース化し、部品点数を削減したスイッチ構造を有する車両用オーバーヘッドコンソール装置を提供する。
【解決手段】回路基板10に通し孔14及びスリット15からなる開口を設け、操作ボタン30の保持部材であるホルダ20に爪部21と支持部22aを設ける。爪部21を通し孔14に挿入後、支持部22aをスリット15内に進入させるように、回路基板10とホルダ20を相対スライドさせることで、爪部21を回路基板裏面12からスリット15を区画する開口縁部15aに係合させる。そして、操作ボタン30のノブ部31によってスイッチ素子13が押圧されたとき、開口縁部15aと係合する爪部21が、回路基板10の裏面12側の支えとなって、回路基板10の撓みを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用オーバーヘッドコンソール装置に関し、特にそのスイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車内灯を点灯制御するスイッチを備えたランプユニットと、当該スイッチを操作する操作ボタン等を設けたオーバーヘッドコンソールとを備えた車両天井用電装組立体を開示する。以下、特許文献1での参照番号を引用しつつ説明すると、車両天井用電装組立体1は、ランプユニット2と、トップシーリング3を挟むようにしてランプユニット2に組みつけられるオーバーヘッドコンソール4とから構成されている。
【0003】
ランプユニット2は、ケース11内に回路基板としてフレキシブルプリント回路12を配設したものであり、フレキシブルプリント回路12には点灯を制御するスイッチ13やランプソケット孔14aが配設される。フレキシブルプリント回路12は、ランプユニット2のケース11に固定される(図1参照)。このとき、フレキシブルプリント回路12をケース11に固定するために、ケース11を構成する底板部11fの所定位置にボス11gが設けられる(図4参照)。そして、フレキシブルプリント回路12の銅箔部分に形成されたボス挿通孔12cをボス11gに挿通させ、ボス11g頂部を加熱溶着する。このようにして、フレキシブルプリント回路12上の複数個所で加熱溶着が行われることで、フレキシブルプリント回路12はケース11に固定される。さらに、ランプ17は、フレキシブルプリント回路12上の回路パターン12aに接触するように(図5参照)、ランプソケット部14に差し込まれる。このようにして組み付けられたランプユニット2は、車両の天井板に、フレキシブルプリント回路12を下方にした状態で固定される。
【0004】
オーバーヘッドコンソール4は、ランプユニット2の蓋体としての機能と操作部としての機能を併せ有するものであり、オーバーヘッドコンソール4の下側面には、ランプユニット2に組み付けた状態でスイッチ13を操作する操作ボタン21と、ランプ17の光を透過させてルームランプとする窓部22が設けられている。オーバーヘッドコンソール4は、ランプユニット2に対向した下方位置から組みつけられる。そして、スイッチ13に対向する位置に操作ボタン21が位置決めされ、ランプ17が窓部22に対向するようになる。したがって、操作ボタン21を操作すると、可動部材23によってスイッチ13が押圧されて(図6参照)、ランプ17の点灯が制御される。
【0005】
特許文献2は、オーバーヘッドコンソールのルーム・マップランプ構造を開示する。以下、特許文献2での参照番号を引用しつつ説明すると、オーバーヘッドコンソール本体24は、少なくとも、ルームランプ、マップランプ、及び両ランプの点灯を制御するスイッチを具備している。プリント基板組立体10は、同一プリント基板11上に、ルームランプ12、マップランプ13、13´とスイッチ14、14´を設けることによって組み立てられる。そして、ルームランプ12及びマップランプ13、13´とスイッチ14、14´との電気的接続をプリント基板11に形成した配線パターンにより行う。このように組み立てられたプリント基板組立体10は、オーバーヘッドコンソール本体24に組みつけられる。
【0006】
特許文献1及び特許文献2にあるように、従来のオーバーヘッドコンソールに備えられるスイッチ構造においては、回路基板にスイッチを取り付け、スイッチを操作ボタンで押圧することで、スイッチのオンオフを行なう。スイッチに対して基板が小さく設定されていると、操作ボタンを押圧したときに、回路基板が撓んでしまい、操作感の低下を招くという不具合が生じる。そこで、特許文献1では、回路基板12の背面側にケース11を配設し、回路基板12をケース11に溶着して固定することで、操作ボタン21を押圧した場合に撓まないようにしている。一方、特許文献2では、回路基板をスイッチに対して十分大きなものにすることで撓みを抑えている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−171430号
【特許文献2】特開2003−137028号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、車両内に取り付けスペースを十分に確保できないときには、回路基板を大きくすることは難しい。すると、撓みをおさえるためには、回路基板の背面側を支える部材が必要となるが、そうすると、部品点数が増加し、組付けする上で困難性があり、コストの点でも有利とは言えない。
【0009】
本発明の目的は、操作ボタンの操作時における回路基板の撓みを防止又は抑制可能な車両用オーバーヘッドコンソール装置を提供することにある。また、回路基板の撓みを抑える上で、部材点数が少なく、組付け容易で、低コストであり、更に、省スペース化可能な車両用オーバーヘッドコンソール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置は、表面及び裏面を有し、表面側にスイッチ素子が実装された回路基板と、前記スイッチ素子に対向するノブ部を有する操作ボタンと、前記回路基板の表面側に配設されて、前記操作ボタンのノブ部が前記回路基板のスイッチ素子を押圧し得るように前記操作ボタンを移動可能に保持するホルダと、を備えた車両用オーバーヘッドコンソール装置において、前記回路基板には、開口縁部によって区画される開口が設けられ、前記ホルダには、前記開口を介して前記回路基板の裏面側に突出する撓み止め部が設けられ、その撓み止め部の少なくとも一部を前記回路基板の裏面側にて前記開口縁部に係合させることで、前記操作ボタンの操作時の押圧力による前記回路基板の撓みを防止又は抑制することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置は、請求項1の車両用オーバーヘッドコンソール装置において、前記ホルダの撓み止め部は、前記回路基板の厚さ方向に延びるように前記ホルダの本体部から突出形成された支持部と、前記回路基板と平行に延びるように前記支持部から張り出し形成された爪部とを有し、前記回路基板の開口は、装置の組立時に前記撓み止め部を当該回路基板の表面側から裏面側へ挿通させて当該撓み止め部の爪部を回路基板の裏面側に配置するための通し孔と、その通し孔につながった隣接開口とからなっており、前記通し孔を介して前記撓み止め部の爪部を回路基板の裏面側に配置した後、前記回路基板と前記ホルダとを相対スライドさせて前記撓み止め部の支持部を前記隣接開口内に進入させることにより、前記撓み止め部の爪部を前記回路基板の裏面側にて、前記隣接開口を区画する開口縁部に係合させることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置は、請求項2の車両用オーバーヘッドコンソール装置において、前記隣接開口は、前記通し孔につながったスリットとして形成され、前記ホルダには、前記スリット内に挿入される遮光壁が設けられ、その遮光壁の一端に前記撓み止め部が設けられており、前記遮光壁及び前記撓み止め部の支持部を前記スリット内に配置すると共に、前記撓み止め部の爪部を前記回路基板の裏面側にて前記スリットを区画する開口縁部に係合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置によれば、回路基板の開口を介して、回路基板の裏面側に突出する撓み止め部をホルダに設け、撓み止め部の少なくとも一部を回路基板の裏面側にて開口縁部に係合させるという構成を採用したので、操作ボタンのノブ部によってスイッチ素子が押圧されたときでも、開口縁部と撓み止め部の一部との係合関係に基づいて回路基板の撓みが効果的に防止又は抑制される。また、操作ボタンの押圧による撓みを防ぐために、回路基板のサイズを大きくする必要も、裏面に追加部材を設置する必要もないので、オーバーヘッドコンソール装置の部品点数の減少、組付け性の向上、低コスト化、省スペース化を図ることができる。
【0014】
請求項2記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置によれば、ホルダは撓み止め部として、ホルダ本体部から突出形成された支持部と、支持部から張り出し形成された爪部とを有し、回路基板の開口は、爪部を挿通可能な通し孔と、その通し孔につながった隣接開口とからなっている。そして、通し孔を介して、撓み止め部の爪部を回路基板の裏面側に配置した後、支持部を隣接開口内に進入させるように回路基板とホルダを相対スライドさせるだけで、爪部を回路基板裏面側にて、開口縁部に係合させることができ、その結果、回路基板の撓みを防ぐことができる。加えて、撓み止め部の支持部および爪部は、ホルダと一体成形可能であるので、組付け性の容易化、部材点数の低減を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置によれば、回路基板に隣接開口部としてのスリットを設け、ホルダに撓み止め部と一体化した遮光壁を設けている。ここで、回路基板にガラスエポキシ等の光を透過しやすい材料が用いられる場合は特に、ランプ等の発光素子の光が回路基板を介して、操作ボタン上の表示窓や操作ボタンとハウジングの隙間などから外部に向かって光もれを生じることがある。この点、本発明では、スリットに遮光壁を挿入することで、回路基板を介しての導光を遮断することができるため、意図されていない領域に光が到達するのを阻止して、光もれを防止することができる。このように、スリットと遮光壁を設けることにより、回路基板の撓み防止効果に加え、光もれ防止の効果をあわせて持つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の車両用オーバーヘッドコンソール装置のスイッチ構造体1は、回路基板10、ホルダ20及び3つの操作ボタン30から構成されている。回路基板10の下側に配置されるホルダ20は、3つの操作ボタン30を垂直方向に移動可能に保持する保持部材である。3つの操作ボタン30は、各々のノブ部31が回路基板10に設けられた対応するスイッチ素子13を押圧し得るようにホルダ20に保持される。
【0018】
本実施形態の回路基板10は、主としてガラスエポキシ樹脂からなる平板状のプリント配線基板である。この回路基板10は表面11(図1では下面)及び裏面12(図1では上面)を有し、その表面11側には、3つのスイッチ素子13と、複数の発光素子16a,16bとが実装されている。3つのスイッチ素子13は、回路基板10の略中央位置とその左右の両脇位置にそれぞれ設置されている。それぞれのスイッチ素子13近傍には、発光素子(LED)16aが一つずつ設けられている。また、回路基板10の略中央位置のスイッチ素子13の近傍には、追加の発光素子(LED)16bも設けられている。合計3つの発光素子16aは、夜間操作時にスイッチの所在を認識し易くするためのマーキングランプとしての機能を有する。他方、追加の発光素子16bは、中央のスイッチ素子13の設定と連動させて点灯又は消灯するように制御される。
【0019】
また、回路基板10の略中央部には、中央のスイッチ素子13にほぼ隣接した位置において開口(14,15)が穿設又は貫通形成されている。この開口(14,15)は、通し孔14と、その通し孔14につながった隣接開口としてのスリット15とからなり、当該回路基板10の肉部である開口縁部によって一体の開口として区画(縁取り)されている。通し孔14は、後述する撓み止め部の爪部21を挿通可能な貫通孔である。スリット15は、回路基板10の長手方向に沿って延びる貫通溝であって、後述する遮光壁22を挿入可能な長さ及び幅を有している。さらに、回路基板10の端部付近の四箇所には、回路基板10を後述するリフレクタ40及びハウジング50にネジで螺着するためのネジ孔17a及び17bが設けられている(図8参照)。
【0020】
図1及び図2に示すように、ホルダ20はその外周形状を形作る側壁部27を有し、その内部は、二つのリブ24により、3つの操作ボタン30のそれぞれの取付け位置に対応するように3つの区画(部屋)に分割されている。各区画には、対応する操作ボタン30のノブ部31を挿通可能なノブ孔23がそれぞれ設けられている。また、ホルダ20の各区画には、隔壁25aによって取り囲まれた平面視長方形状の開口部25がそれぞれ設けられている。さらに、ホルダ20の左右の突端には、ホルダ20をハウジング50にネジで螺着するための螺合部29が設けられている。
【0021】
ホルダ20の中央の区画には、開口部25用の隔壁25aの他に、第2の開口部26を取り囲む第2の隔壁26aが設けられている。隔壁25aによる開口部25と、第2隔壁26aによる第2開口部26との間には、遮光壁22が設けられている。この遮光壁22は二つの開口部25,26を分け隔てるように両者間に位置するため、この遮光壁22を隔壁25aの一部又は第2隔壁26aの一部とみなすこともできる。遮光壁22は、ホルダ本体から回路基板10に向かって上方に突出形成されており、それ故、回路基板10の厚さ方向に延びて回路基板10のスリット15内に挿入可能となっている。なお、第2隔壁26a(及び遮光壁22)によって囲まれた平面視正方形状の第2開口部26は、後述する操作ボタン30に設けられた導光凸部33を挿入可能な貫通孔である。
【0022】
ホルダ20には、遮光壁22の一端において撓み止め部(21,22a)が設けられている。この撓み止め部は、前記遮光壁22の一端部でもある支持部22aと、その支持部22aの上部に設けられた爪部21とから構成されている。撓み止め部の爪部21は、そのままで前記通し孔14に挿入可能であって、通し孔14への挿入状態において回路基板10と平行に延びるように支持部22a(遮光壁22の一部)から鉤状に張り出し形成されている。
【0023】
なお、ホルダ20は、ABS樹脂等を用いた射出成型品であり、ホルダ20の上記各部位は射出成型時に一体成形されるものである。
【0024】
図1に示すように、3つの操作ボタン30はそれぞれ、ノブ孔23を介して回路基板10上のスイッチ素子13を押圧可能なノブ部31を有する。また、各操作ボタン30の左右側壁部には、後述するホルダ20の掛止爪28を掛止させるための掛止部32がそれぞれ設けられている。図3は、ホルダ20の中央の区画に保持される操作ボタン30の拡大図である。この中央の操作ボタン30は導光凸部33を有する。この導光凸部33は、ホルダ20の第2開口部26内に挿通でき、回路基板10上の発光素子16bの点灯時には導光体として働く。そして、中央の操作ボタン30の表面(下面)に設けられた表示窓34は、導光凸部33に導かれた光を透過することによってスイッチの設定を表示する。
【0025】
回路基板10、ホルダ20及び操作ボタン30は、図1に示す位置関係で配置されて、スイッチ構造体1を構成する。図4は、組立て完了後のスイッチ構造体1の回路基板裏面12側(車内天井に対面する側)からの平面視である。スイッチ構造体1の組立てに際しては、ホルダ20の中央の区画において、ホルダ20の爪部21及び遮光壁22は回路基板10の通し孔14及びスリット15にそれぞれ挿入され、側壁部27及びリブ24の各上縁部は回路基板表面11に接触する。上記挿入直後における、C1−C1断面位置での爪部21と通し孔14との関係を図6(a)に、C2−C2断面位置での遮光壁22とスリット15との関係を図6(c)にそれぞれ示す。次に、遮光壁22がスリット15内で横移動するように回路基板10とホルダ20を相対スライドさせることで、爪部21は、通し孔14(C1−C1位置)から離れて(図6(b)参照)、スリット15上のC2−C2位置に移動する(図6(d)参照)。この相対スライドにより、図6(d)に示すように、スリット15を区画する開口縁部15aに爪部21を係合させることができる。
【0026】
このように、回路基板10の中央部が爪部21を介してホルダ20に一体化される。このとき、図5(a)及び(b)に示すように、回路基板表面11上にある各スイッチ素子13と、ホルダ20に設置された各ノブ孔23とは、それぞれ対向する位置関係にある。従って、中央の操作ボタン30が下から上に押し上げ操作され、そのボタンに対応する中央のスイッチ素子13が押圧され、その結果、回路基板10にその中央部を上に押す押圧力が及んだ場合でも、ホルダ20から延びる爪部21が回路基板10の裏面12側において開口縁部15aに係合して当該回路基板10を裏支えしているため、前記押圧力によって回路基板10の中央部が上凸状に撓むことが防止又は抑制される。このように、回路基板表側のホルダ20から延びる爪部21が、回路基板10をその裏面12側において裏支えするため、中央の操作ボタン30の押し上げ操作に起因する押圧力が回路基板10に及んだ場合でも、最も撓み易い基板中央部の撓みが防止され、結果的に基板全体の撓みが効果的に抑えられる。
【0027】
ホルダ20の各区画において、隔壁25aによって形成される各開口部25は、回路基板10上に設けられた各発光素子16aと対向配置され、各開口部25内に発光素子16aがそれぞれ収納される。発光素子16aは、開口部25を介して、操作ボタン表面を照射することで、夜間操作時にスイッチの所在を認識し易くするためのマーキングランプとして機能する。そして、隔壁25aは、発光素子16aの光が開口部25から漏れ出て外部を照射することを防ぐ遮光材の役割を果たす。
【0028】
各操作ボタン30は、リブ24によって分割されたホルダ20の各区画に収まるようにそれぞれ配設される。図7は図4におけるD−D線での断面図を示す。図7及び図3に示すように、中央の操作ボタン30の左右側壁には、当該操作ボタン30を移動可能にホルダ20に保持させるための凹形状の掛止部32がそれぞれ設けられる。また、各区画の側壁となるリブ24(及び、リブ24と平行方向に延在する側壁部27の内側)には、凹形状の掛止部32に掛止可能な掛止爪28が設けられている。そして、各区画の内壁の掛止爪28に対して掛止部32を掛止させることで、各操作ボタン30はホルダ20に対し、ホルダ20から脱落することなく且つスイッチ素子13を押圧できるように垂直方向に移動可能に保持される。このとき、ノブ部31はノブ孔23に挿入される。従って、図5(a)及び(b)に示すように、操作ボタン30が押圧されたとき、ノブ部31は、ホルダ20のノブ孔23を介し、回路基板表面11上のスイッチ素子13を押圧することができる。
【0029】
さらに、スイッチ構造体1の中央の区画において、ホルダ20は第2隔壁26a及び遮光壁22によって区画形成される第2開口部26を有する。また、中央の操作ボタン30は導光凸部33を有する。ホルダ20が回路基板10に近接配置された際、回路基板表面11に設置された発光素子16bは、第2開口部26に収納される。また、操作ボタン30がホルダ20に装着されると、導光凸部33が第2開口部26に挿入される。そして、発光素子16bが点灯すると、その光は導光凸部33に導かれ、操作ボタン30の表面に設けられた表示窓34が点灯する。
【0030】
かかるスイッチ構造体1においては、開口部25内に設置された発光素子16aから回路基板表面11方向へ放射された光が、回路基板表層によって導光され、隔壁25aと回路基板表面11の間から、第2開口部26内へ光が進入し、発光素子16bが実際に点灯していないにもかかわらず、表示窓34を疑似点灯させるおそれがある。この点、本実施形態では、導光体として働く回路基板表層をスリット15によって分断すると共に、当該スリット15に遮光壁22を挿入し、該遮光壁22によって二つの開口部25,26を完全に分離することによって、回路基板表層による導光経路を遮断し、光が第2開口部26内に進入することを防いでいる。したがって、遮光壁22は、撓み止め部の支持部22aとなるだけでなく、表示窓34の疑似点灯を防止する遮光効果も併せて奏する。
【0031】
図8は、前述したスイッチ構造体1が実際に車両用オーバーヘッドコンソール装置に組み込まれるときの様子を示す。車両用オーバーヘッドコンソール装置は、そのハウジング50に下(車両の床側)から、操作ボタン30を備えたホルダ20、リフレクタ40及び回路基板10が順番に組付けられて構成される。
【0032】
まず、操作ボタン30を保持したホルダ20は、螺合部29とネジ孔51aとが一致するように、ハウジング50上に配置され、図示しないネジによって同ハウジング50に固定される。次に、リフレクタ40のネジ孔41a及び41bと、ハウジング50のネジ孔51b及び51cとが一致するように、リフレクタ40をハウジング50上に配置し、ネジ孔41b、51cに対し図示しないネジを取り付ける。なお、リフレクタ40は、ランプを挿通可能な3つのランプ孔42を有し、各ランプ孔42に挿通されたランプの光をリフレクタ表面に反射させ、そのランプ光を、ハウジング50を介して車内へ向けて照射するための部材である。
【0033】
更に、リフレクタ40の取り付け後、回路基板10をホルダ20の上に重ね、ホルダの遮光壁22をスリット15内に進入させると共に、ホルダの爪部21を、通し孔14を介して、回路基板10の裏面側に突出させる。そして、回路基板10を横方向にスライドさせ、爪部21を通し孔14内からスリット15内に移動させる。それに伴い、回路基板10のネジ孔17bをハウジング50のネジ孔51dに一致させると共に、回路基板10のネジ孔17aを、前記ネジ孔41a及び51bに一致させる。そして、これらのネジ孔に対し図示しないネジを取り付けることにより、回路基板10及びリフレクタ40をハウジング50に固定すると共に、回路基板10とホルダ20との上下近接配置関係を固定化する。最後に、リフレクタ40のランプ孔42にランプを取り付ける。こうして、車両用オーバーヘッドコンソール装置は組み立てられる。
【0034】
本実施形態において、回路基板10の中央部には、通し孔14及びスリット15からなる開口が設けられ、ホルダ20の中央の区画には、撓み止め部の爪部21と、一端部に撓み止め部の支持部を構成する遮光壁22が、ホルダ20に一体成形されている。爪部21及び遮光壁22を通し孔14及びスリット15に挿入した後、遮光壁22がスリット15内で横移動するように回路基板10とホルダ20を相対スライドさせることで、爪部21を回路基板裏面12からスリット15を区画する開口縁部15aに係合させることができ、このようにして、回路基板10の中央部がホルダ20に一体化される。その結果、中央のスイッチ素子13が押圧され、回路基板10にその中央部を上に押す押圧力が及んだ場合でも、ホルダ20から延びる爪部21が回路基板10の裏面12側において開口縁部15aに係合して当該回路基板10を裏支えしているため、前記押圧力によって回路基板10の中央部が撓むことが防止又は抑制される。従って、操作ボタン30の押圧による撓みを防ぐために、回路基板10のサイズを大きくする必要もなく、車両用オーバーヘッドコンソール装置の部品点数の減少、組付け上の向上、低コスト化、省スペース化に図ることができる。さらに、導光体として働く回路基板表層をスリット15によって分断すると共に、当該スリット15に遮光壁22を挿入することによって、回路基板10を介する導光経路を遮断し、発光素子16aの光が第2開口部26内にもれることを防いでいる。このように、本実施形態においては、光もれ防止効果も併せてもつので、さらなる部品点数の減少を図ることができる。
【0035】
[変更例]
上記実施形態によって本発明を詳細に説明したが、これは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものでない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、スイッチ素子および操作ボタンの数が各3つずつ設けられている構成について説明したが、数は増減可能であり、単数でも複数でもよい。また、上記実施形態では、回路基板の中央部に撓み止め部が配置されているが、中央部以外の位置に撓み止め部を設けることも可能であり、回路基板の長さが幅方向に比べて十分に長い場合には、中央部以外に撓み止め部を設けることで、撓みをより効果的に防止することができる。撓み止め部の爪部の形状は、回路基板裏面から開口縁部に係合可能な形状であればよく、上記実施形態における鉤形状に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一実施形態に従うスイッチ構造体の分解斜視図。
【図2】ホルダの平面図。
【図3】操作ボタンの拡大斜視図。
【図4】回路基板裏面側から見たスイッチ構造体の平面図。
【図5】(a)は図4のA−A線での断面図、(b)は図4のB−B線での断面図。
【図6】(a)は爪部がスライド前の図4のC1−C1線断面、(b)は爪部がスライド後のC1−C1線断面、(c)は爪部がスライド前の図4のC2−C2線断面、(d)は爪部がスライド後のC2−C2線断面。
【図7】図4におけるD−D線断面図。
【図8】車両用オーバーヘッドコンソール装置の分解斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 スイッチ構造体
10 回路基板
11 回路基板の下面(表面)
12 回路基板の上面(裏面)
13 スイッチ素子
14 通し孔(14及び15は、開口縁部によって区画される開口を構成する)
15 スリット(通し孔につながった隣接開口)
15a 開口縁部
20 ホルダ
21 撓み止め部の爪部(21及び22aは、撓み止め部を構成する)
22 遮光壁
22a 遮光壁の一端部(撓み止め部の支持部を構成する)
30 操作ボタン
31 ノブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面を有し、表面側にスイッチ素子が実装された回路基板と、
前記スイッチ素子に対向するノブ部を有する操作ボタンと、
前記回路基板の表面側に配設されて、前記操作ボタンのノブ部が前記回路基板のスイッチ素子を押圧し得るように前記操作ボタンを移動可能に保持するホルダと、を備えた車両用オーバーヘッドコンソール装置において、
前記回路基板には、開口縁部によって区画される開口が設けられ、
前記ホルダには、前記開口を介して前記回路基板の裏面側に突出する撓み止め部が設けられ、その撓み止め部の少なくとも一部を前記回路基板の裏面側にて前記開口縁部に係合させることで、前記操作ボタンの操作時の押圧力による前記回路基板の撓みを防止又は抑制することを特徴とする車両用オーバーヘッドコンソール装置。
【請求項2】
前記ホルダの撓み止め部は、前記回路基板の厚さ方向に延びるように前記ホルダの本体部から突出形成された支持部と、前記回路基板と平行に延びるように前記支持部から張り出し形成された爪部とを有し、
前記回路基板の開口は、装置の組立時に前記撓み止め部を当該回路基板の表面側から裏面側へ挿通させて当該撓み止め部の爪部を回路基板の裏面側に配置するための通し孔と、その通し孔につながった隣接開口とからなっており、
前記通し孔を介して前記撓み止め部の爪部を回路基板の裏面側に配置した後、前記回路基板と前記ホルダとを相対スライドさせて前記撓み止め部の支持部を前記隣接開口内に進入させることにより、前記撓み止め部の爪部を前記回路基板の裏面側にて、前記隣接開口を区画する開口縁部に係合させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置。
【請求項3】
前記隣接開口は、前記通し孔につながったスリットとして形成され、
前記ホルダには、前記スリット内に挿入される遮光壁が設けられ、その遮光壁の一端に前記撓み止め部が設けられており、
前記遮光壁及び前記撓み止め部の支持部を前記スリット内に配置すると共に、前記撓み止め部の爪部を前記回路基板の裏面側にて前記スリットを区画する開口縁部に係合させたことを特徴とする請求項2に記載の車両用オーバーヘッドコンソール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−125908(P2010−125908A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300510(P2008−300510)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000143639)株式会社今仙電機製作所 (258)
【Fターム(参考)】