車両用コントローラ及びその製造方法
【課題】 樹脂ケースにはある程度の反りや膨張収縮が生じるという前提のもと、それでも樹脂ケースとプリント基板上の電子部品との間に干渉(物理接触)を生じさせない隙間を確実に確保するとともに、その隙間幅をできる限り狭めて薄型化した車両用コントローラを提供する。
【解決手段】 筒型の樹脂製のケース本体20の開口25Hからプリント基板5を収容し、その開口25Hを樹脂製のカバー10で塞いで形成される車両用コントローラ1であって、ケース本体20は、収容されたプリント基板5の表裏両主面52,53側に、それら主面52,53と対面する主面対向壁部22,23をそれぞれ有し、それら主面対向壁部22,23のうちの少なくとも一方と、プリント基板5との間に、カバー10と一体成形された接触阻止部14が介在する。
【解決手段】 筒型の樹脂製のケース本体20の開口25Hからプリント基板5を収容し、その開口25Hを樹脂製のカバー10で塞いで形成される車両用コントローラ1であって、ケース本体20は、収容されたプリント基板5の表裏両主面52,53側に、それら主面52,53と対面する主面対向壁部22,23をそれぞれ有し、それら主面対向壁部22,23のうちの少なくとも一方と、プリント基板5との間に、カバー10と一体成形された接触阻止部14が介在する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のコントローラ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるコントローラには、電子回路をもったプリント基板を、樹脂製の筒型ケース内に収容したものがある。この筒型ケースは、その一面が基板収容用に開口しており、その開口にカバーを取り付けることでケース化されている。こうした筒型タイプのケースの場合、カバーが取り付けられる一面(開口)において、取り付けられるカバーとの間に隙間が生じるため、この隙間から異物が内部に侵入する可能性があるが、残りの5面においては異物が侵入する隙間が全く無いため、ケース内に収容されるプリント基板を外部から保護するのに適した構造となっており、近年多く採用される傾向がある。特に近年では、自動車用のコントローラに対し、IEC(International Electrotechnical Commission)規格における、例えばIP40(直径又は厚さ1mm以上のワイヤや固形物が内部に侵入しない構造)等の保護規格を満たすよう要求されることもあり、こうした場合、上記のような筒型タイプのケースであれば、カバーが取り付けられる一面さえ考慮して設計すれば、ケース内のプリント基板を外部から確実に保護できる。
【0003】
図11〜図14は、上記のような筒型タイプのケースにプリント基板を収容した従来のコントローラの一例を示すものである。図11はその平面図(A)と正面図(B)と側面図、図12は筒型ケース内にプリント基板を挿入し、カバーを取り付ける作業の流れを示す図、図13は筒型ケース内にプリント基板が挿入された状態の断面図、図14は筒型ケースに取り付けられるカバーの平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)と背面図(D)である。
【0004】
図11〜図14に示す従来のコントローラ100は、樹脂製の筒型ケース120にその開口125Hからプリント基板105を挿入するとともに、挿入後、その開口125Hを、カバー110を取り付けて被うことによって、挿入されたプリント基板105が取り出し不可となる形で内部に収容・保持される。
【0005】
筒型ケース(ケース本体)120は、図11に示すように、収容されるプリント基板105の表裏両主面152,153側に、それら主面152,153と対面する主面対向壁部122,123をそれぞれ有する一方、図13に示すように、それら主面対向壁部122,123によって挟まれる基板収容空間の一方の側を、プリント基板105を収容するための開口125Hとして残す形で、残りの側を外周側壁部124で被った形状をなす。また、筒型ケース120は、開口125Hの両隣りで隣接する2つの外周側壁部124において、それら壁部124の開口125H側に係合固定部121を有する。
【0006】
他方、カバー110は、その係合固定部121に係合する係合孔111Aを有した係合固定部111を有しており、これら係合固定部が互いに係合状態となることで、筒型ケース120に係合固定される。そして、筒型ケース120の内部には、電子回路や素子等の電子部品151等が設けられたプリント基板105が収容される。
【0007】
プリント基板105は、カバー110の本体115に設けられたコネクタ露出用孔部115Hからコネクタ部150を外部接続用に突出させた形で、筒型ケース120内に収容されている。さらに、プリント基板105は、電子部品151と、これに対面する筒型ケース120の主面対向壁部123の内面との間に、それらが互いに物理接触しないための所定幅の隙間dを有する形で、筒型ケース120内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−206802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
こうした車両用コントローラ100は、近年、振動耐久や高温低温などの厳しい環境基準を満たしながらも、車両搭載性をより一層向上させるために、より一層の小型化・薄型化が要求されている。しかしながら、樹脂製の筒型ケース120を小型化・薄型化すると、これに伴い筒型ケース120と収容されたプリント基板105との間の隙間dの幅がこれまで以上に狭くなる。その結果、筒型ケース120は、製造時や市場流出後における温度環境変化に起因した膨張収縮や、車両搭載後のエンジン始動や走行に起因した振動等によって、内部に収容したプリント基板105上の電子部品151と干渉(物理接触)する可能性が考えられる。この場合、電子部品151の外観(表面)に損傷を与えるばかりでなく、最悪の場合は、電子部品151の半田接続部に応力がかかり、半田面が破断、プリント基板105から電子部品151が脱着し、コントローラとして機能不良を起こしてしまうことが考えられる。
【0010】
一方、樹脂製の筒型ケース120とプリント基板105上の電子部品51との間の隙間dを、互いの干渉(物理接触)が生じないレベルで確保するための手法として、特許文献1のように、反りが生じ難い樹脂材料の開発や、反りが生じ難い最適な樹脂成型条件の導出等が以前から試みられている。ところが、それらの手法においても、成形された筒型ケース120には、反り量にばらつきがあり、大量生産すると反りの大きいものも発生するので、完全な対策にはなりえていない。
【0011】
本発明の課題は、樹脂ケースにはある程度の反りや膨張収縮が生じるという前提のもと、それでも樹脂ケースとプリント基板上の電子部品との間に干渉(物理接触)を生じさせない隙間を確実に確保するとともに、その隙間幅をできる限り狭めて薄型化した自動車用コントローラ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の車両用コントローラは、
主面上に各種電子部品が設けられたプリント基板と、プリント基板を収容するための開口を有する筒型のケース本体と、ケース本体内に開口からプリント基板を収容した後、開口を塞ぐ形で該ケース本体に固定されるカバーと、を備える車両用コントローラであって、
ケース本体は、収容されたプリント基板の表裏両主面側に、それら主面と対面する主面対向壁部をそれぞれ有し、
プリント基板は、それら主面対向壁部のうちの少なくとも一方の壁部と対面するプリント基板の主面上に、電子部品が非配置とされた電子部品非配置領域を有し、
当該壁部と、これに対面するプリント基板の主面上の、電子部品非配置領域を除く電子部品配置可能領域に配置される電子部品との物理接触を妨げるための接触阻止部として、当該壁部と当該電子部品非配置領域との間に、それら双方に当接する形で介在する衝立部を有することを特徴とする。
【0013】
上記本発明の構成によれば、プリント基板上の主面に予め形成された電子部品非配置領域と、これと対面するケース本体の主面対向壁部との間に衝立部(ついたて部)が形成された形となるので、主面対向壁部の反りは、この衝立部との当接によって抑制され、その反り量を減じることができるから、結果として、この主面対向壁部と、これと対面するプリント基板の主面上の電子部品との間に一定幅以上の隙間を常に確保することが可能となる。このため、この主面対向壁部と、これと対面するプリント基板の電子部品との物理接触を防ぐことが可能となる。
【0014】
本発明におけるカバーは、樹脂製の樹脂カバーであり、該樹脂カバーの内面からケース本体内部に延出する形で接触阻止部が一体に成形されるように構成できる。この構成によれば、車両用コントローラを構成する部品点数が従来と同数のままとなるので、組み付けなどの生産性が大きく損なわれることもない。また、部品組み付けの製造工程が増えることもないから、製造工賃も増えない。
【0015】
本発明における接触阻止部は、ケース本体内部に向けて延出形成されるとともに、その延出形成部分の全体が、接触阻止の対象となる主面対向壁部と当接するよう構成することができる。この構成によれば、接触阻止部は、ケース本体内部に向けて延出形成されるとともに、その全体が主面対向壁部と広面積にわたって当接(面接触)することになるから、その逆側でのプリント基板5との当接(面接触)が安定したものとなる。
【0016】
本発明における接触阻止部は、プリント基板に対し非接触の形でケース本体内部に延出する延出部と、該延出部から該プリント基板の中央部に向けて突出して該中央部と当接する突出当接部と、を有して構成できる。この構成によれば、プリント基板上における接触阻止部との接触面積を小さくすることが可能となり、プリント基板上により大きな電子部品を配置することが可能になる。
【0017】
本発明における接触阻止部は、ケース本体に収容されたプリント基板の表裏両主面側の主面対向壁部のうち、該プリント基板との間の隙間が小さい方の側に設けることができる。この構成によれば、主面対向壁部と、これと対面するプリント基板上の電子部品との物理接触が生じやすい側において、接触阻止部が形成されるため、無駄な接触阻止部の形成を略することができる。
【0018】
本発明におけるケース本体は樹脂製であり、主面対向壁部から該ケース本体内に向けて突出する形で接触阻止部が一体に成形されるように構成できる。この構成によれば、車両用コントローラを構成する部品点数が従来と同数のままとなるので、組み付けなどの生産性が大きく損なわれることもない。
【0019】
本発明の車両用コントローラの製造方法であって、
樹脂製のカバーとプリント基板とを固定する第一工程と、
固定されたカバーとプリント基板とを、ケース本体の開口から挿入し、該カバーと該ケース本体とを固定する第二工程と、
をこの順で備えることを特徴とする。
【0020】
特に、接触阻止部が、プリント基板に対し非接触の形でケース本体内部に延出する延出部と、該延出部から該プリント基板の中央部に向けて突出して該中央部と当接する突出当接部と、を有して構成される場合、上記製造方法が採用されれば、第一工程において、カバーとプリント基板とを固定し、続く第二工程において、それらをケース本体の開口から挿入されるから、プリント基板上における接触阻止部との接触面積を小さくすることが可能となる。つまり、上記製造法とは違って、ケース本体に対し先にプリント基板を収容した上で、接触阻止部を有するカバーを取り付ける場合、ケース本体に対しプリント基板を収容する際には、接触阻止部がプリント基板の主面上をスライドする形(こする形)となるから、プリント基板の主面においてその接触阻止部がスライドする領域全てを電子部品非配置領域としなければならない。ところが、上記製造方法のように、先にカバーにプリント基板を固定してからそのカバーをケース本体に取り付けることで、上記のようなスライドが不要となるから、プリント基板の主面上には接触阻止部がスライドする領域が存在しない。このため、プリント基板の主面上において、接触阻止部が当接する領域のみを電子部品非配置領域とすることができるから、プリント基板上により多数の電子部品を配置することが可能になる。また、スライドを伴う組み付けは作業性が悪く、さらには組み付け時に他の部位にストレスを与える可能性もあるため、スライドを伴う組み付けが無くなることで、組み付け時の作業性の悪さが改善され、他の部位にストレスを与えることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態である車両用コントローラの平面図、正面図、及び側面図。
【図2】図1の車両用コントローラのカバーの平面図、正面図、側面図、及び背面図。
【図3】図1の車両用コントローラの組み付け方法の第一例を示す図。
【図4】図1のプリント基板の底面図。
【図5】図1の車両用コントローラの組み付け方法の第二例を示す図。
【図6】図2とは異なる車両用コントローラのカバーの平面図、正面図、側面図、及び背面図。
【図7】図6のカバーを有する車両用コントローラの組み付け方法を示す図。
【図8】図6のカバーを有する車両用コントローラに収容されたプリント基板の底面図。
【図9】図1及び図6の実施形態とは異なる車両用コントローラの組み付け方法を示す図。
【図10】図1、図6、及び図9の実施形態とは異なる車両用コントローラの断面図。
【図11】従来の車両用コントローラの平面図、正面図、及び側面図。
【図12】図11の車両用コントローラの組み付け手順を示す図。
【図13】図11の車両用コントローラの断面図。
【図14】図11の車両用コントローラのカバーの平面図、正面図、側面図、及び背面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車両用コントローラの一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の自動車用コントローラの平面図(A)と正面図(B)と側面図である。図2はケース本体に取り付けられるカバーの平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)と背面図(D)である。図3は、プリント基板の収容方法を示す図であり、図4は、プリント基板の主裏面を示す図である。
【0024】
図1に示す本実施形態のコントローラ1は自動車用のコントローラであって、電子回路と共に各種電子部品51が実装されたプリント基板5と、一面をプリント基板5を収容するための開口25Hとして有する筒型のケース本体20と、ケース本体20にプリント基板5を収容した後、25H開口を塞ぐ形で該ケース本体20に固定されるカバー10と、を備えて構成される。
【0025】
ケース本体20は樹脂製であり、図1に示すように、収容されたプリント基板5の表裏両主面52,53側に、それら主面52,53と対面する主面対向壁部22,23をそれぞれ有する。また、ケース本体20は、それら主面対向壁部22,23の間に形成される基板収容空間の一方の側を、プリント基板5を収容するための開口25Hとして残す形で、残りの側を外周側壁部24で被った筒型をなす。具体的に言えば、本実施形態のケース本体20は6面を有する形で構成される直方体状をなしており、四角形状の主面を形成する主面対向壁部22,23と、1面を残して残り3面を被う細長の外周側壁部24とを有し、残り1面が基板収容用の開口として形成されている。そして、この開口25Hを塞ぐ形でカバー10が組み付けられ、ケース体20内に収容されたプリント基板5が取り出し不可の状態となる。
【0026】
カバー10は樹脂製であり、図2に示すように、ケース本体20の開口を塞ぐ本体部15を有するとともに、その本体部15には、プリント基板5のコネクタ部50を露出させるためのコネクタ露出用孔部15Hが形成される。また、本体部15の上下両側には、ケース本体20への組み付けの際に、該ケース本体20の主面対向壁部22,23の内面に対しそれぞれが摺動する板状のガイド部12,13が、主面対向壁部22,23に沿って内向き(ケース本体20の内部側)に突出する形で形成されている。
【0027】
また、カバー10は、本体部15の左右両側にて、組み付けられるケース本体20の開口25Hの左右両隣りで隣接する外周側壁部24の、開口25H側によった位置を被うよう、開口25H側に突出する係合固定部11を有する。他方、ケース本体20は、開口25Hの左右両隣りで隣接する外周側壁部24の双方において、それらの開口25H側によった位置に係合固定部21を有する。これらカバー10及びケース本体20は、互いの係合固定部11,21を係合させることにより組み付け固定状態となり、内部にプリント基板5を収容するケース体となる。
【0028】
本実施形態においては、ケース本体20の係合固定部21として、開口25Hの左右両隣りで隣接する外周側壁部24の双方において、それらの開口25H側によった位置にて外向きに突出する係合突出部21を有しており、他方、カバー10の係合固定部11として、ケース本体20の係合突出部21に対し係合する係合孔11Aを有した係合孔部11を有しており、カバー10の係合孔11A内に、ケース本体20の係合突出部21が挿通した状態となることにより、カバー10はケース本体20に係合固定された状態となる。本実施形態の係合突出部21は、開口25H側から奥側に向かって上り勾配から下り勾配へと切り替わる山型をなしているため、カバー10をケース本体20に組み付ける際には、係合孔部11に弾性変形を生じさせる形で、係合孔部11における係合孔11Aの奥側の部位にこの山型の係合突出部21を乗り越させる。乗り越えた後、係合孔部11は弾性復帰するが、この弾性復帰により、係合孔11A内にこの山型の係合突出部21を収容した状態、即ち係合孔11A内にこの山型の係合突出部21を挿通させた状態となる。これにより、カバー10はケース本体20に組み付けられた状態となる。
【0029】
プリント基板5は、図13に示す従来のものと同様、その表裏主表面52,53に、電子回路や素子等の電子部品51等を有する。また、プリント基板5の一方の外周部には外部接続用のコネクタ部50が設けられている。プリント基板5は、ケース本体20内に収容された状態において、カバー10の本体部15に設けられたコネクタ露出用孔部15Hから、コネクタ部50が外部接続用に突出している。
【0030】
また、収容されたプリント基板5は、主面対向壁部23の内面に近接対向する面53側において、実装されている電子部品51と、その主面対向壁部23の内面との間に、それらの物理接触が生じないための隙間dを有する形でケース本体20により保持されている。本実施形態においては、プリント基板5は、開口25Hからケース本体20内に収容されており、その収容方向の奥側に位置するケース本体20の外周側壁部24の内面に形成された基板固定部25Bにより、ケース本体20内に保持されている。基板固定部25Bは、ケース本体20の厚み方向(主面対向壁部22,23の対向方向)の両側から、プリント基板5の収容方向奥側の端部5B2を挟み込む形で保持(挟圧保持)する。他方、カバー10の本体部15の裏面にも基板固定部15Bが形成されており、これによりケース本体20内に収容されたプリント基板5を保持している。基板固定部15Bも、ケース本体20の厚み方向両側から、プリント基板5の収容方向手前側の端部5B1を挟み込む形で保持(挟圧保持)する。
【0031】
ところで、本実施形態においては、主面対向壁部22,23のうちの少なくとも一方である壁部と、その壁部とプリント基板(電子部品51も含む)5との間に、互いの接触を阻止するための接触阻止部14として衝立部14が介在する。これにより、その壁部と、プリント基板5(電子部品51)との接触を妨げるように構成されている。本実施形態においては、主面対向壁部22,23のうち、プリント基板5との間の隙間幅が小さい方の主面対向壁部23と、その壁部23とプリント基板5との間に、接触阻止部14が設けられている。
【0032】
接触阻止部14をなす衝立部は、主面対向壁部23の内面と、プリント基板の主面53との双方にまたがる形で延出し、それら双方の面に当接する形で配置される。本実施形態の接触阻止部14は、樹脂製のカバー10に、その本体部15の内面からケース本体20の内部に延出する形で一体に成形されている。具体的に言えば、本実施形態の接触阻止部14は、カバー10の本体部15側にてガイド部13と一体となる形で(ここではガイド部13からガイド部12に向けて突出する形で)、その本体部15の内面からケース本体20内の中央部まで延出形成された柱状の部位であり、延出形成された柱状部位の主面対向壁部23側の面143の全体が主面対向壁部23の内面と当接(面接触)し、プリント基板5側の面145の全体が、プリント基板5の主面53との双方と当接(面接触)する形である。この接触阻止部14が存在することで、樹脂ケース20の壁部23の内向きに生ずる反りが抑制され、壁部23が反ってプリント基板5上の電子部品51と物理接触することを阻止することができる。特に反りが生じ易い樹脂ケース20の主面対向壁部23側の中心部が接触阻止部14と当接していることで、その部分での反りが阻止され、周辺の電子部品51と物理接触しないようになっている。また、接触阻止部14は、単純な柱状をなしてカバー10に一体化されているので、これを成型する際、従来に比べて金型の構造をそれほど複雑化する必要もない。
【0033】
図3及び図5は、本実施形態の自動車用コントローラ1の組み立て方法(製造方法)を示すものである。
【0034】
図3の組み付け方法は、プリント基板5を、単一の樹脂射出成型体であるケース本体20の開口25Hから挿入し、ケース本体20内にプリント基板5を収容保持する第一工程と、内部にプリント基板5が収容保持されたケース本体20の開口25Hに対し、これを被う形で、単一の樹脂射出成型体であるカバー10を取り付ける第二工程と、この順で有する。
【0035】
第一工程においては(図3(A)参照)、プリント基板5を、コネクタ部50を手前側にし、その逆側からケース本体20の開口25Hから挿入していき、ケース本体20の奥にある外周側壁部24の内面に形成された基板固定部25Bに、プリント基板5の奥側(コネクタ部50の逆側)の端部5B2を保持させる。
【0036】
第二工程においては(図3(B)参照)、カバー10の内面を、内部にプリント基板5が収容保持されたケース本体20の開口25Hに向けて接近させていく。接近させていく際に、コネクタ部50をコネクタ露出用孔部15H内に挿通させ、外部に突出させる。また、接近させていく際に、カバー10の内面から延出する接触阻止部14を、プリント基板5の主面53と主面対向壁部23の内面との双方の間をスライドさせる。そして、ケース本体20の係合突出部21がカバー10の係合孔部11に対し上記したような係合状態となることで、ケース本体20とカバー10とが組み付けられ、プリント基板5を内部に収容保持した自動車用コントローラ1が完成する(図3(C)参照)。
【0037】
なお、ケース本体20とカバー10とが組み付けられる際に、プリント基板5の手前側の端部5B1は、カバー10の本体部15の内面側に設けられた基板固定部15Bにより、保持された状態となる。これにより、プリント基板5は、基板5の両主面52,53側に、対面する主面対向壁部22,23までの間に所定幅を有する隙間7,6を形成する形で、基板固定部15B,25Bとによって保持されている。この隙間の幅は、主面対向壁部22,23の反りにより可変し、特に、プリント基板5と近接する主面対向壁部23は、この反りによってプリント基板5上の電子部品51と物理接触する可能性があるが、間に接触阻止部14が介在することにより反りが抑制され、物理接触が生じないようになっている。
【0038】
また、本実施形態の接触阻止部14は、カバー10の本体部15の内面中央の主面対向壁部23側から、その内面に垂直となる方向に向けて直線状に延出する形で形成されており、カバー10は、その接触阻止部14がその直線方向に向けて、プリント基板5上及び主面対向壁部23上をスライドする形で、ケース本体20の内部に進入していく。接触阻止部14がスライドする際に接触するプリント基板5の主面53上の領域は、図4に示すように、電子部品配置不可領域(電子部品非配置領域)54とされており、回路や素子といった電子部品51が非配置とされた平坦面領域となっている。
【0039】
他方、図5の組み付け方法は、単一の樹脂射出成型体であるカバー10に対しプリント基板5を固定(組み付け保持)する第一工程と、プリント基板5が固定されたカバー10を、単一の樹脂射出成型体であるケース本体20の開口25Hから挿入し、当該カバー10をケース本体20に固定する(組み付ける)第二工程と、をこの順で有する。
【0040】
第一工程においては(図5(A)参照)、カバー10の本体部15の内面側に設けられた基板固定部15Bに、ケース本体20内への挿入先端側(奥側)とは逆の手前側の端部5B1を保持された状態とする。このとき、プリント基板5は、接触阻止部14の面145上に載る形で支えられた状態となるから、上記の基板固定部15Bによる保持状態から脱落するような負荷は生じ難く、カバー10に対し安定した保持状態を保つことができる。なお、このとき、カバー10は、プリント基板5のコネクタ部50を、本体部15のコネクタ露出用孔部15Hの内側から挿通させており、外部に突出させた状態となっている。図3の組み付け方法においては、接触阻止部14をプリント基板5の主面53に対しスライドさせていたが、ここではその必要は無い。
【0041】
第二工程においては(図5(B)参照)、上記のようにプリント基板5が固定(保持)されたカバー10の内面を、ケース本体20の開口25Hに向けて接近させていく。接近させていく際に、カバー10の内面から延出する接触阻止部14を、主面対向壁部23の内面上をスライドさせる。そして、ケース本体20の係合突出部21がカバー10の係合孔部11に対し上記したような係合状態となることで、ケース本体20とカバー10とが組み付けられ、プリント基板5を内部に収容保持した自動車用コントローラ1が完成する(図5(C)参照)。
【0042】
なお、ケース本体20とカバー10とが組み付けられる際に、プリント基板5の奥側の端部5B2は、ケース本体25の奥側の外周側壁部24の内面に設けられた基板固定部25Bにより、保持された状態となる。これにより、図3の場合と同様、プリント基板5は、基板5の両主面52,53側に、対面する主面対向壁部22,23までの間に所定幅を有する隙間7,6を形成する形で、基板固定部15B,25Bとによって保持される。
【0043】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態においては、図4に示すように、プリント基板5上の平坦な主面53において、接触阻止部14がスライド・当接する領域54は電子部品51の配置不可領域(電子部品非配置領域)とされ、残余の領域が電子部品51の配置可能領域(電子部品配置可能領域)とされている。この電子部品配置不可領域54の面積を少しでも少なくするために、図6〜図8のような実施形態としてもよい。
【0045】
図6〜図8に示す実施形態においては、上記実施形態の接触阻止部14と同様の役割を果たす接触阻止部14’が、カバー10’に設けられている。ただし、この接触阻止部14’は、カバー10’の内面からケース本体20の内部に延出し、プリント基板5’に対し非接触で、かつ主面対向壁部23に対し当接(面接触)する当接面143を有する延出部142と、その延出部142からプリント基板5’の中央部54’に向けて突出してその中央部54’に対し当接する当接面145を有する突出当接部141と、を備えて構成される。既に述べた実施形態においては、図4に示すように、この中央部からコネクタ部50側まで続く領域が全て電子部品配置不可領域54となっていたが、図6〜図8に示す実施形態においては、この中央部54’のみが電子部品配置不可領域となっているため、電子部品51の配置可能領域を増すことができる。
【0046】
なお、図6〜図8に示す実施形態において、カバー10’は、接触阻止部の構成を除けば、既に述べた実施形態のカバー10と同様に形成されている。また、プリント基板5’は、電子部品配置不可領域が既に述べた実施形態と異なっている。ケース本体20については、既に述べた実施形態と同様である。
【0047】
また、図7は、図6〜図8に示す実施形態の車両用コントローラ1’の組み付け方法であり、その内容は既に述べた実施形態の図5と同様である。図7の組み付け方法は、図5と同様、カバー10とプリント基板5’とを固定(組み付け保持)する第一工程と、プリント基板5’が固定されたカバー10を、ケース本体20の開口25Hから挿入し、当該カバー10をケース本体20に固定する(組み付ける)第二工程と、をこの順で有する。以下では、図7の組み付け方法について、図5とは異なる点を中心に説明する。
【0048】
第一工程においては(図7(A)参照)、カバー10の本体部15の内面側に設けられた基板固定部15Bに、手前側の端部5B1を保持された状態とする。このとき、プリント基板5’の主面53は、接触阻止部14における突出当接部141の当接面145上に載る形で当接した状態となる。
【0049】
第二工程においては(図7(B)参照)、上記のようにプリント基板5’が固定(保持)されたカバー10の内面を、ケース本体20の開口25Hに向けて接近させていく。接近させていく際に、接触阻止部14においてカバー10の内面から延出する延出部142の当接面(摺動面)143を、主面対向壁部23の内面上でスライドさせる。そして、ケース本体20の係合突出部21とカバー10の係合孔部11とが上記のような係合状態となることで、ケース本体20とカバー10とが組み付けられ、プリント基板5’を内部に収容保持した自動車用コントローラ1が完成する(図7(C)参照)。
【0050】
図6〜図8に示す実施形態では、図8に示すように、プリント基板5’において、裏面53の中央部54’のみが電子部品配置不可領域となっており、この中央部54’からコネクタ部50側まで続く領域は、図4とは異なり、電子部品51の配置可能領域(電子部品配置可能領域)となっている。このため、既に述べた実施形態の図3の組み付け方法では、接触阻止部14がその領域上をスライドし、その領域上にある電子部品51にあたってしまうから、これを生じないよう図5のような組み付け方法(図7参照)を採用することで、プリント基板5’の中央部54’のみを電子部品配置不可領域とすることができる。なお、電子部品配置不可領域54を既に述べた実施形態の図4と同様となるよう拡張すれば、図3の組み付け方法でもよい。
【0051】
なお、図6〜図8に示す実施形態では、接触阻止部14’が当接するプリント基板5’上の当接領域は、基板中央部の一か所のみであるが、複数個所に設けてもよい。
【0052】
上記実施形態においては、接触阻止部14,14’は、カバー10に一体に設けられているが、ケース本体20に一体に設けられていてもよい。また、部品点数は増えてしまうが、カバー10とケース本体20とは異なる別部材として設けられていてもよい。図9の(A)に示す接触阻止部140は、カバー10とケース本体20とは異なる別部材として設けられており、主面対向壁部22,23のうちの少なくとも一方の壁部23と、プリント基板5との間に介在して、壁部23とプリント基板5上の電子部品51との接触を阻止している。この場合、図9の(B)に示すように、接触阻止部140は、プリント基板5’’に設けられた中央の開口514に組み付けられる。そして、図9の(C)に示すように、このプリント基板5’’がケース本体20内に挿入されると、接触阻止部140は、プリント基板5の主面53に当接する面と、主面対向壁部23の内面と当接する面とを有する形でケース本体20内に収容され、プリント基板5の主面53上の電子部品51と、主面対向壁部23の内面との物理接触を妨げる。
【0053】
上記実施形態においては、接触阻止部14,14’は、ケース本体20に収容されたプリント基板5,5’の表裏両主面52,53側の主面対向壁部22,23のうち、プリント基板5,5’との間の隙間が小さい方の側の隙間6に設けられているが、逆側の隙間7にて、プリント基板5,5’の主面52と主面対向壁部22の内面との間に介在させる形で設けてもよい。また、図10に示す接触阻止部14A,14Bのように、ケース本体20に収容されたプリント基板5の主表面52と主面対向壁部22との間の隙間7と、プリント基板5の主裏面53と主面対向壁部23との間の隙間6との双方にそれぞれ設けてもよい。
【0054】
なお、図3、図5、図7、図9、図10、及び図13はいずれも、図1のA−Aと同じ位置を切断した断面を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用コントローラ
5 プリント基板
10 カバー
14 接触阻止部(衝立部)
20 ケース本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のコントローラ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるコントローラには、電子回路をもったプリント基板を、樹脂製の筒型ケース内に収容したものがある。この筒型ケースは、その一面が基板収容用に開口しており、その開口にカバーを取り付けることでケース化されている。こうした筒型タイプのケースの場合、カバーが取り付けられる一面(開口)において、取り付けられるカバーとの間に隙間が生じるため、この隙間から異物が内部に侵入する可能性があるが、残りの5面においては異物が侵入する隙間が全く無いため、ケース内に収容されるプリント基板を外部から保護するのに適した構造となっており、近年多く採用される傾向がある。特に近年では、自動車用のコントローラに対し、IEC(International Electrotechnical Commission)規格における、例えばIP40(直径又は厚さ1mm以上のワイヤや固形物が内部に侵入しない構造)等の保護規格を満たすよう要求されることもあり、こうした場合、上記のような筒型タイプのケースであれば、カバーが取り付けられる一面さえ考慮して設計すれば、ケース内のプリント基板を外部から確実に保護できる。
【0003】
図11〜図14は、上記のような筒型タイプのケースにプリント基板を収容した従来のコントローラの一例を示すものである。図11はその平面図(A)と正面図(B)と側面図、図12は筒型ケース内にプリント基板を挿入し、カバーを取り付ける作業の流れを示す図、図13は筒型ケース内にプリント基板が挿入された状態の断面図、図14は筒型ケースに取り付けられるカバーの平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)と背面図(D)である。
【0004】
図11〜図14に示す従来のコントローラ100は、樹脂製の筒型ケース120にその開口125Hからプリント基板105を挿入するとともに、挿入後、その開口125Hを、カバー110を取り付けて被うことによって、挿入されたプリント基板105が取り出し不可となる形で内部に収容・保持される。
【0005】
筒型ケース(ケース本体)120は、図11に示すように、収容されるプリント基板105の表裏両主面152,153側に、それら主面152,153と対面する主面対向壁部122,123をそれぞれ有する一方、図13に示すように、それら主面対向壁部122,123によって挟まれる基板収容空間の一方の側を、プリント基板105を収容するための開口125Hとして残す形で、残りの側を外周側壁部124で被った形状をなす。また、筒型ケース120は、開口125Hの両隣りで隣接する2つの外周側壁部124において、それら壁部124の開口125H側に係合固定部121を有する。
【0006】
他方、カバー110は、その係合固定部121に係合する係合孔111Aを有した係合固定部111を有しており、これら係合固定部が互いに係合状態となることで、筒型ケース120に係合固定される。そして、筒型ケース120の内部には、電子回路や素子等の電子部品151等が設けられたプリント基板105が収容される。
【0007】
プリント基板105は、カバー110の本体115に設けられたコネクタ露出用孔部115Hからコネクタ部150を外部接続用に突出させた形で、筒型ケース120内に収容されている。さらに、プリント基板105は、電子部品151と、これに対面する筒型ケース120の主面対向壁部123の内面との間に、それらが互いに物理接触しないための所定幅の隙間dを有する形で、筒型ケース120内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−206802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
こうした車両用コントローラ100は、近年、振動耐久や高温低温などの厳しい環境基準を満たしながらも、車両搭載性をより一層向上させるために、より一層の小型化・薄型化が要求されている。しかしながら、樹脂製の筒型ケース120を小型化・薄型化すると、これに伴い筒型ケース120と収容されたプリント基板105との間の隙間dの幅がこれまで以上に狭くなる。その結果、筒型ケース120は、製造時や市場流出後における温度環境変化に起因した膨張収縮や、車両搭載後のエンジン始動や走行に起因した振動等によって、内部に収容したプリント基板105上の電子部品151と干渉(物理接触)する可能性が考えられる。この場合、電子部品151の外観(表面)に損傷を与えるばかりでなく、最悪の場合は、電子部品151の半田接続部に応力がかかり、半田面が破断、プリント基板105から電子部品151が脱着し、コントローラとして機能不良を起こしてしまうことが考えられる。
【0010】
一方、樹脂製の筒型ケース120とプリント基板105上の電子部品51との間の隙間dを、互いの干渉(物理接触)が生じないレベルで確保するための手法として、特許文献1のように、反りが生じ難い樹脂材料の開発や、反りが生じ難い最適な樹脂成型条件の導出等が以前から試みられている。ところが、それらの手法においても、成形された筒型ケース120には、反り量にばらつきがあり、大量生産すると反りの大きいものも発生するので、完全な対策にはなりえていない。
【0011】
本発明の課題は、樹脂ケースにはある程度の反りや膨張収縮が生じるという前提のもと、それでも樹脂ケースとプリント基板上の電子部品との間に干渉(物理接触)を生じさせない隙間を確実に確保するとともに、その隙間幅をできる限り狭めて薄型化した自動車用コントローラ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の車両用コントローラは、
主面上に各種電子部品が設けられたプリント基板と、プリント基板を収容するための開口を有する筒型のケース本体と、ケース本体内に開口からプリント基板を収容した後、開口を塞ぐ形で該ケース本体に固定されるカバーと、を備える車両用コントローラであって、
ケース本体は、収容されたプリント基板の表裏両主面側に、それら主面と対面する主面対向壁部をそれぞれ有し、
プリント基板は、それら主面対向壁部のうちの少なくとも一方の壁部と対面するプリント基板の主面上に、電子部品が非配置とされた電子部品非配置領域を有し、
当該壁部と、これに対面するプリント基板の主面上の、電子部品非配置領域を除く電子部品配置可能領域に配置される電子部品との物理接触を妨げるための接触阻止部として、当該壁部と当該電子部品非配置領域との間に、それら双方に当接する形で介在する衝立部を有することを特徴とする。
【0013】
上記本発明の構成によれば、プリント基板上の主面に予め形成された電子部品非配置領域と、これと対面するケース本体の主面対向壁部との間に衝立部(ついたて部)が形成された形となるので、主面対向壁部の反りは、この衝立部との当接によって抑制され、その反り量を減じることができるから、結果として、この主面対向壁部と、これと対面するプリント基板の主面上の電子部品との間に一定幅以上の隙間を常に確保することが可能となる。このため、この主面対向壁部と、これと対面するプリント基板の電子部品との物理接触を防ぐことが可能となる。
【0014】
本発明におけるカバーは、樹脂製の樹脂カバーであり、該樹脂カバーの内面からケース本体内部に延出する形で接触阻止部が一体に成形されるように構成できる。この構成によれば、車両用コントローラを構成する部品点数が従来と同数のままとなるので、組み付けなどの生産性が大きく損なわれることもない。また、部品組み付けの製造工程が増えることもないから、製造工賃も増えない。
【0015】
本発明における接触阻止部は、ケース本体内部に向けて延出形成されるとともに、その延出形成部分の全体が、接触阻止の対象となる主面対向壁部と当接するよう構成することができる。この構成によれば、接触阻止部は、ケース本体内部に向けて延出形成されるとともに、その全体が主面対向壁部と広面積にわたって当接(面接触)することになるから、その逆側でのプリント基板5との当接(面接触)が安定したものとなる。
【0016】
本発明における接触阻止部は、プリント基板に対し非接触の形でケース本体内部に延出する延出部と、該延出部から該プリント基板の中央部に向けて突出して該中央部と当接する突出当接部と、を有して構成できる。この構成によれば、プリント基板上における接触阻止部との接触面積を小さくすることが可能となり、プリント基板上により大きな電子部品を配置することが可能になる。
【0017】
本発明における接触阻止部は、ケース本体に収容されたプリント基板の表裏両主面側の主面対向壁部のうち、該プリント基板との間の隙間が小さい方の側に設けることができる。この構成によれば、主面対向壁部と、これと対面するプリント基板上の電子部品との物理接触が生じやすい側において、接触阻止部が形成されるため、無駄な接触阻止部の形成を略することができる。
【0018】
本発明におけるケース本体は樹脂製であり、主面対向壁部から該ケース本体内に向けて突出する形で接触阻止部が一体に成形されるように構成できる。この構成によれば、車両用コントローラを構成する部品点数が従来と同数のままとなるので、組み付けなどの生産性が大きく損なわれることもない。
【0019】
本発明の車両用コントローラの製造方法であって、
樹脂製のカバーとプリント基板とを固定する第一工程と、
固定されたカバーとプリント基板とを、ケース本体の開口から挿入し、該カバーと該ケース本体とを固定する第二工程と、
をこの順で備えることを特徴とする。
【0020】
特に、接触阻止部が、プリント基板に対し非接触の形でケース本体内部に延出する延出部と、該延出部から該プリント基板の中央部に向けて突出して該中央部と当接する突出当接部と、を有して構成される場合、上記製造方法が採用されれば、第一工程において、カバーとプリント基板とを固定し、続く第二工程において、それらをケース本体の開口から挿入されるから、プリント基板上における接触阻止部との接触面積を小さくすることが可能となる。つまり、上記製造法とは違って、ケース本体に対し先にプリント基板を収容した上で、接触阻止部を有するカバーを取り付ける場合、ケース本体に対しプリント基板を収容する際には、接触阻止部がプリント基板の主面上をスライドする形(こする形)となるから、プリント基板の主面においてその接触阻止部がスライドする領域全てを電子部品非配置領域としなければならない。ところが、上記製造方法のように、先にカバーにプリント基板を固定してからそのカバーをケース本体に取り付けることで、上記のようなスライドが不要となるから、プリント基板の主面上には接触阻止部がスライドする領域が存在しない。このため、プリント基板の主面上において、接触阻止部が当接する領域のみを電子部品非配置領域とすることができるから、プリント基板上により多数の電子部品を配置することが可能になる。また、スライドを伴う組み付けは作業性が悪く、さらには組み付け時に他の部位にストレスを与える可能性もあるため、スライドを伴う組み付けが無くなることで、組み付け時の作業性の悪さが改善され、他の部位にストレスを与えることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態である車両用コントローラの平面図、正面図、及び側面図。
【図2】図1の車両用コントローラのカバーの平面図、正面図、側面図、及び背面図。
【図3】図1の車両用コントローラの組み付け方法の第一例を示す図。
【図4】図1のプリント基板の底面図。
【図5】図1の車両用コントローラの組み付け方法の第二例を示す図。
【図6】図2とは異なる車両用コントローラのカバーの平面図、正面図、側面図、及び背面図。
【図7】図6のカバーを有する車両用コントローラの組み付け方法を示す図。
【図8】図6のカバーを有する車両用コントローラに収容されたプリント基板の底面図。
【図9】図1及び図6の実施形態とは異なる車両用コントローラの組み付け方法を示す図。
【図10】図1、図6、及び図9の実施形態とは異なる車両用コントローラの断面図。
【図11】従来の車両用コントローラの平面図、正面図、及び側面図。
【図12】図11の車両用コントローラの組み付け手順を示す図。
【図13】図11の車両用コントローラの断面図。
【図14】図11の車両用コントローラのカバーの平面図、正面図、側面図、及び背面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車両用コントローラの一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の自動車用コントローラの平面図(A)と正面図(B)と側面図である。図2はケース本体に取り付けられるカバーの平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)と背面図(D)である。図3は、プリント基板の収容方法を示す図であり、図4は、プリント基板の主裏面を示す図である。
【0024】
図1に示す本実施形態のコントローラ1は自動車用のコントローラであって、電子回路と共に各種電子部品51が実装されたプリント基板5と、一面をプリント基板5を収容するための開口25Hとして有する筒型のケース本体20と、ケース本体20にプリント基板5を収容した後、25H開口を塞ぐ形で該ケース本体20に固定されるカバー10と、を備えて構成される。
【0025】
ケース本体20は樹脂製であり、図1に示すように、収容されたプリント基板5の表裏両主面52,53側に、それら主面52,53と対面する主面対向壁部22,23をそれぞれ有する。また、ケース本体20は、それら主面対向壁部22,23の間に形成される基板収容空間の一方の側を、プリント基板5を収容するための開口25Hとして残す形で、残りの側を外周側壁部24で被った筒型をなす。具体的に言えば、本実施形態のケース本体20は6面を有する形で構成される直方体状をなしており、四角形状の主面を形成する主面対向壁部22,23と、1面を残して残り3面を被う細長の外周側壁部24とを有し、残り1面が基板収容用の開口として形成されている。そして、この開口25Hを塞ぐ形でカバー10が組み付けられ、ケース体20内に収容されたプリント基板5が取り出し不可の状態となる。
【0026】
カバー10は樹脂製であり、図2に示すように、ケース本体20の開口を塞ぐ本体部15を有するとともに、その本体部15には、プリント基板5のコネクタ部50を露出させるためのコネクタ露出用孔部15Hが形成される。また、本体部15の上下両側には、ケース本体20への組み付けの際に、該ケース本体20の主面対向壁部22,23の内面に対しそれぞれが摺動する板状のガイド部12,13が、主面対向壁部22,23に沿って内向き(ケース本体20の内部側)に突出する形で形成されている。
【0027】
また、カバー10は、本体部15の左右両側にて、組み付けられるケース本体20の開口25Hの左右両隣りで隣接する外周側壁部24の、開口25H側によった位置を被うよう、開口25H側に突出する係合固定部11を有する。他方、ケース本体20は、開口25Hの左右両隣りで隣接する外周側壁部24の双方において、それらの開口25H側によった位置に係合固定部21を有する。これらカバー10及びケース本体20は、互いの係合固定部11,21を係合させることにより組み付け固定状態となり、内部にプリント基板5を収容するケース体となる。
【0028】
本実施形態においては、ケース本体20の係合固定部21として、開口25Hの左右両隣りで隣接する外周側壁部24の双方において、それらの開口25H側によった位置にて外向きに突出する係合突出部21を有しており、他方、カバー10の係合固定部11として、ケース本体20の係合突出部21に対し係合する係合孔11Aを有した係合孔部11を有しており、カバー10の係合孔11A内に、ケース本体20の係合突出部21が挿通した状態となることにより、カバー10はケース本体20に係合固定された状態となる。本実施形態の係合突出部21は、開口25H側から奥側に向かって上り勾配から下り勾配へと切り替わる山型をなしているため、カバー10をケース本体20に組み付ける際には、係合孔部11に弾性変形を生じさせる形で、係合孔部11における係合孔11Aの奥側の部位にこの山型の係合突出部21を乗り越させる。乗り越えた後、係合孔部11は弾性復帰するが、この弾性復帰により、係合孔11A内にこの山型の係合突出部21を収容した状態、即ち係合孔11A内にこの山型の係合突出部21を挿通させた状態となる。これにより、カバー10はケース本体20に組み付けられた状態となる。
【0029】
プリント基板5は、図13に示す従来のものと同様、その表裏主表面52,53に、電子回路や素子等の電子部品51等を有する。また、プリント基板5の一方の外周部には外部接続用のコネクタ部50が設けられている。プリント基板5は、ケース本体20内に収容された状態において、カバー10の本体部15に設けられたコネクタ露出用孔部15Hから、コネクタ部50が外部接続用に突出している。
【0030】
また、収容されたプリント基板5は、主面対向壁部23の内面に近接対向する面53側において、実装されている電子部品51と、その主面対向壁部23の内面との間に、それらの物理接触が生じないための隙間dを有する形でケース本体20により保持されている。本実施形態においては、プリント基板5は、開口25Hからケース本体20内に収容されており、その収容方向の奥側に位置するケース本体20の外周側壁部24の内面に形成された基板固定部25Bにより、ケース本体20内に保持されている。基板固定部25Bは、ケース本体20の厚み方向(主面対向壁部22,23の対向方向)の両側から、プリント基板5の収容方向奥側の端部5B2を挟み込む形で保持(挟圧保持)する。他方、カバー10の本体部15の裏面にも基板固定部15Bが形成されており、これによりケース本体20内に収容されたプリント基板5を保持している。基板固定部15Bも、ケース本体20の厚み方向両側から、プリント基板5の収容方向手前側の端部5B1を挟み込む形で保持(挟圧保持)する。
【0031】
ところで、本実施形態においては、主面対向壁部22,23のうちの少なくとも一方である壁部と、その壁部とプリント基板(電子部品51も含む)5との間に、互いの接触を阻止するための接触阻止部14として衝立部14が介在する。これにより、その壁部と、プリント基板5(電子部品51)との接触を妨げるように構成されている。本実施形態においては、主面対向壁部22,23のうち、プリント基板5との間の隙間幅が小さい方の主面対向壁部23と、その壁部23とプリント基板5との間に、接触阻止部14が設けられている。
【0032】
接触阻止部14をなす衝立部は、主面対向壁部23の内面と、プリント基板の主面53との双方にまたがる形で延出し、それら双方の面に当接する形で配置される。本実施形態の接触阻止部14は、樹脂製のカバー10に、その本体部15の内面からケース本体20の内部に延出する形で一体に成形されている。具体的に言えば、本実施形態の接触阻止部14は、カバー10の本体部15側にてガイド部13と一体となる形で(ここではガイド部13からガイド部12に向けて突出する形で)、その本体部15の内面からケース本体20内の中央部まで延出形成された柱状の部位であり、延出形成された柱状部位の主面対向壁部23側の面143の全体が主面対向壁部23の内面と当接(面接触)し、プリント基板5側の面145の全体が、プリント基板5の主面53との双方と当接(面接触)する形である。この接触阻止部14が存在することで、樹脂ケース20の壁部23の内向きに生ずる反りが抑制され、壁部23が反ってプリント基板5上の電子部品51と物理接触することを阻止することができる。特に反りが生じ易い樹脂ケース20の主面対向壁部23側の中心部が接触阻止部14と当接していることで、その部分での反りが阻止され、周辺の電子部品51と物理接触しないようになっている。また、接触阻止部14は、単純な柱状をなしてカバー10に一体化されているので、これを成型する際、従来に比べて金型の構造をそれほど複雑化する必要もない。
【0033】
図3及び図5は、本実施形態の自動車用コントローラ1の組み立て方法(製造方法)を示すものである。
【0034】
図3の組み付け方法は、プリント基板5を、単一の樹脂射出成型体であるケース本体20の開口25Hから挿入し、ケース本体20内にプリント基板5を収容保持する第一工程と、内部にプリント基板5が収容保持されたケース本体20の開口25Hに対し、これを被う形で、単一の樹脂射出成型体であるカバー10を取り付ける第二工程と、この順で有する。
【0035】
第一工程においては(図3(A)参照)、プリント基板5を、コネクタ部50を手前側にし、その逆側からケース本体20の開口25Hから挿入していき、ケース本体20の奥にある外周側壁部24の内面に形成された基板固定部25Bに、プリント基板5の奥側(コネクタ部50の逆側)の端部5B2を保持させる。
【0036】
第二工程においては(図3(B)参照)、カバー10の内面を、内部にプリント基板5が収容保持されたケース本体20の開口25Hに向けて接近させていく。接近させていく際に、コネクタ部50をコネクタ露出用孔部15H内に挿通させ、外部に突出させる。また、接近させていく際に、カバー10の内面から延出する接触阻止部14を、プリント基板5の主面53と主面対向壁部23の内面との双方の間をスライドさせる。そして、ケース本体20の係合突出部21がカバー10の係合孔部11に対し上記したような係合状態となることで、ケース本体20とカバー10とが組み付けられ、プリント基板5を内部に収容保持した自動車用コントローラ1が完成する(図3(C)参照)。
【0037】
なお、ケース本体20とカバー10とが組み付けられる際に、プリント基板5の手前側の端部5B1は、カバー10の本体部15の内面側に設けられた基板固定部15Bにより、保持された状態となる。これにより、プリント基板5は、基板5の両主面52,53側に、対面する主面対向壁部22,23までの間に所定幅を有する隙間7,6を形成する形で、基板固定部15B,25Bとによって保持されている。この隙間の幅は、主面対向壁部22,23の反りにより可変し、特に、プリント基板5と近接する主面対向壁部23は、この反りによってプリント基板5上の電子部品51と物理接触する可能性があるが、間に接触阻止部14が介在することにより反りが抑制され、物理接触が生じないようになっている。
【0038】
また、本実施形態の接触阻止部14は、カバー10の本体部15の内面中央の主面対向壁部23側から、その内面に垂直となる方向に向けて直線状に延出する形で形成されており、カバー10は、その接触阻止部14がその直線方向に向けて、プリント基板5上及び主面対向壁部23上をスライドする形で、ケース本体20の内部に進入していく。接触阻止部14がスライドする際に接触するプリント基板5の主面53上の領域は、図4に示すように、電子部品配置不可領域(電子部品非配置領域)54とされており、回路や素子といった電子部品51が非配置とされた平坦面領域となっている。
【0039】
他方、図5の組み付け方法は、単一の樹脂射出成型体であるカバー10に対しプリント基板5を固定(組み付け保持)する第一工程と、プリント基板5が固定されたカバー10を、単一の樹脂射出成型体であるケース本体20の開口25Hから挿入し、当該カバー10をケース本体20に固定する(組み付ける)第二工程と、をこの順で有する。
【0040】
第一工程においては(図5(A)参照)、カバー10の本体部15の内面側に設けられた基板固定部15Bに、ケース本体20内への挿入先端側(奥側)とは逆の手前側の端部5B1を保持された状態とする。このとき、プリント基板5は、接触阻止部14の面145上に載る形で支えられた状態となるから、上記の基板固定部15Bによる保持状態から脱落するような負荷は生じ難く、カバー10に対し安定した保持状態を保つことができる。なお、このとき、カバー10は、プリント基板5のコネクタ部50を、本体部15のコネクタ露出用孔部15Hの内側から挿通させており、外部に突出させた状態となっている。図3の組み付け方法においては、接触阻止部14をプリント基板5の主面53に対しスライドさせていたが、ここではその必要は無い。
【0041】
第二工程においては(図5(B)参照)、上記のようにプリント基板5が固定(保持)されたカバー10の内面を、ケース本体20の開口25Hに向けて接近させていく。接近させていく際に、カバー10の内面から延出する接触阻止部14を、主面対向壁部23の内面上をスライドさせる。そして、ケース本体20の係合突出部21がカバー10の係合孔部11に対し上記したような係合状態となることで、ケース本体20とカバー10とが組み付けられ、プリント基板5を内部に収容保持した自動車用コントローラ1が完成する(図5(C)参照)。
【0042】
なお、ケース本体20とカバー10とが組み付けられる際に、プリント基板5の奥側の端部5B2は、ケース本体25の奥側の外周側壁部24の内面に設けられた基板固定部25Bにより、保持された状態となる。これにより、図3の場合と同様、プリント基板5は、基板5の両主面52,53側に、対面する主面対向壁部22,23までの間に所定幅を有する隙間7,6を形成する形で、基板固定部15B,25Bとによって保持される。
【0043】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態においては、図4に示すように、プリント基板5上の平坦な主面53において、接触阻止部14がスライド・当接する領域54は電子部品51の配置不可領域(電子部品非配置領域)とされ、残余の領域が電子部品51の配置可能領域(電子部品配置可能領域)とされている。この電子部品配置不可領域54の面積を少しでも少なくするために、図6〜図8のような実施形態としてもよい。
【0045】
図6〜図8に示す実施形態においては、上記実施形態の接触阻止部14と同様の役割を果たす接触阻止部14’が、カバー10’に設けられている。ただし、この接触阻止部14’は、カバー10’の内面からケース本体20の内部に延出し、プリント基板5’に対し非接触で、かつ主面対向壁部23に対し当接(面接触)する当接面143を有する延出部142と、その延出部142からプリント基板5’の中央部54’に向けて突出してその中央部54’に対し当接する当接面145を有する突出当接部141と、を備えて構成される。既に述べた実施形態においては、図4に示すように、この中央部からコネクタ部50側まで続く領域が全て電子部品配置不可領域54となっていたが、図6〜図8に示す実施形態においては、この中央部54’のみが電子部品配置不可領域となっているため、電子部品51の配置可能領域を増すことができる。
【0046】
なお、図6〜図8に示す実施形態において、カバー10’は、接触阻止部の構成を除けば、既に述べた実施形態のカバー10と同様に形成されている。また、プリント基板5’は、電子部品配置不可領域が既に述べた実施形態と異なっている。ケース本体20については、既に述べた実施形態と同様である。
【0047】
また、図7は、図6〜図8に示す実施形態の車両用コントローラ1’の組み付け方法であり、その内容は既に述べた実施形態の図5と同様である。図7の組み付け方法は、図5と同様、カバー10とプリント基板5’とを固定(組み付け保持)する第一工程と、プリント基板5’が固定されたカバー10を、ケース本体20の開口25Hから挿入し、当該カバー10をケース本体20に固定する(組み付ける)第二工程と、をこの順で有する。以下では、図7の組み付け方法について、図5とは異なる点を中心に説明する。
【0048】
第一工程においては(図7(A)参照)、カバー10の本体部15の内面側に設けられた基板固定部15Bに、手前側の端部5B1を保持された状態とする。このとき、プリント基板5’の主面53は、接触阻止部14における突出当接部141の当接面145上に載る形で当接した状態となる。
【0049】
第二工程においては(図7(B)参照)、上記のようにプリント基板5’が固定(保持)されたカバー10の内面を、ケース本体20の開口25Hに向けて接近させていく。接近させていく際に、接触阻止部14においてカバー10の内面から延出する延出部142の当接面(摺動面)143を、主面対向壁部23の内面上でスライドさせる。そして、ケース本体20の係合突出部21とカバー10の係合孔部11とが上記のような係合状態となることで、ケース本体20とカバー10とが組み付けられ、プリント基板5’を内部に収容保持した自動車用コントローラ1が完成する(図7(C)参照)。
【0050】
図6〜図8に示す実施形態では、図8に示すように、プリント基板5’において、裏面53の中央部54’のみが電子部品配置不可領域となっており、この中央部54’からコネクタ部50側まで続く領域は、図4とは異なり、電子部品51の配置可能領域(電子部品配置可能領域)となっている。このため、既に述べた実施形態の図3の組み付け方法では、接触阻止部14がその領域上をスライドし、その領域上にある電子部品51にあたってしまうから、これを生じないよう図5のような組み付け方法(図7参照)を採用することで、プリント基板5’の中央部54’のみを電子部品配置不可領域とすることができる。なお、電子部品配置不可領域54を既に述べた実施形態の図4と同様となるよう拡張すれば、図3の組み付け方法でもよい。
【0051】
なお、図6〜図8に示す実施形態では、接触阻止部14’が当接するプリント基板5’上の当接領域は、基板中央部の一か所のみであるが、複数個所に設けてもよい。
【0052】
上記実施形態においては、接触阻止部14,14’は、カバー10に一体に設けられているが、ケース本体20に一体に設けられていてもよい。また、部品点数は増えてしまうが、カバー10とケース本体20とは異なる別部材として設けられていてもよい。図9の(A)に示す接触阻止部140は、カバー10とケース本体20とは異なる別部材として設けられており、主面対向壁部22,23のうちの少なくとも一方の壁部23と、プリント基板5との間に介在して、壁部23とプリント基板5上の電子部品51との接触を阻止している。この場合、図9の(B)に示すように、接触阻止部140は、プリント基板5’’に設けられた中央の開口514に組み付けられる。そして、図9の(C)に示すように、このプリント基板5’’がケース本体20内に挿入されると、接触阻止部140は、プリント基板5の主面53に当接する面と、主面対向壁部23の内面と当接する面とを有する形でケース本体20内に収容され、プリント基板5の主面53上の電子部品51と、主面対向壁部23の内面との物理接触を妨げる。
【0053】
上記実施形態においては、接触阻止部14,14’は、ケース本体20に収容されたプリント基板5,5’の表裏両主面52,53側の主面対向壁部22,23のうち、プリント基板5,5’との間の隙間が小さい方の側の隙間6に設けられているが、逆側の隙間7にて、プリント基板5,5’の主面52と主面対向壁部22の内面との間に介在させる形で設けてもよい。また、図10に示す接触阻止部14A,14Bのように、ケース本体20に収容されたプリント基板5の主表面52と主面対向壁部22との間の隙間7と、プリント基板5の主裏面53と主面対向壁部23との間の隙間6との双方にそれぞれ設けてもよい。
【0054】
なお、図3、図5、図7、図9、図10、及び図13はいずれも、図1のA−Aと同じ位置を切断した断面を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用コントローラ
5 プリント基板
10 カバー
14 接触阻止部(衝立部)
20 ケース本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面上に各種電子部品が設けられたプリント基板と、前記プリント基板を収容するための開口を有する筒型のケース本体と、前記ケース本体内に前記開口から前記プリント基板を収容した後、前記開口を塞ぐ形で該ケース本体に固定されるカバーと、を備える車両用コントローラであって、
前記ケース本体は、収容された前記プリント基板の表裏両主面側に、それら主面と対面する主面対向壁部をそれぞれ有し、
前記プリント基板は、それら主面対向壁部のうちの少なくとも一方の壁部と対面するプリント基板の主面上に、前記電子部品が非配置とされた電子部品非配置領域を有し、
前記壁部と、これに対面する前記プリント基板の主面上の、前記電子部品非配置領域を除く電子部品配置可能領域の電子部品との物理接触を妨げるための接触阻止部として、当該壁部と当該電子部品非配置領域との間に、それら双方に当接する形で介在する衝立部を有することを特徴とする車両用コントローラ。
【請求項2】
前記カバーは樹脂製の樹脂カバーであり、該樹脂カバーの内面から前記ケース本体内部に延出する形で前記接触阻止部が一体に成形されている請求項1に記載の車両用コントローラ。
【請求項3】
前記接触阻止部は、接触阻止の対象となる前記主面対向壁部と当接する形で前記ケース本体内部に向けて延出形成されている請求項2に記載の車両用コントローラ。
【請求項4】
前記接触阻止部は、前記プリント基板に対し非接触の形で前記ケース本体内部に延出する延出部と、該延出部から該プリント基板の中央部に向けて突出して該中央部と当接する突出当接部と、を有する請求項3に記載の車両用コントローラ。
【請求項5】
前記接触阻止部は、前記ケース本体に収容された前記プリント基板の表裏両主面側の主面対向壁部のうち、該プリント基板との間の隙間が小さい方の側に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用コントローラ。
【請求項6】
前記ケース本体は樹脂製であり、前記主面対向壁部から該ケース本体内に向けて突出する形で前記接触阻止部が一体に成形されている請求項1に記載の車両用コントローラ。
【請求項7】
請求項2の要件を備える、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用コントローラの製造方法であって、
前記カバーと前記プリント基板とを固定する第一工程と、
固定されたカバーとプリント基板とを、前記ケース本体の開口から挿入し、該カバーと該ケース本体とを固定する第二工程と、
をこの順で備えることを特徴とする車両用コントローラの製造方法。
【請求項1】
主面上に各種電子部品が設けられたプリント基板と、前記プリント基板を収容するための開口を有する筒型のケース本体と、前記ケース本体内に前記開口から前記プリント基板を収容した後、前記開口を塞ぐ形で該ケース本体に固定されるカバーと、を備える車両用コントローラであって、
前記ケース本体は、収容された前記プリント基板の表裏両主面側に、それら主面と対面する主面対向壁部をそれぞれ有し、
前記プリント基板は、それら主面対向壁部のうちの少なくとも一方の壁部と対面するプリント基板の主面上に、前記電子部品が非配置とされた電子部品非配置領域を有し、
前記壁部と、これに対面する前記プリント基板の主面上の、前記電子部品非配置領域を除く電子部品配置可能領域の電子部品との物理接触を妨げるための接触阻止部として、当該壁部と当該電子部品非配置領域との間に、それら双方に当接する形で介在する衝立部を有することを特徴とする車両用コントローラ。
【請求項2】
前記カバーは樹脂製の樹脂カバーであり、該樹脂カバーの内面から前記ケース本体内部に延出する形で前記接触阻止部が一体に成形されている請求項1に記載の車両用コントローラ。
【請求項3】
前記接触阻止部は、接触阻止の対象となる前記主面対向壁部と当接する形で前記ケース本体内部に向けて延出形成されている請求項2に記載の車両用コントローラ。
【請求項4】
前記接触阻止部は、前記プリント基板に対し非接触の形で前記ケース本体内部に延出する延出部と、該延出部から該プリント基板の中央部に向けて突出して該中央部と当接する突出当接部と、を有する請求項3に記載の車両用コントローラ。
【請求項5】
前記接触阻止部は、前記ケース本体に収容された前記プリント基板の表裏両主面側の主面対向壁部のうち、該プリント基板との間の隙間が小さい方の側に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用コントローラ。
【請求項6】
前記ケース本体は樹脂製であり、前記主面対向壁部から該ケース本体内に向けて突出する形で前記接触阻止部が一体に成形されている請求項1に記載の車両用コントローラ。
【請求項7】
請求項2の要件を備える、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用コントローラの製造方法であって、
前記カバーと前記プリント基板とを固定する第一工程と、
固定されたカバーとプリント基板とを、前記ケース本体の開口から挿入し、該カバーと該ケース本体とを固定する第二工程と、
をこの順で備えることを特徴とする車両用コントローラの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−105767(P2013−105767A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246381(P2011−246381)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]