説明

車両用サンバイザ

【課題】操作性及び実用性に優れた、車両用の覚醒照明システムを提供する。
【解決手段】青ないし青緑色発光LEDランプ4及び制御回路を備える光源部3と、該光源部に給電するためのハーネスとを車両用サンバイザ2に内蔵する。光源部からの光が、車両天井面への固定側と反対側のサンバイザ端面から放射するように構成する。光源部を光の放射方向に沿って前後にスライド可能として運転者の目までの距離を調整する。サンバイザ端面に沿ってLEDランプを複数個配列して両眼へ光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用サンバイザに関する。詳しくは、覚醒照明機能をもつ車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
光による覚醒効果を利用して夜間走行時などの居眠りを防止する装置(覚醒照明装置)が提案されている。例えば特許文献1(実開平6−50988号公報)に開示された自動車用覚醒装置では、サンバイザ裏面(サンバイザの収容時に天井面に対向する面)にLEDを配置することによってサンバイザ裏面から光を放射し、運転者の覚醒を促す。また、特許文献2(特開2006−27533号公報)には、天井内に光源ユニットを配設するとともに、回転軸を介して回動自在な反射ミラーを併用した覚醒照明装置が開示されている。当該覚醒照明装置では反射ミラーによる反射光が運転者に照射する。一方、青ないし青緑色の光に高い覚醒効果があることが明らかになりつつある(例えば特許文献3を参照)。
【特許文献1】実開平6−50988号公報
【特許文献2】特開2006−27533号公報
【特許文献3】特開2007−331572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の覚醒照明装置の場合、天井面に対して回動自在に取り付けられた部材(特許文献1の場合はサンバイザであり、特許文献2の場合は反射ミラー)において運転者に対向する面から又は面を介して光が運転者に照射する。このような構成では光軸を運転者に向けることが困難であり、操作性が悪い。そのため、高い覚醒効果を得ることが困難な場合も生ずる。また、図5に示すように実用可動域(効果的に光を照射可能な範囲)が狭く、運転者の目の高さによっては所望の覚醒効果を発揮させることができない。また、発光部から運転者までの距離が遠いことから、効果的に光を照射することができず、しかも光漏れが多い。
そこで本発明は、操作性及び実用性に優れた、車両用の覚醒照明システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成からなる。即ち、
青ないし青緑色発光LEDランプ及び制御回路を備える光源部と、該光源部に給電するためのハーネスとを内蔵し、該光源部からの光が、車両天井面への固定側と反対側の端面から放射することを特徴とする、車両用サンバイザである。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、覚醒効果に優れた青ないし青緑色の光がサンバイザ端面(車両天井面への固定側と反対側の端面)から放射する。従って、使用時、即ち覚醒効果を得る際にはサンバイザ端面(先端)を目に向ければよい。このように操作性が格段に向上し、高い覚醒効果が得やすくなる。また、実用可動域が広がり、覚醒効果をもたらすことが可能な対象(運転者)の幅が広がる(図4を参照)。即ち、目の位置の高い運転者や目の位置の低い運転者に対しても高い覚醒効果を発揮させることができる。さらには、発光部が運転者に近接し、光漏れを抑えつつ、照度の高い光を照射することができる。このように本発明は、操作性及び実用性に極めた優れた覚醒照明システムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の車両用サンバイザは光源部を内蔵する。サンバイザに光源部を組み込むことによって、サンバイザ内のスペースを有効に活用できる。また、天井などに組み込む場合に比較して周囲への影響が少なくなる(ハーネスの引き回しのみで覚醒照明システムを搭載できる)。
【0007】
光源部は青ないし青緑色発光LEDランプ及び制御回路を備える。LEDランプのタイプは任意である。例えば砲弾型、表面実装型(SMDタイプ)のLEDランプを用いる。支持体にLEDチップが直接実装された状態(いわゆるチップ・オン・ボード)のLEDランプを用いることにしてもよい。
【0008】
LEDランプは覚醒効果に優れる青ないし青緑色の光を放射する。LEDランプの発光波長ピークは好ましくは455nm〜510nmであり、更に好ましくは490nm〜510nmであり、最も好ましくは約500nmである。
【0009】
指向角の小さいLEDランプを採用することが好ましい。高い覚醒効果を奏しつつ、車外への光漏れを少なくするためである。指向角の小さいLEDランプとして、例えばその指向角が5°〜30°の範囲にあるLEDランプを採用することができる。尚、指向角が異なる2種類以上のLEDランプを併用することもできる。
【0010】
LEDランプの使用数は特に限定されないが、好ましくは高い覚醒効果が得られるように複数個のLEDランプを使用する。その場合、光出射面となるサンバイザ端面に沿って一列又は複数列をなして配列するようにLEDランプを配置するとよい。このように線状にLEDランプを配列すれば線状の光が生成し、運転者の目に向けて光を照射し易くなる。また、両眼への光の照射が容易になる。
【0011】
本発明の一形態は、光源部を光の放射方向に沿って前後にスライド可能にするスライド機構を備える。この特徴を備えることによって、光源部から運転者の目までの距離を調整することが可能になり、より効果的に光を照射できるようになる。スライド機構は特に限定されない。例えば、スライド部材と、サンバイザ本体に固定されたガイド部材を組み合わせたスライド機構を採用できる。この場合には、光源部への給電に用いられるハーネスが、当該スライド部材を通って光源部に接続されるように構成するとよい。ハーネスの保護及びスペースの節約のためである。
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。実施例の車両用サンバイザ1を図1(斜視図)に示す。車両用サンバイザ1の内部の構造を図2(部分透過図)に示す。車両用サンバイザ1は、通常の機能(光の遮蔽)に加えて覚醒照明機能を備える。
【0013】
車両用サンバイザ1はサンバイザ本体2に光源部3を内蔵する。光源部3はサンバイザ本体2に固定されている。光源部3は2列に配置されたLEDランプ4と点灯制御回路(図示せず)を備える。LEDランプ4はIII族窒化物系化合物半導体からなるLEDチップを用いた表面実装型LEDランプであり、青緑色の光(主発光ピーク波長が約500nm)を出射する。LEDランプ4の指向角は約7°である。この例では合計20個のLEDランプ4を使用している。図1に示す通り、天井面への固定側と反対側のサンバイザ端面2aにLEDランプ4の光出射面が位置する。サンバイザ端面2aにはLEDランプ4の点灯用のスイッチ6が備えられている。
【0014】
車両用サンバイザ1はスライド機構を備える。スライド機構はスライド部5とガイド7からなる。ガイド7はサンバイザ本体2に固定されている。スライド部5はガイド7を介してサンバイザ本体2に接続されることになる。このスライド機構によって、ロックが解除された状態のときには、サンバイザ本体2を(それに固定された光源部3とともに)手前に引き出すことが可能になる。光源部3に給電するためのハーネス9はスライド部5を通って光源部3に接続されている。これによってハーネスが保護され、またスペースの節約になる。
【0015】
車両用サンバイザ1はステー10を利用して天井面に取り付けられる。ステー10はスライド部5に回動自在に固定されている。
【0016】
次に、覚醒照明機能を使用する場合の車両用サンバイザ1の使用方法を説明する(図3)。まず、車両用サンバイザ1を回動させ、サンバイザ端面2aを運転者の目に向ける(図3b。高さ及び方向の調整)。続いてスイッチ6を操作してLEDランプ4を点灯させる。これによって各LEDランプ4から青緑色の光が出射し、線状の光が生成する。その結果、覚醒効果の高い青緑色の光が運転者の目に照射し、高い覚醒効果を奏する。サンバイザ端面2aから目のまでの距離が遠い場合には、LEDランプ4を点灯する前又は後に、ロック解除ボタン8を押してロックを解除し、サンバイザ本体2を手前に引き出して距離を調整する(図3c)。これによって、より効果的に光を照射できるようになる。使用後は、スイッチ6を操作してLEDランプ4を消灯させた後、サンバイザ本体2を回動させて収納状態に戻す。
【0017】
以上の説明の通り、覚醒照明機能を使用する際には車両用サンバイザ1の先端である端面2aを目に向ければよく、最適な位置への調整が容易である。このように車両用サンバイザ1は操作性に優れた覚醒照明システムを提供する。また、サンバイザ端面2aから光を放射することにした結果、覚醒照明システムとしての車両用サンバイザ1の実用可動域は広い(図4を参照)。即ち、目の位置の高い運転者や目の位置の低い運転者に対しても高い覚醒効果をもたらすことが可能な実用性の高い覚醒照明システムとなる。一方、スライド機構を内蔵したことによって、必要に応じて距離の調整が可能である。その結果、効果的な光の照射ができ、覚醒効果が向上する。また、図4に示す通り発光部(サンバイザ端面2a)が運転者に近接することに加え、狭指向角のLEDランプを使用して光の広がりを抑えたことによって、覚醒作用に利用されない光(車外へ漏れる光など)が大幅に低減し、且つ照度の高い光が運転者の目に照射することになる。
【0018】
以上の実施例では、スイッチ6を操作するとLEDランプ4が連続点灯するようにしたが、例えば点滅するなど、連続点灯以外にも様々な点灯態様を採用可能である。また、スイッチの操作によってLEDランプの単純な点灯制御(点灯と消灯の切り換え)を行うのではなく、複数の点灯モードから点灯状態を選択できるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の車両用サンバイザは、サンバイザとしての通常の機能に加えて、眠気対策等に用いられる覚醒照明機能をもつ。覚醒照明機能は、例えば眠気を感じたとき或いは運転前に使用される。また、集中力向上や気分転換の目的で覚醒照明機能を使用するという態様も想定される。
【0020】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例の車両用サンバイザ1を示す斜視図。
【図2】車両用サンバイザ1の内部構造を示す部分透過図。
【図3】車両用サンバイザ1の使用方法を説明する斜視図。
【図4】車両用サンバイザ1の実用可動域を示す模式断面図。
【図5】従来の覚醒照明装置の実用可動域を示す模式断面図。
【符号の説明】
【0022】
1 車両用サンバイザ
2 サンバイザ本体
2a サンバイザ端面
3 光源部
4 青緑色LEDランプ
5 スライド部
6 スイッチ
7 ガイド
8 ロック解除ボタン
9 ハーネス
10 ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青ないし青緑色発光LEDランプ及び制御回路を備える光源部と、該光源部に給電するためのハーネスとを内蔵し、該光源部からの光が、車両天井面への固定側と反対側の端面から放射することを特徴とする、車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記光源部を光の放射方向に沿って前後にスライド可能にするスライド機構を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記スライド機構が、スライド部材と、サンバイザ本体に固定されたガイド部材を備え、前記ハーネスが該スライド部材を通って前記光源部に接続されている、請求項1又は2に記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記LEDランプのピーク波長が490nm〜510nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
前記光源部が複数個の前記LEDランプを備え、該複数個のLEDランプが前記端面に沿って一列又は複数列をなして配列していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項6】
前記LEDランプの指向角が5°〜30°である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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