車両用シートフレーム
【課題】重量の増加を防止し、強度を確保することができる車両用シートフレームを提供する。
【解決手段】シートバックフレームのバックセンタフレーム23は、中空かつ四角柱状をなしている。連結部材32は、円筒状の外周円筒部33と、外周円筒部33の軸方向一端から内側に突出する天井部34と、外周円筒部33の軸方向他端から外側に突出するフランジ部35とを有している。連結部材32の天井部34がバックセンタフレーム23の一方の側板部23aの内側面に固着され、フランジ部35の外周円筒部33側の面がバックセンタフレーム23の他方の側板部23bの外側面に固着され、フランジ部35の外周円筒部33側と反対の面がリクライナ30を介してブラケット14に連結されている。
【解決手段】シートバックフレームのバックセンタフレーム23は、中空かつ四角柱状をなしている。連結部材32は、円筒状の外周円筒部33と、外周円筒部33の軸方向一端から内側に突出する天井部34と、外周円筒部33の軸方向他端から外側に突出するフランジ部35とを有している。連結部材32の天井部34がバックセンタフレーム23の一方の側板部23aの内側面に固着され、フランジ部35の外周円筒部33側の面がバックセンタフレーム23の他方の側板部23bの外側面に固着され、フランジ部35の外周円筒部33側と反対の面がリクライナ30を介してブラケット14に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションを支持するシートクッションフレームと、シートバックを支持するシートバックフレームと、シートクッションに対してシートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備えた車両用シートフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示すように、シートクッション90を支持するシートクッションフレーム110と、シートバック91を支持するシートバックフレーム120と、シートクッション90に対してシートバック91を回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナ140と、シートバックフレーム120の上端に設けられたショルダベルトアンカ130とを備えた車両用シートフレームが知られている(例えば、特許文献1記載の車両用シートフレーム)。シートバックフレーム120の両側にはバックサイドフレーム121、122が配置され、中央部には中空かつ四角柱状をなすバックセンタフレーム123が配置されている。また、シートクッションフレーム110の両側にはクッションサイドフレーム111、112が配置され、中央部にはクッションセンタフレーム113が配置されている。バックセンタフレーム123の下部には厚板からなるアッパアーム124がボルトで締結され、クッションセンタフレーム113の上部には厚板からなるロアアーム114がボルトで締結されている。そして、アッパアーム124とロアアーム114との間には、アッパアーム124とロアアーム114とを回動可能に連結するリクライナ140が設けられている。
【0003】
また、シートバックフレーム120にはリトラクタ150が取付けられ、ショルダベルト部151aとラップベルト部151bとからなるシートベルト151の一端がリトラクタ150に巻き取られるようになっている。シートベルト151の他端はクッションセンタフレーム113に取付けられたアンカプレート115に固着され、シートベルト151の中間部はタングプレート152に挿通されている。このタングプレート152は、クッションサイドフレーム111に取付けられたバックル116に着脱可能にされている。なお、この車両用シートフレームは2人用のシートフレームであり、一方のシートのシートベルトについては説明を省略する。
【0004】
この車両用シートフレームでは、車両が急減速状態になるとシートベルト151がロックし、乗員の安全が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−59770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の車両用シートフレームでは、リトラクタがシートバックフレームに取付けられていることから、車両が急減速状態になってシートベルトがロックすると、ショルダベルトアンカに大きな荷重が加えられる。このような場合、発明者の実験によって、バックセンタフレームとアッパアームとの締結部において断面が急激に変化することから、この締結部に負荷が集中し、締結部が最も変形し易いことが明確になった。
【0007】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、重量の増加を防止し、強度を確保することができる車両用シートフレームを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る車両用シートフレームの特徴は、シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、円筒状の外周円筒部と、該外周円筒部の軸方向一端から内側に突出する天井部と、該外周円筒部の軸方向他端から外側に突出するフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを連結する連結部材を備え、前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部が固着され、且つ他方の前記側板部の外側面に前記フランジ部の前記天井部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の前記天井部側と逆側の面が、連結対象である前記シートバックフレーム又は前記シートクッションフレームに固着されることである。
【0009】
請求項2に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項1において、前記シートバックフレームには、シートベルトの一端を支承するショルダベルトアンカが設けられていることである。
【0010】
請求項3に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項1又は2において、前記連結部材の前記フランジ部には、前記リクライナが取付けられ、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとが該リクライナを介して連結されることである。
【0011】
請求項4に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項3において、前記連結部材の前記天井部は円環状をなし、該天井部の内周に収容される円筒状の内周円筒部が一体として設けられ、該内周円筒部の軸方向他端は前記リクライナに固着されることである。
【0012】
請求項5に係る車両用シートフレームの特徴は、シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、それら側壁部の先端から前記側板部のうちの他方とそれぞれ平行に延びるフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記フランジ部の基端部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の先端部側面に前記リクライナが固着されることである。
【0013】
請求項6に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項5において、前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記フランジ部側に傾斜して延びる傾斜部を有することである。
【0014】
請求項7に係る車両用シートフレームの特徴は、シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、前記天井部の基端部から先端部に延在して一体として凹設された凹部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記凹部が固着されるとともに、前記凹部の先端部側面に前記リクライナが固着されることである。
【0015】
請求項8に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項7において、前記連結部材の前記凹部は、基端部側に凹設された第1凹部と、該第1凹部から前記天井部側に突出する段差と、該段差に連続して先端部側に凹設された第2凹部とからなり、前記第2凹部には複数の嵌合孔が同心円状に貫設され、前記リクライナには前記嵌合孔に嵌合して前記連結部材に対する前記リクライナの回動を規制する複数の嵌合突起が突設され、前記リクライナと前記側壁部の先端部側とが固着されることである。
【0016】
請求項9に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項7又は8において、前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記リクライナ側に傾斜して延びる傾斜部を有することである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る車両用シートフレームにおいては、シートクッションフレーム又はシートバックフレームの少なくとも一方が中空かつ四角柱状をなし、シートクッションフレームとシートバックフレームとを連結する連結部材は、円筒状の外周円筒部と、外周円筒部の軸方向一端から内側に突出する天井部と、外周円筒部の軸方向他端から外側に突出するフランジ部とを有している。そして、連結部材は、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)の対向する側板部のうちの一方の側板部の内側面に天井部が固着され、且つ他方の側板部の外側面にフランジ部の天井部側面が固着されるとともに、フランジ部の天井部側と逆側の面が、連結対象であるシートクッションフレーム(シートバックフレーム)に固着される。このように、薄肉のシートバックフレーム(シートクッションフレーム)が長手方向に延長され、その部分において連結部材によりシートクッションフレームとシートバックフレームとが連結されるため、重量の増加を防止できるのみならず、シートクッションフレームとシートバックフレームとの接続部の断面が急激に変化することがない。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。なお、天井部に固着されるシートバックフレーム(シートクッションフレーム)の位置から軸心までの距離は、フランジ部に固着されるシートクッションフレーム及びシートバックフレームの位置から軸心までの距離と異なっているため、負荷がシートバックフレーム(シートクッションフレーム)の長手方向に垂直な同一断面上に集中することがなく、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)の強度を増すことができる。
【0018】
請求項2に係る車両用シートフレームにおいては、シートバックフレームにシートベルトの一端を支承するショルダベルトアンカが設けられているため、車両が急減速状態になるとショルダベルトからショルダベルトアンカを介してシートバックフレームに大きな荷重が加わる。そのため、この車両用シートフレームでは、強度を確保する効果がさらに大きいものとなる。
【0019】
請求項3に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材のフランジ部にはリクライナが取付けられ、シートクッションフレームとシートバックフレームとがリクライナを介して連結されるため、他の位置にリクライナを取付ける場合と比較して、シートクッションフレーム及びシートバックフレームの断面変化が少なくなり、より強度を確保することができる。また、必要な部材も少なくなり、重量の増加を防止できる。
【0020】
請求項4に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材の天井部は円環状をなし、天井部の内周には円筒状の内周円筒部が一体として設けられている。そして、この内周円筒部の軸方向他端はリクライナに固着されるため、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)とリクライナとが強固に固着され、シートクッションフレームとシートバックフレームとが強固に固着される。
【0021】
請求項5に係る車両用シートフレームにおいては、シートクッションフレーム又はシートバックフレームの少なくとも一方が中空かつ四角柱状をなし、シートクッションフレームとシートバックフレームとをリクライナを介して連結する連結部材は、側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、それら側壁部の先端から側板部のうちの他方とそれぞれ平行に延びるフランジ部とを有している。そして、連結部材は、対向する側板部のうちの一方の側板部の内側面に天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の側板部の内側面にフランジ部の基端部側面が固着されるとともに、フランジ部の先端部側面にリクライナが固着される。このように、連結部材の基端部側がシートバックフレーム(シートクッションフレーム)に収容されて固着され、連結部材の先端部側がリクライナを介してシートクッションフレーム(シートバックフレーム)に連結されているため、シートクッションフレームとシートバックフレームとの接続部の断面が急激に変化することがない。また、断面略コ字状をした連結部材を用いているため、重量の増加を防止できる。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0022】
請求項6に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材の前記天井部が平行部から先端部側に向かってフランジ部側に傾斜して延びる傾斜部を有するため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【0023】
請求項7に係る車両用シートフレームにおいては、シートクッションフレーム又はシートバックフレームの少なくとも一方が中空かつ四角柱状をなし、シートクッションフレームとシートバックフレームとをリクライナを介して連結する連結部材は、側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、天井部の基端部から先端部に延在して凹設された凹部とを有している。そして、連結部材は、対向する側板部のうちの一方の側板部の内側面に天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の側板部の内側面に凹部が固着されるとともに、凹部の先端部側面にリクライナが固着される。このように、連結部材の基端部側がシートバックフレーム(シートクッションフレーム)に収容されて固着され、連結部材の先端部側がリクライナを介してシートクッションフレーム(シートバックフレーム)に連結されているため、シートクッションフレームとシートバックフレームとの接続部の断面が急激に変化することがない。また、連結部材の天井部と凹部とが一体として形成されているため、重量の増加を防止できる。さらに、一方の側板部の内側面に天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の側板部の内側面に凹部が固着されるため、負荷に対して強固である。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0024】
請求項8に係る車両用シートフレームにおいては、第2凹部に同心円状に貫設された複数の嵌合孔と、リクライナに突設された嵌合突起とが嵌合して、連結部材に対するリクライナの回動を規制する上、リクライナと側壁部の先端部側とが固着されるため、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)とリクライナとが強固に固着され、シートクッションフレームとシートバックフレームとが強固に固着される。
【0025】
請求項9に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材の天井部が平行部から先端部側に向かってリクライナ側に傾斜して延びる傾斜部を有するため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1〜3の車両用シートフレームの斜視図。
【図2】実施形態1の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の分解斜視図。
【図3】実施形態1の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の拡大図。
【図4】実施形態1の車両用シートフレームに係り、図3におけるIV−IV矢視断面図。
【図5】実施形態2の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の分解斜視図。
【図6】実施形態2の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の拡大図。
【図7】実施形態2の車両用シートフレームに係り、図6におけるVII−VII矢視断面図。
【図8】実施形態2の車両用シートフレームに係り、図6におけるVIII−VIII矢視断面図。
【図9】実施形態2の車両用シートフレームに係り、図6におけるIX−IX矢視断面図。
【図10】実施形態3の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の分解斜視図。
【図11】実施形態3の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の拡大図。
【図12】実施形態3の車両用シートフレームに係り、図11におけるXII−XII矢視断面図。
【図13】実施形態3の車両用シートフレームに係り、図11におけるXIII−XIII矢視断面図。
【図14】従来の車両用シートフレームの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る車両用シートフレームを具体化した実施形態1〜3を図面に基づいて以下に説明する。実施形態1の車両用シートフレームは、図1に示すように、シートクッション90を支持するシートクッションフレーム10と、シートバック91を支持するシートバックフレーム20と、シートクッション90に対してシートバック91を回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナ30と、シートバックフレーム20の上端に設けられたショルダベルトアンカ27とを備えている。ショルダベルトアンカ27は、ジョイント部27aとベルトガイド部27bとからなっている。
【0028】
シートバックフレーム20の両端にはバックサイドフレーム21、22が配置され、中央部には中空かつ四角柱状をなすバックセンタフレーム23が配置されている。両バックサイドフレーム21、22の上端部はアッパパイプ24により連結され、アッパパイプ24の中央部とバックセンタフレーム23の上端部とはジョイント部27aにより連結されている。このジョイント部27aは、後述するショルダベルト部51aを保護する役目も果たしている。ジョイント部27aの上部には、ショルダベルト部51aの送り出し及び巻き取りを案内するベルトガイド部27bが設けられている。また、シートクッションフレーム10の両端にはクッションサイドフレーム11、12が配置され、中央部にはクッションセンタフレーム13が設けられている。クッションセンタフレーム13の上部には厚板からなるブラケット14がボルトで締結されている。そして、バックセンタフレーム23とブラケット14との間には、バックセンタフレーム23とブラケット14とを回動可能に連結するリクライナ30が設けられている。このリクライナ30は、バックサイドフレーム22に設けられたリクライナ17と連結軸18により連結されている。
【0029】
また、シートバックフレーム20にはリトラクタ50が取付けられ、ショルダベルト部51aとラップベルト部51bとからなるシートベルト51の一端がリトラクタ50に巻き取られるようになっている。シートベルト51の他端はクッションセンタフレーム13に取付けられたアンカプレート15に固着され、シートベルト51の中間部はタングプレート52に挿通されている。このタングプレート52は、クッションサイドフレーム11に取付けられたバックル16に着脱可能にされている。なお、シートベルト51のうち、リトラクタ50からタングプレート52までをショルダベルト部51aといい、タングプレート52からアンカプレート15までをラップベルト部51bという。
【0030】
図2は、バックセンタフレーム23とブラケット14との接続部の分解斜視図である。バックセンタフレーム23は、1枚の薄肉の鋼板を折り曲げて溶接等により四角柱状に接合したものであり、対向する側板部23a、23bは、ブラケット14との接続部(図下方)に向かって幅広になっている。側板部23aには連結軸18が貫通する軸孔24が設けられ、側板部23bには連結部材32をバックセンタフレーム23内に収容して取付ける取付孔25が軸孔24と同軸に設けられている。
【0031】
連結部材32は、外周円筒部33、天井部34、フランジ部35及び内周円筒部36を有している。外周円筒部33は円筒状をなし、外周円筒部33の軸方向一端から円環状の天井部34が内側に突出して設けられている。この天井部34の内周には、円筒状の内周円筒部36が一体として設けられ、内周円筒部36は外周円筒部33に同軸に収容されている。また、外周円筒部33の軸方向他端からフランジ部35が外側に突出して設けられている。連結部材32とブラケット14との間には、連結部材32とリクライナ30との取付けを容易にする円環状の取付ピース31と、リクライナ30が配置されている。
【0032】
図3及び図4は、バックセンタフレーム23とブラケット14との取付け部の拡大図及び断面図である。連結部材32は、取付孔25からバックセンタフレーム23内に挿入され、天井部34がバックセンタフレーム23の側板部23aに全周に亘って溶接により接合されている。また、連結部材32のフランジ部35は、外周円筒部33側の面がバックセンタフレーム23の側板部23bに全周に亘って溶接により接合され、外周円筒部33と反対の面が取付ピース31に全周に亘って溶接により接合されている。これにより、フランジ部35の外周円筒部33と反対側の面が、シートクッションフレーム10に固着されることとなる。さらに、連結部材32の内周円筒部36の他端36aがリクライナ30に全周に亘って溶接により接合されている。リクライナ30は、取付ピース31及びブラケット14に嵌合されている。このような構造により、バックセンタフレーム23とブラケット14とがリクライナ30を介して回動可能に連結される。なお、リクライナ30の構造は公知のものであり、その説明を省略する。
【0033】
実施形態1に係る車両用シートフレームにおいては、中空かつ四角柱状をなす薄肉のバックセンタフレーム23が長手方向に延長され、延長された部分において連結部材32によりバックセンタフレーム23とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とが回動可能に連結されるため、重量の増加を防止できるのみならず、バックセンタフレーム23とブラケット14との接続部の断面が急激に変化することがない。したがって、実施形態1の車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。なお、天井部34に固着されるバックセンタフレーム23の側板部23aの位置から軸心までの距離は、フランジ部35に固着されるバックセンタフレーム23の側板部23bの位置から軸心までの距離と異なっているため、負荷がバックセンタフレーム23の長手方向に垂直な同一断面上に集中することがなく、バックセンタフレーム23の強度を増すことができる。
【0034】
また、この車両用シートフレームにおいては、連結部材32のフランジ部35には取付ピース31を介してリクライナ30が取付けられ、バックセンタフレーム23とクッションセンタフレーム13とがリクライナ30を介して連結されるため、他の位置にリクライナ30を取付ける場合と比較して、バックセンタフレーム23とクッションセンタフレーム13との断面変化が少なくなり、より強度を確保することができる。また、必要な部材も少なくなり、重量の増加を防止できる。ただし、バックセンタフレーム23とブラケット14とを連結部材32により固着し、ブラケット14とクッションセンタフレーム13とをリクライナ30を介して連結してもよい。
【0035】
さらに、この車両用シートフレームにおいては、連結部材32の天井部34は円環状をなし、天井部34の内周には外周円筒部33に同軸に収容される円筒状の内周円筒部36が一体として設けられている。そして、この内周円筒部36の軸方向他端36aはリクライナ30に固着されるため、バックセンタフレーム23とリクライナ30とが強固に固着され、バックセンタフレーム23とブラケット14(クッションセンタフレーム13)とが強固に連結される。
【0036】
なお、実施形態1においては、シートバックフレーム20の上端にショルダベルトアンカ27が設けられているが、このような車両用シートフレームに限らず、車体にショルダベルトアンカが設けられた車両用シートフレームであってもよい。
また、実施形態1においては、連結部材32の内周円筒部36が外周円筒部33に同軸に収容されているが、内周円筒部36と外周円筒部33とは同軸でなくてもよい。
【0037】
次に、実施形態2の車両用シートフレームの構造について説明する。実施形態2の車両用シートフレームの主な機械的構成は、図1に示す実施形態1の車両用シートフレームと同様であり、同一の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0038】
図5は、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の分解斜視図である。バックセンタフレーム40は、1枚の薄肉の鋼板を折り曲げて溶接等により四角柱状に接合したものであり、対向する側板部40a、40bは、ブラケット14との接続部(図下方)に向かって幅広になっている。
【0039】
連結部材42は、天井部43、側壁部44、フランジ部45及び円筒部46を有している。天井部43は、側板部40aと平行に延びる長方形状の平行部43aと、平行部43aから先端部側に向かってフランジ部45側に傾斜して延在する傾斜部43bとからなっている。側壁部44は、天井部43の両側縁からそれぞれ垂直に延び、基端部側から先端部側に向かって幅狭となっている。ただし、天井部43の基端部側の一辺には側壁部44が設けられていない。側壁部44の先端からは、フランジ部45が側板部40bと平行に外側に延びている。また、天井部43の傾斜部43bには、連結軸18が貫通する軸孔43cが設けられている。この軸孔43c周面には、フランジ部45に対して垂直であって、フランジ部45の方向に延びる円筒状の円筒部46が一体として設けられている。
【0040】
図6乃至図9は、バックセンタフレーム40とブラケット14との取付け部の拡大図及び断面図である。図6及び図7に示すように、連結部材42の基端部側がバックセンタフレーム40に収容され、側板部40aと平行部43a、及び側板部40bと基端部側のフランジ部45が溶接により接合されている。また、図8及び図9に示すように、連結部材42の先端部側のフランジ部45が取付ピース31に溶接により接合され、円筒部46の他端46aがリクライナ30に全周に亘って溶接により接合されている。リクライナ30は、取付ピース31及びブラケット14に嵌着されている。このような構造により、バックセンタフレーム40とブラケット14とがリクライナ30を介して回動可能に連結される。なお、リクライナ30の構造は公知のものであり、その説明を省略する。
【0041】
実施形態2に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材42の基端部側が中空かつ四角柱状をなす薄肉のバックセンタフレーム40に収容されて固着され、連結部材42の先端部側とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とがリクライナ30を介して回動可能に連結されるため、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の断面が急激に変化することがない。また、断面が略コ形をした連結部材42を用いているため、重量の増加を防止できる。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0042】
また、この車両用シートフレームにおいては、天井部43が平行部43aから先端部側に向かってフランジ部45側に傾斜して延びる傾斜部43bを有している(側壁部44が基端部側から先端部側に向かって幅狭となっている)ため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【0043】
なお、実施形態2においては、シートバックフレーム20の上端にショルダベルトアンカ27が設けられているが、実施形態1と同様、このような車両用シートフレームに限らず、車体にショルダベルトアンカが設けられた車両用シートフレームであってもよい。また、実施形態2においては、連結部材42の天井部43が平行部43aと傾斜部43bとを有しているが、必ずしも傾斜部43bを有している必要はない。さらに、実施形態2においては、連結部材42の側壁部44の先端からフランジ部45が側板部40bと平行に外側に延びているが、フランジ部45が側板部40bと平行に内側に延びていてもよい。
【0044】
次に、実施形態3の車両用シートフレームの構造について説明する。実施形態3の車両用シートフレームの主な機械的構成は、図1に示す実施形態1の車両用シートフレームと同様であり、同一の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0045】
図10は、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の分解斜視図である。バックセンタフレーム40は、1枚の薄肉の鋼板を折り曲げて溶接等により四角柱状に接合したものであり、対向する側板部40a、40bは、ブラケット14との接続部(図下方)に向かって幅広になっている。
【0046】
連結部材60は、一枚の板状鋼材からプレスにより成形され、天井部63、側壁部64及び凹部65を有している。天井部63は、側板部40aと平行に延びる平行部63aと、平行部63aから先端部側に向かってブラケット14に嵌着されたリクライナ30側に傾斜して延在する傾斜部63bとからなっている。側壁部64は、天井部63の両側縁からそれぞれ垂直に延び、第1側壁部64aと弟2側壁部64bとからなっている。ただし、傾斜部63bの基端部側であって、両側の第1側壁部64aの端を結ぶ一辺には側壁部64が設けられていない。
【0047】
第1側壁部64aは平行部63aから直角に屈曲して延出し、弟2側壁部64bは平行部63aの一部及び傾斜部63bから直角に屈曲して延出している。また、第1側壁部64aは弟2側壁部64bより幅広である。弟2側壁部64bは、両側の第1側壁部64aから先端部側に向かって幅狭となって延出し、先端部で円弧状に屈曲して接続されている。
【0048】
天井部63の基端部から先端部にかけて凹部65が凹設されている。凹部65は、基端部側に凹設された第1凹部66と、第1凹部66から天井部63側に突出する段差67と、段差67に連続して先端部側に凹設された第2凹部68とからなっている。第2凹部68には連結軸18が貫通する軸孔68aが貫設され、軸孔68aの周りには複数の嵌合孔68bが同心円状に貫設されている。また、リクライナ30には、嵌合孔68bに嵌合する嵌合突起30aが同心円状に突設されている。
【0049】
図11乃至図13は、バックセンタフレーム40とブラケット14との取付け部の拡大図及び断面図である。図11及び図12に示すように、連結部材60の基端部側がバックセンタフレーム40に収容され、側板部40aと平行部63a、及び側板部40bと第1凹部66が溶接により接合されている。
【0050】
また、図13に示すように、連結部材60の第2凹部68に同心円状に貫設された嵌合孔68bには、リクライナ30に突設された嵌合突起30aが嵌合されている。これにより、連結部材60に対するリクライナ30の回動が規制される。また、弟2側壁部64bとリクライナ30との当接部が溶接により接合されている。リクライナ30はブラケット14に嵌着されている。このような構造により、バックセンタフレーム40とブラケット14とがリクライナ30を介して回動可能に連結される。なお、リクライナ30の構造は公知のものであり、その説明を省略する。
【0051】
実施形態3に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材60の基端部側が中空かつ四角柱状をなす薄肉のバックセンタフレーム40に収容されて固着され、連結部材60の先端部側とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とがリクライナ30を介して回動可能に連結されるため、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の断面が急激に変化することがない。また、連結部材60の天井部63と凹部65とが一体として形成されているため、重量の増加を防止できる。さらに、一方の側板部40aの内側面に天井部63の基端部側面(平行部63a)が固着され、且つ他方の側板部40bの内側面に凹部65(第1凹部66)が固着されるため、負荷に対して強固である。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0052】
また、この車両用シートフレームにおいては、第2凹部68に同心円状に貫設された複数の嵌合孔68bと、リクライナ30に突設された嵌合突起30aとが嵌合して、連結部材60に対するリクライナ30の回動を規制する上、リクライナ30と側板部40bの先端部側とが固着されるため、バックセンタフレーム40とリクライナ30とが強固に固着され、バックセンタフレーム40とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とが強固に固着される。
【0053】
さらに、この車両用シートフレームにおいては、連結部材60の天井部63が平行部63aから先端部側に向かってリクライナ30側に傾斜して延びる傾斜部63bを有する(第2側壁部64bが基端部側から先端部側に向かって幅狭となっている)ため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【0054】
なお、実施形態3においては、シートバックフレーム20の上端にショルダベルトアンカ27が設けられているが、実施形態1、2と同様、このような車両用シートフレームに限らず、車体にショルダベルトアンカが設けられた車両用シートフレームであってもよい。また、実施形態3においては、連結部材60の天井部63が平行部63aと傾斜部63bとを有しているが、必ずしも傾斜部63bを有している必要はない。
【0055】
以上において、本発明の車両用シートフレームを実施形態1〜3に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明による車両用シートフレームは、シートクッションに対してシートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナを備えた車両用シートに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0057】
10…シートクッションフレーム、20…シートバックフレーム、27…ショルダベルトアンカ、30…リクライナ、30a…嵌合突起、23a、23b、40a、40b…側板部、32、42、60…連結部材、33…外周円筒部、36…内周円筒部、34、43、63…天井部、43a、63a…平行部、43b、63b…傾斜部、35、45…フランジ部、44、64…側壁部、65…凹部、66…第1凹部、67…段差、68…第2凹部、68b…嵌合孔、90…シートクッション、91…シートバック。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションを支持するシートクッションフレームと、シートバックを支持するシートバックフレームと、シートクッションに対してシートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備えた車両用シートフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示すように、シートクッション90を支持するシートクッションフレーム110と、シートバック91を支持するシートバックフレーム120と、シートクッション90に対してシートバック91を回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナ140と、シートバックフレーム120の上端に設けられたショルダベルトアンカ130とを備えた車両用シートフレームが知られている(例えば、特許文献1記載の車両用シートフレーム)。シートバックフレーム120の両側にはバックサイドフレーム121、122が配置され、中央部には中空かつ四角柱状をなすバックセンタフレーム123が配置されている。また、シートクッションフレーム110の両側にはクッションサイドフレーム111、112が配置され、中央部にはクッションセンタフレーム113が配置されている。バックセンタフレーム123の下部には厚板からなるアッパアーム124がボルトで締結され、クッションセンタフレーム113の上部には厚板からなるロアアーム114がボルトで締結されている。そして、アッパアーム124とロアアーム114との間には、アッパアーム124とロアアーム114とを回動可能に連結するリクライナ140が設けられている。
【0003】
また、シートバックフレーム120にはリトラクタ150が取付けられ、ショルダベルト部151aとラップベルト部151bとからなるシートベルト151の一端がリトラクタ150に巻き取られるようになっている。シートベルト151の他端はクッションセンタフレーム113に取付けられたアンカプレート115に固着され、シートベルト151の中間部はタングプレート152に挿通されている。このタングプレート152は、クッションサイドフレーム111に取付けられたバックル116に着脱可能にされている。なお、この車両用シートフレームは2人用のシートフレームであり、一方のシートのシートベルトについては説明を省略する。
【0004】
この車両用シートフレームでは、車両が急減速状態になるとシートベルト151がロックし、乗員の安全が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−59770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の車両用シートフレームでは、リトラクタがシートバックフレームに取付けられていることから、車両が急減速状態になってシートベルトがロックすると、ショルダベルトアンカに大きな荷重が加えられる。このような場合、発明者の実験によって、バックセンタフレームとアッパアームとの締結部において断面が急激に変化することから、この締結部に負荷が集中し、締結部が最も変形し易いことが明確になった。
【0007】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、重量の増加を防止し、強度を確保することができる車両用シートフレームを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る車両用シートフレームの特徴は、シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、円筒状の外周円筒部と、該外周円筒部の軸方向一端から内側に突出する天井部と、該外周円筒部の軸方向他端から外側に突出するフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを連結する連結部材を備え、前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部が固着され、且つ他方の前記側板部の外側面に前記フランジ部の前記天井部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の前記天井部側と逆側の面が、連結対象である前記シートバックフレーム又は前記シートクッションフレームに固着されることである。
【0009】
請求項2に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項1において、前記シートバックフレームには、シートベルトの一端を支承するショルダベルトアンカが設けられていることである。
【0010】
請求項3に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項1又は2において、前記連結部材の前記フランジ部には、前記リクライナが取付けられ、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとが該リクライナを介して連結されることである。
【0011】
請求項4に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項3において、前記連結部材の前記天井部は円環状をなし、該天井部の内周に収容される円筒状の内周円筒部が一体として設けられ、該内周円筒部の軸方向他端は前記リクライナに固着されることである。
【0012】
請求項5に係る車両用シートフレームの特徴は、シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、それら側壁部の先端から前記側板部のうちの他方とそれぞれ平行に延びるフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記フランジ部の基端部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の先端部側面に前記リクライナが固着されることである。
【0013】
請求項6に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項5において、前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記フランジ部側に傾斜して延びる傾斜部を有することである。
【0014】
請求項7に係る車両用シートフレームの特徴は、シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、前記天井部の基端部から先端部に延在して一体として凹設された凹部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記凹部が固着されるとともに、前記凹部の先端部側面に前記リクライナが固着されることである。
【0015】
請求項8に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項7において、前記連結部材の前記凹部は、基端部側に凹設された第1凹部と、該第1凹部から前記天井部側に突出する段差と、該段差に連続して先端部側に凹設された第2凹部とからなり、前記第2凹部には複数の嵌合孔が同心円状に貫設され、前記リクライナには前記嵌合孔に嵌合して前記連結部材に対する前記リクライナの回動を規制する複数の嵌合突起が突設され、前記リクライナと前記側壁部の先端部側とが固着されることである。
【0016】
請求項9に係る車両用シートフレームの特徴は、請求項7又は8において、前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記リクライナ側に傾斜して延びる傾斜部を有することである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る車両用シートフレームにおいては、シートクッションフレーム又はシートバックフレームの少なくとも一方が中空かつ四角柱状をなし、シートクッションフレームとシートバックフレームとを連結する連結部材は、円筒状の外周円筒部と、外周円筒部の軸方向一端から内側に突出する天井部と、外周円筒部の軸方向他端から外側に突出するフランジ部とを有している。そして、連結部材は、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)の対向する側板部のうちの一方の側板部の内側面に天井部が固着され、且つ他方の側板部の外側面にフランジ部の天井部側面が固着されるとともに、フランジ部の天井部側と逆側の面が、連結対象であるシートクッションフレーム(シートバックフレーム)に固着される。このように、薄肉のシートバックフレーム(シートクッションフレーム)が長手方向に延長され、その部分において連結部材によりシートクッションフレームとシートバックフレームとが連結されるため、重量の増加を防止できるのみならず、シートクッションフレームとシートバックフレームとの接続部の断面が急激に変化することがない。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。なお、天井部に固着されるシートバックフレーム(シートクッションフレーム)の位置から軸心までの距離は、フランジ部に固着されるシートクッションフレーム及びシートバックフレームの位置から軸心までの距離と異なっているため、負荷がシートバックフレーム(シートクッションフレーム)の長手方向に垂直な同一断面上に集中することがなく、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)の強度を増すことができる。
【0018】
請求項2に係る車両用シートフレームにおいては、シートバックフレームにシートベルトの一端を支承するショルダベルトアンカが設けられているため、車両が急減速状態になるとショルダベルトからショルダベルトアンカを介してシートバックフレームに大きな荷重が加わる。そのため、この車両用シートフレームでは、強度を確保する効果がさらに大きいものとなる。
【0019】
請求項3に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材のフランジ部にはリクライナが取付けられ、シートクッションフレームとシートバックフレームとがリクライナを介して連結されるため、他の位置にリクライナを取付ける場合と比較して、シートクッションフレーム及びシートバックフレームの断面変化が少なくなり、より強度を確保することができる。また、必要な部材も少なくなり、重量の増加を防止できる。
【0020】
請求項4に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材の天井部は円環状をなし、天井部の内周には円筒状の内周円筒部が一体として設けられている。そして、この内周円筒部の軸方向他端はリクライナに固着されるため、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)とリクライナとが強固に固着され、シートクッションフレームとシートバックフレームとが強固に固着される。
【0021】
請求項5に係る車両用シートフレームにおいては、シートクッションフレーム又はシートバックフレームの少なくとも一方が中空かつ四角柱状をなし、シートクッションフレームとシートバックフレームとをリクライナを介して連結する連結部材は、側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、それら側壁部の先端から側板部のうちの他方とそれぞれ平行に延びるフランジ部とを有している。そして、連結部材は、対向する側板部のうちの一方の側板部の内側面に天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の側板部の内側面にフランジ部の基端部側面が固着されるとともに、フランジ部の先端部側面にリクライナが固着される。このように、連結部材の基端部側がシートバックフレーム(シートクッションフレーム)に収容されて固着され、連結部材の先端部側がリクライナを介してシートクッションフレーム(シートバックフレーム)に連結されているため、シートクッションフレームとシートバックフレームとの接続部の断面が急激に変化することがない。また、断面略コ字状をした連結部材を用いているため、重量の増加を防止できる。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0022】
請求項6に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材の前記天井部が平行部から先端部側に向かってフランジ部側に傾斜して延びる傾斜部を有するため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【0023】
請求項7に係る車両用シートフレームにおいては、シートクッションフレーム又はシートバックフレームの少なくとも一方が中空かつ四角柱状をなし、シートクッションフレームとシートバックフレームとをリクライナを介して連結する連結部材は、側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、天井部の基端部から先端部に延在して凹設された凹部とを有している。そして、連結部材は、対向する側板部のうちの一方の側板部の内側面に天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の側板部の内側面に凹部が固着されるとともに、凹部の先端部側面にリクライナが固着される。このように、連結部材の基端部側がシートバックフレーム(シートクッションフレーム)に収容されて固着され、連結部材の先端部側がリクライナを介してシートクッションフレーム(シートバックフレーム)に連結されているため、シートクッションフレームとシートバックフレームとの接続部の断面が急激に変化することがない。また、連結部材の天井部と凹部とが一体として形成されているため、重量の増加を防止できる。さらに、一方の側板部の内側面に天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の側板部の内側面に凹部が固着されるため、負荷に対して強固である。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0024】
請求項8に係る車両用シートフレームにおいては、第2凹部に同心円状に貫設された複数の嵌合孔と、リクライナに突設された嵌合突起とが嵌合して、連結部材に対するリクライナの回動を規制する上、リクライナと側壁部の先端部側とが固着されるため、シートバックフレーム(シートクッションフレーム)とリクライナとが強固に固着され、シートクッションフレームとシートバックフレームとが強固に固着される。
【0025】
請求項9に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材の天井部が平行部から先端部側に向かってリクライナ側に傾斜して延びる傾斜部を有するため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1〜3の車両用シートフレームの斜視図。
【図2】実施形態1の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の分解斜視図。
【図3】実施形態1の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の拡大図。
【図4】実施形態1の車両用シートフレームに係り、図3におけるIV−IV矢視断面図。
【図5】実施形態2の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の分解斜視図。
【図6】実施形態2の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の拡大図。
【図7】実施形態2の車両用シートフレームに係り、図6におけるVII−VII矢視断面図。
【図8】実施形態2の車両用シートフレームに係り、図6におけるVIII−VIII矢視断面図。
【図9】実施形態2の車両用シートフレームに係り、図6におけるIX−IX矢視断面図。
【図10】実施形態3の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の分解斜視図。
【図11】実施形態3の車両用シートフレームに係り、バックセンタフレームとブラケットとの接続部の拡大図。
【図12】実施形態3の車両用シートフレームに係り、図11におけるXII−XII矢視断面図。
【図13】実施形態3の車両用シートフレームに係り、図11におけるXIII−XIII矢視断面図。
【図14】従来の車両用シートフレームの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る車両用シートフレームを具体化した実施形態1〜3を図面に基づいて以下に説明する。実施形態1の車両用シートフレームは、図1に示すように、シートクッション90を支持するシートクッションフレーム10と、シートバック91を支持するシートバックフレーム20と、シートクッション90に対してシートバック91を回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナ30と、シートバックフレーム20の上端に設けられたショルダベルトアンカ27とを備えている。ショルダベルトアンカ27は、ジョイント部27aとベルトガイド部27bとからなっている。
【0028】
シートバックフレーム20の両端にはバックサイドフレーム21、22が配置され、中央部には中空かつ四角柱状をなすバックセンタフレーム23が配置されている。両バックサイドフレーム21、22の上端部はアッパパイプ24により連結され、アッパパイプ24の中央部とバックセンタフレーム23の上端部とはジョイント部27aにより連結されている。このジョイント部27aは、後述するショルダベルト部51aを保護する役目も果たしている。ジョイント部27aの上部には、ショルダベルト部51aの送り出し及び巻き取りを案内するベルトガイド部27bが設けられている。また、シートクッションフレーム10の両端にはクッションサイドフレーム11、12が配置され、中央部にはクッションセンタフレーム13が設けられている。クッションセンタフレーム13の上部には厚板からなるブラケット14がボルトで締結されている。そして、バックセンタフレーム23とブラケット14との間には、バックセンタフレーム23とブラケット14とを回動可能に連結するリクライナ30が設けられている。このリクライナ30は、バックサイドフレーム22に設けられたリクライナ17と連結軸18により連結されている。
【0029】
また、シートバックフレーム20にはリトラクタ50が取付けられ、ショルダベルト部51aとラップベルト部51bとからなるシートベルト51の一端がリトラクタ50に巻き取られるようになっている。シートベルト51の他端はクッションセンタフレーム13に取付けられたアンカプレート15に固着され、シートベルト51の中間部はタングプレート52に挿通されている。このタングプレート52は、クッションサイドフレーム11に取付けられたバックル16に着脱可能にされている。なお、シートベルト51のうち、リトラクタ50からタングプレート52までをショルダベルト部51aといい、タングプレート52からアンカプレート15までをラップベルト部51bという。
【0030】
図2は、バックセンタフレーム23とブラケット14との接続部の分解斜視図である。バックセンタフレーム23は、1枚の薄肉の鋼板を折り曲げて溶接等により四角柱状に接合したものであり、対向する側板部23a、23bは、ブラケット14との接続部(図下方)に向かって幅広になっている。側板部23aには連結軸18が貫通する軸孔24が設けられ、側板部23bには連結部材32をバックセンタフレーム23内に収容して取付ける取付孔25が軸孔24と同軸に設けられている。
【0031】
連結部材32は、外周円筒部33、天井部34、フランジ部35及び内周円筒部36を有している。外周円筒部33は円筒状をなし、外周円筒部33の軸方向一端から円環状の天井部34が内側に突出して設けられている。この天井部34の内周には、円筒状の内周円筒部36が一体として設けられ、内周円筒部36は外周円筒部33に同軸に収容されている。また、外周円筒部33の軸方向他端からフランジ部35が外側に突出して設けられている。連結部材32とブラケット14との間には、連結部材32とリクライナ30との取付けを容易にする円環状の取付ピース31と、リクライナ30が配置されている。
【0032】
図3及び図4は、バックセンタフレーム23とブラケット14との取付け部の拡大図及び断面図である。連結部材32は、取付孔25からバックセンタフレーム23内に挿入され、天井部34がバックセンタフレーム23の側板部23aに全周に亘って溶接により接合されている。また、連結部材32のフランジ部35は、外周円筒部33側の面がバックセンタフレーム23の側板部23bに全周に亘って溶接により接合され、外周円筒部33と反対の面が取付ピース31に全周に亘って溶接により接合されている。これにより、フランジ部35の外周円筒部33と反対側の面が、シートクッションフレーム10に固着されることとなる。さらに、連結部材32の内周円筒部36の他端36aがリクライナ30に全周に亘って溶接により接合されている。リクライナ30は、取付ピース31及びブラケット14に嵌合されている。このような構造により、バックセンタフレーム23とブラケット14とがリクライナ30を介して回動可能に連結される。なお、リクライナ30の構造は公知のものであり、その説明を省略する。
【0033】
実施形態1に係る車両用シートフレームにおいては、中空かつ四角柱状をなす薄肉のバックセンタフレーム23が長手方向に延長され、延長された部分において連結部材32によりバックセンタフレーム23とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とが回動可能に連結されるため、重量の増加を防止できるのみならず、バックセンタフレーム23とブラケット14との接続部の断面が急激に変化することがない。したがって、実施形態1の車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。なお、天井部34に固着されるバックセンタフレーム23の側板部23aの位置から軸心までの距離は、フランジ部35に固着されるバックセンタフレーム23の側板部23bの位置から軸心までの距離と異なっているため、負荷がバックセンタフレーム23の長手方向に垂直な同一断面上に集中することがなく、バックセンタフレーム23の強度を増すことができる。
【0034】
また、この車両用シートフレームにおいては、連結部材32のフランジ部35には取付ピース31を介してリクライナ30が取付けられ、バックセンタフレーム23とクッションセンタフレーム13とがリクライナ30を介して連結されるため、他の位置にリクライナ30を取付ける場合と比較して、バックセンタフレーム23とクッションセンタフレーム13との断面変化が少なくなり、より強度を確保することができる。また、必要な部材も少なくなり、重量の増加を防止できる。ただし、バックセンタフレーム23とブラケット14とを連結部材32により固着し、ブラケット14とクッションセンタフレーム13とをリクライナ30を介して連結してもよい。
【0035】
さらに、この車両用シートフレームにおいては、連結部材32の天井部34は円環状をなし、天井部34の内周には外周円筒部33に同軸に収容される円筒状の内周円筒部36が一体として設けられている。そして、この内周円筒部36の軸方向他端36aはリクライナ30に固着されるため、バックセンタフレーム23とリクライナ30とが強固に固着され、バックセンタフレーム23とブラケット14(クッションセンタフレーム13)とが強固に連結される。
【0036】
なお、実施形態1においては、シートバックフレーム20の上端にショルダベルトアンカ27が設けられているが、このような車両用シートフレームに限らず、車体にショルダベルトアンカが設けられた車両用シートフレームであってもよい。
また、実施形態1においては、連結部材32の内周円筒部36が外周円筒部33に同軸に収容されているが、内周円筒部36と外周円筒部33とは同軸でなくてもよい。
【0037】
次に、実施形態2の車両用シートフレームの構造について説明する。実施形態2の車両用シートフレームの主な機械的構成は、図1に示す実施形態1の車両用シートフレームと同様であり、同一の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0038】
図5は、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の分解斜視図である。バックセンタフレーム40は、1枚の薄肉の鋼板を折り曲げて溶接等により四角柱状に接合したものであり、対向する側板部40a、40bは、ブラケット14との接続部(図下方)に向かって幅広になっている。
【0039】
連結部材42は、天井部43、側壁部44、フランジ部45及び円筒部46を有している。天井部43は、側板部40aと平行に延びる長方形状の平行部43aと、平行部43aから先端部側に向かってフランジ部45側に傾斜して延在する傾斜部43bとからなっている。側壁部44は、天井部43の両側縁からそれぞれ垂直に延び、基端部側から先端部側に向かって幅狭となっている。ただし、天井部43の基端部側の一辺には側壁部44が設けられていない。側壁部44の先端からは、フランジ部45が側板部40bと平行に外側に延びている。また、天井部43の傾斜部43bには、連結軸18が貫通する軸孔43cが設けられている。この軸孔43c周面には、フランジ部45に対して垂直であって、フランジ部45の方向に延びる円筒状の円筒部46が一体として設けられている。
【0040】
図6乃至図9は、バックセンタフレーム40とブラケット14との取付け部の拡大図及び断面図である。図6及び図7に示すように、連結部材42の基端部側がバックセンタフレーム40に収容され、側板部40aと平行部43a、及び側板部40bと基端部側のフランジ部45が溶接により接合されている。また、図8及び図9に示すように、連結部材42の先端部側のフランジ部45が取付ピース31に溶接により接合され、円筒部46の他端46aがリクライナ30に全周に亘って溶接により接合されている。リクライナ30は、取付ピース31及びブラケット14に嵌着されている。このような構造により、バックセンタフレーム40とブラケット14とがリクライナ30を介して回動可能に連結される。なお、リクライナ30の構造は公知のものであり、その説明を省略する。
【0041】
実施形態2に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材42の基端部側が中空かつ四角柱状をなす薄肉のバックセンタフレーム40に収容されて固着され、連結部材42の先端部側とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とがリクライナ30を介して回動可能に連結されるため、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の断面が急激に変化することがない。また、断面が略コ形をした連結部材42を用いているため、重量の増加を防止できる。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0042】
また、この車両用シートフレームにおいては、天井部43が平行部43aから先端部側に向かってフランジ部45側に傾斜して延びる傾斜部43bを有している(側壁部44が基端部側から先端部側に向かって幅狭となっている)ため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【0043】
なお、実施形態2においては、シートバックフレーム20の上端にショルダベルトアンカ27が設けられているが、実施形態1と同様、このような車両用シートフレームに限らず、車体にショルダベルトアンカが設けられた車両用シートフレームであってもよい。また、実施形態2においては、連結部材42の天井部43が平行部43aと傾斜部43bとを有しているが、必ずしも傾斜部43bを有している必要はない。さらに、実施形態2においては、連結部材42の側壁部44の先端からフランジ部45が側板部40bと平行に外側に延びているが、フランジ部45が側板部40bと平行に内側に延びていてもよい。
【0044】
次に、実施形態3の車両用シートフレームの構造について説明する。実施形態3の車両用シートフレームの主な機械的構成は、図1に示す実施形態1の車両用シートフレームと同様であり、同一の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0045】
図10は、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の分解斜視図である。バックセンタフレーム40は、1枚の薄肉の鋼板を折り曲げて溶接等により四角柱状に接合したものであり、対向する側板部40a、40bは、ブラケット14との接続部(図下方)に向かって幅広になっている。
【0046】
連結部材60は、一枚の板状鋼材からプレスにより成形され、天井部63、側壁部64及び凹部65を有している。天井部63は、側板部40aと平行に延びる平行部63aと、平行部63aから先端部側に向かってブラケット14に嵌着されたリクライナ30側に傾斜して延在する傾斜部63bとからなっている。側壁部64は、天井部63の両側縁からそれぞれ垂直に延び、第1側壁部64aと弟2側壁部64bとからなっている。ただし、傾斜部63bの基端部側であって、両側の第1側壁部64aの端を結ぶ一辺には側壁部64が設けられていない。
【0047】
第1側壁部64aは平行部63aから直角に屈曲して延出し、弟2側壁部64bは平行部63aの一部及び傾斜部63bから直角に屈曲して延出している。また、第1側壁部64aは弟2側壁部64bより幅広である。弟2側壁部64bは、両側の第1側壁部64aから先端部側に向かって幅狭となって延出し、先端部で円弧状に屈曲して接続されている。
【0048】
天井部63の基端部から先端部にかけて凹部65が凹設されている。凹部65は、基端部側に凹設された第1凹部66と、第1凹部66から天井部63側に突出する段差67と、段差67に連続して先端部側に凹設された第2凹部68とからなっている。第2凹部68には連結軸18が貫通する軸孔68aが貫設され、軸孔68aの周りには複数の嵌合孔68bが同心円状に貫設されている。また、リクライナ30には、嵌合孔68bに嵌合する嵌合突起30aが同心円状に突設されている。
【0049】
図11乃至図13は、バックセンタフレーム40とブラケット14との取付け部の拡大図及び断面図である。図11及び図12に示すように、連結部材60の基端部側がバックセンタフレーム40に収容され、側板部40aと平行部63a、及び側板部40bと第1凹部66が溶接により接合されている。
【0050】
また、図13に示すように、連結部材60の第2凹部68に同心円状に貫設された嵌合孔68bには、リクライナ30に突設された嵌合突起30aが嵌合されている。これにより、連結部材60に対するリクライナ30の回動が規制される。また、弟2側壁部64bとリクライナ30との当接部が溶接により接合されている。リクライナ30はブラケット14に嵌着されている。このような構造により、バックセンタフレーム40とブラケット14とがリクライナ30を介して回動可能に連結される。なお、リクライナ30の構造は公知のものであり、その説明を省略する。
【0051】
実施形態3に係る車両用シートフレームにおいては、連結部材60の基端部側が中空かつ四角柱状をなす薄肉のバックセンタフレーム40に収容されて固着され、連結部材60の先端部側とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とがリクライナ30を介して回動可能に連結されるため、バックセンタフレーム40とブラケット14との接続部の断面が急激に変化することがない。また、連結部材60の天井部63と凹部65とが一体として形成されているため、重量の増加を防止できる。さらに、一方の側板部40aの内側面に天井部63の基端部側面(平行部63a)が固着され、且つ他方の側板部40bの内側面に凹部65(第1凹部66)が固着されるため、負荷に対して強固である。したがって、この車両用シートフレームによれば、重量の増加を防止し、強度を確保することができる。
【0052】
また、この車両用シートフレームにおいては、第2凹部68に同心円状に貫設された複数の嵌合孔68bと、リクライナ30に突設された嵌合突起30aとが嵌合して、連結部材60に対するリクライナ30の回動を規制する上、リクライナ30と側板部40bの先端部側とが固着されるため、バックセンタフレーム40とリクライナ30とが強固に固着され、バックセンタフレーム40とブラケット14(クッションセンタフレーム13と締結)とが強固に固着される。
【0053】
さらに、この車両用シートフレームにおいては、連結部材60の天井部63が平行部63aから先端部側に向かってリクライナ30側に傾斜して延びる傾斜部63bを有する(第2側壁部64bが基端部側から先端部側に向かって幅狭となっている)ため、強度を確保しつつ、乗員のスペースを十分に確保することができる。
【0054】
なお、実施形態3においては、シートバックフレーム20の上端にショルダベルトアンカ27が設けられているが、実施形態1、2と同様、このような車両用シートフレームに限らず、車体にショルダベルトアンカが設けられた車両用シートフレームであってもよい。また、実施形態3においては、連結部材60の天井部63が平行部63aと傾斜部63bとを有しているが、必ずしも傾斜部63bを有している必要はない。
【0055】
以上において、本発明の車両用シートフレームを実施形態1〜3に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明による車両用シートフレームは、シートクッションに対してシートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナを備えた車両用シートに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0057】
10…シートクッションフレーム、20…シートバックフレーム、27…ショルダベルトアンカ、30…リクライナ、30a…嵌合突起、23a、23b、40a、40b…側板部、32、42、60…連結部材、33…外周円筒部、36…内周円筒部、34、43、63…天井部、43a、63a…平行部、43b、63b…傾斜部、35、45…フランジ部、44、64…側壁部、65…凹部、66…第1凹部、67…段差、68…第2凹部、68b…嵌合孔、90…シートクッション、91…シートバック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、
円筒状の外周円筒部と、該外周円筒部の軸方向一端から内側に突出する天井部と、該外周円筒部の軸方向他端から外側に突出するフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部が固着され、且つ他方の前記側板部の外側面に前記フランジ部の前記天井部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の前記天井部側と逆側の面が、連結対象である前記シートバックフレーム又は前記シートクッションフレームに固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項2】
請求項1において、
前記シートバックフレームには、シートベルトの一端を支承するショルダベルトアンカが設けられていることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記連結部材の前記フランジ部には、前記リクライナが取付けられ、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとが該リクライナを介して連結されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項4】
請求項3において、
前記連結部材の前記天井部は円環状をなし、該天井部の内周に収容される円筒状の内周円筒部が一体として設けられ、
該内周円筒部の軸方向他端は前記リクライナに固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項5】
シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、
前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、それら側壁部の先端から前記側板部のうちの他方とそれぞれ平行に延びるフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記フランジ部の基端部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の先端部側面に前記リクライナが固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項6】
請求項5において、
前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記フランジ部側に傾斜して延びる傾斜部を有することを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項7】
シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、
前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、前記天井部の基端部から先端部に延在して一体として凹設された凹部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記凹部が固着されるとともに、前記凹部の先端部側面に前記リクライナが固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項8】
請求項7において、
前記連結部材の前記凹部は、基端部側に凹設された第1凹部と、該第1凹部から前記天井部側に突出する段差と、該段差に連続して先端部側に凹設された第2凹部とからなり、
前記第2凹部には複数の嵌合孔が同心円状に貫設され、前記リクライナには前記嵌合孔に嵌合して前記連結部材に対する前記リクライナの回動を規制する複数の嵌合突起が突設され、前記リクライナと前記側壁部の先端部側とが固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記リクライナ側に傾斜して延びる傾斜部を有することを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項1】
シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、
円筒状の外周円筒部と、該外周円筒部の軸方向一端から内側に突出する天井部と、該外周円筒部の軸方向他端から外側に突出するフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部が固着され、且つ他方の前記側板部の外側面に前記フランジ部の前記天井部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の前記天井部側と逆側の面が、連結対象である前記シートバックフレーム又は前記シートクッションフレームに固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項2】
請求項1において、
前記シートバックフレームには、シートベルトの一端を支承するショルダベルトアンカが設けられていることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記連結部材の前記フランジ部には、前記リクライナが取付けられ、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとが該リクライナを介して連結されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項4】
請求項3において、
前記連結部材の前記天井部は円環状をなし、該天井部の内周に収容される円筒状の内周円筒部が一体として設けられ、
該内周円筒部の軸方向他端は前記リクライナに固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項5】
シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、
前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、それら側壁部の先端から前記側板部のうちの他方とそれぞれ平行に延びるフランジ部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記フランジ部の基端部側面が固着されるとともに、前記フランジ部の先端部側面に前記リクライナが固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項6】
請求項5において、
前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記フランジ部側に傾斜して延びる傾斜部を有することを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項7】
シートクッションを支持するよう適合されたシートクッションフレームと、シートバックを支持するよう適合されたシートバックフレームと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動自在に連結してその回動角度を調整するリクライナとを備え、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームのうちの少なくとも一方は、対向する側板部を有する中空かつ四角柱状をなし、
前記側板部のうちの一方と平行に延びる平行部を有する天井部と、該天井部の両側縁からそれぞれ垂直に延びる側壁部と、前記天井部の基端部から先端部に延在して一体として凹設された凹部とを有し、前記シートクッションフレームと前記シートバックフレームとを前記リクライナを介して連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、対向する前記側板部のうちの一方の前記側板部の内側面に前記天井部の基端部側面が固着され、且つ他方の前記側板部の内側面に前記凹部が固着されるとともに、前記凹部の先端部側面に前記リクライナが固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項8】
請求項7において、
前記連結部材の前記凹部は、基端部側に凹設された第1凹部と、該第1凹部から前記天井部側に突出する段差と、該段差に連続して先端部側に凹設された第2凹部とからなり、
前記第2凹部には複数の嵌合孔が同心円状に貫設され、前記リクライナには前記嵌合孔に嵌合して前記連結部材に対する前記リクライナの回動を規制する複数の嵌合突起が突設され、前記リクライナと前記側壁部の先端部側とが固着されることを特徴とする車両用シートフレーム。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記連結部材の前記天井部は、前記平行部から先端部側に向かって前記リクライナ側に傾斜して延びる傾斜部を有することを特徴とする車両用シートフレーム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−32157(P2013−32157A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221476(P2012−221476)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2009−542510(P2009−542510)の分割
【原出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2009−542510(P2009−542510)の分割
【原出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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