説明

車両用シート

【課題】フレーム部材に対して、クッション材と送風装置を作業性良く配設することにある。
【解決手段】蓋部材34にて凹部32を被覆しつつ、送風装置を凹部32に連通するとともに、フレーム部材6Fが、蓋部材34を臨む側に突出する突出部21,22を有し、フレーム部材6Fにクッション材6Pを被せる際に、蓋部材34の端部に突出部(21,22)が当接可能な構成の車両用シートにおいて、蓋部材34の端部が、シート幅方向に向けて傾斜するとともに突出部21,22に当接可能である傾斜面34a,34bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置を内蔵の車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートとして、特許文献1に開示の車両用シートが公知である。この車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、ヘッドレストと、送風装置を有する。そして公知技術では、送風装置から吹出される気体を、シートバックに設けた孔部を介して乗員に送風可能である。
ここでヘッドレストは、シートバック上部に取付けられる部材であり、一対のステー部材を有する。一対のステー部材(共に棒状部材)はヘッドレスト下部に並列配置する。
【0003】
またシートバックは、シートクッションに起立可能に連結する部材であり、フレーム部材と、クッション材と、一対のサポート部材を有する。フレーム部材は、シート骨格をなす枠状部材である。
クッション材は、フレーム部材に被せられてシート外形をなす部材であり、複数の孔部と、送風流路部を有する。複数の孔部は、それぞれクッション材に設けた貫通孔であり、着座側に開口する。送風流路部は、送風装置の送風を孔部に導く構成であり、凹部と、蓋部材を有する。凹部は、クッション材裏面に設けた凹箇所(正面視で略矩形状)であり、複数の孔部に連通する。また蓋部材は、凹部に嵌込み可能な箱体(略矩形状)であり、例えば硬質樹脂にて形成できる。
そして一対のサポート部材(共に筒状部材)は、フレーム部材上部の前側(蓋部材を臨む側)に突出して取付けられるとともに、シート幅方向に並列配置する。
【0004】
公知技術では、蓋部材を凹部に嵌装したのち、フレーム部材の上方側からクッション材を被せる。なお嵌装状態の蓋部材は、その下面が略水平に配置する。そして送風装置を凹部に連通することにより、送風装置から吹出される気体を、送風流路部を介して、シートバックの孔部から乗員に吹出すことができる。
つぎに各ステー部材を、各サポート部材に挿設することで、シートバック上部にヘッドレストを取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで公知技術では、一対のサポート部材が、シート前側(蓋部材を臨む側)に突出配置する。このため公知技術では、フレーム部材にクッション材を被せる際に、サポート部材に蓋部材の下面が正面から当接する(直角に当たる)などして、蓋部材が撓み(外力がかかり)凹部から外れるおそれがあった。
もっとも作業者が、突出部と蓋部材の干渉を避けつつ、フレーム部材にクッション材を被せることもできるが、そうするとクッション材等の配設作業が面倒になる(作業性にやや劣る構成となる)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、フレーム部材に対して、クッション材と送風装置を作業性良く配設することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションと、シートクッションに対して起立可能に連結するシートバックと、シートバック内に配設される送風装置とを有する。そして送風装置から吹出される気体を、シートバックに設けた孔部を介して乗員に送風可能である。
シートバックは、シート骨格をなすフレーム部材と、フレーム部材に被せられてシート外形をなすクッション材と、クッション材に設けられて孔部と連通する凹部と、凹部を被覆可能な蓋部材とを有する。
【0008】
本発明では、蓋部材にて凹部を被覆しつつ、送風装置を凹部に連通する。そしてフレーム部材が、蓋部材を臨む側に突出する突出部を有し、フレーム部材にクッション材を被せる際に、蓋部材の端部に突出部が当接可能な構成である。この種のシート構成では、フレーム部材に対して、クッション材と送風装置を作業性良く配設できることが望ましい。
そこで本発明では、上述の蓋部材の端部が、シート幅方向に向けて傾斜するとともに突出部に当接可能である傾斜面を有する。そして例えばフレーム部材にクッション材を被せる途中で、突出部に傾斜面を当接させることにより(直角に当てないことにより)、蓋部材にかかる外力(外れ方向にかかる外力)を低減することができる。
【0009】
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、シートバック上部に取付け可能なヘッドレストを有する。そしてヘッドレストの一対のステー部材を、フレーム部材の一対のサポート部材に挿設することで、シートバックにヘッドレストが取付けられる。本発明では、フレーム部材が、突出部としての一対のサポート部材を、シート幅方向に並列して有する。
そこで本発明では、蓋部材の端部が一対の傾斜面を有する(例えば対面状の一対の傾斜面を有する)。そしてフレーム部材にクッション材を被せる途中で、一対のサポート部材にそれぞれ傾斜面が当接可能である(さらに作業性の良いシート構成とした)。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1発明によれば、フレーム部材に対して、クッション材と送風装置を作業性良く配設することができる。また第2発明によれば、さらに作業性の良いシート構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用シートの斜視図である。
【図2】シートバックの透視正面図である。
【図3】シートバック一部の縦断面図である。
【図4】クッション材(凹部)と蓋部材の斜視図である。
【図5】シート構成の一部縦断面図であり、フレーム部材にクッション材を被せる途中の図である。
【図6】シート構成の一部縦断面図であり、フレーム部材にクッション材を被せた後の図である。
【図7】蓋部材とフレーム部材一部の正面図である。
【図8】別例の蓋部材とフレーム部材一部の正面図である。
【図9】実施例2にかかるクッション材(凹部)と蓋部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図9を参照して説明する。なお図2では、便宜上、一部の部材(凹部、蓋部材)の寸法を小さくして図示する。そして各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
本実施例の車両用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する(図1を参照)。これらシート構成部材は、表皮材(4S,6S,8S)と、クッション材(4P,6P,8P)と、フレーム部材(4F,6F,8F)を有する。
【0013】
<実施例1>
ヘッドレスト8は、シートバック6上部に着脱可能な部材であり、フレーム部材8Fを有する(図1及び図2を参照)。フレーム部材8Fは、略逆U字状(正面視)の部材であり、直線状の自由端(一対のステー部材11,12)を有する。
本実施例では、フレーム部材8Fをヘッドレスト8内に配設しつつ、一対のステー部材11,12を下方に突出させる。そして各ステー部材11,12を、シートバック6(後述の各サポート部材21,22)に挿設することで、シートバック6上部にヘッドレスト8を取付けることができる。
【0014】
[シートバック]
シートバック6は、シートクッション4に対して起倒可能に連結する部材である(図1〜図3を参照)。
本実施例のシートバック6は、上述の基本構成(6S、6P、6F)と、一対のサポート部材21,22と、ランバーサポート50と、後述の送風流路部30及び送風装置40を有する。なおシートバック6の裏面には、ボード部材9を配設することができる。
フレーム部材6F(詳細後述)は、シート骨格をなす枠状部材であり、後述する一対のサポート部材21,22を有する。
そしてクッション材6Pは、フレーム部材6Fに被せられてシート外形をなす部材であり、後述の送風流路部30(孔部6H、凹部32、蓋部材34)を有する。
【0015】
本実施例では、後述するように、蓋部材34にて凹部32を被覆したのち、フレーム部材6Fの上部側からクッション材6Pを被せる。そして送風装置40を凹部32に連通することで、送風装置40から吹出される気体を、シートバック6の孔部6Hを介して乗員に送風可能とする。この種のシート構成では、フレーム部材6Fに対して、クッション材6Pと送風装置40を作業性良く配設できることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成により、クッション材6Pと送風装置40を作業性良く配設することとした。以下、各構成について詳述する。
【0016】
(基本構成)
表皮材6Sは、クッション材6Pを被覆する袋状部材であり、例えば気体の通過可能な布帛(織物,編物,不織布)で構成できる。クッション材6Pは、シート外形をなす部材であり、例えばポリウレタンフォームなどの弾性力を有する部材で構成できる。
本実施例のクッション材6Pは、複数の孔部6Hと、後述の凹部32(送風流路部30の一構成)を有する。複数の孔部6Hは、クッション材6Pを厚み方向に貫通する貫通孔であり、後述の凹部32に連通して着座側に開口する。本実施例では、シートバック6(着座面)の四方に、それぞれ孔部6Hを形成することができる。
【0017】
フレーム部材6Fは、骨格をなす枠状部材(正面視で略逆U字状)である。本実施例のフレーム部材6Fは、上部フレーム6aと、一対の側部フレーム6bと、下部フレーム6cと、バネ部材6dと、ブラケット6eを有する(図2を参照)。
上部フレーム6aは、シート上部をなす中空の筒状部材(正面視で略逆U字状)である。一対の側部フレーム6bは、それぞれシート側部をなす平板部材であり、上部フレーム6aの下端に取付けられる。下部フレーム6cは、シート下部において一対の側部フレーム6b間に橋渡しされた平板部材である。
【0018】
またバネ部材6dは、撓み変形可能な線状部材(略U字状)である。本実施例では、バネ部材6d上部(自由端側)を上部フレーム6aに取付けるとともに、バネ部材6d下部(自由端とは異なる連結部分)を下部フレーム6cに取付ける。
そしてブラケット6eは、シート幅方向に長尺な平板部材である。本実施例では、上部フレーム6aの所定位置にブラケット6eを橋渡し状に取付けたのち、ブラケット6eの中央部位16(やや幅広な部位)に、後述の送風装置40を取付けることができる。
【0019】
(一対のサポート部材)
一対のサポート部材(第一サポート部材21,第二サポート部材22)は、それぞれステー部材11,12を挿設可能な筒状部材(突出部の一例)である。
本実施例では、一対のサポート部材21,22をシート方向に並列しつつ、サポートブラケット(21B,22B)を介して、上部フレーム6aの前部側(蓋部材を臨む側)に突出して取付ける。そして後述するように、フレーム部材6Fにクッション材6Pを被せるに際して、各サポート部材21,22に蓋部材34の下面(端部)が当接することがある。
【0020】
(ランバーサポート)
ランバーサポート50(突出部の他例)は、乗員の骨盤部や腰部(ランバー)を支持して適切な着座姿勢を確保させる部材である。
本実施例のランバーサポート50は、支持部材52と、支持部材52をシート前後に傾動させる駆動機構(図示省略)を有する。支持部材52は、略矩形(正面視)の平板部材であり、シートバック6下部の内部に配設可能な寸法を有する。
本実施例では、例えばスプリング(図示省略)を介して、下部フレーム6cに対して支持部材52を傾動可能に取付ける。このとき支持部材52は、下部フレーム6cの前部(蓋部材を臨む側)に突出して取付けられる。そして駆動機構(図示省略)により、支持部材52をシート前後に傾動させて、乗員の骨盤部や腰部を支持させる構成とする。
【0021】
[送風装置]
本実施例の送風装置40は、中空の箱体(短尺な円筒状)であり、送風機構42と、空間部44と、第一開口部46と、第二開口部48を有する(図2及び図3を参照)。
第一開口部46は、送風装置40の前面側(装置の軸方向)に形成された貫通孔であり、送風機構42に気体を供給できる。また第二開口部48は、送風装置40の周面側(装置の遠心方向)に形成された貫通孔であり、送風機構42からの送風を装置外部に排出できる。そして空間部44は、送風装置40の内部空間(縦断面視で略長方形状)であり、後述の送風機構42を収納できる。
そして送風機構42は、小径の円筒状部材であり、空間部44内に収納することができる。ここで送風機構42として、例えば遠心式の機構(装置軸方向から吸気しつつ遠心方向に送風する機構)を使用できる。この種の送風機構42として、多翼ファン(シロッコファン)、プレートファン、ターボファン、翼形ファン、リミットロードファンを例示できる。
【0022】
[送風流路部]
送風流路部30は、送風装置40の送風を孔部6Hに導く流路であり、凹部32と、蓋部材34と、管部材36を有する(図2〜図4を参照)。
凹部32は、クッション材6Pの着座側裏面(シート内方側の面)に設けることができる。本実施例の凹部32は、略X字状(正面視)の凹箇所であり、複数の溝部(34a〜34d)を有する(図4を参照)。一対の溝部32a,32bはシート下方に配置する溝部であり、一対の溝部32c,32dはシート上方に配置する溝部である。そして凹部32は、各溝部の頂点付近で孔部6Hに連通する。
ここでシート下方に配置の一対の溝部32a,32bは、シート幅方向で見て対面状に配置するとともに、両溝部のクリアランスが、シート下方に向かって拡大する(両溝部が略ハの字状に配置する)。一対の溝部32a,32bの傾斜角度は特に限定しないが、後述の傾斜面に倣った傾斜角度(θ)を有することが好ましい(図7を参照)。
【0023】
(蓋部材)
蓋部材34は、凹部32を被覆可能な部材であり、挿通孔H(貫通孔)と、一対の傾斜面34a,34bを有する(図3及び図4を参照)。
本実施例の蓋部材34は、正面視で略矩形状の面状部材であり、凹部32に倣った寸法(やや大寸)を有して、凹部32に被せることができる。挿通孔Hは、蓋部材34の略中央に設けた貫通孔であり、管部材36を介して送風装置40に連通できる。
ここで蓋部材34の材質は特に限定しないが、可撓性を有する布材(フェルト等の不織布,織物,編物)、皮革(天然皮革,人工皮革)及び樹脂板を例示できる。
本実施例では、蓋部材34(フェルト製)を凹部32に被せつつ、管部材36の一端を挿通孔Hに連通し、管部材36の他端を送風装置40に接続する。なお本実施例では、蓋部材34の表面に、凹部32の形状に倣った凹箇所(溝状部35)が形成される。
【0024】
(傾斜面)
一対の傾斜面(第一傾斜面34a,第二傾斜面34b)は、蓋部材34の下面(端部)に形成できる(図3、図4及び図7を参照)。第一傾斜面34aと第二傾斜面34bは、ともにシート幅方向に向けて傾斜する傾斜面である。
本実施例の蓋部材34は、その下面に、略水平に延びる水平面33と、一対の傾斜面34a,34bが形成される。そして一対の傾斜面34a,34bを、水平面33を挟んで配置する。このとき水平面33の長さ寸法L1を調節するなどして、一対の傾斜面34a,34bを、各々対応するサポート部材(21,22)に当接可能な位置に配置させることができる(図4及び図7を参照)。
【0025】
さらに第一傾斜面34aと第二傾斜面34bを、シート幅方向で見て対面状に配置するとともに、両傾斜面のクリアランスを、シート下方に向かって拡大させる(両傾斜面が略ハの字状に配置する)。
第一傾斜面34aは、水平面33の一端からシート下方に傾斜しており、第一サポート部材21に対して斜めに当接可能である(図7の傾斜角度θを参照)。また第二傾斜面34bは、水平面33の他端からシート下方に傾斜しており、第二サポート部材22に対して斜めに当接可能である(図示しない傾斜角度θ)。
ここで上述の傾斜角度θは、0°より大きく90°未満に設定することができる。
【0026】
(クッション材の被覆作業)
図5及び図6を参照して、蓋部材34にて凹部32を被覆したのち、フレーム部材6Fの上方からクッション材6Pを被せる。
このとき本実施例では、一対の傾斜面34a,34bが蓋部材34の下面側にハの字状に配置する(図7を参照)。そしてフレーム部材6Fにクッション材6Pを被せる途中で、一対のサポート部材21,22にそれぞれ傾斜面34a,34bが当接することがある。
そして各傾斜面34a,34bに対して、各サポート部材21,22から外力F(蓋部材34に外れ方向にかかる外力)がかかる。このとき各傾斜面34a,34bによって、同外力Fが分散されて低減される(Fcosθに低減される)。
さらに低減された外力(Fcosθ)が両傾斜面34a,34bを拡開させる方向(蓋部材34を撓み変形させない方向)に働くため、凹部32からの蓋部材34の脱落を好適に防止することができる。
【0027】
また同様にクッション材6Pを被せる途中で、蓋部材34の溝状部35に、一対のサポート部材21,22が当接することがある。
このとき一対のサポート部材21,22に対して溝状部35(一対の溝部に対応の形状を有する)を当接させることで、各サポート部材の外力(F)が分散されて低減される(Fcosθに低減される)。
【0028】
つぎにランバーサポート50にそれぞれ傾斜面34a,34bを当接させつつ、フレーム部材6Fにクッション材6Pを被せることができる。このときもランバーサポート50から外力(蓋部材34に外れ方向にかかる外力)を、一対の傾斜面34a,34bによって分散して低減することができる。
そして送風装置40を凹部32に連通することで、送風装置40から吹出される気体を、シートバック6の孔部6Hを介して乗員に送風可能とする。さいごに各ステー部材11,12を、各サポート部材21,22に挿設することで、シートバック6上部にヘッドレスト8を取付けることができる。
【0029】
以上説明したとおり本実施例では、クッション材6Pを被せる途中で、各ステー部材11,12に各傾斜面34a,34bを当接させる(直角に当てない)ことで、蓋部材34にかかる外力を低減する。このように蓋部材34にかかる外力(外れ方向にかかる外力)を低減することで、フレーム部材6Fに対して、クッション材6Pと送風装置40を作業性良く配設できる。
また本実施例では、一対のサポート部材21,22に対してそれぞれ傾斜面34a,34bを当接させつつ、フレーム部材6Fにクッション材6Pを被せることができる(さらに作業性の良いシート構成である)。
そして本実施例では、面状の蓋部材34を使用したことから、従来構成(箱体状の蓋部材)と比較して、シートの着座性に悪影響を及ぼしにくい構成である。特にフェルトなどの布材製の蓋部材34を使用することで、従来構成(硬質樹脂製の箱体状の蓋部材)と比較して、好適なシートの乗り心地を確保することができる。
【0030】
<変形例>
本変形例の車両用シートは、実施例1の車両用シート2とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造は対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本変形例では、一対の傾斜面(第一傾斜面34c,第二傾斜面34d)を、蓋部材34の下面両端を切欠くことで形成する。一対の傾斜面34c,34dのクリアランスは、シート下方に向かって縮小する(両傾斜面が略逆ハの字状に配置する)。
そして突出部位(サポート部材,ランバーサポート50)にそれぞれ傾斜面34c,34dを当接させつつ、フレーム部材6Fにクッション材6Pを被せることができる。これにより各サポート部材21,22からの外力Fを分散して低減することができる(蓋部材34に働く外れ方向にかかる外力をFcosθとすることができる)。
【0031】
<実施例2>
本実施例の車両用シートは、実施例1の車両用シート2とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造は対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施例の送風流路部は、第一凹状部31aと、第二凹状部31bと、凹部32と、蓋部材34を有する(図9を参照)。第一凹状部31aは、クッション材6P裏面に設けた凹部(やや大寸)である。また第二凹状部31bは、第一凹状部31a内に設けた凹部(やや小寸)である。そして本実施例では、第二凹状部31b内に凹部32が形成される。
【0032】
そして蓋部材34は、第二凹状部31bに嵌込み可能な寸法を有する。さらに本実施例では、第二凹状部31bの深さ寸法を適宜調節するなどして、第二凹状部31bからの蓋部材34(特に下端側)の突出を極力防止することができる。なお蓋部材34の上端側は、第二凹状部31bに収納されていてもよく、第二凹状部31bから若干突出していてもよい。
そして本実施例によれば、第二凹状部31bに蓋部材34を嵌込むことにより、クッション材6Pを被せる途中で、各ステー部材11,12等が蓋部材34に当接する可能性を極力低減することができる。
【0033】
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、専ら一対の傾斜面を有する蓋部材を例示したが、蓋部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば蓋部材に、単数の傾斜面を形成してもよく、3以上の傾斜面を形成することもできる。なお一対の傾斜面は、左右対称形(ハの字状、逆ハの字状)に形成することができるとともに、左右非対称に形成することもできる。
(2)また本実施例では、フェルト製の蓋部材を例示したが、樹脂製の蓋部材を使用することができる。樹脂製の蓋部材を使用する場合には、傾斜面に、テーパ部位(縦断面でみて、シート後面を臨む縁部を傾斜状に切欠いた部位)を設けることができる。
【0034】
(3)また本実施形態では、突出部として、一対のサポート部材と、ランバーサポートを例示した。これら以外にも各種のシート内部の部材が突出部になりうる。なお本実施例の構成は、例えばサポート部材とランバーサポートの少なくとも一方を有する車両用シートに好適に使用することができる。
(4)また本実施形態では、やや大寸の蓋部材で凹部を被う構成を説明した。これとは異なりやや小寸の蓋部材を凹部に嵌込む構成とすることができる。
(5)また本実施形態では、略H字状(正面視)の凹部32を例示した。凹部32は、正面視で、例えば略矩形状、長方形状、円形状等の各種形状をとることができる。
(6)また本実施例では、専ら遠心式の送風機構を例示したが、送風機構の構成を限定する趣旨ではない。
(7)また実施例2では、適宜第一凹状部を省略することができる。
【符号の説明】
【0035】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6P クッション材
6F フレーム部材
6S 表皮材
6H 孔部
11,12 ステー部材
21 第一サポート部材
22 第二サポート部材
30 送風流路部
32 凹部
32a〜32d 溝部
33 水平面
34a 第一傾斜面
34b 第二傾斜面
34 蓋部材
35 溝状部
36 管部材
40 送風装置
42 送風機構
44 空間部
46 第一開口部
48 第二開口部
50 ランバーサポート
52 支持部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、前記シートクッションに対して起立可能に連結するシートバックと、前記シートバック内に配設される送風装置とを有して、前記送風装置から吹出される気体を、前記シートバックに設けた孔部を介して乗員に送風可能であり、
前記シートバックが、シート骨格をなすフレーム部材と、前記フレーム部材に被せられてシート外形をなすクッション材と、前記クッション材に設けられて前記孔部と連通する凹部と、前記凹部を被覆可能な蓋部材とを有し、前記蓋部材にて前記凹部を被覆しつつ、前記送風装置を前記凹部に連通するとともに、
前記フレーム部材が、前記蓋部材を臨む側に突出する突出部を有し、前記フレーム部材に前記クッション材を被せる際に、前記蓋部材の端部に前記突出部が当接可能な構成の車両用シートにおいて、
前記蓋部材の端部が、シート幅方向に向けて傾斜するとともに前記突出部に当接可能である傾斜面を有する車両用シート。
【請求項2】
前記車両用シートが、前記シートバック上部に取付け可能なヘッドレストを有し、前記ヘッドレストの一対のステー部材を、前記フレーム部材の一対のサポート部材に挿設することで、前記シートバックに前記ヘッドレストを取付ける構成であり、
前記フレーム部材が、前記突出部としての前記一対のサポート部材をシート幅方向に並列して有するとともに、
前記蓋部材の端部が一対の傾斜面を有し、前記フレーム部材に前記クッション材を被せる途中で、前記一対のサポート部材にそれぞれ前記傾斜面を当接可能である請求項1に記載の車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255781(P2011−255781A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131914(P2010−131914)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】