説明

車両用シート

【課題】アームレストの使い勝手をより向上させることにある。
【解決手段】アームレスト10の連結構造が、第一部位11と第二部位12の一方に取付けられる球状の連結部20と、一方とは異なる第一部位11と第二部位12の他方に取付けられて連結部20を回転可能に保持する凹状の被連結部22と、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持可能な維持機構とを有し、被連結部22に対する連結部20の相対回転により、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームレスト(乗員肘部などを支持可能な部材)を備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートとして、シートクッションと、シートバックと、アームレストを備えた車両用シートが公知である(特許文献1を参照)。
アームレストは、乗員肘部を支持可能な部材(角柱状)であり、物置台部材を有する。物置台部材は、略矩形状の部材であり、一面側に、カップホルダとしての凹部が形成されており、一面とは異なる他面側が平坦である。
公知技術では、物置台部材を、アームレスト先端(着座側)に取付けつつ、アームレストの軸周りに回転可能とする。そしてアームレスト後部を、シートバック途中に回転可能に取付けて、シートバック側部に対面する収納状態と、シートバックの着座側に突出する使用状態との間で変位可能とする。
そしてアームレストを使用状態としつつ、物置台部材を回転させて一面側を上向きとすることで、カップホルダとして凹部を使用する。また物置台部材を回転させて他面側(平坦)を上向きとすることで、乗員手首などを支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上述のシート構成では、シートの使い勝手を考慮して、アームレストの形状を自在に変更したいとの要請がある。例えば乗員体各差等に応じて、アームレストを途中でシート上下又は内外に屈曲させることにより使い勝手に優れる構成となる。
しかし公知技術では、アームレストの形状が極端に変わらない(物置台部材が軸周りに回転するだけである)ため、アームレストの使い勝手を考慮すると、すんなり採用できる構成ではなかった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、アームレストの使い勝手をより向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションと、シートクッションに起立可能に連結するシートバックと、シートバックから着座側に突出可能なアームレストとを有する。
本発明では、アームレストが、シートバックに取付けられて乗員肘部を支持可能な第一部位と、第一部位よりも着座側に配置可能な第二部位と、第一部位と第二部位を連結する連結構造とを有する。この種のシート構成では、アームレストの使い勝手をより向上できることが望ましい。
【0006】
そこで本発明では、上述の連結構造が、第一部位と第二部位の一方に取付けられる球状(断面円形状)の連結部と、一方とは異なる第一部位と第二部位の他方に取付けられて連結部を回転可能に保持する凹状の被連結部と、第一部位と第二部位の相対位置関係を維持可能な維持機構とを有する。
本発明では、被連結部に対して連結部(球状)を相対回転させて、第一部位に対する第二部位の相対位置関係を変更する。そして維持機構により、第一部位と第二部位の相対位置関係を維持することで、アームレストの形状を自在に変更できる。
【0007】
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、上述の維持機構が、被連結部と連結部の相対回転を規制するロック部を有することから、第一部位に対する第二部位の相対位置関係を安定感良く維持できる。
【0008】
第3発明の車両用シートは、第1発明又は第2発明の車両用シートにおいて、上述の連結部が、着脱可能に被連結部に取付けられる。
本発明では、被連結部から連結部を取外すことで、第二部位を、他の第二部位に交換することができる。例えば第一部位に対して、一の機能を有する第二部位と、他の機能を有する他の第二部位を適宜選択して取付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る第1発明によれば、アームレストの使い勝手をより向上させることができる。また第2発明によれば、アームレストを安定感良く使用することができる。そして第3発明によれば、アームレストの使い勝手を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用シートの斜視図である。
【図2】アームレストの斜視図である。
【図3】(a)は、第二部位の一部透視側面図であり、(b)は、第一部位の一部透視側面図である。
【図4】(a)は、連結部の斜視図であり、(b)は、被連結部の一部透視斜視図である。
【図5】実施例2にかかるアームレストを一部断面図で示す分解側面図である。
【図6】(a)は、変形例1にかかる第二部位の斜視図であり、(b)は、変形例2にかかる第二部位の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図6を参照して説明する。なお各図には、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを適宜付す。
図1の車両用シート2は、シート構成部材(シートクッション4,シートバック6,ヘッドレスト8)と、アームレスト10を有する。シート構成部材は、各々、シート骨格をなすフレーム部材(4F,6F,8F)と、シート外形をなすクッション材(4P,6P,8P)と、クッション材に被覆の表皮材(4S,6S,8S)を有する。
【0012】
<実施例1>
本実施例では、一対のアームレスト10(同一構成)を、シートバック6途中に回転可能に取付けて、第一状態と第二状態の間で変位可能とする(図1を参照)。
第一状態の各アームレスト10は、シートバック6の着座側に突出して、乗員肘部を支持可能である(図1の実線で示す状態を参照)。また第二状態の各アームレスト10は、シートバック6側部に対面配置してコンパクトに収納される(図1の二点破線で示す状態を参照)。
そして上述のシート構成では、使い勝手を考慮して、アームレスト10(第一状態)の形状を自在に変更したいとの要請がある。例えば乗員体格差等に応じて、アームレスト10を途中でシート上下又は内外に屈曲できることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成にて、アームレスト10の使い勝手をより向上させることとした。以下各構成について詳述する。
【0013】
[シートバック]
シートバック6は、シートクッション4に起倒可能に連結する部材であり、上述の基本構成(6S,6P,6F)を有する(図1を参照)。
表皮材6Sは、クッション材6Pを被覆可能な袋状部材であり、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)にて形成できる。またクッション材6Pは、シート外形をなす略長方形状の部材であり、ポリウレタンフォームなどの弾性力を有する樹脂にて形成できる。
そしてフレーム部材6Fは、アーチ状の枠部材(図示省略)であり、組付け部6Xを有する。組付け部6Xは、シート側方に開口する孔部であり、後述のアームレスト10(軸部)を回転可能に取付けることができる。
【0014】
[アームレスト]
アームレスト10は、乗員肘部を支持可能な部材であり、第一部位11と、第二部位12と、連結構造(連結部20,被連結部22)と、維持機構を有する(図1を参照)。
本実施例では、連結構造20,22により、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を変更する(アームレスト10を途中で屈曲させる)。そして維持機構(後述の摩擦力)により、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持することで、アームレスト10の形状を自在に変更可能とした。
【0015】
(第一部位・第二部位)
第一部位11は、平板部材(略長方形状)であり、アームレスト10の基部側(シートバック6側)を構成する(図1〜図3を参照)。本実施例の第一部位11は、乗員肘部を支持可能な長さ寸法の部材であり、軸部11aと、後述の連結構造(被連結部22)を有する。軸部11aは、円筒状の凸部位であり、第一部位11の一面(シートバック6を臨む面)に突設される。
また第二部位12は、第一部位11に連結可能な平板部材(略長方形状)であり、アームレスト10の先端側を構成する。本実施例の第二部位12は、乗員手首を支持可能な長さ寸法の部材であり、後述の連結構造(連結部20)を有する。
本実施例では、シートバック6側面に第一部位11を対面配置しつつ、組付け部6Xに軸部11aを回転可能に取付ける。こうすることで第一部位11(アームレスト10)が、第一状態と第二状態の間で変位可能となる。そして第一部位11の前部側に、連結構造(後述)を介して第二部位12を連結する。
【0016】
[連結構造]
連結構造は、第一部位11と第二部位12を連結する構造であり、連結部20と、被連結部22を有する(図1〜図3を参照)。
ここで連結構造(連結部20,被連結部22)の材質は特に限定しないが、両部材の面接触により適度な摩擦力を生ずる材質を有することが好ましい。この種の材質として、樹脂(天然樹脂,合成樹脂)、ゴム(天然ゴム,合成ゴム)、エラストマを例示できる。
【0017】
(連結部)
連結部20は、第二部位12に設けられる球状部位(断面円形状)であり、第一取付け部位20aを有する。
第一取付け部位20aは、短尺な棒状部位であり、連結部20一側から突出する。第一取付け部位20aの径寸法は、連結部20の中央部分の径寸法よりも小さく設定できる。
本実施例では、第一取付け部位20aを、第二部位12の後面中央に埋設しつつ、連結部20(球状)を、被連結部22に向かって突出配置する(被連結部22に連結可能に配置する)。
【0018】
(被連結部)
被連結部22は、第一部位11に設けられる凹状部位(断面円形状の空間部)であり、第二取付け部位22aを有する。
第二取付け部位22aは、短尺な棒状部位(稠密又は中空)であり、被連結部22一側から突出する。また被連結部22は、連結部20を嵌込み可能な空間部(略球形)であり、一端側に開口部位22b(略円形)を有する。開口部位22bの開口寸法は、連結部20の中央部分の径寸法よりも小さく設定できる。
本実施例では、第二取付け部位22a(他側)を、第一部位11の後面中央(被取付け部に対面可能な位置)に埋設する。そして開口部位22bを、第一部位11から露出させて、連結部20に連結可能に配置する。
そして本実施例の被連結部22は、適度な可撓性を有する部材であり、連結部20の挿入により撓み変形(拡開)可能である。このため開口部位22bを連結部20にて押圧しつつ拡開させることで、被連結部22内に連結部20を嵌装可能である。また被連結部22に連結部20を嵌装したのち、被連結部22が元の状態に復元することで連結部20(球状)を内接状態で保持できる。
【0019】
[第一部位と第二部位の連結(維持機構の形成)]
図1及び図2を参照して、第一部位11と第二部位12を、連結構造20,22を介して連結することにより、アームレスト10を途中で屈曲可能とする。
このとき第一部位11の先端(着座側)に第二部位12を配置しつつ、連結部20(球状)を、被連結部22に回転可能に嵌装する。そして被連結部22に連結部20を嵌装して内接(面接触)させることにより、両部の相対回転時において適度な摩擦を生ずる(維持機構としての摩擦力が生ずる)。この摩擦力(維持機構)により、第一部位11と第二部位12の相対位置関係(屈曲状態等)を維持できる。
ここで摩擦力の大きさは特に限定しないが、乗員手首部を第二部位12にて支持する際に、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持できる程度の摩擦力であることが好ましい。第二部位12にて乗員手首部を支持することで、例えば乗員が、比較的に楽に携帯電話等を操作できる(使い勝手に優れる構成となる)。
【0020】
[アームレストの形状変更]
そして被連結部22に対して連結部20(球状)を相対回転させて、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を変更する(図2の太線で示す矢印を参照)。
例えば本実施例では、被連結部22と連結部20(球状)を相対回転させることで、第二部位12を、第一部位11に対してシート上下及び内外に屈曲できる。また第二部位12を、第一部位11に対してアームレスト10の軸周りに回転できる。そして維持機構(摩擦力)により、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持することで、アームレスト10の形状を自在に変更できる。
【0021】
以上説明したとおり本実施例によれば、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を変更することにより、アームレスト10の形状を自在に変更できる。
また本実施例では、連結部20と被連結部22の間の摩擦力(比較的シンプルな機構)により、第一部位11に対する第二部位12の状態を維持することができる。
このため本実施例によれば、アームレスト10の使い勝手をより向上させることができる。
【0022】
<実施例2>
実施例2の基本構成は、実施例1の基本構成と同一であるため、同一の構成については同一の符号又は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
ここで本実施例の第二取付け部位22aは、中空の棒状部位(円筒状)であり、被連結部22(凹状)内に連通する(図4を参照)。そして第二取付け部位22aは、長孔部26と、一対の支持部28を有する。長孔部26は、第二取付け部位22aの上面の孔部(貫通孔)であり、第二取付け部位22aの途中に形成されてその筒長さ方向に延びる。
また一対の支持部28は、ともに平板状の部位であり、第二取付け部位22aの周面から長孔部26を挟んで突出配置する。一対の支持部28(略中央)には、貫通孔(略円形)が形成される。
【0023】
(ロック部(一例))
本実施例の維持機構は、ロック部30(ロック部位31,被ロック部位32)を有する(図4を参照)。
そしてロック部30にて、被連結部22と連結部20の相対回転を規制することにより、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持することができる。
ロック部位31は、連結部20(球面上)の凹部であり、連結部20に適宜の間隔で複数形成できる(図4では、便宜上一部のロック部位にのみ符号を付す)。本実施例では、後述するように第一部位11と第二部位12の相対位置関係に応じて、複数のロック部位31のいずれかに被ロック部位32(後述)が挿入される。
【0024】
また被ロック部位32は、挿入部位34と、付勢部位36と、操作部位(38a,38b)を有し、第二取付け部位22a内に配設できる。
挿入部位34は、円盤状の部位であり、その中心に、ロック部位31に挿入可能な凸部34a(略円筒形状)を有する。また付勢部位36は、コイルバネ状の部材であり、挿入部位34と操作部位(進退部38a)の間に介装できる。
【0025】
そして操作部位は、進退部38aと、レバー部38bを有する。進退部38aは、略円筒形状の部材であり、第一噛合い部39a(端部が波形の平板部位)を有する。本実施例では、第一噛合い部39aを、進退部38aの周面に取付けて、進退部38aの筒長さ方向に延長する(長孔部26に挿入可能に配置する)。
またレバー部38bは、シート上下に延びる直線状部位であり、第二噛合い部39b(略円形状の部位)と、回転軸Aを有する。本実施例では、レバー部38bの先端に第二噛合い部39bを設けるとともに、第二噛合い部39bの周面を凹凸状とする(第一噛合い部39aに噛合い可能とする)。そして第二噛合い部39bの両側中央に、同部の厚み方向に突出する回転軸Aを配置する。
【0026】
本実施例では、第二取付け部位22a(中空)内に、操作部位(進退部38a)と、付勢部位36と、挿入部位34をこの順で挿設する。
このとき進退部38aを、第二取付け部位22aの最も奥方に相対移動可能に配置しつつ、第一噛合い部39aを長孔部26から露出させる(第二噛合い部39bに噛合い可能に配置する)。
つぎに第一噛合い部39aと第二噛合い部39bを噛合せつつ、一対の支持部28(貫通孔)の間に回転軸Aを回転可能に挿設して、第二取付け部位22aにレバー部38bを組付ける。そして第一噛合い部39aと第二噛合い部39bの噛合いにて、レバー部38bを傾倒させて、進退部38aを、第二取付け部位22a内で進退させる。なおレバー部38bの起倒状態は、第二取付け部位22aと進退部38aとの間の摩擦力などにて維持できる。
【0027】
つぎに被連結部22側に凸部34aを向けつつ、挿入部位34を、第二取付け部位22aに挿入して、付勢部位36を介して進退部38aに当接配置する。このとき付勢部位36により、被連結部22側に挿入部位34が付勢される。
本実施例では、レバー部38bを起倒させて、被連結部22側に向けて進退部38aを進めることにより、挿入部位34(凸部34a)が被連結部22内に侵入する(ロック部位31に挿入可能に配置する)。また被連結部22側とは逆向きに進退部38aを進めることにより、挿入部位34(凸部34a)を被連結部22から抜き出すことができる。
【0028】
[アームレストの形状変更]
図1及び図4を参照して、被連結部22に対して連結部20(球状)を相対回転させて、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を変更する。
つぎにロック部30により、被連結部22と連結部20の相対回転を規制することで、第一部位11に対する第二部位12の状態(屈曲状態等)を維持できる。
例えば第一部位11に対して第二部位12を屈曲させたのち、レバー部38bを操作して、被連結部22側に向けて進退部38aを進めることにより、挿入部位34(凸部34a)が被連結部22内に侵入する。そして挿入部位34(凸部34a)が、ロック部位31に挿入されることで、被連結部22と連結部20の相対位置関係を維持できる(ロック状態となる)。
また被連結部22側とは逆向きに進退部38aを進めることにより、挿入部位34(凸部34a)を被連結部22から抜き出す。これにより挿入部位34(凸部34a)が、ロック部位31から抜き出されて、被連結部22に対する連結部20の相対回転が許容される(非ロック状態となる)。
【0029】
ところで上述の構成では、挿入部位34が、連結部20の球面(凹部の非形成箇所)に対面して、ロック部位31(凹部)に挿入できないことがある。
本実施例では、第一部位11に対して第二部位12を若干揺動することで(相対位置関係を若干変更することで)、挿入部位34が、ロック部位31(連結部20の凹部)に挿入されることとなる。このとき本実施例では、レバー部38bを傾倒させておけば、付勢部位36の付勢力により挿入部位34が自然と挿入される。
このように本実施例では、ロック部30により、第一部位11に対する第二部位12の位置関係をより安定感良く維持できる。
【0030】
<実施例3>
本実施例の基本構成は、実施例1又は2の基本構成と同一であるため、同一の構成については同一の符号又は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、連結部20を、被連結部22に対して着脱可能に取付ける(図5を参照)。そしてロック部30A(他例)にて被連結部22と連結部20の相対回転を規制することで、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持する構成である。
【0031】
ここで本実施例の被連結部22は、上下に二分割されており、第一分割部23aと、第二分割部23bと、第二取付け部位(24a,24b)を有する(図5を参照)。
第一分割部23aの他側(開口部位22bの形成位置とは異なる側)には第一平板部24a(半割された第二取付け部位の一方)が設けられて略水平に突出配置する。また第二分割部23bの他側には第二平板部24b(半割された第二取付け部位の他方)が設けられて、第一平板部24aに対面しつつ略水平に突出配置する。
そして第一平板部24aには、シート上下に貫通する貫通孔H1(ネジ孔有)が設けられており、ロック部30A(後述)に螺合可能である。また第二平板部24bには、シート上下に貫通する貫通孔H2(ネジ孔無)が設けられており、ロック部30A(後述)を相対移動可能に挿入できる。
本実施例では、第一分割部23aと第二分割部23bを、互いに近接離間する向きに相対移動可能として第二部位12に取付ける。このとき両分割部23a,23bの内面を、弾性を有する部材(ゴムやエラストマ)にて被覆することが望ましい。
【0032】
(ロック部(他例))
ロック部30Aは、ボールネジ状の部材であり、回転部位42と、被覆部位44を有する(図5を参照)。
回転部位42は、ロック部30Aの端部に設けられた円盤状の部位であり、回転部位42を周面周りに回転させることで、ロック部30Aを軸周りに回転させることができる。また被覆部位44は、ロック部30Aの外周を部分的に覆う部材である。
本実施例では、ロック部30Aを、第一部位11に回転可能に取付けつつ、シート上下に挿設状態で配置する。このとき回転部位42を外部に露出させた状態で、ロック部30Aを、第一平板部24aと第二平板部24b(貫通孔)に挿入する。そしてロック部位31を、第一平板部24a(貫通孔H1)に螺合しつつ、第二平板部24b(貫通孔H2)に挿入したのちボルトBで抜け止めする。
【0033】
[被連結部と連結部の組付け作業]
図1及び図5を参照して、連結部20を、被連結部22に対して着脱(嵌装、抜き出し)可能に取付ける。
このとき回転部位42を操作しつつ、ロック部30Aを軸周りに回転させて、第一平板部24aを、ロック部30Aの軸長さ方向に移動して第二平板部24bから離間させる。これにより開口部位22bを拡開させつつ、連結部20(球状)を、被連結部22に挿入する。つぎにロック部30Aを軸周りに逆回転させて、第一平板部24aを第二平板部24bに近接させる。これにより開口部位22bが縮小して、連結部20を、被連結部22に嵌装できる。
本実施例では、ロック部30Aを軸周りに回転させて開口部位22bを拡開させることにより、連結部20を、被連結部22から抜き出すことができる。
【0034】
そして被連結部22に対して連結部20を相対回転させて、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を変更する。
つぎにロック部30Aにより、被連結部22と連結部20の相対回転を規制することで、第一部位11に対する第二部位12の状態(屈曲状態等)を維持できる。
例えば第一部位11に対して第二部位12を屈曲させたのち、回転部位42を操作して、ロック部30Aを軸周りに逆回転させることで、第一平板部24aを第二平板部24bに近接させる。そして連結部20外面と被連結部22内面を面接触させることにより(摩擦力により)、第一部位11と第二部位12の相対位置関係を維持できる。
またロック部30Aを軸周りに回転させることにより、第一平板部24aと第二平板部24bを適度に離間させることで、被連結部22に対する連結部20の相対回転が許容される。
このように本実施例でも、ロック部30Aにより、第一部位11に対する第二部位12の相対位置関係を安定感良く維持できる。そして本実施例では、連結部20が、被連結部22に対して着脱可能に取付けられる。このため被連結部22から連結部20を取外すことで、第二部位12を、他の第二部位(後述)に適宜交換できる。
【0035】
<変形例>
変形例の基本構成は、実施例1〜3の基本構成と同一であるため、同一の構成については同一の符号又は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例では、連結部20が、被連結部22に対して着脱可能に取付けられる(図6を参照)。このため被連結部22から連結部20を取外すことで、第二部位12Aを、他の第二部位12Bに交換できる。例えば第一部位11に対して、一の機能を有する第二部位12Aと、他の機能を有する他の第二部位12Bを選択して取付けることができる。
【0036】
本変形例では、例えば平板状の第二部位12Aを第一部位11に取付けることで、第二部位12Aをテーブルとして使用できる(一の機能を発揮できる)。
また図を参照して、他の第二部位12Bを、第一部位11に取付けることができる。他の第二部位12B(棒状の部材)は、連結部位20xと、被連結部位22xを有する。連結部位20xは、連結部20と同構成の部位であり、他の第二部位12Bの一端側に設けられる。また被連結部位22xは、被連結部22と同構成の部位であり、他の第二部位12Bの他端側に設けられる。
そして他の第二部位12B(一端側)を第一部位11に連結するとともに、他の第二部位12B(他端側)に第二部位12(12A)を連結することで、アームレスト10を延長する(他の機能を発揮する)ことができる。
【0037】
また本変形例では、他の第二部位12Bの構成を適宜変更することができる。
例えば他の第二部位12Bを三又に分岐させることで、他端側に、複数の第二部位12Aを連結することができる。
そして本変形例では、他の機能として、ミラー、小物入れ、コンビニフック(袋を吊り下げ可能なフック)、携帯ホルダー、ドリンクホルダーを例示できる。
【0038】
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、連結構造(20,22)を露出状態で配置する例を説明したが、連結構造を、伸縮性のある面状部材(例えば表皮材と同材質の部材)で被覆することもできる。
(2)また本実施形態では、連結部20と被連結部22の形成位置を例示したが、これら部位の形成位置を限定する趣旨ではない。例えば被連結部22は、第一部位11(使用状態)の前面、上面、下面及び側面の少なくとも一部位に形成できる。また本実施例では、被連結部22を、第一部位11の前面中央に形成する例を説明した。被連結部22は、第一部位11前面の中央や上部や下部に形成することができる。そして第二部位12の取付け箇所を適宜変更することにより、第一部位11に対する第二部位12のシート上下方向の位置を適宜変更できる。
【0039】
(3)また本実施形態(変形例)では、他の第二部位12Bが、連結部位20xと、被連結部位22xを有する例を説明した。これとは異なり他の第二部位12Bの両端に、連結部位20x(又は被連結部位22x)一種のみを形成できる。この場合には第一部位11と第二部位12Aが、他の第二部位12Bに連結可能な部位(連結部20又は被連結部22)を有することとなる。
(4)また本実施形態では、維持機構を、連結構造20,22に設ける例を説明した。これとは異なり維持機構を、連結構造とは別の機構として第一部位と第二部位に設けることができる。例えば第一部位と第二部位を連結する棒状部材を維持機構として使用できる。そして棒状部材の一端を第一部位に相対移動不能に連結するとともに、棒状部材の他端を第二部材に相対移動不能に連結することで、両部位の相対位置関係を維持する。
【0040】
(5)また本実施形態では、一対のアームレスト10をシートバック6に取付ける例を説明したが、単数のアームレスト10を取付けることができる。
【符号の説明】
【0041】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
10 アームレスト
11 第一部位
12 第二部位
20 連結部
22 被連結部
30 ロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、前記シートクッションに起立可能に連結するシートバックと、前記シートバックから着座側に突出可能なアームレストとを有するとともに、
前記アームレストが、前記シートバックに取付けられて乗員肘部を支持可能な第一部位と、前記第一部位よりもシート着座側に配置可能な第二部位と、前記第一部位と前記第二部位を連結する連結構造とを有する車両用シートにおいて、
前記連結構造が、前記第一部位と前記第二部位の一方に取付けられる球状の連結部と、前記一方とは異なる前記第一部位と前記第二部位の他方に取付けられて前記連結部を回転可能に保持する凹状の被連結部と、前記第一部位と前記第二部位の相対位置関係を維持可能な維持機構とを有し、
前記被連結部に対する前記連結部の相対回転により、前記第一部位に対する前記第二部位の相対位置関係を変更可能である車両用シート。
【請求項2】
前記維持機構が、前記被連結部と前記連結部の相対回転を規制するロック部を有する請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記連結部が、着脱可能に前記被連結部に取付けられる請求項1又は2に記載の車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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