説明

車両用デッキボード

【課題】簡易な構成で、ストラップを本体部の端面に沿って起立させることが可能な車両用デッキボードを提供する。
【解決手段】ストラップ40は、本体部31における表裏両側の面のうち、一方側の面31Aに取り付けられる取付部41と、取付部41の端部から延設された延設部43と、延設部43に対して本体部31の端面31Dに向かう形で折り返される折り返し部45と、折り返し部45における延設部43とは反対側の端部から延設され、少なくとも一部が本体部31における表裏両側の面のうち、他方側の面31Bを超える形で延出される延出部47と、を備え、折り返し部45が本体部31の端面31Dに向かう形で折り返されることで、延出部47は、本体部31の端面31Dに向かって付勢されており、本体部31の端面31Dに向かって付勢された延出部47が、本体部31の端面31Dに当接することで端面31Dに沿って起立されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用デッキボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の荷室に設置される車両用デッキボードとして、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。下記特許文献1のデッキボード(ラゲージフロアトリム)においては、デッキボードを持ち上げる際に把持するためのストラップ(ストラップテープ)が設けられている。このようなストラップの一端部は、デッキボードの本体部(芯材)において裏面側に取り付けられている。そして、ストラップの他端部は、デッキボードの本体部を貫通することで形成された挿通部に挿通されることで、本体部の表面側に引き出されている。これにより、ストラップは挿通部の内壁によって全周方向から支持されることとなり、起立姿勢が保持される。これにより、ストラップを把持し易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−119650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成は、ストラップを挿通部に挿通させる構成であるため、ストラップの設置個所が、平面視におけるデッキボード(本体部)の内部に限定されてしまう。このため、ストラップの上に荷物が載置されてしまい、ストラップが使いづらくなることがある。また、荷物がストラップと干渉して、デッキボード上での荷物の移動がスムーズでなくなる事態も懸念される。
【0005】
上記のような問題点を解消するために、ストラップは、デッキボードの本体部における周端から引き出すことが好ましい。つまり、デッキボードの本体部における端面に沿う形でストラップを延設することが好ましい。しかしながら、デッキボードにおける本体部の端面に沿う形でストラップを設ける構成では、ストラップを挿通部に挿通する構成と比べて、ストラップの起立姿勢が保持し難いという問題点がある。このため、ストラップを本体部の端面に沿って起立させるために、例えば、ストラップを本体部における端面に、ビスなどで固定する必要などが生じ、ストラップの取付に係る作業性が低下してしまうという問題点がある。このため、ストラップをデッキボードの本体部における周端から引き出す場合において、より簡易な構成でストラップを起立させる構成が求められていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡易な構成で、ストラップを本体部の端面に沿って起立させることが可能な車両用デッキボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用デッキボードは、車両の荷室に設けられる車両用デッキボードであって、板状をなす本体部と、前記本体部に取り付けられ、可撓性を有するストラップと、を備え、前記ストラップは、前記本体部における表裏両側の面のうち、一方側の面の端部に取り付けられる取付部と、前記取付部の端部から延設された延設部と、前記延設部における前記取付部とは反対側の端部から延設され、前記延設部に対して前記本体部の端面に向かう形で折り返される折り返し部と、前記折り返し部における前記延設部とは反対側の端部から延設され、少なくとも一部が前記本体部における表裏両側の面のうち、他方側の面を超える形で延出される延出部と、前記延設部及び前記折り返し部を、互いに重なる形で保持する保持部と、を備え、前記折り返し部が前記本体部の端面に向かう形で折り返されることで、前記延出部は、前記本体部の端面に向かって付勢されており、前記本体部の端面に向かって付勢された前記延出部が、前記本体部の前記端面に当接することで前記端面に沿って起立されていることに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、延出部が、本体部の端面に向かって付勢されるとともに、本体部の端面に当接している。これにより、延出部を、本体部の端面に沿って確実に起立した状態とすることができる。このため、デッキボードを持ち上げる際などに、延出部を把持しやすくなる。また、デッキボードの内部にストラップを配置したものと比べて、荷物によってストラップが使用不可となることがない。また、荷物とストラップとの干渉を極力低減できる。さらに、本発明によれば、ストラップを折り曲げると言った簡易な構成で、ストラップの起立姿勢を保持することができる。
【0009】
上記構成において、前記延出部は、前記延出部の先端部が前記延出部の基端部に対して折り返されることで、輪状をなすものとすることができる。
【0010】
延出部を輪状とすることで、延出部に指などを引っ掛けることができ、ストラップをより把持しやすくなる。
【0011】
また、前記保持部は、前記本体部の前記端面の近傍となる箇所において、前記延設部及び前記折り返し部を互いに重なる形で保持しているものとすることができる。
【0012】
これにより、例えば、延設部及び折り返し部が、本体部の端面から遠い位置で保持されている構成と比較して、延出部を、本体部の端面に向かってより確実に付勢することができる。これにより、延出部をより確実に起立させることができる。
【0013】
また、前記延設部及び前記折り返し部は、前記一方側に突出する形状をなすものとすることができる。
【0014】
本発明においては、延設部及び折り返し部が、一方側に突出する形状をなしている。これにより、一方側から、延設部及び折り返し部を容易に把持することができる。このように、本発明においては、本体部の他方側の面が車室上側となるようにデッキボードを配置した場合には、延出部を把持することでデッキボードを持ち上げることができる。一方、本体部の一方側の面が車室上側となるようにデッキボードを配置した場合には、延設部及び折り返し部を把持することでデッキボードを持ち上げることができる。
【0015】
また、前記取付部を前記一方側から覆う被覆部材を備え、前記被覆部材は、前記本体部に対して、前記取付部を覆う位置と前記取付部を露出させる位置との間で回動可能に取り付けられており、前記被覆部材の前記本体部に対する回動軸は、前記被覆部材において、前記延設部側の端部に設けられているものとすることができる。
【0016】
取付部を一方側から覆う被覆部材を備えることで、取付部を隠すことができ、意匠性をより高くすることができる。ところで、取付部を被覆部材で覆う構成とした場合、延設部及び折り返し部を一方側に引っ張った際には、取付部も同方向に撓み変形する。その結果、取付部が被覆部材に当接し、被覆部材は、一方側に押圧される。これにより、本体部に対する回動軸を中心とした、被覆部材が開く方向への回転モーメントが生じる。
【0017】
この点、本発明においては、被覆部材の本体部に対する回動軸が、被覆部材において、延設部側の端部に設けられている。これにより、被覆部材の本体部に対する回動軸が、被覆部材において延設部とは反対側の端部に設けられている構成と比較して、取付部と被覆部材との当接箇所から、被覆部材の回動軸までの距離を小さくすることができる。このため、延設部及び折り返し部を一方側に引っ張った際に生じる回転モーメント(被覆部材が開く方向への回転モーメント)を小さくすることができる。この結果、被覆部材が開く事態をより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な構成で、ストラップを本体部の端面に沿って起立させることが可能な車両用デッキボードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係るデッキボードが設置された車両を示す斜視図
【図2】図1のデッキボードを示す断面図(図1のA−A線で切断した図に対応)
【図3】デッキボードから取り外された状態のストラップを示す斜視図
【図4】デッキボードから取り外された状態のストラップを示す断面図
【図5】カバー先端部が開いた状態のデッキボードを示す断面図
【図6】本発明の実施形態2に係るデッキボードを示す断面図
【図7】本発明の実施形態3に係るデッキボードを示す断面図
【図8】実施形態3の変形例を示す断面図
【図9】本発明の実施形態4に係るデッキボードを示す断面図
【図10】実施形態4の変形例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図5によって説明する。図1は、ハッチバックやステーションワゴンなど後部ドア(図示せず)を有する車両10を斜め後方から見た斜視図である。車両10のリアシート15の車両後方には、荷室13が形成されている。荷室13の床部18には、本実施形態のデッキボード30(車両用デッキボード)が設置されている。さらに荷室13の車両後方には、後部開口14が形成されており、この後部開口14を通じて荷室13に荷物が搬入される。また、後部ドアを閉じることで、後部開口14を閉止可能となっている。
【0021】
リアシート15は、着座者(図示せず)の背中や腰を受けるシートバック16、着座者の頭部を受けるヘッドレスト17などを備えている。また、リアシート15には、シートバック16の傾きを自在に調整するためのリクライニング装置(図示せず)が設けられ、シートバック16を車両前方に倒すことにより荷室13のスペースを拡張できる構成となっている。なお、シートバック16を車両前方に倒した状態(図示せず)では、シートバック16の背面と、デッキボード30(後述する本体部31)の上面とがほぼ面一となるように設定されている。
【0022】
デッキボード30は、図1に示すように、床部18に形成された凹部19(収容空間の一部)を覆うように水平姿勢で配置されている。デッキボード30は、車両前側に配されるフロントボード30Aと、車両後側に配されるリアボード30Bから分割構成されている。フロントボード30A及びリアボード30Bは、例えば、それぞれ車幅方向に長い形状をなしており、それぞれの後端にストラップ40が設けられている。以下の説明では、フロントボード30A及び、フロントボード30Aに設けられるストラップ40の構成について詳しく説明を行う。
【0023】
フロントボード30Aは、板状をなす本体部31と、本体部31における車両後方の端部に取り付けられたストラップ40を備えている。このストラップ40を引っ張ることで、デッキボード30を持ち上げることが可能となっている。
【0024】
本体部31は、図2に示すように、板状をなす基材32と、基材32の表裏両面をそれぞれ覆う形で設けられる補強部材33A,33Bと、補強部材33A,33Bの表面をそれぞれ覆う形で設けられる表皮材34,35と、を備えている。なお、補強部材33A,33Bは、例えば、接着剤や溶着など(図示せず)によって基材32に固着され、表皮材34,35は、例えば、接着剤や溶着など(図示せず)によって補強部材33A,33Bに固着されている。
【0025】
なお、本実施形態では、基材32として、樹脂を発泡してなる発泡基材を用いているが、発泡基材の他には中空状のブロー成形品や中実状の合成樹脂板などを用いることもでき、その材質は適宜変更可能である。また、本実施形態において、補強部材33A,33Bは、例えば、植物繊維を含有した樹脂からなるものを用いているが、これに限定されない。補強部材33A,33Bとして、他には金属板などを用いることもでき、その材質は適宜変更可能である。なお、表皮材34,35としては、例えば、合成繊維(ポリエステルやポリエチレン等)の不織布などが用いられるが、その材質は適宜変更可能である。また、リアボード30Bの構成もフロントボード30Aと同様の構成とされる。
【0026】
なお、本実施形態のフロントボード30Aにおいては、本体部31における表皮材34側の面(他方側の面31B)が上面として配置される状態(図2に示す状態)の他に、表裏を逆にして配置することも可能とされる。つまり、本体部31における表皮材35側の面(一方側の面31A)が上面となる形でフロントボード30Aを配置することも可能な構成となっている。また、リアボード30Bもフロントボード30Aと同様に表裏両面のうち、いずれかを選択して上面とすることが可能である。
【0027】
このような構成とすれば、例えば、表皮材34,35の意匠や機能を各々異なるものとすることで、フロントボード30Aにおいて、表皮材34,35のうち、いずれかを上側とするかを選択でき、好適である。例えば、表皮材34は、意匠性を重視したものとする一方で、表皮材35は、防水性、防滑性、防汚性など機能性の高いものなどを使用することができる。
【0028】
次に、ストラップ40の構成について詳しく説明を行う。ストラップ40は、図3に示すように、可撓性を有する帯状部材を屈曲させることで構成されている。
【0029】
ストラップ40は、本体部31における表裏両側の面のうち、一方側の面31A(図2における下側の面、裏側の面)の端部に取り付けられる取付部41と、取付部41の端部(図2における右側端部)から延設された延設部43と、延設部43における下端部(取付部41とは反対側の端部)から延設される折り返し部45と、折り返し部45における上端部(延設部43とは反対側の端部)から延設された延出部47と、を備えている。
【0030】
つまり、ストラップ40は、本体部31に取り付けられる取付部41側を基端側とした場合において、先端に向かうにつれて、取付部41、延設部43、折り返し部45、延出部47の順番で延設される形で構成されている。
【0031】
本体部31における周端部の一部(ストラップ40の取付箇所)は、図2に示すように、中央側に比して厚さが小さい薄板部36とされる。これにより、本体部31の一方側の面31Aにおいて、薄板部36の下面36Aは、その周囲の面よりも上方に配されている。
【0032】
取付部41は、この薄板部36の下面36Aに対して、リベット20によって取り付けられている。リベット20の一端部20Aは、本体部31に埋設されたインサートプレート37に対して係止されている。リベット20の軸部20Cは、ストラップ40の取付部41に形成された挿通孔41Aに挿通されている。そして、リベット20の他端部20Bは、プレート21を介して、取付部41に対して下側から係止される構成となっている。
【0033】
また、薄板部36の下面36Aと、取付部41との間には、カバー60(後述)におけるカバー基端部61が介在されている。また、リベット20の軸部20Cは、カバー基端部61に形成された挿通孔61Aに挿通されている。つまり、ストラップ40及びカバー60は、共通のリベット20によって、本体部31に取り付けられている。
【0034】
カバー60は、ストラップ40の取付部41及び、リベット20の他端部20Bを覆うことで意匠性を高くするためのもので、図2及び図5に示すように、カバー基端部61と、カバー先端部62と、カバー基端部61及びカバー先端部62を連結する連結部63(図5参照)と、を備えている。カバー先端部62(被覆部材)は、略板状をなしており、取付部41及びリベット20を本体部31の裏側(図2の下側)から覆う構成となっている。
【0035】
図5に示すように連結部63は、撓み変形可能な板状をなしている。これにより、カバー先端部62は、連結部63を回動軸として、カバー基端部61(ひいては本体部31)に対して、回動可能に取り付けられている。つまり、カバー先端部62は、取付部41及びリベット20を覆う閉位置(図2に示す位置)と、取付部41及びリベット20を露出させる開位置(図5に示す位置)との間で回動可能に取り付けられている。また、連結部63(カバー先端部62の本体部31に対する回動軸)は、カバー先端部62において、延設部43側の端部(図5の右側の端部)に設けられている。
【0036】
カバー先端部62には、図2に示すように、カバー基端部61側に突出する係止爪62Aが形成されている。この係止爪62Aの先端は、カバー基端部61に形成された取付孔61Bの孔縁に対して上方から係止される構成となっている。これにより、カバー先端部62がストラップ40の取付部41及びリベット20を覆った状態で保持される構成となっている。なお、取付部41は、カバー基端部61とカバー先端部62との間の隙間からカバー60の外部に延出されている(図2参照)。
【0037】
なお、閉位置にあるカバー先端部62の下面62Bと、本体部31の一方側の面31A(薄板部36の下面36Aを除く)とは、面一をなしている。これにより、カバー先端部62の下面62Bと、本体部31の一方側の面31Aとの間に段差が生じる事態を抑制している。このため、例えば、本体部31における一方側の面31Aが上方を向く形でフロントボード30Aを配置した場合において、本体部31の一方側の面31Aに荷物を載置させる際の作業性が良好となる。
【0038】
本実施形態のストラップ40においては、図2に示すように、略水平方向に延びる取付部41に対して、延設部43が屈曲され、斜め下方に向かって延びている。そして、折り返し部45は、延設部43に対して本体部31の端面31Dに向かう形(図2の左側へ向かう形)で折り返されている。
【0039】
延設部43及び折り返し部45は、縫い糸49(保持部)によって縫い合わさることで、互いに重なる形で保持されている。より具体的には、縫い糸49は、延設部43の基端(図2の上端)と、折り返し部45の先端(図2の上端)とを縫い合わせる構成とされる。言い換えると、縫い糸49は、延設部43及び折り返し部45において、本体部31の端面31Dに近い側の端部に設けられている。これにより、縫い糸49は、本体部31の端面31Dの近傍となる箇所(延設部43における基端部かつ折り返し部45における先端部)において、延設部43及び折り返し部45を互いに重なる形で保持している。
【0040】
また、互いに重ね合わせられた延設部43及び折り返し部45は、裏側に突出する形状(一方側に突出する形状)をなしている。これにより、延設部43と折り返し部45との屈曲箇所B3が、本体部31における一方側の面31Aを超えて配されている。なお、延設部43及び折り返し部45は、裏側に向かうにつれてフロントボード30Aの外側に向かう形で傾斜している。
【0041】
延出部47は、図2に示すように、上方に延びる基端部(延出部基端部47A)に対して、先端部(延出部先端部47B)が折り返されている。折り返された延出部先端部47Bの先端側は、延設部43と折り返し部45との間に挟みこまれており、上述した縫い糸49によって、延設部43と折り返し部45の双方に縫い付けられている。これにより、延出部47は、輪状(環状)をなしている。
【0042】
そして、延出部47における上部(延出部の一部、延出部基端部47Aに対する延出部先端部47Bの屈曲箇所B1を含む)は、本体部31における表裏両側の面のうち、他方側の面31B(図2における上面)を超える形で延出されている。
【0043】
上述したように、折り返し部45は、本体部31の端面31Dに向かう形で折り返されている。これにより、ストラップ40がフロントボード30Aに取り付けられていない状態(図3及び図4の状態、取付部41の延設方向が水平方向と一致する形で配される状態)においては、折り返し部45から延設される延出部47が、鉛直軸Y1(図4参照)に対して、取付部41(ひいては本体部31の端面31D)に向かって傾斜する形状をなしている。
【0044】
このようなストラップ40をフロントボード30A(デッキボード30)に取り付けることで、延出部47は、端面31Dに当接し、起立姿勢となる。言い換えると、折り返し部45を本体部31の端面31Dに向かう形で折り返すことで、延出部47は、本体部31の端面31Dに向かって付勢される構成となっている。そして、端面31Dに向かって付勢された延出部47が、端面31Dに当接する(支持される)構成となっている。これにより、延出部47は、端面31Dに沿って起立される。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、延出部47が、本体部31の端面31Dに向かって付勢されるとともに、本体部31の端面31Dに支持されている。これにより、延出部47を、本体部31の端面31Dに沿って確実に起立した状態とすることができる。このため、フロントボード30Aを持ち上げる際などに、延出部47を把持しやすくなる。また、フロントボード30A(本体部31)の内部にストラップを配置したものと比べて、荷物によってストラップが使用不可となることがない。また荷物とストラップ40との干渉を極力低減できる。また、本実施形態によれば、ストラップ40を折り曲げると言った簡易な構成で、ストラップ40の起立姿勢を保持することができる。
【0046】
上記構成において、延出部47は、延出部先端部47Bが延出部基端部47Aに対して折り返されることで、輪状をなしている。
【0047】
延出部47を輪状とすることで、延出部47に指などを引っ掛けることができ、ストラップ40をより把持しやすくなる。
【0048】
また、縫い糸49(保持部)は、本体部31の端面31Dの近傍となる箇所において、延設部43及び折り返し部45を互いに重なる形で保持している。
【0049】
これにより、例えば、延設部43及び折り返し部45が、本体部31の端面31Dから遠い位置で保持されている構成と比較して、延出部47を、本体部31の端面31Dに向かってより確実に付勢することができる。これにより、延出部47をより確実に起立させることができる。
【0050】
例えば、本体部31の端面31Dから遠い位置で延設部43及び折り返し部45を縫い合わせた場合(図2において2点鎖線で示す縫い糸49A参照)には、折り返し部45を折り返す力、つまり、延出部47を端面31D側に付勢する力が小さくなる。これに比べて、本実施形態では、延出部47の付勢力を大きくすることができる。
【0051】
また、延設部43及び折り返し部45は、本体部31における一方側(図2の下側)に突出する形状をなしている。
【0052】
本実施形態においては、本体部31における一方側(図2では下側)から、延設部43及び折り返し部45を容易に把持することができる。このように、本実施形態においては、本体部31の他方側の面31Bが車室上側の面となるようにフロントボード30A(デッキボード30)を配置した場合(図2の状態)には、延出部47を把持することでフロントボード30Aを持ち上げることができる。一方、本体部31の一方側の面31Aが車室上側の面となるようにフロントボード30Aを配置した場合には、延設部43及び折り返し部45を把持することでフロントボード30Aを持ち上げることができる。
【0053】
このように、本実施形態では、本体部31における両面31A,31Bのうち、どちらの面を上面とした場合であっても、ストラップ40を把持することができる。
【0054】
また、取付部41を裏側(一方側)から覆うカバー先端部62を備え、カバー先端部62は、本体部31に対して回動可能に取り付けられることで、取付部41を開閉可能な構成とされ、カバー先端部62の本体部31に対する回動軸(連結部63)は、カバー先端部62において、延設部43側の端部に設けられている。
【0055】
取付部41を一方側(図2では下側)から覆うカバー先端部62を備えることで、取付部41を隠すことができ、意匠性をより高くすることができる。これは、本体部31の一方側の面31Aが車室上側の面となるようにフロントボード30Aを配置した場合において特に好適である。
【0056】
ところで、取付部41をカバー先端部62で覆う構成とした場合、延設部43及び折り返し部45を一方側(図2では下側)に引っ張った際には、取付部41も同方向に撓み変形する。その結果、取付部41がカバー先端部62に当接し、カバー先端部62は、同方向(一方側)に押圧される。これにより、連結部63(本体部31に対する回動軸)を中心とした、カバー先端部62が開く方向(図2における反時計周り)の回転モーメントが生じる。
【0057】
この点、本実施形態においては、連結部63(カバー先端部62の本体部31に対する回動軸)が、カバー先端部62において、延設部43側の端部に設けられている。これにより、連結部63が、カバー先端部62において延設部43とは反対側の端部(図2の左側の端部)に設けられている構成と比較して、取付部41とカバー先端部62との当接箇所P1から、連結部63までの距離を小さくすることができる。このため、延設部43及び折り返し部45を一方側に引っ張った際に生じる回転モーメント(カバー先端部62が開く方向への回転モーメント)を小さくすることができる。この結果、カバー先端部62が開く事態をより確実に抑制できる。
【0058】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のデッキボード130においては、ストラップ140の構成が上記実施形態と相違する。
【0059】
本実施形態では、延設部143及び折り返し部145の長さが、上記実施形態1に比べて小さく設定されており、延設部143と折り返し部145との屈曲箇所B2が、本体部31における一方側の面31Aを超えて突出しない構成となっている。また、延設部143及び折り返し部145の長さ変更に伴って、延出部先端部147Bの延設長さも上記実施形態1に比べて小さく設定されている。このように、ストラップを構成する各部品の長さは適宜変更可能である。
【0060】
また、本実施形態においては、本体部31の他方側の面31Bを上側の面として用いた場合(図6の状態)では、ストラップ140の一部(延設部143及び折り返し部145)が一方側の面31Aを超えて裏側に突出しない構成としてあるため、デッキボード130下方の空間をより有効に活用することができる。
【0061】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図7及び図8によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のデッキボード230においては、ストラップ240の延出部247の構成が上記実施形態と相違する。
【0062】
本実施形態では、延出部247のうち、延出部先端部247Bの先端側が取付部41の上面に沿う形で延び、カバー基端部61と取付部41との間に介在されている。そして、延出部先端部247Bには、挿通孔248が形成され、挿通孔248には、リベット20の軸部20Cが挿通されている。
【0063】
このように、本実施形態のストラップ240は、取付部41と延出部先端部247Bの2箇所で本体部31に対して取り付けられており、取付強度をより高くすることができる。
【0064】
また、図8のストラップ340に示すように、本実施形態においても、延設部143と折り返し部145との屈曲箇所B2が、本体部31における一方側の面31Aを超えて突出しない構成であってもよい。
【0065】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図9及び図10によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のデッキボード430においては、ストラップ440の延出部447の構成が上記実施形態と相違する。
【0066】
上記実施形態では、延出部の先端が、基端に対して折り返され、延出部が輪状をなしている構成を例示した。これに対して、本実施形態では、延出部447の先端部がおり返されていない。このように、延出部447は、輪状をなしていなくてもよい。
【0067】
また、図10のストラップ540に示すように、本実施形態においても、延設部143と折り返し部145との屈曲箇所(連結箇所)が、本体部31における一方側の面31Aを超えて突出しない構成であってもよい。
【0068】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
(1)ストラップの形状は帯状に限定されず適宜変更可能である。ストラップは、例えば、断面視円形状をなす細長い紐状をなしていてもよい。
【0070】
(2)上記各実施形態では、ストラップがデッキボードにおける後端部かつ車幅方向の中央部に取り付ける構成を例示したが、ストラップの取付箇所は、これに限定されない。ストラップは、デッキボードの端部であればどこに取り付けてもよい。また、ストラップは、フロントボード30A及びリアボード30Bのうち、いずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0071】
(3)上記各実施形態では、保持部として縫い糸49を例示したが、これに限定されない。保持部は、延設部43と折り返し部45とを互いに重なる形で保持可能なものであればよく、例えば、リベット、タッカー針、ボルト(及びナット)などを用いてもよい。
【0072】
(4)縫い糸49による縫い位置は、上記各実施形態で例示した位置(端面31Dの近傍)に限定されない。例えば、延設部43及び折り返し部45の延設方向における中央部を縫い糸(図2において2点鎖線49Bで示す)で縫い合わせる構成としてもよい。
【0073】
(5)上記各実施形態では、デッキボードがフロントボード及びリアボードから分割構成されているものを例示したが、これに限定されない。例えば、デッキボードは、一枚のボードのみで構成されていてもよく、その端部(例えば、車体壁との境界部付近)にストラップが取り付けられている構成としてもよい。また、本体部31の構成(形状や表皮材の有無など)は上記実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…車両、13…荷室、30,130,230,430…デッキボード(車両用デッキボード)、31…本体部、31A…本体部の一方側の面(本体部における表裏両側の面のうち、一方側の面)、31B…本体部の他方側の面(本体部における表裏両側の面のうち、他方側の面)、31D…本体部の端面、40,140,240,340,440,540…ストラップ、41…取付部、43…延設部、45…折り返し部、47,247,447…延出部、47A…延出部基端部(延出部の基端部)、47B,147B,247B…延出部先端部(延出部の先端部)、49…縫い糸(保持部)、62…カバー先端部(被覆部材)、63…連結部(被覆部材の本体部に対する回動軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室に設けられる車両用デッキボードであって、
板状をなす本体部と、
前記本体部に取り付けられ、可撓性を有するストラップと、を備え、
前記ストラップは、
前記本体部における表裏両側の面のうち、一方側の面の端部に取り付けられる取付部と、
前記取付部の端部から延設された延設部と、
前記延設部における前記取付部とは反対側の端部から延設され、前記延設部に対して前記本体部の端面に向かう形で折り返される折り返し部と、
前記折り返し部における前記延設部とは反対側の端部から延設され、少なくとも一部が前記本体部における表裏両側の面のうち、他方側の面を超える形で延出される延出部と、
前記延設部及び前記折り返し部を、互いに重なる形で保持する保持部と、を備え、
前記折り返し部が前記本体部の端面に向かう形で折り返されることで、前記延出部は、前記本体部の端面に向かって付勢されており、
前記本体部の端面に向かって付勢された前記延出部が、前記本体部の前記端面に当接することで前記端面に沿って起立されていることを特徴とする車両用デッキボード。
【請求項2】
前記延出部は、前記延出部の先端部が前記延出部の基端部に対して折り返されることで、輪状をなすことを特徴とする請求項1に記載の車両用デッキボード。
【請求項3】
前記保持部は、前記本体部の前記端面の近傍となる箇所において、前記延設部及び前記折り返し部を互いに重なる形で保持していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用デッキボード。
【請求項4】
前記延設部及び前記折り返し部は、前記一方側に突出する形状をなすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用デッキボード。
【請求項5】
前記取付部を前記一方側から覆う被覆部材を備え、
前記被覆部材は、前記本体部に対して、前記取付部を覆う位置と前記取付部を露出させる位置との間で回動可能に取り付けられており、
前記被覆部材の前記本体部に対する回動軸は、前記被覆部材において、前記延設部側の端部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両用デッキボード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−56585(P2013−56585A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195157(P2011−195157)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000157083)トヨタ自動車東日本株式会社 (1,164)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】