説明

車両用ドアロック装置のラッチ機構

【課題】車両に装着されて使用される際に、ストライカからボデーの片持支持部を介してボデーの受部に大きな力が作用したとき、支承部にて前記受部の弾性変形量を抑制する。
【解決手段】車両用ドアラッチ装置10は、樹脂製のボデー11と、これを挟持するベースプレートとサブベースプレート13を備えている。ボデー11は、ラッチとポールを収容可能な収容部と、ストライカ30が挿通される挿通溝11cと、ストライカ30を対向内壁面11c1とで挟持する片持支持部11nと、この片持支持部11nの傾動を所定量に規定する受部11oと、片持支持部11nをストライカ30に対して押圧するクッションC2を収容可能なクッション収容部11pを有している。サブベースプレート13には、片持支持部11nの自由先端部が受部11oに係合して受部11oが弾性変形する際の変形量を抑制する支承部13cが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアロック装置のラッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアロック装置のラッチ機構の一つとして、樹脂製のボデーと、このボデーの一側に配置されるベースプレートと、前記ボデーの他側に配置されるサブベースプレートを備えていて、前記ボデーが、車体側のストライカによって押動されて回転するラッチと同ラッチに係合・離脱可能なポールを内部に収容可能な収容部と、前記ストライカが挿通される挿通溝と、この挿通溝の一部を構成し前記ストライカを前記挿通溝の一方の対向内壁面とで挟持する片持支持部(舌片部)と、この片持支持部の自由先端部と係合可能で前記片持支持部の傾動を所定量に規定する受部と、前記片持支持部の前記受部側に設けられて前記片持支持部を前記ストライカに対して押圧するクッションを収容可能なクッション収容部を有し、前記ベースプレートが、ドアに組付けるための取付孔と、前記ラッチの支持軸を軸支するためのラッチ軸支孔と、前記ポールの支持軸を軸支するためのポール軸支孔と、前記ストライカが挿通される挿通溝を有し、前記サブベースプレートが、前記ラッチを回転可能に支持する支持軸を軸支するためのラッチ軸支孔と、前記ポールを回転可能に支持する支持軸を軸支するためのポール軸支孔を有しているものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。なお、ボデーの片持支持部(舌片部)、受部、クッション収容部等に関しては、特開2001−98821号公報に詳細な記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−129810号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献1に記載されている車両用ドアロック装置のラッチ機構においては、ボデーの受部が弾性変形することに関して、特別な対策がなされておらず、車両に装着されて使用される際に、ストライカからボデーの片持支持部を介してボデーの受部に大きな力が作用した場合、ボデーの受部が大きく弾性変形することがある。
【0005】
(課題を解決するための手段)
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、樹脂製のボデーと、このボデーの一側に配置されるベースプレートと、前記ボデーの他側に配置されるサブベースプレートを備えていて、前記ボデーが、車体側のストライカによって押動されて回転するラッチと同ラッチに係合・離脱可能なポールを内部に収容可能な収容部と、前記ストライカが挿通される挿通溝と、この挿通溝の一部を構成し前記ストライカを前記挿通溝の一方の対向内壁面とで挟持する片持支持部と、この片持支持部の自由先端部と係合可能で前記片持支持部の傾動を所定量に規定する受部と、前記片持支持部の前記受部側に設けられて前記片持支持部を前記ストライカに対して押圧するクッションを収容可能なクッション収容部を有し、前記ベースプレートおよび前記サブベースプレートが前記ラッチおよび前記ポールを回転可能に支持し、前記片持支持部の自由先端部が前記受部に係合して前記受部が弾性変形する際の変形量を抑制する支承部が設けられている車両用ドアロック装置のラッチ機構に特徴がある。
【0006】
この場合において、前記ベースプレートが、ドアに組付けるための取付孔と、前記ラッチの支持軸を軸支するためのラッチ軸支孔と、前記ポールの支持軸を軸支するためのポール軸支孔と、前記ストライカが挿通される挿通溝を有し、前記サブベースプレートが、前記ラッチを回転可能に支持する支持軸を軸支するためのラッチ軸支孔と、前記ポールを回転可能に支持する支持軸を軸支するためのポール軸支孔を有しており、前記支承部は、前記サブベースプレートに一体的に形成されていることも可能である。サブベースプレートに一体的に形成されている前記支承部は、中間部に前記受部の弾性変形側面と当接可能な支承面を有し、一端部にて前記サブベースプレートの前記ラッチ軸支孔が形成されている部位に連結され、他端部にて前記サブベースプレートの前記ポール軸支孔が形成されている部位に連結されていることが望ましい。
【0007】
(発明の作用効果)
本発明による車両用ドアロック装置のラッチ機構においては、前記片持支持部の自由先端部が前記受部に係合して前記受部が弾性変形する際の変形量を抑制する支承部が設けられている。このため、車両に装着されて使用される際に、ストライカからボデーの片持支持部を介してボデーの受部に大きな力が作用した場合には、前記支承部にて前記受部の弾性変形量が抑制される。したがって、当該ラッチ機構の動作信頼性を向上させることが可能である。
【0008】
上記した本発明の実施に際して、前記支承部が前記サブベースプレートに一体的に形成されている場合には、部品点数を増加させることなく、当該ラッチ機構の動作信頼性を向上させることが可能である。また、前記サブベースプレートに一体的に形成されている前記支承部が、中間部に前記受部の弾性変形側面と当接可能な支承面を有し、一端部にて前記サブベースプレートの前記ラッチ軸支孔が形成されている部位に連結され、他端部にて前記サブベースプレートの前記ポール軸支孔が形成されている部位に連結されている場合には、前記支承部の支持剛性を高めることができて、その支承面にて前記受部を的確に支承することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による車両用ドアロック装置のラッチ機構の一実施形態をドアと共に示した斜視図である。
【図2】図1に示したラッチ機構と、これと係脱可能なストライカを、車両外方側からみた側面図である。
【図3】図2に示したラッチ機構の車両後方からみた背面図である。
【図4】図2に示したラッチ機構の車両前方からみた正面図である。
【図5】図2に示したラッチ機構からベースプレートを取り外した状態の背面図である。
【図6】図2のA−A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明による車両用ドアロック装置のラッチ機構10を示していて、このラッチ機構10は、自動車の前方右側に装備されるドア20(図1の仮想線参照)に図示省略のロック機構とともに装着されるものであり、樹脂製のボデー11と、鋼板製のベースプレート12と、鋼板製のサブベースプレート13を備えるとともに、金属製のラッチ14、ばね鋼製のラッチリターンスプリングS1、金属製のポール15、ばね鋼製のポールリターンスプリングS2、ゴム製のストッパ16および鋼板製のリフトレバー17を備えている。
【0011】
ボデー11は、ベースプレート12とサブベースプレート13間に介在する縦壁Wの一側(ベースプレート12が組付けられる側)にラッチ14とポール15を収容するための収容部11a1,11a2が形成され、縦壁Wの他側(サブベースプレート13が組付けられる側)にポールリターンスプリングS2を組付けるためのスプリング取付部11bが形成されている。また、ボデー11には、ストライカ挿通溝11c、2個の支持軸挿通孔11d,11e、3個のボルト挿通孔11f,11g,11h、ストッパ取付部11iが形成されているとともに、切欠11j、貫通孔11k、突起11mが形成されている。また、ボデー11には、片持支持部11n、受部11o、クッション収容部11pが形成されている。
【0012】
上方の収容部11a1は、図5に示したように、ラッチ14を所定量回動可能に収容するものであり、ラッチ14の復帰位置(図5に示した位置より時計回転方向に所定量回転した位置)を規定する突起11mが内部に向けて突出している。下方の収容部11a2は、図5に示したように、ポール15を所定量回転可能に収容するものであり、ポール15がラッチ14と係合する部分にて上方の収容部11a1に連通している。なお、収容部11a1,11a2の正面側は、ベースプレート12によって部分的に覆われている。
【0013】
スプリング取付部11bは、ポール15の回転支持部(支持軸19)から斜め下方に離れた位置にてボデー11の他側に形成されていて、図4および図6に示したように、ポールリターンスプリングS2のコイル部S2aを保持する軸部11b1およびコイル部S2aを囲む円弧状壁部11b2と、ポールリターンスプリングS2のボデー側端部S2bと係合する係止部11b3を有している。
【0014】
ストライカ挿通溝11cは、車体側に組付けられる周知のストライカ30(図2、図6参照)がドア20の開閉時に相対的に進入退避する溝であり、ボデー11の中央にて水平に形成されている。なお、ストライカ挿通溝11cの閉塞端部には、図6に示したように、ストライカ30の進入を弾性的に受け止めるためのゴム製のクッションC1が組付けられている。上方の支持軸挿通孔11dは、ラッチ14を回転可能に支持する支持軸18が挿通される貫通孔である。一方、下方の支持軸挿通孔11eは、ポール15と一体的に回転する支持軸19が挿通される貫通孔である。
【0015】
3個のボルト挿通孔11f,11g,11hは、当該ドアラッチ装置10が3本のボルト21,22,23(図1参照)を用いてドア20に組付けられる際に、各ボルト21,22,23の先端部がベースプレート12に設けたボルト取付孔部(雌ねじ部)12a,12b,12cにねじ込まれて挿通される挿通孔である。ストッパ取付部11iは、図5に示したように、上記した収容部11a1,11a2間に廂状に張り出した部分に設けられていて、ストッパ16が嵌合固定されている。
【0016】
切欠11jは、図5に示したように、ボデー11の一側下部に設けられていて、ベースプレート12とによって開口部を形成している。この開口部は、収容部11a1,11a2をポール15の下方にて下方に向けて開口させるものであり、下方からみて矩形に形成されている。貫通孔11kは、上記した収容部11a2とスプリング取付部11b間にて縦壁Wに円弧状に形成されていて、ポールリターンスプリングS2のポール側端部S2cが挿通可能である。
【0017】
片持支持部11nは、図6に示したように、ストライカ挿通溝11cの一部(下部の一部分)を構成していて、ストライカ30をストライカ挿通溝11cの上方の対向内壁面11c1とで挟持するように構成されている。受部11oは、片持支持部11nの自由先端部11n1と係合可能であり、片持支持部11nの下方への傾動を所定量に規定するように構成されている。クッション収容部11pは、片持支持部11nの受部11o側(下側)に設けられていて、片持支持部11nをストライカ30に対して押圧するゴム製のクッションC2を収容可能である。
【0018】
ベースプレート12は、図3に示したように、上記したボルト取付孔部(雌ねじ部)12a,12b,12cを有するとともに、支持軸18,19の軸支孔12d,12eと、ストライカ挿通スリット12fを有していて、支持軸18,19を介してサブベースプレート13に連結されている。サブベースプレート13は、図4に示したように、支持軸18,19の軸支孔13a,13bを有していて、ベースプレート12間にてボデー11とリフトレバー17を挟持するように配置されている。
【0019】
また、サブベースプレート13には、図4および図6に示したように、ボデー11の受部11oが弾性変形する際の変形量を抑制する支承部13cが設けられている。支承部13cは、図2に示したように、クランク形状に形成されていて、中間部に受部11oの弾性変形側面(下側面)と当接可能な支承面(上側面)を有し、一端部にてサブベースプレート13の軸支孔13aが形成されている部位に連結され、他端部にてサブベースプレート13の軸支孔13bが形成されている部位に連結されている。
【0020】
ラッチ14は、ベースプレート12とサブベースプレート13に支持軸18を介して回転可能に支持されていて、取付孔14a、ストライカ保持溝14b、ハーフラッチ爪14cおよびフルラッチ爪14dを有するとともに、スプリング係止孔14eと係合突部14fを有している。このラッチ14は、ドア20が閉じられる際に、ストライカ30によって押動されて回転するものであり、ラッチリターンスプリングS1によって復帰位置(係合突部14fがボデー11の突起11mに当接する位置)に向けて付勢されている。ラッチリターンスプリングS1は、支持軸18に同軸的に組付けられていて、ラッチ14とともにボデー11の収容部11a1に収容されており、一端をボデー11に係止し他端をラッチ14のスプリング係止孔14eに係止している。
【0021】
取付孔14aは、ラッチ14を支持軸18に対して回転可能に組付けるためのものである。ストライカ保持溝14bは、ドア20の開閉時にストライカ30が相対的に進入退避して摺動可能に係合する溝であり、図3に示したように、ベースプレート12のストライカ挿通スリット12fとによりストライカ30を保持可能である。
【0022】
ハーフラッチ爪14cは、ドア開状態から半ドア状態までの間において、ポール15の係合部15aと摺動可能に係合するものであり、半ドア状態にて、復帰位置にあるポール15の係合部15aによってラッチ14の復帰位置への回転を規制されるように構成されている。フルラッチ爪14dは、ドア閉近傍状態から図5に示したドア閉状態までの間において、ポール15の係合部15aと摺動可能に係合するものであり、図5に示したドア閉状態にて、復帰位置にあるポール15の係合部15aによって図5の時計回転方向への回転(ラッチ14の復帰位置への回転)を規制されるように構成されている。
【0023】
ポール15は、ベースプレート12とサブベースプレート13に支持軸19を介してリフトレバー17と共に回転可能に支持されていて、上記した係合部15aを有するとともに、スプリング係止部15bと係合突部15cを有している。また、ポール15は、ポールリターンスプリングS2によって図5に示した復帰位置(係合突部15cがボデー11に組付けたストッパ16に当接する位置)に向けて付勢されていて、図5に示した状態では、係合部15aにてラッチ14に係合して、ラッチ14の復帰位置(ドア開方向)への回転を阻止する。係合突部15cは、図5に示したように、ストッパ16の下面に、先端に向けて下方傾斜した状態で、当接可能である。
【0024】
なお、ポール15と支持軸19は一体的に形成されていて、支持軸19にリフトレバー17が一体回転可能に組付けられている。このため、リフトレバー17が、ドア20に設けたアウトサイドドアハンドルやインサイドドアハンドル(共に図示省略)のドア開操作に伴って、図示省略のロック機構を介して、図4の反時計回転方向に回転される際には、ポール15と支持軸19がポールリターンスプリングS2の付勢力に抗して図5に示した復帰位置から図5の時計回転方向に回転される。
【0025】
ポールリターンスプリングS2は、ポール15の回転支持部(支持軸19)から斜め下方に所定量離れた位置にてボデー11の他側に形成されたスプリング取付部11bに組付けられていて、中間部にコイル部S2aを有し、一端部にボデー側端部S2bを有し、他端部にポール側端部S2cを有している。ポール側端部S2cは、ボデー11に設けた貫通孔11kを通してボデー11の収容部11a2に入り込んでポール15のスプリング係止部15bに係合している。よって、ポールリターンスプリングS2は、図4に示したように、ベースプレート12によって部分的に覆われた収容部11a1,11a2外(ボデー11の他側)にコイル部S2aが配置されて、ボデー11に支持されることとなる。
【0026】
上記したこの実施形態のラッチ機構10においては、ボデー11における片持支持部11nの自由先端部11n1が受部11oに係合して受部11oが弾性変形する際の変形量を抑制する支承部13cが設けられている。このため、車両に装着されて使用される際に、ストライカ30からボデー11の片持支持部11nを介してボデー11の受部11oに大きな力が作用した場合には、支承部13cにて受部11oの弾性変形量が抑制される。したがって、当該ラッチ機構10の動作信頼性を向上させることが可能である。
【0027】
また、この実施形態では、支承部13cがサブベースプレート13に一体的に形成されているため、部品点数を増加させることなく、当該ラッチ機構10の動作信頼性を向上させることが可能である。また、サブベースプレート13に一体的に形成されている支承部13cは、クランク形状に形成されていて、中間部に受部11oの弾性変形側面(下側面)と当接可能な支承面(上側面)を有し、一端部にてサブベースプレート13の軸支孔13aが形成されている部位に連結され、他端部にてサブベースプレート13の軸支孔13bが形成されている部位に連結されているため、支承部13cの支持剛性を高めることができて、その支承面にて受部11oを的確に支承することが可能である。
【0028】
また、この実施形態のラッチ機構10においては、ベースプレート12とによって開口部を形成するボデー11の切欠11jがボデー11の一側下部に設けられていて、ラッチ14とポール15を収容するボデー11の収容部11a1,11a2がポール15の下方にて下方に向けて開口している。また、ポールリターンスプリングS2が、ポール15の回転支持部から下方に離れた位置にてボデー11の他側に形成されたスプリング取付部11bに組付けられていて、そのポール側端部S2cがボデー11に設けた貫通孔11kを通してボデー11の収容部11a2に入り込んでポール15のスプリング係止部15bに係合している。
【0029】
このため、ボデー11の収容部11a1,11a2の下方に形成される開口の大きさが、ポールリターンスプリングS2やボデー11のスプリング取付部11bによって阻害されることがなくて、必要十分な大きさの開口をボデー11に形成することが可能である。したがって、ボデー11の収容部11a1,11a2内に侵入した粉塵等のボデー11外への排出性を高めて、粉塵等の堆積に伴う不具合を効果的に抑制することが可能である。
【0030】
また、ポールリターンスプリングS2が、ポール15の回転支持部(支持軸19)から斜め下方に離れた位置にて、ボデー11の他側に形成されたスプリング取付部11bに組付けられるようにしたため、ポールリターンスプリングがポール15の回転支持部(支持軸19)に同軸的に組付けられる場合に比して、ポールリターンスプリングS2の配置の自由度を高めることができる。
【0031】
また、この実施形態のラッチ装置10においては、ポールリターンスプリングS2が、中間部にコイル部S2aを有し、一端部にボデー側端部S2bを有し、他端部にポール側端部S2cを有している。また、ボデー11に形成されたスプリング取付部11bには、コイル部S2aを保持する軸部11b1およびコイル部S2aを囲む円弧状壁部11b2と、ボデー側端部S2bと係合する係止部11b3が設けられている。
【0032】
これにより、ポールリターンスプリングS2を除いた構成部品(ボデー11、ベースプレート12、サブベースプレート13、ラッチ14、ポール15、ストッパ16、リフトレバー17、ラッチの支持軸18、ポールの支持軸19、ラッチリターンスプリングS1等)を組み合わせたサブアセンブリ状態にて、ポールリターンスプリングS2のポール側端部S2cをボデー11の貫通孔11kを通してボデー11の収容部11a2に挿通してポール15のスプリング係止部15bに係合させ、次いで、ポールリターンスプリングS2のコイル部S2aをボデー11に形成したスプリング取付部11bの保持部(11b1)に組付け、最後に、ポールリターンスプリングS2のボデー側端部S2bをスプリング取付部11bに設けた係止部11b3に組付けることで、ポールリターンスプリングS2を組付けることができる。このため、ポールリターンスプリングS2を除いた構成部品を組み合わせてサブアセンブリ化する際に、ポールリターンスプリングS2の付勢力が構成部品の組付を阻害することがなくて、サブアセンブリ化する際の組付性を良好とすることが可能である。
【0033】
また、この実施形態のラッチ機構10においては、図5に示したように、ポール15の復帰位置を規定するストッパ16が、ボデー11のストッパ取付部11i(収容部11a1,11a2間に廂状に張り出した部分)に組付けられている。また、ストッパ16が、ポールリターンスプリングS2によって図5の反時計回転方向に付勢されるポール15の係合突部15c上方に配置されていて、ポール15の係合突部15cが、先端に向けて下方傾斜した状態で、ストッパ16の下面に当接可能である。このため、ポール15の係合突部15cとストッパ16間に粉塵等が堆積し難くて、ポール15の復帰位置が粉塵等によって変更されることを抑制することができ、ポール15の機能(所定の位置にてラッチ14のドア開方向への回転を阻止する機能)が長期間安定して得られる。
【0034】
上記実施形態においては、ボデー11の受部11oが弾性変形する際の変形量を抑制する支承部13cをサブベースプレート13に一体的に形成して実施したが、支承部(13c)をサブベースプレート(13)とは別個に設けて実施することも可能である。なお、支承部(13c)をサブベースプレート(13)とは別個に設けた場合には、同支承部(13c)をサブベースプレート(13)またはベースプレート(12)に連結して実施する必要がある。
【0035】
また、上記実施形態においては、ボデー11のスプリング取付部11bに、ポールリターンスプリングS2のコイル部S2aを保持する軸部11b1(保持部)を設けて実施したが、ポールリターンスプリングS2のコイル部S2aを保持する保持部の形状は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…車両用ドアラッチ装置、11…ボデー、11a1…ラッチの収容部、11a2…ポールの収容部、11b…スプリング取付部、11b1…軸部、11b2…円弧状壁部、11b3…係止部、11c…ストライカ挿通溝、11j…切欠、11k…貫通孔、11n…片持支持部、11o…受部、11p…クッション収容部、C2…クッション、12…ベースプレート、12a,12b,12c…ボルト取付孔部、12d,12e…軸支孔、12f…ストライカ挿通スリット(挿通溝)、13…サブベースプレート、13a,13b…軸支孔、13c…支承部、14…ラッチ、15…ポール、16…ストッパ、17…リフトレバー、18…ラッチの支持軸、19…ポールの支持軸、S1…ラッチリターンスプリング、S2…ポールリターンスプリング、20…ドア、30…ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のボデーと、このボデーの一側に配置されるベースプレートと、前記ボデーの他側に配置されるサブベースプレートを備えていて、
前記ボデーが、車体側のストライカによって押動されて回転するラッチと同ラッチに係合・離脱可能なポールを内部に収容可能な収容部と、前記ストライカが挿通される挿通溝と、この挿通溝の一部を構成し前記ストライカを前記挿通溝の一方の対向内壁面とで挟持する片持支持部と、この片持支持部の自由先端部と係合可能で前記片持支持部の傾動を所定量に規定する受部と、前記片持支持部の前記受部側に設けられて前記片持支持部を前記ストライカに対して押圧するクッションを収容可能なクッション収容部を有し、
前記ベースプレートおよび前記サブベースプレートが前記ラッチおよび前記ポールを回転可能に支持し、
前記片持支持部の自由先端部が前記受部に係合して前記受部が弾性変形する際の変形量を抑制する支承部が設けられている
車両用ドアロック装置のラッチ機構。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置のラッチ機構において、
前記ベースプレートが、ドアに組付けるための取付孔と、前記ラッチの支持軸を軸支するためのラッチ軸支孔と、前記ポールの支持軸を軸支するためのポール軸支孔と、前記ストライカが挿通される挿通溝を有し、
前記サブベースプレートが、前記ラッチを回転可能に支持する支持軸を軸支するためのラッチ軸支孔と、前記ポールを回転可能に支持する支持軸を軸支するためのポール軸支孔を有しており、
前記支承部は、前記サブベースプレートに一体的に形成されている
車両用ドアロック装置のラッチ機構。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ドアロック装置のラッチ機構において、
前記支承部は、中間部に前記受部の弾性変形側面と当接可能な支承面を有し、一端部にて前記サブベースプレートの前記ラッチ軸支孔が形成されている部位に連結され、他端部にて前記サブベースプレートの前記ポール軸支孔が形成されている部位に連結されている
車両用ドアロック装置のラッチ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−92631(P2012−92631A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243094(P2010−243094)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】