説明

車両用バックミラー

【課題】 従来のバックミラーは、雨滴やごみ類が鏡に付着しやすく、また、清掃も面倒であった。
【解決手段】 本件出願のバックミラーは、バックミラー本体と、前記本体に脱着可能な庇を備え、前記庇は本体へのセット時に本体の上部外周から前方に突出する形状としたもの、又は、庇は不使用時には本体内に収容又は本体外部に重ねることができ、使用時には本体内又は本体外部から引き出して又は取り外して本体の上部外周に前方に突出するようにセットできるようにしたものである。また、本体又は庇に掃除具を備え、前記掃除具は手動操作によって本体の鏡の表面に沿って移動させて鏡の表面を清掃可能としたり、更に、庇がバックミラー本体の鏡の表面を移動可能であり、庇に装備された掃除具が庇の前記移動によりその移動方向と同方向に移動して鏡の表面を清掃できるようにしたりすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラック、バス、ごみ収集車、乗用車等の車両に装備される車両用バックミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バス、ごみ収集車、乗用車等の車両には各種形状、構造のバックミラーが装備されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のバックミラーはいずれも鏡面が外に露出しているため鏡面に雨滴や雪が付着して見づらくなることがあり、そのまま走行すると運転しにくくなり危険であった。このため付着した雨滴や雪はドライバーや助手が拭き取らなければならないという面倒があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は鏡面に雨滴、雪、塵芥等が付着しにくい車両用バックミラーと、雨滴、雪、塵芥等が付着してもそれらを拭き取り易い車両用バックミラーを提供するものである。
【0005】
本件出願の車両用バックミラーは請求項1記載のように、車両用のバックミラー本体と、バックミラー本体に脱着可能な庇を備え、前記庇はバックミラー本体へのセット時にバックミラー本体の上部外周から鏡面前方に突出する形状としたものである。
【0006】
本件出願の車両用バックミラーは、請求項2記載のように、車両用のバックミラー本体と、バックミラー本体に装備された庇を備え、前記庇は不使用時にはバックミラー本体内に収容又はバックミラー本体の外に重ねることができ、使用時にはバックミラー本体内又はバックミラー本体の外から引き出して又は取り外してバックミラー本体に装備でき、庇はバックミラー本体へのセット時にバックミラー本体の上部外周から鏡面前方に突出する形状にした。
【0007】
本件出願の車両用バックミラーは、請求項3記載のように、請求項1又は請求項2記載の車両用バックミラーにおいて、バックミラー本体又は庇に掃除具を備え、掃除具は手動操作によって又は自動でバックミラー本体の鏡面に沿って上下又は/及び左右に移動して鏡面を清掃可能とした。
【0008】
本件出願の車両用バックミラーは、請求項4記載のように、請求項3記載の車両用バックミラーにおいて、庇がバックミラー本体の鏡面の上下又は/及び左右に移動可能であり、庇に装備された掃除具が庇の前記上下又は/及び左右への移動に伴って庇の移動方向と同方向に移動して鏡面を払拭可能とすることもできる。
【0009】
本件出願の車両用バックミラーは、請求項5記載のように、請求項3記載の車両用バックミラーにおいて、庇に装備された掃除具は静止時には鏡面の上方で庇の内側に収容され、庇を動かすと庇の下方に押し出されて鏡面を払拭し、庇を元に戻すと押し出し前の位置に戻るようにした。
【発明の効果】
【0010】
本件出願の請求項1記載の車両用バックミラーは次のような効果がある。
(1)バックミラー本体に、バックミラー本体へのセット時にバックミラー本体の上部外周から鏡面前方に突出する形状の庇を設けたので、バックミラー本体に庇をセットすれば、鏡面に塵芥や雨滴が付着しにくくなり、鏡面に映る像が見易くなる。
(2)庇がバックミラー本体に脱着可能であるため、雨の降らない日はバックミラー本体から取外しておき、使用時にだけバックミラー本体にセットすることができる。また、取外したときは庇が邪魔になることがない。
【0011】
本件出願の請求項2記載の車両用バックミラーは次のような効果がある。
(1)不使用時には庇をバックミラー本体内に収容又はバックミラー本体の外に重ねることができるようにしたため、不使用時に庇が邪魔になることがない。
(2)使用時には庇をバックミラー本体内又はバックミラー本体の外から引き出して又は取り外してバックミラー本体にセットできるため、必要な時に迅速に庇をセットすることができる。また、使用時のセットが容易である。
(3)庇を、バックミラー本体へのセット時にバックミラー本体の上部外周から鏡面前方に突出する形状にしたため、鏡面に塵芥や雨滴が付着しにくくなり、鏡面に映る像が見易くなる。
【0012】
本件出願の請求項3記載の車両用バックミラーは上記の各種効果に加えて次のような効果もある。
(1)バックミラー本体又は庇に掃除具を備えるため、ドライバー等が一々布等を使って拭き取る必要もなく、容易に鏡面に付着した塵芥や雨滴を清掃することができる。
(2)掃除具がバックミラー本体の鏡面に沿って上下又は/及び左右に移動可能であるため、鏡面全面を手軽に清掃することができる。
(3)掃除具を手動操作によってバックミラー本体の鏡面に沿って上下又は/及び左右に移動させて鏡面を清掃できるようにした場合は、掃除具の移動機構を簡潔な構成で安価なものとすることができる。
【0013】
本件出願の請求項4記載の車両用バックミラーは、庇を鏡面の上下又は/及び左右に移動可能とし、その移動に伴って庇に装備した掃除具が同方向に移動するようにしたので、庇を移動させることにより鏡面全般を掃除することができる、という効果もある。
【0014】
本件出願の請求項5記載の車両用バックミラーは、庇に装備された掃除具が静止時には鏡面の上方で庇の内側に収容され、庇を移動させると庇の下方に押し出されて鏡面を払拭でき、庇を元に戻すと押し出し前の位置に戻るようにしたので、庇の僅かな動きで掃除具が庇の動きよりも広範囲を移動し鏡面全般を払拭できるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
本発明のバックミラーの第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。これら図に示すバックミラー1はトラック、ごみ収集車等の作業用車両に装備されるバックミラーであり、バックミラー1の背面側の樹脂製のケース2の前面に鏡3を設けたバックミラー本体(以下「本体」と記す。)4と、本体4に装備された庇5を備え、庇5の内側に掃除具6を設けたものである。
【0016】
前記本体4は樹脂製であり、既存の各種バックミラーの本体と同様に内部に空間7が形状され、ケース2は上部(蓋)8と下部9に分割し、上部8を図2のように下部9に開閉可能に連結し、蓋8の上面に庇5を出し入れ可能な開口部10が形成されている。ケース2の内面には補強用リブ(図示しない)が一体成型されている。
【0017】
前記庇5は図1〜図3に示すように前記開口部10から本体4のケース2の空間7内に収容されている。庇5は図2に示すようにケース2の空間7内に収容される形状及びサイズであり、基板11の左右両縁から側周壁12が、上縁から上周壁13が前方に突設して一体成型されている。庇5には伸縮バー14を取り付けてある。伸縮バー14はケース2の下部9内に縦向きに固定されたレール15にバー14を上下にスライド自在としてあり、バー14の上端を庇5の側周壁12の内面に回動自在に取り付けてあり、この構造とすることにより、庇5の不使用時には図1のように伸縮バー14を縮ませて庇5を本体4内に収容し、使用時には図3、図5(a)のように伸縮バー14を伸ばして庇5をケース2から引き出し、更に図4、図5(b)のように前方に回動させて鏡の前面上方に被せる(セットする)ことができるようにしてある。このようにセットした庇5は図4、図5(b、c)に示すようにその先端側を押し下げることができるようにしてある。
【0018】
前記掃除具6は図3に示すように回転ロール16が支持具17で庇5の上周壁13に取り付けられている。回転ロール16は図5(a〜c)に示すように、筒状の芯18の外周にスポンジ、ゴム、樹脂、不織布等の払拭材19を設けてある。払拭材19には清掃用の薬液をしみ込ませておくこともできる。支持具17には細い金属線が使用されており、その二本平行な上部20が庇5の上周壁13の外から内側に差し込まれ、左右に裾広がりになっている下部21の両端部が回転ロール16の芯18の両端に差し込まれて回転自在に支持されている。この回転ロール16は図3に示すように支持具17と庇5の基板11の間に架設された二本の引っ張りバネ22により基板11側に引かれて、図3、図5(a)のように庇5が上向きのときは庇5の側周壁12の下端部内側に収容されているが、庇5が図4、図5(b)のように前方に倒されると鏡3の前に押し出され、庇5が図5(c)のように下向きに押されると図4に仮想線で示すように鏡面上を回転しながら降下して鏡面全体を払拭し、庇5を図3、図5(a)に示すように上向きに戻すと引っ張りバネ22で引かれて夫々の図の元の位置に戻るようにしてある。なお、庇5が図4、図5(b)のように前方に倒されて鏡3の前に押し出されると支持具17のハンドル部23が上周壁13の前方に突出する。この上周壁13を押すと回転ロール16が鏡面上を回転しながら降下して鏡面全体を払拭し易くなる。
【0019】
前記掃除具6は図5(a)に示すように庇5の側周壁12の下端部内側に収容された状態で庇5と共に本体4のケース2の空間7内に収容され、庇5と共に図5(a)に示すようにケース2の外側まで引き出される。
【0020】
(使用例1)
前記実施形態の掃除具6でバックミラーの鏡面を払拭するには次のようにする。
(1)図1のように閉じているケース2の上部(蓋)8を図2のように開き、図3、図5(a)のように本体4のケース2内に収容されている庇5をケース2の上まで引き出し、その後に蓋8を閉じる。
(2)庇5を前方に回動させて倒し(セットし)、図4、図5(b)のように回転ロール16を鏡面の上部前方に押し出す。
(3)図5(c)のように庇5を手で押すと回転ロール16が鏡面に接触して回転しながら降下し、鏡面に付着している雨滴や雪が払拭される。このとき、引っ張りバネ22は伸びる。
(4)前記払拭後に庇5を上方に回動させて図3、図5(a)のように本体4のケース2の上に立てると、回転ロール16が同図の位置に戻る。このとき、回転ロール16は先に伸びた引っ張りバネ22の戻り力によって庇5の内側に引き戻される。
(5)前記(4)の状態で蓋8を開き、庇5を押し下げて回転ロール16と共にケース2の空間7内に押し込んで収容し、蓋8を閉じる。
【0021】
(実施形態2)
本発明のバックミラー1の第2の実施形態を図6、図7に基づいて説明する。これら図のバックミラー1もケース2の前面に鏡3を設けた本体4と、本体4に装備された庇5と、庇5の内側に掃除具6を備えていることにおいて実施形態1と共通し、異なるのは庇5を不使用時に本体4のケース2の背面上部に被せておき、使用時にはその庇5を引き上げて図7のように本体4の上方から前方に突出させてセットできるようにしたことである。このため本体4のケース2の両側面に図7に示すようにガイド溝25が形成され、そのガイド溝25に庇5のスライド軸24を移動可能に嵌入して、その移動により庇5を昇降できるようにしてある。スライド軸24は蝶ネジとか他のネジ等の固定具によりガイド溝25の所望位置に固定できるようにしてある。
【0022】
図6の庇5も基板11の両側縁の側周壁12と上縁の上周壁13が基板11の前方に突出するように一連に成型されて、ケース2の背面に被さる形状及びサイズにしてある。
【0023】
図6の掃除具6は実施形態1の掃除具6と同様にロール状の芯18の外周に払拭材19が設けられ、その回転ロール16の芯孔18aの両端に金属線材製の支持具17の両端が差し込まれて回転自在としてあり、更に、図示されていない引っ張りバネで支持具17のハンドル部23側に引かれている。
【0024】
(使用例2)
前記実施形態2の掃除具6でバックミラー1の鏡面を払拭するには次のようにする。
(1)図1のスライド軸24を緩めてから本体4の背面上部に被せてある庇5をガイド溝25に沿ってケース2の上まで引き上げる。
(2)前記のように引き上げた庇5を図7のように前方に倒して上周壁13、側周壁12が鏡面の前方に突出するようにセットする。このとき回転ロール16が鏡面の上部前方にセットされる。
(3)庇5を手で押し下げると回転ロール16が鏡面に接触して回転しながら降下し、鏡面に付着している雨滴や雪が払拭される。このとき、引っ張りバネ22は伸びる。
(4)前記払拭後に庇5を手動で上方に戻すと回転ロール16が元の位置に戻る。このとき回転ロール16は先に伸びた引っ張りバネ22の戻り力によっても元の位置に引き戻される。
(5)庇5のスライド軸24をガイド溝25に沿って押し下げて庇5をケース2の背面上部に被せ、スライド軸24を締付けて固定する。
【0025】
(実施形態3)
本発明のバックミラーの第3の実施形態を図8〜図10に基づいて説明する。このバックミラー1は庇5を不使用時には本体4から取外しておき使用時に本体4にセットするようにしたものであり、庇5の内側に掃除具6が設けられている。
【0026】
図8に示すように、本体4の上面から上方に二枚の支持片26が間隔をあけて平行に突設されている。庇5は上板27の外周前縁に前部庇28が、外周両側縁に側方庇29が形成され、左右の側方庇29の後方に連結片30が平行に突設されている。二枚の支持片26、二枚の連結片30の夫々の前方側に連結孔31が、後方には係止孔32が開口されている。二枚の支持片26と二枚の連結片30は、夫々の連結孔31において、蝶ナット等の固定具33で締付け固定できる。また、係止孔32には、係止バー34を差し込めるようにしてある。また、庇5の内側には回転ロール16が回転自在に設けられている。回転ロール16は前部庇28の外側から内側に差し込んだ金属製の線状の支持具17の裾広がりの下部21の先端を回転ロール16の両端の芯孔18aに差し込んで回転自在に支持してある。また、支持具17には引っ張りバネ22の一端が連結され、引っ張りバネ22の他端が庇5の上板27に連結されて、回転ロール16が庇5の内側上部鏡面側に引かれるようにしてある。
【0027】
(使用例3)
図8〜図10に示す庇5は次のようにして使用する。
(1)不使用時には庇5は本体4から取外されている(図8参照。)。
(2)使用時には本体の二枚の支持片26の外側に二枚の連結片30を配置し、二枚の支持片26の連結孔31に差し込んだ蝶ナット等の固定具33で連結片30を支持片26に締付けて固定し、庇5を鏡面の上部前方に突出させる。また、二枚の支持片26の係止孔32と二枚の連結片30の係止孔32に係止バー34を差し込んで庇5が前下がりになるのを防止する。(図9参照。)。
(3)鏡面を回転ロール16で払拭するには、前記係止バー34を抜いてから、前記固定具33の締め付けを緩め、その後に庇5の先端側を手で押し下げる(図10参照。)。このとき、回転ロール16を支持する支持具17のハンドル部23を庇5の内側に押して回転ロール16を鏡面の下方に押し下げて、鏡面の雪や雨滴を払拭する。
(4)払拭が終わったら庇5を上方に戻す。このとき、前記支持具17の押しを解除すると前記引っ張りバネ22で回転ロール16が庇5の内側上部鏡面側に引き戻される。
【0028】
(実施形態4)
本発明のバックミラーの第4の実施形態を、図11(a)(b)に基づいて説明する。このバックミラー1は本体4のケース2の上縁部に上部庇35を引き出し差込み自在に設け、両側縁に側方庇36を引き出し差込み自在に設けたものであり、ケース2の上縁部と両側縁にそれら庇を引き出し差込み可能なスリット37が形成されている。ケース2の上縁部と両側縁にはケース2内に収容した上部庇35、側方庇36を係止するためのピン38が引き出し押し込み可能に取り付けられている。
【0029】
上部庇35及び側方庇36は図11(a)に示すように、前記本体4のスリット37から前端部が突出して本体4内に収容されるようにしてある。ケース2の上面や側面が湾曲している場合は上部庇35、側方庇36がケース2内に収容されたときにケース2の湾曲に添って湾曲できる可撓性のある部材で形成されることが望ましい。上部庇35及び側方庇36には図11(b)に示すように本体4のピン38を挿通可能な孔39が開口されており、前記ピン38を夫々の孔39に挿通させると、ケース2に押し込まれて収容された上部庇35及び側方庇36が係止固定され、夫々のピン38を抜くとケース2内に収容されている上部庇35及び側方庇36が、カバー内のバネ(図示しない)で前方へ押し出されて所定の突出位置に停止するようにしてある。
【0030】
(使用例4)
図11(a)(b)に示す庇5は次のようにして使用することができる。
(1)不使用時には上部庇35及び側方庇36をケース2の内側に押し込んでそれらの前端部だけをケース2のスリット37から前方に突出させておく。このとき、上部庇35及び側方庇36をピン38によって係止しておく(図11a参照。)。
(2)使用時には夫々のピン38を引いて係止を解除する。これにより上部庇35及び側方庇36がケース2内のバネでケース2のスリット37からその前方に押し出されて鏡面の前方に突出してセットされる。(図11b参照。)。
【0031】
(実施形態5)
本発明のバックミラーの第5の実施形態を、図12に基づいて説明する。このバックミラー1は、図12に示すように、上部庇35及び左右の側方庇36を一体成型してなる庇5を、不使用時には本体4内に収容し、使用時には本体4内から引き出して本体4の上部にセットできるものである。また、掃除具6が、庇5とは別個に設けられ、不使用時でも鏡3の表面に備えられているものである。この掃除具6は、庇5を動かすことなく、回転ロール16を手動で上下に動かして鏡面を払拭可能としてある。
【0032】
本体4は、図12に示すように、基本的には前記各実施形態記載の本体4と形状、構造は共通する。本体4は、同図に示すように、前面の上部に、庇5を収容及び引き出すためのスリット40が開口されている。スリット40は、図12に示すように、庇5の形状に合わせて、両端部が下方に曲げられた形状に開口されている。本体4の前面の側縁部分には、前記掃除具6を上下動させるためのギアレール41が取り付けられている。また、本体4の側面には、掃除具6の上下動をガイドするためのガイド溝42が形成されている。
【0033】
庇5は、図12に示すように、上部庇35及び左右の側方庇36を一体成型してなるものであって、不使用時にはスリット40から前端部を突出させて本体4内に収容されるようにしてある。庇5は、使用時には手で直接引き出し及び収容できるようにしてある。
【0034】
掃除具6は、図12に示すように、不使用時にも鏡面上部に取り付けられており、本体4前面に備えられたカバー体43内に回転ロール16が備えられる構成としてあるものである。前記カバー体43は、本体4両側面に取り付けられる二枚の側板部44と、両側板部44の上部間を連結する前板部45を備える。カバー体43の側板部44の内側には、本体4のギアレール41と咬合するガイドギア46と、回転ロール16の両端に取り付けられ、前記ガイドギア46と咬合して回転ロール16を回転させるロールギア47が取り付けられている。また、カバー体43は、引っ張りバネ48によって本体4の上方に向けて付勢されている。また、カバー体43の側板部44の内側には、突起部(図示しない)が形成され、その突起部は本体4側面のガイド溝42内に入れられて、カバー体43をガイド溝42に沿って上下動させられるようにしてある。回転ロール16は、鏡面に接するように、カバー体43内に備えられている。
【0035】
従って、カバー体43の前板部45を手で直接押し下げると、カバー体43に取り付けられたガイドギア46が、カバー体43の押し下げに伴って図12中矢印X方向に回転する。ガイドギア46が回転すると、それに伴って、ガイドギア46と咬合するロールギア47が図12中矢印Y方向に回転し、それと同時に回転ロール16を矢印Y方向へ回転させる。矢印Y方向に回転する回転ロール16によって、鏡面を上から下に向けて払拭することができる。
【0036】
カバー体43の前板部45の押し下げを解除すると、引っ張りバネ48のバネ力によってカバー体43が上方へ戻る。カバー体43の戻りに伴って、ガイドギア46及びロールギア47が、押し下げ時と逆方向に回転し、回転ロール16も逆回転する。そのため、回転ロール16は鏡面を下から上に向けて払拭する。
【0037】
(使用例5)
前記図12に示すバックミラーを用いて、庇5を本体4の上部にセットし、鏡面を清掃するには、次のようにする。
(1)不使用時には、庇5は、本体4のスリット40から前端部を外側に出して本体4内に収容されている。また、掃除具6は、鏡面上部に取り付けられている(図12参照。)。
(2)庇4の前端部を手で直接把持し、前方へ引き出して、本体4の上部にセットする。
(3)カバー体43の前板部45を手で直接押し下げると、カバー体43に取り付けられたガイドギア46が、カバー体43の押し下げに伴って図12中矢印X方向に回転する。ガイドギア46が回転すると、それに伴って、ガイドギア46と咬合するロールギア47が図12中矢印Y方向に回転し、それと同時に回転ロール16を矢印Y方向へ回転させる。矢印Y方向に回転する回転ロール16によって、鏡面を上から下に向けて払拭することができる。
(4)カバー体43の前板部45の押し下げを解除すると、バネ力によってカバー体43が上方へ戻る。カバー体43の戻りに伴って、ガイドギア46及びロールギア47が、押し下げ時と逆方向に回転し、回転ロール16も逆回転する。そのため、回転ロール16は鏡面を下から上に向けて払拭する。
【0038】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、鏡面を清掃する掃除具には、回転しながら鏡面を払拭するロールが用いられているが、ロールの周囲にはワイパーを備えることもできる。この場合、鏡の表面に、雪や大きなごみ等が付着した場合であっても、ワイパーによって雪や大きなごみ等を大まかに掻き落とすことができ、ロールがそれらを巻き込むことがなくなる。また、掃除具として、ロールに代えてワイパーやブラシ等、他の任意の掃除具を用いることもできる。
【0039】
掃除具を動作させるための機構は、前記各実施形態に記載のものには限られず、任意の機構とすることができる。従って、例えば、本体にハンドルやワイヤーを備えておき、外部からそのハンドルやワイパーを引くと、ロールが鏡の表面を上下に移動して鏡の表面が清掃されるようにすることもできる。
【0040】
掃除具は、前記各実施形態記載のように、上下に動くものには限られず、左右や、上下左右に動くものとすることもできる。また、掃除具は、前記ロールやワイパーには限られず、任意とすることができる。
【0041】
本発明のバックミラーにおいては、掃除具又は庇を省略することも可能である。
【0042】
前記各実施形態記載の本体、庇、掃除具等の形状、構造、大きさ、素材等はあくまで一例であって、発明の内容がこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のバックミラーは、トラック、バス、ごみ収集車等の大型車両には限られず、乗用車、オートバイ等、広くバックミラーを装備する車両全般に応用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のバックミラーの第1の実施形態であって、不使用時の様子を示す斜視図。
【図2】図1に示すバックミラーの本体の蓋部を開いた様子を示す斜視図。
【図3】図1に示すバックミラーの庇を引き出した様子を示す斜視図。
【図4】図1に示すバックミラーの使用時の様子を示す斜視図。
【図5】(a)〜(c)は、図4に示すバックミラーの掃除具の動作を示す側面説明図。(a)は庇を本体から引き出した様子、(b)は庇を押し下げる前の様子、(c)は庇を押し下げた時の様子を夫々示す。
【図6】本発明のバックミラーの第2の実施形態であって、不使用時の様子を示す斜視図。
【図7】図6に示すバックミラーの使用時の様子を示す斜視図。
【図8】本発明のバックミラーの第3の実施形態であって、不使用時の様子を示す斜視図。
【図9】図8に示すバックミラーの使用時の様子を示す斜視図。
【図10】図8に示すバックミラーの掃除具を動作させた様子を示す斜視図。
【図11】(a)(b)は、本発明のバックミラーの第4の実施形態を示す斜視図。(a)は不使用時の様子、(b)は使用時の様子をそれぞれ示す。
【図12】本発明のバックミラーの第5の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
1 バックミラー
2 ケース
3 鏡
4 本体
5 庇
6 掃除具
16 回転ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のバックミラー本体と、バックミラー本体に脱着可能な庇を備え、前記庇はバックミラー本体へのセット時にバックミラー本体の上部外周から鏡面前方に突出する形状であることを特徴とする車両用バックミラー。
【請求項2】
車両用のバックミラー本体と、バックミラー本体に装備された庇を備え、前記庇は不使用時にはバックミラー本体内に収容又はバックミラー本体の外に重ねることができ、使用時にはバックミラー本体内又はバックミラー本体の外から引き出して又は取り外してバックミラー本体に装備でき、庇はバックミラー本体へのセット時にバックミラー本体の上部外周から鏡面前方に突出する形状であることを特徴とする車両用バックミラー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用バックミラーにおいて、バックミラー本体又は庇に掃除具を備え、掃除具は手動操作又は自動でバックミラー本体の鏡面に沿って上下又は/及び左右に移動して鏡面を払拭可能であることを特徴とする車両用バックミラー。
【請求項4】
請求項3記載の車両用バックミラーにおいて、庇がバックミラー本体の鏡面の上下又は/及び左右に移動可能であり、庇に装備された掃除具が庇の前記上下又は/及び左右への移動に伴って庇の移動方向と同方向に移動して鏡面を払拭可能であることを特徴とする車両用バックミラー。
【請求項5】
請求項3記載の車両用バックミラーにおいて、庇がバックミラー本体の鏡面の上下又は/及び左右に移動可能であり、庇に装備された掃除具は静止時には鏡面の上方で庇の内側に収容され、庇を動かすと庇の下方に押し出されて鏡面を払拭でき、庇を元に戻すと押し出し前の位置に戻ることを特徴とする車両用バックミラー。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−283840(P2007−283840A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111428(P2006−111428)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(306010048)
【Fターム(参考)】