説明

車両用ヘッドランプ

【課題】基本的照明機能を大幅に悪化させることなく、光出口開口部の少なくとも一部が直接的な環境および/または光出口開口部の少なくとも別の部分とは異なる外観を有するようにすること。
【解決手段】本発明は、ランプの基本作動状態にて基本光を放出する少なくとも1つのメイン光源(2)と、少なくとも1つの光出口開口部(6)と、前記基本光のビーム路内に配置された少なくとも1つの半透明本体(3)とを備えた車両用ヘッドランプであって、少なくとも1つのメイン光源(2)がアクティブな作動状態および/または非アクティブな作動状態にあるときに、少なくとも1つの二次光源(5)によって発せられる二次光も、半透明本体(3)内に結合でき、一次光のビーム路に平行でない不透明本体(3)内に二次光を結合できる、車両用ランプに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの基本作動状態にて基本光(一次光)を放出する少なくとも1つのメイン光源と、少なくとも1つの光出口開口部と、前記基本光のビーム路内に配置された少なくとも1つの半透明本体とを備えた車両用ヘッドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
基本機能(メイン機能)、例えばアクティブ作動状態において、ランプは、長距離照明光を発生するためのハイビームヘッドランプ機能の他に、デザイン上の理由からも、交通の安全性を改善するため、更に別の二次的機能を有する。
【0003】
例えばこれらランプは、車両の全体の構造にほとんどシームレスに合体するか、またはデザイン上の全体の印象を強調しなければならない。このことは、装飾的な要素または当該メーカーのマーク、特にロゴをディスプレイすることも含む。第2に、ランプの形状は車両の全体のデザインまたは対応するデザインの可能性を制限しないよう、コンパクトで、かつ小さく、またはできるだけ変化できるものでなければならない。
【0004】
ドイツ特許第DE10248660B4号は、かかるランプを記載しており、このランプの光出口開口部は光のパッシーブな状態では、その直接的環境の周辺カラーに実質的に対応するカラーとなる。
【0005】
更に、特にランプが附勢されている状態のときに、光出口開口部の一部の領域の外観が目立つように、この一部の領域の透明度がランプの他の部分領域と異なるよう、車両のランプの光出口開口部を設計することが知られている。米国特許第5,939,979号に記載されているこのような解決方法では、装飾的要素またはマーク、特に当該メーカーのロゴをディスプレイすることが可能である。このような違った透明度を得るには、ランプの光のビーム路内に一部が透明または不透明となっている本体を配置するが、これによってランプの光の特性が望ましくない程度に、または受け入れできない程度に悪化し得る。
【0006】
このような解決方法は、ランプの光の特性が望ましくないか、または受け入れできないような悪化を認めることができない用途では使用できない。このような解決方法は、例えば当該規格に係わるハイビームランプに対しては、通常許可されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、基本的照明機能を大幅に悪化させることなく、光出口開口部の少なくとも一部が直接的な環境および/または光出口開口部の少なくとも別の部分とは異なる外観を有するように、二次的照明機能の達成を可能にするランプ、照明ユニットおよび作動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は請求項1の特徴事項によって解決される。
【0009】
本発明にとって、二次光を基本光のビーム路内に平行でない半透明本体内に結合できる場合、少なくとも1つのメイン光源がアクティブな作動状態および/または非アクティブな作動状態にあるときに、少なくとも1つの二次光源によって発せられる二次光も、半透明本体内に結合できることが不可欠である。
【0010】
このことは、特に装飾的要素またはマーク、特にロゴを車両の外部の観察者にとって明瞭に識別可能にできる。
【0011】
このことは、光出口開口部の少なくとも一部が直接的な環境および/または光出口開口部の少なくとも別の部分とは異なる外観を有することによって達成される。このことは、対応する外観を認識するときに車両の外部に通常立っている観察者にとって、光出口開口部または光出口開口部のカバープレートを直接的または間接的に認識可能となっているケースも含む。このことは、特に光出口開口部が車両の外側表面の一部を形成するケースも意味する。このことは間接的には、発生する光のビーム路内において通常透明であり、使用可能な場合にはカラー材料を含む別の外側カバー要素が配置されていることを意味する。
【0012】
ここで、「外観」なる用語は、特に人の眼による直接的な認識に関連している。しかしながら、本発明の意味では、これだけに限定されるものではない。例えばかかる外観はまず人の眼によってそれ自体公知である補助具(例えば赤外線検出カメラ)を使用することによっても、まず可視化できる。
【0013】
基本光とは異なる二次光に結合することにより、二次光の光源を自由に配置でするか、または車両内に光源を配置することを少なくとも更に可能にできる。これらは設置のために特別なスペースを必要としない場所に設置することが好ましいが、以前に使用されていなかったスペースを利用できるようになる。場所の選択においても、別の特徴、例えば二次光源の自然な熱の発生効果も考慮できる。基本光源の領域では、かかる熱は望ましくないことが多い。したがって、光源の対応する選択が可能となり、その光源から発せられる光は、光ガイドシステム、例えば光ケーブルに結合するのに適しており、光を効果的に結合できる。
【0014】
半透明本体は、プラスチックおよび/またはガラスを特に含む透明本体であることが好ましい。この透明本体は、立方体またはプレートの形態であることが特に好ましい。このプレートの2つの対向するメイン面のうちの一方は、基本光に対する光入口ウィンドとして働き、第2の面は、基本光および二次光に対する光出口ウィンドとして働く。規則的な形状のプレートの更に別の4つの二次的面のうちの少なくとも1つからプレート内に二次光が結合される。
【0015】
2つのメイン面の間には、多数のスロットが配置され、これらスロットは例えばレーザーによってプレート材料内に加工されたものである。従って、このプレート材料およびスロット内の空気は屈折率が異なる。特にプレート状となっている規則的に形成されたスロットが互いに平行に配置されており、これらスロットは二次光に対する光出口開口部として働く。
【0016】
半透明本体は少なくとも1つのメイン光源と光出口開口部のカバープレートとの間に配置するか、または光出口開口部のカバープレートの上に配置するか、またはその内部に組み込むか、またはランプの別の部品の上に配置するかまたはその内部に組み込むか、特にそのレンズの上に配置することが更に好ましい。
【0017】
本発明に係わるランプは、長距離ヘッドライト、ディップヘッドライト、パーキングライト、昼間走行ライト、ブレーキライト、表示ライト、バックライト、ポジションライト、フォグライト、または追加ヘッドライトであることが好ましく、特に長距離ヘッドライトであることが好ましい。本発明に係わる解決方法は、基本的にはすべての車両のランプに適す。このことは、ランプの機能に関し、厳密な規則または規格を受けるランプ、例えばディップビーム機能を有する道路車両の前方ヘッドライトにも当てはまる。
【0018】
本発明に係わる目的は、請求項10記載の特徴事項に係わる照明ユニットおよび請求項11に記載の方法によっても達成される。
【0019】
以下、添付図面を参照して説明する好ましい実施例を参照すれば、本発明の別の詳細、特徴および利点が明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明に係わるランプ、本明細書では長距離ヘッドライトの断面略図を示す。特にこのランプは、従来のレフレクタ1と、基本光源2(メイン光源)と、本例ではハロゲンランプ、すなわちフィリップスH7とを有する。図1において、点線で示されている基本光のビーム路内には半透明本体3が配置されている。この半透明本体3は、プレート状に形成され、基本光がこの半透明本体の2つのメイン面を通ってこの本体に入射したり、離間したりする。光ガイドシステム4の一端部には4つの二次的表面の下方が接続されており、光ガイドシステム4の他端には二次的光源5、本例ではフィリップス社のハイパーレフレックス(HiPerReflex)ランプが接続されている。従って、基本光の光ビームに並列ではなく、このビーム路にほぼ垂直な半透明本体内に二次光が結合できる。このランプは、透明カバープレート状の光出口開口部6も有する。図1にはランプの作動に必要な別の部品は示されておらず、これら図示されていない部品は公知のタイプの従来の部品となっている。
【0021】
図2は、図1に示された半透明本体3の略図である。この半透明本体3は、プラスチックから製造された透明体である。この半透明本体3は、対称的に形成されたプレート状となっている。このプラスチック3の対抗する2つのメイン面のうちの1つは、基本光に対する光入口ウィンド7として働き、他方の面は基本光および二次光に対する光出口ウィンド9として働く。規則的に形成されたプレート3の別の4つの二次的表面のうちの少なくとも1つ、本明細書では下方の二次的表面10から従来の態様で二次光がプレート3内に結合するようになっている。これら2つのメイン面の間には、多数のスロット8が配置されており、これらスロットは例えばレーザーによりプレート3の材料内で働く。従って、プレート3のプラスチック材料とスロット8内の空気とは屈折率が異なる。
【0022】
特にプレート状に製造された、規則的に形成されたスロット8は、互いに平行に配置されている。スロットは二次光の光出口開口部として働く。スロット8を一定に配置したことにより、所望するモチーフ、例えば装飾的要素またはマーク、特にロゴだけでなく、ワードも、観察者に見えるようになっている。特に従来の回路装置を用いると、前記メイン光源または少なくとも1つのメイン光源2のアクティブな作動状態および/または非アクティブな作動状態において、少なくとも1つの二次光源から発せられた二次光を半透明本体(単数または複数)内に結合することが可能となる。
【0023】
本発明に従い、プレート3内に二次光を結合することにより、基本的照明機能、本明細書ではハイビーム機能を大幅に悪化させることなく、光出口開口部の少なくとも一部が直接的な環境および/または光出口開口部の少なくとも1つの他の部分と異なる外観を有するような二次照明機能を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係わる長距離ヘッドライトの断面略図である。
【図2】半透明本体の略図である。
【符号の説明】
【0025】
2 基本光源
3 半透明本体
5 二次光源
7 光入口ウィンド
8 スロット
9 光出口ウィンド
10 二次表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプの基本作動状態にて基本光を放出する少なくとも1つのメイン光源と、少なくとも1つの光出口開口部と、前記基本光のビーム路内に配置された少なくとも1つの半透明本体とを備えた車両用ヘッドランプにおいて、
二次光を基本光のビーム路内に平行でない半透明本体内に結合できる場合、少なくとも1つのメイン光源がアクティブな作動状態および/または非アクティブな作動状態にあるときに、少なくとも1つの二次光源によって発せられる二次光も、半透明本体内に結合できることを特徴とする車両用ヘッドライト。
【請求項2】
前記半透明本体は、特にプラスチックおよび/またはガラスを含む透明本体であり、二次光の所定の方向の変化を生じさせるための少なくとも1つの要素を有することを特徴とする請求項1記載のヘッドランプ。
【請求項3】
前記半透明本体は、二次光の前記光出口開口部であるスロットを有することを特徴とする請求項2記載のヘッドランプ。
【請求項4】
前記半透明本体は、少なくとも1つのメイン光源と前記光出口開口部の前記カバープレートとの間に配置されているか、前記光出口開口部のカバープレート上またはその内部に組み込まれているか、またはランプの別の部品の上に配置されているか、またはその内部に組み込まれており、特にレンズ上に配置されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドランプ。
【請求項5】
前記二次光は、前記半透明本体内に直接、または光ガイドシステム、特に光ケーブルを通して結合できることを特徴とする請求項1記載のヘッドランプ。
【請求項6】
前記二次光は基本光のビーム路に対してほぼ直角に、前記半透明本体内に結合できることを特徴とする請求項1記載のヘッドランプ。
【請求項7】
前記二次光源は、ハイパーレフレックス(HiPerReflex)ランプであるか、および/またはLEDまたはレーザーダイオードのような半導体光源であることを特徴とする請求項1記載のヘッドランプ。
【請求項8】
ハイビームライト、ロービームライト、パーキングライト、昼間走行ライト、ブレーキライト、表示ライト、バックライト、ポジションライト、フォグライトまたは追加ヘッドライト、特に好ましくはハイビームライトであることを特徴とする請求項1記載のヘッドランプ。
【請求項9】
前記透明本体から、ハイビーム開口部内の光出口を横断する前記虹二次光が白色光であることを特徴とする請求項8記載のヘッドランプ。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の少なくとも1つのヘッドランプを有する自動車用照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−529233(P2008−529233A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552767(P2007−552767)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050187
【国際公開番号】WO2006/079947
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】