説明

車両用ランプ装置

【課題】車両用ランプ装置の車体パネルへの取付作業を効率良く、かつ、円滑に行なえるようにする。
【解決手段】車両用ランプ装置を形成するハウジング2を、その底の部分から囲むように保持するものであって、全体的にコ字状の形態からなる取付部材1を設ける。このように取付部材1と車両用ランプ装置との一体化された状態のものを、車体パネル6等に形成された開口部66のところへ持って行き、ここから車体パネル6内へ押し込むようにする。これによって、車両用ランプ装置の取付作業が進められることとなり、全体の取付作業が効率良く行なわれることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED発光素子からなる発光体を有する車両用ランプ装置に関するものであり、特に、このような車両用ランプ装置の車体への取付部の構造(取付構造)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ランプ装置は、例えば特開2008−204790号公報記載のものの如く、発光体を保持するハウジングの、その周辺部に設けられたフランジ部等を介してランプ装置全体が車体の前方部等に取付けられるようになっているものである。
【特許文献1】特開2008−204790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のものにおいては、車体側への取付部を形成するフランジ部は、椀型の形態からなるハウジングの開口部の外周部のところに全周に渡って設けられるものであってラジアル方向に開いた形態からなる凹溝にて形成されるようになっているものである。そして、このようなハウジングは、一般に、所定の熱可塑性合成樹脂材を基礎に所定の金型成形手段等を用いて一体的に成形されるようになっているものである。このような金型による一体成形手段を用いる場合、椀型の形態からなるハウジング部と、本ハウジングの開口部外周部に設けられる凹溝状の取付部とを、同一の成形工程にて形成させることは難しいと言う問題点がある。従って、この従来のものにおいては、椀型の形態からなるハウジング部の成形工程と、上記凹溝の形態からなる取付部の成形工程とは、別工程となり、ハウジング全体の成形工程が繁雑にならざるを得ないと言う問題点がある。このような問題点を解決するために、ハウジング部並びに当該ハウジング部の開口部外周部に設けられる取付部の形状を、全体的に一方向からの型抜き工程にて成形加工のできるような構成(構造)からなるようにするとともに、このようなハウジング開口部からなるハウジング全体の車体への取付けを確実に行わせるようにした特別な取付部材(ブラケット)を有するようにした車両用ランプ装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、内部に発光体を有するハウジング、当該ハウジングの開口部のところに設けられるランプレンズ等からなる車両用ランプ装置に関して、上記ハウジングをその底の部分から抱くように形成されるものであってコ字状の形態からなることを基本とし、当該コ字状の形態からなるものの、その脚部を形成する部分の先端部のところには上記ハウジングの開口部周辺部に形成されたフランジ部を保持するとともに本ハウジングを車体パネル等に保持するように形成された保持部を有し、更に、このような構成からなるものが所定の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に形成されるようにした取付部材を有する構成を採ることとした。
【0005】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の車両用ランプ装置に関して、コ字状の形態からなる取付部材を形成するいずれか一方の脚部のところに、当該脚部を外側方向へ押し拡げるように作用する弾性部材を設けるようにした構成を採ることとした。
【0006】
次に、請求項3記載の発明である第三の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明または第二の発明のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1または請求項2記載の車両用ランプ装置に関して、コ字状の形態からなる取付部材の、そのコ字状底辺部のところに、本取付部材内に嵌り込むように装着されるハウジングの底面部との間にて両者を一体化させるためのネジ機構を初めとした締結手段を設けるようにした構成を採ることとした。
【0007】
次に、請求項4記載の発明である第四の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明ないし第三の発明のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1ないし請求項3記載の車両用ランプ装置に関して、コ字状の形態からなる取付部材の、そのコ字状底辺部のところに、ハーネス類の端末部に設けられるコネクタを保持するためのマウント部を設けるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明である第一の発明について説明する。本発明によれば、上記構成を採ることにより、本車両用ランプ装置の車体パネル等への取付けが確実に行われることとなる。すなわち、本車両用ランプ装置を形成するハウジングを全体的に底の部分から囲むように支える取付部材によって車両用ランプ装置が車体パネル等へ取付けられるようになっている。このように車両用ランプ装置は上記取付部材を介して車体パネル等に確実に取付けられることとなる。また、このような取付部材の車両用ランプ装置への装着は、コ字状の形態からなる本取付部材を上記車両用ランプ装置を形成するハウジングの外側から被せるように取付けることによって行なわれるものであるので、両者の一体化は簡単な作業によって、迅速に、かつ、効率良く進められることとなる。
【0009】
また、請求項2記載の発明である第二の発明のものにおいては、コ字状の形態からなる取付部材を形成するいずれか一方の脚部がスプリング等の弾性部材によって常時外側へ押し拡げられるように付勢されているので、脚部の先端部は本車両用ランプ装置を形成するハウジングの取付けられる車体パネル等のところに確実に係合するようになる。これによって、車両用ランプ装置は、本取付部材を介して車体パネル等へ確実に取付けられる(固定される)こととなる。
【0010】
また、請求項3記載の発明である第三の発明のものによれば、コ字状の形態からなる取付部材の、そのコ字状底辺部のところがハウジングの底面部のところにビスネジ等の締結手段にて固定されるようになっていることより、本取付部材は確実に車両用ランプ装置を保持することとなる。そして、このような取付部材を介して、本車両用ランプ装置は車体パネル等に取付けられることとなり、車両用ランプ装置の車体パネル等への取付けが確実に行われることとなる。
【0011】
また、請求項4記載の発明である第四の発明のものによれば、上記第一の発明ないし第三の発明のものに加えて、更に、本車両用ランプ装置に取付けられるハーネス類の固定等が円滑に、かつ、手際良く行なわれることとなる。すなわち、本発明のものにおいては、ハーネス類の先端部に設けられるコネクタ等を一括してまとめた状態において、これらのコネクタ等を上記取付部材の底面部側に形成されるマウント部のところに装着することができるようになり、複雑に絡み合った状態からなるハーネス類の端末部に設けられるコネクタ等を、ハウジング底面部の面積範囲内へ整理した状態で設置することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図4を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、図1に示す如く、LED発光素子等の搭載された基板5等を内部に有するハウジング2、当該ハウジング2の開口部のところに設けられるレンズ3等からなる車両用ランプ装置を、車体パネル等の所定の位置に取付け、かつ、固定する取付部材1に関するものである。そして、この取付部材1の構成は、例えば図2に示す如く、ハウジング2を、その底の部分から抱くように形成されるものであってコ字状の形態からなることを基本とするものである。
【0013】
具体的には、全体がコ字状の形態からなるものであり、当該コ字状形態の基礎を成す底辺部11を中心にして、その両側には脚部12、12’が形成されるようになっているものである。そして、このような構成からなる上記脚部12、12’の先端部のところには、上記ハウジング2の開口部の周辺部に形成されたフランジ部22を保持するとともに、ハウジング2全体を車体パネル6等に保持するように形成された保持部122、122’が設けられるようになっているものである。そして更に、このような構成からなるものが所定の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に形成されるようになっているものである。
【0014】
また、このような構成からなるものにおいて、上記脚部12、12’のうちのいずれか一方側のもの、例えば図2または図3における下側の脚部12’の先端部付近に形成される保持部122’の、その内側のところには、当該保持部122’を外側へ付勢するように作用する板バネ等からなる弾性部材8が設けられるようになっている。また、コ字状形態の、その底の部分を形成する底辺部11のところには、ハーネス用のコネクタ9等の取付けられるマウント部15が上記底辺部11と一体的に形成されるようになっている。また、このような底辺部11のところには、本取付部材1全体を上記ハウジング2の底面部25のところに取付けるためのビスネジ7が設けられるようになっている。具体的には、上記ハウジング2の底面部25に設けられた凸起部255のところに、本取付部材1を形成するその底辺部11に設けられた係合部115を係合させるとともに、ここのところにビスネジ7をネジ込ませることによって、ハウジング2の周りに取付部材1の取付けられた状態の車両用ランプ装置アセンブリが形成されることとなる。そして、このような車両用ランプ装置アセンブリが車体パネル6等のところに取付けられるようになっているものである。
【0015】
次に、このような構成からなる本取付部材1の上記車体パネル6への具体的な装着手順について説明する。まず、上記車両用ランプ装置アセンブリを、図4の(A)に示す如く、車体パネル6等に設けられた開口部66のところへもって行き、本車両用ランプ装置アセンブリを形成するハウジング2のフランジ部22の一方側(本実施の形態においては上方側)のところを上記開口部66のところに係合させる。このような状態において、本車両用ランプ装置アセンブリを車体パネル6の内側へと押し込むようにする。そうすると、ハウジング2の外側に取付けられたコ字状の本取付部材1の一方側の脚部である下方側の脚部12’は、例えば図3に示す如く、板バネ等からなる弾性部材8のバネ反力に抗して撓み、その脚部先端部に形成される保持部122’のところが、車体パネル6に形成された開口部66のところに係合するようになる。このようにして、本取付部材1を有する車両用ランプ装置アセンブリは、例えば図4の(B)に示す如く、車体パネル6に設けられた開口部66のところに取付けられることとなる。
【0016】
このような構成を採ることにより、本実施の形態のものにおいては、本車両用ランプ装置の車体パネル6等への取付けが確実に行われることとなる。すなわち、本車両用ランプ装置を形成するハウジング2を全体的に底の部分から囲むように支える取付部材1は、その全体形状がコ字状の形態からなるものであり、このような取付部材1の車両用ランプ装置への装着は、コ字状の形態からなる本取付部材1を車両用ランプ装置を形成するハウジング2の外側から被せるように取付けることによって行なわれるものであるので、両者の一体化は簡単な作業によって、効率良く進められることとなる。そして、このように一体化されたものを車体パネル6の外側から内側へと押し込むようにすることによって車体パネル6等への取付けが行なわれるようになっているものである。従って、本車両用ランプ装置全体の車体パネル等への取付作業(装着作業)が効率良く進められることとなる。
【0017】
また、本実施の形態のものにおいては、コ字状の形態からなる取付部材1を形成するいずれか一方の脚部12’が板バネ等の弾性部材8の弾発力(スプリング力)によって常時外側へと押し拡げられるように付勢されているので、脚部12’の先端部に形成される保持部122’は本車両用ランプ装置を形成するハウジング2の取付けられる車体パネル6等のところに確実に係合するようになる。これによって、車両用ランプ装置は、本取付部材1を介して車体パネル6等へ確実に取付けられる(固定される)こととなる。
【0018】
また、本実施の形態のものにおいては、コ字状の形態からなる取付部材1の、その底辺部11のところがハウジング2の底面部25のところにビスネジ7等の締結手段にて固定されるようになっていることより、本取付部材1は確実に車両用ランプ装置を保持することとなる。そして、このような取付部材1を介して、本車両用ランプ装置は車体パネル6等に取付けられることとなり、車両用ランプ装置の車体パネル6等への取付けが確実に行われることとなる。また、本車両用ランプ装置に取付けられるハーネス類は、その先端部に設けられるコネクタ9等を介して上記取付部材1の底辺部11に設けられたマウント部15のところに固定されるようになっている。従って、複雑に絡み合った状態からなるハーネス類の端末部に設けられるコネクタ9等は、ハウジング2の底面部の面積範囲内にて整理された状態で保持(固定)されることとなる。その結果、ハウジング2の底面部周りにハーネス類を有する本車両用ランプ装置は、ハーネス類が絡み合ったりするようなことが無く、本車両用ランプ装置の車体パネル6等への装着作業が、円滑に、かつ、効率良く進められることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の全体構成を示す展開斜視図である。
【図2】本発明にかかる取付部材のハウジングへの装着状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明にかかる取付部材の主要部を示す部分断面図である。
【図4】本発明にかかる取付部材の装着された車両用ランプ装置の車体パネル等への装着手順を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 取付部材
11 底辺部
115 係合部
12 脚部
12’ 脚部
122 保持部
122’ 保持部
15 マウント部
2 ハウジング
22 フランジ部
25 底面部
255 凸起部
3 レンズ
6 車体パネル
66 開口部
7 ビスネジ
8 弾性部材
9 コネクタ









【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発光体を有するハウジング、当該ハウジングの開口部のところに設けられるランプレンズ等からなる車両用ランプ装置において、上記ハウジングをその底の部分から抱くように形成されるものであってコ字状の形態からなることを基本とし、当該コ字状の形態からなるものの、その脚部を形成する部分の先端部のところには上記ハウジングの開口部周辺部に形成されたフランジ部を保持するとともに本ハウジングを車体パネル等に保持するように形成された保持部を有し、更に、このような構成からなるものが所定の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に形成されるようにした取付部材を有する構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ランプ装置において、コ字状の形態からなる取付部材を形成するいずれか一方の脚部のところに、当該脚部を外側方向へ押し拡げるように作用する弾性部材を設けるようにした構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の車両用ランプ装置において、コ字状の形態からなる取付部材の、そのコ字状底辺部のところに、本取付部材内に嵌り込むように装着されるハウジングの底面部との間にて両者を一体化させるためのネジ機構を初めとした締結手段を設けるようにした構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3記載の車両用ランプ装置において、コ字状の形態からなる取付部材の、そのコ字状底辺部のところに、ハーネス類の端末部に設けられるコネクタを保持するためのマウント部を設けるようにした構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−89667(P2010−89667A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262431(P2008−262431)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000105925)サカエ理研工業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】