車両用リアクトル
【課題】
車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化を図ること。
【解決手段】
巻線2を有するリアクトル1の両端側を巻線支持金具3で支持し、巻線支持金具3の上部側を取付金具5を介して車体6に固定し、取付金具5の底部側に磁気遮蔽板4を固定し、磁気遮蔽板4を、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い珪素鋼板を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板4aと、鉄材を用いて板状に形成されて主磁気遮蔽板4aをその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板4b,4cで構成し、巻線2から車体6や車内7へ漏洩する磁束を主磁気遮蔽板4aによって効果的に吸引する。
車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化を図ること。
【解決手段】
巻線2を有するリアクトル1の両端側を巻線支持金具3で支持し、巻線支持金具3の上部側を取付金具5を介して車体6に固定し、取付金具5の底部側に磁気遮蔽板4を固定し、磁気遮蔽板4を、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い珪素鋼板を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板4aと、鉄材を用いて板状に形成されて主磁気遮蔽板4aをその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板4b,4cで構成し、巻線2から車体6や車内7へ漏洩する磁束を主磁気遮蔽板4aによって効果的に吸引する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用リアクトルに係り、特に、限流リアクトル,直流リアクトルなどとして用いられるリアクトルを鉄道用車両の床下に設置するときに用いる支持装置を改良した車両用リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電気車,交流電気車などの鉄道用車両の床下には、モータの電流を制御したり或いはモータに供給される電流を平滑化したりするためのリアクトルが設置されている。このリアクトルは、一般に、車両の床下に取付金具を介して固定されており、リアクトルから発生する漏洩磁束が車内に漏れるのを低減するために、リアクトルと車体との間には磁性材の鋼板が配置されている。この鋼板は漏洩磁束を低減するとともに、リアクトルを吊り下げるために使用されることもある。
【0003】
一方、車内への漏洩磁束を低減するとともに、レール側に配置された信号線への漏洩磁束を低減するために、鉄よりも高透磁率の珪素鋼板あるいはアモルファスを用いた磁気遮蔽板をリアクトルと車両との間およびリアクトルとレールとの間に配置するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−170724号公報(第2頁から第3頁,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、リアクトルの上側と下側に磁気遮蔽板を配置しているため、車内への漏洩磁束を低減するとともに、レール側の信号線への漏洩磁束を低減することができるが、車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化することが望まれている。
【0006】
本発明の課題は、車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を含んでなる車両用リアクトルを構成したものである。前記磁気遮蔽部材としては、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、鉄材を用いて板状に形成されて前記主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板とを用いて構成することができる。
【0008】
前記した手段によれば、車体とリアクトルとの間に磁気遮蔽部材を配置し、磁気遮蔽部材を、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、この主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板とを用いて構成したため、リアクトルから車内に漏洩する磁束の吸引効果を高めることで、車内への漏洩磁束をより低減することができるとともに、リアクトルの上側と下側に磁気遮蔽板を用いたものよりも軽量化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す車両用リアクトルの要部正面断面図である。図1において、リアクトル1は、直流リアクトルあるいは限流リアクトルとして、巻線2を備えて構成されており、巻線2の両端末は、モータ駆動用の電気回路に接続されている。リアクトル1はほぼ箱型に構成され、その両端側が4本の巻線支持金具3にボルトなどの締結部材で固定されており、リアクトル1の上部側と底部側は保護カバー30によって覆われている。各巻線支持金具3の上部側はボルト・ナット(図示せず)で取付金具5の底部側に連結されており、取付金具5の上部側は電気車の車体6に固定されている。すなわち、リアクトル1は、リアクトル支持部材としての取付金具5,巻線支持金具3によって車体6の床下に吊り下げられた状態で車体6に固定されている。
【0011】
車体6とリアクトル1との間にはリアクトル1の巻線2から車体6や車内7に漏洩する磁束(漏洩磁束)を遮蔽する磁気遮蔽部材としての磁気遮蔽板4が配置されており、磁気遮蔽板4はその両端側が取付金具5の底部側に固定されている。
【0012】
磁気遮蔽板4は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材、例えば、珪素鋼板あるいはアモルファスを用いて板状(長方形形状)に形成された主磁気遮蔽板4aと、鉄材
(鋼板)を用いて板状(長方形形状)に形成されて主磁気遮蔽板4aをその両端側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板4b,4cとを備えて構成されており、補助磁気遮蔽板4cの両端側には垂れ下がり部4dがリアクトル1近傍まで延長して形成されている。垂れ下がり部4dは、主磁気遮蔽板4aの両端側を覆うための側板として補助磁気遮蔽板4cの両端部から下方(リアクトル1側)に垂れ下がった状態で形成されている。主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4cには、図2に示すように、取付金具5を挿入するための取付孔4eが4個形成されている。また主磁気遮蔽板4aは、例えば、図3に示すように、厚さ0.35mm の珪素鋼板(空気1としたときの比透磁率が、例えば、20,000 の鋼板)が、20枚程度積層されて構成されている。
【0013】
上記のように構成された車両用リアクトルによれば、リアクトル1の巻線2から漏洩する漏洩磁束10が矢印で示すように、巻線支持金具3に侵入しても、主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4cのうち特に主磁気遮蔽板4aに効果的に吸引される。このため、磁気遮蔽板4を通常の鋼板(空気1としたときの比透磁率が1,000 の鉄材)で構成したときには、図4の点線で示すように、漏洩磁束9は取付金具5の部位で大きくなる。これに対して、磁気遮蔽板4に鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い主磁気遮蔽板4aを用い、その両側を補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込む構造を採用したときには、実線で示すように、車体6や車内7への漏洩磁束10をより減少させることができる。これは、主磁気遮蔽板4aが高透磁率の部材であるため、磁気抵抗が小さくなり、巻線2からの漏洩磁束10を効果的に吸引でき、しかも、飽和磁束密度も高いので、主磁気遮蔽板4a中を流れる磁束の量も増加するため、巻線2からの漏洩磁束10のうち、巻線支持金具3,主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4c,取付金具5を介して車体6側に移行する漏洩磁束10が少なくなったのが大きな要因である。
【0014】
このように、車体6や車内7への漏洩磁束10を大幅に低減できるとともに、リアクトル1とレールとの間には磁気シールドが配置されていないため、軽量化を図ることができる。
【0015】
また主磁気遮蔽板4aは補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込まれているため、車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することができる。
【0016】
また、前記実施形態においては、通常の鋼板を用いて形成された補助磁気遮蔽板4b,4cと、垂れ下がり部4dおよび側板(図示せず)を用いて箱を形成し、この箱の内部に主磁気遮蔽板4aを収納し、この箱を密閉構造とするために、各部材の接合部を溶接する構造を採用することもできる。
【0017】
このような構成を採用すれば、主磁気遮蔽板4aが箱の内部に収納され、箱を構成する各部材の接合部が溶接で固定されるため、車両走行中での振動による影響を防止することができる。また車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することが可能になり、信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供できる。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態を図5および図6にしたがって説明する。本実施形態は、補助磁気遮蔽板4b,4c,垂れ下がり部4d,側板(図示せず)を用いて主磁気遮蔽板4aを収納するための箱を構成し、箱の底部となる補助磁気遮蔽板4bに、鉄で構成された固定用ガイド50を複数個固定し、主磁気遮蔽板4aに固定用ガイド50を挿入するための貫通孔4fを複数個形成し、主磁気遮蔽板4aの各貫通孔4f内にそれぞれ固定用ガイド50を挿入した状態で主磁気遮蔽板4aを箱内に収納し、箱の上蓋となる補助磁気遮蔽板4cの周囲を側板や垂れ下がり部4dに溶接するようにしたものである。
【0019】
本実施形態によれば、主磁気遮蔽板4aが固定用ガイド50で固定されているとともに、補助磁気遮蔽板4b,4cと固定用ガイド50が互いに溶接されているため、車両走行中での振動による影響を防止できる。さらに、主磁気遮蔽板4aの貫通孔4f内に固定用ガイド50が挿入され、固定用ガイド50が補助磁気遮蔽板4cに溶接されているため、主磁気遮蔽板4aの反りを防止することができるとともに、主磁気遮蔽板4aが幅方向および長手方向に変形するのを防止することができる。また車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することが可能になるため、信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供できる。
【0020】
次に、本発明の第3実施形態を図7にしたがって説明する。本実施形態は、主磁気遮蔽板4aに貫通孔4fを形成するとともに、補助磁気遮蔽板4b,4cにそれぞれ貫通孔
4fを形成し、各貫通孔4f内に固定用ガイドとなる固定用ボルト60を挿入し、固定用ボルト60の両端側を締結部材としてのナット62を用いて補助磁気遮蔽板4b,4cに固定し、垂れ下がり部4dを全周に渡って溶接するようにしたものであり、他の構成は図7のものと同様である。
【0021】
本実施形態によれば、補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込まれた主磁気遮蔽板4aを固定用ボルト60,ナット62を用いて補助磁気遮蔽板4b,4cに固定するようにしたため、主磁気遮蔽板4aの板厚を自由に調整することができる。また垂れ下がり部4dを全周に渡って溶接するための作業を最後に行うことが可能になるため、磁気遮蔽板4を複数枚制作する必要がなくなり、作業が容易となり、低コスト化が可能になる。しかも、主磁気遮蔽板4aが補助磁気遮蔽板4b,4cおよび固定用ボルト60,ナット62によって固定されているため、車両走行中での振動による影響を防止できる。また車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することが可能になり、信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供できる。
【0022】
次に、本発明の第4実施形態を図8および図9にしたがって説明する。本実施形態は、補助磁気遮蔽板4b,4c,垂れ下がり部4d,側板を用いて形成された箱の内部の領域を複数の収納領域、例えば、2つの収納領域に分割する仕切り板70bをそれぞれ補助磁気遮蔽板4b,4cに一体に固定し、2つの収納領域の大きさ(面積)に対応して主磁気遮蔽板4aを2個に分割して収納するようにしたものであり、他の構成は図1のものと同様である。
【0023】
すなわち、補助磁気遮蔽板4bと仕切り板70bによってT字型の枠を構成するために、補助磁気遮蔽板4bの中央部に仕切り板70bが一体となって固定され、箱の内部が仕切り板70bによって2つの収納領域(主磁気遮蔽板4aを収納するための領域)に分割され、2個の主磁気遮蔽板4aが各収納領域に分散して収納されるようになっている。
【0024】
本実施形態によれば、仕切り板70bで仕切られた2つの収納領域内に主磁気遮蔽板
4aが分かれて収納されているため、主磁気遮蔽板4aの幅方向および長手方向への変形が少なくなり、固定用ガイド50や固定用ボルト60などが不要になり、低コスト化が可能になる。さらに、主磁気遮蔽板4aが2分割されているため、取り扱いが楽になる。また仕切り板70bの数を増加させても、その効果はこれまで述べたものと同様なものが期待できることは言うまでもない。
【0025】
次に、本発明の第5実施形態を図10にしたがって説明する。本実施形態は、垂れ下がり部4dを補助磁気遮蔽板4cから取り除いたものであり、他の構成は図1のものと同様である。
【0026】
本実施形態によれば、主磁気遮蔽板4aがその両側を補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込むようにしているため、磁気遮蔽板4aの磁気抵抗が小さくなり、巻線2からの漏洩磁束を効果的に吸引することができる。
【0027】
すなわち、図11に示すように、磁気遮蔽板4を通常の鋼板を用いて構成したときには、点線で示すように、車体6や車内7への漏洩磁束9は取付金具5に対応した部位で大きくなる。これに対して、磁気遮蔽板4を主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4cを用いて構成することで、実線で示すように、車内7への漏洩磁束10を減少させることが可能になる。しかも、主磁気遮蔽板4a中を流れる磁束の量も増加するため、垂れ下がり部4dを用いなくても、車体や車内7への漏洩磁束10を減少させることができ、安価で信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供することが可能になる。
【0028】
前記実施形態において、補助磁気遮蔽板4b,4c,垂れ下がり部4d,側板などを用いて箱を構成し、箱内に主磁気遮蔽板4aを収納する例について説明したが、主磁気遮蔽板4aの周囲を囲むに際しては、主磁気遮蔽板4aの周囲のうち補助磁気遮蔽板4b,
4cに囲まれる領域以外の領域にシリコン材などのコーキング材を塗布しても同様な効果を期待することができる。
【0029】
また各実施形態においては、補助磁気遮蔽板4b,4cとして通常の鋼板(比透磁率
1000の鉄材)の代わりに、鉄材よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い純鉄などを使用することで、補助磁気遮蔽板を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両用リアクトルの要部正面断面図である。
【図2】図1に採用される磁気遮蔽板の平面図である。
【図3】図2に示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図4】磁気遮蔽板に珪素鋼板を用いたときの漏洩磁束と通常の鋼板を用いたときの漏洩磁束の特性を説明するための漏洩磁束分布特性図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す磁気遮蔽板の平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態を示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態を示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態を示す磁気遮蔽板の平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態を示す車両用リアクトル支持装置の要部正面断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態における漏洩磁束分布を説明するための図であって、磁気遮蔽板に珪素鋼板を用いたときの漏洩磁束と通常の鋼板を用いたときの漏洩磁束の特性を説明するための漏洩磁束分布特性図である。
【符号の説明】
【0031】
1…リアクトル、2…巻線、3…巻線支持金具、4…磁気遮蔽板、4a…主磁気遮蔽板、4b,4c…補助磁気遮蔽板、4d…垂れ下がり部、5…取付金具、6…車体、7…車内。
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用リアクトルに係り、特に、限流リアクトル,直流リアクトルなどとして用いられるリアクトルを鉄道用車両の床下に設置するときに用いる支持装置を改良した車両用リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電気車,交流電気車などの鉄道用車両の床下には、モータの電流を制御したり或いはモータに供給される電流を平滑化したりするためのリアクトルが設置されている。このリアクトルは、一般に、車両の床下に取付金具を介して固定されており、リアクトルから発生する漏洩磁束が車内に漏れるのを低減するために、リアクトルと車体との間には磁性材の鋼板が配置されている。この鋼板は漏洩磁束を低減するとともに、リアクトルを吊り下げるために使用されることもある。
【0003】
一方、車内への漏洩磁束を低減するとともに、レール側に配置された信号線への漏洩磁束を低減するために、鉄よりも高透磁率の珪素鋼板あるいはアモルファスを用いた磁気遮蔽板をリアクトルと車両との間およびリアクトルとレールとの間に配置するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−170724号公報(第2頁から第3頁,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、リアクトルの上側と下側に磁気遮蔽板を配置しているため、車内への漏洩磁束を低減するとともに、レール側の信号線への漏洩磁束を低減することができるが、車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化することが望まれている。
【0006】
本発明の課題は、車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を含んでなる車両用リアクトルを構成したものである。前記磁気遮蔽部材としては、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、鉄材を用いて板状に形成されて前記主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板とを用いて構成することができる。
【0008】
前記した手段によれば、車体とリアクトルとの間に磁気遮蔽部材を配置し、磁気遮蔽部材を、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、この主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板とを用いて構成したため、リアクトルから車内に漏洩する磁束の吸引効果を高めることで、車内への漏洩磁束をより低減することができるとともに、リアクトルの上側と下側に磁気遮蔽板を用いたものよりも軽量化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車内への漏洩磁束をより低減するとともに軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す車両用リアクトルの要部正面断面図である。図1において、リアクトル1は、直流リアクトルあるいは限流リアクトルとして、巻線2を備えて構成されており、巻線2の両端末は、モータ駆動用の電気回路に接続されている。リアクトル1はほぼ箱型に構成され、その両端側が4本の巻線支持金具3にボルトなどの締結部材で固定されており、リアクトル1の上部側と底部側は保護カバー30によって覆われている。各巻線支持金具3の上部側はボルト・ナット(図示せず)で取付金具5の底部側に連結されており、取付金具5の上部側は電気車の車体6に固定されている。すなわち、リアクトル1は、リアクトル支持部材としての取付金具5,巻線支持金具3によって車体6の床下に吊り下げられた状態で車体6に固定されている。
【0011】
車体6とリアクトル1との間にはリアクトル1の巻線2から車体6や車内7に漏洩する磁束(漏洩磁束)を遮蔽する磁気遮蔽部材としての磁気遮蔽板4が配置されており、磁気遮蔽板4はその両端側が取付金具5の底部側に固定されている。
【0012】
磁気遮蔽板4は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材、例えば、珪素鋼板あるいはアモルファスを用いて板状(長方形形状)に形成された主磁気遮蔽板4aと、鉄材
(鋼板)を用いて板状(長方形形状)に形成されて主磁気遮蔽板4aをその両端側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板4b,4cとを備えて構成されており、補助磁気遮蔽板4cの両端側には垂れ下がり部4dがリアクトル1近傍まで延長して形成されている。垂れ下がり部4dは、主磁気遮蔽板4aの両端側を覆うための側板として補助磁気遮蔽板4cの両端部から下方(リアクトル1側)に垂れ下がった状態で形成されている。主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4cには、図2に示すように、取付金具5を挿入するための取付孔4eが4個形成されている。また主磁気遮蔽板4aは、例えば、図3に示すように、厚さ0.35mm の珪素鋼板(空気1としたときの比透磁率が、例えば、20,000 の鋼板)が、20枚程度積層されて構成されている。
【0013】
上記のように構成された車両用リアクトルによれば、リアクトル1の巻線2から漏洩する漏洩磁束10が矢印で示すように、巻線支持金具3に侵入しても、主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4cのうち特に主磁気遮蔽板4aに効果的に吸引される。このため、磁気遮蔽板4を通常の鋼板(空気1としたときの比透磁率が1,000 の鉄材)で構成したときには、図4の点線で示すように、漏洩磁束9は取付金具5の部位で大きくなる。これに対して、磁気遮蔽板4に鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い主磁気遮蔽板4aを用い、その両側を補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込む構造を採用したときには、実線で示すように、車体6や車内7への漏洩磁束10をより減少させることができる。これは、主磁気遮蔽板4aが高透磁率の部材であるため、磁気抵抗が小さくなり、巻線2からの漏洩磁束10を効果的に吸引でき、しかも、飽和磁束密度も高いので、主磁気遮蔽板4a中を流れる磁束の量も増加するため、巻線2からの漏洩磁束10のうち、巻線支持金具3,主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4c,取付金具5を介して車体6側に移行する漏洩磁束10が少なくなったのが大きな要因である。
【0014】
このように、車体6や車内7への漏洩磁束10を大幅に低減できるとともに、リアクトル1とレールとの間には磁気シールドが配置されていないため、軽量化を図ることができる。
【0015】
また主磁気遮蔽板4aは補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込まれているため、車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することができる。
【0016】
また、前記実施形態においては、通常の鋼板を用いて形成された補助磁気遮蔽板4b,4cと、垂れ下がり部4dおよび側板(図示せず)を用いて箱を形成し、この箱の内部に主磁気遮蔽板4aを収納し、この箱を密閉構造とするために、各部材の接合部を溶接する構造を採用することもできる。
【0017】
このような構成を採用すれば、主磁気遮蔽板4aが箱の内部に収納され、箱を構成する各部材の接合部が溶接で固定されるため、車両走行中での振動による影響を防止することができる。また車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することが可能になり、信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供できる。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態を図5および図6にしたがって説明する。本実施形態は、補助磁気遮蔽板4b,4c,垂れ下がり部4d,側板(図示せず)を用いて主磁気遮蔽板4aを収納するための箱を構成し、箱の底部となる補助磁気遮蔽板4bに、鉄で構成された固定用ガイド50を複数個固定し、主磁気遮蔽板4aに固定用ガイド50を挿入するための貫通孔4fを複数個形成し、主磁気遮蔽板4aの各貫通孔4f内にそれぞれ固定用ガイド50を挿入した状態で主磁気遮蔽板4aを箱内に収納し、箱の上蓋となる補助磁気遮蔽板4cの周囲を側板や垂れ下がり部4dに溶接するようにしたものである。
【0019】
本実施形態によれば、主磁気遮蔽板4aが固定用ガイド50で固定されているとともに、補助磁気遮蔽板4b,4cと固定用ガイド50が互いに溶接されているため、車両走行中での振動による影響を防止できる。さらに、主磁気遮蔽板4aの貫通孔4f内に固定用ガイド50が挿入され、固定用ガイド50が補助磁気遮蔽板4cに溶接されているため、主磁気遮蔽板4aの反りを防止することができるとともに、主磁気遮蔽板4aが幅方向および長手方向に変形するのを防止することができる。また車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することが可能になるため、信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供できる。
【0020】
次に、本発明の第3実施形態を図7にしたがって説明する。本実施形態は、主磁気遮蔽板4aに貫通孔4fを形成するとともに、補助磁気遮蔽板4b,4cにそれぞれ貫通孔
4fを形成し、各貫通孔4f内に固定用ガイドとなる固定用ボルト60を挿入し、固定用ボルト60の両端側を締結部材としてのナット62を用いて補助磁気遮蔽板4b,4cに固定し、垂れ下がり部4dを全周に渡って溶接するようにしたものであり、他の構成は図7のものと同様である。
【0021】
本実施形態によれば、補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込まれた主磁気遮蔽板4aを固定用ボルト60,ナット62を用いて補助磁気遮蔽板4b,4cに固定するようにしたため、主磁気遮蔽板4aの板厚を自由に調整することができる。また垂れ下がり部4dを全周に渡って溶接するための作業を最後に行うことが可能になるため、磁気遮蔽板4を複数枚制作する必要がなくなり、作業が容易となり、低コスト化が可能になる。しかも、主磁気遮蔽板4aが補助磁気遮蔽板4b,4cおよび固定用ボルト60,ナット62によって固定されているため、車両走行中での振動による影響を防止できる。また車両走行中の投石による破損や風雨による特性劣化を防止することが可能になり、信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供できる。
【0022】
次に、本発明の第4実施形態を図8および図9にしたがって説明する。本実施形態は、補助磁気遮蔽板4b,4c,垂れ下がり部4d,側板を用いて形成された箱の内部の領域を複数の収納領域、例えば、2つの収納領域に分割する仕切り板70bをそれぞれ補助磁気遮蔽板4b,4cに一体に固定し、2つの収納領域の大きさ(面積)に対応して主磁気遮蔽板4aを2個に分割して収納するようにしたものであり、他の構成は図1のものと同様である。
【0023】
すなわち、補助磁気遮蔽板4bと仕切り板70bによってT字型の枠を構成するために、補助磁気遮蔽板4bの中央部に仕切り板70bが一体となって固定され、箱の内部が仕切り板70bによって2つの収納領域(主磁気遮蔽板4aを収納するための領域)に分割され、2個の主磁気遮蔽板4aが各収納領域に分散して収納されるようになっている。
【0024】
本実施形態によれば、仕切り板70bで仕切られた2つの収納領域内に主磁気遮蔽板
4aが分かれて収納されているため、主磁気遮蔽板4aの幅方向および長手方向への変形が少なくなり、固定用ガイド50や固定用ボルト60などが不要になり、低コスト化が可能になる。さらに、主磁気遮蔽板4aが2分割されているため、取り扱いが楽になる。また仕切り板70bの数を増加させても、その効果はこれまで述べたものと同様なものが期待できることは言うまでもない。
【0025】
次に、本発明の第5実施形態を図10にしたがって説明する。本実施形態は、垂れ下がり部4dを補助磁気遮蔽板4cから取り除いたものであり、他の構成は図1のものと同様である。
【0026】
本実施形態によれば、主磁気遮蔽板4aがその両側を補助磁気遮蔽板4b,4cで挟み込むようにしているため、磁気遮蔽板4aの磁気抵抗が小さくなり、巻線2からの漏洩磁束を効果的に吸引することができる。
【0027】
すなわち、図11に示すように、磁気遮蔽板4を通常の鋼板を用いて構成したときには、点線で示すように、車体6や車内7への漏洩磁束9は取付金具5に対応した部位で大きくなる。これに対して、磁気遮蔽板4を主磁気遮蔽板4a,補助磁気遮蔽板4b,4cを用いて構成することで、実線で示すように、車内7への漏洩磁束10を減少させることが可能になる。しかも、主磁気遮蔽板4a中を流れる磁束の量も増加するため、垂れ下がり部4dを用いなくても、車体や車内7への漏洩磁束10を減少させることができ、安価で信頼性の高い主磁気遮蔽板4aを提供することが可能になる。
【0028】
前記実施形態において、補助磁気遮蔽板4b,4c,垂れ下がり部4d,側板などを用いて箱を構成し、箱内に主磁気遮蔽板4aを収納する例について説明したが、主磁気遮蔽板4aの周囲を囲むに際しては、主磁気遮蔽板4aの周囲のうち補助磁気遮蔽板4b,
4cに囲まれる領域以外の領域にシリコン材などのコーキング材を塗布しても同様な効果を期待することができる。
【0029】
また各実施形態においては、補助磁気遮蔽板4b,4cとして通常の鋼板(比透磁率
1000の鉄材)の代わりに、鉄材よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い純鉄などを使用することで、補助磁気遮蔽板を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両用リアクトルの要部正面断面図である。
【図2】図1に採用される磁気遮蔽板の平面図である。
【図3】図2に示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図4】磁気遮蔽板に珪素鋼板を用いたときの漏洩磁束と通常の鋼板を用いたときの漏洩磁束の特性を説明するための漏洩磁束分布特性図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す磁気遮蔽板の平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態を示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態を示す磁気遮蔽板の要部正面断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態を示す磁気遮蔽板の平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態を示す車両用リアクトル支持装置の要部正面断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態における漏洩磁束分布を説明するための図であって、磁気遮蔽板に珪素鋼板を用いたときの漏洩磁束と通常の鋼板を用いたときの漏洩磁束の特性を説明するための漏洩磁束分布特性図である。
【符号の説明】
【0031】
1…リアクトル、2…巻線、3…巻線支持金具、4…磁気遮蔽板、4a…主磁気遮蔽板、4b,4c…補助磁気遮蔽板、4d…垂れ下がり部、5…取付金具、6…車体、7…車内。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、
前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を含んでなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項2】
車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、
前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、鉄材を用いて板状に形成されて前記主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板とから構成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記主磁気遮蔽板の露出している面にはコーキン剤が塗布されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項4】
車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、
前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、鉄材を用いて板状に形成されて前記主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板と、前記一対の補助磁気遮蔽板とともに前記主磁気遮蔽板の周囲を囲む複数の側板とから構成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記複数の側板の一部は、前記リアクトル近傍まで延長して形成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項6】
請求項2,3,4または5のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記一対の補助磁気遮蔽板に、前記各補助磁気遮蔽板を互いに連結する複数の固定用ガイドを固定し、前記主磁気遮蔽板に、前記複数の固定用ガイドをそれぞれ挿入するための貫通孔を複数個形成してなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項7】
請求項2,3,4または5のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記主磁気遮蔽板と前記一対の補助磁気遮蔽板に、複数の固定用ガイドを挿入するための貫通孔をそれぞれ複数個形成し、前記各貫通孔に挿入された固定用ガイドの両端側をそれぞれ前記一対の補助磁気遮蔽板に締結部材で固定してなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項8】
請求項2,3,4,5または6のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記一対の補助磁気遮蔽板には、前記一方の補助磁気遮蔽板と前記他方の補助磁気遮蔽板との間の領域を複数の収納領域に分割する仕切り板が固定され、前記主磁気遮蔽板は、前記複数の収納領域の大きさに対応して複数個に分割されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項9】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記一対の補助磁気遮蔽板は純鉄で構成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項10】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記主磁気遮蔽板は、複数の珪素鋼板を積層してなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項1】
車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、
前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を含んでなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項2】
車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、
前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、鉄材を用いて板状に形成されて前記主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板とから構成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記主磁気遮蔽板の露出している面にはコーキン剤が塗布されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項4】
車体に固定されてリアクトルを支持するリアクトル支持部材と、前記車体と前記リアクトルとの間に配置されて前記リアクトルから前記車体に漏洩する磁束を遮蔽する磁気遮蔽部材とを備え、
前記磁気遮蔽部材は、鉄よりも高透磁率で飽和磁束密度の高い部材を用いて板状に形成された主磁気遮蔽板と、鉄材を用いて板状に形成されて前記主磁気遮蔽板をその両側から挟み込む一対の補助磁気遮蔽板と、前記一対の補助磁気遮蔽板とともに前記主磁気遮蔽板の周囲を囲む複数の側板とから構成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記複数の側板の一部は、前記リアクトル近傍まで延長して形成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項6】
請求項2,3,4または5のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記一対の補助磁気遮蔽板に、前記各補助磁気遮蔽板を互いに連結する複数の固定用ガイドを固定し、前記主磁気遮蔽板に、前記複数の固定用ガイドをそれぞれ挿入するための貫通孔を複数個形成してなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項7】
請求項2,3,4または5のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記主磁気遮蔽板と前記一対の補助磁気遮蔽板に、複数の固定用ガイドを挿入するための貫通孔をそれぞれ複数個形成し、前記各貫通孔に挿入された固定用ガイドの両端側をそれぞれ前記一対の補助磁気遮蔽板に締結部材で固定してなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項8】
請求項2,3,4,5または6のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記一対の補助磁気遮蔽板には、前記一方の補助磁気遮蔽板と前記他方の補助磁気遮蔽板との間の領域を複数の収納領域に分割する仕切り板が固定され、前記主磁気遮蔽板は、前記複数の収納領域の大きさに対応して複数個に分割されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項9】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記一対の補助磁気遮蔽板は純鉄で構成されてなることを特徴とする車両用リアクトル。
【請求項10】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の車両用リアクトルにおいて、
前記主磁気遮蔽板は、複数の珪素鋼板を積層してなることを特徴とする車両用リアクトル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−32444(P2006−32444A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205367(P2004−205367)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503020574)株式会社日本AEパワーシステムズ (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503020574)株式会社日本AEパワーシステムズ (56)
【Fターム(参考)】
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