説明

車両用リッドロック装置

【課題】外部コネクタとの嵌合の信頼性を向上させる車両用リッドロック装置の提供。
【解決手段】リッドロック装置1は、電動モーター3を作動させて、ウォーム4を介してウォームホイール5を回動させることにより、ロックシャフト6をハウジング2に対し進退させて、車両ボデーに設けられたリッドと係脱させる。ボデー21とカバー22とを嵌合させることにより、リッドロック装置1のハウジング2には、電動モーター3に電力を供給するための外部コネクタが接続される雌側コネクタ部12が形成される。雌側コネクタ部12は、互いに対向するコネクタ横壁218a、218bとコネクタ縦壁218c、224とにより囲まれており、コネクタ横壁218a、218bおよびコネクタ縦壁218cはボデー21に形成され、コネクタ縦壁224はカバー22に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ボデーに設けられたリッド体を閉状態にロックする車両用リッドロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、スプリング力によりハウジングからシャフト部材を突出させ、車両ボデーに設けられたリッド体と係合させ、リッド体を閉状態にロックさせる車両用リッドロック装置があった(特許文献1参照)。これは、ハウジング内の電動モーターを作動させ、ウォームホイールを回動させることにより、スプリング力に抗してシャフト部材を移動させ、リッド体との係合を解除してリッド体を開放可能にしている。
【0003】
上述した従来技術においては、ハウジングにコネクタ嵌合部を形成し、コネクタ嵌合部内に、電動モーターに接続されるコネクタ端子を設けている。コネクタ端子は、コネクタ嵌合部内の端子取付部に装着される。コネクタ嵌合部には外部コネクタが接続され、外部コネクタを介して電動モーターに対して電力を供給している。
【特許文献1】特許第3079611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、車両用リッドロック装置のハウジングは、2部材を嵌合させて形成されており、上述したコネクタ嵌合部は、いずれか一方のハウジング部材に形成されている。したがって、コネクタ嵌合部内にコネクタ端子を取り付ける場合に、端子取付部の4方がコネクタ嵌合部の壁により囲まれており、コネクタ端子の組付は壁を避けて行わなければならず、一方向に組付けできない。更に、端子取付部の視認性が悪いうえに、コネクタ嵌合部内に作業者の指が入りにくく、コネクタ端子の取付作業性が悪かった。
【0005】
これに対して、コネクタ嵌合部を2つのハウジング部材により分割して形成し、端子取付部を一方のハウジング部材に設けることが考えられた。これにより、端子取付部にコネクタ端子を装着した後に、双方のハウジング部材を嵌合させることができ、端子取付部にコネクタ端子を取り付ける段階では、端子取付部の周囲が完全には閉塞されていないため、コネクタ端子の装着作業性を向上させることができる。
【0006】
ところが、コネクタ嵌合部を2つのハウジング部材により分割した場合、コネクタ嵌合部の縦横の寸法が、双方のハウジング部材における、コネクタ嵌合部を形成する部位の寸法により決定される。すなわち、コネクタ嵌合部の縦横寸法は、双方のハウジング部材の該当部位の寸法誤差が累積するため、コネクタ嵌合部の寸法精度が低下しやすく、嵌合相手の外部コネクタの嵌合不良を招きやすかった。特に、ハウジングは合成樹脂材料を成形して製造されるため、成形型の寸法誤差、あるいは成形後の熱収縮等に起因して寸法がばらつきやすかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部コネクタとの嵌合の信頼性を向上させる車両用リッドロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車両用リッドロック装置においては、第1ボデーと第2ボデーとを嵌合させて形成されるハウジングと、ハウジング内に収容され第1ボデーに保持される駆動用モーターと、ハウジング内に収容され駆動用モーターの駆動力が入力されることにより作動する駆動力伝達機構と、ハウジング内に軸方向に移動可能に支持され、一端がハウジングより突出して車両ボデーに設けられたリッド体と係合可能で且つ他端で駆動力伝達機構の作動によって軸方向に移動するシャフト部材と、ハウジングに形成され、駆動用モーターに電力を供給するための外部コネクタを保持するコネクタ保持部と、を備える車両用リッドロック装置において、コネクタ保持部は、第1ボデーに一体形成された底壁部、底壁部の両端からそれぞれ一体に立設された第1側壁部および第2側壁部により形成され、外部コネクタを嵌合保持する嵌合部と、第1側壁部および第2側壁部のうち少なくともいずれか一方に形成され、嵌合部に嵌合された外部コネクタの係止爪が係合する凹部と、第2ボデーに一体形成され、嵌合部に嵌合された外部コネクタを覆う蓋部と、を備えている。
【0008】
これにより、嵌合部の縦横の寸法は、第1ボデーに形成された3つの壁である底壁部、第1側壁部および第2速壁部により決定されるため、第1ボデーおよび第2ボデーの双方の寸法誤差が累積することがなく、嵌合部の寸法精度を向上させることができる。更に、外部コネクタの係止爪が係合する凹部の寸法も、第1ボデーにより決定されるため、第1ボデーおよび第2ボデーの双方の寸法誤差が累積することがなく、凹部の寸法精度を向上させることができる。したがって、外部コネクタの嵌合の信頼性を向上させることができる。
また、嵌合部内にコネクタ端子を取り付ける段階では、第1ボデーの周囲の少なくとも1つの壁が開放されているため、開放された部位からコネクタ端子を装着することができる。したがって、コネクタ端子の装着作業性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明による車両用リッドロック装置においては、駆動力伝達機構は、ハウジング内に枢支され駆動用モーターの作動によって回動可能な出力ギヤを有し、ハウジングには、出力ギヤの回動中心とコネクタ保持部との間において、第1ボデーと第2ボデーとを締結する締結手段が設けられている。
これにより、1つの締結手段により、出力ギヤの回動中心とコネクタ保持部における第1ボデーと第2ボデーとの締結を同時に行い、出力ギヤの回動中心において軸方向に発生した荷重に起因した、第1ボデーと第2ボデーとの間の開きを抑えることができるとともに、コネクタ保持部を強固に嵌め合わせて、その寸法精度を向上させることができる。
また、本発明による車両用リッドロック装置においては、締結手段は、ネジにより第1ボデーと第2ボデーとを締め付けている。
これにより、特別な設備を使用せずに、簡単に第1ボデーと第2ボデーとの締結を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図10に基づき、本発明の一実施形態によるリッドロック装置1について説明する。尚、図4における上下方向は、ハウジング2の厚み方向に該当する。図1に示すように、本実施形態によるリッドロック装置1は、ボデー21(本発明の第1ボデーに該当する)とカバー22(本発明の第2ボデーに該当する)とによりアクチュエータハウジング2(本発明のハウジングに該当し、以下ハウジングと言う)が形成され、ハウジング2内に電動モーター3(本発明の駆動用モーターに該当する)、ウォーム4(本発明の駆動力伝達機構に該当する)、ウォームホイール5(本発明の駆動力伝達機構および出力ギヤに該当する)、ロックシャフト6(本発明のシャフト部材に該当する)、ホイールストッパ7が収容されて形成されている。
ボデー21とカバー22はともに合成樹脂材料にて形成され、上述した内部構成品が収容された後、互いに嵌合されたうえで、ボデー21の係止片211をカバー22の係止突部221に係合させて一体化される。
【0011】
電動モーター3のアウトプットシャフト31(図2示)はウォーム4に圧入され、ウォーム4は電動モーター3により回転可能とされている。ウォーム4は金属あるいは合成樹脂材料にて形成され、外周面41上には歯部(図示せず)が形成されている。電動モーター3およびウォーム4は、ウォーム4に電動モーター3のアウトプットシャフト31が圧入(電動モーター3とウォーム4とが一体に)された後、ボデー21のモーター収容部212およびウォーム収容部213内にそれぞれ配設される。ボデー21の端子保持部214には、電力供給用の一対のモーター端子32が固定され、モーター端子32は電動モーター3に電気的に接続される。
【0012】
ウォームホイール5は、合成樹脂材料にて外周面51が円弧状の略扇形に形成されており、表裏を枢支孔52が貫通している。また、ウォームホイール5は、図1において下方に突出した係合柱53を有し、図7に示すように、係合柱53の近傍には、同じく下方へと延びた平坦な第1ストッパ壁54が形成されている。一方、枢支孔52の近傍には、第1ストッパ壁54と同方向へと延びた第2ストッパ壁55が形成され、さらに、第1ストッパ壁54と第2ストッパ壁55との間には、枢支孔52と同心状に表裏を貫通する円弧状のスリット56が形成されている。
【0013】
ウォームホイール5は、枢支孔52がボデー21の床面から突出したホイール軸215に嵌合されることにより、ボデー21に対してホイール軸215回りに回転可能に取り付けられる。ウォームホイール5の外周面51には、歯部(図示せず)が形成されており、上述したウォーム4の歯部と噛合している。
【0014】
ロックシャフト6は合成樹脂材料にて長尺状に一体成形されており、先端(図2において右端)には、後述するように、車両ボデー9に設けられた給油口を覆うリッド91(本発明のリッド体に該当する)と係合するロック部61が形成されている。ロック部61は円柱状に形成され、先端部にはテーパ部61aが設けられている。ロック部61と隣接する支持部62は、ロック部61よりも大径の円柱状を呈しており、支持部62には、合成ゴム材料により形成されたシールリング69が装着されるリング溝63が設けられている。
【0015】
ロックシャフト6のロック部61と支持部62は、ボデー21のシャフト保持部216内に軸方向に移動可能に挿入される。シャフト保持部216は段付部を有したほぼ円筒形をしており、その内周面である小径部216aをロック部61が貫通し、大径部216bにより支持部62をシールリング69を介してガイドし、ロックシャフト6の傾きを防止しているとともに、ハウジング2とのシール性を向上させている(図4示)。
【0016】
ロックシャフト6のほぼ中央部には、回避部64が所定距離に渡って形成されている。図4に示すように、回避部64は、ウォームホイール5を上方に重合配置するために、前述した支持部62の図4における上半分を厚み方向に取り去った(切り欠いた)ような、断面が半円形状を呈している(図5示)。回避部64は支持部62に比べて、図4の上下方向においてほぼ半分の幅寸法に形成されており(図4における回避部64の上下幅寸法は、シールリング69およびロック部61の外径よりも小さい)、また、その重心(中心軸)は支持部62のガイド中心Pに対してオフセットしている。上述した構成により、リッドロック装置1の高さ(図4の上下方向であり厚み方向に該当する)寸法を低減し、リッドロック装置1の小型化を実現している。
【0017】
また、回避部64の後端には、連動孔65がロックシャフト6の厚み方向に貫通して形成されている。連動孔65には、上述したウォームホイール5に形成された係合柱53が、ウォームホイール5の回動軸であるホイール軸215と平行に挿入されている。図2に示すように連動孔65は、ウォームホイール5の回動に応じて係合柱53と係合可能なように長孔形状をしている。
【0018】
また、図4に示すように連動孔65の内周面においては、上述した支持部62の径方向の中央を通るガイド中心Pの近傍において、係合柱53と連動孔65とが係合するように、径方向内方に突出した小径部65aが形成されている。連動孔65の内周面に形成された小径部65aは、長円形状をした連動孔65の内周面のうち、最低限、係合柱53が当接する直線部位L(図2示)にのみに形成されていればよい。尚、本実施形態においては、ガイド中心Pの位置に対して、回避部64の高さが低いため、連動孔65の上部開口の周囲に肉盛65bを設けたうえで、小径部65aを形成している。
【0019】
ロックシャフト6の連動孔65よりも後方(図2において左方)には、平板部66が形成されており、その表裏両面には一対のリブ67が設けられている。平板部66の両面に形成されたリブ67は、ボデー21およびカバー22により挟持され、ロックシャフト6は平板部66においてもハウジング2にガイドされている。また、ロックシャフト6の後端(図2において左端)には、緊急時のマニュアル作動用の把手68が形成されている。上述した構成によりロックシャフト6は、ウォームホイール5と係合しながらハウジング2内に軸方向(図2において左右方向)に移動可能に収容されている。
【0020】
ボデー21のウォームホイール5に対向する部位には、ウォームホイール5に向けて突出するストッパ保持部217が形成されており、ストッパ保持部217にはホイールストッパ7が装着されている。ホイールストッパ7は、EPあるいはEPDMといった耐熱性、耐候性に優れた弾性部材である合成ゴム材料にて形成されている。図1に示すように、ホイールストッパ7は外形が概ね扇状をしたリング状を呈しており、内周部71にストッパ保持部217を挿入して、ストッパ保持部217の外周面を取り囲むように弾発的に取り付けられている。
【0021】
図6に示すように、ウォームホイール5がボデー21に取り付けられた状態で回動した場合に、ウォームホイール5のスリット56はホイールストッパ7と対向する部位に位置しており、カバー22には、スリット56に挿通される位置にストッパ押え222が突出している。
ストッパ押え222はカバー22の内面から突出し、スリット56に挿通された後、ホイールストッパ7の図6における上端面(ボデー21から離れた側の端面)まで延びている。回動にともなうウォームホイール5の当接により、ホイールストッパ7のストッパ保持部217からの浮き上がり(抜け出し)が発生する時、ストッパ押え222はホイールストッパ7の上端面に当接し、そのストッパ保持部217からの脱落を防止している。
【0022】
本実施形態において、ストッパ押え222はホイールストッパ7との間に僅かな隙間を有しているが、常時、ストッパ押え222により、ホイールストッパ7の上端面を押圧していてもよい。また、図6に示すように、本実施形態においてストッパ押え222は、ホイールストッパ7において、ストッパ保持部217よりもウォームホイール5の回転中心(ホイール軸215)に近い側と対向している。
【0023】
リッドロック装置1を形成する各構成部品をボデー21内に収容した後、ボデー21に対してカバー22を嵌合させて、ボデー21の係止片211をカバー22の係止突部221に係合させて一体化する(前述)。次に、タッピングスクリュー8(本発明の締結手段およびネジに該当する)を、ウォームホイール5の回動中心であるホイール軸215と、後述する雌側コネクタ部12との間に位置するカバー22のスクリュー孔223に挿通させる(図9示)。
【0024】
その後、ボデー21に対して、タッピングスクリュー8を螺子切りしながら締め付けることにより、ボデー21とカバー22とを締結してリッドロック装置1を完成させる。これにより、電動モーター3、ウォーム4、ウォームホイール5およびロックシャフト6を、ボデー21とカバー22とによりがたつき無く保持することができる。尚、ボデー21のシャフト保持部216に形成されたシール溝216cに、合成ゴム材料により形成された防水リング11を装着した後、リッドロック装置1は車両ボデー9に搭載される。
【0025】
図8に示すように、完成したリッドロック装置1のハウジング2の側面には、雌側コネクタ部12(本発明のコネクタ保持部に該当する)が形成されている。雌側コネクタ部12は、電動モーター3に電力を供給するために、外部コネクタM(雄側コネクタ)を接続するためのものである。雌側コネクタ部12は、ともにボデー21に一体的に形成され、互いに対向するコネクタ横壁218a(本発明の第1側壁部に該当する)、218b(本発明の第2側壁部に該当する)と、それぞれボデー21およびカバー22に一体的に形成され、互いに対向するコネクタ縦壁218c(本発明の底壁部に該当する)、224(本発明の蓋部に該当する)とにより、上述したモーター端子32を取り囲んで形成されている(図8において、雌側コネクタ部12のうち、ボデー21により形成された壁を斜線にて示している)。
【0026】
尚、図9に示すように、コネクタ横壁218a、218bは、コネクタ縦壁218cの両端に立設されており、コネクタ横壁218a、218bおよびコネクタ縦壁218cにより、本発明の嵌合部が形成されている。また、コネクタ縦壁224は、コネクタ横壁218a、218bおよびコネクタ縦壁218cに嵌合された外部コネクタMを、覆う機能を有している。
【0027】
すなわち雌側コネクタ部12において、ハウジング2を形成するボデー21とカバー22の分割方法を調整して、互いに縦横に対向した2対の壁218a、218b、218c、224のうち、コネクタ横壁218a、218bおよびコネクタ縦壁218cはボデー21側のみに形成され、コネクタ縦壁224はカバー22に形成されるようにしている。これにより、外部コネクタが嵌入される雌側コネクタ部12の縦横の寸法は、ボデー21側に形成された壁218a、218b、218cの長さのみによって決定され得る。尚、図8において、コネクタ横壁218aと係合しているカバー22の係止片225は、コネクタ横壁218aに対するガイド機能を有しており、雌側コネクタ部12の寸法には影響を与えていない。
【0028】
また、図9に示すように、雌側コネクタ部12のコネクタ横壁218bには、雌側コネクタ部12に外部コネクタが嵌合する場合に、外部コネクタの係止爪が嵌合する係合口219(本発明の凹部に該当する)が形成されている。係合口219はコネクタ横壁218bに貫通した矩形状の開口であって、ボデー21のみに形成されている(ボデー21のみにより取り囲まれた形状を呈している)。
【0029】
図10に示すように、ロック部61がリッド91と非係合状態(非ロック位置)にあるリッドロック装置1において、電動モーター3を所定時間だけ作動させて、ウォーム4を介してウォームホイール5をホイール軸215を中心に、図10において時計回りに回動させる。これにより、ウォームホイール5の係合柱53と連動孔65において係合したロックシャフト6が、ハウジング2に対し軸方向(図10において左方)に移動し、ロック部61をハウジング2から突出させる(図2および図3示)。突出したロック部61は、車両ボデー9に設けられたリッド91と係合しリッド91を閉状態に保持する(図4示)。ウォーム4により回転されたウォームホイール5は、第1ストッパ壁54がホイールストッパ7に当接することにより回動が停止される。
【0030】
また、図2および図3に示すように、ロック部61がリッド91と係合状態(ロック位置)にあるリッドロック装置1において、電動モーター3を所定時間だけ作動させて、ウォームホイール5を上述した場合と逆向きに(図2において時計回りに)回動させる。これにより、ロックシャフト6をハウジング2に対し軸方向(図2において左方)に移動させ、ロック部61をハウジング2内に格納する(図10示)。後退したロック部61は、リッド91との係合が外れてリッド91を開放可能な状態にする。ウォーム4により逆回転されたウォームホイール5は、第2ストッパ壁55がホイールストッパ7に当接することにより回動が停止される。
【0031】
本実施形態によれば、雌側コネクタ部12の互いに縦横に対向した2対の壁218a、218b、218c、224のうち、3つはボデー21に形成されている。したがって、雌側コネクタ部12の縦横の寸法は、ボデー21に形成された3つの壁218a、218b、218cの長さのみによって決定され、ボデー21およびカバー22の双方の寸法誤差が累積することがないため、雌側コネクタ部12の寸法精度を向上させることができ、外部コネクタを容易に嵌合させることができる。
また、雌側コネクタ部12内にコネクタ端子を取り付ける段階では、周囲の少なくとも1つの壁224が開放されているため、モーター端子32の装着作業性を向上させることができる。
【0032】
また、ハウジング2には、雌側コネクタ部12に外部コネクタが嵌合する場合に、外部コネクタの係止爪が係合する係合口219が形成され、係合口219はボデー21のみに形成されている。
これにより、外部コネクタの係止爪が係合する係合口219の寸法も、ボデー21のみにより決定されるため、ボデー21およびカバー22の双方の寸法誤差が累積することがなく、係合口219の寸法精度を向上させることができ、外部コネクタの係止爪を容易に係合させることができる。
【0033】
また、ハウジング2には、ウォームホイール5の回動中心と雌側コネクタ部12との間において、ボデー21とカバー22とを締結するタッピングスクリュー8が設けられている。
これにより、1つのタッピングスクリュー8により、ウォームホイール5の回動中心と雌側コネクタ部12における、ボデー21とカバー22との締結を同時に行うことができる。リッドロック装置1においては、ウォーム4により回動されることにより、ウォームホイール5の回動中心において軸方向(ボデー21とカバー22とを離れさせる方向)に荷重が発生する。また、上述したように、雌側コネクタ部12は、外部コネクタの嵌合を円滑に行うために、ボデー21とカバー22との締結を強固にする必要がある。
【0034】
これに対して、タッピングスクリュー8により、ハウジング2のウォームホイール5の回動中心と雌側コネクタ部12との間を締め付けることで、ウォームホイール5の回動中心におけるボデー21とカバー22との間の開きを抑えることができるとともに、雌側コネクタ部12の寸法精度も向上させることができる。
また、タッピングスクリュー8によりボデー21とカバー22とを締め付けていることにより、特別な設備を使用せずに、簡単にボデー21とカバー22との締結を行うことができる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
カバー22側に雌側コネクタ部12を形成する3つの壁を設け、ボデー21側に残る1つの壁を形成してもよい。
雌側コネクタ部12を形成する3つの壁は、厳密な意味でボデー21およびカバー22の一側に無ければならないわけではなく、成形型の寸法誤差または成形後の熱収縮等の影響が無く、雌側コネクタ部12の寸法精度を向上させることができる効果を有するのであれば、ハウジング2の成形型の型割り等の理由により、3つの壁の一部分が他側にあっても構わない。
【0036】
電動モーター3の回転力をロックシャフト6に伝達する構成は、ウォーム4とウォームホイール5に限られず、種々のギヤ機構あるいはリンク機構が適用可能である。
ハウジング2には雄側コネクタが形成され、これに雌側コネクタである外部コネクタが嵌合されるようにしてもよい。
ボデー21およびカバー22を締結する手段はネジ部材に限られず、熱溶着等であってもよい。
本発明によるリッドロック装置は、給油口を覆うリッドのみでなく、車両のトランクリッドを閉状態にロックするためのものに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態による車両用リッドロック装置の分解斜視図
【図2】図1に示した車両用リッドロック装置のロック位置にある場合のカバー側から内部を見た正面図
【図3】図2に示した車両用リッドロック装置のボデー側から内部を見た場合の正面図
【図4】図2のA−A断面図
【図5】図2のB−B断面図
【図6】図2のC−C断面図
【図7】ウォームホイールの下面図
【図8】図2に示したリッドロック装置の左側面図
【図9】図2に示したリッドロック装置の斜視図
【図10】図2に示したリッドロック装置の非ロック位置にある場合のボデー側から内部を見た正面図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1はリッドロック装置(車両用リッドロック装置)、2はアクチュエータハウジング(ハウジング)、21はボデー(第1ボデー)、22はカバー(第2ボデー)、3は電動モーター(駆動用モーター)、4はウォーム(駆動力伝達機構)、5はウォームホイール(駆動力伝達機構、出力ギヤ)、6はロックシャフト(シャフト部材)、8はタッピングスクリュー(締結手段、ネジ)、9は車両ボデー、12は雌側コネクタ部(コネクタ保持部)、91はリッド(リッド体)、218aはコネクタ横壁(第1側壁部、嵌合部)、218bはコネクタ横壁(第2側壁部、嵌合部)、218cはコネクタ縦壁(底壁部、嵌合部)、224はコネクタ縦壁(蓋部)、219は係合口(凹部)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ボデーと第2ボデーとを嵌合させて形成されるハウジングと、
該ハウジング内に収容され前記第1ボデーに保持される駆動用モーターと、
前記ハウジング内に収容され前記駆動用モーターの駆動力が入力されることにより作動する駆動力伝達機構と、
前記ハウジング内に軸方向に移動可能に支持され、一端が前記ハウジングより突出して車両ボデーに設けられたリッド体と係合可能で且つ他端で前記駆動力伝達機構の作動によって前記軸方向に移動するシャフト部材と、
前記ハウジングに形成され、前記駆動用モーターに電力を供給するための外部コネクタを保持するコネクタ保持部と、
を備える車両用リッドロック装置において、
前記コネクタ保持部は、
前記第1ボデーに一体形成された底壁部、該底壁部の両端からそれぞれ一体に立設された第1側壁部および第2側壁部により形成され、前記外部コネクタを嵌合保持する嵌合部と、
前記第1側壁部および前記第2側壁部のうち少なくともいずれか一方に形成され、前記嵌合部に嵌合された前記外部コネクタの係止爪が係合する凹部と、
前記第2ボデーに一体形成され、前記嵌合部に嵌合された前記外部コネクタを覆う蓋部と、
を備えていることを特徴とする車両用リッドロック装置。
【請求項2】
前記駆動力伝達機構は、
前記ハウジング内に枢支され前記駆動用モーターの作動によって回動可能な出力ギヤを有し、
前記ハウジングには、
前記出力ギヤの回動中心と前記コネクタ保持部との間において、前記第1ボデーと前記第2ボデーとを締結する締結手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用リッドロック装置。
【請求項3】
前記締結手段は、
ネジにより前記第1ボデーと前記第2ボデーとを締め付けることを特徴とする請求項2記載の車両用リッドロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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