説明

車両用ワイパ装置

【課題】リヤウインドガラスに汚れがあるときなどのリヤワイパ機構(リヤワイパ)の作動を考慮し、リヤワイパの利便性の向上が図ることが可能であるとともに、リヤワイパ機構の作動時に且つ車両後進時に、後方確認ミラーで車両後方確認の妨げを回避することを可能にする。
【解決手段】リヤウインドガラス17近傍の車室12側に設けられ後下方の死角を視認可能とする後方確認ミラー16と、リヤウインドガラス17の下端部近傍に、略車幅向きとなる初期位置と略車両上下向きとなる反転位置との間で往復揺動可能に配置され、往復揺動することによりリヤウインドガラス17を払拭するリヤワイパ機構18と、車両10の後進動作を検出する後進検出手段33とを有し、後進検出手段33が車両10の後進動作を検出したときに、リヤワイパ機構18を反転位置にて停止させる制御部31を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部に設けられるリヤウインドガラスを払拭する車両用ワイパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパ装置として、車両のリヤウインドガラスにワイパブレードを往復運動させ、リヤウインドガラスを払拭するものが知られている。
この種の車両用ワイパ装置は、リヤウインドガラスの所定の範囲を、適宜払拭するようにしたものであった。
【0003】
このような車両用ワイパ装置として、リヤワイパをフロントワイパに連動して作動させるものや、リヤワイパの近傍に後方確認ミラーが配置されたものなどが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−130907公報
【特許文献2】実開平1−175944号公報
【0004】
特許文献1の車両用ワイパ装置は、リヤワイパを払拭作動するリヤワイパ駆動手段と、車両のフロントガラス上の雨滴を検出する雨滴検出手段と、この雨滴検出手段からの雨滴検出信号に基づいて、リヤワイパ駆動手段に駆動信号を出力する制御手段と、車両の後進動作を検出する後進検出手段とを備える車両のワイパ装置であり、制御手段は、後進検出手段が後進動作を検出し、且つ雨滴検出手段が雨滴を検出したときに、駆動信号をリヤワイパ駆動手段に出力するように構成される。すなわち、フロントガラスの雨滴を検出し、雨滴を検出したときフロントワイパを自動的に作動させ、雨滴検出時で且つ車両の後進時のみにリヤワイパをフロントワイパに連動して作動させるようにしたものである。
【0005】
特許文献2の車両用ワイパ装置は、バックギヤに連動してリヤワイパが動作できるようにしたものであり、このリヤワイパが視認される位置に後方確認用ミラーが配置されている。
【0006】
しかし、特許文献1の車両用ワイパ装置では、雨滴を検出したときフロントワイパを自動的に作動させ、雨滴検出時で且つ車両の後進時のみにリヤワイパをフロントワイパに連動して作動させるようにしたものであり、雨滴が検出されないときであって、例えば、リヤウインドガラスに汚れがあるときなどのリヤワイパの作動についても何らかの考慮が望まれる。
【0007】
また、特許文献2の車両用ワイパ装置では、後退時に後方確認ミラーを視認する際、リヤワイパが後方確認ミラーに写り込むことがあり、後方確認ミラーでの後方確認がし難い場合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、リヤウインドガラスに汚れがあるときなどのリヤワイパ機構(リヤワイパ)の作動を考慮し、リヤワイパ機構の利便性の向上が図ることができるとともに、リヤワイパ機構の作動時に且つ車両後進時に、後方確認ミラーで車両後方確認の妨げを回避することができる車両用ワイパ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の車両用ワイパ装置は、車両のリヤウインドガラス近傍の車室側に設けられ後下方の死角を視認可能とする後方確認ミラーと、リヤウインドガラスの下端部近傍に、略車幅向きとなる初期位置と略車両上下向きとなる反転位置との間で往復揺動可能に配置され、往復揺動することによりリヤウインドガラスを払拭するリヤワイパ機構と、車両の後進動作を検出する後進検出手段とを有し、後進検出手段が車両の後進動作を検出したときに、リヤワイパ機構を反転位置にて停止させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、制御部が、リヤワイパ機構の作動状態及び非作動状態を検出するリヤワイパ作動検出手段を備え、後進検出手段が車両の後進動作を検出し、且つリヤワイパ作動検出手段がリヤワイパ機構が作動状態であることを検出したときに、リヤワイパ機構の往復揺動を連続させることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、制御部が、車両のフロントウインドガラスを払拭するフロントワイパ機構の作動状態及び非作動状態を検出するフロントワイパ作動検出手段を備え、後進検出手段が車両の後進動作を検出し、リヤワイパ作動検出手段がリヤワイパ機構の非作動状態であることを検出し、且つフロントワイパ作動検出手段がフロントワイパ機構の非作動状態であることを検出したときに、リヤウインドガラス近傍に配置されたリヤウォッシャー液散布手段を作動させ、リヤウインドガラス面に向けてウォッシャー液を吹き付けることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、リヤワイパ機構が、車両の車幅方向中央からオフセットした揺動軸に一端が取付けられるワイパーシャンクと、このワイパーシャンクの他端に所定角度をもって連結されるアームピースとを有するものであり、初期位置では、アームピースが略車幅向きでリヤウインドガラスの下端側に位置するとともに、反転位置では、アームピースが略車両上下向きでリヤウインドガラスの車幅外側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、車両用ワイパ装置に、車両のリヤウインドガラス近傍の車室側に設けられ後下方の死角を視認可能とする後方確認ミラーと、リヤウインドガラスの下端部近傍に、略車幅向きとなる初期位置と略車両上下向きとなる反転位置との間で往復揺動可能に配置され、往復揺動することによりリヤウインドガラスを払拭するリヤワイパ機構と、車両の後進動作を検出する後進検出手段とを有する。
車両用ワイパ装置に後進検出手段が車両の後進動作を検出したときに、リヤワイパ機構を反転位置にて停止させる制御部を備えたので、車両後進時に後方確認ミラーにリヤワイパ機構が映り込むことを防止できる。すなわち、後方確認ミラーで車両後方確認の妨げを回避することができる。これにより、リヤウインドガラスの視認範囲が拡大するため、駐停車時に駐車場の車止め等を確認することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、制御部が、リヤワイパ機構の作動状態及び非作動状態を検出するリヤワイパ作動検出手段を備える。後進検出手段が車両の後進動作を検出し、且つリヤワイパ作動検出手段がリヤワイパ機構が作動状態であることを検出したときに、リヤワイパ機構の往復揺動を連続させるようにした。
すなわち、リヤワイパ機構が通常作動しているときは、乗員が意志をもってリヤワイパ機構を作動させているものであり、リヤワイパ機構を不用意に停止させないようにしたので、乗員の意図しないワイパ機構の停止を防止することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、制御部が、車両のフロントウインドガラスを払拭するフロントワイパ機構の作動状態及び非作動状態を検出するフロントワイパ作動検出手段を備える。後進検出手段が車両の後進動作を検出し、リヤワイパ作動検出手段がリヤワイパ機構の非作動状態であることを検出し、且つフロントワイパ作動検出手段がフロントワイパ機構の非作動状態であることを検出したときに、リヤウインドガラス近傍に配置されたリヤウォッシャー液散布手段を作動させ、リヤウインドガラス面に向けてウォッシャー液を吹き付けるようにした。
すなわち、車両後進状態で且つリヤワイパ機構及びフロントワイパ機構ともに非作動状態のときには雨が降っていない場合であり、ウォッシャー液を吹き付けて良好な後方視界の確保を可能とした。これにより、車両用ワイパ装置の利便性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、初期位置では、アームピースが略車幅向きでリヤウインドガラスの下端側に位置するとともに、反転位置では、アームピースが略車両上下向きでリヤウインドガラスの車幅外側に位置するので、車両後進時、リヤワイパ機構のアームピースがリヤウインドガラスの外側に立てた状態に配置されるため、リヤウインドガラスを介した通常後方視界を視認する際の邪魔にならない。
また、リヤワイパ機構が、車両の車幅方向中央からオフセットした揺動軸に一端が取付けられるワイパシャンクと、このワイパシャンクの他端に所定角度をもって連結されるアームピースとを有する。すなわち、ワイパシャンクとアームピースとが所定角度をもって連結されるので、リヤワイパ機構の配置が容易となる。これにより、拭き取り面積にも影響を与えることはなく、所定の拭き取り面積を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用ワイパ装置を採用した車両の斜視図であり、図2は本発明に係る車両用ワイパ装置を採用した車両の側面図である。
図1及び図2に示されたように、車両10は、車体11の略中央に設けられた車室12と、この車室12の前方を透視可能に覆うフロントウインドガラス14と、車室12の外方に設けられフロントウインドガラス14を払拭するフロントワイパ機構(フロントワイパ)15と、車室12後方に設けられ後方を確認可能な後方確認ミラー16と、車室12の後方を透視可能に覆うリヤウインドガラス17と、車室12の外方に設けられリヤウインドガラス17を払拭するリヤワイパ機構(リヤワイパ)18とを備える。
【0018】
詳細には、後方確認ミラー16は、車両10のリヤウインドガラス17近傍の車室12側に設けられ後下方の死角を視認可能とするものである。
【0019】
図3(a),(b)は本発明に係る車両用ワイパ装置を採用した車両の背面図である。
リヤワイパ機構18は、車両10の車幅方向中央(中心線C1)から右にオフセットした位置に設けられた揺動軸21と、この揺動軸21に一端が取付けられるワイパーシャンク22と、このワイパーシャンク22の他端に所定角度をもって連結されるアームピース(ワイパブレード)23と、車体11側に設けられ揺動軸21を駆動するリヤワイパモータ24(図4参照)と、揺動軸21廻りに設けられ揺動軸21の回転角度を検出するリヤワイパ角度検出手段25(図4参照)とからなり、図3(a)に示される初期位置(基本位置)S1と図3(b)に示される反転位置R1との間を揺動軸21を中心として往復揺動(スイング)してリヤウインドガラス17を払拭するものである。
【0020】
ここで、初期位置(基本位置)S1とは、図3(a)に示されたように、アームピース23が略車幅向きでリヤウインドガラス17の下端側(下端部近傍)に位置するときを言う。また、反転位置(略垂直位置)R1とは、図3(b)に示されたように、アームピース23が略車両上下向きでリヤウインドガラス17の車幅外側に位置するときを言う。
【0021】
リヤワイパ角度検出手段25は、一例として、揺動軸21に取付けられる検出孔付き円板と、車体11側に設けられ検出孔付き円板の検出孔に臨ませる受光素子とから構成される。
ワイパシャンク22は、一端よりに曲げ部分を有する略ヘの字形状の部材である。
【0022】
リヤワイパ機構18では、初期位置S1では、アームピース23が略車幅向きでリヤウインドガラス17の下端側に位置するとともに、反転位置R1では、アームピース23が略車両上下向きでリヤウインドガラス17の車幅外側に位置するので、車両後進時、リヤワイパ機構18のアームピース23がリヤウインドガラス17の外側に立てた状態に配置されるため、リヤウインドガラス17を介した通常後方視界を視認する際の邪魔にならない。
【0023】
また、リヤワイパ機構18が、車両10の車幅方向中央からオフセットした揺動軸21に一端が取付けられるワイパシャンク22と、このワイパシャンク22の他端に所定角度をもって連結されるアームピース23とを有する。すなわち、ワイパシャンク22とアームピース23とが所定角度をもって連結されるので、リヤワイパ機構18の配置が容易となる。これにより、拭き取り面積にも影響を与えることはなく、所定の拭き取り面積を確保することができる。
【0024】
図4は本発明に係る車両用ワイパ装置の制御ブロック図である。
車両用ワイパ装置30は、リヤワイパ機構(リヤワイパ)18を制御する装置であり、先に説明したリヤウインドガラス17を払拭するリヤワイパ機構18と、このリヤワイパ機構18を制御するリヤワイパ制御部31と、車体11側に設けられたトランスミッション(変速機)32のギヤポジションの位置を検出するギヤポジションセンサ33と、リヤワイパ機構18を作動若しくは停止するリヤワイパスイッチ34とから構成される。
なお、トランスミッション32は、パーキングP、リバース(バック)R、ニュートラルN、ドライブD、「ドライブ2」のギヤポジションを有する。
【0025】
車両用ワイパ装置30では、ギヤポジションセンサ33の情報がリヤワイパ制御部31に入力され、リヤワイパ機構18のリヤワイパ角度検出手段25の情報がリヤワイパ制御部31に入力され、リヤワイパ機構18のリヤワイパモータ24の状態がリヤワイパ制御部31に入力されるとともに、リヤワイパ制御部31でリヤワイパモータ24が制御される。
【0026】
なお、ギヤポジションセンサ33は、車両10の後進状態を検出する後進検出手段であり、リヤワイパスイッチ34は、リヤワイパの作動を検出するリヤワイパ作動検出手段であり、リヤワイパ制御部31は、リヤワイパ機構18を制御する制御部である。
【0027】
図5は本発明に係る車両用ワイパ装置の制御フロー図である。なお、ST××はステップ番号を示す(符号は図4参照)。
ST01:ギヤポジションセンサ(後進検出手段)33でトランスミッション32のギヤポジションの位置を検出し、リヤワイパ制御部31でギヤ信号を読み取る。
【0028】
ST02:リヤワイパ制御部31で、トランスミッション32のギヤポジションの位置がバック位置であるかどうかを判断する。YESならばST03に進み、NOならばリヤワイパ機構18を制御する必要はないので終了する。
【0029】
ST03:リヤワイパ制御部31で、リヤワイパスイッチ(リヤワイパ作動検出手段)34の状態を読み取る。
ST04:リヤワイパ制御部31で、リヤワイパスイッチ34がOFFかどうかを判断する。YESならばST05に進み、NOならばリヤワイパ機構18は乗員が作動の意志をもって作動中(通常動作中)なので、リヤワイパ機構18の制御は行わず制御を終了する。
【0030】
ST05:リヤワイパ制御部31からリヤワイパモータ24に給電する指示を出し、リヤワイパ機構18を作動する。
ST06:リヤワイパ制御部31で、リヤワイパ機構18の角度を読み取る。
【0031】
ST07:リヤワイパ制御部31で、リヤワイパ機構18が図3(b)に示された反転位置(略垂直位置)R1に達したかどうか判断する。すなわち、アームピース23が略車両上下向きでリヤウインドガラス17の車幅外側に位置したかどうかを判断する。YESならばST08に進み、NOならばST06に戻る。
【0032】
ST08:リヤワイパ制御部31からリヤワイパモータ24に給電を停止する指示を出し、リヤワイパ機構18を反転位置R1で保持する。
ST09:ギヤポジションセンサ33でトランスミッション32のギヤポジションの位置を検出し、リヤワイパ制御部31でギヤ信号を読み取る。
【0033】
ST10:リヤワイパ制御部31で、トランスミッション32のギヤポジションの位置がバック位置以外であるかどうかを判断する。YESならばST11に進み、NOならばST09に戻る。
ST11:リヤワイパ制御部31からリヤワイパモータ24に給電する指示を出し、リヤワイパ機構18を作動する。
【0034】
ST12:リヤワイパ制御部31で、リヤワイパ機構18の角度を読み取る。
ST13:リヤワイパ制御部31で、リヤワイパ機構18が図3(a)に示された初期位置(基本位置)S1に達したかどうか判断する。すなわち、アームピース23が略車幅向きでリヤウインドガラス17の下端側に位置したかどうかを判断する。YESならばST14に進み、NOならばST12に戻る。
【0035】
ST14:リヤワイパ制御部31からリヤワイパモータ24に給電を停止する指示を出し、リヤワイパ機構18を初期位置S1で停止させる。
【0036】
すなわち、車両用ワイパ装置30は、車両10のリヤウインドガラス17近傍の車室12側に設けられ後下方の死角を視認可能とする後方確認ミラー16と、リヤウインドガラス17の下端部近傍に、略車幅向きとなる初期位置と略車両上下向きとなる反転位置との間で往復揺動可能に配置され、往復揺動することによりリヤウインドガラス17を払拭するリヤワイパ機構18と、車両10の後進動作を検出する後進検出手段(ギヤポジションセンサ)33とを有する。
【0037】
車両用ワイパ装置30に後進検出手段33が車両10の後進動作を検出したときに、リヤワイパ機構18を反転位置にて停止させる制御部(リヤワイパ制御部)31を備えたので、車両後進時に後方確認ミラー16にリヤワイパ機構18が映り込むことを防止できる。すなわち、後方確認ミラー16で車両後方確認の妨げを回避することができる。これにより、リヤウインドガラス17の視認範囲が拡大するため、駐停車時に駐車場の車止め等を確認することができる。
【0038】
制御部(リヤワイパ制御部)31は、リヤワイパ機構18の作動状態及び非作動状態を検出するリヤワイパ作動検出手段(リヤワイパスイッチ)34を備える。後進検出手段(ギヤポジションセンサ)33が車両10の後進動作を検出し、且つリヤワイパ作動検出手段34がリヤワイパ機構18が作動状態であることを検出したときに、リヤワイパ機構18の往復揺動を連続させるようにした。
【0039】
すなわち、リヤワイパ機構18が通常作動しているときは、乗員が意志をもってリヤワイパ機構18を作動させているものであり、リヤワイパ機構18を不用意に停止させないようにしたので、乗員の意図しないワイパ機構の停止を防止することができる。
【0040】
図6(a)〜(c)は本発明に係る車両用ワイパ装置の作用を示す説明図である。
(a)において、後方確認ミラー16で確認可能な後方領域E1が示され、リヤワイパ機構18が初期位置S1(図3(a)参照)にある場合には、(b)に示されるように、後方領域E1と一緒にリヤワイパ機構18が後方確認ミラー16に写り込む。また、リヤワイパ機構18が反転位置R1(図3(b)参照)にある場合には、(c)に示されるように、後方領域E1のみが後方確認ミラー16に写し出される。
【0041】
すなわち、後方確認ミラー16で車両後方確認の妨げを回避することができる。これにより、リヤウインドガラス17の視認範囲が拡大するため、駐停車時に駐車場の車止め等を確認することができる。
【0042】
図7は本発明に係る別実施例の車両用ワイパ装置の制御ブロック図である。なお、第1実施例の車両用ワイパ装置30(図4参照)に使用した部品と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
車両用ワイパ装置130は、リヤワイパ機構(リヤワイパ)18を制御する装置であり、先に説明したリヤワイパ機構18と、このリヤワイパ機構18を制御するリヤワイパ制御部131と、ギヤポジションセンサ33と、リヤワイパスイッチ34と、リヤウインドガラス17にウォッシャー液を散布するリヤウォッシャー液散布手段137と、フロントウインドガラス14を払拭するフロントワイパ機構(フロントワイパ)15と、このフロントワイパ機構15を作動若しくは停止するフロントワイパスイッチ136とから構成される。
【0043】
車両用ワイパ装置130では、フロントワイパスイッチ136の状態がリヤワイパ制御部131に入力され、ギヤポジションセンサ33の情報がリヤワイパ制御部131に入力され、リヤワイパ機構18のリヤワイパ角度検出手段25の情報がリヤワイパ制御部131に入力され、リヤワイパ機構18のリヤワイパモータ24の状態がリヤワイパ制御部131に入力されるとともに、リヤワイパ制御部131でリヤワイパモータ24が制御され、リヤワイパ制御部131でリヤウォッシャー液散布手段137が制御される。
【0044】
なお、リヤワイパ制御部131は、リヤワイパ機構18を制御する制御部であり、フロントワイパスイッチ136は、フロントワイパ機構15の作動を検出するフロントワイパ作動検出手段である。
【0045】
図8は本発明に係る別実施例の車両用ワイパ装置の制御フロー図である。なお、ST××はステップ番号を示す(符号は図7参照)。
ST101:ギヤポジションセンサ(後進検出手段)33でトランスミッション32のギヤポジションの位置を検出し、リヤワイパ制御部131でギヤ信号を読み取る。
【0046】
ST102:リヤワイパ制御部131で、トランスミッション32のギヤポジションの位置がバック位置であるかどうかを判断する。YESならばST103に進み、NOならばリヤワイパ機構18を制御する必要はないので終了する。
【0047】
ST103:リヤワイパ制御部131で、リヤワイパスイッチ(リヤワイパ作動検出手段)34の状態を読み取る。
ST104:リヤワイパ制御部131で、リヤワイパスイッチ34がOFFがどうかを判断する。YESならばST105に進み、NOならばリヤワイパ機構18は乗員が作動の意志をもって作動中(通常動作中)なので、リヤワイパ機構18の制御は行わず制御を終了する。
【0048】
ST105:リヤワイパ制御部131で、フロントワイパスイッチ(フロントワイパ作動検出手段)136の状態を読み取る。
ST106:リヤワイパ制御部131で、フロントワイパスイッチ136がOFFがどうかを判断する。YESならばST107に進み、NOならばST108に進む。
【0049】
ST107:リヤワイパ制御部131で、リヤウォッシャー液散布手段137を作動させる指示を出し、リヤウインドガラス17面に向けてウォッシャー液を吹き付ける。
ST108:リヤワイパ制御部131からリヤワイパモータ24に給電する指示を出し、リヤワイパ機構18を作動する。
【0050】
ST109:リヤワイパ制御部131で、リヤワイパ機構18の角度を読み取る。
ST110:リヤワイパ制御部131で、リヤワイパ機構18が図3(b)に示された反転位置(略垂直位置)R1に達したかどうか判断する。すなわち、アームピース23が略車両上下向きでリヤウインドガラス17の車幅外側に位置したかどうかを判断する。YESならばST111に進み、NOならばST109に戻る。
【0051】
ST111:リヤワイパ制御部131からリヤワイパモータ24に給電を停止する指示を出し、リヤワイパ機構18を反転位置R1で保持する。
ST112:ギヤポジションセンサ33でトランスミッション32のギヤポジションの位置を検出し、リヤワイパ制御部131でギヤ信号を読み取る。
【0052】
ST113:リヤワイパ制御部131で、トランスミッション32のギヤポジションの位置がバック位置以外であるかどうかを判断する。YESならばST114に進み、NOならばST112に戻る。
ST114:リヤワイパ制御部131からリヤワイパモータ24に給電する指示を出し、リヤワイパ機構18を作動する。
ST115:リヤワイパ制御部131で、リヤワイパ機構18の角度を読み取る。
【0053】
ST116:リヤワイパ制御部131で、リヤワイパ機構18が図3(a)に示された初期位置(基本位置)S1に達したかどうか判断する。すなわち、アームピース23が略車幅向きでリヤウインドガラス17の下端側に位置したかどうかを判断する。YESならばST117に進み、NOならばST115に戻る。
ST117:リヤワイパ制御部131からリヤワイパモータ24に給電を停止する指示を出し、リヤワイパ機構18を初期位置S1で停止させる。
【0054】
車両用ワイパ装置130では、制御部(リヤワイパ制御部)131が、車両10のフロントウインドガラス14を払拭するフロントワイパ機構15の作動状態及び非作動状態を検出するフロントワイパ作動検出手段(フロントワイパスイッチ)136を備える。後進検出手段(ギヤポジションセンサ)33が車両10の後進動作を検出し、リヤワイパ作動検出手段(リヤワイパスイッチ)34がリヤワイパ機構18の非作動状態であることを検出し、且つフロントワイパ作動検出手段136がフロントワイパ機構15の非作動状態であることを検出したときに、リヤウインドガラス17近傍に配置されたリヤウォッシャー液散布手段137を作動させ、リヤウインドガラス17面に向けてウォッシャー液を吹き付けるようにした。
【0055】
すなわち、車両後進状態で且つリヤワイパ機構18及びフロントワイパ機構15ともに非作動状態のときには雨が降っていない場合であり、ウォッシャー液を吹き付けて良好な後方視界の確保を可能とした。これにより、車両用ワイパ装置130の利便性の向上を図ることができる。
【0056】
尚、本発明に係る車両用ワイパ装置は、図3(a),(b)に示すように、リヤワイパ機構18は揺動軸21が車幅方向中央(中心線C1)から右にオフセットした位置に設けられたが、これに限るものではなく、左にオフセットしたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る車両用ワイパ装置は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る車両用ワイパ装置を採用した車両の斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用ワイパ装置を採用した車両の側面図である。
【図3】本発明に係る車両用ワイパ装置を採用した車両の背面図である。
【図4】本発明に係る車両用ワイパ装置の制御ブロック図である。
【図5】本発明に係る車両用ワイパ装置の制御フロー図である。
【図6】本発明に係る車両用ワイパ装置の作用を示す説明図である。
【図7】本発明に係る別実施例の車両用ワイパ装置の制御ブロック図である。
【図8】本発明に係る別実施例の車両用ワイパ装置の制御フロー図である。
【符号の説明】
【0059】
10…車両、12…車室、14…フロントウインドガラス、15…フロントワイパ機構、16…後方確認ミラー、17…リヤウインドガラス、18…リヤワイパ機構、21…揺動軸、22…ワイパシャンク、23…アームピース、30,130…車両用ワイパ装置、33…後進検出手段(ギヤポジションセンサ)、31,131…制御部(リヤワイパ制御部)、34…リヤワイパ作動検出手段(リヤワイパスイッチ)、136…フロントワイパ作動検出手段(フロントワイパスイッチ)、137…リヤウォッシャー液散布手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のリヤウインドガラス近傍の車室側に設けられ後下方の死角を視認可能とする後方確認ミラーと、前記リヤウインドガラスの下端部近傍に、略車幅向きとなる初期位置と略車両上下向きとなる反転位置との間で往復揺動可能に配置され、往復揺動することにより前記リヤウインドガラスを払拭するリヤワイパ機構と、前記車両の後進動作を検出する後進検出手段とを有し、
前記後進検出手段が前記車両の後進動作を検出したときに、前記リヤワイパ機構を前記反転位置にて停止させる制御部を備えたことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記リヤワイパ機構の作動状態及び非作動状態を検出するリヤワイパ作動検出手段を備え、
前記後進検出手段が前記車両の後進動作を検出し、且つ前記リヤワイパ作動検出手段が前記リヤワイパ機構が作動状態であることを検出したときに、
前記リヤワイパ機構の往復揺動を連続させることを特徴とする請求項1記載の車両用ワイパ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両のフロントウインドガラスを払拭するフロントワイパ機構の作動状態及び非作動状態を検出するフロントワイパ作動検出手段を備え、
前記後進検出手段が前記車両の後進動作を検出し、前記リヤワイパ作動検出手段が前記リヤワイパ機構の非作動状態であることを検出し、且つ前記フロントワイパ作動検出手段が前記フロントワイパ機構の非作動状態であることを検出したときに、
前記リヤウインドガラス近傍に配置されたリヤウォッシャー液散布手段を作動させ、前記リヤウインドガラス面に向けてウォッシャー液を吹き付けることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ワイパ装置。
【請求項4】
前記リヤワイパ機構は、前記車両の車幅方向中央からオフセットした揺動軸に一端が取付けられるワイパシャンクと、このワイパシャンクの他端に所定角度をもって連結されるアームピースとを有するものであり、
前記初期位置では、前記アームピースが略車幅向きで前記リヤウインドガラスの下端側に位置するとともに、前記反転位置では、前記アームピースが略車両上下向きで前記リヤウインドガラスの車幅外側に位置することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用ワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−173185(P2009−173185A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14833(P2008−14833)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】