説明

車両用冷暖房装置および制御弁

【課題】車両用冷暖房装置において蒸発器における冷媒の蒸発状態を適正に調整できるようする。
【解決手段】車両用冷暖房装置1は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機2と、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱させる凝縮器5と、凝縮器5から導出された冷媒を蒸発させる蒸発器7と、蒸発器7の下流側に設けられ、弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう冷媒の流量を調整する過熱度制御弁48と、を備える。過熱度制御弁48は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁部を開閉する弁体を含む弁駆動体と、弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう弁体を開閉駆動する感温部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置、およびその車両用冷暖房装置に好適な制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を搭載した車両においてはエンジンの燃焼効率が向上したこともあり、熱源として利用してきた冷却水が暖房に必要な温度にまで上昇し難くなっている。一方、内燃機関と電動機を併用したハイブリッド車両においては内燃機関の稼働率が低いため、そのような冷却水の利用がさらに難しい。電気自動車に至っては内燃機関による熱源そのものがない。このため、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いたサイクル運転を行い、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用冷暖房装置は、圧縮機、室外熱交換器、蒸発器、室内熱交換器等を含む冷凍サイクルを有し、暖房運転時と冷房運転時とで室外熱交換器の機能が切り替えられる。暖房運転時においては室外熱交換器が蒸発器として機能する。その際、冷凍サイクルを冷媒が循環する過程で室内熱交換器が放熱し、その熱により車室内の空気が加熱される。一方、冷房運転時においては室外熱交換器が凝縮器として機能する。その際、室外熱交換器にて凝縮された冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。その際、除湿も行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−240266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような車両用冷暖房装置において、蒸発器に十分な冷媒が供給されず、その出口側の過熱度(スパーヒート)が過大になると、その蒸発器に温度ムラが生じてしまう。車両用冷暖房装置の冷媒循環回路には一般に潤滑用のオイルが循環されるが、蒸発器において過熱度の発生領域が大きくなってしまうと、蒸発器に温度ムラが生じるとともにその内部にオイルが滞留してしまうことも想定される。そうなると、圧縮機にも十分なオイルが供給されなくなり、その作動に支障をきたす可能性もある。
【0006】
本発明の目的の一つは、車両用冷暖房装置において蒸発器における冷媒の蒸発状態を適正に調整できるようすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の制御弁は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁部を開閉する弁体を含む弁駆動体と、弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう弁体を開閉駆動する感温部と、を備える。
【0008】
この態様の制御弁を冷凍サイクルにおける蒸発器の下流側に設けることにより、その弁部の下流側に過熱度が発生したときには感温部がその温度と圧力を感知し、その過熱度を設定値に近づけるように動作する。このため、結果的に蒸発器の出口側における冷媒の状態を適正に制御することができ、蒸発器内において過熱度が発生する領域を抑制してその良好な作動を確保できるようになる。
【0009】
すなわち、後述する実施形態において詳述するように、蒸発器の出口側に過熱度が発生する場合、制御弁の前後(上流側と下流側との間)においても過熱度が検知される。しかし、制御弁の前後で差圧が発生するため、冷凍サイクルの特性上、制御弁の上流側の過熱度よりも下流側の過熱度のほうが大きくなる。つまり、蒸発器の出口側の蒸発状態が同じであっても制御弁の下流側の過熱度のほうが大きくなる。言い換えれば、過熱度を制御対象とする場合には、制御弁の上流側の過熱度よりも下流側の過熱度のほうが調整範囲を大きくとることができる。この点に着目し、この態様では、当該制御弁がその弁部の下流側(低圧側)の過熱度を調整対象とし、その調整を弁部の上流側(高圧側:蒸発器の出口側)の蒸発状態(冷媒の湿り度または乾き度)の調整に反映させるようにする。
【0010】
特に蒸発器の出口側の冷媒が湿り状態(過熱度が発生しない気液混合冷媒の状態)にある場合、弁部の上流側の過熱度を調整する構成ではその蒸発器の出口側の湿り度を制御することができない。これに対し、この態様では弁部の下流側に過熱度が発生している限り、結果的に蒸発器の出口側の湿り度を調整できるようになり、蒸発器における冷媒の蒸発状態を細かく調整できるようになる。
【0011】
本発明の別の態様は、車両用冷暖房装置である。この装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる凝縮器と、凝縮器から導出された冷媒を蒸発させる蒸発器と、蒸発器の下流側に設けられ、弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう冷媒の流量を調整する過熱度制御弁と、を備える。
【0012】
この態様によれば、過熱度制御弁が蒸発器の下流側に設けられることにより、その弁部の下流側に過熱度が発生したときには感温部がその下流側の温度と圧力を感知し、その過熱度を設定値に近づけるように動作する。このため、上述のように蒸発器の出口側における冷媒の状態をより細かく適正に制御することができ、蒸発器内において過熱度が発生する領域を抑制してその良好な作動を確保できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両用冷暖房装置において蒸発器における冷媒の蒸発状態を適正に調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る車両用冷暖房装置の概略構成を表すシステム構成図である。
【図2】車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。
【図3】過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。
【図4】過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。
【図5】過熱度制御弁による作用効果を表す説明図である。
【図6】第2実施形態に係る過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。
【図7】第2実施形態に係る過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用冷暖房装置の概略構成を表すシステム構成図である。本実施形態は、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車の冷暖房装置として具体化したものである。
【0016】
車両用冷暖房装置1は、圧縮機2、室内凝縮器3、室外熱交換器5、蒸発器7およびアキュムレータ8を配管にて接続した冷凍サイクル(冷媒循環回路)を備える。車両用冷暖房装置1は、冷媒としての代替フロン(HFC−134a)が冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する過程で、その冷媒の熱を利用して車室内の空調を行うヒートポンプ式の冷暖房装置として構成されている。冷媒循環回路には、冷暖房を適切に制御するための各種制御弁が配設されている。
【0017】
車両用冷暖房装置1は、冷房運転時と暖房運転時とで複数の冷媒循環通路を切り替えるように運転される。この冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、また、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。すなわち、暖房運転時(除湿時)に冷媒が循環する第1冷媒循環通路、暖房運転時および除霜運転時に冷媒が循環する第2冷媒循環通路、冷房運転時(除湿時)に冷媒が循環する第3冷媒循環通路が形成される。
【0018】
第1冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→蒸発器7→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第2冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→室外熱交換器5→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第3冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→室外熱交換器5→蒸発器7→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。室外熱交換器5を流れる冷媒の流れは、第2冷媒循環通路と第3冷媒循環通路とで同方向となっている。
【0019】
具体的には、圧縮機2の吐出室は第1通路21を介して室内凝縮器3の入口に接続され、室内凝縮器3の出口は第2通路22を介して室外熱交換器5の入口に接続されている。室外熱交換器5の出口は第3通路23を介して蒸発器7の入口に接続され、蒸発器7の出口は第4通路24(戻り通路)を介してアキュムレータ8の入口に接続されている。第2通路22と第3通路23とはバイパス通路25により接続され、室内凝縮器3から導出された冷媒の少なくとも一部を室外熱交換器5を迂回させて蒸発器7へ供給可能となっている。さらに、第3通路23のバイパス通路25との合流点よりも上流側に分岐点が設けられ、アキュムレータ8の入口につながるバイパス通路26が設けられている。
【0020】
第1冷媒循環通路は、第1通路21,第2通路22,バイパス通路25,第3通路23,第4通路24を接続して構成される。第2冷媒循環通路は、第1通路21,第2通路22,第3通路23,バイパス通路26を接続して構成される。第3冷媒循環通路は、第1通路21,第2通路22,第3通路23,第4通路24を接続して構成される。そして、このような冷媒循環通路の切り替えを実現するために、第2通路22には流量制御弁32が設けられ、第3通路23には過冷却度制御弁42、差圧弁44および逆止弁46が設けられ、第4通路24には過熱度制御弁48が設けられている。また、バイパス通路25には開閉弁50が設けられ、バイパス通路26には開閉弁52および過熱度制御弁54が設けられている。
【0021】
車両用冷暖房装置1は、空気の熱交換が行われるダクト10を有し、そのダクト10における空気の流れ方向上流側から室内送風機12、蒸発器7、室内凝縮器3が配設されている。室内凝縮器3の上流側には、エアミックスドア14が回動自在に設けられ、室内凝縮器3を通過する風量と室内凝縮器3を迂回する風量との比率が調節される。また、室外熱交換器5に対向するように室外送風機16が配置されている。
【0022】
圧縮機2は、ハウジング内にモータと圧縮機構を収容する電動圧縮機として構成され、図示しないバッテリからの供給電流により駆動され、モータの回転数に応じて冷媒の吐出容量が変化する。この圧縮機2としては、レシプロ式、ロータリ式、スクロール式など、様々な形式の圧縮機を採用することができるが、電動圧縮機そのものは公知であるため、その説明については省略する。
【0023】
室内凝縮器3は、車室内に設けられ、室外熱交換器5とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧の冷媒が室内凝縮器3を通過する際に放熱する。エアミックスドア14の開度に応じて振り分けられた空気は、室内凝縮器3を通過する過程でその熱交換が行われる。
【0024】
室外熱交換器5は、車室外に配置され、冷房運転時に内部を通過する冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には内部を通過する冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する。室外送風機16は、吸い込み式の送風機であり、軸流ファンをモータにより回転駆動することにより外気を導入する。室外熱交換器5は、その外気と冷媒との間で熱交換をさせる。
【0025】
蒸発器7は、車室内に配置され、内部を通過する冷媒を蒸発させる室内蒸発器として機能する。すなわち、膨張装置として機能する制御弁の通過により低温・低圧となった冷媒は、蒸発器7を通過する際に蒸発する。ダクト10の上流側から導入された空気は、その蒸発潜熱によって冷却される。このとき冷却・除湿された空気は、エアミックスドア14の開度に応じて室内凝縮器3を通過するものと、室内凝縮器3を迂回するものとに振り分けられる。室内凝縮器3を通過する空気は、その通過過程で加熱される。室内凝縮器3を通過した空気と迂回した空気とが室内凝縮器3の下流側にて混合されて目標の温度に調整され、図示しない吹出口から車内に供給される。例えば、ベント吹出口、フット吹出口、デフ吹出口等から車室内所定場所に向かって吹き出される。
【0026】
アキュムレータ8は、蒸発器から送出された冷媒を気液分離して溜めておく装置であり、液相部と気相部とを有する。このため、仮に上流側から想定以上の液冷媒が導出されたとしても、その液冷媒を液相部に溜めおくことができ、気相部の冷媒を圧縮機2に導出することができる。その結果、圧縮機2の圧縮動作に支障をきたすこともない。一方、本実施形態では、その液相部の冷媒の一部を圧縮機2に供給できるようにされており、圧縮機2に必要量の潤滑オイルを戻すことができるようになっている。
【0027】
流量制御弁32は、第2通路22におけるバイパス通路25との分岐点よりも下流側に設けられている。流量制御弁32は、その開度がアクチュエータへの供給電流値に応じた設定開度に自律的に調整される比例弁として構成されている。本実施形態では、流量制御弁32の弁部を駆動するアクチュエータとしてステッピングモータが採用されるが、ソレノイドであってもよい。流量制御弁32は、基本的には全開状態、大口径制御状態、小口径制御状態、閉弁状態のいずれかの状態に制御される。なお、大口径制御状態は全開状態には到らないが開度が大きい状態であり、小口径制御状態は閉弁状態には到らないが開度が小さい状態である。
【0028】
流量制御弁32は、小口径制御により膨張装置としても機能する。暖房運転時においては、後述のように開閉弁50が開弁状態とされてバイパス通路25が開放される一方、流量制御弁32の開度(つまり第2通路22の開度)が調整される。このため、流量制御弁32の開度に応じて室外熱交換器5へ供給される冷媒の流量が調整される。すなわち、流量制御弁32は、室内凝縮器3から室外熱交換器5へ向かう冷媒流量と、室外熱交換器5を迂回して蒸発器7に供給される冷媒流量(バイパス通路25を流れる冷媒流量)との割合を調整する流量調整弁として機能する。
【0029】
過冷却度制御弁42は、室外熱交換器5から導出された冷媒や、バイパス通路25を介して供給された冷媒を絞り膨張させて蒸発器7側に導出する「膨張装置」として機能する。過冷却度制御弁42は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC)に近づくよう冷媒の流れを制御する。また、暖房運転時において室内凝縮器3の出口側の過冷却度が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過冷却度制御弁42として、その上流側(冷房運転時においては室外熱交換器5の出口側であり、暖房運転時(除湿制御を行う特定暖房運転時)において室内凝縮器3の出口側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。
【0030】
過冷却度制御弁42は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SCよりも大きくなると開弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。逆に、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、過冷却度制御弁42は閉弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。過冷却度制御弁42は、その入口(室外熱交換器5の出口側)の過冷却度が設定値SCとなるよう自律的に動作する。
【0031】
過冷却度制御弁42は、また、特定暖房運転時においてバイパス通路25が開放されると、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCよりも大きくなると開弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。逆に、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、過冷却度制御弁42は閉弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。過冷却度制御弁42は、その入口(室内凝縮器3の出口側)の過冷却度が設定値SCとなるよう自律的に動作する。
【0032】
なお、図示を省略するが、過冷却度制御弁42は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体と、入口ポートから導入された冷媒の温度と圧力を感知し、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値となるよう弁体を開閉駆動する感温部とを備えるものでもよい。
【0033】
差圧弁44は、過冷却度制御弁42の下流側に設けられている。差圧弁44は、第3通路23において過冷却度制御弁42側への冷媒の逆流を防止する機械式の弁として構成され、その前後差圧が設定された開弁差圧以上となったときに開弁する。
【0034】
逆止弁46は、第3通路23におけるバイパス通路26との分岐点とバイパス通路25との合流点との間に設けられている。逆止弁46は、バイパス通路25を通過した冷媒が室外熱交換器5側へ逆流することを防止する機械式の弁として構成されている。
【0035】
過熱度制御弁48は、その出口側に過熱度(スーパーヒート)が発生している場合、その過熱度が予め設定された一定の過熱度(設定過熱度SH)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過熱度制御弁48として、その出口側(過熱度制御弁48の弁部の下流側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。過熱度制御弁48は、感知した過熱度が設定過熱度SHよりも大きければ弁開度を絞り、蒸発器7の蒸発圧力を上昇させることにより、蒸発器7を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を小さくし、それにより過熱度を小さくして設定過熱度SHに近づける。逆に、感知された過熱度が設定過熱度SHよりも小さければ、過熱度制御弁48は、弁開度を大きくし、蒸発器7の蒸発圧力を低下させることにより、蒸発器7を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を大きくし、それにより過熱度を大きくして設定過熱度SHに近づける。このように、過熱度制御弁48は、その出口側の過熱度が設定過熱度SHに近づくよう自律的に動作する。なお、過熱度制御弁40の具体的構成については後述する。
【0036】
開閉弁50は、バイパス通路25を開閉する弁部と、その弁部を駆動するソレノイドとを備える二方向電磁弁からなる。開閉弁50の開弁によりバイパス通路25を介した蒸発器7への冷媒の流れが許容される。すなわち、開閉弁50が開弁されることにより、室内凝縮器3から導出された冷媒の少なくとも一部が室外熱交換器5を迂回するようにして蒸発器7へ供給されるようになる。室外熱交換器5を経由する冷媒流量と室外熱交換器5を迂回する冷媒流量との割合は流量制御弁32により制御される。本実施形態では、開閉弁50として、ソレノイドへの通電有無によって弁部を開閉させる開閉弁(オン/オフ弁)が用いられる。なお、開閉弁50の弁部を駆動するアクチュエータはソレノイドでなくてもよく、ステッピングモータ等の電動機であってもよい。
【0037】
開閉弁52は、バイパス通路26における過熱度制御弁54の上流側に設けられている。開閉弁52は、バイパス通路26を開閉する弁部と、その弁部を駆動するソレノイドとを備える二方向電磁弁からなる。開閉弁52の開弁によりバイパス通路26を介したアキュムレータ8への冷媒の流れが許容される。本実施形態では、開閉弁52として、ソレノイドへの通電有無によって弁部を開閉させる開閉弁(オン/オフ弁)が用いられる。なお、開閉弁52の弁部を駆動するアクチュエータはソレノイドでなくてもよく、ステッピングモータ等の電動機であってもよい。また、本実施形態では、開閉弁52をバイパス通路26の中間部に設けているが、例えば第3通路23におけるバイパス通路26への分岐点に三方向切替弁として配設してもよい。
【0038】
過熱度制御弁54は、室外熱交換器5が室外蒸発器として機能するときにその蒸発圧力を調整する「蒸発圧力調整弁」として機能する。過熱度制御弁54は、その出口側に過熱度(スーパーヒート)が発生している場合、その過熱度が予め設定された一定の過熱度(設定過熱度SH)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過熱度制御弁54として、その出口側(過熱度制御弁54の弁部の下流側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。過熱度制御弁54は、感知した過熱度が設定過熱度SHよりも大きければ弁開度を絞り、室外熱交換器5の蒸発圧力を上昇させることにより、室外熱交換器5を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を小さくし、それにより過熱度を小さくして設定過熱度SHに近づける。逆に、感知された過熱度が設定過熱度SHよりも小さければ、過熱度制御弁54は、弁開度を大きくし、室外熱交換器5の蒸発圧力を低下させることにより、室外熱交換器5を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を大きくし、それにより過熱度を大きくして設定過熱度SHに近づける。このように、過熱度制御弁54は、その出口側の過熱度が設定過熱度SHに近づくよう自律的に動作する。なお、本実施形態では、過熱度制御弁54の設定過熱度と過熱度制御弁48の設定過熱度とを等しく設定しているが、両者を異なるように設定してもよい。なお、過熱度制御弁54の具体的構成については後述する。
【0039】
以上のように構成された車両用冷暖房装置1は、制御部100により制御される。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース等を備える。制御部100には、車両用冷暖房装置1に設置された図示しない各種センサ・スイッチ類からの信号が入力される。制御部100は、車両の乗員によりセットされた室温を実現するために各アクチュエータの制御量を演算し、各アクチュエータの駆動回路に制御信号を出力する。制御部100は、流量制御弁32,開閉弁50,開閉弁52などの開閉制御のほか、圧縮機2,室内送風機12,室外送風機16およびエアミックスドア14の駆動制御も実行する。
【0040】
制御部100は、車室内外の温度、蒸発器7の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて流量制御弁32の設定開度を決定し、その開度がその設定開度となるようステッピングモータに制御パルス信号を出力する。このような制御により、図示のように、圧縮機2は、その吸入室を介して吸入圧力Psの冷媒を導入し、これを圧縮して吐出圧力Pdの冷媒として吐出する。
【0041】
次に、本実施形態の冷凍サイクルの動作について説明する。図2は、車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。(A)は冷房運転時の状態を示し、(B)は除湿運転時の状態を示し、(C)は特定暖房運転時の状態を示し、(D)は除霜運転時の状態を示している。ここでいう「除湿運転」は、車室内の除湿をメインとして運転状態であり、「特定暖房運転」は、暖房運転において特に除湿の機能を高めた運転状態である。
【0042】
各図の上段には冷凍サイクルの動作を説明するモリエル線図が示されている。その横軸がエンタルピーを表し、縦軸が各種圧力を表している。各図の下段には、冷凍サイクルの動作状態が示されている。図中の太線および矢印が冷媒の流れを示し、符号a〜gはモリエル線図のそれと対応している。また、図中の「×」は冷媒の流れが遮断されていることを示している。なお、同図の下段は図1に対応するが、エアミックスドア14等の図示を省略するなど便宜上簡略表記されている。
【0043】
図2(A)に示すように、冷房運転時においては、流量制御弁32は全開状態とされる。一方、開閉弁50,52はともに閉弁状態を保つ。このため、バイパス通路25,26が遮断され、圧縮機2から吐出冷媒は全て室外熱交換器5に導かれるようになる。このとき、室外熱交換器5は室外凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、室内凝縮器3、流量制御弁32、室外熱交換器5、過冷却度制御弁42、蒸発器7、過熱度制御弁48、アキュムレータ8を経由するように第3冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0044】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3および室外熱交換器5を経ることで凝縮される。そして、室外熱交換器5を経由した冷媒が過冷却度制御弁42にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒となって蒸発器7に導入される。このとき、過冷却度制御弁42は、室外熱交換器5の出口側(e点)の過冷却度が設定値SCとなるように弁部の開度を自律的に調整する。蒸発器7の入口に導入された冷媒は、その蒸発器7を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を冷却する。
【0045】
図2(B)に示すように、除湿運転時においては、流量制御弁32は開弁状態となり、大口径制御を実行する。このとき、流量制御弁32には前後差圧ΔPが発生する。その結果、室内凝縮器3の凝縮圧力(凝縮温度)が、室外熱交換器5の凝縮圧力(凝縮温度)よりも高く維持され、車室内の温度が必要以上に低下することが抑制される。具体的には、ドライバの足元の温度をある程度高く維持することができる。また、この場合も、過冷却度制御弁42は、室外熱交換器5の出口側(e点)の過冷却度が設定値SCとなるように弁部の開度を自律的に調整する。
【0046】
図2(C)に示すように、特定暖房運転時においては、流量制御弁32は開弁状態となり、小口径制御を実行する。一方、開閉弁50,52が開弁される。そして、流量制御弁32の開度が調整されることで、蒸発器7および室外熱交換器5に向かう冷媒の流量の割合が調整される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、流量制御弁32、室外熱交換器5、開閉弁52、過熱度制御弁54、アキュムレータ8を経由するように第2冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で室内凝縮器3、開閉弁50、過冷却度制御弁42、蒸発器7、過熱度制御弁48、アキュムレータ8を経由するように第1冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0047】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮される。そして、一方で流量制御弁32にて断熱膨張された冷温・低圧の気液二相冷媒が室外熱交換器5に供給されて蒸発し、他方で過冷却度制御弁42にて断熱膨張された冷温・低圧の気液二相冷媒が蒸発器7に供給されて蒸発する。このとき、開閉弁50は全開状態である。室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率は、流量制御弁32の開度により制御される。すなわち、流量制御弁32の開度調整により室外熱交換器5へ供給される冷媒の流量が調整される。室内凝縮器3から導出された冷媒のうちバイパス通路25へ振り分けられる冷媒の流量は、流量制御弁32の開度に応じて変化する。一方、蒸発器7へ供給される冷媒流量は、過冷却度制御弁42により室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCとなるように調整される。
【0048】
この特定暖房運転においては除湿運転が良好に行われるが、その除湿制御の概要については以下のとおりである。すなわち、図2(C)に示すように、過冷却度制御弁42により室内凝縮器3の出口における所定の過冷却度SCが維持されることで(c点)、室内凝縮器3における凝縮能力が適正に維持され、室外熱交換器5(室外蒸発器)および蒸発器7(室内蒸発器)のそれぞれにおいて効率の良い熱交換が行われる。このとき、アキュムレータ8によって圧縮機2の入口の冷媒の状態が常に飽和蒸気圧曲線上に保持されるため(a点)、蒸発器7の出口の冷媒の状態(g点)は、過熱度制御弁54の出口における冷媒の過熱度(h点)とバランスするように変化する。
【0049】
すなわち、図示のように過熱度制御弁54の出口側にて過熱度が発生している場合、蒸発器7の出口における冷媒の湿り度(g点)は、過熱度制御弁54の出口における冷媒の過熱度(h点)とバランスする。このとき、室外熱交換器5における外部からの熱吸収量は、過熱度制御弁54の絞り量により調整される。すなわち、過熱度制御弁54は、その出口側の過熱度が設定過熱度SHよりも大きくなると、閉弁方向に動作して室外熱交換器5における蒸発圧力Poを上昇させる。その結果、室外熱交換器5の蒸発圧力Poと蒸発器7の蒸発圧力Peとの差圧Poeが発生する。それにより、室外熱交換器5を通過する冷媒の温度が高くなり外気との熱交換量が少なくなるため、過熱度は小さくなる方向に変化する。逆に、その過熱度が設定過熱度SHよりも小さくなると、開弁方向に動作して室外熱交換器5における蒸発圧力Poを低下させる。それにより、室外熱交換器5を通過する冷媒の温度が低くなり外気との熱交換量が多くなるため、過熱度は大きくなる方向に変化する。
【0050】
このように、過熱度制御弁54の出口側の過熱度が設定過熱度SHとなるよう過熱度制御弁54が自律的に動作するため、室外熱交換器5の出口側の過熱度または湿り度が過熱度制御弁54の出口側の過熱度に応じて調整される。それにより、室外熱交換器5に潤滑オイルが滞留することを防止または抑制することができる。また、外気温によっては逆に、過熱度制御弁48の出口側にて過熱度が発生する場合もある(図2(C)の括弧書き参照)。その場合には、室外熱交換器5の出口における湿り度((e)点)が、過熱度制御弁48の出口側の過熱度((i)点)とバランスするようになる。すなわち、過熱度制御弁48の出口側の過熱度が設定過熱度SHとなるよう過熱度制御弁48が自律的に動作するため、蒸発器7の出口側の過熱度または湿り度が過熱度制御弁48の出口側の過熱度に応じて調整される。それにより、蒸発器7に潤滑オイルが滞留することを防止または抑制することができる。
【0051】
また、車両が極寒の環境下におかれた場合などには、室外熱交換器5が凍結して空調制御の制御性を低下させてしまうことも想定される。このため、制御部100は、外部情報に基づいて適宜除霜運転を実行する。この除霜運転において、制御部100は、まずエアミックスドア14を閉じて室内凝縮器3における熱交換を休止し、冷媒の温度低下を抑制する。このとき、蒸発器7にて熱交換が行われると車室内の温度が低下してしまうので、室内送風機12の駆動も停止させる。その状態で、図2(D)に示したように開閉弁50を閉じる一方で開閉弁52を開弁させ、流量制御弁32を開弁させる。なお、除霜運転時において室外熱交換器5と外部の空気との熱交換を抑制するために、室外熱交換器5に外気(風)が当たることを抑制するシャッタ等を設けてもよい。
【0052】
このとき、流量制御弁32は大口径制御を実行する。その結果、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒が、流量制御弁32を通過して室外熱交換器5に供給され、その後、開閉弁52、過熱度制御弁54およびアキュムレータ8を経由して圧縮機2に戻る。このとき、室外熱交換器5の出口側の冷媒は過冷却しないため(e点)、過冷却度制御弁42は閉弁状態を維持する。このため、蒸発器7への冷媒の供給は遮断される。その結果、ホットガスが室外熱交換器5に供給され続ける状態となり、除霜を確実に実行することが可能となる。除霜運転が安定した状態においては図中実線にて示すように、室外熱交換器5から導出された冷媒は、アキュムレータ8に導入されることにより飽和蒸気線上に制御される(e点)。
【0053】
このようにして流量制御弁32を介して高温のガス冷媒が室外熱交換器5に送られ、除霜を行うことができる。なお、開閉弁52の下流側には過熱度制御弁54が設けられているため、アキュムレータ8に想定以上の過熱ガスが供給されることは防止される。すなわち、アキュムレータ8内の液冷媒が不足等により過熱度制御弁54の出口側に過熱度が発生する場合も想定されるが、その場合には図中点線にて示すように、過熱度制御弁54がその過熱度が設定過熱度SHに近づくよう冷媒の流れを制御する。このため、過熱度制御弁54には前後差圧が発生するようになる。
【0054】
次に、本実施形態における過熱度制御弁の具体的構成および動作について説明する。図3および図4は、過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。図3は過熱度制御弁の閉弁状態を示し、図4は過熱度制御弁の開弁状態を示している。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。
【0055】
図3に示すように、本実施形態の過熱度制御弁48,54は、有底筒状のボディ102に弁駆動体104およびベローズ106を同軸状に収容して構成される。ボディ102は、切削加工により得られた第1ボディ108にプレス成形により得られた第2ボディ110を同軸状に嵌合して構成されている。第1ボディ108の底部近傍の側部には入口ポート112が設けられ、下端開口部には出口ポート114が設けられている。過熱度制御弁48であれば、入口ポート112は蒸発器7の出口に連通し、出口ポート114はアキュムレータ8の入口に連通する。過熱度制御弁54であれば、入口ポート112は室外熱交換器5の出口に連通し、出口ポート114はアキュムレータ8の入口に連通する(図1参照)。第1ボディ108の上半部の内径は縮径されており、入口ポート112に連通する高圧室116が形成されている。第1ボディ108の下半部には、出口ポート114に連通する低圧室118が形成されている。
【0056】
第2ボディ110は、上方に向けて小径化する段付円筒状の本体を有し、第1ボディ108に同心状に組み付けられている。第1ボディ108と第2ボディ110との間には、シール用のOリング119が介装されている。第2ボディ110の小径部は高圧室116に配置され、その入口ポート112との対向面には内外を連通する連通孔が設けられている。第2ボディ110の下端開口部を封止するように円板状の支持部材120が設けられている。支持部材120の中央部には、ベローズ106を支持するための円ボス状の支持部122が設けられている。その支持部122の内周面には雌ねじ部が形成されている。支持部材120の所定箇所には内外を連通する連通孔124が設けられている。第2ボディ110の小径部の下端開口部には弁孔126が形成され、その開口端部により弁座128が形成されている。弁座128は、高圧室116と低圧室118との境界部に位置している。
【0057】
弁駆動体104は、段付円筒状をなし、その軸線方向中央部に弁体130が設けられている。弁体130は低圧室118に配置され、弁座128に下流側から着脱して弁部を開閉する。弁駆動体104の下半部は段階的に拡径し、その下端部が第2ボディ110の大径部の内周面に摺動可能に支持されている。一方、弁駆動体104の上半部は縮径部131となって高圧室116に延出し、その先端部が径方向外向きに延出して区画部132を形成している。区画部132は、第2ボディ110の小径部の内周面に摺動可能に支持されている。すなわち、弁駆動体104は、その上端部と下端部が第2ボディ110に摺動可能に支持される態様で弁部の開閉方向に動作可能となっている。弁駆動体104と第2ボディ110との間には、弁駆動体104を開弁方向に付勢するスプリング134(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0058】
また、第2ボディ110の底部と区画部132との間には背圧室136が形成される。低圧室118内の冷媒は、縮径部131の内部通路137を介して背圧室136に導入される。本実施形態では、弁体130の有効受圧面積Aと区画部132の有効受圧面積Bとが等しいため、弁体130に作用する上流側圧力Pinの影響がキャンセルされる。
【0059】
ベローズ106は、可撓性を有する有底円筒状の本体140と、段付円筒状の心材142とを備える。心材142は、その上半部が本体140の内方に延出し、下半部が支持部材120に片持ち状に固定されている。すなわち、心材142の下半部には支持部材120の支持部122に連結されるアジャスト部144が設けられている。アジャスト部144の内周面には支持部122の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成されており、アジャスト部144の螺入量を調整することで、低圧室118におけるベローズ106の位置が調整される。心材142におけるアジャスト部144のやや上部には、半径方向外向きに延出するフランジ部146が設けられ、本体140の下端開口部がフランジ部146に封止されるように接合されている。
【0060】
本体140は、その蛇腹状の側部が心材142にそって軸線方向に延び、その先端の平面状の底部が弁体130の下面に当接するようにして弁駆動体104を下方から支持している。本体140は、低圧室118を密閉空間S1と開放空間S2とに仕切る感圧部材からなる。本体140は、金属チューブ148を介して基準ガスなどが充填された後、その金属チューブ148の導入口を潰して封止することにより密閉されている。本実施形態においては、基準ガスとして、冷凍サイクルを循環する冷媒ガス(HFC−134a)と窒素ガスとの混合ガスが用いられる。なお、変形例においては、基準ガスとして、冷凍サイクルを循環する冷媒ガスと同種類のガスを用いてもよい。本体140の外面には、弁部にて減圧された下流側圧力Poutが付与されるようになる。
【0061】
ベローズ106は、本体140が内外の圧力差によって伸縮し、その伸張により弁体130に閉弁方向の付勢力を付与する。一方、本体140が縮小することによりベローズ106による付勢力を解除することができるが、所定量縮小すると、本体140の底部が心材142の上端面に係止されるため、その縮小量は規制される。その結果、弁体130の全開位置が規制されることになる。
【0062】
以上のような構成において、入口ポート112を介して導入された上流側圧力Pinの冷媒は、弁部を経て減圧膨張されて下流側圧力Poutとなり、出口ポート114から導出される。一方、下流側圧力Poutの冷媒の一部は、内部通路137を介して背圧室136にも導入される。弁体130そのものに作用する上流側圧力Pinおよび下流側圧力Poutによる荷重はキャンセルされるため、弁体130は、スプリング134による開弁方向の力と、ベローズ106による閉弁方向の駆動力とが釣り合う位置にて静止する。ここで、ベローズ106は、低圧室118の冷媒の温度と圧力を感知し、弁部の下流側の冷媒の過熱度が設定値に近づくように動作し、弁部の開度を調整する。すなわち、ベローズ106は、弁部の下流側(過熱度制御弁の出口側)に過熱度が生じている場合、その過熱度が設定過熱度SHとなるように動作し、弁部の開度を調整する。
【0063】
すなわち、図4に示すような過熱度の制御状態において、下流側の過熱度が設定過熱度SHよりも大きくなると、ベローズ106が高温を感知して弁体130の閉弁方向に動作する。その結果、弁開度が小さくなるため下流側圧力Poutが低下し、上流側圧力Pinが上昇するため、その上流側の蒸発器での熱交換量が少なくなり、結果的に下流側の過熱度も小さくなる方向に変化する。
【0064】
逆に、過熱度が設定過熱度SHよりも小さくなると、ベローズ106が低温を感知して弁体130の開弁方向に動作する。その結果、弁開度が大きくなるため下流側圧力Poutが上昇し、上流側圧力Pinが低下するため、その上流側の蒸発器での熱交換量が多くなり、結果的に下流側の過熱度も大きくなる方向に変化する。このようにして弁部の下流側の過熱度が設定過熱度SHに保たれるようになる。なお、このように弁部の下流側の過熱度を制御することが、弁部の上流側の冷媒の状態(上流側の蒸発器での蒸発状態)を調整することになる。
【0065】
図5は、過熱度制御弁による作用効果を表す説明図である。同図は、図2(C)のモリエル線図において二点鎖線にて囲まれた部分の拡大図に対応する。なお、図中の太い実線は乾き飽和蒸気線(図2(C)参照)を示し、一点鎖線は等温線を示し、点線は圧力を示している。
【0066】
図示の例では、過熱度制御弁54の出口側の冷媒の圧力が飽和温度0℃相当の圧力(約0.3Mpa)になっている場合を想定している。この場合に過熱度制御弁54の出口側の過熱度の設定値SHを10degに設定すると(h点)、過熱度制御弁54の入口側(つまり室外熱交換器5の出口側)の温度が10℃であった場合、その過熱度制御弁54の入口側の過熱度は約3degになる(e1点)。つまり、過熱度制御弁54の出口側の過熱度の設定値SHを10degに設定することは、仮に過熱度制御弁54の入口側の過熱度の設定値SHを3degに設定することとほぼ等価となる。
【0067】
すなわち、冷媒が過熱度制御弁54の弁部を通過する際には断熱膨張により等エントロピー変化となる。一方、冷凍サイクルの特性上、乾き飽和蒸気線は厳密には図示のように右上がり状態となる。このため、過熱度制御弁54の前後(上流側と下流側)で同じ冷媒の蒸発状態を実現するにしても、弁部の下流側の過熱度を調整対象としたほうが、弁部の上流側の過熱度を調整対象とする場合よりも過熱度の調整範囲を大きくとることができる。本実施形態ではこの点に着目し、過熱度制御弁54が弁部の下流側の過熱度を制御するようにし、結果的に弁部の上流側(室外熱交換器5:外部蒸発器の出口側)の冷媒の状態(湿り度または乾き度)を細かく調整できるようにしている。
【0068】
すなわち、同様に過熱度制御弁54の出口側の過熱度の設定値SHを10degに設定したときに、過熱度制御弁54の入口側の温度が14.3℃であった場合には、その入口側の過熱度は0degになり(e2点)、過熱度制御弁54の入口側の温度が14.3℃以上であった場合にはその入口側は湿り度がある状態となる(e3点)。このような場合、過熱度制御弁54が弁部の上流側の冷媒の温度と圧力を感知してその上流側の過熱度を制御する手法では、その上流側の蒸発状態を調整することができない。これに対し、本実施形態では、過熱度制御弁54が弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知してその下流側の過熱度を制御するようにしたため、結果的に弁部の上流側が湿り度がある状態であってもその冷媒の蒸発状態を制御することが可能となる。すなわち、室外熱交換器5(室外蒸発器)の出口側の冷媒が湿り状態にあっても弁部の下流側に過熱度が発生していれば、過熱度制御弁54がその下流側の過熱度を調整することで、結果的に室外熱交換器5の出口側の冷媒の湿り度を調整できるようになり、蒸発器における冷媒の蒸発状態を細かく調整できるようになる。
【0069】
なお、図示の例では、過熱度制御弁54の作用効果を例に説明したが、過熱度制御弁48の作用効果についても同様のことが言える。すなわち、本実施形態では、過熱度制御弁48が弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知してその下流側の過熱度を制御するようにしたため、結果的に弁部の上流側が湿り度がある状態であってもその冷媒の蒸発状態を制御することが可能となる。すなわち、蒸発器7(室内蒸発器)の出口側の冷媒が湿り状態にあっても弁部の下流側に過熱度が発生していれば、過熱度制御弁48がその下流側の過熱度を調整することで、結果的に蒸発器7の出口側の冷媒の湿り度を調整できるようになり、蒸発器における冷媒の蒸発状態を細かく調整できるようになる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、過熱度制御弁の構造が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどしてその説明を省略する。図6および図7は、第2実施形態に係る過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。図6は過熱度制御弁の閉弁状態を示し、図7は過熱度制御弁の開弁状態を示している。
【0071】
本実施形態の過熱度制御弁48,54は、有底筒状のボディ202に主弁204とパイロット弁206とを同軸状に収容して構成される。ボディ202の一方の側部には入口ポート112が設けられ、他方の側部には出口ポート114が設けられている。ボディ202の上半部には、有底円筒状の区画部材210が圧入されている。区画部材210は、シール用のOリング212,214を嵌着した状態でボディ202に圧入されており、区画部材210とボディ202との間隙を介した冷媒の漏洩が確実に防止されている。区画部材210の内部中央には半径方向内向きに突出したフランジ状の区画壁216が設けられている。区画壁216は、ボディ202内を高圧室116と低圧室118とに区画している。
【0072】
区画壁216の環状の内周部により主弁孔218が形成されている。低圧室118には、弁座形成部材207、弁駆動体208およびパワーエレメント209が配設されている。弁座形成部材207は、上半部が拡径した段付円筒状の本体を有する。弁座形成部材207は、その上半部が区画部材210の下半部に圧入され、区画部材210との間に弁駆動体208を支持している。弁座形成部材207の下端部にはパワーエレメント209が固定されている。パワーエレメント209は、低圧室118の冷媒の温度と圧力を感知してパイロット弁206ひいては主弁204を開閉駆動するものである。
【0073】
弁駆動体208は、主弁体220、縮径部222および区画部224を一体に備えた段付円筒状の本体を有する。弁駆動体208の上端部に主弁体220が設けられている。主弁体220は高圧室116に配置され、主弁孔218に上流側から挿抜されて主弁204を開閉する。主弁体220は、縮径部222を介して区画部224に連設されている。区画部224は下方に向けて段階的に拡径し、その下端部が弁座形成部材207の大径部の内周面に摺動可能に支持されている。区画部224の外周面にはシール用のOリング226が嵌着されている。
【0074】
区画部224は、弁座形成部材207との間に背圧室228を形成する。縮径部222の内方には高圧室116と背圧室228とを連通させる連通路230が設けられ、連通路230の下端部が縮径して小断面のオリフィス232を形成している。すなわち、高圧室116の上流側圧力Pinはオリフィス232を経由することで中間圧力Ppとなる。区画部224と区画壁216との間には、主弁体220を閉弁方向に付勢するスプリング234(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0075】
弁座形成部材207の内部中央には、半径方向内向きに延出するフランジ部が設けられ、そのフランジ部の環状の内周部によりパイロット弁孔236が形成されている。そして、パイロット弁孔236の背圧室228側の開口端部によりパイロット弁座238が形成されている。背圧室228にはボール状のパイロット弁体240が配設され、そのパイロット弁体240がパイロット弁座238に着脱してパイロット弁206を開閉する。
【0076】
弁座形成部材207の中央部には、パイロット弁体240を囲むように円ボス状の支持部が突設され、その支持部に円筒状のばね受け部材242が圧入されている。パイロット弁体240は、上方の支持部材244と下方の作動ロッド245との間に挟まれるようにして支持されている。支持部材244とばね受け部材242との間には、パイロット弁体240を閉弁方向に付勢するスプリング246(「付勢部材」として機能する)が介装されている。ばね受け部材242の圧入量によりスプリング246の荷重が調整されている。なお、高圧室116と低圧室118とを主弁204を介してつなぐ通路が「主通路」を構成し、高圧室116と低圧室118とをパイロット弁206を介してつなぐ通路が「副通路」を構成する。
【0077】
パワーエレメント209は、中空のハウジング250と、ハウジング250内を密閉空間S1と開放空間S2とに仕切るように配設されたダイアフラム252(「感圧部材」に該当する)とを含んで構成されている。ハウジング250は、第1ハウジング254および第2ハウジング256からなる。ダイアフラム252は、ステンレス等の金属薄板からなる。パワーエレメント209は、第1ハウジング254と第2ハウジング256との間にダイアフラム252を挟んだ状態でその接合部の外周に沿ってTIG溶接等が施されることにより形成される。パワーエレメント209は、その第2ハウジング256が弁座形成部材207の下端部に圧入されるようにして固定されている。
【0078】
密閉空間S1は感温室を構成し、第1ハウジング254内に基準圧力を保持するための基準ガスなどが充填された後、その下面中央に設けられた孔をボール状の封体258にて封止することにより密閉されている。本実施形態においては、基準ガスとして、冷凍サイクルを循環する冷媒ガス(HFC−134a)と窒素ガスとの混合ガスが用いられる。なお、変形例においては、基準ガスとして、冷凍サイクルを循環する冷媒ガスと同種類のガスを用いてもよい。
【0079】
ダイアフラム252の上面にはディスク260が設けられている。ディスク260は、弁座形成部材207の下端開口部に摺動可能に支持されている。ディスク260の外周面の数箇所には軸線方向に平行な連通溝262が形成され、第2ハウジング256の側部には内外を連通する連通孔264が設けられている。さらに、パワーエレメント209が収容されている収容室270と出口ポート114とを連通させる連通路272が形成されている。このため、パイロット弁206を経由した冷媒は、連通溝262、連通孔264、連通路272を介して出口ポート114へ導かれる。ダイアフラム252の上面には下流側圧力Poutが付与される。
【0080】
このような構成において、入口ポート112を介して導入された上流側圧力Pinの冷媒は、一方で主弁204を経て減圧膨張されて下流側圧力Poutとなり、他方でオリフィス232を経て背圧室228にて中間圧力Ppとなり、パイロット弁206を経て下流側圧力Poutとなる。中間圧力Ppは、パイロット弁206の開閉状態によって変化する。
【0081】
ここで、パワーエレメント209は、低圧室118の冷媒の温度と圧力を感知し、主弁204の下流側の冷媒の過熱度が設定値に近づくように動作し、パイロット弁206ひいては主弁204の開度を調整する。すなわち、パワーエレメント209は、暖房運転時において主弁204の下流側の過熱度が設定過熱度SHとなるように動作し、主弁204の開度を調整する。すなわち、弁駆動体208は、上流側圧力Pinと中間圧力Ppとの差圧(Pin−Pp)による閉弁方向の力、中間圧力Ppと下流側圧力Poutとの差圧(Pp−Pout)による開弁方向の力、スプリング234による閉弁方向の付勢力とが釣り合う位置にて静止する。その力の釣り合いに際し、中間圧力Ppは、パワーエレメント209の動作によるパイロット弁206の開閉状態に応じて変化する。パワーエレメント209の基準圧力室の圧力は、低圧室118の冷媒の過熱度に対応して変化する。それにより、低圧室118の冷媒の過熱度が設定過熱度SHに近づくようパイロット弁206の開度が変化し、主弁204の開度が調整される。
【0082】
すなわち、図7に示すような過熱度の制御状態において、低圧室118(主弁204の下流側)の過熱度が設定過熱度SHよりも大きくなると、パワーエレメント209が高温を感知してパイロット弁206の開弁方向に動作する。その結果、パイロット弁206の弁開度が大きくなるため中間圧力Ppが低下し、弁駆動体208が閉弁方向に動作する。その結果、上流側圧力Pinが上昇するため、上流側の蒸発器での熱交換量が少なくなり、過熱度が小さくなる方向に変化する。例えば過熱度制御弁54の場合、図2(C)に示した室外熱交換器5の蒸発圧力Poが上昇するために外部の空気との温度差が小さくなり、その蒸発量が減少する。それにより、室外熱交換器5の出口側の過熱度が小さくなる。
【0083】
逆に、過熱度が設定過熱度SHよりも小さくなると、パワーエレメント209が低温を感知してパイロット弁206の閉弁方向に動作する。その結果、パイロット弁206の弁開度が小さくなるため中間圧力Ppが上昇し、弁駆動体208が開弁方向に動作する。その結果、上流側圧力Pinが低下するため、上流側の蒸発器での熱交換量が増加し、過熱度が大きくなる方向に変化する。具体的には、図2(C)に示した室外熱交換器5の蒸発圧力Poが低下するために外部の空気との温度差が大きくなり、その蒸発量が増加する。それにより、室外熱交換器5の出口側の過熱度が大きくなる。このようにして過熱度が設定過熱度SHに保たれるようになる。なお、過熱度制御弁48の場合には、その主弁の下流側の過熱度が設定過熱度SHに保たれるようになる。その結果、蒸発器7における蒸発状態が調整される。
【0084】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0085】
上記実施形態では、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車に適用した例を示したが、内燃機関を搭載した自動車や、内燃機関と電動機を同載したハイブリッド式の自動車に提供することが可能であることは言うまでもない。上記実施形態では、圧縮機2として電動圧縮機を採用した例を示したが、エンジンの回転を利用して容量可変を行う可変容量圧縮機を採用することもできる。
【0086】
上記実施形態においては、補助凝縮器として室内凝縮器を設ける例を示した。変形例においては、補助凝縮器を室外熱交換器とは別に設けられる熱交換器として構成してもよい。その熱交換器は、例えば車室外に配置され、エンジンの冷却水を利用して熱交換を行うものでもよい。具体的には、例えば図1における圧縮機2と流量制御弁32との間に熱交換器を設ける一方、ダクト10内に放熱器を配置し、これら熱交換器と放熱器とを冷却水の循環回路にて接続してもよい。その循環回路には冷却水を汲み上げるポンプを設けてもよい。このようにすれば、圧縮機2から流量制御弁32へ向かう高温の冷媒と、循環回路を循環する冷却水との間で熱交換を行うことができる。このような構成においても、圧縮機2から吐出された冷媒を熱交換器により凝縮させて流量制御弁32に供給することが可能となる。
【0087】
上記実施形態においては、図1において車両用冷暖房装置の冷凍サイクルを構成する冷媒循環回路の一例を示した。変形例においては、これと異なる構成の冷媒循環回路を構成してもよい。圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる凝縮器と、凝縮器から導出された冷媒を蒸発させる第1の蒸発器と、第1の蒸発器と並列に設けられて凝縮器から導出された冷媒を蒸発させる第2の蒸発器とを備えた車両用冷暖房装置において、その第1の蒸発器および第2の蒸発器の一方または双方の下流側に上記実施形態にて示した過熱度制御弁を設けてもよい。その車両用冷暖房装置は、車室内に配置されて第1の蒸発器として冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、車室外に配置されて冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時に第2の蒸発器として冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、室外熱交換器とは別に凝縮器として冷媒を放熱させる補助凝縮器とを備えるものでもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 車両用冷暖房装置、 2 圧縮機、 3 室内凝縮器、 5 凝縮器、 7 蒸発器、 8 アキュムレータ、 32 流量制御弁、 40 過熱度制御弁、 42 過冷却度制御弁、 44 差圧弁、 46 逆止弁、 48 過熱度制御弁、 50,52 開閉弁、 54 過熱度制御弁、 100 制御部、 102 ボディ、 104 弁駆動体、 106 ベローズ、 112 入口ポート、 114 出口ポート、 116 高圧室、 118 低圧室、 126 弁孔、 128 弁座、 130 弁体、 136 背圧室、 202 ボディ、 204 主弁、 206 パイロット弁、 208 弁駆動体、 209 パワーエレメント、 218 主弁孔、 220 主弁体、 228 背圧室、 236 パイロット弁孔、 238 パイロット弁座、 240 パイロット弁体、 252 ダイアフラム、 S1 密閉空間、 S2 開放空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、
前記弁孔に接離して弁部を開閉する弁体を含む弁駆動体と、
前記弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう前記弁体を開閉駆動する感温部と、
を備えることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記感温部として、前記弁部の下流側に設けられて前記弁駆動体に当接し、前記弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知して前記弁駆動体を駆動するベローズと、
前記弁駆動体に作用する前記弁部の上流側圧力の影響をキャンセルする構造と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記入口ポートと前記出口ポートとをつなぐ主通路を、主弁孔に接離して開閉する主弁体を有し、前記弁駆動体が前記主通路と背圧室とを区画するように設けられる主弁と、
前記入口ポートと前記出口ポートとを前記背圧室を介してつなぐ副通路の開度を、副弁孔に接離して調整可能なパイロット弁体を有し、そのパイロット弁体が前記感温部に作動連結されることにより前記主弁体の開閉駆動力を生成するパイロット弁と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる凝縮器と、
前記凝縮器から導出された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器の下流側に設けられ、弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう弁開度を調整する過熱度制御弁と、
を備えることを特徴とする車両用冷暖房装置。
【請求項5】
車室内に配置され、前記蒸発器として冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、
車室外に配置され、冷房運転時に前記凝縮器として冷媒を放熱させる一方、暖房運転時に冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、
前記室外熱交換器が室外蒸発器として機能するときに下流側となる位置に設けられ、弁部の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう弁開度を調整するもう一つの過熱度制御弁と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用冷暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61911(P2012−61911A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206429(P2010−206429)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000133652)株式会社テージーケー (280)
【Fターム(参考)】