説明

車両用制御装置

【課題】給油所に特別の設備を設置することなく、給油口カバーを自動的に開口させることが可能な車両用制御装置を提供すること。
【解決手段】自車両の位置を特定する位置特定手段12と、給油位置の情報を含む地図情報を保有する地図データベース14と、を備え、位置特定手段12により特定された自車両の位置が、地図情報における所定の給油位置に至ったときに、自車両の給油口カバー40を開口させる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用制御装置としては、給油所に設けられた送信機からFM変調波等により送信される、給油口カバーの開口を指示する指示信号を受信して、自動的に給油口カバーを開口させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一般に用いられているナビゲーションシステムの一部には、給油所に到達した際に給油口カバーを開口させるよう促したり、給油口の位置を表示したりする機能を有するものが存在する。
【特許文献1】特開平8−163654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の車両用制御装置においては、給油所側に送信設備が必要となり、設備負担が大きい。
【0005】
また、上記機能を有するナビゲーションシステムは、給油口カバーの開口を自動的に行うものではなく、給油口カバーを手動で開口させることが必要となり、乗員が煩雑さを感じる場合がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、給油所に特別の設備を設置することなく、給油口カバーを自動的に開口させることが可能な車両用制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、自車両の位置を特定する位置特定手段と、給油位置の情報を含む地図情報を保有する地図データベースと、を備え、位置特定手段により特定された自車両の位置が、地図情報における所定の給油位置に至ったときに、自車両の給油口カバーを開口させる、ことを特徴とするものである。
【0008】
この本発明の第1の態様によれば、給油所に特別の設備を設置することなく、給油口カバーを自動的に開口させることができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、自車両の位置を特定する位置特定手段と、給油位置の情報を含む地図情報を保有する地図データベースと、自車両における内燃機関の停止を検出する内燃機関停止検出手段と、を備え、位置特定手段により特定された自車両の位置が、地図情報における所定の給油位置に至り、且つ、内燃機関停止検出手段により自車両における内燃機関の停止が検出されたときに、自車両の給油口カバーを開口させる、ことを特徴とするものである。
【0010】
この本発明の第2の態様によれば、内燃機関が停止したことを検出したときのみに、給油口カバーを開口させる制御を行なうから、給油所に特別の設備を設置することなく、より安全に給油口カバーを自動的に開口させることができる。
【0011】
また、この本発明の第1又は第2の態様において、乗員による入力操作が可能な入力手段を更に備え、所定の給油位置は、地図情報における給油位置のうち、乗員による前記入力手段への入力操作により特定された給油位置であるものとしてもよい。こうすれば、所定の給油位置に至ったにも拘らず、給油を行なうか否か不明な場合も想定できるため(給油所におけるその他の用を行なう場合など)、こうした場合に給油口カバーを開口させる制御を行なってしまうことを抑制することができる。
【0012】
また、この本発明の第1又は第2の態様において、好ましくは、給油口カバーの開口状態を検出する開口状態検出手段を更に備え、開口状態検出手段により給油口カバーが開口していることが検出されている場合は、自車両の給油口カバーを開口させる制御を禁止することを特徴とするものである。こうすれば、無駄な制御によるエネルギー消費を抑制すると共に機器の破損を防止することができる。
【0013】
また、この本発明の第1又は第2の態様において、好ましくは、自車両に関する情報を乗員に報知する報知手段を更に備え、給油口カバーを開口させる制御を行なった旨を、報知手段により乗員に報知する、ことを特徴とするものである。
【0014】
また、この本発明の第1又は第2の態様において、好ましくは、自車両に関する情報を乗員に報知する報知手段と、給油口カバーの開口状態を検出する開口状態検出手段と、を更に備え、自車両の給油口カバーを開口させる制御を行なった後に、開口状態検出手段により給油口カバーが開口していないことが検出された場合には、手動により前記給油口カバーを開口すべき旨を報知手段により乗員に報知する、ことを特徴とするものである。なお、この態様に対応する請求項6に記載された報知手段及び開口状態検出手段は、請求項4に記載された開口状態検出手段や請求項5に記載された報知手段と同一のものであってもよい。
【0015】
また、この本発明の第1又は第2の態様において、給油口カバーを自動的に開口させる制御のオン/オフを切替え可能な切替えスイッチを更に備えるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、給油所に特別の設備を設置することなく、給油口カバーを自動的に開口させることが可能な車両用制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用制御装置1の全体構成の一例を示す図である。図示するように、車両用制御装置1は、主要なハードウエア構成として、例えば、ナビゲーションシステム10と、エンジン30のクランクシャフトに取り付けられたクランク角センサー32と、給油口カバー40を開口させるための給油口カバー用アクチュエーター42と、を備える。
【0019】
ナビゲーションシステム10は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星が出力するGPS信号に基づいて自車位置を測位するGPS受信機12と、ハードディスクやDVD、CD−ROM等の記録媒体上に給油位置を含む地図情報を保有する地図データベース14と、車両に関する情報を表示すると共に乗員による指示入力も可能にしたタッチパネル式のディスプレイ16と、音声案内等に用いられるスピーカー18と、ナビゲーションシステム10の主要機能を実現するナビゲーションシステム用電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitと称する)20とを備える。また、ナビゲーションシステム10は、ビーコン受信機及びFM多重受信機を更に備えてもよい。
【0020】
ナビゲーションシステム用ECU20は、例えば、CPUを中心とするコンピューターであり、図示しない通信制御部を備える。ナビゲーションシステム用ECU20は、CAN(controller area network)などの適切な通信ネットワークを介して、車両内の各種の電子部品(各種センサーや各種ECU)が接続される。特に、本実施例のナビゲーションシステム用ECU20には、エンジン30を制御するエンジン電子制御ユニット(以下、ECUと称する)34や、ボディ装置用電子制御ユニット(以下、ECUと称する)46が相互に通信可能に接続されている。
【0021】
GPS受信機により測位された自車位置は、公知のマップマッチング技術により、地図データベース14内の地図情報を用いて適宜補正される。例えば、自車位置の軌跡(走行軌跡)と地図情報の道路形状の比較が行われ、これに基づいて自車位置が道路上の点に来るように補正される。また、上記の通信ネットワークにより得られた車速データや、ジャイロセンサ等の各種センサーの出力、ビーコン受信機やFM多重受信機を介して受信される各種情報、等に基づいて補正されてよい。
【0022】
エンジン30は、ガソリン等の燃料を燃焼させることにより走行用の動力を出力する内燃機関であり、エンジンECU34により運転制御が行なわれている。クランク角センサー32により検出されたクランク角は、エンジンECU34に入力され、エンジンECU34ではこれに基づいてエンジン回転数や車速を計算している。
【0023】
給油口カバー40は、車両の側面における後輪の略上方に配設され、給油口カバー用アクチュエーター42により自動的に開口させることが可能な他、運転席の下側に設置された手動開口用のレバーにより手動で開口させることが可能である。又、給油口カバー40の開口状態は、開口センサー44により検出され、ボディ装置用ECU46に入力されている。給油口カバー用アクチュエーター42は、例えば、通信/駆動回路が並設されたサーボモーターであり、ボディ装置用ECU46により駆動制御がなされている。
【0024】
本発明の一実施例に係る車両用制御装置では、ナビゲーションシステム10により特定された自車両の位置が、地図データベース14が有する地図情報におけるガソリンスタンドのエリア内に至り、且つ、エンジン30が停止したときに、給油口カバー40を自動的に開口させる制御(以下、自動開口制御と称する)を行なっている。以下、これについて説明する。
【0025】
図2は、ナビゲーションシステム用ECU20により実行される、自動開口処理フローの一例を示すフローチャートである。本フローは、例えば、ナビゲーションシステム用ECU20のCPUによって、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0026】
まず、ナビゲーションシステム用ECU20は、乗員によるディスプレイ16への入力操作により、目的地として特定されたガソリンスタンドが存在するか否かを判定する(S100)。当該ガソリンスタンドが存在しない場合には、何も処理を行なわず、本フローの1ルーチンを終了する。
【0027】
目的地として特定されたガソリンスタンドが存在する場合は、自車両が当該ガソリンスタンドに至ったか否かを、上述の如く得られた自車位置及び地図情報を参照することにより判定する(S110)。自車両が当該ガソリンスタンドに至っていない場合は、何も処理を行なわず、本フローの1ルーチンを終了する。なお、具体的には、前回ルーチンにおいて自車両が当該ガソリンスタンドのエリア外であり、今回ルーチンにおいて自車両が当該ガソリンスタンドのエリア内となった場合に、自車両が当該ガソリンスタンドに至ったと判定する。
【0028】
自車両が当該ガソリンスタンドに至った場合は、エンジンECU34から送信されるエンジン30の回転数を参照して、エンジン30が停止しているか否かを判定する(S120)。エンジン30が停止していない場合は、何も処理を行なわず、本フローの1ルーチンを終了する。なお、エンジン30が停止していない場合に、エンジン30の停止を促すアナウンスをディスプレイ16やスピーカー18を用いて行なってもよい。
【0029】
エンジン30が停止している場合は、ナビゲーションシステム用ECU20は、ボディ装置用ECU46に、給油口カバー40を開口させるよう指示信号を送信し、ディスプレイ16にその旨を表示する(S130)。同時にスピーカー18を用いて音声により報知してもよい。ボディ装置用ECU46では、開口センサー44により給油口カバー40が閉じているのを確認した上で、給油口カバー用アクチュエーター42に給油口カバー40を開口させるように指示がなされる。
【0030】
S130の自動開口制御を行なうと、ナビゲーションシステム用ECU20は、実際に給油口カバー40が開口したか否かを、ボディ装置用ECU46からの信号を参照することにより判定する(S140)。実際に給油口カバー40が開口した場合は、何も処理を行なわず、本フローの1ルーチンを終了する。なお、この判定は、例えば、自動開口制御を実行してから所定時間(例えば、0コンマ数秒〜数秒等)経過してから行なうようにしてもよい。また、給油口カバーが開口した旨のアナウンスをディスプレイ16やスピーカー18を用いて行なってもよい。
【0031】
実際に給油口カバー40が開口しなかった場合は、開口しなかった旨と、手動で(手動開口用のレバーにより)給油口カバー40を開口させるべき旨を、ディスプレイ16に表示し、本フローの1ルーチンを終了する(S150)。この場合も、同時にスピーカー18を用いて音声により報知してもよい。また、同時に、手動開口用のレバーの位置をディスプレイ16やスピーカー18を用いて運転者に案内してもよい。こうすれば、自車の運転に慣れていない運転者が、慌てることなく給油口カバーを開口させることができる。
【0032】
このように、本発明の一実施例に係る車両用制御装置1では、車載用の機器を用いて自動開口制御を行なうから、ガソリンスタンド側に特別の設備を設置する必要がない。また、エンジン30が停止したことを確認してから自動開口制御を行うから、より安全に給油口を開口させることができる。さらに、予め目的地として特定されたガソリンスタンドに至った場合に自動開口制御を行なうか否かを判定するから、他の用で車両がガソリンスタンドに在るような場合に自動開口制御を行なってしまうことを抑制することができる。
【0033】
なお、自動的開口制御のオン/オフを切替え可能な切替えスイッチを更に備えるものとしてもよい。
【0034】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0035】
例えば、目的地として特定されたガソリンスタンドに限らず、任意のガソリンスタンドに到達し、且つエンジン30が停止した場合に、自動開口制御を行なうものとしてもよい。この場合、上述の自動開口処理フローにおけるS100を省略し、S110においては、地図情報に含まれる自車位置周辺の任意のガソリンスタンドに対して、そこに至ったか否かの判定を行なえばよい。
【0036】
また、エンジンECU34から送信されるエンジン30の回転数を参照して、エンジン30が停止しているか否かを判定するものとしたが、イグニッションスイッチがオフに操作されたこと等をもってエンジン30の停止を判定してもよい。
【0037】
また、エンジン30の停止を判定せず、目的地として特定された、又は、任意のガソリンスタンドに到達する度に自動開口制御を行なうものとしても構わない。
【0038】
また、上述の自動開口処理フローは、ナビゲーションシステム用ECU20により繰り返し実行されるものとしたが、ガソリンスタンドが目的地として特定される度に(特定されている間)実行するものとしてもよい。
【0039】
また、乗員に自動開口制御を行なった旨を報知する処理、及び、自動開口制御を行なった結果給油口カバー40が開口されなかった場合にその旨等を報知する処理は、その一方又は両方を省略しても構わない。
【0040】
また、自動開口制御を行なう際に、ボディ装置用ECU46において、開口センサー44により給油口カバー40が閉じているのを確認した上で、給油口カバー用アクチュエーター42に給油口カバー40を開口させるように指示するものとしたが、この確認を省略して給油口カバー用アクチュエーター42に給油口カバー40を開口させるように指示するものとしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、少なくともナビゲーションシステムを備える車両に利用できる。車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例に係る車両用制御装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るナビゲーションシステム用ECU20により実行される、自動開口処理フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用制御装置
10 ナビゲーションシステム
12 GPS受信機
14 地図データベース
16 ディスプレイ
18 スピーカー
20 ナビゲーションシステム用電子制御ユニット
30 エンジン
32 クランク角センサー
34 エンジン電子制御ユニット
40 給油口カバー
42 給油口カバー用アクチュエーター
44 開口センサー
46 ボディ装置用ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置を特定する位置特定手段と、
給油位置の情報を含む地図情報を保有する地図データベースと、を備え、
前記位置特定手段により特定された自車両の位置が、前記地図情報における所定の給油位置に至ったときに、自車両の給油口カバーを開口させる、
ことを特徴とする、車両用制御装置。
【請求項2】
自車両の位置を特定する位置特定手段と、
給油位置の情報を含む地図情報を保有する地図データベースと、
自車両における内燃機関の停止を検出する内燃機関停止検出手段と、を備え、
前記位置特定手段により特定された自車両の位置が、前記地図情報における所定の給油位置に至り、且つ、前記内燃機関停止検出手段により自車両における内燃機関の停止が検出されたときに、自車両の給油口カバーを開口させる、
ことを特徴とする、車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用制御装置であって、
乗員による入力操作が可能な入力手段を更に備え、
前記所定の給油位置は、前記地図情報における給油位置のうち、乗員による前記入力手段への入力操作により特定された給油位置である、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用制御装置であって、
前記給油口カバーの開口状態を検出する開口状態検出手段を更に備え、
前記開口状態検出手段により給油口カバーが開口していることが検出されている場合は、前記給油口カバーを開口させる制御を禁止する、
ことを特徴とする、車両用制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用制御装置であって、
自車両に関する情報を乗員に報知する報知手段を更に備え、
前記給油口カバーを開口させる制御を行なった旨を、前記報知手段により乗員に報知する、
ことを特徴とする、車両用制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用制御装置であって、
自車両に関する情報を乗員に報知する報知手段と、
前記給油口カバーの開口状態を検出する開口状態検出手段と、を備え、
前記自車両の給油口カバーを開口させる制御を行なった後に、前記開口状態検出手段により給油口カバーが開口していないことが検出された場合には、手動により前記給油口カバーを開口すべき旨を前記報知手段により乗員に報知する、
ことを特徴とする、車両用制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用制御装置であって、
前記給油口カバーを自動的に開口させる制御のオン/オフを切替え可能な切替えスイッチを更に備える。
車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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