説明

車両用前照灯

【課題】車両用前照灯に対する結線作業を簡略化し、車両用前照灯全体のコストを削減し、車両用前照灯全体をコンパクトにする。
【解決手段】ハウジング100aとカバーレンズ100bとによって画定される灯室100c内にターンシグナルランプ用発光素子光源31aとクリアランスランプ用発光素子光源31bとを配置した車両用前照灯100において、コネクタ35を光源31a,31bに電気的に接続し、光源31aからの光が、導光部材34の前側表面34aの放物系反射面34a'によって反射され、カバーレンズ100bの部分100b1cを介して照射方向に照射され、光源31bからの光が、導光部材34の上側端面34cから入射し、導光部材34の後側表面34bの拡散部34b1によって拡散せしめられて導光部材34内を導光され、導光部材34の下側端面34dから出射し、カバーレンズ100bの部分100b1dを介して照射方向に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングとカバーレンズとによって画定される灯室内に例えばターンシグナルランプ用光源などのような第1光源と例えばクリアランスランプ用光源などのような第2光源とを配置し、カバーレンズのうち、第1光源からの光が出射する部分の下側に、第2光源からの光が出射する部分を配置した車両用前照灯に関する。
【0002】
特に、本発明は、車両用前照灯に対する結線作業を簡略化することができると共に、車両用前照灯全体のコストを削減することができ、かつ、車両用前照灯全体をコンパクトにすることができる車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、ハウジングとカバーレンズ(アウターレンズ)とによって画定される灯室内にターンシグナルランプ用光源とクリアランスランプ用光源とを配置し、カバーレンズ(アウターレンズ)のうち、ターンシグナルランプ用光源からの光が出射する部分の下側に、クリアランスランプ用光源からの光が出射する部分を配置した車両用前照灯が知られている。この種の車両用前照灯の例としては、例えば特許文献1(特開2004−14310号公報)の図1および図2に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯では、ターンシグナルランプ用光源からの光が、ターンシグナルランプ用リフレクタによって反射され、カバーレンズ(アウターレンズ)を介して車両用前照灯の照射方向に照射される。また、クリアランスランプ用光源からの光が、クリアランスランプ用リフレクタによって反射され、インナーレンズおよびカバーレンズ(アウターレンズ)を介して車両用前照灯の照射方向に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−14310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯では、ターンシグナルランプ用光源がバルブ光源によって構成され、クリアランスランプ用光源がバルブ光源によって構成されている。つまり、特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯では、ターンシグナルランプ用光源に電力を供給するためのコネクタ(ソケット)とクリアランスランプ用光源に電力を供給するためのコネクタ(ソケット)とが別個に設けられている。そのため、特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯では、ターンシグナルランプ用光源およびクリアランスランプ用光源に電力を供給するために、車両本体から延びているターンシグナルランプ用ハーネスをターンシグナルランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)に接続すると共に、車両本体から延びているクリアランスランプ用ハーネスをクリアランスランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)に接続しなければならない。
【0007】
更に、特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯では、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するためのターンシグナルランプ用リフレクタと、クリアランスランプ用光源からの光を配光制御するためのクリアランスランプ用リフレクタとが別個に設けられているため、車両用前照灯全体の部品数が増加してしまい、車両用前照灯全体のコストが嵩んでしまう。また、車両用前照灯全体が大型化してしまう。
【0008】
前記問題点に鑑み、本発明は、車両用前照灯に対する結線作業を簡略化することができると共に、車両用前照灯全体のコストを削減することができ、かつ、車両用前照灯全体をコンパクトにすることができる車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ハウジング(100a)とカバーレンズ(100b)とによって画定される灯室(100c)内に第1光源(31a)と第2光源(31b)とを配置し、
カバーレンズ(100b)のうち、第1光源(31a)からの光が出射する部分(100b1c)の下側に、第2光源(31b)からの光が出射する部分(100b1d)を配置した車両用前照灯(100)において、
第1光源(31a)として発光素子光源を用いると共に、第2光源(31b)として発光素子光源を用い、
第1光源(31a)および第2光源(31b)を同一の基板(32)に搭載し、
第1光源(31a)に電力を供給すると共に第2光源(31b)に電力を供給するためのコネクタ(35)を第1光源(31a)および第2光源(31b)に電気的に接続し、
第1光源(31a)からの光を配光制御すると共に第2光源(31b)からの光を配光制御するための導光部材(34)を設け、
導光部材(34)の前側表面(34a)に放物系反射面(34a’)を形成し、
導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の焦点上またはその近傍に第1光源(31a)を配置し、
導光部材(34)の下側端面(34d)をカバーレンズ(100b)の後側表面(100b2)に対向させ、
第2光源(31b)を導光部材(34)の上側端面(34c)に対向させ、
導光部材(34)の後側表面(34b)に拡散部(34b1)を形成し、
第1光源(31a)からの光が、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)によって反射され、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射され、
第2光源(31b)からの光が、導光部材(34)の上側端面(34c)から入射し、導光部材(34)の後側表面(34b)の拡散部(34b1)によって拡散せしめられて導光部材(34)内を導光され、導光部材(34)の下側端面(34d)から出射し、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射されることを特徴とする車両用前照灯(100)が提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、基板(32)をヒートシンク(33)に接続し、
第1光源(31a)からの光のうち、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の前端部(34a1’)よりも前側に向かって進む光を反射して導光部材(34)の放物系反射面(34a’)に入射させるための反射部(33b)をヒートシンク(33)のうち、第1光源(31a)よりも前側の部分に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第2光源(31b)からの光のうち、導光部材(34)の上側端面(34c)の前端部(34c1)よりも前側に向かって進む光を遮光するための遮光部(33c)をヒートシンク(33)のうち、第2光源(31b)よりも前側の部分に形成したことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、導光部材(34)の上側端面(34c)に凹部(34c2)を形成し、
導光部材(34)の上側端面(34c)の凹部(34c2)によって第2光源(31b)を覆ったことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、第1光源(31a)と第2光源(31b)とを有するランプモジュール(30)と、すれ違いビーム用ランプモジュール(10)および/または走行ビーム用ランプモジュール(20)とを灯室(100c)内に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、ハウジング(100a)とカバーレンズ(100b)とによって画定される灯室(100c)内に第1光源(31a)と第2光源(31b)とが配置されている。また、カバーレンズ(100b)のうち、第1光源(31a)からの光が出射する部分(100b1c)の下側に、第2光源(31b)からの光が出射する部分(100b1d)が配置されている。
【0015】
詳細には、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)として発光素子光源が用いられると共に、第2光源(31b)として発光素子光源が用いられている。また、第1光源(31a)および第2光源(31b)が同一の基板(32)に搭載されている。更に、第1光源(31a)に電力を供給すると共に第2光源(31b)に電力を供給するためのコネクタ(35)が、第1光源(31a)および第2光源(31b)に電気的に接続されている。
【0016】
つまり、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)に電力を供給するためのコネクタと第2光源(31b)に電力を供給するためのコネクタとが別個に設けられるのではなく、第1光源(31a)および第2光源(31b)の共用のコネクタ(35)が設けられており、車両本体から延びているハーネスがコネクタ(35)に接続される。
【0017】
そのため、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、特許文献1の図1および図6に記載された車両用前照灯のように、ターンシグナルランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)とクリアランスランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)とが別個に設けられており、車両本体から延びているターンシグナルランプ用ハーネスがターンシグナルランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)に接続されると共に、車両本体から延びているクリアランスランプ用ハーネスがクリアランスランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)に接続される場合よりも、第1光源(31a)および第2光源(31b)に電力を供給するために車両本体から延びているハーネスを車両用前照灯(100)に接続する結線作業を簡略化することができる。
【0018】
更に、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)からの光を配光制御すると共に第2光源(31b)からの光を配光制御するための導光部材(34)が設けられている。また、導光部材(34)の前側表面(34a)に放物系反射面(34a’)が形成されている。更に、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の焦点上またはその近傍に第1光源(31a)が配置されている。
【0019】
また、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、導光部材(34)の下側端面(34d)がカバーレンズ(100b)の後側表面(100b2)に対向せしめられている。更に、第2光源(31b)が導光部材(34)の上側端面(34c)に対向せしめられている。また、導光部材(34)の後側表面(34b)に拡散部(34b1)が形成されている。
【0020】
その結果、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)からの光が、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)によって反射され、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射される。また、第2光源(31b)からの光が、導光部材(34)の上側端面(34c)から入射し、導光部材(34)内を導光されて導光部材(34)の後側表面(34b)の拡散部(34b1)によって拡散せしめられ、導光部材(34)の下側端面(34d)から出射し、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射される。
【0021】
つまり、特許文献1の図1および図6に記載された車両用前照灯のように、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するための手段(リフレクタ)とクリアランスランプ用光源からの光を配光制御するための手段(リフレクタ)とが別個に設けられるのではなく、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)からの光を配光制御する機能と第2光源(31b)からの光を配光制御する機能とを有する導光部材(34)が設けられている。
【0022】
そのため、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するためのリフレクタとクリアランスランプ用光源からの光を配光制御するためのリフレクタとが別個に設けられている特許文献1の図1および図6に記載された車両用前照灯よりも、車両用前照灯(100)全体の部品数を削減することによって車両用前照灯(100)全体のコストを削減することができると共に、車両用前照灯(100)全体をコンパクトにすることができる。
【0023】
換言すれば、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、車両用前照灯(100)に対する結線作業を簡略化することができると共に、車両用前照灯(100)全体のコストを削減することができ、かつ、車両用前照灯(100)全体をコンパクトにすることができる。
【0024】
請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、基板(32)がヒートシンク(33)に接続されている。また、第1光源(31a)からの光のうち、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の前端部(34a1’)よりも前側に向かって進む光を反射して導光部材(34)の放物系反射面(34a’)に入射させるための反射部(33b)が、ヒートシンク(33)のうち、第1光源(31a)よりも前側の部分に形成されている。
【0025】
つまり、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)からの光のうち、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の前端部(34a1’)よりも前側に向かって進む光が、ヒートシンク(33)の反射部(33b)によって反射され、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)によって反射され、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射される。
【0026】
そのため、請求項2に記載の車両用前照灯(100)によれば、第1光源(31a)からの光のうち導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の前端部(34a1’)よりも前側に向かって進む光が車両用前照灯(100)の照射方向に照射されない場合よりも、第1光源(31a)からの光の利用効率を向上させることができる。
【0027】
請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、第2光源(31b)からの光のうち、導光部材(34)の上側端面(34c)の前端部(34c1)よりも前側に向かって進む光を遮光するための遮光部(33c)が、ヒートシンク(33)のうち、第2光源(31b)よりも前側の部分に形成されている。
【0028】
つまり、請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、第2光源(31b)からの光のうち、導光部材(34)の上側端面(34c)の前端部(34c1)よりも前側に向かって進む光が、ヒートシンク(33)の遮光部(33c)によって遮光される。
【0029】
そのため、請求項3に記載の車両用前照灯(100)によれば、第2光源(31b)からの光のうち導光部材(34)の上側端面(34c)の前端部(34c1)よりも前側に向かって進む光が、第1光源(31a)からの光が出射するための部分(100b1c)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射されてしまうのを回避することができる。
【0030】
請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、導光部材(34)の上側端面(34c)に凹部(34c2)が形成されている。更に、導光部材(34)の上側端面(34c)の凹部(34c2)によって第2光源(31b)が覆われている。
【0031】
つまり、請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、第2光源(31b)からのほぼすべての光が、導光部材(34)の上側端面(34c)の凹部(34c2)から入射し、導光部材(34)内を導光されて導光部材(34)の後側表面(34b)の拡散部(34b1)によって拡散せしめられ、導光部材(34)の下側端面(34d)から出射し、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射される。
【0032】
そのため、請求項4に記載の車両用前照灯(100)によれば、第2光源(31b)からの光の一部が車両用前照灯(100)の照射方向に照射されない場合よりも、第2光源(31b)からの光の利用効率を向上させることができる。
【0033】
更に、請求項4に記載の車両用前照灯(100)によれば、第2光源(31b)からの光の一部が、第1光源(31a)からの光が出射するための部分(100b1c)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射されてしまうのを回避することができる。
【0034】
請求項5に記載の車両用前照灯(100)では、第1光源(31a)と第2光源(31b)とを有するランプモジュール(30)と、すれ違いビーム用ランプモジュール(10)および/または走行ビーム用ランプモジュール(20)とが灯室(100c)内に配置されている。つまり、請求項5に記載の車両用前照灯(100)によれば、第1光源(31a)と第2光源(31b)とを有するランプモジュール(30)をコンパクトにすることにより、ランプモジュール(30)とすれ違いビーム用ランプモジュール(10)および/または走行ビーム用ランプモジュール(20)とを有する車両用前照灯(100)全体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態の車両用前照灯100を概略的に示した図である。
【図2】第1の実施形態の車両用前照灯100の一部を構成するランプモジュール30を示した図である。
【図3】第1の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体を示した図である。
【図4】第1の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する導光部材34を示した図である。
【図5】第1の実施形態の車両用前照灯100の光源31a,31bからの光の光路を概略的に示した図である。
【図6】第2の実施形態の車両用前照灯100の一部を構成するランプモジュール30を示した図である。
【図7】第2の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体を示した図である。
【図8】第2の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する導光部材34を示した図である。
【図9】第2の実施形態の車両用前照灯100の光源31a,31bからの光の光路を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は第1の実施形態の車両用前照灯100を概略的に示した図である。詳細には、図1(A)は第1の実施形態の車両用前照灯100の概略的な正面図、図1(B)は図1(A)のA−A線に沿った概略的な鉛直断面図である。図1(C)はカバーレンズ100bの前側表面100b1のうち、すれ違いビーム用光源11からの光が出射する部分100b1a、走行ビーム用光源21からの光が出射する部分100b1b、ターンシグナルランプ用光源31aからの光が出射する部分100b1c、および、クリアランスランプ用光源31bからの光が出射する部分100b1dを示した図である。
【0037】
図2は第1の実施形態の車両用前照灯100の一部を構成するランプモジュール30を示した図である。詳細には、図2(A)はランプモジュール30の概略的な平面図、図2(B)はランプモジュール30の概略的な正面図、図2(C)は図2(B)のB−B線に沿った概略的な鉛直断面図である。図3は第1の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体を示した図である。詳細には、図3(A)は光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体の概略的な平面図、図3(B)は光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体の概略的な正面図、図3(C)は光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体の概略的な底面図、図3(D)は図3(B)のC−C線に沿った概略的な鉛直断面図である。
【0038】
図4は第1の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する導光部材34を示した図である。詳細には、図4(A)は導光部材34の概略的な平面図、図4(B)は導光部材34の概略的な正面図、図4(C)は図4(B)のD−D線に沿った概略的な鉛直断面図である。図5は第1の実施形態の車両用前照灯100の光源31a,31bからの光の光路を概略的に示した図である。
【0039】
第1の実施形態の車両用前照灯100では、ハウジング100a(図1(B)参照)とカバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)とによって画定される灯室100c(図1(B)参照)内に、例えば、すれ違いビーム用ランプモジュール10(図1(A)参照)と走行ビーム用ランプモジュール20(図1(A)および図1(B)参照)とランプモジュール30(図1(A)、図1(B)および図2参照)とが配置されている。更に、すれ違いビーム用ランプモジュール10が、例えばバルブ光源、発光素子光源などのような光源11(図1(A)参照)と、リフレクタ12(図1(A)参照)と、リフレクタ12からの反射光によって形成される配光パターンの上端にカットラインを形成するためのシェード(図示せず)とによって構成されている。また、例えばエイミングスクリュー(図示せず)、ボールジョイント(図示せず)などのような光軸調整機構を介してリフレクタ12がハウジング100aに接続されている。更に、走行ビーム用ランプモジュール20が、例えばバルブ光源、発光素子光源などのような光源21(図1(A)および図1(B)参照)とリフレクタ22(図1(A)および図1(B)参照)とによって構成されている。また、例えばエイミングスクリュー(図示せず)、ボールジョイント(図示せず)などのような光軸調整機構を介してリフレクタ22がハウジング100aに接続されている。
【0040】
また、第1の実施形態の車両用前照灯100では、光源11(図1(A)参照)からの光が、リフレクタ12(図1(A)参照)によって反射され、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分10b1a(図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)の左側)に照射される。更に、光源21(図1(A)および図1(B)参照)からの光が、リフレクタ22(図1(A)および図1(B)参照)によって反射され、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分10b1b(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)の左側)に照射される。
【0041】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、ランプモジュール30(図1(A)、図1(B)および図2参照)が、例えば、ターンシグナルランプ用発光素子光源31a(図1(B)および図2(C)参照)と、クリアランスランプ用発光素子光源31b(図1(B)および図2(C)参照)と、光源31a,31bを支持する基板32(図1(B)および図2(C)参照)と、基板32に接続されたヒートシンク33(図1(B)および図2参照)と、光源31a,31bからの光を配光制御するために透光性材料によって形成された導光部材34(図1(B)および図2参照)と、光源31a,31bに電気的に接続されたコネクタ35(図1(B)、図2(A)および図2(C)参照)とによって構成されている。
【0042】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図3(C)に示すように、光源31a,31bが同一の基板32に搭載されている。更に、図3に示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aに電力を供給すると共にクリアランスランプ用発光素子光源31bに電力を供給するために、1個のコネクタ35が設けられている。つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aに電力を供給するためのコネクタとクリアランスランプ用発光素子光源31bに電力を供給するためのコネクタとが別個に設けられるのではなく、図3に示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aおよびクリアランスランプ用発光素子光源31bの共用のコネクタ35が設けられており、車両本体から延びているハーネス(図示せず)がコネクタ35に接続される。
【0043】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯のように、ターンシグナルランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)とクリアランスランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)とが別個に設けられており、車両本体から延びているターンシグナルランプ用ハーネスがターンシグナルランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)に接続されると共に、車両本体から延びているクリアランスランプ用ハーネスがクリアランスランプ用バルブ光源のコネクタ(ソケット)に接続される場合よりも、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aおよびクリアランスランプ用発光素子光源31bに電力を供給するために車両本体から延びているハーネス(図示せず)を車両用前照灯100に接続する結線作業を簡略化することができる。
【0044】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図4に示すように、導光部材34の前側表面34aに例えばアルミニウム蒸着などを施すことによって放物系反射面34a’が形成されている。また、放物系反射面34a’が例えば回転放物面、放物柱面などをベースとする自由曲面によって構成されている。更に、図2(C)に示すように、導光部材34の放物系反射面34a’の焦点(図示せず)上またはその近傍にターンシグナルランプ用発光素子光源31aが配置されている。
【0045】
また、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図1(B)に示すように、導光部材34の下側端面34d(図2(C)参照)がカバーレンズ100bの後側表面100b2に対向せしめられている。更に、図2(C)に示すように、クリアランスランプ用発光素子光源31bが導光部材34の上側端面34cに対向せしめられている。また、導光部材34の後側表面34bに拡散部34b1が形成されている。
【0046】
その結果、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図5(A)に矢印で示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光が、導光部材34の放物系反射面34a’によって反射され、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図5(A)の左側)に照射される。つまり、車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図5(A)の左側)から車両用前照灯100を見た時に、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)全体が光って見える。
【0047】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図5(B)に矢印で示すように、クリアランスランプ用発光素子光源31bからの光が、導光部材34の上側端面34cから入射し、導光部材34内を導光されて導光部材34の後側表面34bの拡散部34b1によって拡散せしめられ、導光部材34の下側端面34d(図4(B)参照)全体から出射し、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)より下側に位置する部分100b1d(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図5(B)の左側)に照射される。つまり、車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図5(B)の左側)から車両用前照灯100を見た時に、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1d(図1(B)および図1(C)参照)全体が光って見える。
【0048】
すなわち、特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯のように、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するための手段(リフレクタ)とクリアランスランプ用光源からの光を配光制御するための手段(リフレクタ)とが別個に設けられるのではなく、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図5(A)および図5(B)に示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光を配光制御する機能とクリアランスランプ用発光素子光源31bからの光を配光制御する機能とを有する導光部材34が設けられている。
【0049】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するためのリフレクタとクリアランスランプ用光源からの光を配光制御するためのリフレクタとが別個に設けられている特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯よりも、車両用前照灯100全体の部品数を削減することによって車両用前照灯100全体のコストを削減することができると共に、車両用前照灯100全体をコンパクトにすることができる。
【0050】
また、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図3(C)および図3(D)に示すように、基板32がヒートシンク33に接続されている。また、図5(C)に示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光のうち、導光部材34の放物系反射面34a’の前端部34a1’よりも前側に向かって進む光を反射して導光部材34の放物系反射面34a’に入射させるための反射部33b(図3(C)および図3(D)参照)が、ヒートシンク33のうち、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aよりも前側(図5(C)の左側)の部分に形成されている。
【0051】
つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図5(C)に実線矢印で示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光のうち、導光部材34の放物系反射面34a’の前端部34a1’よりも前側に向かって進む光が、ヒートシンク33の反射部33bによって反射され、導光部材34の放物系反射面34a’によって反射され、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図5(C)の左側)に照射される。
【0052】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、ターンシグナルランプ用光源31aからの光のうち導光部材34の放物系反射面34a’の前端部34a1’よりも前側に向かって進む光が、図5(C)に破線矢印で示すように下向きに照射されてしまい、車両用前照灯100の照射方向に照射されない場合(つまり、対向車、歩行者等に認識されない光として照射されてしまう場合)よりも、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光の利用効率を向上させることができる。
【0053】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図5(D)に示すように、クリアランスランプ用発光素子光源31bからの光のうち、導光部材34の上側端面34cの前端部34c1よりも前側に向かって進む光を遮光するための遮光部33c(図3(C)および図3(D)参照)が、ヒートシンク33のうち、クリアランスランプ用発光素子光源31bよりも前側(図5(D)の左側)の部分に形成されている。つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図5(D)に示すように、クリアランスランプ用発光素子光源31bからの光のうち、導光部材34の上側端面34cの前端部34c1よりも前側に向かって進む光が、ヒートシンク33の遮光部33cによって遮光される。
【0054】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、クリアランスランプ用発光素子光源31bからの光のうち導光部材34の上側端面34cの前端部34c1よりも前側に向かって進む光が、図5(D)に破線矢印で示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光が出射するための部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100(図1(B)および図5(D)の左側)の照射方向に照射されてしまうのを回避することができる。
【0055】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図3(C)に示すように、ヒートシンク33の遮光部33cを逃げるために切り欠き32aが基板32に形成されている。また、図3に示すように、発光素子光源31a,31bから基板32を介してヒートシンク33の基板搭載部33aに伝熱された熱を放熱するための放熱フィン33dが、ヒートシンク33に形成されている。更に、図1(B)に示すように、ヒートシンク33とハウジング100bとを接続するための接続部33e(図3(C)および図3(D)参照)が、ヒートシンク33に形成されている。また、例えばねじ止めなどによってヒートシンク33(図2参照)と導光部材34(図2参照)とを接続するための突起状の接続部34e(図4(A)および図4(B)参照)が、導光部材34に形成されている。
【0056】
以下、本発明の車両用前照灯100の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の車両用前照灯100は、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両用前照灯100とほぼ同様に構成されている。従って、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両用前照灯100とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0057】
図6は第2の実施形態の車両用前照灯100の一部を構成するランプモジュール30を示した図である。詳細には、図6(A)はランプモジュール30の概略的な平面図、図6(B)はランプモジュール30の概略的な正面図、図6(C)は図6(B)のE−E線に沿った概略的な鉛直断面図である。図7は第2の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体を示した図である。詳細には、図7(A)は光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体の概略的な平面図、図7(B)は光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体の概略的な正面図、図7(C)は光源31a,31b、基板32、ヒートシンク33およびコネクタ35からなる組立体の概略的な底面図、図7(D)は図7(B)のF−F線に沿った概略的な鉛直断面図である。
【0058】
図8は第2の実施形態の車両用前照灯100のランプモジュール30の一部を構成する導光部材34を示した図である。詳細には、図8(A)は導光部材34の概略的な平面図、図8(B)は導光部材34の概略的な正面図、図8(C)は図8(B)のG−G線に沿った概略的な鉛直断面図である。図9は第2の実施形態の車両用前照灯100の光源31a,31bからの光の光路を概略的に示した図である。
【0059】
第2の実施形態の車両用前照灯100では、図8に示すように、導光部材34の前側表面34aに例えばアルミニウム蒸着などを施すことによって放物系反射面34a’が形成されている。また、放物系反射面34a’が例えば回転放物面、放物柱面などをベースとする自由曲面によって構成されている。更に、図6(C)に示すように、導光部材34の放物系反射面34a’の焦点(図示せず)上またはその近傍にターンシグナルランプ用発光素子光源31aが配置されている。
【0060】
また、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図1(B)に示すように、導光部材34の下側端面34d(図6(C)参照)がカバーレンズ100bの後側表面100b2に対向せしめられている。更に、図6(C)に示すように、クリアランスランプ用発光素子光源31bが導光部材34の上側端面34cに対向せしめられている。また、導光部材34の後側表面34bに拡散部34b1が形成されている。
【0061】
その結果、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図9(A)に矢印で示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光が、導光部材34の放物系反射面34a’によって反射され、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図9(A)の左側)に照射される。つまり、車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図9(A)の左側)から車両用前照灯100を見た時に、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)全体が光って見える。
【0062】
更に、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図9(B)に矢印で示すように、クリアランスランプ用発光素子光源31bからの光が、導光部材34の上側端面34cから入射し、導光部材34内を導光されて導光部材34の後側表面34bの拡散部34b1によって拡散せしめられ、導光部材34の下側端面34d(図8(B)参照)全体から出射し、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)より下側に位置する部分100b1d(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図9(B)の左側)に照射される。つまり、車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図9(B)の左側)から車両用前照灯100を見た時に、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1d(図1(B)および図1(C)参照)全体が光って見える。
【0063】
すなわち、特許文献1の図1および図6に記載された車両用前照灯のように、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するための手段(リフレクタ)とクリアランスランプ用光源からの光を配光制御するための手段(リフレクタ)とが別個に設けられるのではなく、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図9(A)および図9(B)に示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光を配光制御する機能とクリアランスランプ用発光素子光源31bからの光を配光制御する機能とを有する導光部材34が設けられている。
【0064】
そのため、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、ターンシグナルランプ用光源からの光を配光制御するためのリフレクタとクリアランスランプ用光源からの光を配光制御するためのリフレクタとが別個に設けられている特許文献1の図1および図6に記載された車両用前照灯よりも、車両用前照灯100全体の部品数を削減することによって車両用前照灯100全体のコストを削減することができると共に、車両用前照灯100全体をコンパクトにすることができる。
【0065】
また、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図7(C)および図7(D)に示すように、基板32がヒートシンク33に接続されている。また、図9(C)に示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光のうち、導光部材34の放物系反射面34a’の前端部34a1’よりも前側に向かって進む光を反射して導光部材34の放物系反射面34a’に入射させるための反射部33b(図7(C)および図7(D)参照)が、ヒートシンク33のうち、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aよりも前側(図9(C)の左側)の部分に形成されている。
【0066】
つまり、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図9(C)に実線矢印で示すように、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光のうち、導光部材34の放物系反射面34a’の前端部34a1’よりも前側に向かって進む光が、ヒートシンク33の反射部33bによって反射され、導光部材34の放物系反射面34a’によって反射され、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図9(C)の左側)に照射される。
【0067】
そのため、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、ターンシグナルランプ用光源31aからの光のうち導光部材34の放物系反射面34a’の前端部34a1’よりも前側に向かって進む光が、図9(C)に破線矢印で示すように下向きに照射されてしまい、車両用前照灯100の照射方向に照射されない場合(つまり、対向車、歩行者等に認識されない光として照射されてしまう場合)よりも、ターンシグナルランプ用発光素子光源31aからの光の利用効率を向上させることができる。
【0068】
更に、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図8(A)および図8(C)に示すように、導光部材34の上側端面34cに例えば概略半球状の凹部34c2が形成されている。更に、図6(C)に示すように、導光部材34の上側端面34cの凹部34c2によってクリアランスランプ用光源(31b)が覆われている。
【0069】
つまり、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図9(B)に示すように、クリアランスランプ用光源31bからのほぼすべての光が、導光部材34の上側端面34c(図8参照)の凹部34c2(図8(A)および図8(C)参照)から入射し、導光部材34内を導光されて導光部材34の後側表面34bの拡散部34b1によって拡散せしめられ、導光部材34の下側端面34dから出射し、カバーレンズ100b(図1(B)および図1(C)参照)の部分100b1d(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100(図1(B)および図9(B)の左側)の照射方向に照射される。
【0070】
そのため、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、クリアランスランプ用光源31bからの光の一部が車両用前照灯100の照射方向に照射されない場合よりも、クリアランスランプ用光源31bからの光の利用効率を向上させることができる。更に、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、クリアランスランプ用光源31bからの光の一部が、図9(D)に破線矢印で示すように、ターンシグナルランプ用光源31aからの光が出射するための部分100b1c(図1(B)および図1(C)参照)を介して車両用前照灯100の照射方向(図1(B)および図9(D)の左側)に照射されてしまうのを回避することができる。
【0071】
詳細には、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図7(C)に示すように、切り欠き32a(図3(C)参照)が基板32に形成されていない。また、例えばねじ止めなどによってヒートシンク33(図6参照)と導光部材34(図6参照)とを接続するためのフランジ状の接続部34e(図8(A)参照)が、導光部材34に形成されている。
【0072】
上述した例では、光源31aがターンシグナルランプ用光源として用いられ、光源31bがクリアランスランプ用光源として用いられているが、他の例では、代わりに、光源31a,31bを共にターンシグナルランプ用光源として用いることも可能である。
【符号の説明】
【0073】
31a,31b 光源
32 基板
34 導光部材
34a 前側表面
34a’ 放物系反射面
34b 後側表面
34b1 拡散部
34c 上側端面
34d 下側端面
35 コネクタ
100 車両用前照灯
100a ハウジング
100b カバーレンズ
100b1c,100b1d 部分
100b2 後側表面
100c 灯室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(100a)とカバーレンズ(100b)とによって画定される灯室(100c)内に第1光源(31a)と第2光源(31b)とを配置し、
カバーレンズ(100b)のうち、第1光源(31a)からの光が出射する部分(100b1c)の下側に、第2光源(31b)からの光が出射する部分(100b1d)を配置した車両用前照灯(100)において、
第1光源(31a)として発光素子光源を用いると共に、第2光源(31b)として発光素子光源を用い、
第1光源(31a)および第2光源(31b)を同一の基板(32)に搭載し、
第1光源(31a)に電力を供給すると共に第2光源(31b)に電力を供給するためのコネクタ(35)を第1光源(31a)および第2光源(31b)に電気的に接続し、
第1光源(31a)からの光を配光制御すると共に第2光源(31b)からの光を配光制御するための導光部材(34)を設け、
導光部材(34)の前側表面(34a)に放物系反射面(34a’)を形成し、
導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の焦点上またはその近傍に第1光源(31a)を配置し、
導光部材(34)の下側端面(34d)をカバーレンズ(100b)の後側表面(100b2)に対向させ、
第2光源(31b)を導光部材(34)の上側端面(34c)に対向させ、
導光部材(34)の後側表面(34b)に拡散部(34b1)を形成し、
第1光源(31a)からの光が、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)によって反射され、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射され、
第2光源(31b)からの光が、導光部材(34)の上側端面(34c)から入射し、導光部材(34)の後側表面(34b)の拡散部(34b1)によって拡散せしめられて導光部材(34)内を導光され、導光部材(34)の下側端面(34d)から出射し、カバーレンズ(100b)を介して車両用前照灯(100)の照射方向に照射されることを特徴とする車両用前照灯(100)。
【請求項2】
基板(32)をヒートシンク(33)に接続し、
第1光源(31a)からの光のうち、導光部材(34)の放物系反射面(34a’)の前端部(34a1’)よりも前側に向かって進む光を反射して導光部材(34)の放物系反射面(34a’)に入射させるための反射部(33b)をヒートシンク(33)のうち、第1光源(31a)よりも前側の部分に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)。
【請求項3】
第2光源(31b)からの光のうち、導光部材(34)の上側端面(34c)の前端部(34c1)よりも前側に向かって進む光を遮光するための遮光部(33c)をヒートシンク(33)のうち、第2光源(31b)よりも前側の部分に形成したことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯(100)。
【請求項4】
導光部材(34)の上側端面(34c)に凹部(34c2)を形成し、
導光部材(34)の上側端面(34c)の凹部(34c2)によって第2光源(31b)を覆ったことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯(100)。
【請求項5】
第1光源(31a)と第2光源(31b)とを有するランプモジュール(30)と、すれ違いビーム用ランプモジュール(10)および/または走行ビーム用ランプモジュール(20)とを灯室(100c)内に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用前照灯(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−181421(P2011−181421A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46002(P2010−46002)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】